JPH0741311B2 - 大径ステンレス角形鋼管の製造方法 - Google Patents

大径ステンレス角形鋼管の製造方法

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JPH0741311B2
JPH0741311B2 JP20556791A JP20556791A JPH0741311B2 JP H0741311 B2 JPH0741311 B2 JP H0741311B2 JP 20556791 A JP20556791 A JP 20556791A JP 20556791 A JP20556791 A JP 20556791A JP H0741311 B2 JPH0741311 B2 JP H0741311B2
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stainless steel
steel pipe
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和巧 卯目
正男 辻
攻 平野
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、耐食性および意匠性
を要求されるようなところに使用される建築構造用の、
断面が四辺形の大径ステンレス角形鋼管の製造方法に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】現在、断面四辺形のステンレス角形鋼管
は、それほど一般的ではないが、今後、徐々にその需要
は増加する傾向にあると思われる。
【0003】UOEプロセス、または、他のプロセスに
よって製造された断面円形の大径ステンレス鋼管から、
断面四辺形の大径ステンレス角形鋼管を製造する方法と
して、従来から、冷間でのロール成形がある。また、
冷間でのプレス方式+溶接(1シームまたは2シー
ム)も考えられる。さらに、特願平1-289,130 号に
は、温間での角成形もみられる。
【0004】上述した、からは、いずれも、冷間ま
たは温間で加工する方法である。従って、オーステナイ
ト型ステンレス(SUS 304 、SUS 316 等のSUS 300 汎用
シリーズ)からなる角形鋼管の場合、下記の問題点が考
えられる。 加工度が上がるに従って、加工硬化する。特に、加
工硬化は、コーナーR部に多く見られる。これにより、
降伏比(YR)、即ち、{降伏強度(YS)/引張り強度(T
S)}が上昇する。また、成形中に硬化して、寸法精度
が下降する。上記現象は、特に、コーナーR部に多くみ
られる。また、加工硬化すると、耐食性が一般に劣化す
る。 後に、溶接工程が入る場合には、その熱サイクル
(多重サイクルも有り得る)によって、耐食性が劣化す
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】大径ステンレス角形鋼
管においては、上述したような、冷間加工による、加工
硬化、および、溶接熱サイクルによる耐食性の劣化が懸
念となっている。
【0006】従って、この発明の目的は、UOEプロセ
ス、または、他のプロセスによって製造された断面円形
の大径ステンレス鋼管を、上述したような、冷間加工に
よる加工硬化、および、溶接熱サイクルによる耐食性の
劣化を発生させないで断面四辺形の角形鋼管に製造する
ことができる、大径ステンレス角形鋼管の製造方法を提
供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上述したように、従来技
術の問題点を解決するには、熱間成形と溶体化処理とを
組み合わせること、即ち、ステンレス鋼を溶接後、溶体
化処理すれば、耐食性改善に効果があることは既に公知
である。このことから、我々は、下記の知見を得た。即
ち、熱間におけるロール成形前の加熱温度を、そのステ
ンレス鋼の溶体化温度とすること、および、熱間ロール
成形によって角形形状に成形した直後に、鋭敏化防止の
ために、速やかに水冷によって急冷することにより、耐
食性に優れ、且つ、良好な寸法精度を有する大径ステン
レス角形鋼管を製造することができる。
【0008】この発明は、上述の知見に基づいてなされ
たものであって、断面円形のステンレス鋼管を誘導加熱
装置に導き、前記ステンレス鋼管をその軸線方向に移送
