JPH0743813B2 - 磁気ヘッド用コアの製造方法 - Google Patents

磁気ヘッド用コアの製造方法

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JPH0743813B2
JPH0743813B2 JP9643789A JP9643789A JPH0743813B2 JP H0743813 B2 JPH0743813 B2 JP H0743813B2 JP 9643789 A JP9643789 A JP 9643789A JP 9643789 A JP9643789 A JP 9643789A JP H0743813 B2 JPH0743813 B2 JP H0743813B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は磁気ヘッド用コアの製造方法に関し、特にレー
ザーによって熱化学反応を誘起させるレーザー誘起エッ
チングを用いたトラックの磁気ヘッド用コアを製造する
方法に関するものである。
(従来の技術) 近年、フロッピーディスク装置(FDD)、固定磁気ディ
スク装置(RDD)、VTR等の磁気記録は高密度化の一途を
たどり、それに伴い磁気ヘッドのトラック幅は狭く且つ
高精度になる傾向にある。現在トラック幅の寸法精度
は、VTR,FDDで±2μm以下、RDDでは±1μm以下が必
要である。
これらの磁気ヘッド用コアを形成するに際して、従来か
らトラック部を空気中において、レーザー加工で行なう
ことが知られており、特開昭51−29118号公報、特開昭5
7−212617号公報に開示れている。
しかしながらこれらの方法では、被加工物の加工温度は
被加工物の融点温度以上に達するため、加工面には熱に
よる加工歪やそれに伴うクラックを生じ、磁気ヘッドの
特性劣化を招いていた。また、加工面及びその周辺部に
は、被加工物の溶融凝固物や溶融飛散物の付着が起こる
とともに熱歪みやクラック等の問題もあり、面粗度や寸
法精度が低下して近年要望の高い寸法精度±2μm以下
の高精度のトラック加工が実施できない問題があった。
この精度の点を改良するため、本出願人は、特開昭63−
45387号公報において、磁気ヘッドコアのトラック幅の
規定する箇所を、所定のハロゲンあるいはハロゲン化物
を含む雰囲気中でレーザー誘起エッチングにより加工し
て、高精度のトラック幅が得られることを開示してい
る。さらに、全体の速度を速くするため、トラック幅を
規定する以外の箇所をリン酸等の酸あるいは水酸化カリ
ウム等のアルカリのエッチング液中で、レーザー誘起エ
ッチングを実施すると良い点も開示している。
(発明が解決しようとする課題) しかしながら、上述した特開昭63−45387号公報開示の
技術、特にトラック幅を規定する箇所をハロゲン等を含
む雰囲気中レーザー誘起エッチングを実施するととも
に、トラック幅を規定する箇所以外の箇所を酸あるいは
アルカリのエッチング液中でレーザーエッチングをする
例では、全体の加工時間を短縮し精度の良いトラック幅
を得ることができるものの、レーザー誘起エッチング特
に酸あるいはアルカリ溶液中でのレーザー誘起エッチン
グの条件について不十分であったため、最適で精度の良
い加工をすることができない問題があった。
本発明の目的は上述した課題を解消し、本願人による特
開昭63−45387号公報記載の技術を改良して、高い加工
精度の構成と加工時間の短縮が可能な磁気ヘッド用コア
の製造方法を提供しようとするものである。
(課題を解決するための手段) 本発明の磁気ヘッド用コアの製造方法の第1発明は、磁
気ヘッドコアをレーザー加工で形成する製造方法におい
て、トラック幅を規定する箇所を、ハロゲンあるいはハ
ロゲン化物を含む雰囲気中でレーザー誘起エッチングに
より加工し、トラック幅を規定する以外の箇所を、濃度
5〜55wt%のアルカリ金属水酸化物の水溶液中で、50〜
1300mWのパワーPを有する20μm以下の径のレーザービ
ームを、走査速度Vが2〜150μm/secの範囲でV≦0.34
