JPH0745373B2 - 歯科用複合材料 - Google Patents

歯科用複合材料

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JPH0745373B2
JPH0745373B2 JP63007295A JP729588A JPH0745373B2 JP H0745373 B2 JPH0745373 B2 JP H0745373B2 JP 63007295 A JP63007295 A JP 63007295A JP 729588 A JP729588 A JP 729588A JP H0745373 B2 JPH0745373 B2 JP H0745373B2
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隆秀 重久
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、歯牙欠損部の修復補綴、被覆を目的とする歯
科用複合材料に関するものであり、より詳しくは、重合
前後の色調変化が少なく、審美性と機械的強度に優れた
歯科用複合材料に関するものである。
(従来の技術) 近年、歯科医療に於ては、審美修復という概念が重視さ
れ、治療に使用する材料に対して「より自然に、より美
しく」という要求が高まつている。この要求を満すた
め、近年の歯科用複合材料は患者の歯の色に合わせるた
め非常に多くの色の材料をあらかじめ生産して供給する
いわゆる「マルチシエード」というシステムを導入して
いる。しかし、そのように多数の色数を準備しておくシ
ステムを採用しても問題点がある。それは、このような
材料は重合の前後に於て、色調が変化し、歯科医の色調
適合性の目視確認が材料の重合前には困難であることで
ある。
歯科用複合材料とは、重合性単量体と該単量体を重合せ
しめるための重合開始材と、材料の物性、強度を向上さ
せるための充填材(フイラー)と材料の色を歯牙の色に
合せるための顔料とを混合練和してペースト状の組成物
としたものを、患者の歯牙欠損部の窩洞内あるいは欠損
部の模型上で重合硬化せしめることにより、欠損部の形
状に合致し、しかも患者が正常な咀嚼機能を回復しうる
形状の硬化物を得るためのものである。複合材料がその
目的を達するためには、該材料の重合という操作を経な
ければならない。
(本発明が解決すべき課題) ところで、前述の重合前後の色調変化の原因としては、
重合触媒に起因する変色、顔料の退色、材質自体の変色
などが考えられる。重合触媒や顔料に起因する問題は、
触媒や顔料の種類や使用量を適当に選択することにより
回復可能であるが、材質自体の変色、特に重合前後の透
明性の変化は、本質的な問題である。
本発明者らは、この複合材料の透明性を決定する因子に
つき検討した結果、その重要な因子はフイラー粒子によ
る光の散乱であり、この散乱を支配する大きな要因はフ
イラーとマトリクスとの屈折率の差であることを知見し
た。すなわち複合材料の透明性を決定するものは、Rayl
eighやMieさらにはClewellによる光の散乱式に見られる
如く、0.1μm以上の粒径をもつフイラー粒子による光
の散乱であり、その散乱を支配する一つの大きな要因は
フイラーとマトリクスとの屈折率の差である。すなわ
ち、フイラーとマトリクスとの間の屈折率の差が大きい
ほどフイラーによる光の散乱が大きくなり、複合材料は
不透明になり、フイラーとマトリクスとの屈折率が一致
すれば、複合材料は透明になるのである。
一方、一般に複合材料を構成する重合性単量体には、そ
の重合に伴つて(重合体になると)屈折率が高くなる傾
向がある。そのためペーストの重合前後においてフイラ
ーとマトリクスとの屈折率の差にちがいが生じペースト
の段階での複合材料の光の散乱強度と、重合後における
材料の光の散乱強度とが異なり、このことがペーストの
重合前後における透明性の変化という現象になつて現わ
れるのである。
従つて、この重合前後における透明性の変化を小さくす
るためには、フイラーとマトリクスとの屈折率の差が重
合前後に於てあまり変わらないように成分を選択すべき
であることを認めた。これを実現することは、例えばフ
イラーを単量体の屈折率と該単量体を重合せしめて得ら
れる重合体の屈折率との中間付近の屈折率をもつ物質の
なかから選択することによつて可能である。
そのようなタイプの商品としてMFR(マイクロフイルド