しながら、前記誘導加熱装置によって、前記ステンレス
鋼管の溶体化温度まで加熱し、次いで、加熱した前記ス
テンレス鋼管を、前記誘導加熱装置の出側に設けられ
た、同一垂直面上に、前記ステンレス鋼管の上下方向お
よび左右方向に接触するように配置された、上下および
左右一対の、2段以上の成形ロールを通して断面角形の
形状に熱間成形し、次いで、前記成形ロールの出側に配
置された冷却手段によって、前記ステンレス鋼管を急冷
することに特徴を有するものである。
【0009】次に、この発明の大径ステンレス角形鋼管
の製造方法について説明する。 大径:この発明の大径ステンレス角形鋼管の製造方法に
おいて、大径とは、角形鋼管の断面の四辺形の1辺、即
ち、径が、350 mm以上のものをいう。
【0010】ステンレス:ステンレスは、SUS 304(L)、
SUS 304 、SUS 316(L)、SUS 316 等、主としてオーステ
ナイト系の300 シリーズを使用することが好ましい。し
かしながら、必ずしもこれに限定されるものではなく、
建築構造用としての使用環境に合ったステンレスが使用
可能である。
【0011】UOEプロセス:この発明に使用される断
面円形のステンレス鋼管(素管)は、UOEプロセスに
よって、製造することが好ましい。その理由は、UOE
は、断面円形の大径ステンレス鋼管を製造しやすいプロ
セスであること、および、鋼管の長さを、12から18mの
長尺に製造可能であり、寸法精度も比較的良好であるこ
とによる。ただし、UOEプロセスによって製造するこ
とに限定されるものではない。
【0012】誘導加熱装置:この発明の製造方法は、断
面円形のステンレス鋼管を、誘導加熱装置により、加熱
する。その理由は、工業的に早く(短時間で)昇熱した
いこと、および、出来るかぎり軟化ゾーンを小さくと
り、鋼管の変形を防止したいことによる。誘導加熱装置
でなく、雰囲気炉内加熱を使用した場合、全体加熱の
為、鋼管の真円度の確保が非常に困難である。
【0013】溶体化温度:溶体化温度は、JIS G 4304
「熱間圧延ステンレス鋼板」に規定されている温度とす
る。例えば、SUS 304(L)および SUS 316(L) の溶体化温
度は、1010から1150℃である。なお、温度保持時間は、
鋼管の搬送スピードに依存するが、10秒以上とすること
が必要である。断面円形のステンレス鋼管を誘導加熱装
置内において加熱後、成形ロールに到達するまで、およ
び、成形ロールにおいて角形に成形中において、その温
度が下がってくるが、ステンレスが有する鋭敏化温度
(オーステナイト系の場合は、約800 ℃)に到達するま
でに、角形成形を終了することが望ましい。
【0014】成形ロールにおける成形:断面円形のステ
ンレス鋼管を、一挙に断面四辺形の角形にすることは困
難である。従って、上下および左右一対の、2段以上の
成形ロールが必要である。図1から図4は、この発明の
1実施態様を示す図である。図1から図3は断面円形の
ステンレス鋼管を角形鋼管に成形する状況を示す正面
図、図4はこの発明の製造方法の概略工程図である。図
面において、1は断面円形のステンレス鋼管の素管、1a
は断面円形のステンレス鋼管、1bはステンレス角形鋼
管、2および3は成形ロール、4はプッシャー、5は拘
束ロール、6は誘導加熱炉(誘導加熱装置)、7は水冷
リングである。図2に示す、(1+n)段目の成形ロール2
は、同一垂直面上で、鋼管の上下および左右方向と接触
するように配置された、カリバーをつけた上下左右のカ
リバーロール2aから構成されている。ここで、(1+n)に
おいて、nは0以上の整数である。図3に示す最終段の
成形ロール3は、同一垂直面上で、鋼管の上下および左
右方向と接触するように配置された、上下左右のフラッ
トロール3aから構成されている。また、溶接シームにあ
たるロール2aおよび3aは、溝付きである。
【0015】冷却手段:急冷は水冷によって行われる。
成形ロール2および3によって成形されたステンレス鋼
管1は、成形後、直ちに水冷リング(冷却ノズル)によ
って、ムラなく水冷する。冷却方法は、外面冷却または
内外面冷却とする。冷却速度は、800 から400 ℃まで、
平均冷却速度で、空冷以上の冷却速度、即ち、0.5 ℃/
秒以上あることが好ましい。
【0016】ステンレス表面処理:ステンレス表面処理
