JPH0742071A - 超微粒子アルミノ硅酸塩が担持された繊維素材および担持方法 - Google Patents

超微粒子アルミノ硅酸塩が担持された繊維素材および担持方法

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JPH0742071A
JPH0742071A JP20716093A JP20716093A JPH0742071A JP H0742071 A JPH0742071 A JP H0742071A JP 20716093 A JP20716093 A JP 20716093A JP 20716093 A JP20716093 A JP 20716093A JP H0742071 A JPH0742071 A JP H0742071A
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aluminosilicate
ultrafine
zeolite
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Yoshio Seino
芳夫 情野
Nobuhiko Moriyasu
信彦 森安
Osamu Miyagawa
修 宮川
Teruji Omori
輝二 大森
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Tokushu Kika Kogyo KK
Original Assignee
Tokushu Kika Kogyo KK
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 バインダーなしの状態で超微粒子アルミノ硅
酸塩を繊維素材に担持させて、洗濯に強い抗菌性繊維素
材や機能性繊維素材を提供する。 【構成】 平均粒径が0.04〜1.5μmの超微粒子
アルミノ硅酸塩を分散処理してなる水溶液に、繊維素材
を浸すことに基いて超微粒子アルミノ硅酸塩が担持され
た繊維素材を作成した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、バインダーなしの状態
でゼオライト等の超微粒子アルミノ硅酸塩が担持された
繊維素材および担持方法に関するものである。
【0002】
【従来技術及び発明が解決しようとする課題】一般に、
ゼオライト等の超微粒子アルミノ硅酸塩(アルミノシリ
ケイト)は、一般式「Mx/n[Al2(SiO2)y]
n」で示される多孔質物質であり、それがゼオライトで
ある場合に、A型、X型、Y型、ZSM−5型等のもの
が代表的なものとして知られている。そして、これら超
微粒子アルミノ硅酸塩は、イオン交換、吸着、触媒、分
子篩、抗菌等の各種の有用な機能を有しており、必要に
おいて使い分けられている。この様なアルミノ硅酸塩
を、合成、天然、人造の繊維素材に担持させ、これら素
材に前記機能を備えることが試みられている。ところが
従来、これらアルミノ硅酸塩を担持させる手法として
は、バインダーを用いて素材に担持させたり、アルミノ
硅酸塩が練り込まれ(混合され)た樹脂素材を形成し、
このものから繊維素材を製造していたが、前者のもので
は、バインダーが別途必要であるうえ、前記機能を発揮
するうえで重要なアルミノ硅酸塩の多孔質表面がバイン
ダーに覆われたりすることになつて有効表面積を広く確
保できないという問題があり、また、後者のものでは、
天然繊維等の如く練り込むことができないものには用い
ることができないうえ、樹脂材内に取り込まれて多孔質
表面が露出しないものがあつて、この場合にも有効表面
積を広く確保できないという問題がある。何れにしろこ
れらのものは、充分な機能を発揮させるには多量のアル
ミノ硅酸塩が必要となるが、そうすると、各樹脂素材が
持つ特性が損なわれることになつてしまうという問題が
ある。
【0003】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の如き実
情に鑑み、これらの欠点を一掃することができる超微粒
子アルミノ硅酸塩が担持された繊維素材および担持方法
を提供することを目的として創案されたものであつて、
平均粒径が0.04〜1.5マイクロメータのゼオライ
トおよび/または該ゼオライトの先躯体である非晶質物
質からなる超微粒子アルミノ硅酸塩を分散処理してなる
水溶液に、繊維素材を浸すことに基づき生成される超微
粒子アルミノ硅酸塩が担持された繊維素材を特徴とする
ものである。また、平均粒径が0.04〜1.5マイク
ロメータのゼオライトおよび/または該ゼオライトの先
躯体である非晶質物質からなる超微粒子アルミノ硅酸塩
を分散処理してなる水溶液に、繊維素材を浸すことに基
づき生成される超微粒子アルミノ硅酸塩が担持された繊
維素材を抗菌性繊維素材としたことを特徴とするもので
ある。さらに、平均粒径が0.04〜1.5マイクロメ
ータのゼオライトからなる超微粒子アルミノ硅酸塩を分
散処理してなる水溶液に、繊維素材を浸すことに基づき
生成される超微粒子アルミノ硅酸塩が担持された繊維素
材を吸着機能を備えた機能性繊維素材としたことを特徴
とするものである。またさらに、平均粒径が0.04〜
1.5マイクロメータのゼオライトおよび/または該ゼ
オライトの先躯体である非晶質物質からなる超微粒子ア
ルミノ硅酸塩を水溶液中で分散処理し、該処理された水
溶液に繊維素材を浸すことに基づいて生成する超微粒子
アルミノ硅酸塩を繊維素材に担持させる方法を特徴とす
るものである。
【0004】本発明において使用される超微粒子アルミ
ノ硅酸塩としては、平均粒径が0.04〜1.5マイク
ロメータ(μm)のものであつて、溶液(水溶液)中で
の粒子(一次粒子)の平均粒径が0.1〜1.5μm、
好ましくは0.1〜1.0μmとなるものであり、1.
