JPH0743130B2 - ガス遮断装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、異常時にガス通路を自動的に遮断し、都市ガ
ス・プロパンガス等による爆発事故・中毒事故等の発生
を未然に防止するガス遮断装置に関する。

従来の技術 従来のこの種のガス遮断装置は、第４図に示すように、
１のガス供給ライン中にガスメータ２と、このガスメー
タの通過ガス量に応じて信号を発する流量測定手段３
と、ガスの供給を止める遮断手段４が設けられ、前記流
量測定手段３の流量信号で使用状態を判断し予め設定さ
れ記憶しているガスの継続使用許容時間条件を逸脱する
と異常と判断して前記遮断手段４に遮断信号を発する制
御部５を備えていた。

この従来の制御部の構成例を第５図に示す。第４図と同
一番号のものは同じ機能を有する構成要素である。５の
制御部は、前記流量測定手段からの信号で前記ガスメー
タ通過ガス量の単位時間当りの発熱量を演算する演算部
６と、前記発熱量の変化から使用しているガス器具が予
め複数に分割して得たガス発熱量区分のいずれに属する
かを判定する区分判定部７と、前記区分判定部により判
定した区分に対応して予め継続して使用可能な許容時間
を設定する初期継続使用許容時間設定部８と、前記演算
部で演算され区分判定部にて判定された内の使用中の最
大発熱量区分のガスが流れ始めてからの継続使用時間と
継続使用許容時間とを比較し、前者が後者を上回ったと
きに遮断信号を出力する継続使用時間判定部９とから構
成されている。前記遮断信号を受けて遮断手段４は、ガ
ス通路を閉止するのである。

ここで、継続使用時間は、所定の発熱量範囲のガス器具
が連続して使われる時間の統計データから各範囲毎に設
定された連続して使用出来る時間で、区分判定部からの
データが前記設定時間を超過したとき遮断手段に作動信
号を送り、ガス器具の消し忘れ等のときも安全を確保す
るための判定条件である。

区分判定部７では、例えば第１表のように、区分１から
区分ｎまでガス流量区分を複数に分割している。（Qu;k
cal/h） すなわち、ガス流量パルスを発熱量に変換してそれぞれ
の流量区分を指定しているのである。なぜならば、ガス
の種類によって同一流量パルス当たりの発熱量が異なる
ので、ガス事故の爆発限界などを評価項目とする場合に
は、発熱量で考慮した方が扱い易いのである。そして、
流量測定手段３からの単位時間当たりの流量パルスが所
定値以上（例えば、３％以上）変化したとき、設置され
たガス器具の内のいずれかが燃焼開始したり、あるい
は、燃焼停止したと判断して、上表に照らし合わせて所
定の区分に登録するのである。

ところで、初期継続使用許容時間設定部８では、例えば
第２表に示すように、各燃焼量区分に対して許容時間を
決定している。

第６図は、第２表の内容をグラフ化したもので、横軸は
発熱量区分を、縦軸は継続使用許容時間を表している。
L1は一連の特性値を指している。

第７図で、演算部６でガス器具個別のガス使用量（ここ
では、発熱量に換算している）を求める例を示す。横軸
は経過時間ｔ、縦軸は発熱量Quを表し、t0、t1、t2・・
・t9は単位時間毎のサンプリングタイミングを示す。t1
までは、何もガス器具が使用されておらず発熱量は零で
ある。t2時点で発熱量が増加したことを検知し、その増
加量がQAとなっていることを認識するとともに、区分判
定部にQAの情報を伝達する。区分判定部では、QAがどの
発熱量範囲に属するのかを判定するとともに、継続使用
時間の計測を開始する。この後、続いて計測を行い、t3
時点でさらに発熱量が増加し、その値がQBであることを
検知するのである。この時点でも同様にして、区分判定
部では、QBがどの発熱量範囲に属するのかを判定すると
共に、QAがQBよりも大きいことを判定する。そこで、継
続使用時間の計測はQAに関して続行するのである。すな
わち、区分判定部にて判定された内の使用中の最大発熱
量区分のガスが流れ始めてからの継続使用時間を計測し
ていく。次に、t4では燃焼量がQCだけ増加したことを検
知し、判定を実施する。ここでは、QC＞QAなので、継続
使用時間の計測は上述で示した判定のように、以降QCに
関して進められる。次に、t7では、逆にQBだけ発熱量が
減少したことを検知するが、この時点でも最大発熱量は
QCであると認識しているので、引き続いてQCに関しては
時間計測を続行する。各タイミングにおいては、前述し
たように、初期設定されている各発熱量区分毎の継続使
用許容時間と、計測中の時間を比較し異常を監視してい
るのである。

