JPH0742502B2 - 薄手一方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents
薄手一方向性電磁鋼板の製造方法Info
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- JPH0742502B2 JPH0742502B2 JP1059777A JP5977789A JPH0742502B2 JP H0742502 B2 JPH0742502 B2 JP H0742502B2 JP 1059777 A JP1059777 A JP 1059777A JP 5977789 A JP5977789 A JP 5977789A JP H0742502 B2 JPH0742502 B2 JP H0742502B2
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Description
【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、薄手一方向性電磁鋼板の二次再結晶を安定さ
せ、磁気特性及び皮膜特性を向上させることを目的とし
た薄手一方向性電磁鋼板の製造方法である。
せ、磁気特性及び皮膜特性を向上させることを目的とし
た薄手一方向性電磁鋼板の製造方法である。
(従来の技術) 変圧器などの鉄心材料として用いられる一方向性電磁鋼
板は、一般には、所定の必要成分を含有する鋼板を熱間
圧延し、1回もしくは2回以上の焼鈍・冷間圧延を繰り
返し行って、最終板厚とした後、脱炭焼鈍を行い、MgO
などの焼鈍分離剤を塗布して最終仕上焼鈍を施して製造
されている。この脱炭焼鈍の主要目的としては、脱炭
を行う事、二次再結晶につながる一次再結晶粒を形成
する事、フォルステライト皮膜を生成する為のSiO2系
酸化層を生成する事、の3点が考えられている。この様
な脱炭焼鈍に対して、その昇温過程の昇温速度を規定し
て磁気特性を向上させる特開昭54−35117号公報記載の
方法、750〜870℃の脱炭雰囲気中での脱炭処理を行った
後、仕上焼鈍前に890〜1050℃の非酸化性雰囲気中で熱
処理を行う特公昭54−24686号公報記載の方法、また脱
炭焼鈍過程の前部と後部の雰囲気酸化度を変える特公昭
57−1575号公報記載の方法などが開示されている。
板は、一般には、所定の必要成分を含有する鋼板を熱間
圧延し、1回もしくは2回以上の焼鈍・冷間圧延を繰り
返し行って、最終板厚とした後、脱炭焼鈍を行い、MgO
などの焼鈍分離剤を塗布して最終仕上焼鈍を施して製造
されている。この脱炭焼鈍の主要目的としては、脱炭
を行う事、二次再結晶につながる一次再結晶粒を形成
する事、フォルステライト皮膜を生成する為のSiO2系
酸化層を生成する事、の3点が考えられている。この様
な脱炭焼鈍に対して、その昇温過程の昇温速度を規定し
て磁気特性を向上させる特開昭54−35117号公報記載の
方法、750〜870℃の脱炭雰囲気中での脱炭処理を行った
後、仕上焼鈍前に890〜1050℃の非酸化性雰囲気中で熱
処理を行う特公昭54−24686号公報記載の方法、また脱
炭焼鈍過程の前部と後部の雰囲気酸化度を変える特公昭
57−1575号公報記載の方法などが開示されている。
(発明が解決しようとする課題) 近年、方向性電磁鋼板の低鉄損化の需要が高まり、その
為に、製品板厚を薄くしていく方策が採られてきてい
る。しかし薄手化に伴い、従来の製造方法では、仕上焼
鈍過程に於ける二次再結晶挙動が不安定になる事は避け
られず、0.250mm以下の板厚で磁気特性が優れた製品を
製造することが、困難であるという問題点があった。
為に、製品板厚を薄くしていく方策が採られてきてい
る。しかし薄手化に伴い、従来の製造方法では、仕上焼
鈍過程に於ける二次再結晶挙動が不安定になる事は避け
られず、0.250mm以下の板厚で磁気特性が優れた製品を