レジン)と称される歯科用複合材料が市販されている。
これらの製品におけるフイラーは、有機複合フイラーと
称され、その屈折率は、単量体の屈折率と該単量体より
得られる重合体の屈折率との間にある。しかし、このよ
うなフイラーの選択の方法は非常に選択の幅の狭いもの
であり、フイラーや単量体の種類を固定化し、歯科用複
合材料に審美性以外の性能、例えば優れた機械的強度や
X線造影性等を付与しようとする時には、受け入れ難い
方法である。
本発明の目的は、前記問題点を解決することにあり、重
合前後における色調変化が少ないことにより色調適合性
の確認が容易で審美性に優れ、機械的強度に優れた歯科
用複合材料を提供することにある。
(課題を解決するための手段) 当発明者らは上記の問題点を解決するため、鋭意検討を
加えた結果、複合材料の構成成分のうち光の散乱の原因
となるフイラーを2種類以上使用すること、すなわちマ
トリクスの重合前における屈折率と重合後における屈折
率の平均値よりも低い屈折率を有するフイラーと、該平
均値よりも高い屈折率を有するフイラーの両方を2種類
以上共存させて使用することにより解決できることを見
い出した。すなわち、重合前の状態においてはフイラー
の周囲のマトリクスは主に重合性単量体であり、マトリ
クスの屈折率は相対的に低く、ペーストの不透明性の程
度を主に支配するのは屈折率の高い方のフイラーであ
り、重合後の硬化物の状態においては、フイラーの周囲
のマトリクスは相対的に高い屈折率を有するため、硬化
物の不透明性の程度を主に支配するのは屈折率の低い方
のフイラーである。このペーストの状態での不透明さと
硬化物の状態での不透明さの程度とをほぼ等しく設定し
た場合に、本発明の目的の一つである重合前後における
色調変化が少ない複合材料が実現できる。
以上の考えに基づき検討を進めたところ、マトリックス
として重合性単量体とその硬化物のみを考慮しただけで
は現実と合わず、粒径が0.1μm以下のフィラーをマト
リックスの一部と考え、その複合マトリックスの重合前
後の屈折率を考慮した方が現実をよく説明できる事を見
いだし、本発明を完成した。
すなわち本発明は、重合性単量体、重合開始剤および粉
末状充填材を主要成分とする複合材料において、該充填
材のうちその平均粒径が0.1μmを越えるものをフイラ
ーとし、それ以外の諸成分の混合されたものをマトリク
スとするとき、重合前のマトリクスの屈折率をnm、重合
後のマトリクスの屈折率をnp、フイラーの屈折率をnf
すると、該フイラーが(nm+np)/2≦nf≦(nm+np)/2
+0.1の範囲の屈折率を有するフイラーと(nm+np)/2
>nf≧(nm+np)/2−0.1の範囲の屈折率を有するフイ
ラーをそれぞれ1種以上含有することを特徴とする歯科
用複合材料である。フイラーの粒径とそのフイラーによ
る光の散乱強度との関係について調べてみると、本発明
で使用するマトリクスの屈折率付近においてはフイラー
の粒径が0.25〜0.3μm付近において散乱強度が最も大
きく、それ以下の粒径になると急激に散乱強度が減少
し、0.1μm未満の粒子径のものではほとんど光の散乱
は問題とはならなくなる。このような超微粒子はフイラ
ーと言うよりはマトリクスの一部とみなせる。逆に、粒
子径の大きな方は、粒子径が大きくなるに従つて次第に
散乱強度は減少するが、例えば20μm程度の粒径のフイ
ラーと言えども、光の散乱がなくなるものではない。ま
た、平均粒径の大きなフイラーにも必ず粒子径が小さく
て光の散乱の原因となるフイラーが混存しているもので
ある。従つて歯科用複合材料に通常使用される50μm程
度までの粒径のフイラーは、本発明で問題とするフイラ
ーに含まれるものである。
本発明におけるマトリクスとは、重合性単量体、重合開
始剤および上述したフイラー以外の諸成分を含んでなる
組成物、ならびに該組成物が重合された重合体を意味す
る。これらの重合前後における組成物と重合体の屈折率
を夫々nm、npとする。本発明で具体的に使用される重合
性単量体は後に詳述されるが、該単量体を含んでなる組
成物のnmはほぼ1.485〜1.535であり、npはほぼ1.525〜
1.560である。本発明では屈折率の高いフイラーの屈折
率の低いフイラーを組合わせて使用するところに技術的
要点があるが、それらのフイラーの屈折率は、(nm
np)/2≦nf≦(nm+np)/2+0.1と(nm+np)/2>nf
(nm+np)/2−0.1の範囲から選択される。
この範囲のフイラーをそれぞれ1種以上選択して用いる
