JPH0743132B2 - ガス遮断装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、異常時にガス通路を自動的に遮断し、都市ガ
ス・プロパンガス等による爆発事故・中毒事故等の発生
を未然に防止するガス遮断装置に関する。

従来の技術 従来のこの種のガス遮断装置は、第４図に示すように、
１のガス供給ライン中にガスメータ２と、このガスメー
タの通過ガス量に応じて信号を発する流量測定手段３
と、ガスの供給を止める遮断手段４が設けられ、前記流
量測定手段３の流量信号で使用状態を判断しあらかじめ
設定され記憶しているガス適正使用条件を逸脱すると異
常と判断して前記遮断手段４に閉止信号を発する制御部
５を備えていた。

この従来の制御部の構成例を第５図に示す。第４図と同
一番号のものは同じ機能を有する構成要素である。５の
制御部は、前述の流量測定手段３からの流量信号を入力
しガスの使用状態を検出する使用状態検出部６と、あら
かじめガスメータの号数に応じて適正な使用条件を設定
する初期条件設定部７と、前記使用状態検出部の信号が
前記ガス適正使用条件を逸脱すると異常と判断して遮断
信号を出力する適正使用条件判定部８とから構成されて
いる。

ここで適正な使用条件とは、各ガスメータの容量に応じ
て設定された合計流量、個別最大流量、安全継続使用時
間等の各条件項目を示す。合計流量条件とは、所定計測
期間内にガスメータを通過する合計ガス流量が、ガスホ
ース抜けやガス器具の燃焼立消え時などに初期設定され
た所定値を越えた場合、遮断手段を作動させるものであ
る。個別最大流量条件とは、所定計測期間毎にガス流量
変化を検出して現在何種類のガス器具が使用されてお
り、それぞれがどれ程のガス消費量なのかを識別し、そ
の中の最大ガス消費量が所定の設定値を越えた時、遮断
手段に閉止信号を出力するもので、ガスホースのヒビ割
れやガス栓半開での燃焼立消え等のガス洩れに対処す
る。また、安全継続使用時間条件は、ある燃焼範囲のガ
ス器具が連続して使われる時間の統計データから各範囲
毎に設定された連続して使用出来る時間を指し、使用状
態検出部からのデータが前記設定時間を超過したとき遮
断手段に作動信号を送り、ガス器具の消し忘れ等のとき
も安全を確保するものである。

上述したように、使用状態検出部にて合計流量・個別最
大流量・継続使用時間を観測し、８の適正使用条件判定
部にて初期値と比較判定を実施することにより、ガス供
給系の異常を検出していた。

発明が解決しようとする問題点 しかしながら、上記のような構成では、ガス配管中に設
置されたガスメータの容量によって適正使用条件が初期
値だけで一律に決ってしまうので、メータを設置した家
庭などの特殊な条件が織り込まれないという問題点を有
していた。

本発明はかかる従来の問題を解消するもので、実際に各
家庭で使われるガスの流量パターンを所定期間計測し、
厳し目であるが実状に合った判定条件を再設定すること
により、より安全なガス遮断装置を提供することを目的
とする。

問題点を解決するための手段 上記問題点を解決するために本発明のガス遮断装置は、
ガス供給ライン中に設けられたガスメーターの通過ガス
量に応じて信号を発する流量測定手段と、前記流量測定
手段から送られる流量信号でガスの使用状態を検出する
使用状態検出部、ガス適正使用条件を予め初期値として
設定する初期条件設定部、前記使用状態検出部の信号が
前記ガス適正使用条件を逸脱すると異常と判断して遮断
信号を出力する適正使用条件判定部、前記流量測定手段
からの信号が所定値以上ある期間を積算するタイマー、
前記タイマーを起動する起動信号印加手段、前記タイマ
ーの合計積算期間が所定期間T1を超過した時点で前記タ
イマーの作動を停止する期間判定部、前記タイマー作動
中のガス使用状態の最大値を記憶更新する使用状態記憶
部、前記タイマー作動終了時に前記使用状態記憶部に記
憶されているガス使用状態の最大値あるいは最小値に所
定係数を乗じた値をすでに設定されている初期条件と比
較し値の小さい方を選んで新しく前記適正使用条件判定
部でのガス適正使用条件として変更する適正使用条件変
更部よりなる制御部と、前記制御部からの遮断信号に応
じてガス通路を遮断する遮断手段とを備えた構成であ
る。

作用 本発明は上記した構成によって、起動信号印加手段が作
動すると、タイマーは流量測定手段からの信号が所定値
以上存在するときの期間の積算を開始し、と同時に使用
状態記憶手段の作動により、前記タイマー積算動作中の
ガス使用パターンが計測される。すなわち、この期間中
に、前述した合計流量・個別最大流量・継続使用時間等
の実測値が更新されていき、タイマーの合計積算期間が
所定期間T1を超過するとタイマーの積算が停止され、と
同時に記憶されている最終データがガス適正使用条件変
更部にて初期値と比較判定され、所定のガス適正使用条
件が新たに設定されるのである。以降、適正使用条件判
定部では前述の新しい設定条件と使用状態検出部からの
信号を比較して、条件を逸脱した時には異常と判断して
遮断手段を作動させるのである。

