JPH0742254Y2 - 被移植物の移植装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、被移植物の移植装置、詳しくは、無端搬送帯
を回転可能に周回すると共に、該搬送帯に所定間隔を置
いて複数の挾持具を設けた被移植物の移植装置に関す
る。

（従来の技術） この種装置として、案内プーリーを転在させたフレーム
に、挾持具を備えたベルトを張設して、該ベルトの循環
移動により、前記挾持具に挾持された被移植物を植付位
置まで搬送し、該植付位置において、前記挾持せる被移
植物を解放して落下させることにより、圃場における植
付上面への移植作業を行うようにしたものを先に提案
し、出願している（特願昭63-130719号）。

（考案が解決しようとする課題） しかしながら、先に出願した移植装置における挾着具
は、前記ベルトの循環移動に伴ない、被移植物を挾持さ
せる供給部から、前記被移植物の挾着を解放する植付部
に至る過程で180度転向するだけであるから、植付姿勢
に制限のない例えばポテト等の球根状の被移植物を植付
ける場合には問題はないが、葱苗や発芽している根菜類
を移植する場合、前記挾持具に対する挾持方向は、根部
と葉部とを水平にした方向に供給して挾持させるのが通
常であるから、前記植付部で解放されて落下する場合も
水平方向になるのである。

即ち、供給部において、挾持具に被移植物を挾持する場
合、被移植物は、その根部と葉部とが水平となる状態で
挾持させるのであり、斯く挾持した挾持状態のまゝ植付
装置まで搬送されて前記挾持具の解放により被移植物が
植付土面へ落下することになるのである。

このため、植付姿勢として根部を下方にして垂直状に落
下して植付ける必要のある被移植物には不向きであっ
た。

本考案は、以上の如き問題点に鑑みて考案したもので、
その目的は、フレームに周回させた無端搬送帯の搬送経
路に、該搬送帯に設けた挾持具の挾持部を横方向から縦
方向に変更する第１変更手段と、これを復元させる第２
変更手段とを設けることにより、植付姿勢を特定する必
要のある被移植物でも植付可能にすることのできる被移
植物の移植装置を提供するものである。

（課題を解決するための手段） 枠形フレーム（26）の周囲に無端搬送帯（27）を回転搬
送可能に周回すると共に、前記搬送帯（27）に、所定間
隔を置いて複数の挾持具（30）を設け、前記枠形フレー
ム（26）の上部搬送路において、前記挾持具（30）に被
移植物を横方向に挾着し、下部搬送路において前記挾持
具（30）の挾着を解除し、前記被移植物を移植する如く
した移植装置において、前記上部搬送路から下部搬送路
に至る下向搬送路に、前記挾持具（30）の挾着部を横方
向から縦方向に変向し、前記被移植物を縦方向に落下さ
せる第１変向手段を設け、前記下部搬送路から上部搬送
路に至る上向搬送路に前記挾持具（30）の挾着部を縦方
向から横方向に変向する第２変向手段を設けたことを特
徴とするものである。

（作用） 本考案は、枠形フレームを周回する無端搬送帯に設けた
挾持具に、上向搬送路において横方向に挾着させた被移
植物を、下向搬送路における第１搬送手段により縦方向
に変更して、前記被移植物の挾着を解除して落下させ、
上向搬送路において第２変更手段により横方向に復元す
る如く構成したことに依り、葉部をもった被移植物に対
しても、根部を下方にした垂直状態に姿勢を変更して移
植をすることができるのである。

（実施例） 以下、本考案による被移植物の移植装置を図面の実施例
に基づいて説明する。

第４図は、本考案の移植装置（Ａ）を備えたトラクタ
（Ｔ）の後部側面を示し、該トラクタ（Ｔ）の後方に突
設せるトップリンク（１）及びロアーリンク（２）によ
って連結フレーム（10）を介し支持された作業機フレー
ム（11）に、本考案の移植装置（Ａ）に係る移植フレー
ム（12）が装着されており、該フレーム（12）の前方上
方には被移植物を格納する格納部（13）を設けると共
に、前記フレーム（12）の後方には、リンク（14）を介
し作業座席（15）が装備されている。又、前記作業機フ
レーム（11）の後方には、支持部材（16）を介して尾輪
（17）が機体中心に対し最側方両外方に回転、旋回共に
自由になる如く支持されており、前記支持部材（16）の
機体中心寄りには、前記尾輪（17）の前方に設けた穿孔
輪（18）により形成された被移植物の移植孔を覆土する
覆土輪（19）が、被移植物に覆土可能な位置に回転自由
に支持されている。

以上の如く配位した移植装置（Ａ）における前記移植フ
レーム（12）には、第１図のように上部搬送路（20）を
支持する上部部材（21）と、下部搬送路（22）を支持す
る下部部材（23）と、更に、該上・下部材（21）（23）
を縦方向に連結する２本の縦部材（24）（25）とで形成
する枠形フレーム（26）が固設されている。