と、複合材料の重合の前後における透明性ひいては色調
の変化を極めて小とすることができる。
好ましい例としては、npより大きい屈折率をもつフイラ
ーと上記屈折率の平均値未満の屈折率をもつフイラーを
用いる場合、及びnmより小さい屈折率をもつフイラーと
上記屈折率の平均値以上の屈折率をもつフイラーを用い
る場合があげられる。
本発明において使用するフイラーには、表面処理をして
用いることが望ましい。表面処理剤としては通常のシラ
ンカツプリング剤やチタネートカツプリング剤等が使用
しうるが、γメタクリロキシプロピルトリメトキシシラ
ンが特に好ましい。表面処理されたフイラーは、その状
態で測定される屈折率で評価される。なおほとんどのフ
イラーで表面処理による屈折率の変化はほとんどないこ
とが認められた。上述の方法により選ばれた屈折率の高
いフイラーと低いフイラーとの量比は10〜90重量%と90
〜10重量%、より好ましくは15〜85重量%と85〜15重量
%の間で用いることが望ましい。さらにその具体的量比
を決定する方法としては、種々の配合比率で複合材料を
実際に調製し、該材料の重合前後における吸光度(濁
度)を測定し、比較することにより決定することができ
る。他の方法としては、重合前のマトリクスの屈折率と
同じ屈折率を有する液体に該フイラーの混合物を分散さ
せたものの吸光度と、重合後のマトリクスの屈折率と等
しい屈折率をもつ液体に該フイラーの混合物を分散させ
たものの吸光度とがほぼ等しくなるような比率で、該フ
イラーの配合比率を決定することができる。
さらに他の方法としては、複合材料を実際に調製し、該
材料の重合前後の試料をそれぞれ用いて標準の厚みの試
料の背後に標準白板を置いた場合の試料の明度(L値)
と、背後に標準黒板を置いた場合の試料の明度とを比較
し、そのL値の差ΔLを透明性と関係する値であるとす
る。例えば、光の散乱が多く不透明なサンプルを測定す
るときには試料の背後に白板を置いても黒板を置いても
明度の測定値には大きな差がなくΔLは小さいが、透明
なサンプルを測定する場合には、背後の色によつて明度
の測定値には大きな差がありΔLは大となる。すなわち
透明度の大きな(吸光度の小さな)試料はΔLの値が大
きく、透明度の小さな(吸光度の大きな)試料はΔLの
値が小さい。このように、複合材料の重合前後でΔL値
の変化のないことは試料の透明性に変化のないことに対
応するので、該ΔL値の変化を小とするようにフイラー
の混合量比を決定することもできる。本発明で用いるフ
イラーの合計量は、複合材料全量に対して20〜90重量%
が好適である 本発明において用いられる重合性単量体としてはα−シ
アノアクリル酸、(メタ)アクリル酸、ウレタン(メ
タ)アクリル酸、クロトン酸、桂皮酸、ソルビン酸、マ
レイン酸、イタコン酸などのカルボン酸と1価又は2価
アルコールとのエステル類さらに、N−イソブチルアク
リルアミドのような(メタ)アクリルアミド類、酢酸ビ
ニルなどのようなカルボン酸のビニルエステル類、ブチ
ルビニルエーテルのようなビニルエーテル類、N−ビニ
ルピロリドンのようなモノ−N−ビニル化合物、スチレ
ン誘導体などが挙げられるが特に下記のような一官能
性、多官能性の(メタ)アクリル酸エステル類およびウ
レタン(メタ)アクリル酸エステル類が好適である。
(i)一官能性 (メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸n−も
しくはi−プロピル、(メタ)アクリル酸n−、i−も
しくはt−ブチル、2−ヒドロキシエチル(メタ)アク
リレートなど。
(ii)二官能性 一般式 [ここでnは、3〜20の整数、Rは水素またはメチル基
を表わす] で示される化合物。例えば、プロパンジオール、ブタン
ジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ノナ
ンジオール、デカンジオール、エイコサンジオールなど
のジ(メタ)アクリレート誘導体、 一般式が [ここでnは1〜14の整数、Rは水素またはメチル基を
表わす。] で示される化合物。例えば、エチレングリコール、ジエ
チレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエ
チレングリコール、ドデカエチレングリコール、テトラ
デカエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプ
