JP2723568B2 - ガス遮断装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、異常時にガス通路を自動的に遮断し、都市
ガス・プロパンガス等による爆発事故・中毒事故等の発
生を未然に防止するガス遮断装置に関する。

従来の技術 従来のこの種のガス遮断装置は、第６図に示すよう
に、ガス供給ライン中に設けられたガスメータの通過ガ
ス量に応じて信号を発する流量測定手段１と、前記流量
測定手段から送られる流量信号でガスの使用状態を検出
する使用状態検出部２と、ガス適正使用条件を予め初期
値として記憶する初期条件記憶部３と、前記使用状態検
出部の信号が前記ガス適正使用条件を逸脱すると異常と
判断して遮断信号を出力する適正使用条件判定部４と、
所定期間をカウントするタイマー５と、前記タイマーを
起動する起動信号印加手段６と、前記使用状態検出部か
らの信号で前記タイマー作動中のガス使用状態を記憶す
ると共に前記記憶された使用状態に基づいて使用条件を
演算する使用状態記憶演算部７と、前記使用状態記憶演
算部の出力と前記初期条件とを比較し所定値を新しい適
正使用条件として設定変更する適正使用条件設定変更部
８と、前記適正使用条件判定部からの遮断信号に応じて
ガス通路を遮断する遮断手段９から構成されていた。

ここで適正使用条件とは、各ガスメータの容量や、ガ
スユーザーの保有ガス器具等に応じて設定された合計流
量、個別最大流量、安定継続使用時間等の項目を示す。
合計流量とは、所定計測期間内にガスメータを通過する
ガスの合計流量で、ガスホース抜けやガス器具の燃焼立
消え時などに初期設定された所定値を現在の合計流量が
越えた場合には異常と判断して、遮断装置を作動させる
使用条件である。個別最大流量とは、所定計測期間毎に
ガス流量変化を検出して現在何種類のガス器具が使用さ
れており、それぞれがどれ程のガス消費量なのかを識別
し、その中の最大ガス消費量が設定値を越えた時、遮断
装置に閉止信号を出力するもので、ガスホースのヒビ割
れやガス栓半開での燃焼立消え等のガス洩れに対処す
る。また、安全継続使用時間は、ある燃焼範囲のガス器
具が連続して使われる時間の統計データから各範囲毎に
設定された連続して使用出来る時間で、使用状態検出部
からのデータが前記設定時間を経過したとき遮断装置に
作動信号を送り、ガス器具の消し忘れ等のときも安全を
確保するものである。

上記した構成によって、タイマーに起動信号が印加さ
れると所定時間のカウントが開始され、、と同時に使用
状態記憶演算部の作動により前記時間中のガス使用パタ
ーンが計測される。すなわち、この時間中に、前述した
合計流量・個別最大流量・連続使用時間等の実測値が更
新されていき、タイマー終了と同時に最終データが使用
状態記憶演算部にて所定値倍されガス適正使用条件設定
変更部に送られるのである。このガス適正使用条件設定
変更部では、初期条件と前記記憶演算部のデータを比較
し所定のガス適正使用条件を新たに設定するのである。
以降、適正使用条件判定部では前述の新しい設定条件と
使用状態検出部からの信号を比較して、条件を逸脱した
場合には異常と判断して遮断手段を作動させるのであ
る。（例えば、特開昭63−101617号公報） 発明が解決しようとする課題 しかしながら上記のような構成では、タイマーが作動
していた期間内での各ガスメーター設置ユーザーのガス
消費パターンが把握されて個別対応の適正使用条件が設
定されるが、タイムアウト以降にガス器具が買い換えら
れたり、使用されなくなった場合には前記条件が必ずし
も適正であるとは限らないという課題を有していた。