製造することが、困難であるという問題点があった。
本発明は、従来の脱炭焼鈍技術に対して、製品板厚毎の
焼鈍温度を規定することにより二次再結晶を安定させ、
磁気特性と皮膜特性を良好なものとする薄手一方向性電
磁鋼板の製造方法を提供するものである。
焼鈍温度を規定することにより二次再結晶を安定させ、
磁気特性と皮膜特性を良好なものとする薄手一方向性電
磁鋼板の製造方法を提供するものである。
(課題を解決するための手段) 本発明は、前述の様な一方向性電磁鋼板の製造過程にお
ける脱炭焼鈍条件に関わるものである。従来は、或る最
終板厚範囲に対して所定範囲内の温度で焼鈍を行い、二
次再結晶が不安定になる薄手化の方法に対して、その脱
炭焼鈍条件を規定する様な方策は、開示されてはいなか
った。最終板厚が薄くなる場合の方策も、例えば、特公
昭57−1575号公報記載の方法では、雰囲気酸化度を変え
ることにより、高0.225mmの最終板厚の製造方法を提示
するものであるし、また、特開昭57−41326号公報記載
の方法では、フォルステライト量を規定するものの、そ
の方法としては脱炭焼鈍時の雰囲気、MgOの量と質、最
終仕上焼鈍の雰囲気を示すにとどめられている。それら
に対して本発明は、最終板厚に対応した焼鈍温度を採用
することで、0.250mm以下の薄手一方向性電磁鋼板を安
定して製造する方法を提示するものである。
ける脱炭焼鈍条件に関わるものである。従来は、或る最
終板厚範囲に対して所定範囲内の温度で焼鈍を行い、二
次再結晶が不安定になる薄手化の方法に対して、その脱
炭焼鈍条件を規定する様な方策は、開示されてはいなか
った。最終板厚が薄くなる場合の方策も、例えば、特公
昭57−1575号公報記載の方法では、雰囲気酸化度を変え
ることにより、高0.225mmの最終板厚の製造方法を提示
するものであるし、また、特開昭57−41326号公報記載
の方法では、フォルステライト量を規定するものの、そ
の方法としては脱炭焼鈍時の雰囲気、MgOの量と質、最
終仕上焼鈍の雰囲気を示すにとどめられている。それら
に対して本発明は、最終板厚に対応した焼鈍温度を採用
することで、0.250mm以下の薄手一方向性電磁鋼板を安
定して製造する方法を提示するものである。
先ず本発明に至った実験とその結果について説明する。
請求項1記載の成分範囲の電磁鋼スラブを1.8〜2.3mmに
熱間圧延し、均一化焼鈍→冷間圧延→中間焼鈍を施した
後、80〜95%の圧下率で100〜400℃の鋼板温度を保ちな
がら0.13〜0.22mmの最終板厚に圧延した。それらを、76
0〜860℃の温度範囲で3分間脱炭処理後、900℃の非酸
化性雰囲気中で1分間の熱処理を行い、次いで最終仕上
焼鈍によって得た製品の二次再結晶の安定度と鉄損を、
第1図に示した。760〜860℃の温度範囲では、ほぼ全試
料で脱炭が良好に行われているが、最終板厚が薄くなる
につれて二次再結晶が安定する温度範囲が狭くなってい
ることがわかる。しかも、鉄損のレベルが脱炭処理温度
により変動しており、二次再結晶が安定し鉄損が良好と
なるのが最終板厚により異なる脱炭焼鈍温度であること
が明らかになった。
請求項1記載の成分範囲の電磁鋼スラブを1.8〜2.3mmに
熱間圧延し、均一化焼鈍→冷間圧延→中間焼鈍を施した
後、80〜95%の圧下率で100〜400℃の鋼板温度を保ちな
がら0.13〜0.22mmの最終板厚に圧延した。それらを、76
0〜860℃の温度範囲で3分間脱炭処理後、900℃の非酸
化性雰囲気中で1分間の熱処理を行い、次いで最終仕上
焼鈍によって得た製品の二次再結晶の安定度と鉄損を、
第1図に示した。760〜860℃の温度範囲では、ほぼ全試
料で脱炭が良好に行われているが、最終板厚が薄くなる
につれて二次再結晶が安定する温度範囲が狭くなってい
ることがわかる。しかも、鉄損のレベルが脱炭処理温度
により変動しており、二次再結晶が安定し鉄損が良好と