ロプレングリコール、テトラデカプロピレングリコール
などのジ(メタ)アクリレート誘導体の他、グリセリン
ジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス[p−γ−メタク
リロキシ−β−ヒドロキシプロポキシ)フエニル]プロ
パン(Bis−GMA)、ビスフエノールAジメタクリレー
ト、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、
2,2−ジ(4−メタクリロキシポリエトキシフエニル)
プロパン(1分子中にエトキシ基2〜10)、1,2−ビス
(3−メタクリロキシ2−ヒドロキシプロポキシ)ブタ
ンなど。
(iii)三官能性以上 トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペ
ンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートなど。
(iv)ウレタン(メタ)アクリレート系 ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレート単量体2
モルとジイソシアネート1モルの反応生成物、両末端NC
Oのウレタンプレポリマーとヒドロキシル基を有する
(メタ)アクリレート単量体の反応生成物などが挙げら
れ、かかる反応生成物の構造は、次式に示すものが挙げ
られる。
[ここでR1は水素またはメチル基、R2はアルキレン基、
R3は有機残基である。]具体的なものとして特公昭51−
36960号に記載されている2,2,4−トリメチルヘキサメチ
レンジイソシアネートとメタクリル酸オキシプロピルと
の反応生成物、特公昭55−33687号に記載されている両
末端イソシアネートのウレタンプレポリマーとメタクリ
ル酸−2−オキシエチルとの反応生成物が挙げられる。
また特開昭56−152408号に開示されているような四官能
性のモノマーも用いられる。
本発明で用いられる重合開始剤は特に限定されず公知の
ものが使用できる。一般にいかなる重合開始剤を用いる
かは複合修復材の場合適用される重合手段によつて異な
る。この重合手段には光エネルギーによるもの、過酸化
物と促進剤との室温反応によるもの、加熱又は加温によ
るもの等があり、それぞれに応じ開始剤が運ばれる。例
えば光エネルギーによる場合には、重合開始剤として例
えば本発明者らに係る先願(特開昭59−6797号)によつ
て開示される光開始剤(α−ジケトンから選ばれる光増
感剤とアルデヒドおよび有機過酸化物とからなる)、あ
るいは特開昭60−197609によつて開示される光開始剤
(α−ジケトンから運ばれる光増感剤とメルカプタンと
からなる)などを用いることができ、過酸化物と促進剤
との反応による場合には、有機過酸化物と第3級アミン
化合物、具体的には過酸化ベンゾイルとN,N−ジエタノ
ール−p−トルイジンを用いることができ、また、加熱
による場合には過酸化ベンゾイルまたはアゾビスイソブ
チロニトリル(AIBN)等を用いることができる。通常、
開始剤の使用量は重合性単量体に対し、0.1〜10重量%
の範囲にある。なお、重合開始剤が過酸化物と促進剤と
からなる場合には、本発明の歯科用複合材料は2包装型
で歯科医に提供される。
本発明において用いられるフイラーは、合成無機物粉
末、各種ガラス粉末、天然鉱物粉末、有機複合フイラー
等から目的に応じて選択することができる。特にガラス
粉末は、ガラス成分の配合比率の調整によりかなり任意
に屈折率を設定することができるため重要である。言及
するまでもなく、ガラスという物質は非常に多成分の原
料を混合溶解することにより製造されているものである
が、ここではそれらすべてを含むものである。なかで
も、バリウム、ストロンチウム、亜鉛、チタン、ジルコ
ニウム、ランタン等の重金属を高濃度で含有するガラス
は屈折率の高いフイラーを得ることができるのみなら
ず、これらの重金属を多量に含有するガラスは、それを
配合した歯科用複合材料にX線造影性(レントゲン投影
をした時に、該複合材料がX線写真上に識別可能な状態
で写ること)を与えるので有用である。また、有機複合
フイラー(超微細フイラーを前述の重合性単量体で被覆
したものを重合させて得られた硬化物の粉末)も成分の
選択やその配合比率により任意の屈折率のものを得るこ
とが可能であり、本発明に用いるフイラーとして使用で
きる。
