JPH0744403A - 連続メディアの同期方法 - Google Patents

連続メディアの同期方法

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JPH0744403A
JPH0744403A JP5190992A JP19099293A JPH0744403A JP H0744403 A JPH0744403 A JP H0744403A JP 5190992 A JP5190992 A JP 5190992A JP 19099293 A JP19099293 A JP 19099293A JP H0744403 A JPH0744403 A JP H0744403A
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JP5190992A
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Inventor
Tetsuji Sato
哲司 佐藤
Ryoji Kataoka
良治 片岡
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Nippon Telegraph and Telephone Corp
Original Assignee
Nippon Telegraph and Telephone Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】連続メディアを再生する個々のプロセス間での
同期を実現するために,簡便で統一的な同期機構であっ
て,同期のための長大な遅れ時間を削減し,また実現環
境の変化等に容易に対処できる同期機構を実現すること
を目的とする。 【構成】複数個の連続メディア再生手段が複数の装置か
ら各々受信した画像や音声等の情報を同期をとって再生
する場合に,再生情報の再生に関する許容情報を決め,
またはその許容情報を再生情報と共に受信し,許容情報
を配慮しながら情報を再生することにより,一番処理速
度の遅い(転送が一番遅れてくる)送信元装置に合わせ
て,画像や音声等の情報を再生するよう制御できるよう
にする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,複数の連続メディアの
再生を同期させる方法に関し,特に,音声や動画像,ア
ニメーション等,時間的に連続した再生が必要となるメ
ディアの複数を同期させて再生する連続メディアの同期
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年,ワークステーションやパーソナル
コンピュータの著しい技術革新に支えられ,これらの汎
用計算機に簡単な付加回路,例えば,スピーカであると
か画像の符号化/復号化ボードを付加することで簡単に
連続メディアの再生装置を実現することができるように
なってきた。この場合,連続メディアの再生装置は,汎
用計算機上の処理単位であるプロセスとして実現され,
複数の再生プロセスを同一の汎用計算機上で動作させる
こともできる。
【0003】動画,音声やアニメーションなど時間的に
連続な再生が必要となる情報メディアは,連続メディア
と呼ばれ,これらの連続メディアは互いに組み合わせて
並行して再生することで1つの意味を持つので,連続メ
ディア間の同期が重要となる。しかし,汎用計算機上の
プロセスとして連続メディアの再生装置を実現した場合
は,連続メディアの再生プロセス以外のプロセスも並行
して処理されることから,複数の連続メディアの再生を
同期させることは以下の要因により難しい。
【0004】すなわち,同期させるプロセス間で再生位
置に関する情報を交換する必要があるが,この情報交換
のためのメッセージの伝搬遅延時間が無視できないこと
である。メッセージを伝搬している時間にも,それぞれ
のプロセスは連続メディアの再生を続けているので,メ
ッセージを送信した時刻と受信した時刻では状態が変わ
っている。したがって,単にメッセージ交換をしただけ
では正確な同期はとれない。また,より正確な同期をと
るためには,より頻繁にメッセージの交換を行わなけれ
ばならないが,メッセージの伝搬遅延時間より短い間隔
でメッセージ交換を行うことはできない。
【0005】この問題に対処する従来技術として,各メ
ディアの再生プロセスに再生開始時刻を絶対時間で与え
る方法が,例えば,情報処理学会主催の「マルチメディ
ア通信と分散処理」ワークショップ(平成5年3月)に
おける「分散型マルチメディアシステムにおける情報間
同期機構の実現」田島,寺西,他著により既知である。