P+13を関係式とV≦−0.17P+217の関係式を同時に成
り立たせる走査速度で照射し、レーザー誘起エッチング
により加工することを特徴とするものである。
また、本発明の磁気ヘッド用コアの製造方法の第2発明
は、磁気ヘッドコアをレーザー加工で形成する製造方法
において、トラック幅を規定する箇所を、ハロゲンある
いはハロゲン化物を含む雰囲気中でレーザー誘起エッチ
ングにより加工し、トラック幅を規定する以外の箇所
を、濃度10〜90wt%のリン酸水溶液中で、50〜1900mWの
パワーPを有する50μm以下の径のレーザービームを、
走査速度Vが2〜200μm/secの範囲でV≦0.31P+34の
関係式とV≦−0.14P+271の関係式を同時に成り立たせ
る走査速度で照射し、レーザー誘起エッチングにより加
工することを特徴とするものである。
(作 用) 上述した構成において、トラック幅を規定する箇所をハ
ロゲンあるいはハロゲン化物を含む雰囲気中でレーザー
誘起エッチングにより加工するとともに、トラック幅を
規定する以外の箇所をアルカリ金属水酸化物の水溶液中
またはリン酸水溶液中でレーザー誘起エッチングにより
加工する磁気ヘッド用コアの製造方法において、それぞ
れの水溶液中でのレーザー誘起エッチング時における最
適なレーザービームの条件および走査速度を見出したこ
とにより、高い加工精度を維持しつつ、加工時間の短縮
が可能となった。
規定部の加工 すなわち、上述した本発明の第1発明および第2発明と
も、まず高精度を要求されるトラック幅を規定する箇所
を、ハロゲンあるいはハロゲン化物を含む雰囲気中、好
ましくは本願人による特開昭63−45387号公報に示した1
0〜200Torrのハロゲンあるいはハロゲン化物を含む雰囲
気中で、50〜1100mWのパワーを有する20μm以下のレー
ザービームを2〜110μm/secの走査速度で照射して、レ
ーザー誘起エッチングにより加工することにより、加工
時間は多少かかるがより高精度の加工を実施する。
面粗度が2μm以下を維持しつつ、且つ工業的に採用し
得る速い加工速度で、通常の磁気ヘッド用コアに要求さ
れる20μm以上の加工深さを達成するための条件は、レ
ーザーパワーが50〜1100mW,相対的ビーム走査速度2〜1
10μm/secの範囲であって、且つレーザーパワーを上記
範囲内で一定としたときの走査速度の上限が加工深さと
面粗度によって決定される領域となる。更に、面粗度が
1μm以下で20μm以上の加工深さを達成するための条
件は、レーザーパワーを50〜650mW、相対的ビーム走査
速度2〜100μm/secの範囲が必要であって、且つレーザ
ーパワーを上記範囲内で一定としたときの走査速度の上
限が加工深さと面粗度によって決定される領域となる。
このレーザー誘起エッチング法に於いて、雰囲気ガス
は、被加工物との熱化学反応により雰囲気中に安定的に
揮散する物質を生成する物質であることが望ましい。フ
ェライトの主成物である鉄は、ハロゲン元素と比較的蒸
気圧の高い化合物を作る。従って、雰囲気ガスにはハロ
ゲン或いはハロゲン化物のガスを含むガスが適切であ
り、その中でもCCl4は、安定で毒性も比較的低いため、
扱い易く好ましい。
また、熱化学反応による被加工物の除去を効率よく進行
させるには、化学反応生成物であるフェライト成分元素
のハロゲン化物のガスを加工点から速やかに除去すると
共に、加工点に、化学反応に充分な量のハロゲン或いは
ハロゲン化合物を含むガスを新たに供給しなければなら
ない。従って、雰囲気の真空度、即ちハロゲン或いはハ
ロゲン化物を含むガスのガス圧を適切な範囲で制御しな
ければならない。ここで、ガス圧が200Torr以上になる
と、化学反応生成物であるフェライト成分元素のハロゲ
ン化物のガスの揮散が困難となり、反応生成物が被加工
面及びその周辺部に付着して面粗度が低くなる。また、
除去する量と加工される形状にもよるが、幅3μm,深さ
50μmの穴を開ける場合、ガス圧が10Torr以下に於いて
は被加工面は従来のレーザー加工と同様に、熱加工面の