なるのが最終板厚により異なる脱炭焼鈍温度であること
が明らかになった。
この実験結果の理由について推察すると、先に述べた脱
炭焼鈍の3点の主要目的の内、「フォルステライト皮
膜を生成する為のSiO2系酸化層を生成する事」を改善し
ていると考えられる。先ず「脱炭を行う事」について
は、この焼鈍温度範囲では、脱炭は、ほぼ安定してお
り、脱炭自体が改善された訳ではない。また「二次再
結晶につながる一次再結晶粒を形成する事」は、脱炭焼
鈍に引き続く900℃の非酸化性雰囲気中での熱処理によ
り確保されており、前の脱炭温度の違いによる影響は少
ないと言える。さて、「フォルステライト皮膜を生成
する為のSiO2系酸化層を生成する事」の改善についてで
あるが、最終板厚に応じた最適なSiO2系酸化層の質と量
が存在すると推測される。即ち、二次再結晶の安定度に
影響するSiO2系酸化層の質(最終仕上焼鈍過程中の二次
再結晶開始温度近辺で、雰囲気窒素が、SiO2系酸化層を
通して鋼板中へ侵入し、インヒビターとして存在するAl
Nが変動する)と、鉄損値に影響するSiO2系酸化層の量
(フォルステライト皮膜の張力効果と占積率の相関)と
が、最終板厚により異なりそれが最適になって初めて薄
手の一方向性電磁鋼板の製造が可能になったと考えられ
る。
炭焼鈍の3点の主要目的の内、「フォルステライト皮
膜を生成する為のSiO2系酸化層を生成する事」を改善し
ていると考えられる。先ず「脱炭を行う事」について
は、この焼鈍温度範囲では、脱炭は、ほぼ安定してお
り、脱炭自体が改善された訳ではない。また「二次再
結晶につながる一次再結晶粒を形成する事」は、脱炭焼
鈍に引き続く900℃の非酸化性雰囲気中での熱処理によ
り確保されており、前の脱炭温度の違いによる影響は少
ないと言える。さて、「フォルステライト皮膜を生成
する為のSiO2系酸化層を生成する事」の改善についてで
あるが、最終板厚に応じた最適なSiO2系酸化層の質と量
が存在すると推測される。即ち、二次再結晶の安定度に
影響するSiO2系酸化層の質(最終仕上焼鈍過程中の二次
再結晶開始温度近辺で、雰囲気窒素が、SiO2系酸化層を
通して鋼板中へ侵入し、インヒビターとして存在するAl
Nが変動する)と、鉄損値に影響するSiO2系酸化層の量
(フォルステライト皮膜の張力効果と占積率の相関)と
が、最終板厚により異なりそれが最適になって初めて薄
手の一方向性電磁鋼板の製造が可能になったと考えられ
る。
以下に、範囲限定の根拠について説明する。
Cの下限は、二次再結晶が不安定になる限界として0.06
0%であり、上限は、脱炭焼鈍の所要時間が長くなり過
ぎ経済的に不利となる為に0.100%と限定した。
0%であり、上限は、脱炭焼鈍の所要時間が長くなり過
ぎ経済的に不利となる為に0.100%と限定した。
Siは、電気抵抗を高め鉄損値を低減させる為に添加し、
その下限は、脱炭焼鈍過程での脱炭処理後の850〜1050
℃の非酸化性雰囲気中での熱処理中に、α−γ変態によ
る組織変化が無い様に2.5%とし、その上限は、冷間圧
延等の加工性限界により4.5%とした。
その下限は、脱炭焼鈍過程での脱炭処理後の850〜1050
℃の非酸化性雰囲気中での熱処理中に、α−γ変態によ
る組織変化が無い様に2.5%とし、その上限は、冷間圧
延等の加工性限界により4.5%とした。
Mn,Cu,SはインヒビターとしてのMnS,CuxSを形成する為
に必要な元素で、下限は、それぞれインヒビターとして
の絶対量を確保する為に、0.01%,0.03%,0.01%と限定
し、上限は、Mnは容体化温度で0.10%、Cuは酸洗性で0.
50%、Sは熱間割れのトラブルを回避する為に0.04%と
限定した。
に必要な元素で、下限は、それぞれインヒビターとして
の絶対量を確保する為に、0.01%,0.03%,0.01%と限定
し、上限は、Mnは容体化温度で0.10%、Cuは酸洗性で0.