【0006】そこでは,メッセージの伝搬遅延時間と表
示するメディア情報の準備に必要な時間をあらかじめ見
積もっておき,見積もった遅れ時間を考慮して各メディ
アの再生プロセスに再生開始時刻を送信する。この方法
では,十分な遅れ時間を考慮し,かつ,各メディアの再
生プロセスを実行する計算機の時計を合わせておくこと
で,同期して複数のメディアを再生できる。メッセージ
の伝搬遅延時間に相当する“遅れ時間”の間は,それぞ
れのプロセスで絶対時間を用いてあらかじめ決められた
時間あるいは速度で再生を行う実時間同期機構を実現し
ている。さらに,全体を制御する制御プロセスと再生速
度の基準となる基準プロセスとを設けて,基準プロセス
の再生状態(遅れ/進み)を制御プロセスに通知し,制
御プロセスが他の再生プロセスに対して速度変更の指示
を出す適応型連続同期機構をも実現している。
【0007】このように従来の同期機構では,同期のた
めの制御が複雑で,同期のための処理が大きかったた
め,簡便な同期機構を実現できる新たな同期方式が必要
とされていた。
【0008】さらに,連続メディアの再生プロセスを処
理するハードウェアの性能によって実現できる再生速度
が異なる問題がある。画像の符号化/復号化ボードを付
加した高性能なワークステーションであれば,毎秒30
フレーム程度の動画を連続再生することが可能である
が,特別なハードウェアを持たないワークステーション
では1フレームの描画に時間がかかるので,動画として
再生することが困難である。このような場合には,物語
の論理的な切れ目であるシーンあるいはカットごとに1
枚の画像を表示し,1枚の画像でシーンやカットに対応
する音声を再生する紙芝居的な再生が有効である。
【0009】このようにハードウェア等の制約で異なる
実現が必要となったときには,同期している複数のプロ
セスのいずれか1つを他のプロセスの実現に影響を与え
ることなく変更できる拡張性の高い同期機構が必要とさ
れる。しかし,この問題に対処できる公知の従来技術は
なく,新たな同期方法が必要とされていた。特に,動画
の再生を十分な速度で行うためには,専用ハードウェア
を付加する等の費用が必要になるため,動画再生を含む
システムの導入初期段階では,特別なハードウェアを持
たない安価な構成とし,必要に応じた追加投資で動画再
生が可能となった場合に,同期機構と他のメディア再生
プロセスを変更せずに動画に移行できるような,統一的
で拡張可能な同期方法が望まれていた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は,連続
メディアを再生する個々のプロセス間での同期を実現す
るために,簡便で統一的な同期機構を実現することにあ
る。特に,プロセス間のメッセージ伝搬遅延時間が大き
い場合であっても,同期を実現するために従来は必要で
あった長大な遅れ時間を削減した同期機構を実現するこ
と,さらに,個々の再生プロセスの実現が変わった場合
や,実現環境の変化に伴って伝搬遅延時間が変わった場
合でも,他の関連する再生プロセスの実現を変更するこ
となく,これらの再生プロセス間で同期をとることを目
的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は,複数の装置か
ら受信した画像や音声等の情報を再生する場合に,再生
情報の再生に関する許容情報を決め,またはその許容情
報を再生情報と共に受信し,許容情報を配慮しながら情
報を再生することにより,一番処理速度の遅い(転送が
一番遅れてくる)送信元装置に合わせて,画像や音声等
の情報を再生するよう制御できるようにしたものであ
る。
【0012】すなわち,上記の問題を解決するため,連
続メディア再生手段は,現在再生している位置あるいは
再生しようとしている位置を示すシーケンス番号を他の
連続メディア再生手段に送信するメッセージ送信手段
と,他の連続メディア再生手段から送信されたシーケン
ス番号を受信するメッセージ受信手段を具備し,再生開
始時および再生途中において新たなシーケンス番号を持
つデータを再生する際には,前記メッセージ送信手段を
用いて該シーケンス番号を自身のシーケンス番号として
送信すると同時に,あらかじめ定められた先行許容値δ
と,自身のシーケンス番号と,前記メッセージ受信手段
で受信したメッセージに含まれる相手のシーケンス番号
との間に, (自身のシーケンス番号)≦(相手のシーケンス番号)
+δ が成立する場合は,自身のシーケンス番号が指示する位
置を再生し,成立しない場合は,前記メッセージ受信手
段において他の連続メディア再生手段からメッセージが
到着するのを待つ。