様相を呈してくる。従って、ハロゲン或いはハロゲン化
物を含むガスのガス圧は10〜200Torrに設定することが
望ましく、より好ましくは40〜100Torrとすることが望
ましい。
また、加工中は雰囲気を密閉しておく必要は必ずしもな
く、ガスを流通する方法も有効である。その方法の一つ
として、加工点付近にハロゲン或いはハロゲン化物を含
むガスをノズル等で強制的に供給する方法は、反応生成
物の除去と新しいガスの供給に有効である。更に、経済
的には上記レーザーエッチングを室温で行うことが有効
であり、500℃以下に余熱して、弱いレーザーパワーの
下に加工を行うことも可能である。
レーザービームの収束径は20μm以下であれば初期の面
粗度及び加工深さを得ることができるが、ビーム収束径
は加工点に於ける被加工物の除去に影響を与えるので加
工条件の選定に於いては、更にレーザービームの収束径
と上記ガス圧及び被加工物温度も多少考慮する必要があ
る。レーザーの波長は上記ビーム収束径との関係から原
理的には20μm以下であれば良く、該20μm以下の範囲
で更にレンズの能力、その他の諸条件を考慮して適宜選
択される。この条件を満たすレーザー光源としてYAG,CO
2,Ar+イオン等の各種レーザーを使用することができる
が、発振の安定性に優れレーザー光の拡がり角が小さい
点からAr+イオンレーザーがより好適に使用される。
規定部以外の加工 トラック幅を規定する箇所の加工には、精度が高いこと
及び加工歪が少ないことが要求されるが、それ以外の箇
所の加工には、それ等がさほど重視されない場合が殆ど
である。従って、トラック幅を規定する箇所を加工した
後、もしくは、それに先立ってトラック幅を規定する箇
所以外の箇所を比較的加工速度の速い方法で加工するこ
とが、加工時間の短縮という点で有利である。
そこで、本発明では、トラック幅を規定する箇所以外の
箇所を、上述したガス中のレーザー誘起エッチングより
高速度の加工が可能なアルカリ金属水酸化物の水溶液中
(第1発明)またはリン酸溶液中(第2発明)でのレー
ザー誘起エッチングにより加工している。
すなわち、コイル巻線孔と磁気ギャップを有するギャッ
プバーに対して、水酸化カリウムや水酸化ナトリウム等
のアルカリ金属水酸化物の水溶液中またはリン酸溶液中
でギャップバー表面に所定のレーザー光を所定の走査速
度で照射することにより、ギャップバーとアルカリ金属
水酸化物またはリン酸との化学反応を誘起させるととも
に、アルカリ金属水酸化物の水溶液またはリン酸溶液が
加工点の進行方向前方から加工点の後方に向かって流れ
を起こす。そのため、加工点へのアルカリ金属水酸化物
またはリン酸の供給が常に行われると同時に、加工点か
ら切削くずの排除が速やかに行われ、レーザー誘起エッ
チングが進行することとなる。その結果、本発明のレー
ザー誘起エッチングにより溝あるいは孔加工を行い、ト
ラックを形成すれば、従来のレーザー加工における被加
工物の溶融凝固、熱による加工歪や変質、クラック等の
問題を解消することができる。
磁気ヘッドコアは、フェライトやセンダスト等よりなる
ギャップバーに対してレーザー誘起エッチングによりト
ラック幅を規定する溝あるいは孔加工を行って、トラッ
クを形成した後、必要に応じてトラックを補強するため
のガラスを溝あるいは孔の内部に埋込む工程、磁気ヘッ
ドの記録媒体との摺動面からコイル巻線孔までの磁気ギ
ャップの深さ、すなわちデプス深さが所要の寸法となる
まで摺動面を研磨する工程、さらに所要のコア幅にスラ
イスする工程等の後加工を経て得られる。
デプス深さは、VTR,FDDで30μm程度、RDDで5μm程度
である。従って、このギャップバーに対してトラックを
形成するに際し、トラックを規定するための溝あるいは
孔の深さは、摺動面研磨等の後加工のことを考慮に入れ
ると、少なくとも10μm以上が必要であり、好ましくは
30μm以上、より好ましくは50μm以上が必要である。
また、トラックを規定する寸法精度は±2μm以下が必
要であり、好ましくは、±1μm以下が必要である。
本発明の方法に於いては、加工深さ及び寸法精度はレー