5μmよりも粒径が大きいものは、繊維素材に形成され
る細孔に取り込まれづらく、数度の洗濯で簡単に離脱し
てしまい、また、0.04μmよりも小さいものは、非
晶質物質(アモルフアス)としての超微粒子アルミノ硅
酸塩を生成することが事実上困難なことによる。また、
この様な超微粒子アルミノ硅酸塩は、水溶液溶媒で合成
されるゼオライトまたはその先躯体である非晶質物質が
用いられるが、その場合に、ゼラチン、β−セルロー
ス、アルギン酸、カルボキシメチルセルロース等の天然
の水溶性ポリマー(変性により水溶性にしたものも含
む)、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド等の
合成した水溶性ポリマーを単独、または複数を混合して
なる水溶性高分子を含有する水溶液溶媒を用いたものが
好ましい。この様な超微粒子アルミノ硅酸塩の合成方法
は、アメリカ合衆国特許第5,183,650号に詳し
く述べられているが、該方法で合成された超微粒子アル
ミノ硅酸塩は、粒径が微細で揃つており、しかも粒形が
球に近い多面体形状をしていて、水溶液溶媒中において
撹拌処理、超音波処理等の通常知られた簡便な分散処理
方法を採用することで単粒子から数粒子程度に凝集した
粒子(一次粒子)となつて、水溶液中での平均粒径が
0.1〜1.5μmのものに分散処理できることによ
る。そして、この様に合成された超微粒子アルミノ硅酸
塩をそのまま、あるいは金属イオンを銀イオン、銅イオ
ン等の必要な金属イオンにイオン交換させたり、珪素/
アルミニウム比(Si/Al比)が高くなるよう後処理
的に調整したりして機能アツプを計つたものを採用する
こともできる。さらには、繊維素材としては、綿、絹、
麻、毛等の天然繊維、レーヨン等の人造繊維、アクリ
ル、ナイロン、ポリエステル、ポリアミド、ポリカルボ
ネート等の合成繊維を単独または混合したものを用いる
ことができ、この場合に、これら繊維素材をそのまま、
あるいは紡績した糸、該糸からなる編地布あるいは織
布、さらには繊維素材から成る不織布、これら糸、布地
を用いて製造される衣料品、リネン等の一般民生製品、
白衣、ガーゼ、包帯等の医療製品、濾材、膜材等の工業
製品等、各種繊維製品に対して本発明を実施することが
できる。また、超微粒子アルミノ硅酸塩を繊維素材に担
持(付着、吸着)させる手法として、ゼオライトと、該
ゼオライトの先躯体である非晶質物質の何れか単体ある
いは両者の混合物からなる超微粒子アルミノ硅酸塩が
0.1〜1.5μmの平均粒径になるよう分散処理され
た水溶液を調製する必要があるが、それには、超微粒子
アルミノ硅酸塩を水溶液中で撹拌処理、超音波処理する
等の通常知られた分散手法を用いることができ、この様
に調製した超微粒子アルミノ硅酸塩の水溶液に前記所望
の繊維素材を浸漬することになるが、その場合に、該水
溶液中の超微粒子アルミノ硅酸塩成分が0.05〜20
重量%、好ましくは0.1〜5重量%程度になるように
稀釈して用いることが超微粒子アルミノ硅酸塩の無駄な
浪費を防ぐ点からも好ましい。
【0005】そして、この様に調製された水溶液に前記
所望の繊維素材を浸して超微粒子アルミノ硅酸塩を担持
させることになるが、この場合に、繊維素材を、予めカ
チオン性の高分子界面活性剤を用いてカチオンが繊維素
材に担持されるよう前処理したものを用いることが好ま
しく、その手法としては、例えば、界面活性剤が0.3
〜6重量%となるよう調製した水溶液に繊維素材を浸漬
(繊維素材:水溶液の重量比が1:30程度)し、必要
において加熱処理することで、繊維素材にカチオンを担
持させることができる。そして、繊維素材(前記前処理
したもの、あるいは前処理されないもの)を前記超微粒
子アルミノ硅酸塩が分散処理された水溶液に浸す場合
に、必要において加温処理したりバブリング処理したり
しても良く、そうしてこの様に浸された繊維素材を、ロ
ールで圧搾処理する等して余分な水溶液を絞り出し、必
要において高温蒸熱処理、乾熱処理、加熱プレス処理
(例えばアイロン等による簡単な加熱プレス処理でも良
い)する等の後処理をして超微粒子アルミノ硅酸塩の繊
維素材への担持を促進し、定着させることが好ましく、
この様な処理としては、浸漬吸着処理法やパツド処理法
等の染色の分野で採用される一般的な後処理法を採用す
ることができる。
【0006】
【効果】本発明が実施されたものにおいては、平均粒径
が0.04〜1.5μmの超微粒子アルミノ硅酸塩が繊
維素材の表面あるいは繊維素材間に存する微細な孔や隙
間に確実に取り込まれることになつて離脱しづらく、こ
の結果、洗濯しても超微粒子アルミノ硅酸塩の流去が極
めて僅かか殆ど無く、長期に亘つて所望の機能を発揮す
る繊維素材にできることになる。しかも、超微粒子アル