【0013】さらに,前記連続メディア再生手段は,前
記シーケンス番号と先行許容値δとを少なくとも含むメ
ッセージを前記メッセージ送信手段を用いて送信し,メ
ッセージ受信手段で受信したメッセージ内の先行許容値
δと,該メッセージ内の相手のシーケンス番号と,自身
のシーケンス番号との間に, (自身のシーケンス番号)≦(相手のシーケンス番号)
+δ が成立する場合は,自身のシーケンス番号が指示する位
置を再生し,成立しない場合は,前記メッセージ受信手
段において他の連続メディア再生手段からメッセージが
到着するのを待つ。
【0014】
【作用】連続メディア再生手段は,メッセージ送信手段
とメッセージ受信手段とを用いて,他の連続メディア再
生手段との間で同期を取る。その際に,メッセージとし
て現在再生している位置あるいは再生しようとしている
位置を示すシーケンス番号を送受し,受け取ったメッセ
ージのシーケンス番号と自身のシーケンス番号を比較す
ることで,相手の連続メディア再生手段と比較して自身
の再生が進んでいるか,あるいは,遅れているかを判断
する。特徴的なことは,シーケンス番号を比較する際に
先行許容値δを用いることである。すなわち,自身の再
生は,相手よりシーケンス番号でδだけ先行することを
許容する。これにより,メッセージの伝搬遅延時間が大
きく,相手からのメッセージ到着が遅れるような状況に
あった場合でも,先行許容値δをメッセージの伝搬遅延
時間に相当する値に設定することで,見かけ上はメッセ
ージの伝搬遅延時間がない場合と同様な同期を実現でき
る。
【0015】さらに,先行許容値δを同期を必要とする
連続メディア再生手段の間で交換することによって,同
期する相手がどこまで再生を先行して良いかを指示でき
る。相手から受信した先行許容値δは,次に相手から同
期のためのメッセージを受信するまで,すなわち,新し
い先行許容値δを受け取るまで有効である。この場合,
次の同期(のための)メッセージを受信するのは,(現
在のシーケンス番号)+δまで再生が進んだ時である。
この結果,シーケンス番号が変わる度に同期を取る必要
がなくなり,同期のためのオーバヘッドを削減できる。
【0016】
【実施例】以下,本発明の実施例を図面を用いて詳述す
る。図1は本発明を用いたマルチメディア再生装置の一
構成例であり,音声を再生するメディアAのプロセス1
aと,動画を再生するメディアBのプロセス1bの2つ
を示している。いずれのプロセスも時間的に連続した再
生が必要であり,両者を同期して再生することで意味の
ある再生を行うことができる。
【0017】図中の各メディアA,Bの再生プロセス1
a,1bは,図2で後述する同期操作を行う同期制御部
2a,2b,音声あるいは動画を再生する音声再生部3
aあるいは動画再生部3b,同期のためのメッセージの
送信および受信を行うメッセージ送信部4a,4bおよ
びメッセージ受信部5a,5bで構成される。メッセー
ジは,情報を伝達する物理的な通信路を介して通信相手
を指定して送受信する。再生する音声および動画には,
物理的な再生の単位であるフレームあるいは複数のフレ
ーム単位,あるいは,論理的な再生の単位であるシーン
やカットにシーケンス番号が付与されているものとし,
このシーケンス番号を用いて複数のメディア間で同期を
とる。
【0018】図2は,本実施例における同期操作の手順
を説明する図である。図3は,本実施例を用いた同期の
例である。図3の例は,先行許容値δ=0とした場合の
例であり,メディアA(音声)とメディアB(動画)を
(A0,B0),(A1,B1),…(A3,B3)が
それぞれ同期して再生されるように制御する例である。
図中のt0 ,t1 ,t2 ,t21,…は時刻を表してい
る。図中の矢印はメッセージが互いに交換されている様
子を示している。以下,図3を参照しながら,図2に示
した同期操作の流れを説明する。なお,相手からのメッ
セージを受け取る前の初期状態として,相手のシーケン
ス番号は−1とする。
【0019】[1]自身の再生に関して,次に再生すべ
きシーケンス番号,すなわち現在のシーケンス番号を得
る(図2のステップS1)。その際,再生すべきものが
なければ再生を終了する。再生を終了するにあたって必
要な操作があれば終了操作として実行する。図3の時刻
0 ,t1 ,…では,メディアAとメディアBはそれぞ
れA0,A1,…とB0,B1,…のシーケンス番号が
得られる。このうち,同期に使われる情報は第2文字の
0,1,…である。
【0020】[2]再生すべきものがある場合には,自
身のシーケンス番号を,同期する相手である他のメディ
ア再生プロセスにメッセージとして送信する(図2のス
テップS2)。図3の時刻t0 では,メディアAのプロ