ザーパワーとレーザービーム走査速度との関係で論じら
れる。実験の結果によると、レーザーパワーが大きい程
また走査速度が小さい程、加工深さは大きくなる傾向に
ある。しかしながら、レーザーパワーがあまりにも大き
くなり過ぎると、レーザーの光の熱による溶融量がアル
カリ金属水酸化物またはリン酸による化学反応量よりも
多くなるため、加工面には溶融凝固物の付着やクラック
が発生し寸法精度は低下する。また走査速度があまりに
も大きくなり過ぎても充分な化学反応を起こすことがで
きず、同様の傾向を示す。
そのため、本発明の第1発明において、磁気ヘッド用コ
アを加工するには、レーザーパワーが50mW以下では、レ
ーザー誘起エッチングを起こすのに充分なパワーには足
りず、必要とする10μm以上の深さを得ることができな
い。更に、このレーザー誘起エッチングを工業的に実施
し得るためには、従来の機械加工と比較すると1トラッ
ク当たり30秒以下で加工することが望ましく、走査速度
は少なくとも2μm/sec以上を必要とする。磁気ヘッド
用コアのトラックを寸法精度が±2μm以下、加工深さ
10μm以上で、工業的に実施し得る加工速度で加工する
ための条件は、本発明の第1発明における限定条件であ
るレーザーパワーPが50〜1300mW、走査速度Vが2〜15
0μm/secの範囲であって、且つ関係式V≦0.34P+13と
関係式V≦−0.17P+217とによって囲まれる領域となる
(後述する第3図参照)。
また、本発明の第2発明において、磁気ヘッド用コアを
加工するには、レーザーパワーが50mW以下では、レーザ
ー誘起エッチングを起こすのに充分なパワーには足り
ず、必要とする10μm以上の深さを得ることができな
い。更に、このレーザー誘起エッチングを工業的に実施
し得るためには、従来の機械加工と比較すると1トラッ
ク当たり30秒以下で加工することが望ましく、走査速度
は少なくとも2μm/sec以上を必要とする。
寸法精度が±2μm以下で、加工深さ10μm以上のトラ
ックを工業的に実施し得る加工速度で加工するための条
件は、本発明の第2発明における限定条件であるレーザ
ーパワーPが50〜1900mW、走査速度Vが2〜200μm/sec
の範囲であって、且つ関係式V≦0.31P+34と関係式V
≦−0.14P+271とによって囲まれる領域となる(後述す
る第4図参照)。
このレーザー誘起エッチング法に於いて、アルカリ金属
水酸化物の水溶液またはリン酸水溶液は被加工物である
ギャップバーのエッチング液として作用する。フェライ
ト及びセンダストの主成分である鉄は、アルカリ金属水
酸化物またはリン酸に良好にエッチングされる。加工深
さは、このアルカリ金属水酸化物の水溶液またはリン酸
水溶液の濃度によっても変化する。濃度が高いほど加工
深さは大きくなるが、濃度が高すぎるとエッチングが過
度に進み、加工面には面粗れが生じ、寸法精度が低下す
る。また濃度が低すぎると、化学反応量が減少し、充分
なレーザー誘起エッチングを起こすことができず、必要
とする加工深さが得られなくなる。従って、アルカリ金
属水酸化物の水溶液の濃度は5〜55wt%、リン酸水溶液
の濃度は10〜90wt%にする必要がある。
レーザービームの収束径は20μm以下であれば所要の加
工深さ及び寸法精度を得ることができるが、レーザービ
ームの収束径は加工形状等に影響を与えるので、加工条
件の選定に於いては、更にレーザービームの収束径と上
記アルカリ金属水酸化物の水溶液またはリン酸水溶液の
濃度の関係も考慮する必要がある。
レーザー光源として各種レーザーを使用することができ
るが、フェライト及びセンダストが1μm以下の波長の
吸収率が高い点から、発振の安定性に優れレーザー光の
拡がり角が小さいArイオンレーザーやYAGレーザーの第
2高調波等のレーザー光源を使用することが望ましい。
(実施例) 装置構成 第1図は本発明のレーザー誘起エッチングをハロゲン等
のガス雰囲気中で実施する装置の一例を示すものであ
る。X−Yテーブル4上に載置されたチャンバー1は、