本発明はかかる従来の課題を解消するもので、前記タ
イマーが作動終了後も常にガス使用状態を監視し、メー
ター設置家庭のガス消費量変化を捕らえ、自動的に最適
な適正使用条件に修正することにより、一層安全なガス
遮断装置を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段 上記課題を解決するために本発明のガス遮断装置は、
ガス供給ライン中に設けられたガスメータの通過ガス量
に応じて信号を発する流量測定手段と、前記流量測定手
段から送られる流量信号でガスの使用状態を検出する使
用状態検出部と、ガス適正使用条件を予め初期値として
記憶する初期条件記憶部と、前記使用状態検出部の信号
が前記ガス適正使用条件を逸脱すると異常と判断して遮
断信号を出力する適正使用条件判定部と、第１の所定期
間をカウントする第１のタイマーと、前記第１のタイマ
ーを起動する起動信号印加手段と、前記使用状態検出部
からの信号で前記第１のタイマー作動中のガス使用状態
を記憶すると共に前記記憶された使用状態に基づいて使
用条件を演算する使用状態記憶演算部と、前記使用状態
記憶演算部の出力と前記初期条件とを比較し所定値を新
しい適正使用条件として設定変更する適正使用条件設定
変更部と、前記適正使用条件判定部からの遮断信号に応
じてガス通路を遮断する遮断手段と、前記適正使用条件
設定変更部にて適正使用条件か変更された後、前記変更
された適正使用条件に所定値を乗じ使用状態の監視域と
する監視域演算記憶部と、第２の所定期間のカウントを
開始する第２のタイマーと、前記監視域内に前記使用状
態検出部の信号が入ったか否かを判定し信号が入る毎に
前記第２のタイマーをリセットしてカウントを再スター
トさせる監視域データ出現観測部とを備え、前記第２の
タイマーからカウント終了の信号が出力されると前記第
１のタイマーを起動しガス使用状態を再び記憶演算させ
るべく起動信号印加手段を作動させ、前記適正使用条件
設定変更部にて適正使用条件を再設定すると共に、この
第１のタイマー作動時の適正使用条件に前記第２のタイ
マーカウント終了時の条件を適用するという構成を備え
たものである。

作用 本発明は上記した構成によって、第１のタイマーが作
動する期間で実際のガス消費パターンを検出し、前記デ
ータに基づいてメーター設置家庭の適正使用条件が設定
されると同時に、前記タイムアウト後も監視域内に入る
ガス使用状態を常時監視し、前記監視域内ガス流量デー
タが発生するたびに第２のタイマーのカウントをリセッ
トして再スタートさせる。そして、第２の所定期間、監
視域内のデータが観測されなかったとき、第１のタイマ
ーを起動し再びガス使用状態を観測させると共に、前記
第２のタイマーカウント終了時の適正使用条件を適用し
て、前記設定変更部にて適正使用条件を再設定させるの
である。

実施例 以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて説明す
る。

第１図において、第６図と同一番号のものは同一機能
を有する構成要素である。但し、10の第１のタイマーは
５のタイマーと同じ機能を有する。さらに、本ガス遮断
装置は、使用状態記憶演算部７の出力と初期条件とを比
較し所定値を新しい適正使用条件として設定変更する適
正使用条件設定変更部12と、前記適正使用条件設定変更
部12にて適正使用条件が変更された後、前記変更された
適正使用条件に所定値を乗じ使用状態の監視域とする監
視域演算記憶部13と、第２の所定期間のカウントを開始
する第２のタイマー14と、前記監視域内に前記使用状態
検出部の信号が入ったか否かを判定し信号が入る毎に前
記第２のタイマーをリセットしてカウントを再スタート
させる監視域データ出現観測部15と、前記第１のタイマ
ーの起動信号印加手段11とから構成されている。上記構
成において、第２のタイマー14からカウント終了の信号
が出力されると前記第１のタイマーを起動しガス使用状
態を再び記憶演算させるべく起動信号印加手段11を作動
させ、この第１のタイマー作動時の適正使用条件に前記
第２のタイマーカウント終了時の条件をそのまま適用
し、前記適正使用条件設定変更部12にて適正使用条件、
すなわち、遮断条件を再設定させるのである。

この様子を第２図で説明する。

第２図で横軸は経過時間、縦軸は適正使用条件、すな
わち、各遮断条件毎のレベルを示している。ｘ印は観測
されたデータ、すなわち、使用状態を表している。ま
た、一点鎖線は初期条件M1（例えば、最大制限値）であ
る。横軸の時刻t1からt2までの時間T1は、第１のタイマ
ーの計時期間を示しており、前記期間内で観測されたガ
ス使用状態の最大データp1に安全係数ｋ（例えば、ｋ＝
1,5）を乗じて適正使用条件M2を求めている。すなわ
ち、T1の期間での適正使用条件を初期条件と同じM1であ
り、時刻t2においてM1と演算結果のM2とを比較して、小
さい方のM2を新たに適正使用条件として設定している。
と同時に、データ監視域を求めるために、下限レベルL2
を演算している。すなわち、L2からM2までが監視域とな
るのである。その後、ガス使用状態がM2を越えると、適
正使用条件判定部は異常と判断して適正手段を作用すべ
く遮断信号を出力する。

