JPH0742163B2

JPH0742163B2 - 石灰質耐火組成物

Info

Publication number: JPH0742163B2
Application number: JP61130484A
Authority: JP
Inventors: 信孝渡辺; 松一吉村; 辰男川上
Original assignee: 川崎炉材株式会社
Priority date: 1986-06-04
Filing date: 1986-06-04
Publication date: 1995-05-10
Anticipated expiration: 2010-05-10
Also published as: JPS62288155A

Description

【発明の詳細な説明】産業上の利用分野本発明は、タンデイツシユ等の溶鋼用容器内面の内張り
材として使用される石灰質耐火組成物に関する。

従来の技術及びその問題点従来タンデイツシユ等の溶鋼用容器の内張り材として、
マグネシア質を主成分とし、付着性の付与及びスラグの
浸透防止のために、シリカ微粉、粘土類等を添加した耐
火組成物が使用されている。しかしながら、シリカ微
粉、粘土類は高温域で不安定であり、SiO₂等のピツクア
ツプ源となり易く、鋼の清浄化，鋼品質の向上等の冶金
効果を低下させてしまい好ましくない。

また、鋼の不純物と反応し易いことによつて鋼の清浄化
に有効な石灰（CaO）を主成分とする耐火組成物も使用
されている。ところが、石灰は、耐火組成物を容器内面
に内張り施工するに際して、水で混練すると乾燥中に消
化し、内張り施工した耐火組成物（以下施工体という）
の強度を著しく低下させる。そのため、石灰を含有する
耐火組成物を内張り施工する場合、水を使用することが
できず、作業は極めて困難である。

そこで、熱分解によつてCaOを生成する炭酸カルシウム
（CaCO₃）を多量に含有し、水によつて消化しない石灰
石及び苦土石灰石を使用する試みがなされてきた。とこ
ろが、石灰石及び苦土石灰石は、加熱時CaOを生成する
とともに炭酸ガスを放出し、多孔質体となつて著しく収
縮するという欠点を有している。従つて、これらを多量
に使用すると、耐火組成物の強度が低下してしまう。し
かも、容器内面への付着性も充分ではない。

上記問題点を解消するため、石灰石及び苦土石灰石に、
ケイ酸塩及び／又はリン酸塩並びに粘土類等の増粘可塑
剤を添加した塩基性耐火物が提案されている（特公昭58
-34423号，特公昭59-34674号）。ケイ酸塩又はリン酸塩
は、石灰石及び苦土石灰石を加熱することによつて生ず
るCaOと高融点結合を形成し、加熱時の耐火組成物の収
縮を抑制する。また、粘土類の添加によつて、付着性が
向上する。しかしながら、ケイ酸塩及びリン酸塩は、Si
及びＰのピツクアツプ源となり、また粘土類等は上述の
如く、Si及びＯのピツクアツプ源となるため、鋼の清浄
化、鋼品質の向上等が充分になされず好ましくない。

問題点を解決するための手段本発明者は上記問題点に鑑み、鋭意研究を重ねた結果、
石灰石及び苦土石灰石に、シユウ酸、ホウ砂及びフツ化
ナトリウムを添加することによつて、加熱時に高強度を
示し、鋼に悪影響を及ぼさない内張り用耐火物が得られ
ることを見出し、本発明を完成した。

即ち本発明は、石灰石及び／又は苦土石灰石50〜100重
量％と残部がマグネシアクリンカーからなる耐火骨材10
0重量部、シユウ酸0.5〜３重量部、ホウ砂0.5〜５重量
部及びフツ化ナトリウム0.5〜５重量部を含有する石灰
質耐火組成物に係る。

本発明においては、耐火骨材として、石灰石及び／又は
苦土石灰石を使用する。また、必要に応じて、耐溶損性
を向上させるために、マグネシアクリンカーを、石灰石
及び／又は苦土石灰石の含有量と等量となる量を上限と
して併用してもよい。石灰石及び／又は苦土石灰石の含
有量が50重量５未満になると、加熱時に生成するCaO量
が少なくなり、溶鋼に接する面に生じるフオルステライ
ト（Mg₂SiO₄）、スピネル（MgAl₂O₄）等の高融点化合物
によつてCaOと溶鋼との接触をさまたげるため、溶鋼の
清浄化等の冶金効果が低下し好ましくない。石灰石、苦
土石灰石及びマグネシアクリンカーの粒径は特に制限さ
れず、適宜選択すればよい。例えば、石灰石，苦土石灰
石及びマグネシアクリンカーのいずれについても、３〜
1mm程度のもの、１〜0.15mm程度のもの及び0.15mm未満
のものを適宜混合して使用すればよい。

本発明では、シユウ酸、フツ化ナトリウム及びホウ砂を
併用することによつて、鋼に悪影響を与えることなく、
主に室温から1200℃程度の広範な温度域において、施工
体の強度を高めることができる。