バルブ9を介して真空ポンプ8に直結されており、ま
た、チャンバー1内に開口しているノズル2は、バルブ
10を介してハロゲン或いはハロゲン化物を含むガスの少
なくとも一種類以上のガス源に接続されている。更に、
このチャンバー1の上面には石英窓5が設けられてお
り、該石英窓5の上方位置に配設されたレーザー光源6
からのレーザー光がこの石英窓5を介してチャンバー1
内に照射されるようになっている。チャンバー1内に
は、エッチング加工されるべき下記のギャップバー11が
サンプリングホルダ3上に配置されており、このギャッ
プバー11に対して以下の手段及び条件でレーザー誘起エ
ッチング加工を行うようになっている。
即ち、先ず該真空ポンプ8を作動させてチャンバー1を
真空にした後、バルブ10を開いてチャンバー1内に所定
圧力のCCl4ガスを充填する。このCCl4ガスの蒸気圧は室
温に於いて約60Torrであり、この発明に於いてはこの値
をそのまま使用する。次に、ギャップバー11の表面に、
例えばAr+イオンレーザービーム7(波長514.5nm,焦点
収束径2.5μm)を照射し、ギャップバー11をX−Yテ
ーブル4によって走査し、所定の位置に熱化学反応を起
こさせるのである。
第2図は本発明のレーザー誘起エッチングをアルカリ金
属水酸化物またはリン酸の水溶液中で実施する装置の一
例を示す図である。本発明例では、X−Yテーブル21に
加工容器22が載置されており、その中には試料台23とそ
の上に置かれた被加工物であるギャップバー24が配置さ
れている。加工容器22の内部にはリン酸水溶液25が満た
されており、マイクロメータ26でその位置を調整可能な
石英窓27によって、ギャップバー24上のアルカリ金属水
酸化物またはリン酸の水溶液25の液面高さをコントロー
ルしている。液面高さは、小さ過ぎると液の流れが遅く
なり、水溶液は過度に温められて気泡が発生しやすくな
るため、加工深さは減少し寸法精度は低下する。液面高
さが200μm以上ではこの影響はほとんどないが、液面
高さが大き過ぎるとレーザー光が水溶液中を通過する間
に損失する光量が増して加工深さが減少したり、液の流
れが液面の上下方向の対流となって発生するため、加工
点から排出された切削くずや気泡がこの対流にのって巻
き上げられ、レーザ光を散乱させ、加工深さの減少や寸
法精度の低下を招く。従って、液面高さは200μm以上
にすることが望ましく、より好ましくは、300〜10000μ
mにすることが望ましい。
なお、石英窓27は液面高さをコントロールすると同時
に、液面のゆらぎをなくし加工精度を向上させている。
レーザー光28はレーザー光源29から放射され、レンズ系
30、石英窓27を通してギャップバー24上に照射される。
この時、X−Yテーブル21を動かすことによって所要の
形状の加工を行うことができる。
加工条件の決定 本発明では、上記のような装置を用いて、まずトラック
幅を規定する箇所を、ハロゲンあるいはハロゲン化物を
含む雰囲気中でレーザー誘起エッチングにより加工した
後、アルカリ金属水酸化物の水溶液中でレーザー誘起エ
ッチング(第1発明)するか、リン酸水溶液中でレーザ
ー誘起エッチング(第2発明)している。
以下、アルカリ金属水酸化物の水溶液中またはリン酸水
溶液中において、この発明を適用する場合について以下
に記述する。
(i)アルカリ金属水酸化物の水溶液中での加工 第3図は磁気ヘッド用コアの加工深さが10μm以上、寸
法精度±2μm以下のトラック加工を行なうための条件
範囲を示したグラフである。この範囲がレーザーパワー
Pは50〜1300mW、走査速度Vは2〜150μm/secの範囲
で、且つレーザーパワーを一定とした場合の走査速度の
上限が、加工深さ10μmを示す関係式V≦0.34P+13
(実線)と寸法精度±2μmを示す関係式V≦−0.17P
+217(波線)とで限定される範囲であることが理解で
きる。
第3付から、例えばレーザーパワー300mW、走査速度2
〜115μm/secの範囲内で±2μm以下の寸法精度で10μ
m以上の加工深さを得ることができるが、同じパワーで