セスとメディアBのプロセスは,共にシーケンス番号と
して0を相手に送信する。
【0021】[3]自身のシーケンス番号と相手のシー
ケンス番号とを比較して,再生が許容されるかを判定す
る(図2のステップS3)。以下の条件が成立する時に
再生可能である。
【0022】(自身のシーケンス番号)≦(相手のシー
ケンス番号)+δ 図3の時刻t0 では,いずれのプロセスも相手からのメ
ッセージを受信していないので,相手のシーケンス番号
は,初期値として設定した−1である。先行許容値δ=
0であるから,時刻t0 では,いずれのプロセスも再生
を開始することができず,次のメッセージ到着を待つ操
作に入る。
【0023】[4]再生不可の場合には,相手の再生プ
ロセスから送られてくるメッセージが到着するのを待つ
(図2のステップS4)。したがって,この期間は再生
が中断される。メッセージが到着した,あるいは,既に
メッセージが到着していた場合には,そのメッセージを
取り出して相手のシーケンス番号を得る。図3では,時
刻t0 において,互いに送信したメッセージが時刻t01
に相手のプロセスに到着しているので,時刻t01におい
て両者のプロセスは,相手のシーケンス番号が0である
ことが分かる。メッセージを受信して相手のシーケンス
番号が更新されたら,再度,前項の再生諾否の判定を行
う。図3の例では,2回目の判定で再生が可能となる。
【0024】[5]現在のシーケンス番号が再生可能で
あれば,そのシーケンス番号にあるデータを用いて再生
を行う(図2のステップS5)。シーケンス番号が変わ
るところまで再生が進んだら最初に戻り,以後,上述の
操作を再生すべきデータがなくなるまで繰り返す。図3
の例では,時刻t1 までシーケンス番号0のデータを再
生し,時刻t1 で,再度相手とのメッセージ交換を行っ
て同期を取る。
【0025】以上示したように,先行許容値δ=0とし
た場合には,完全に同じシーケンス番号を持つメディア
A(音声)とメディアB(動画)を再生することができ
る。しかし,この場合は,同期のためのメッセージ交換
に必要な時間,すなわち,図3でt0 とt01間,t1
11間等は,メディアの再生を行うことができず,音声
や動画の再生が待たされる。メッセージの伝搬遅延時間
が十分小さい場合には,この待ち時間は問題にはなら
ず,完全な同期が取れている効果は大きい。しかし,メ
ッセージの伝搬遅延時間が大きい,あるいは,変動する
場合には,本来連続して再生すべき音声や動画が途切れ
ることになり,同期オーバヘッドによって再生の品質が
劣化する。
【0026】図4は,先行許容値δ=1とした場合の例
で,図1と全く同じ構成で,かつ,図2と全く同じ制御
手順を用いながら,上記の音声や動画が途切れる問題を
解決できることを示している。
【0027】同期する相手プロセスが時刻t0 において
送信したメッセージは,図3と同様に時刻t01に到着し
ている。図4では,メッセージの伝搬遅延時間が大きい
として,図3より到着が遅れているように表現してい
る。時刻t0 における再生の諾否判定で,相手のシーケ
ンス番号は図3の例と同様に−1であるが,先行許容値
δ=1であるから,時刻t0 で相手からのメッセージ到
着を待たずに再生を開始できる。シーケンス番号0のデ
ータを再生している途中の時刻t01で相手からのメッセ
ージが到着しているので,時刻t1 における再生の諾否
判定で,シーケンス番号1のデータの再生が許可され
る。
【0028】以上示したように先行許容値δ=1とする
ことで,メッセージ到着時刻t01と次の同期時刻t1
前後関係に逆転が生じない限り,メッセージの伝搬遅延
時間の影響を受けて同期操作が待ち合わされることがな
くなる。仮に,時刻t1 より遅れてメッセージが到着す
るほど伝搬遅延時間が大きい場合(t1 <t01)でも,
伝搬遅延時間が一定であれば,先行許容値δの値を大き
くすることにより同様の効果が得られる。
【0029】図5は,音声再生プロセスと動画再生プロ
セスとを同期させる例を示している。この例では,同期
する相手のプロセスに,シーケンス番号と先行許容値δ
からなるメッセージを送信する。したがって,受け取っ
た先行許容値δは,次のメッセージを受け取るまでの局
所的な時間で有効であり,しかも,相手のプロセスと異
なる先行許容値を用いて同期制御を行うこともできる。
【0030】一般に,音声の再生は,扱うデータ量が少
なく再生のために必要となる演算量も比較的小さいの
で,現在のハードウェア技術を用いた汎用計算機にとっ
て負荷が軽い処理である。これに対して,動画の再生
は,1秒間に数十フレームの再生を継続的に行うので扱