50%、Sは熱間割れのトラブルを回避する為に0.04%と
限定した。
sol.Al,Nは、インヒビターとしてのAlNを形成する為に
必要な元素で、下限及び上限は、それぞれインヒビター
としての絶対量を最適に保つ為に、sol.Alは0.010〜0.0
65%,Nは0.005〜0.010%と限定した。
必要な元素で、下限及び上限は、それぞれインヒビター
としての絶対量を最適に保つ為に、sol.Alは0.010〜0.0
65%,Nは0.005〜0.010%と限定した。
Snは粒界に偏析し、二次再結晶を安定化させるが、下限
は、偏析量が不足となる限界として0.03%とし、上限
は、経済的に不利となる為に0.50%と限定した。
は、偏析量が不足となる限界として0.03%とし、上限
は、経済的に不利となる為に0.50%と限定した。
次に請求項1記載の発明における脱炭焼鈍は、本発明者
が開示した特公昭54−24686号公報記載の方法を採用し
ており、即ち、750〜870℃の脱炭雰囲気中での脱炭処理
を行った後890〜1050℃の非酸化雰囲気中での熱処理を
行う二段の温度での焼鈍を基盤としている。その脱炭処
理温度に関しては、最終板厚を0.25mm以下と規定した製
品での実験結果により780〜850℃と制限し、非酸化性雰
囲気中での熱処理は、同じく最終板厚を0.25mm以下と規
定した製品での実験結果より、850〜1050℃と制限し
た。請求項1の発明は、本発明の基本的内容を表すもの
で、第1図の結果から導かれる様に、最終板厚が0.25mm
以下(0.15mm以上)の場合、その脱炭処理温度は最終板
厚に応じて、以下の、式 T−807=700(t−0.186)〔T:焼鈍温度(℃)、 t:最終厚板(0.15〜0.25mm) が表す最適値が存在することを示したものである。一
方、その脱炭処理における時間は、下限を脱炭が完了し
更に適正なSiO2系酸化層の生成に必要な最低限の時間か
ら1分間とし、上限は過度の酸化層生成を限定する為に
10分間とした。また、非酸化性雰囲気中での熱処理にお
いては、充分な一次再結晶粒の形成に必要な10分間以下
と限定した。それより長時間の場合には磁性の劣化およ
び生産性の低下を招くからである。その脱炭焼鈍の雰囲
気は780〜850℃の脱炭処理の時には、脱炭が充分に進行
する酸化度であれば良く、また、後段の850〜1050℃の
熱処理では酸化の進行を極力抑えられる非酸化性雰囲気
であれば良く、これらは、特に規定するものではない。
が開示した特公昭54−24686号公報記載の方法を採用し
ており、即ち、750〜870℃の脱炭雰囲気中での脱炭処理
を行った後890〜1050℃の非酸化雰囲気中での熱処理を
行う二段の温度での焼鈍を基盤としている。その脱炭処
理温度に関しては、最終板厚を0.25mm以下と規定した製
品での実験結果により780〜850℃と制限し、非酸化性雰
囲気中での熱処理は、同じく最終板厚を0.25mm以下と規
定した製品での実験結果より、850〜1050℃と制限し
た。請求項1の発明は、本発明の基本的内容を表すもの
で、第1図の結果から導かれる様に、最終板厚が0.25mm
以下(0.15mm以上)の場合、その脱炭処理温度は最終板
厚に応じて、以下の、式 T−807=700(t−0.186)〔T:焼鈍温度(℃)、 t:最終厚板(0.15〜0.25mm) が表す最適値が存在することを示したものである。一
方、その脱炭処理における時間は、下限を脱炭が完了し
更に適正なSiO2系酸化層の生成に必要な最低限の時間か
ら1分間とし、上限は過度の酸化層生成を限定する為に
10分間とした。また、非酸化性雰囲気中での熱処理にお
いては、充分な一次再結晶粒の形成に必要な10分間以下
と限定した。それより長時間の場合には磁性の劣化およ
び生産性の低下を招くからである。その脱炭焼鈍の雰囲
気は780〜850℃の脱炭処理の時には、脱炭が充分に進行
する酸化度であれば良く、また、後段の850〜1050℃の
熱処理では酸化の進行を極力抑えられる非酸化性雰囲気
であれば良く、これらは、特に規定するものではない。
請求項2の発明は、請求項1の発明による特性の向上に
あわせ生産性の向上を加味したものである。即ち、請求
項2の発明は請求項1の発明と同じく板厚に応じて脱炭
温度を最適化するのであるが、脱炭処理過程の後半部で
は、835〜850℃に温度を上げることで、SiO2系酸化層が
生成される時間が短縮され、生産性を向上させる事が可
能となるものである。但し、請求項2の発明における三
段の温度条件により生産性の向上を図る場合、最終板厚
に応じて下げた脱炭処理温度780〜850℃での必要な時間
は、以下の考えにより決定されれば良い。即ち、最終板