として、ステンレスショット、ブラッシング、バフ研磨
処理等の処理を、用途により採用することができる。勿
論、酸洗処理も、ステンレス角形鋼管の表面処理として
実施することができる。
【0017】
【実施例】次に、この発明を、実施例によって、更に、
詳細に説明する。図4に示す装置によって、断面四辺形
の1辺の長さ(径):450 mm、厚さ:16mm、長さ:1200
0mmの寸法を有する、本発明範囲内の大径ステンレス角
形鋼管を調製した。
【0018】即ち、先ず、UOEプロセスによって断面
円形のステンレス鋼管(素管)を調製した。次いで、調
製したステンレス鋼管を、誘導加熱装置6に導き、ステ
ンレス鋼管をその軸線方向に移送しながら、ステンレス
鋼管の溶体化温度まで加熱した。次いで、加熱したステ
ンレス鋼管を2段の成形ロール2および3(1段目がカ
リバーロール2a、2段目がフラットロールの3aの2段成
形)によって角形形状に熱間成形しながら移送した。次
いで、角形形状に成形が終了した直後に水冷リング7に
よって急冷し、かくして、本発明範囲内のステンレス角
形鋼管の供試体(以下、「本発明供試体」という)を調
製した。製造諸元を、表1に示す。
【0019】次いで、調製された、本発明供試体の寸法
を測定した。その結果を表1に併せて示す。更に、図5
に示す、本発明供試体の辺部11およびコーナーR部12の
硬さを3ケ所ずつ測定した。その結果を表1に併せて示
す。
【0020】表1
【0021】なお、現状においては、SUS ステンレス角
形鋼管の寸法精度に関して、確固とした基準はないが、
例えば、日本鋼構造協会が規格した、JSS 数1 10 の S
TKの規格を例にとると、表2の如くである。
【0022】
【数1】
【0023】表2
【0024】実施例で示すように、熱間でロール
成形した、この発明方法によって製造された本発明供試
体のステンレス角形鋼管は、表2に示す規格を満足して
いる。また、コーナーR部の加工硬化が小さいことは、
上述の如き、硬さデータによって明白である。一方、本
発明は、溶体化処理を行っていることと同じであるの
で、従来のSUS ステンレス角形鋼管と比較して、耐食性
も改善されていることは明白である。
【0025】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、耐食性および意匠性を要求されるようなところに使
用することができる、良好な寸法精度を有し、且つ、耐
食性に優れる建築構造用の大径ステンレス角形鋼管を得
ることができ、かくして、工業上有用な効果が得られ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】断面円形のステンレス鋼管を角形鋼管に成形す
る状況を示す正面図
【図2】断面円形のステンレス鋼管を角形鋼管に成形す
る状況を示す正面図
【図3】断面円形のステンレス鋼管を角形鋼管に成形す
る状況を示す正面図
【図4】この発明の製造方法の概略工程図である
【図5】ステンレス角形鋼管の辺部およびコーナーR部
を示す正面図
【符号の説明】
1 ステンレス鋼管の素管 1a 断面円形のステンレス鋼管 1b ステンレス角形鋼管 2 成形ロール 2a カリバーロール 3 成形ロール 3a フラットロール 4 プッシャー 5 拘束ロール 6 誘導加熱炉 7 水冷リング 11 ステンレス角形鋼管の辺部 12 ステンレス角形鋼管のコーナーR部。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 断面円形のステンレス鋼管を誘導加熱装
    置に導き、前記ステンレス鋼管をその軸線方向に移送し
    ながら、前記誘導加熱装置によって前記ステンレス鋼管
    の溶体化温度まで加熱し、次いで、加熱した前記ステン
    レス鋼管を、 前記誘導加熱装置の出側に設けられた、同一垂直面上
    に、前記ステンレス鋼管の上下方向および左右方向に接
    触するように配置された、上下および左右一対の、 2段以上の成形ロールを通して断面角形の形状に熱間成
    形し、次いで、前記成形ロールの出側に配置された冷却
    手段によって、前記ステンレス鋼管を急冷することを特
    徴とする、大径ステンレス角形鋼管の製造方法。
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