うデータ量が大きく,表示(再生)に必要な演算量も大
きい。このため,前提とする汎用計算機の処理能力,あ
るいは,実行時の負荷状況に応じて,再生が間に合わな
い場合には,1秒あたりの表示フレーム数を間引くこと
で負荷を軽減したり,極端な場合には,シーンあるいは
カットあたり1枚の画像だけ表示する準静止画的な表示
を行うこともある。
【0031】以下では,図5を用いて,音声を再生する
プロセスに何らの変更を加えることなく,動画を再生す
るプロセスを変更できることを説明する。音声再生プロ
セスは,動画再生プロセスの実現に関係なく,時刻t0
から始まる一定の時間間隔で,図2に示した同期操作を
行う。その際,同期する相手のプロセス(動画再生プロ
セス)に送信するメッセージの先行許容値δは常に0で
あるとする。
【0032】動画再生プロセスの例として,音声の同期
間隔(t0 ,t1 ,t2 ,…)と較べて再生速度が十分
に速い場合と遅い場合,さらに,再生が可変で音声との
同期が不定期に行われる場合を示している。再生速度が
十分速い場合には,動画再生プロセスは先行許容値δ=
0を音声再生プロセスに送信することで,図3に示した
と同様に,音声の同期間隔と同じ同期間隔で動画再生プ
ロセスも同期を取りながら,同じシーケンス番号のデー
タを再生する。
【0033】動画の再生速度が遅く音声の同期間隔では
同期が取れない,あるいは取る必要がない場合には,動
画再生プロセスは先行許容値δ=1を音声再生プロセス
に送信する。この結果,音声再生プロセスは,受け取っ
たメッセージのシーケンス番号よりδ(=1)だけ進ん
だシーケンス番号までのデータを再生できるので,動画
C0に対してA0,A1の2つのシーケンス番号のデー
タを再生できる。動画C2以後に関しても同様に,動画
のシーケンス番号より1進んだシーケンス番号の音声を
再生できる。この場合,音声再生プロセスの同期間隔は
0 ,t1 ,t 2 ,…であるのに対して,動画再生プロ
セスの同期間隔はt0 ,t2 ,…である。
【0034】次に動画の再生が可変で音声との同期が不
定期に行われる場合の動作を示す。図5に示した例で
は,動画の再生はシーケンス番号D0,D3,D7,D
10に対してだけ行う。このような応用としては,動画
を再生するハードウェアの性能が低く十分な再生速度が
得られない場合に,物語の論理的な切れ目であるシーン
あるいはカットごとに1枚の画像を表示し,1枚の画像
でシーンやカットに対応する音声を再生する紙芝居的な
表示が典型例として挙げられる。この場合には,単に動
画の再生速度が遅いのとは異なり,論理的な切れ目に対
して同期が必要となるので,上述の例のように先行許容
値δを固定的な値とすることはできない。このため,シ
ーケンス番号D0のデータに対してはδ=2を,シーケ
ンス番号D3のデータに対してはδ=3を,シーケンス
番号D7のデータに対してはδ=2を,音声再生プロセ
スに送信する。
【0035】以上の再生速度が速い場合,遅い場合,可
変の場合のいずれの場合であっても,音声再生プロセス
の同期操作,および,送信する先行許容値δ=0は不変
であり,同期する相手の実現に依存しない同期操作を実
現することができる。
【0036】上記の実施例では,先行許容値δとして正
の整数値(δ>0)を用いる場合を示したが,先行許容
値に負の整数値を用いた実現も可能である。この場合に
は,負の先行許容値を与えられた再生プロセスは,同期
する相手のプロセスより少なくとも先行許容値だけ遅れ
たシーケンス番号の位置を再生する。したがって,動画
と音声を同期再生する映画における字幕のように,映画
の再生位置より遅れた表示が望ましい応用が簡単に実現
できる。
【0037】また,本実施例では,各メディアの再生プ
ロセスを,あらかじめ付与された昇順の整数値によるシ
ーケンス番号に基づいて同期させているが,ここでいう
シーケンス番号とは何らかの順序関係が明らかなもので
あればよく,この番号に相当する値として,例えば絶対
時間である時刻や再生開始点からの経過時間等を用いた
場合でも,本発明に係る同期方法を実現することができ
る。この場合には,各プロセスが持つあるいはメッセー
ジで交換する先行許容値の値も時間に基づく値とする必
要がある。
【0038】以上の説明では,図1に示すメディアAと
メディアBの2つの再生プロセス間での同期に限定して
述べたが,3つ以上の複数のメディアの同期再生に一般
化することは容易である。すなわち,1つのメディアの
再生プロセスから送信したメッセージを他の同期させる
全てのプロセスが受信すること,および,受信した全メ
ッセージのシーケンス番号と先行許容値を満足する時に
再生を行うことで実現できる。例えば,受信した複数メ