ミノ硅酸塩は、バインダーを用いたり繊維素材中に練り
込まれていないので、その有効表面積を広く確保できる
ことになつて、従来のものに比して明らかに機能アツプ
が計れると共に、超微粒子アルミノ硅酸塩が繊維素材中
に練り込まれたりバインダーを用いて担持したもののよ
うに風合い、強度等の繊維素材の特性が損なわれてしま
うことも殆どない。
【0007】次に、本発明の実験例について述べる。 [超微粒子アルミノ硅酸塩の合成]超微粒子アルミノ硅
酸塩は、前記アメリカ合衆国特許第5,183,650
号に記載される合成手法に原則的に従つて合成したが、
具体的には、水:2000ミリリツトル(ml)、ゼラ
チン:170グラム(g)を10リツトル(l)のステ
ンレス製反応釜に入れて撹拌して均一溶解せしめた水溶
液溶媒を用意し、このものに、40重量パーセント(w
t%)のコロイダルシリカ:900グラムを添加し、撹
拌して均一分散させる。その後、このものに、水酸化ナ
トリウム:270グラムとアルミン酸ナトリウム:90
グラムとを水:620ミリリツトルに溶解させた水溶液
を30℃以下の温度で撹拌しながら徐々に加え、さら
に、強剪断型ホモミキサーを用いて強力撹拌してケーキ
状物質を得る。この様にして得たケーキ状物質を室温に
て1時間熟成した後、100℃で加熱反応させ、該反応
時間が1時間から14時間までのあいだの適宜反応時間
で生成物[A][B][C][D][E]をそれぞれ得
た。このうち、生成物[A]は、平均粒径480Å
(0.048μm)の非晶質物質生成物、[B]は、結
晶化度が25.3%、平均粒径が0.223μmのゼオ
ライトY、生成物[C]は、結晶化度が63.8%、平
均粒径が0.494μmのゼオライトY、生成物[D]
は、結晶化度が99.0%、平均粒径が0.657μm
のゼオライトY、生成物[E]は、結晶化度が99.6
%、平均粒径が0.810μmのゼオライトYであつ
た。この様にして得られた各生成物のうち、[A]のも
のをさらに通常知られた手法で銀(Ag)置換して銀置
換生成物[Ag−A]を得た。また、生成物[D]のも
のを通常知られる手法で銀、亜鉛(Zn)、銅(Cu)
にそれぞれ置換して銀置換生成物[Ag−D]、亜鉛置
換生成物[Zn−D]、銅置換生成物[Cu−D]をそ
れぞれ得た。さらに、生成物[E]のものを通常知られ
る手法で亜鉛置換して亜鉛置換生成物[Zn−E]を得
た。
【0008】一方、反応溶媒としてゼラチン濃度を前記
のもの(4.8wt%)に対して適宜減少させた以外は
生成物[A]〜[E]と同じ手法でゼオライトYの合成
を試み、これによつて、生成物[F][G][H]を得
たが、生成物[F]は、結晶化度98.9%、平均粒径
1.365μmのゼオライトY、生成物[G]は、結晶
化度98.5%、平均粒径2.285μmのゼオライト
Y、生成物[H]は、結晶化度98.0%、平均粒径
3.456μmのゼオライトYであつた。このうち、生
成物[H]について銀、亜鉛置換して銀置換生成物[A
g−H]、亜鉛置換生成物[Zn−H]をそれぞれ得
た。
【0009】また、反応条件は生成物[A]〜[E]を
合成する場合と同じであるが、水酸化ナトリウム、アル
ミン酸ナトリウム、コロイダルシリカの混合部数を適宜
変化させて生成物[I][J][K]を得たが、生成物
[I]は、結晶化度58.5%、平均粒径0.465μ
mのゼオライトX、生成物[J]は、結晶化度99.5
%、平均粒径0.705μmのゼオライトX、生成物
[K]は、結晶化度99.5%、平均粒径0.620μ
mのゼオライトAであつた。このうち、生成物[K]に
ついて銀、亜鉛、銅置換して銀置換生成物[Ag−
K]、亜鉛置換生成物[Zn−K]、銅置換生成物[C
u−K]をそれぞれ得た。そして、これら各生成物の一
覧表を図1の表図に示す。
【0010】尚、生成物[A]の平均粒径は日本電子株
式会社製の電子顕微鏡KFM4000FX型とT−33
0A型とで観測した測定結果であり、それ以外の生成物
および後述する水溶液中での超微粒子アルミノ硅酸塩の
平均粒径は、株式会社島津製作所製のレーザ回析式粒度
分布測定装置SALE−2000を用いての測定結果、
また、結晶化度は、株式会社マック・サイエンス社製の
全自動X線回析装置MXP3型を用いての測定結果であ
る。
【0011】[実験1]前記[超微粒子アルミノ硅酸塩
の合成]で合成した生成物[A]〜[K]、およびその
銀、亜鉛、銅置換生成物を用いて、これらを各種繊維素
材に担持せしめた。その手法としては、まず、各生成物
を固形分25%の水分散物とし、該水分散物の1部を水
99部で稀釈したものを撹拌器(デイスパー)で3分間
撹拌して、超微粒子アルミノ硅酸塩の分散水溶液を得