厚に応じて下げた脱炭処理温度での必要な時間は、或る
程度の脱炭が進行完了するまでの時間とすれば充分であ
り、その後は温度を上げて最適な量と質のSiO2系酸化層
の生成を確保するのに必要な時間に短縮して生産性の向
上を図る事が可能である。一方、三段の温度条件で行う
場合に、初期の温度を請求項1の範囲を外れる高温で行
ったり、範囲内であっても時間が短か過ぎた時には、良
好な結果が得られないが、それは、脱炭が完了していな
い状態で、SiO2系酸化層の生成が増え、フォルステライ
ト皮膜の緻密性に影響を与えるSiO2系酸化層の質に不都
合が生じることが原因となっているのではないかと推測
される。
あわせ生産性の向上を加味したものである。即ち、請求
項2の発明は請求項1の発明と同じく板厚に応じて脱炭
温度を最適化するのであるが、脱炭処理過程の後半部で
は、835〜850℃に温度を上げることで、SiO2系酸化層が
生成される時間が短縮され、生産性を向上させる事が可
能となるものである。但し、請求項2の発明における三
段の温度条件により生産性の向上を図る場合、最終板厚
に応じて下げた脱炭処理温度780〜850℃での必要な時間
は、以下の考えにより決定されれば良い。即ち、最終板
厚に応じて下げた脱炭処理温度での必要な時間は、或る
程度の脱炭が進行完了するまでの時間とすれば充分であ
り、その後は温度を上げて最適な量と質のSiO2系酸化層
の生成を確保するのに必要な時間に短縮して生産性の向
上を図る事が可能である。一方、三段の温度条件で行う
場合に、初期の温度を請求項1の範囲を外れる高温で行
ったり、範囲内であっても時間が短か過ぎた時には、良
好な結果が得られないが、それは、脱炭が完了していな
い状態で、SiO2系酸化層の生成が増え、フォルステライ
ト皮膜の緻密性に影響を与えるSiO2系酸化層の質に不都
合が生じることが原因となっているのではないかと推測
される。
板厚を限定した理由は、良好な磁気特性を得る為に上限
を0.25mmとし、下限は、実験結果より、二次再結晶及び
磁性の安定性から0.15mmとした。
を0.25mmとし、下限は、実験結果より、二次再結晶及び
磁性の安定性から0.15mmとした。
製造工程に関しては、常法で製造された熱延板を析出処
理し、80〜95%の強圧延率で冷間圧延し最終板厚とする
か、2回以上の圧延法であれば、40%以下の圧延率で圧
延→析出処理を施した後、80〜95%の強圧延率で最終冷
延を行い所定の最終板厚とし、本発明の脱炭焼鈍を行
う。次いで、この鋼板にMgOを主成分とした焼鈍分離剤
を塗布した後、二次再結晶と純化を行う最終仕上焼鈍を
し、張力コーティングを実施する。
理し、80〜95%の強圧延率で冷間圧延し最終板厚とする
か、2回以上の圧延法であれば、40%以下の圧延率で圧
延→析出処理を施した後、80〜95%の強圧延率で最終冷
延を行い所定の最終板厚とし、本発明の脱炭焼鈍を行
う。次いで、この鋼板にMgOを主成分とした焼鈍分離剤
を塗布した後、二次再結晶と純化を行う最終仕上焼鈍を
し、張力コーティングを実施する。
(実施例1) C:0.080%,Si:3.23%,Mn:0.076%,S:0.025%,sol.Al:0.
025%,N:0.0086%,Sn:0.12%,Cu:0.07%を含有する2.30
mmの熱延板に、2回の焼鈍、冷延(中間板厚1.55mmで最
終板厚0.22mm)をし、 860℃×180sec850℃×180sec835℃×180sec800
℃×180secの各条件で脱炭処理を行い、引き続き非酸化
性雰囲気で880℃×60secの熱処理をして、脱炭焼鈍実験
を行った。その後、公知の焼鈍分離剤塗布、最終仕上焼
鈍、張力コーティングを施して、一方向性電磁鋼板を得
た。その結果を、第1表に示す。
025%,N:0.0086%,Sn:0.12%,Cu:0.07%を含有する2.30
mmの熱延板に、2回の焼鈍、冷延(中間板厚1.55mmで最
終板厚0.22mm)をし、 860℃×180sec850℃×180sec835℃×180sec800
℃×180secの各条件で脱炭処理を行い、引き続き非酸化
性雰囲気で880℃×60secの熱処理をして、脱炭焼鈍実験
を行った。その後、公知の焼鈍分離剤塗布、最終仕上焼
鈍、張力コーティングを施して、一方向性電磁鋼板を得
た。その結果を、第1表に示す。
この第1表の結果から、本発明法に従えば、従来法に比
較して良好な磁気特性と皮膜特性が得られることが判
る。
較して良好な磁気特性と皮膜特性が得られることが判
る。
(実施例2) C:0.080%,Si:3.23%,Mn:0.076%,S:0.025%,sol.Al:0.