走査速度が115μm/sec〜165μm/secの範囲では、±2μ
m以下の寸法精度は得られるが10μm以上の加工深さを
得ることはできないことがわかる。さらに、走査速度が
165μm/sec以上では±2μm以下の寸法精度も得られな
いことがわかる。また、レーザーパワーが500mWでは、
走査速度2〜135μm/secの範囲内では±2μm以下の寸
法精度で10μm以上の加工深さが得られるが、同じパワ
ーで走査速度135〜185μm/secの範囲内では、10μm以
上の加工深さは得られるが±2μm以下の寸法精度を得
ることはできないことがわかる。さらに走査速度185μm
/sec以上では、加工深さ10μm以上も得ることができな
いことがわかる。
上記の第3図に示す条件は、水酸化カリウム水溶液濃度
が5〜55wt%および水酸化ナトリウム水溶液濃度が5〜
55wt%、レーザービーム径が20μm以下の条件下での実
験結果に基づいている。しかしながら、レーザーパワ
ー、走査速度を一定とした場合でも、濃度やレーザービ
ーム径が変われば加工深さも寸法精度も異なってくる。
従って、目的とする加工深さと寸法精度に対する適切な
条件は、上記第3図に示された範囲内で更に濃度とレー
ザービーム径を考慮して選定されなければならない。
特にレーザービーム径に関して、レーザービーム径を小
さくする場合には、レーザー光の熱による溶融量が水酸
化カリウム及び水酸化ナトリウムによる化学反応量より
も多くならないようにするために、レーザーパワーは低
くすることが好ましい。逆にレーザービーム径を大きく
する場合には、レーザー誘起エッチングを充分に起こさ
せるために、レーザーパワーは高くすることが好まし
い。
(ii)リン酸水溶液中での加工 第4図は加工深さが10μm以上、寸法精度±2μm以下
の加工を行うための条件範囲を示したグラフである。こ
の範囲が、レーザーパワーPは50〜1900mW、走査速度V
は2〜200μm/secの範囲で、且つレーザーパワーを一定
とした場合の走査速度の上限が、加工深さ10mmに示す関
係式V=0.31P+34(実線)と寸法精度±2μmを示す
関係式V≦−0.14P+271(破線)とで限定される範囲で
あることが理解できる。
第4図から、例えばレーザーパワー300mW、走査速度2
〜130μm/secの範囲内で、±2μm以下の寸法精度で10
μm以上の加工深さを得ることができるが、同じパワー
で走査速度が130μm/sec〜230の範囲では、±2μm以
下の寸法精度は得られるが10μm以下の加工深さを得る
ことはできないことがわかる。さらに、走査速度が230
μm/sec以上では、±2μm以下の寸法精度も得られな
いことがわかる。また、レーザーパワーが600mWでは、
走査速度が2〜185μm/secの範囲内では±2μm以下の
寸法精度で10μm以上の加工深さが得られるが、同じパ
ワーで走査速度185〜225μm/secの範囲内では、10μm
以上の加工深さは得られるが±2μm以下の寸法精度を
得ることはできないことがわかる。さらに走査速度225
μm/sec以上では、加工深さ10μm以上も得ることがで
きないことがわかる。
上記の第4図に示す条件は、リン酸水溶液濃度が10wt%
〜90wt%、レーザービーム径が50μm以下の条件下での
実験結果に基づいている。しかしながら、レーザーパワ
ー、走査速度を一定とした場合でも、濃度やレーザービ
ーム径が変われば加工深さも寸法精度も異なってくる。
従って、目的とする加工深さと寸法精度に対する適切な
条件は、上記第4図に示された範囲内で更に濃度とレー
ザービーム径を考慮して選定されなければならない。特
に、レーザービーム径に関して、レーザービーム径を小
さくする場合には、レーザー光の熱による溶融量がリン
酸による化学反応量よりも多くならないようにするため
に、レーザーパワーは低くすることが好ましい。逆にレ
ーザービーム径を大きくする場合には、レーザー誘起エ
ッチングを充分に起こさせるために、レーザーパワーは
高くすることが好ましい。