た。この分散水溶液中における超微粒子アルミノ硅酸塩
の平均粒径(一次粒子)を図1の表図に示すが、このう
ち、生成物[A][D][H]の分散水溶液中の平均粒
径の実験データについて、図2〜図4に示す。こられの
ことから、上記条件で処理した分散水溶液中の一次粒子
として、ゼオライトについては平均的に単粒子状態で存
在し、非晶質については単粒子から複数個の粒子が凝集
した状態で存在していると判断できる。そして、これら
各分散水溶液中に各種繊維素材を浸漬するが、ここで用
いた繊維素材としては、綿(金巾、密度;縦75本/i
n、横59本/in、96.5g/m2)、ポリエステ
ル(トロピカル、密度;縦76本/in、横68本/i
n、115g/m2)、アクリル(モスリン、密度;縦
68本/in、横58本/in)を採用し、さらにこれ
ら繊維素材に、予めカチオン性の高分子活性剤を用いて
カチオンが繊維素材に担持されるよう前処理を施したも
のを用いた。また、浸漬の条件としては、繊維素材に対
する分散水溶液の浴比1:30、温度60〜70℃、浸
漬時間10分間とした。そしてこの様に浸漬処理した各
繊維素材を、ロールで圧搾して絞り率100%となるよ
う絞り、このものを80℃にて10分間乾燥させ、さら
に140℃で3分間加熱プレス処理を施してから、湯
洗、水洗をそれぞれ10分間行い、これによつて、超微
粒子アルミノ硅酸塩が担持された繊維素材[A]〜
[K]を作成した。尚、これら実験をするにあたり、超
微粒子アルミノ硅酸塩がない以外は全く同様の処理をし
てブランクを作成した。
【0012】[実験2]実験1で作成した繊維素材
[A]〜[K]について、超微粒子アルミノ硅酸塩の付
着量を測定した。これらの測定結果のうち、生成物
[A][D][F][G][H]をポリエステル、綿、
アクリルにそれぞれを担持させた繊維素材の超微粒子ア
ルミノ硅酸塩の付着量を図5の表図に示す。この付着量
は、基本的には、繊維素材の付着前と付着後の重量差に
よつて算出されるが、その場合に、繊維素材自体の減量
も考えられ、そこで、超微粒子アルミノ硅酸塩がない以
外は全く同様の処理をしてブランクを作成し、このもの
の減量を換算して、繊維素材10gに対する超微粒子ア
ルミノ硅酸塩の付着量(mg)を算出した。これらの測
定結果から、超微粒子アルミノ硅酸塩の平均粒径が略
0.04〜1.5μmで、分散水溶液中の平均粒径が
0.1〜1.5μmとなる生成物[A][D][F]
は、担持せしめる繊維素材の種類によつて付着量に差異
はあるものの、分散水溶液中の平均粒径が2.334μ
mとなる生成物[G]と比べて約2倍程度、分散水溶液
中における平均粒径が3.506μmとなる生成物
[H]に比べて約3倍程度の付着量であることが認めら
れる。このことから、繊維素材に超微粒子アルミノ硅酸
塩を付着させる場合には、平均粒径が0.04〜1.5
μmの超微粒子アルミノ硅酸塩の分散水溶液を用いるこ
とが好ましく、これは、平均粒径が1.5μm以上のも
のは、繊維素材に形成される細孔に取り込まれづらいた
めと推考される。
【0013】[実験3]実験1で作成した繊維素材
[A]〜[K]を、「KIS−L−0217の別表の洗
い方103法」に記載される洗濯方法に準じて洗濯した
ものについて、繊維素材への超微粒子アルミノ硅酸塩の
付着量の変化を測定し、これによつて洗濯による超微粒
子アルミノ硅酸塩の繊維素材からの離脱について検討し
た。この場合に、洗濯していないもの、5回洗濯したも
の、10回洗濯したものについてそれぞれ付着量変化を
測定した。これらの測定結果のうち、ポリエステルに生
成物[D][Zn−E][H][Zn−H]をそれぞれ
付着させたもの、綿に生成物[Zn−D][F]をそれ
ぞれ付着させたもの、アクリルに生成物[Ag−D]を
付着させたものについて図6〜図10にそれぞれ示す
が、その測定は、超微粒子アルミノ硅酸塩がゼオライト
である場合、X線回析したときに、凡そ6.25度の回
析角度のところに顕著な吸収ピークが発生し、そこでこ
のピーク量変化を観測することで、洗濯を繰り返す過程
での超微粒子アルミノ硅酸塩の付着量変化をみた。これ
らの測定結果から、繊維素材[D][Zn−D][Ag
−D][Zn−E]は、10回洗濯すると若干付着量が
減少するものの、少なくとも80%程度は残留してお
り、洗濯に強いことが判明する。これに対し、繊維素材
[F]は、5回の洗濯で50%程度、10回の洗濯では
30%程度しか残留しておらず、また、繊維素材[H]
[Zn−H]は、5回の洗濯で20%程度残留している
だけで、10回洗濯すると殆ど離脱してしまい、洗濯に
対する耐久性が弱いことが判明する。このことから、繊
維素材に超微粒子アルミノ硅酸塩を担持させるにあた
り、洗濯に対する耐久性を配慮すると、平均粒径が0.