025%,N:0.0086%,Sn:0.12%,Cu:0.07%を含有する2.30
mmの熱延板に、2回の焼鈍、冷延(中間板厚1.40mmで最
終板厚0.17mm)をし、 835℃×180sec820℃×180sec800℃×180sec800
℃×90sec+835℃×60secの各条件で脱炭処理を行い、
引き続き非酸化性雰囲気で880℃×60secの熱処理をし
て、脱炭焼鈍実験を行った。その後、公知の焼鈍分離剤
塗布、最終仕上焼鈍、張力コーティングを施して、一方
向性電磁鋼板を得た。その結果を、第2表に示す。
025%,N:0.0086%,Sn:0.12%,Cu:0.07%を含有する2.30
mmの熱延板に、2回の焼鈍、冷延(中間板厚1.40mmで最
終板厚0.17mm)をし、 835℃×180sec820℃×180sec800℃×180sec800
℃×90sec+835℃×60secの各条件で脱炭処理を行い、
引き続き非酸化性雰囲気で880℃×60secの熱処理をし
て、脱炭焼鈍実験を行った。その後、公知の焼鈍分離剤
塗布、最終仕上焼鈍、張力コーティングを施して、一方
向性電磁鋼板を得た。その結果を、第2表に示す。
この第2表の結果から、本発明に従えば、従来法に比較
して良好な磁気特性が得られ、第二の発明に従えば、時
間短縮による生産性の向上が達成されることが判る。
して良好な磁気特性が得られ、第二の発明に従えば、時
間短縮による生産性の向上が達成されることが判る。
(発明の効果) 本発明によれば、二次再結晶が安定し、磁気特性に優れ
皮膜性状の良い一方向性電磁鋼板の薄手製品を製造でき
る効果がある。
皮膜性状の良い一方向性電磁鋼板の薄手製品を製造でき
る効果がある。
第1図は、最終板厚の異なる材料の脱炭処理温度を変え
た場合の、二次再結晶の安定度と鉄損値を示したもので
ある。
た場合の、二次再結晶の安定度と鉄損値を示したもので
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01F 1/16
Claims (2)
- 【請求項1】C:0.060〜0.100%,Si:2.5〜4.5%,Mn:0.01
〜0.10%,S:0.01〜0.04%,sol.Al:0.010〜0.065%,N:0.
005〜0.010%,Cu:0.03〜0.50%,Sn:0.03〜0.50%,残部
鉄及び不可避的不純物を含む電磁鋼スラブを熱間圧延
し、1回もしくは中間焼鈍をはさむ2回以上の冷間圧延
を施して、0.25〜0.15mmの最終板厚とし、780〜850℃の
脱炭雰囲気中で、1〜10分間脱炭処理を行った後、850
〜1050℃の非酸化性雰囲気中で10分間以下の熱処理を行
い、次いで、最終仕上焼鈍によって一方向性電磁鋼板を
製造する方法において、上記脱炭焼鈍の脱炭処理温度を
最終板厚に応じて、以下の式を満たす温度で行うこと
を特徴とする薄手一方向性電磁鋼板の製造方法。 T−807=700(t−0.186)〔T:焼鈍温度(℃)、t:最
終厚板(0.15〜0.25mm)〕 - 【請求項2】前記脱炭焼鈍の脱炭処理を2段に分割し、
前段部を請求項1の式の温度で行い、後段部を835〜8
50℃の温度で行う請求項1記載の薄手一方向性電磁鋼板
の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1059777A JPH0742502B2 (ja) | 1989-03-14 | 1989-03-14 | 薄手一方向性電磁鋼板の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1059777A JPH0742502B2 (ja) | 1989-03-14 | 1989-03-14 | 薄手一方向性電磁鋼板の製造方法 |
Publications (2)
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JPH02240215A JPH02240215A (ja) | 1990-09-25 |
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Family Applications (1)
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JP1059777A Expired - Lifetime JPH0742502B2 (ja) | 1989-03-14 | 1989-03-14 | 薄手一方向性電磁鋼板の製造方法 |
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JP (1) | JPH0742502B2 (ja) |
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-
1989
- 1989-03-14 JP JP1059777A patent/JPH0742502B2/ja not_active Expired - Lifetime
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Publication number | Publication date |
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JPH02240215A (ja) | 1990-09-25 |
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