しかして、前記枠形フレーム（26）の要所には、該フレ
ーム（26）の周囲に張設する無端搬送帯（27）を循環移
動可能に誘導するための誘導輪（28）が回転自由に支持
されており、該誘導輪（28）に誘導されて前記枠形フレ
ーム（26）の周囲を循環移動する前記無端搬送体（27）
には、被移植物を挾持する挾持具（30）が所定間隔を置
いて固着されている。

しかして、前記挾持具（30）は第2,3図に示す如く垂直
部と水平部をもつ側面視Ｌ字形を呈したベース部材（3
1）と、該ベース部材（31）と協力して被移植物を挾持
する押え部材（32）とで構成されており、該押え部材
（32）は、前記ベース部材（31）の水平部に設けた回動
支点（33）を介して回動自由に支持されている。そし
て、前記押え部材（32）と、前記ベース部材（31）との
側端面に設けたピンに引張スプリング（34）を掛設し
て、前記押え部材（32）を前記ベース部材（31）方向へ
付勢すると共に、前記押え部材（32）の解放方向への回
動に伴ない前記スプリング（34）が支点越えをして前記
押え部材（32）を解放状態に維持する如く成されてい
る。

又、前記押え部材（32）の他側端面には、該押え部材の
下端を下方へ延長させた状態の突出杆で形成した反転レ
バー（35）が突設されていて、後記する枠形フレーム
（26）における接当片（41）に接当して前記押え部材
（32）を挾持方向に転倒させるのである。尚、図中（3
6）は被移植物を挾持する際、該移植物の保護と、確実
に挾持させるために前記ベース部材（31）と押え部材
（32）との各々挾持面に貼設した弾性材からなる緩衝部
材である。

しかして斯く構成された前記挾持具（30）は、前記搬送
帯（27）と伴に、第１回矢印の如く時計回りに循環移動
すると共に、前記枠形フレーム（26）には、ベース部材
（31）の裏面が摺接し、前記挾持具（30）における挾持
部の縦横性を制御する各制御板（37）（38）（39）（4
0）を設けている。これら制御板は、上部搬送路におけ
る水平制御板（37）と、下部搬送路における垂直制御板
（38）と、上部搬送路から下部搬送路に至る下向搬送路
における上端から下端の間に90°のねじれを有する角度
変更制御板（39）及び、下部搬送路から上部搬送路に至
る上向搬送路における下端から上端の間に90°のねじれ
を有する復元制御板（40）とで構成されて、各々が前記
枠形フレーム（26）にステー等を介して取付けられてい
る。又、前記枠形フレーム（26）の上部搬送路に前記挾
持具（30）の押え部材（32）に接当して該押え部材（3
2）を挾持方向へ転倒させるための接当片（41）が突設
されており、更に、前記枠形フレーム（26）の下部搬送
路においては、前記挾持具（30）における押え部材（3
2）の反転レバー（35）に接当して該押え部材（32）を
反転させて、前記挾持具（30）の挾持状態を解除させる
ための解除接片（42）が設けられており、この解除動作
により挾持せる被移植物を解放して自然に落下させる如
く成されている。

尚、以上の如く構成された移植装置（Ａ）において、前
記枠形フレーム（26）の周囲を周回する前記無端搬送帯
（27）の駆動は、本実施例では図示していないが、前記
した穿孔輪（18）の接地自転による回転力を、ユニバー
サルジョイント等を介して前記搬送帯（27）に係鎖する
駆動輪を連動させる如く成している。

又、前記した駆動手段は、実施例による複数の誘導輪
（28）の一つを前記穿孔輪（18）の回転力に直接連動す
る如くしてもよく、その手段は、本考案の要旨を逸脱せ
ざる範囲において特に限定するものではない。