04〜1.0μmの超微粒子アルミノ硅酸塩を用いるこ
とが好ましい。尚、前記X線回析したときのピーク量変
化は、株式会社マック・サイエンス社製の全自動X線回
析装置MXP3型を用いて測定した。
【0014】[実験4]実験1で作成した繊維素材
[A]〜[K]の抗菌性能について検討した。この抗菌
性能の検討にあたり、まず予備実験として、超微粒子ア
ルミノ硅酸塩そのものの抗菌性試験を行つた。この予備
実験の試料としては、前記合成した超微粒子アルミノ硅
酸塩のうち、生成物[Ag−A][Ag−D][Ag−
H][Ag−K][Zn−D][Zn−H][Zn−
K][Cu−D][Cu−H][Cu−K]を用い、ま
た試験の手法としては、各試料0.5gを5mlの滅菌
水に懸濁したものを、段階稀釈してそれらの1mlをそ
れぞれ滅菌シヤーレに取り、9mlの標準寒天培地を加
えて均一な平板とし、黄色ブドウ状球菌(Staphy
lococcus aureusのFDA209p株)
の懸濁液(約106個/mlの生菌)約0.05mlを
塗布し、25℃で36W白色蛍光灯2本より1.4mの
距離に9時間置き、その後30℃で2日間培養して、菌
の発育最少阻止濃度(MIC)を調べた。この予備実験
の結果を図11の表図に示す。これによると、銅置換生
成物よりも亜鉛置換生成物のほうが、さらに亜鉛置換生
成物よりも銀置換生成物の方が抗菌性に優れており、ま
た、銀、銅置換生成物同志を比較すると、平均粒径が小
さい生成物[A][D][K]の置換生成物の方が、粒
径の大きい生成物[H]の置換生成物よりも抗菌性に優
れていることが判明する。次いで、超微粒子アルミノ硅
酸塩が担持された繊維素材の抗菌性試験を行つたが、こ
の実験の試料としては、生成物[Ag−A][Ag−
D][Zn−D][Ag−H]を綿、ポリエステル、ア
クリルにそれぞれ担持せしめた繊維素材、さらにこれら
を洗濯したものを用いた。また、実験の手法としては、
シエークフラスコ法(「繊維製品衛生加工協議会」発行
の「抗菌防臭加工製品の加工評価試験」参照)に準じて
行つたが、培養する試験菌体としては黄色ブドウ状球菌
を用い、寒天培地にて37℃で48時間培養した後にコ
ロニー数を計測して滅菌率を求めた。この実験結果を図
12の表図に示す。これによると、繊維素材[Ag−
A][Ag−D]は何れの場合も100%という優れた
滅菌率を示し、また、繊維素材[Zn−D]は、洗濯に
よつて若干減少する傾向があるものの50%程度の滅菌
率を示している。これに対し、繊維素材[Ag−H]に
ついては、洗濯していない場合は50〜60%の滅菌率
であるが、5回の洗濯で著しく滅菌率が減少してしまう
ことが認められる。このことより、同じ生成物[D]の
置換生成物である[Ag−D]と[Zn−D]とを比較
すると、銀置換生成物である[Ag−D]の方が銅置換
生成物である[Zn−D]よりも優れた抗菌性を有して
いることが判明し、これは前記予備実験の結果とも一致
することになる。また、銀置換生成物同志を比較する
と、繊維素材[Ag−A][Ag−D]は、優れた抗菌
性を有していると共に、10回洗濯しても滅菌率が減少
しない。これに対し、繊維素材[Ag−H]は、繊維素
材[Ag−A][Ag−D]と比べて滅菌率が低く、し
かも洗濯によつてさらに滅菌率が減少してしまうことが
判明する。これは、前記予備実験から明らかになつたよ
うに、粒径の大きな超微粒子アルミノ硅酸塩は、それ自
身が粒径の小さなものと比べて抗菌性に劣ることに加え
て、前記実験2および実験3で明らかになつたように、
粒径の大きなものは、繊維素材に対する付着量が低く、
しかも洗濯によつて容易に離脱してしまうことが起因す
るものと推考される。
【0015】[実験5]実験1で作成した繊維素材
[A]〜[K]について、吸着性能を検討した。この吸
着性能の検討にあたり、まず予備実験として、超微粒子
アルミノ硅酸塩そのものの吸着性試験を行つた。この予
備実験の試料としては、前記合成した超微粒子アルミノ
硅酸塩のうち、生成物[A][B][D][I][J]
[K]を用いた。また試験の手法としては、まず前処理
として各試料を400℃で1.5時間加熱した後270
℃で60時間脱気し、その後、日本ベル株式会社製の水
蒸気吸着装置BFLSORP18を用いて、20℃にお
ける二酸化炭素(CO2)の吸着量を測定した。その測
定結果を図13に示す。これにより、まずゼオライトY
である生成物[B][D]およびその先駆体である生成
物[A]について、またゼオライトXである生成物
[I][J]について比較検討すると、同じゼオライト
の型であれば、結晶化度が高くなるに従つて吸着量が増
加することが判明した。また、結晶化度が99.0%以
上でゼオライトの型がそれぞれ異なる生成物[D]
[J][K]について比較検討すると、ゼオライトYで
ある生成物[D]とゼオライトXである生成物[J]は
略同じ吸着性能を有するが、ゼオライトAである生成物
[K]はY、X型のものよりも劣ることが判明した。次
いで、超微粒子アルミノ硅酸塩が担持された繊維素材に
ついて、CO2吸着性能の試験を行つたが、その手法
は、前記予備実験と同様に、前処理として試料を400
℃で1.5時間加熱した後270℃で60時間脱気した
ものを、水蒸気吸着装置BFLSORP18を用いて、
20℃における吸着量を調べた。また、実験の試料とし
ては、前記予備実験を考慮して、担持される超微粒子ア
ルミノ硅酸塩としては結晶化度が高いゼオライトYを採
用することとし、そこで、生成物[D][Zn−E]
[H]をポリエステルに担持せしめたもの、およびこれ
を前記実験3と同じ手法で5回洗濯したものを用いた。
この実験結果を図14に示す。これによると、繊維素材
[D][Zn−E]は、何れもブランクに比して凡そ
1.5倍の吸着性能を有し、しかも洗濯をしても吸着性
能は殆ど減少しないことが判明した。これに対し、繊維
素材[H]は、前記[D][Zn−E]を担持せしめた
ものと比べて吸着性能が劣り、しかも洗濯によつて著し
く吸着性能が低下することが判明した。このことより、
結晶化度が高く、かつ平均粒径が1.0μm以下の超微
粒子アルミノ硅酸塩を担持せしめた繊維素材が、優れた
CO2吸着性能を有し、しかも洗濯にも強いことが確認
された。さらに、超微粒子アルミノ硅酸塩が担持された