シユウ酸は、耐火組成物の各原料を水で混練する際に、
石灰石及び／又は苦土石灰石と反応し、シユウ酸カルシ
ウムの微細な結晶となり、低温域におけるマトリツクス
の充填材として施工体の強度付与に有効である。またシ
ユウ酸カルシウムは、赤熱するとフツ化ナトリウムの酸
化助剤として働き、次いで炭酸カルシウムと一酸化炭素
とに分解するので施工体中には残留せず、鋼に悪影響を
及ぼさない。シユウ酸の配合量は、耐火骨材が100重量
部に対し、0.5〜３重量部程度とするのがよい。0.5重量
部未満では、上記の如き効果を充分に発現することがで
きず、一方３重量部を越えると、原料を水で混練する場
合に、骨材との反応による炭酸ガスの発生量が多くな
り、施工体の強度が低下する。

ホウ砂（Na₂B₄O₇・10H₂O）は75℃で溶融して結合剤とし
て働き、次いで350〜400℃程度で脱水し白色の無水物と
なつて固化する。この固化物は、878℃で溶融しガラス
状透明体となり、再び結合剤として働く。更に、このガ
ラス状透明体は、金属酸化物を融解させるため、マトリ
ツクスの焼結を促進する。また受鋼時には、造滓剤とし
て働き、鋼に悪影響を及ぼさない。ホウ砂の配合量は、
耐火骨材100重量部に対し、0.5〜５重量部程度とするの
がよい。0.5重量部未満では、結合剤としての効果が少
なく、一方５重量部を越えると、造滓剤としての働きが
強くなり、施工体の耐食性が低下する。

フツ化ナトリウムは融点が992℃であり、融点より低い
温度域では、焼結剤として働き、融解した後では結合剤
として作用する。また受銑時には、ホウ砂と同様に造滓
剤として働くため、鋼の清浄化に有効である。フツ化ナ
トリウムの配合量は、耐火骨材100重量部に対し、0.5〜
５重量部程度とするのがよい。0.5重量部未満では、結
合剤として効果が現われず、一方５重量部を越えると、
ホウ砂と同様に造滓剤としての働きが強くなり、施工体
の耐食性が低下する。また、施工時の作業向上のため本
発明組成物に、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオ
キサイド等の水溶性高分子物質を添加することもでき
る。

本発明組成物は、上記各種原料を所定量混合して製造さ
れる。

本発明組成物を溶鋼用容器内面に内張り施工するに際し
ては、本発明組成物に、耐火骨材100重量部に対し10〜2
0重量部程度の水を添加し、更に必要に応じて上記水溶
性高分子物質を添加してよく混練し、この混練物をコテ
塗り等の通常の方法によつて容器内面に塗布すればよ
い。

発明の効果本発明組成物は、室温から1200℃程度の広い範囲の温度
域で、高強度を有し、また鋼の清浄化、鋼品質の向上等
の冶金効果にも優れている。

実施例以下に実施例及び比較例を挙げ、本発明をより一層明瞭
なものとする。

実施例1,2 第１表に示す配合割合（重量部）で、石灰石100重量部
に、シユウ酸、フツ化ナトリウム及びホウ砂を添加して
混合し、本発明組成物を製造した。

得られた本発明組成物に、第１表に示す配合割合（重量
部）で水を添加して混練し、内張り材を製造した。得ら
れた内張り材を強度試験に供した。結果を第１表に示
す。

比較例１〜３本発明組成物の必須成分であるシユウ酸、フツ化ナトリ
ウム及びボウ砂のうち、１種又は２種のみを使用する以
外は、実施例1,2と同様にして、第１表に示す配合割合
（重量部）で内張り材を製造した。得られた内張り材を
実施例1,2と同様の強度試験に供した。結果を第１表に
示す。

第１表より、シユウ酸、フツ化ナトリウム及びホウ砂の
うちいずれかが欠けても、施工体の強度が低下すること
が判る。

実施例３〜５実施例1,2と同様にして、第２表に示す配合割合（重量
部）で、本発明組成物を製造し、次いでこれに水を添加
して内張り材を製造した。得られた内張り材を、タンデ
イツシユ内面に厚さ20mmにコテ塗り施工し、1000℃で２
時間予熱乾燥を行つた。亀裂、剥離等は認められなかつ
た。このタンデイツシユにアルミキルド鋼と受鋼し、内
張り材の状態を調べた。結果を第２表に示す。

第２表より明らかなように、酸化物（非金属介在物）の
堆積が、従来品（マグネシア質内張り材）に比べて著し
く減少し、鋼中の非金属介在物の除去に有効であつた。

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】石灰石及び／又は苦土石灰石50〜100重量
％と残部がマグネシアクリンカーからなる耐火骨材100
重量部、シユウ酸0.5〜３重量部、ホウ砂0.5〜５重量部
及びフツ化ナトリウム0.5〜５重量部を含有する石灰質
耐火組成物。