屈折率の低いフイラーを例示すると、合成シリカ、溶融
石英ガラス、ホウケイ酸ガラス等が挙げられ、チタン、
ストロンチウム、亜鉛等を少量含有するガラスにも屈折
率の低いものがある。また有機複合フイラーもその成分
の選択により、屈折率の低いフイラーとすることもでき
る。次に屈折率が中間的なフイラーを例示するとアルミ
ノケイ酸ガラス、ソーダライムガラス、天然長石、バリ
ウムボロアルミノシリケートガラス、ストロンチウムボ
ロアルミノシリケートガラス、などが一般的であるが、
その他にもフリントガラス、クラウンガラスの中にこの
範中に属するガラスがある。また、有機複合フイラー
も、成分の選択によつてはこの範疇に属するものもあ
る。さらに屈折率の高いフイラーを例示すると歯科用に
よく使われている天然石英、バリウムガラス、亜鉛ガラ
ス、チタンガラス、ジルコニウムガラス、ランタンガラ
ス等の他に多数の光学ガラスも挙げられる。
さらに超微粒子フイラーとして使用しうる物について例
示すると、超微粒子シリカと超微粒子アルミナなどが挙
げられる。これらのものは、その粒径があまりに小さい
ために本発明で問題としている光の散乱にはほとんど影
響をおよぼさず、フイラーと言うよりはむしろマトリク
スの一部として考えるべきである。このような超微粒子
フイラーは、複合材料のペーストのレオロジー的な性質
を調節したり、複合材料硬化物の研磨面の滑沢性を向上
させたり、複合材料の耐摩耗性を向上させたりする目的
で使用される。
また、本発明の組成物には、着色剤、重合禁止剤、紫外
線吸収剤等を添加することができる。
(実施例) 以下実施例により本発明を説明する。
参考例1 各種フイラーの調製 80メツシユパスのホウケイ酸ガラス(nD=1,473)、溶
融石英ガラス(nD=1,45),α−石英(nD=1,55、バリ
ウムボロシリケートガラス(nD=1,56)、ランタンガラ
ス(nD=1,57)およびストロンチウムポロシリケートガ
ラス(nD=1,50)等を、振動ボールミルを用いて粉砕
し、粒径範囲が0.1〜25μmで平均粒子径が3〜5μm
もの微粉末を得た。これらのガラス粉末を通法に従い、
3重量%のγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシ
ランで表面処理を行ない、ガラスフイラーとして用い
た。
次に、超微粒子シリカ(日本アエロジル社製、商品名:
アエロジルOX−50)を、通法に従い、10重量%のγ−メ
タクリロキシプロピルトリメトキシシランで表面処理を
行ない、超微粒子フイラーとして用いた。
さらに、U−4TH(構造式下記の注に示す)40重量部、B
is=GMA10重量部、ネオペンチルグリコールジメクリレ
ート20重量部、トリエチレングリコールジメタクリレー
ト30重量部、過酸化ベンゾイル0.5重量部からなる重合
性単量体混合物32gに、上記超微粒子フイラーを68gを混
合練和して均一にした組成物を窒素雰囲気下、100℃に
て24時間加熱して硬化させたものを粉砕および分級する
ことにより、粒径範囲0.1〜100μmで平均粒径が15μm
の粉末とし、有機複合フイラーを得た。このフイラーの
屈折率はnD=1,49であつた。
(注) 参考例2 屈折率の高いフィラーと低いフィラーの量比の決定 前述のフイラーによるマトリクス中での光の分散をシユ
ミレートするため2,2−ビス[p−(γ−メタクリロキ
シ−β−ヒドロキシプロポキシ)フエニル]プロパン
(以下Bis−GMAと称する)とトリエチレングリコールジ
メタクリレート(以下3Gと称する)の50:50の混合物の
屈折率(nD=1.505)にほぼ等しい屈折率を有するジエ
チルベンゼン(▲n20 D▼=1.5035)と、該単量体混合
物の重合体の屈折率(nD=1.545)にほぼ等しい屈折率
を有するテトラリン(▲n20 D▼=1.5414)を用いて、
溶媒中にフイラーを分散させてその吸光度(濁度)を測
定した。吸光度の測定は堀場製作所製の粒度分布測定機
CAPA−500を用い、粒度分布測定用のセルに20mgのフイ
ラーと上記のいづれかの溶媒を入れ、そのセルごと10分
間超音波処理を行うことにより、フイラーの分散を十分
にし、直ちに自然沈降モードの測定部にセルを挿入し
て、吸光度を測定した。測定に供したフイラーの種類、
量および吸光度を表1に記した。
このように、各々のフイラー単独のケースでは重合の前
後における吸光度の差が大きいが、屈折率の高いフイラ
ーと低いフイラーをブレンドして用いると、重合前後に