繊維素材について、水蒸気(H2O)の吸着性能の試験
を行つたが、その手法は、前記CO2吸着性能の試験と
同様に、前処理として試料を400℃で1.5時間加熱
した後270℃で60時間脱気したものを、水蒸気吸着
装置BFLSORP18を用いて、20℃における吸着
量を調べた。また、実験の試料としては、生成物[D]
[Zn−E][H]をポリエステルに担持せしめたもの
を用いた。この実験結果を図15に示すが、これによる
と、繊維素材[D][Zn−E]は、ブランクに比して
相対圧(=絶対圧/飽和蒸気圧)0.2で凡そ2倍の吸
着性能を有するが、繊維素材[H]はこれよりも吸着性
能が劣ることが判明し、このことから、H2O吸着性能
についても、平均粒径が1.0μm以下の超微粒子アル
ミノ硅酸塩を担持せしめた繊維素材が優れた吸着性能を
有することが確認された。
【図面の簡単な説明】
【図1】生成物の結晶化度、平均粒径、分散水溶液中の
平均粒径を示す表図である。
【図2】分散水溶液中の平均粒径の実験データを示す図
である。
【図3】分散水溶液中の平均粒径の実験データを示す図
である。
【図4】分散水溶液中の平均粒径の実験データを示す図
である。
【図5】繊維素材に担持された超微粒子アルミノ硅酸塩
の付着量を示す表図である。
【図6】洗濯による超微粒子アルミノ硅酸塩の付着量変
化を示すチヤート図である。
【図7】洗濯による超微粒子アルミノ硅酸塩の付着量変
化を示すチヤート図である。
【図8】洗濯による超微粒子アルミノ硅酸塩の付着量変
化を示すチヤート図である。
【図9】洗濯による超微粒子アルミノ硅酸塩の付着量変
化を示すチヤート図である。
【図10】洗濯による超微粒子アルミノ硅酸塩の付着量
変化を示すチヤート図である。
【図11】抗菌性の予備実験を示す表図である。
【図12】滅菌率を示す表図である。
【図13】CO2吸着性能の予備実験を示すグラフ図で
ある。
【図14】CO2吸着性能を示すグラフ図である。
【図15】H2O吸着性能を示すグラフ図である。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年9月9日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0002
【補正方法】変更
【補正内容】
【0002】
【従来技術及び発明が解決しようとする課題】一般に、
ゼオライト等の超微粒子アルミノ硅酸塩(アルミノシリ
ケイト)は、下記に示す化学式で示される多孔質物質で
あり、それがゼオライトである場合に、A型、X型、Y
型、ZSM−5型等のものが代表的なものとして知られ
ている。そして、これら超微粒子アルミノ硅酸塩は、イ
オン交換、吸着、触媒、分子篩、抗菌等の各種の有用な
機能を有しており、必要において使い分けられている。
【化1】 この様なアルミノ硅酸塩を、合成、天然、人造の繊維素
材に担持させ、これら素材に前記機能を備えることが試
みられている。ところが従来、これらアルミノ硅酸塩を
担持させる手法としては、バインダーを用いて素材に担
持させたり、アルミノ硅酸塩が練り込まれ(混合され)
た樹脂素材を形成し、このものから繊維素材を製造して
いたが、前者のものでは、バインダーが別途必要である
うえ、前記機能を発揮するうえで重要なアルミノ硅酸塩
の多孔質表面がバインダーに覆われたりすることになつ
て有効表面積を広く確保できないという問題があり、ま
た、後者のものでは、天然繊維等の如く練り込むことが
できないものには用いることができないうえ、樹脂材内
に取り込まれて多孔質表面が露出しないものがあつて、
この場合にも有効表面積を広く確保できないという問題
がある。何れにしろこれらのものは、充分な機能を発揮
させるには多量のアルミノ硅酸塩が必要となるが、そう
すると、各樹脂素材が持つ特性が損なわれることになつ
てしまうという問題がある。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正内容】
【0010】尚、生成物[A]の平均粒径は日本電子株
式会社製の電子顕微鏡KFM4000FX型とT−33
0A型とで観測した測定結果であり、それ以外の生成物
および後述する水溶液中での超微粒子アルミノ硅酸塩の
平均粒径は、株式会社島津製作所製のレーザ回式粒度
分布測定装置SAL−2000を用いての測定結果、
また、結晶化度は、株式会社マック・サイエンス社製の
全自動X線回装置MXP3型を用いての測定結果であ
る。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正内容】
【0013】[実験3]実験1で作成した繊維素材
[A]〜[K]を、「KIS−L−0217の別表の洗
い方103法」に記載される洗濯方法に準じて洗濯した
ものについて、繊維素材への超微粒子アルミノ硅酸塩の
付着量の変化を測定し、これによつて洗濯による超微粒
子アルミノ硅酸塩の繊維素材からの離脱について検討し
た。この場合に、洗濯していないもの、5回洗濯したも
の、10回洗濯したものについてそれぞれ付着量変化を
測定した。これらの測定結果のうち、ポリエステルに生
成物[D][Zn−E][H][Zn−H]をそれぞれ
付着させたもの、綿に生成物[Zn−D][F]をそれ
ぞれ付着させたもの、アクリルに生成物[Ag−D]を
付着させたものについて図6〜図10にそれぞれ示す
が、その測定は、超微粒子アルミノ硅酸塩がゼオライト
である場合、X線解析したときに、凡そ6.25度の回
角度のところに顕著な吸収ピークが発生し、そこでこ
のピーク量変化を観測することで、洗濯を繰り返す過程
での超微粒子アルミノ硅酸塩の付着量変化をみた。これ
らの測定結果から、繊維素材[D][Zn−D][Ag
−D][Zn−E]は、10回洗濯すると若干付着量が
減少するものの、少なくとも80%程度は残留してお
り、洗濯に強いことが判明する。これに対し、繊維素材
[F]は、5回の洗濯で50%程度、10回の洗濯では
30%程度しか残留しておらず、また、繊維素材[H]
[Zn−H]は、5回の洗濯で20%程度残留している
だけで、10回洗濯すると殆ど離脱してしまい、洗濯に
対する耐久性が弱いことが判明する。このことから、繊
維素材に超微粒子アルミノ硅酸塩を担持させるにあた
り、洗濯に対する耐久性を配慮すると、平均粒径が0.