磁気ヘッド用コアの作製 (i)本発明の製造方法の概念 第5図(a)〜(c)はそれぞれ本発明の製造方法の製
造工程の一例を示す斜視図である。まず、第5図(a)
に示すように、フェライト棒51aとコイル巻線孔に対応
する溝52を有するフェライト棒材51bをガラス溶着等の
手段により接合して、キャップバー53を得る。次に、第
5図(b)に示すように、ギャップ54−1,54−2のトラ
ック幅を規定する加工を、所定条件のハロゲンあるいは
ハロゲン化物を含む雰囲気中でレーザー誘起エッチング
により加工する。最後に、第5図(c)に示すように、
トラック幅を規定する以外の箇所を、所定条件のアルカ
リ金属水酸化物の水溶液中(第1発明)またはリン酸水
溶液中(第2発明)でレーザー誘起エッチングにより加
工し、溝55を形成している。
第1表に、実際に上記方法によりフェライトよりなる磁
気ヘッド用コアおよびフェライトとセンダストよりなる
磁気ヘッド用コアを加工したときに好適な条件を記載す
る。
(ii)フェライトからなる磁気ヘッド用コアの作製 第6図(a)〜(e)はそれぞれVTRヘッド用コアの本
発明による製造工程の一例を示す斜視図である。まず第
6図(a)の示すように、フェライト棒材71aとコイル
巻線孔72を有するフェライト棒材71bとを、ガラスによ
る接合や固相反応による接合等の手段により接合して、
磁気ギャップ71を有するギャップバー64を形成する。次
に、レーザーパワー400mW、走査速度20μm/sec、レーザ
ービーム径2.5μm、CCl460Torrの雰囲気の条件化で、
準備したギャップバー64を第1図に示す装置に装着し
て、第6図(b)に示すようにギャップバー64にトラッ
ク幅73を規定する溝74を複数個加工する。次に、レーザ
ーパワー400mW、走査速度20μm/sec、レーザービーム径
10μm、リン酸水溶液濃度77wt%、液面高さ500μmの
条件で、トラック幅73を規定する箇所を加工後のギャッ
プバー64を第2図に示す装置に装着して、第6図(c)
に示すようにギャップバー64にトラック幅73を規定する
溝74以外の箇所を複数個加工する。次いで、第6図
(d)に示すように、加工した溝74内にガラス75を埋め
込み、所定の寸法まで研磨する。最後に、これを所定の
幅に切り出して第6図(e)に示すようなVTRヘッド用
コア76を得た。かくして得られた磁気ヘッド用コア76
は、クラックや溶融物の付着がない高精度のトラックが
形成され、信頼性の高いものであった。
(iii)フェライトとセンダストよりなるMIG型磁気ヘッ
ド用コアの作製 第7図(a)〜(h)はそれぞれフェライトとセンダス
トよりなる複合型のVTR磁気ヘッド用のコアの本発明に
よる製造工程の一例を示す斜視図である。
まず第7図(a)に示すように、フェライト棒材81aと
コイル巻線孔に対応する溝82を有するフェライト棒材81
bのギャップ対向面83に、それぞれ5μmの厚さのセン
ダスト膜84を第7図(b)に示すように形成し、さらに
その上に磁気ギャップとなるSiO2等の非磁性材料85を所
定の磁気ギャップ長と等しい厚さで第7図(c)に示す
ように形成した後、これをつき合わせガラス溶着により
接合して、第7図(d)に示すような磁気ギャップ85を
有するギャップバー91を形成する。次に、レーザーパワ
ー400mW、走査速度20μm/sec、レーザービーム径2.5μ
m、CCl460Torrの雰囲気の条件下で、準備したギャップ
バー91を第1図に示す装置に装着して、第7図(e)に
示すようにギャップバー91にトラク幅92を規定する溝93
を複数個加工する。次に、レーザーパワー500mW,走査速
度30μm/sec、レーザービーム径4μm、水酸化カリウ
ム水溶液濃度30wt%、液面高さ500μmの条件で、トラ
ック幅92を規定する箇所を加工後のギャップバー91を第
2図に示す装置に装着して、第7図(f)に示すようト
ラック幅92を規定する箇所以外の箇所を加工した溝86内
にガラス88を第7図(g)に示すように埋め込み、所定
の寸法まで研磨する。最後に、これを所定の幅に切り出