おける吸光度はあまり違わなくなることを示しており、
重合前後における透明性の差も少なくなることを示して
いる。
実施例1〜7および比較例1〜7 Bis−GMA20g,3G20g,カンフアーキノン0.2g,過酸化ベン
ゾイル0.4g,p−n−ブチルベンズアルデヒド0.8gよりな
る溶液を開始剤入り重合性単量体とし、表2に記載の量
比でそれぞれの充填材を混合練和することにより、それ
ぞれペースト状の組成物を作製した。
まず、組成物の重合前後の透明性の変化については、以
下の方法に従つて行つた。まず、ペーストを顕微鏡用の
スライドグラス2枚の間に0.85mmのスペーサーを用いて
厚みを規定してはさみ、直径10〜15mm、厚み0.85mmの円
板状のペーストとする。次に、このものをガラス板には
さんだまま色度計(日本電色社製、Σ−500型)を用い
て、円板の背後に標準白板を置いて色度を測定した場合
の明度(L値)と、同じ試料の背後の白板を標準黒板と
交換して測定した場合の明度との差ΔLを測定して、ペ
ーストの透明性とした。この測定法ではΔLの大なるも
のほど透明性が高い。次に、この試料をガラス板にはさ
んだまま市販の歯科用可視光線照射器を用いて1分間照
射することにより重合させ、硬化したサンプルをガラス
板にはさんだまま再び色度計を用いて、白板を背後に置
いた時の色度と黒板を背後に置いた時の白度とを測定
し、それぞれの明度の差ΔLを求めた。ペーストの状態
におけるΔLと硬化物の状態でのΔLとの差Δ(ΔL)
をもって重合前後における透明性の変化のめやすとし
た。また、各組成物の機械的強度としては、曲げ強度の
測定をもつて代表させた。曲げ強度の測定方法はステン
レス製モールドに各組成物のペーストを充填し、端面を
スライドグラスで押えた状態で前述の照射器の光を表と
裏から1分づつ照射することにより重合させ、2×2×
30mmの角柱状のサンプルを作製し、支点間距離20mmの3
点曲げ試験を行つた。結果を表2に示す。なお、重合前
のマトリクスの屈折率nmは1.504であり、重合後のマト
リクスの屈折率npは1.540であった。
実施例8〜10および比較例8〜10 実施例1で使用したのと同じ重合製単量体を使用し、表
3に記載の量比でそれぞれの充填材を混和練和すること
により、それぞれペースト状の組成物を作製した。これ
らの組成物の評価は実施例1と同様の方法で行なった。
結果を表3に併せて示す。
このように多成分のフイラーを含有する場合において
も、比較例8、9の如く屈折率の低いフイラーだけで調
製した複合材料に比して、実施例8、9の如く屈折率の
低いフイラーに屈折率の高いフイラーをブレンドするこ
とにより、重合前後における透明性の変化は小さくな
る。また比較例10と実施例10の場合には、屈折率の高い
フイラーだけで調製した複合材料と、そこに屈折率の低
いフイラーをブレンドした材料を比較しているが、この
場合にも重合前後における透明性の変化は小さくなつ
た。
(発明の効果) 本発明により得られた歯科用複合材料は、重合の前後に
おける透明性の変化が少なく、色調の変化をほとんど感
じないため、歯科医による患部への試適時の色調適合性
の目視確認が容易である。また、該複合材料に使用する
フイラーとして使用できるフイラーは、従来のMFRのよ
うに有機複合フイラーに限定されることなく、目的に応
じて任意に選択しうるため、機械的強度に優れた複合材
料を得ることができるし、さらにこの複合材料にX線造
影性を賦与することも可能である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重合性単量体、重合開始剤および粉末状充
    填材を主要成分とする複合材料において、該充填材のう
    ちその平均粒径が0.1μmを越えるものをフイラーと
    し、それ以外の諸成分の混合されたものをマトリクスと
    するとき、重合前のマトリクスの屈折率をnm、重合後の
    マトリクスの屈折率をnp、フイラーの屈折率をnfとする
    と、該フイラーが(nm+np)/2≦nf≦(nm+np)/2+0.
    1の範囲の屈折率を有するフイラーと(nm+np)/2>nf
    ≧(nm+np)/2−0.1の範囲の屈折率を有するフイラー
    をそれぞれ1種以上含有することを特徴とする歯科用複
    合材料。
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