04〜1.0μmの超微粒子アルミノ硅酸塩を用いるこ
とが好ましい。尚、前記X線解析したときのピーク量変
化は、株式会社マック・サイエンス社製の全自動X線回
装置MXP3型を用いて測定した。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正内容】
【0014】[実験4]実験1で作成した繊維素材
[A]〜[K]の抗菌性能について検討した。この抗菌
性能の検討にあたり、まず予備実験として、超微粒子ア
ルミノ硅酸塩そのものの抗菌性試験を行つた。この予備
実験の試料としては、前記合成した超微粒子アルミノ硅
酸塩のうち、生成物[Ag−A][Ag−D][Ag−
H][Ag−K][Zn−D][Zn−H][Zn−
K][Cu−D][Cu−H][Cu−K]を用い、ま
た試験の手法としては、各試料0.5gを5mlの滅菌
水に懸濁したものを、段階稀釈してそれらの1mlをそ
れぞれ滅菌シヤーレに取り、9mlの標準寒天培地を加
えて均一な平板とし、黄色ブドウ状球菌(Staphy
lococcus aureusのFDA209p株)
の懸濁液(約106個/mlの生菌)約0.05mlを
塗布し、25℃で36W白色蛍光灯2本より1.4mの
距離に9時間置き、その後30℃で2日間培養して、菌
の発育最少阻止濃度(MIC)を調べた。この予備実験
の結果を図11の表図に示す。これによると、銅置換生
成物よりも亜鉛置換生成物のほうが、さらに亜鉛置換生
成物よりも銀置換生成物の方が抗菌性に優れており、ま
た、銀、銅置換生成物同志を比較すると、平均粒径が小
さい生成物[A][D][K]の置換生成物の方が、粒
径の大きい生成物[H]の置換生成物よりも抗菌性に優
れていることが判明する。次いで、超微粒子アルミノ硅
酸塩が担持された繊維素材の抗菌性試験を行つたが、こ
の実験の試料としては、生成物[Ag−A][Ag−
D][Zn−D][Ag−H]を綿、ポリエステル、ア
クリルにそれぞれ担持せしめた繊維素材、さらにこれら
を洗濯したものを用いた。また、実験の手法としては、
シエークフラスコ法(「繊維製品衛生加工協議会」発行
の「抗菌防臭加工製品の加工評価試験」参照)に準じて
行つたが、培養する試験菌体としては黄色ブドウ状球菌
を用い、寒天培地にて37℃で48時間培養した後にコ
ロニー数を計測して滅菌率を求めた。この実験結果を図
12の表図に示す。これによると、繊維素材[Ag−
A][Ag−D]は何れの場合も100%という優れた
滅菌率を示し、また、繊維素材[Zn−D]は、洗濯に
よつて若干減少する傾向があるものの50%程度の滅菌
率を示している。これに対し、繊維素材[Ag−H]に
ついては、洗濯していない場合は50〜60%の滅菌率
であるが、5回の洗濯で著しく滅菌率が減少してしまう
ことが認められる。このことより、同じ生成物[D]の
置換生成物である[Ag−D]と[Zn−D]とを比較
すると、銀置換生成物である[Ag−D]の方が亜鉛
換生成物である[Zn−D]よりも優れた抗菌性を有し
ていることが判明し、これは前記予備実験の結果とも一
致することになる。また、銀置換生成物同志を比較する
と、繊維素材[Ag−A][Ag−D]は、優れた抗菌
性を有していると共に、10回洗濯しても滅菌率が減少
しない。これに対し、繊維素材[Ag−H]は、繊維素
材[Ag−A][Ag−D]と比べて滅菌率が低く、し
かも洗濯によつてさらに滅菌率が減少してしまうことが
判明する。これは、前記予備実験から明らかになつたよ
うに、粒径の大きなアルミノ硅酸塩は、それ自身が粒径
の小さなものと比べて抗菌性に劣ることに加えて、前記
実験2および実験3で明らかになつたように、粒径の大
きなものは、繊維素材に対する付着量が低く、しかも洗
濯によつて容易に離脱してしまうことが起因するものと
推考される。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正内容】
【0015】[実験5]実験1で作成した繊維素材
[A]〜[K]について、吸着性能を検討した。この吸
着性能の検討にあたり、まず予備実験として、超微粒子
アルミノ硅酸塩そのものの吸着性試験を行つた。この予
備実験の試料としては、前記合成した超微粒子アルミノ
硅酸塩のうち、生成物[A][B][D][I][J]
[K]を用いた。また試験の手法としては、まず前処理
として各試料を400℃で5時間脱気し、その後、日本
ベル株式会社製の水蒸気吸着装置BLSORP18を
用いて、20℃における二酸化炭素(CO2)の吸着量
を測定した。その測定結果を図13に示す。これによ
り、まずゼオライトYである生成物[B][D]および
その先駆体である生成物[A]について、またゼオライ
トXである生成物[I][J]について比較検討する
と、同じゼオライトの型であれば、結晶化度が高くなる
に従つて吸着量が増加することが判明した。また、結晶
化度が99.0%以上でゼオライトの型がそれぞれ異な
る生成物[D][J][K]について比較検討すると、
ゼオライトYである生成物[D]とゼオライトXである
生成物[J]は略同じ吸着性能を有するが、ゼオライト