この例では、各サンプリングタイミング毎に発熱量の増
加・減少を判断しているが、２回のサンプリング時間で
上記の判断をおこなわせる方法も取られている。すなわ
ち、１回目の変化で発熱量に変動があったことを認識
し、２回目で変動が無い場合に前記変化分を増加、ある
いは、減少量と判断するものである。但し、第７図の発
熱量変動をそのまま捉えるには、サンプリングタイミン
グを早くする必要がある。

発明が解決しようとする問題点 しかしながら、上記のような構成では、ガス配管中に設
置されたガスメータの容量によって継続使用許容時間条
件が初期だけで一律に決ってしまうので、メータを設置
した家庭などの特殊な条件が織り込まれないという問題
点を有していた。

本発明はかかる従来の問題を解消するもので、各家庭の
使用パターンを計測し、より安全なガス遮断装置を提供
することを目的とする。

問題点を解決するための手段 上記問題点を解決するために本発明のガス遮断装置は、
ガス供給ライン中に設けられたガスメーターの通過ガス
量に応じて信号を発する流量測定手段と、前記流量測定
手段からの信号で前記ガスメータ通過ガス量の単位時間
当りの発熱量を演算する演算部、前記発熱量の変化から
使用しているガス器具が予め複数に分割して得たガス発
熱量区分のいずれに属するかを判定する区分判定部、前
記区分判定部により判定した区分に対応して予め継続し
て使用可能な許容時間を設定する初期継続使用許容時間
設定部、前記演算部で演算され区分判定部にて判定され
た内の使用中の最大発熱量区分のガスが流れ始めてから
の継続使用時間と継続使用許容時間とを比較し、前者が
後者を上回ったときに遮断信号を出力する継続使用時間
判定部、所定期間をカウントするタイマー、前記タイマ
ーを起動する起動信号印加手段、前記所定期間内での各
使用状態の最大発熱量区分の最大継続使用時間を記憶す
る使用状態記憶部、前記タイマーのカウント終了時に前
記使用状態記憶部に記憶された各発熱量区分の各最大継
続使用時間あるいは前記各最大継続使用時間に所定係数
を乗じた値と各発熱量区分毎に初期継続使用許容時間と
を比較し各々小さい方を選択して新たに前記継続使用時
間判定部での許容時間として変更する継続使用許容時間
変更部よりなる制御部と、前記制御部からの遮断信号に
応じてガス通路を遮断する遮断手段という構成を備えた
ものである。

作用 本発明は上記した構成によって、タイマーに起動信号が
印加されると所定期間のカウントが開始れ、前記カウン
ト期間中、使用状態記憶部の作動により、各使用状態の
最大発熱量区分の継続使用時間が記憶され、その最大値
が更新されていく。そして、タイマー終了と同時に、最
終データが継続使用許容時間変更部で初期値と比較・判
断され、所定の値が選択されて継続使用時間判定部に送
られ新しく条件が設定されるのである。以降、この判定
部では前述の新しい設定条件と区分判定部からの信号を
比較して、条件を逸脱した時には異常と判断して遮断手
段を作動させるのである。