時刻t2からタイマー２はカウントを開始するが、時刻
t3で前記監視域内のデータp2が発生しているので、カウ
ントはリセットされる。Ｔ2Aは、前記リセットされるま
での計時期間である。続いて前記タイマー２は、時刻t3
からカウントを再開している。しかし、前記同様、時刻
t4にてレベルL2を越えたデータp3が発生しているので、
カウントはリセットされる。Ｔ2Bは、t3からt4までの計
時期間である。

ところが、時刻t4から時刻t5までの間は、監視域内に
データが発生しておらず、第２のタイマーは第２の所定
期間T2のカウントを終了している。そこで、時刻t5から
第１のタイマーが起動し、前述のt1からt2の期間と同様
にガス使用状態を観測し、時刻t5から時刻t6のT1期間内
での最大値p4に安全係数ｋを乗じて新しい適正使用状態
M3を求めている。L3は新しい監視域の下限レベルであ
る。ところで、この時刻t5から時刻t6のT1期間内での遮
断条件には、第２のタイマーがカウントオーバーした時
の値、すなわち、M2をそのままスライドさせて適用して
いる。

時刻t6以降は、第２のタイマーが起動しカウントを再
開するが、それぞれの時刻t7,t8,t9にて監視域内のデー
タp5,p6,p7が発生しているので、各時刻にてカウントリ
セットされている。前記リセットされるまでのカウント
期間は、それぞれ、Ｔ2C,T2D,T2Eである。

上述した内容は、マイクロコンピュータなどのプログ
ラム動作による演算や判断機能を用いれば容易に実現出
来るものである。以下、第3,4,5図で概略のプログラム
フローを示す。

第３図では、プログラムがスタートすると、16でガス
適正使用条件として初期値を設定し、続いて17で流量測
定を行い、18で前述したようなガスの使用状態を検出す
る。そして19にて第１の所定期間を計測する第１のタイ
マーがカウント中か否かを判断し、カウント中のときは
20でガスの使用状態を記憶していく。すなわち、前記各
使用条件に該当するガスの使用状態の最大値を記憶更新
していくのである。20を抜けた後、及び、19でカウント
中でない場合には、21でガス適正使用条件それぞれの判
定を行う。22では、21の判定の結果が異常のとき23に分
岐し、遮断信号を出力するのである。異常でないときに
は、24で使用状態記憶演算部出力により適正使用条件設
定変更部が作動したか否かをみて、作動済のときには
へ、また、作動済みでないときにはへ分岐する。

第４図での分岐内容を説明する。25で第１のタイマ
ーカウント終了か否かを判断し、終了のときには26にて
タイマーのカウントを停止し、27で使用状態記憶演算部
出力と現在適用されている適正使用条件との比較をし、
より小さい方を選択して28で適正使用条件の設定変更を
行う。29では、前記変更された適正使用条件からデータ
監視域を演算し、記憶する。そして、30にて第２のタイ
マーのカウントを開始しに分岐する。また、25でタイ
マーカウント終了でないときには31に分岐し、第１のタ
イマーが現在カウント中であるか否かを判断する。カウ
ント中の場合には32でそのままカウントを続行し、カウ
ント中でない場合には33にて起動信号の有無を判定す
る。起動信号が入力されたときには、34で第１のタイマ
ーのカウントを開始させる。まだ、起動信号が無い場
合、及び、30,32,34をぬけた後は、に戻り17の流量測
定からプログラム処理を続行する。

第５図で、の分岐内容を説明する。35で第２のタイ
マーがカウント終了か否かを判断し、終了のときには36
で第２のタイマーのカウントを停止し、37で24の判定内
容が使用状態記憶演算部出力により適正使用条件設定変
更部が作動していないとなるように変更し、続いて38で
第１のタイマーを起動させ計時をスタートさせる。この
とき適正使用条件は変更せず、例えば、M2のままとす
る。また、35でタイマーカウント終了でないときには39
に分岐し、前記データ監視域にデータが発生したか否か
を判定し、発生した場合には40に分岐して第２のタイマ
ーのカウントをリセットスタートさせる。39でデータが
発生していない場合には、41にて第２のタイマーのカウ
ントを続行する。38,40,41を抜けた後は、に戻り17の
流量測定からプログラム処理を続行する。