実施例 以下、本発明の実施例を添付図面にもとづいて説明す
る。

第１図において、第５図と同一番号のものは同一機能を
有する構成要素である。制御部14は、従来と同様の流量
測定手段３からの流量信号を入力しガスの使用状態を検
出する使用状態検出部６と、ガス適正使用条件を予め初
期値として設定する初期条件設定部７と、前記使用状態
検出部の信号が前記ガス適正使用条件を逸脱すると異常
と判断して遮断信号を出力する適正使用条件判定部８
と、前記流量測定手段３からの信号が所定値以上ある期
間を積算するタイマー９と、前記タイマーを起動する起
動信号印加手段10と、前記タイマーの合計積算期間が所
定期間T1を超過した時点で前記タイマの作動を停止する
期間判定部11と、前記タイマー９作動中のガス使用状態
の最大値を記憶更新する使用状態記憶部12、前記タイマ
ー９作動終了次に前記使用状態記憶部12に記憶されてい
るガス使用状態の最大値あるいは最大値に所定係数を乗
じたすでに設定されている初期条件と比較し値の小さい
方を選んで新しく前記適正使用条件判定部８でのガス適
正使用条件として変更する適正使用条件変更部13とから
構成されている。

上記構成において、起動信号印加手段（例えば、押し釦
スイッチや、外部からの信号伝送手段など）が作動する
とタイマーに起動信号が送られ、タイマーは前記信号を
受けて流量測定手段からの信号が所定値以上ある期間の
積算を開始する。前記タイマーの積算期間リミットT1
は、あらかじめ設定されているものでも良いし任意に設
定出来るものでも良いが、例えば、１週間、１カ月とい
うようなスパンである。このタイマー作動と同時に、使
用状態記憶部12は、それぞれ実測されたガス使用パター
ン、すなわち、合計流量・個別最大流量・継続使用時間
の最大値を記憶するため、データを更新していくのであ
る。このようにして、タイマーの積算値がT1を超過する
と、最終のデータが前記記憶部から適正使用条件変更部
に送られる。この変更部では、初期条件と最終データと
を比較し、値の小さい方を選んで新しく適正使用条件と
して設定しなおすのである。すなわち、前述のタイマー
の積算動作が終了するまでは、異常判定部では現在のガ
ス使用状態とあらかじめ設定されている初期値と比較し
異常状態を判断しているが、タイマー動作中のガス使用
パターン実測結果から新たに条件が設定しなおされた後
は、再設定された値と比較し異常状態を判断している。
ここで、異常と判断されたときには遮断手段が作動しガ
ス通路が閉止されるのである。

上記では、最終データをそのまま初期値との比較に用い
たが、所定の係数を乗じて比較しても良い。それは、実
使用上の安全係数を考慮したものとなる。

第２図は、本発明の一実施例におけるガス遮断装置の期
間判定部の機能を示す図を示している。横軸は経過時間
で、斜線の部分はガス流量が所定値以上観測された期間
を示している。t0でタイマーに起動信号がかかり、所定
値以上のガス流量が存在するときには、タイマーの積算
が開始される。すなわち、同図の斜線の部分の時間が積
算されていく。t0からt1までガス流量が所定値以上（例
えば、単位時間当りのガス流量が零ではない）なので、
タイマーが積算動作し、そのカウント期間としてTC1が
得られる。さらに、t2からt3までの期間TC2が積算さ
れ、ここで、積算合計TCは、TC1＋TC2となる。この時点
では、TCはT1よりも小さいので、タイマーの積算は終了
しない。同様にして、TC3、TC4がそれぞれ得られ、TC4
を得た時点t7で積算合計TC＝TC1＋TC2＋TC3＋TC4が、所
定期間T1を超過したことを期間判定部で検知し、タイマ
ーの積算を終了するのである。このようにして、t0から
t7までの間で観測されたガス使用パターンが初期値との
判定に利用される。

ところで、所定流量以下の期間が長期間に渡る場合に
は、いつまで経っても記憶部のデータが定まらないこと
も考えられるので、タイマーの作動期間に制限値を設
け、適正使用条件の再設定を図ることも有効である。

上述した制御部は、マイクロコンピュータなどのプログ
ラム動作による演算や判断機能を用いれば容易に実現出
来るものである。以下、第３図で概略のプログラムフロ
ーを示す。