実施例 以下、本発明の実施例を添付図面にもとづいて説明す
る。

第１図において、第５図と同一番号のものは同一機能を
有する構成要素である。制御部10は、従来と同様の流量
測定手段３からの流量信号を入力し単位時間当りの発熱
量を演算する演算部６と、前記発熱量の変化から使用し
ているガス器具が予め複数に分割して得たガス発熱量区
分のいずれに属するかを判定する区分判定部７と、前記
区分判定部により判定した区分に対応して予め継続して
使用可能な許容時間を設定する初期継続使用許容時間設
定部８と、前記演算部で演算され区分判定部にて判定さ
れた内の使用中の最大発熱量のガスが流れ始めてからの
継続使用時間と継続使用許容時間とを比較し、前者が後
者を上回ったときに遮断信号を出力する継続使用時間判
定部９と、所定時間をカウントするタイマー11と、前記
タイマーにカウント開始の起動信号を送る起動信号印加
手段12と、前記タイマーの作動開始とともに、各使用状
態の最大発熱量区分の最大継続使用時間を記憶する使用
状態記憶部13と、前記タイマー11のカウント終了時に前
記使用状態記憶部13に記憶された各発熱量区分の各最大
継続使用時間あるいは前記各最大継続使用時間に所定係
数を乗じた値と各発熱量区分毎に初期継続使用許容時間
とを比較し各々小さい方を選択して新たに前記継続使用
時間判定部９での許容時間として変更する継続使用許容
時間変更部14とから構成されている。

上記構成において、起動信号印加手段（例えば、押し釦
スイッチ、外部からの信号伝送手段など）が作動すると
タイマーに起動信号を送り、タイマーは前記信号を受け
て所定期間のカウントを開始する。前記所定時間は、あ
らかじめ設定されているものでも良いし任意に設定でき
るものでも良いが、例えば、１週間、１カ月というよう
なスパンである。このタイマー作動と同時に、使用状態
記憶部では各使用状態の最大発熱量区分の最大継続使用
時間を記憶していくのである。そして、カウント終了時
には、前記で記憶された各区分での使用時間の最大値を
継続使用許容時間変更部にデータとして送出する。前記
変更部では、データを各発熱量区分毎に初期許容時間条
件と比較し、小さい方を選択するのである。この結果
は、新しく継続使用許容時間条件として継続使用時間判
定部に再設定され、以降、この値に基づいて区分判定部
からの信号が異常か、否か判定される。

ここでは、実測した各発熱量区分での使用時間の最大値
をそのままデータとして比較検討に使用したが、所定の
係数を乗じて比較データとして用いてもよい。すなわ
ち、使い勝手上の安全率を見込んで再設定値を選択して
もよい。

ところで、前述のタイマーカウントが終了するまでは、
継続使用時間判定部では現在のガス使用状態をあらかじ
め設定されている初期条件と比較し異常状態を判断して
いるが、タイマー動作中のガス使用パターン実測結果か
ら新たに条件が設定しなおされた後は、再設定された値
と比較し異常状態を判断している。ここで、異常と判断
されたときには遮断手段が作動しガス通路が閉止される
のである。

第２図に使用時間の実測結果の例L2を示す。各軸、及
び、L1は第６図と同様である。同図では、L2の方がL1よ
りも時間が少なく、上述の変更部の動作では再設定値と
してL2が選択される。

上述した制御部は、マイクロコンピュータなどのプログ
ラム動作による演算や判断機能を用いれば容易に実現出
来るものである。以下、第３図で概略のプログラムフロ
ーを示す。

プログラムがスタートすると、Ａで初期許容時間の設定
を行った後、Ｂで流量パルスから発熱量の演算を行い、
続いて、Ｃで該当する発熱量への区分登録を行うと共に
最大発熱量区分の使用時間の計測を実施する。そして、
Ｄにて所定時間のタイマーがカウント中か否かを判断
し、カウント中のときはＥでガス使用状態、すなわち、
使用中のガス器具の内発熱量の最大のものが継続してど
れ程の時間使用されたかを記憶していき、その最大値の
更新を行う。その後、タイマーが作動していないときと
同様に、Ｆにて設定されている継続使容許容時間と区分
判定部からの信号を比較する。この比較の結果、異常、
すなわち、許容時間をオーバーしているときにはＧで分
岐し、Ｈの遮断信号出力に飛び、さらにＱでタイマーカ
ウントをリセットする。すなわち、ガス使用状態が初期
設定時間を越えた場合には異常故にデータの記憶を継続
しても意味がなくなるので、タイマーを停止する。異常
でないときには、Ｉで変更手段が作動したか否かをみ
て、作動済のときにはh1、すなわち、Ａの発熱量演算に
戻るのである。作動済でないときには、Ｊでタイマーカ
ウント終了か否かを判断し、終了のときには、Ｋで使用
状態と初期設定条件を比較し所定の値を選択して、Ｌで
許容時間を再設定するのである。以降、Ｆでは再設定値
がガス継続使用許容時間条件として扱われ、検出値と比
較対照される。また、Ｊにてタイマーカウント終了でな
いときにはＭに分岐し、現在カウント中であるか否かを
判断する。カウント中の場合にはＮでそのままカウント
を続行し、カウント中でない場合にはＯにて起動信号の
有無を判定する。起動信号が入力されたときには、Ｐで
タイマーカウントを開始させる。まだ、信号が無い場合
には再びＡにもどるのである。