このプログラムフローを実行することによって、本発
明のガス遮断装置の機能を実現できるのである。

発明の効果 以上のように本発明のガス遮断装置によれば次の効果
が得られる。

ガス使用状態を常に監視し、設定された適正使用条件
との比較を行うことにより、ガス洩れや燃焼立消えを検
出することができ、条件を逸脱した場合、すなわち、異
常と判断された場合には遮断手段が作動しガス供給を停
止するので、ガス爆発やガス中毒などの危険状態を未然
に防止することができるという効果がある。また、起動
信号により第１のタイマーの所定時間、ガスメータの設
置されたガス供給系の実際の使用パターンを観測し、そ
の最大値と初期値とを比較して所定の値を適正使用条件
として再設定するので、単にガスメータの容量（号数）
によって一律に決定されていた条件だけに比べて、個別
の特殊条件も加味されて判断されるので、ガス事故に対
する安全度を一段と増すことができる。さらに、第１の
タイマーのタイムアウト以降にもデータ監視域を設定し
て常時データを監視すると共に、第２のタイマーのカウ
ントを開始し、監視域内にデータの入らない期間が前記
第２のタイマーのカウント時間を越えた場合には、改め
てガス供給系の実際の使用パターンが観測され、適正使
用条件として再設定される。すなわち、ガス消費量が減
少した場合や、燃焼量が小さくなった器具への買い換え
などにも、自動的に対処することが出来、より安全側に
ガス遮断レベルの設定がされる。さらに、前記再設定の
ための使用状態観測期間には、第２のタイマーがカウン
ト終了したときの条件を適用することにより、遮断条件
として一層安全サイドでのデータ観測が可能となるとい
う効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例におけるガス遮断装置の機能
ブロック図、第２図は同装置の適正使用条件の経時変化
を示す図、第３図は本発明の実施例における概略プログ
ラムフローを示す図、第４図は第３図のプログラムフロ
ーの続きを示す図、第５図は第３図のプログラムフロー
の続きを示す図、第６図は従来のガス遮断装置の機能ブ
ロック図である。 １……流量測定手段、２……使用状態検出部、３……初
期条件記憶部、４……適正使用条件判定部、７……使用
状態記憶演算部、９……遮断手段、10……第１のタイマ
ー、11……起動信号印加手段、12……適正使用条件設定
変更部、13……監視域演算記憶部、14……第２のタイマ
ー、15……監視域データ出現観測部。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 堀井 博 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (72)発明者 加藤 真藏 東京都町田市忠生２丁目16番４号 高圧 ガス保安協会液化石油ガス研究所内 (72)発明者 難波 三男 東京都町田市忠生２丁目16番４号 高圧 ガス保安協会液化石油ガス研究所内 (72)発明者 植松 烈平 東京都町田市忠生２丁目16番４号 高圧 ガス保安協会液化石油ガス研究所内 (56)参考文献 特開 昭63−101617（ＪＰ，Ａ) 特開 平１−236315（ＪＰ，Ａ) 特公 平６−90651（ＪＰ，Ｂ２) 特公 平７−31553（ＪＰ，Ｂ２)

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ガス供給ライン中に設けられたガスメータ
   の通過ガス量に応じて信号を発する流量測定手段と、前
   記流量測定手段から送られる流量信号でガスの使用状態
   を検出する使用状態検出部と、ガス適正使用条件を予め
   初期値として記憶する初期条件記憶部と、前記使用状態
   検出部の信号が前記ガス適正使用条件を逸脱すると異常
   と判断して遮断信号を出力する適正使用条件判定部と、
   第１の所定期間をカウントする第１のタイマーと、前記
   第１のタイマーを起動する起動信号印加手段と、前記使
   用状態検出部からの信号で前記第１のタイマー作動中の
   ガス使用状態を記憶すると共に前記記憶された使用状態
   に基づいて使用条件を演算する使用状態記憶演算部と、
   前記使用状態記憶演算部の出力と前記初期条件とを比較
   し所定値を新しい適正使用条件として設定変更する適正
   使用条件設定変更部と、前記適正使用条件判定部からの
   遮断信号に応じてガス通路を遮断する遮断手段と、前記
   適正使用条件設定変更部にて適正使用条件が変更された
   後、前記変更された適正使用条件に所定値を乗じ使用状
   態の監視域とする監視域演算記憶部と、第２の所定期間
   のカウントを開始する第２のタイマーと、前記監視域内
   に前記使用状態検出部の信号が入ったか否かを判定し信
   号が入る毎に前記第２のタイマーをリセットしてカウン
   トを再スタートさせる監視域データ出現観測部とを備
   え、前記第２のタイマーからカウント終了の信号が出力
   されると、前記第１のタイマーを起動しガス使用状態を
   再び記憶演算させるべく起動信号印加手段を作動させ、
   前記適正使用条件設定変更部にて適正使用条件を再設定
   すると共に、この第１のタイマー作動時の適正使用条件
   に前記第２のタイマーカウント終了時の条件を適用する
   ガス遮断装置。