次に、以上の如く構成した被移植物の移植装置の作用に
ついて説明する。

本考案の移植装置（Ａ）は、トラクタ（Ｔ）と、トップ
リンク（１）及びロアーリンク（２）を介して連結され
ると共に、前記トラクタ（Ｔ）の走行に伴ない、該トラ
クタ（Ｔ）に牽引されて移動する、しかして、移植作業
者は作業座席（15）に位置して格納部（13）から被移植
物（本実施例では葱苗を対象とした）の根部を前方へ向
け、葉茎部を手元になる如く即ち横向きに解放状態の挾
持具（30）へ載置する葱苗を載置した前記挾持具（30）
は、穿孔輪（18）の接地自転に連動して回動する無端搬
送帯（27）と伴に上部搬送路における水平制御板（37）
上を摺接しながら第１図時計回り方向に移動し枠形フレ
ーム（26）における上部部材（21）から上方へ突設した
接当片（41）に接当して、前記挾持具（30）における押
え部材（32）の背面を圧接することにより、スプリング
（34）が前記押え部材（32）の回動支点（33）を支点越
えすると共に、前記押え部材（32）が、ベース部材（3
1）側へ転倒して載置状態の葱苗を前記スプリング（3
4）の引張姿勢で確実に挾持する。そして前記の如く葱
苗を挾持した状態の前記挾持具（30）は、上部搬送路終
端位置の誘導端（28）に誘導されて移動方向を下向搬送
路へ移行する。該下向搬送路においては、上端面が装置
（Ａ）と平行で、下端面が上端面に対し直角になる如く
撚れを有する角度変更制御板（39）の表面に摺接しなが
ら、該制御板（39）の撚れに沿って移動し、前記挾持具
（30）の挾持部を横方向から縦方向へ変更する。しかし
て、縦方向に変更した前記挾持具（30）はそのまゝの状
態で進行し、下部搬送路における入口側の誘導輪（28）
により進路を水平方向に変換すると共に、前記枠形フレ
ーム（26）の下部部材（23）に突設した解除接片（42）
に前記押え部材（32）の反転レバー（35）が接当し、前
記搬送帯（27）の進行に伴なって圧接され、スプリング
（34）が回動支点（33）を支点越えすると同時に前記押
え部材（32）が解除方向に反転して挾持せる葱苗を解放
して縦方向に自然落下させることで葱苗の根部を下方に
葉茎を上方に向けて、適正な植付姿勢の移植を確実に行
なうことができるのである。

しかして、前記した如く被移植物の移植を終了した前記
挾持具（30）は、挾持部を解放させた状態のまゝ進行し
て前記下部搬送路における終端部の誘導輪（28）によっ
て再びその進路を上向きに換えて上向搬送路へ進入する
と共に、復元制御板（40）により、その挾持部の方向を
縦方向から横方向へ復元すると共に、上部搬送路におけ
る入口側誘導輪（28）を介して元の被移植物の供給位置
にもどり、供給から移植までの行程を終了する。そし
て、以後同じ行程の繰返しを複数の挾持具（30）が行な
うことによって被移植物の移植を行なうと同時に本装置
（Ａ）の後部に設けた覆土輪（19）によって移植された
被移植物へ覆土される。

以上の如く本考案の移植装置（Ａ）は、縦・横性を必要
とする植付条件の被移植物でも確実に移植することがで
きるものである。

（考案の効果） 枠形フレームの周囲に無端搬送帯を回転搬送可能に周回
すると共に、前記搬送帯に、所定間隔を置いて複数の挾
持具を設け、前記枠形フレームの上部搬送路において、
前記挾持具に被移植物を横方向に挾着し、下部搬送路に
おいて前記挾持具の挾着を解除し、前記被移植物を移植
する如くした移植装置において、前記上部搬送路から下
部搬送路に至る下向搬送路に、前記挾持具の挾着部を横
方向から縦方向に変向し、前記被移植物を縦方向に落下
させる第１変向手段を設け、前記下部搬送路から上部搬
送路に至る上向搬送路に前記挾持具の挾着部を縦方向か
ら横方向に変向する第２変向手段を設けたことにより、
上部搬送路において、横方向に挾持した被移植物を下部
搬送路において縦方向に変更して落下させることができ
るので、植付姿勢に縦・横性を指定する必要のある、例
えば葉茎部と根部とを備えた葱苗のような被移植物で
も、縦横性を確実に指定通り移植することができるの
で、移植後、発芽不能になったり、変形的発芽をするこ
とがなく、常に正しい発芽によって確実な成長を期待で
きる効果を有するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の正面図、第２図は要部拡大側面図で、
第３図は第２図の平面図、第４図は本考案を備えたトラ
クタ後部の側面図である。 （26）……枠形フレーム （27）……無端搬送帯 （30）……挾持具

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】枠形フレーム（26）の周囲に無端搬送帯
   （27）を回転搬送可能に周回すると共に、前記搬送帯
   （27）に、所定間隔を置いて複数の挾持具（30）を設
   け、前記枠形フレーム（26）の上部搬送路において、前
   記挾持具（30）に被移植物を横方向に挾着し、下部搬送
   路において前記挾持具（30）の挾着を解除し、前記被移
   植物を移植する如くした移植装置において、前記上部搬
   送路から下部搬送路に至る下向搬送路に、前記挾持具
   （30）の挾着部を横方向から縦方向に変向し、前記被移
   植物を縦方向に落下させる第１変向手段を設け、前記下
   部搬送路から上部搬送路に至る上向搬送路に前記挾持具
   （30）の挾着部を縦方向から横方向に変向する第２変向
   手段を設けたことを特徴とする被移植物の移植装置。