上記のプログラムフローを実行することによって、本発
明のガス遮断装置の制御部の機能を実現できるのであ
る。

発明の効果 以上のように本発明のガス遮断装置によれば次の効果が
得られる。

（１）ガス使用状態を常に監視し、設定された継続使用
許容時間条件との比較を行うことにより、消し忘れによ
るガス器具の異常な連続使用を検出することができ、条
件を逸脱した場合、すなわち、異常と判断された場合に
は遮断手段が作動しガス供給を停止するので、ガス爆発
やガス中毒などの危険状態を未然に防止することができ
るという効果がある。

（２）起動信号により所定期間、ガスメータの設置され
たガス供給系の実際の使用パターンを観測し、ガス器具
の実継続使用時間の最大値（所定の係数を乗じたもので
も良い）と、初期条件の内の小さい方を最終結果として
再設定するので、単にガスメータの容量（号数）によっ
て一律に決定されていた条件だけに比べて、個別の特殊
条件も加味されて判断され、実使用に支障を来すこと無
く、ガス事故に対する安全度を一段と増すことができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例におけるガス遮断装置のブロ
ック図、第２図は同装置による継続使用時間の実測結果
を示す発熱量区分図、第３図は同装置の制御部の概略プ
ログラムフローを示す図、第４図は従来のガス遮断装置
の構成図、第５図は従来の制御部のブロック図、第６図
は継続使用許容時間の初期条件を示す発熱量区分図、第
７図はガス器具の実使用パターンを示す図である。 ２……ガスメータ、３……流量測定手段、４……遮断手
段、６……演算部、７……区分判定部、８……初期継続
使用許容時間設定部、９……継続使用時間判定部、10…
…制御部、11……タイマー、12……起動信号印加手段、
13……使用状態記憶部、14……継続使用許容時間変更
部。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭53−49339（ＪＰ，Ａ) 特開 昭56−97747（ＪＰ，Ａ) 実開 昭53−166133（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭59−181957（ＪＰ，Ｕ)

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ガス供給ライン中に設けられたガスメータ
   の通過ガス量に応じて信号を発する流量測定手段と、前
   記流量測定手段からの信号で前記ガスメータ通過ガス量
   の単位時間当りの発熱量を演算する演算部、前記発熱量
   の変化から使用しているガス器具が予め複数に分割して
   得たガス発熱量区分のいずれに属するかを判定する区分
   判定部、前記区分判定部により判定した区分に対応して
   予め継続して使用可能な許容時間を設定する初期継続使
   用許容時間設定部、前記演算部で演算され区分判定部に
   て判定された内の使用中の最大発熱量区分のガスが流れ
   始めてからの継続使用時間と継続使用許容時間とを比較
   し、前者が後者を上回ったときに遮断信号を出力する継
   続使用時間判定部、所定時間をカウントするタイマー、
   前記タイマーを起動する起動信号印加手段、前記所定時
   間内での各使用状態の最大発熱量区分の最大継続使用時
   間を記憶する使用状態記憶部、前記タイマーのカウント
   終了時に前記使用状態記憶部に記憶された各発熱量区分
   の各最大継続使用時間あるいは前記各最大継続使用時間
   に所定係数を乗じた値と各発熱量区分毎に初期継続使用
   許容時間とを比較し各々小さい方を選択して新たに前記
   継続使用時間判定部での許容時間として変更する継続使
   用許容時間変更部よりなる制御部と、前記制御部からの
   遮断信号に応じてガス通路を遮断する遮断手段とを備え
   たガス遮断装置。