Aである生成物[K]はY、X型のものよりも劣ること
が判明した。次いで、超微粒子アルミノ硅酸塩が担持さ
れた繊維素材について、CO2吸着性能の試験を行つた
が、その手法は、前記予備実験と同様に、前処理として
200℃で15時間脱気したものを、水蒸気吸着装置B
LSORP18を用いて、20℃における吸着量を調
べた。また、実験の試料としては、前記予備実験を考慮
して、担持される超微粒子アルミノ硅酸塩としては結晶
化度が高いゼオライトYを採用することとし、そこで、
生成物[D][Zn−E][H]をポリエステルに担持
せしめたもの、およびこれを前記実験3と同じ手法で5
回洗濯したものを用いた。この実験結果を図14に示
す。これによると、繊維素材[D][Zn−E]は、何
れもブランクに比して凡そ1.5倍の吸着性能を有し、
しかも洗濯をしても吸着性能は殆ど減少しないことが判
明した。これに対し、繊維素材[H]は、前記[D]
[Zn−E]を担持せしめたものと比べて吸着性能が劣
り、しかも洗濯によつて著しく吸着性能が低下すること
が判明した。このことより、結晶化度が高く、かつ平均
粒径が1.0μm以下の超微粒子アルミノ硅酸塩を担持
せしめた繊維素材が、優れたCO2吸着性能を有し、し
かも洗濯にも強いことが確認された。さらに、超微粒子
アルミノ硅酸塩が担持された繊維素材について、水蒸気
(H2O)の吸着性能の試験を行つたが、その手法は、
前記CO2吸着性能の試験と同様に、前処理として20
0℃で15時間脱気したものを、水蒸気吸着装置B
SORP18を用いて、20℃における吸着量を調べ
た。また、実験の試料としては、生成物[D][Zn−
E][H]をポリエステルに担持せしめたものを用い
た。この実験結果を図15に示すが、これによると、繊
維素材[D][Zn−E]は、ブランクに比して相対圧
(=絶対圧/飽和蒸気圧)0.2で凡そ2倍の吸着性能
を有するが、繊維素材[H]はこれよりも吸着性能が劣
ることが判明し、このことから、H2O吸着性能につい
ても、平均粒径が1.0μm以下の超微粒子アルミノ硅
酸塩を担持せしめた繊維素材が優れた吸着性能を有する
ことが確認された。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平均粒径が0.04〜1.5マイクロメ
    ータのゼオライトおよび/または該ゼオライトの先躯体
    である非晶質物質からなる超微粒子アルミノ硅酸塩を分
    散処理してなる水溶液に、繊維素材を浸すことに基づき
    生成される超微粒子アルミノ硅酸塩が担持された繊維素
    材。
  2. 【請求項2】 請求項1において、超微粒子アルミノ硅
    酸塩は、水溶性ポリマーを含んだ水溶液溶媒中で合成さ
    れるゼオライトおよび/または該ゼオライトの先駆体で
    ある非晶質物質であることを特徴とする超微粒子アルミ
    ノ硅酸塩が担持された繊維素材。
  3. 【請求項3】 平均粒径が0.04〜1.5マイクロメ
    ータのゼオライトおよび/または該ゼオライトの先躯体
    である非晶質物質からなる超微粒子アルミノ硅酸塩を分
    散処理してなる水溶液に、繊維素材を浸すことに基づき
    生成される超微粒子アルミノ硅酸塩が担持された繊維素
    材を抗菌性繊維素材としたことを特徴とする超微粒子ア
    ルミノ硅酸塩が担持された繊維素材。
  4. 【請求項4】 平均粒径が0.04〜1.5マイクロメ
    ータのゼオライトからなる超微粒子アルミノ硅酸塩を分
    散処理してなる水溶液に、繊維素材を浸すことに基づき
    生成される超微粒子アルミノ硅酸塩が担持された繊維素
    材を吸着機能を備えた機能性繊維素材としたことを特徴
    とする超微粒子アルミノ硅酸塩が担持された繊維素材。
  5. 【請求項5】 平均粒径が0.04〜1.5マイクロメ
    ータのゼオライトおよび/または該ゼオライトの先躯体
    である非晶質物質からなる超微粒子アルミノ硅酸塩を水
    溶液中で分散処理し、該処理された水溶液に繊維素材を
    浸すことに基づいて生成する超微粒子アルミノ硅酸塩を
    繊維素材に担持させる方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH1067514A (ja) * 1996-08-22 1998-03-10 Catalysts & Chem Ind Co Ltd フォージャサイト型ゼオライトおよびその製造方法
JP2009155187A (ja) * 2007-12-28 2009-07-16 Jgc Catalysts & Chemicals Ltd コロイド状フォージャサイト型ゼオライトおよびその合成方法
JP2011509903A (ja) * 2007-12-20 2011-03-31 スサ・エス・アー 凝集ゼオライト吸着材、それらの調製方法およびそれらの使用

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