ッセージの中で最も遅れている,あるいは,進んでいる
プロセスからのメッセージを選択して,その選択したメ
ッセージとの間で,図2に示した同期操作を行うことで
実現できる。他の実現法として,特定のプロセスを制御
プロセスとして設け,制御プロセスを介して全体を制御
する構成も実現可能である。
【0039】また,実施例の説明では,個々のメディア
の再生手段をプロセスとしてソフトウェア的に実現する
場合について述べたが,各メディアの再生手段の一部ま
たは全部をハードウェアで実現した場合でも,本発明に
係る同期方法を用いることができる。
【0040】
【発明の効果】本発明によれば,複数メディアの再生を
メッセージを交換することで同期させる際に,メッセー
ジの伝搬遅延時間が大きい場合でも,先行許容値δを大
きく設定することでメッセージの到着を待たずに再生を
開始でき,通信の遅れによって再生が待たされることが
なくなる。
【0041】また,複数のメディア再生プロセスで異な
る先行許容値を用いた場合には,個々のプロセスで異な
る同期間隔を設定することが可能となり,再生速度の違
いを吸収できる。さらに,先行許容値を含めたメッセー
ジを相手プロセスに送信することで,個々のプロセスの
内部で同期間隔を可変とすることができる。
【0042】これらの同期間隔の変更は,あらかじめプ
ロセス毎に設定された先行許容値,あるいは,相手プロ
セスから受信したメッセージに含まれる先行許容値の値
を変更するだけで容易に実現できる。この結果,同期再
生する複数の再生プロセスで,ある1つのプロセスの実
現変更を他のプロセスの実現に変更を加えることなく行
うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を用いたマルチメディア再生装置の一構
成例を示す図である。
【図2】本実施例における同期操作の手順を説明する図
である。
【図3】本実施例を用いた同期の例(先行許容値を0と
した場合)を示す図である。
【図4】本実施例を用いた同期の例(先行許容値を1と
した場合)を示す図である。
【図5】本実施例を用いた同期の例(先行許容値を可変
とした場合)を示す図である。
【符号の説明】
1a,1b メディアの再生プロセス 2a,2b 同期制御部 3a 音声再生部 3b 動画再生部 4a,4b メッセージ送信部 5a,5b メッセージ受信部

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 時間的に連続した再生が必要な連続メデ
    ィア再生手段を複数個備えたマルチメディア再生装置に
    おいて,各連続メディア再生手段は,現在再生している
    位置あるいは再生しようとしている位置を示すシーケン
    ス番号を少なくとも含むメッセージを他の連続メディア
    再生手段に送信するメッセージ送信手段と,他の連続メ
    ディア再生手段から送信されたメッセージを受信するメ
    ッセージ受信手段を具備し,再生開始時および再生途中
    において新たなシーケンス番号を持つデータを再生する
    際には,前記メッセージ送信手段を用いて該シーケンス
    番号を自身のシーケンス番号として送信すると同時に,
    あらかじめ定められた先行許容値δと,自身のシーケン
    ス番号と,前記メッセージ受信手段で受信したメッセー
    ジに含まれる相手のシーケンス番号との間に, (自身のシーケンス番号)≦(相手のシーケンス番号)
    +δ が成立する場合は,自身のシーケンス番号が指示する位
    置を再生し,成立しない場合は,前記メッセージ受信手
    段において他の連続メディア再生手段からメッセージが
    到着するのを待つことを特徴とする連続メディアの同期
    方法。
  2. 【請求項2】 前記連続メディア再生手段は,前記シー
    ケンス番号と先行許容値δとを少なくとも含むメッセー
    ジを前記メッセージ送信手段を用いて送信し,メッセー
    ジ受信手段で受信したメッセージ内の先行許容値δと,
    該メッセージ内の相手のシーケンス番号と,自身のシー
    ケンス番号との間に, (自身のシーケンス番号)≦(相手のシーケンス番号)
    +δ が成立する場合は,自身のシーケンス番号が指示する位
    置を再生し,成立しない場合は,前記メッセージ受信手
    段において他の連続メディア再生手段からメッセージが
    到着するのを待つことを特徴とする請求項1記載の連続
    メディアの同期方法。
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