して第7図(h)に示すような複合型VTRヘッド用コア8
8を得た。かくして得られた磁気ヘッド用コア88は、ク
ラックや溶融物の付着がない高精度のトラックが形成さ
れ、信頼性の高いものであった。
なお、本発明はVTRヘッド用コアの製造方法に何等限定
されるもではなく、RDD,FDD等各種磁気ヘッド用コアに
も好適に使用されるものである。また、本発明はトラッ
ク加工に限定されるもではなく、コイル巻線孔加工やRD
D磁気ヘッド用コアの浮上面加工等、フェライト材料や
センダスト材料、さらにフェライトとセンダストの複合
材料の各種加工にも好適に利用されるものである。
(発明の効果) 以上述べてきたように、本発明の製造法によれば、トラ
ック幅を規定する箇所をハロゲンあるいはハロゲン化物
を含む雰囲気中でレーザー誘起エッチングにより加工す
るとともに、トラック幅を規定する以外の箇所を所定条
件のアルカリ金属水酸化物の水溶液中またはリン酸水溶
液中でレーザー誘起エッチングにより加工しているた
め、ギャップバーに対して溶融凝固物や溶融飛散物の付
着がなく、熱による変質や加工歪それに伴うクラックが
なく、幅の狭い高精度のトラックを高速度で形成できる
ため、信頼性の高い磁気ヘッド用コアを短時間で製造す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図および第2図はそれぞれこの発明を実施する装置
の一例を示す概念図、 第3図はアルカリ金属水酸化物の水溶液により磁気ヘッ
ド用コアの加工深さが10μm以上、寸法精度±2μm以
下のトラック加工を行うための条件範囲を示したグラ
フ、 第4図はリン酸水溶液により磁気ヘッド用コアの加工深
さが10μm以上、寸法精度±2μm以下のトラック加工
を行うための条件範囲を示したグラフ、 第5図(a)〜(c)はそれぞれ本発明の製造方法の製
造工程の一例を示す斜視図、 第6図(a)〜(e)はそれぞれこの発明の第2発明を
VTR磁気ヘッド用コアの製造に適用した場合の加工手順
を示す斜視図、 第7図(a)〜(h)はそれぞれこの発明の第1発明を
フェライトとセンダストよりなる複合型のVTR磁気ヘッ
ド用コアの製造に適用した場合の加工手順を示す斜視図
である。 51a,51b……フェライト棒 52……溝 53……ギャップバー 54−1,54−2……ギャップ

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】磁気ヘッドコアをレーザー加工で形成する
    製造方法において、トラック幅を規定する箇所を、ハロ
    ゲンあるいはハロゲン化物を含む雰囲気中でレーザー誘
    起エッチングにより加工し、トラック幅を規定する以外
    の箇所を、濃度5〜55wt%のアルカリ金属水酸化物の水
    溶液中で、50〜1300mWのパワーPを有する20μm以下の
    径のレーザービームを、走査速度Vが2〜150μm/secの
    範囲でV≦0.34P+13の関係式とV≦−0.17P+217の関
    係式を同時に成り立たせる走査速度で照射し、レーザー
    誘起エッチングにより加工することを特徴とする磁気ヘ
    ッド用コアの製造方法。
  2. 【請求項2】磁気ヘッドコアをレーザー加工で形成する
    製造方法において、トラック幅を規定する箇所を、ハロ
    ゲンあるいはハロゲン化物を含む雰囲気中でレーザー誘
    起エッチングにより加工し、トラック幅を規定する以外
    の箇所を、濃度10〜90wt%のリン酸水溶液中で、50〜19
    00mWのパワーPを有する50μm以下の径のレーザービー
    ムを、走査速度Vが2〜200μm/secの範囲でV≦0.31P
    +34の関係式とV≦−0.14P+271の関係式を同時に成り
    立たせる走査速度で照射し、レーザー誘起エッチングに
    より加工することを特徴とする磁気ヘッド用コアの製造
    方法。
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