プログラムがスタートすると、Ａでガス適正使用条件と
して初期値を設定し、続いてＢで流量測定を行い、Ｃで
上述したようなガスの使用状態を検出する。そして、Ｄ
にてガス流量が所定値以上あるか否かを判断し、ある場
合には、Ｅでタイマーに積算開始の指示が与えられてい
るか否か、すなわち、起動信号が入力されたか否かをチ
ェックする。指示がある場合には、Ｆにてタイマーの積
算動作を続行する。無い場合には、前記Ｄにて流量が所
定値未満のときと同様にＪへ分岐する。Ｆを処理した後
は、Ｇでタイマーの合計積算値が所定期間T1を超過した
か否かを判定する。超過している場合には、Ｈにてタイ
マーの積算を終了させる。まだ、T1に達していない場合
には、Ｉでガスの使用状態を記憶していく。このＨ、Ｉ
を処理した後は、Ｊに飛び、ガス適正使用条件それぞれ
の判定を行う。Ｋでは、Ｊの判定の結果が異常のときＬ
の遮断信号出力に飛び、さらにＳでタイマーカウントを
リセットする。すなわち、ガス使用状態が初期条件を越
えた場合には異常故にデータの記憶を継続しても意味が
なくなるので、タイマーを停止する。異常でないときに
は、Ｍで適正使用条件変更部が作動したか否かをみて、
作動済のときにはh1、すなわち、Ｂの流量測定に戻るの
である。変更部が作動済でないときには、Ｎでタイマー
が積算終了か否かを判断し、終了のときには、Ｏで記憶
された使用状態と初期条件の比較を行う。次にＰでガス
適正使用条件を所定の値に変更する。前述したように、
記憶された各パターンの最大値と初期値とを比較し、例
えば、より値の小さい方を選択して再設定するのであ
る。以降、Ｊでは再設定値がガス適正使用条件として扱
われ、検出値と比較対照される。また、Ｎにてタイマー
の積算動作が終了でないときにはＱに分岐し、タイマー
の起動信号の有無を判定する。起動信号が入力されたと
きには、Ｒでタイマーに積算開始の指示を与える。ま
た、信号が無い場合、及び、Ｐ、Ｒを処理した後は、再
びh1にもどるのである。このプログラムフローを実行す
ることによって、第１図で示した本発明のガス遮断装置
の制御部の機能を実現できるのである。

発明の効果 以上のように本発明のガス遮断装置によれば次の効果が
得られる。

（１）ガス使用状態を常に監視し、設定された適正使用
条件との比較を行うことにより、ガス洩れや燃焼立消え
を検出することができ、条件を逸脱した場合、すなわ
ち、異常と判断された場合には遮断手段が作動しガス供
給を停止するので、ガス爆発やガス中毒などの危険状態
を未然に防止することができるという効果がある。

（２）起動信号により所定時間、ガスメータの設置され
たガス供給系の実際の使用パターンを観測し、その最大
値と初期値とを比較して所定の値（例えば、小さい方の
値）を適正使用条件として再設定するので、単にガスメ
ータの容量（号数）によって一律に決定されていた条件
だけに比べて、個別の特殊条件も加味されて判断される
ので、ガス事故に対する安全度を一段と増すことができ
る。

（３）ガス使用パターンの観測期間、すなわち、タイマ
ーの作動期間を実際にガスが流れている期間とすること
により、使用パターンの観測が開始された後、長期に渡
りガスを使用しない状態が発生したときにも、実使用に
即した学習をさせることができ、適正使用条件の再設定
に際して不具合を生ずることがないのである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例におけるガス遮断装置のブロ
ック図、第２図は同装置による期間判定部の機能を示す
図、第３図は同装置の制御部の概略プログラムフローを
示す図、第４図は従来のガス遮断装置の構成図、第５図
は従来の制御部のブロック図である。 ２……ガスメータ、３……流量測定手段、４……遮断手
段、６……使用状態検出部、７……初期条件設定部、８
……適正使用条件判定部、９……タイマー、10……起動
信号印加手段、11……期間判定部、12……使用状態記憶
部、13……適正使用条件変更部、14……制御部。

フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭53−49339（ＪＰ，Ａ) 特開 昭56−97747（ＪＰ，Ａ) 実開 昭53−166133（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭59−181957（ＪＰ，Ｕ)

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ガス供給ライン中に設けられたガスメータ
   ーの通過ガス量に応じて信号を発する流量測定手段と、
   前記流量測定手段から送られる流量信号でガスの使用状
   態を検出する使用状態検出部、ガス適正使用条件を予め
   初期値として設定する初期条件設定部、前記使用状態検
   出部の信号が前記ガス適正使用条件を逸脱すると異常と
   判断して遮断信号を出力する適正使用条件判定部、前記
   流量測定手段からの信号が所定値異常ある期間を積算す
   るタイマー、前記タイマーを起動する起動信号印加手
   段、前記タイマーの合計積算期間が所定期間T1を超過し
   た時点で前記タイマーの作動を停止する期間判定部、前
   記タイマー作動中のガス使用状態の最大値を記憶更新す
   る使用状態記憶部、前記タイマー作動終了時に前記使用
   状態記憶部に記憶されているガス使用状態の最大値ある
   いは最大値に所定係数を乗じた値をすでに設定されてい
   る初期条件と比較し小さい方を選んで新しく前記適正使
   用条件判定部でのガス適正使用条件として変更する適正
   使用条件変更部よりなる制御部と、前記制御部からの遮
   断信号に応じてガス通路を遮断する遮断手段とを備えた
   ガス遮断装置。