JPH0741269U - 熱交換器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本考案の目的は既存の熱交換器をそのまま適
用して熱交換率を向上させた新規な熱交換器を提供する
ことにある。 【構成】 本考案は一次流体Ａが流通する一次流体通路
５内に、二次流体Ｂを流通する伝熱管６を収容した熱交
換器において、その伝熱管６の内面に雌ネジ状の突起部
６ａを形成したことを特徴としている。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は原子力プラント、化学プラント等に多く用いられている熱交換器に係 り、特に、一次流体が流通する一次流体通路内に、二次流体を流通する伝熱管を 収容した熱交換器に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

従来、原子力プラント、化学プラント等には種々の熱交換器が用いられている が、この熱交換器のうち代表的なものとしてはシェル＆チューブ型熱交換器があ る。このシェル＆チューブ型熱交換器は、例えば冷却水などの低温流体からなる 一次流体を流通させる一次流体通路内に、複数の伝熱管を収容したものであり、 これら伝熱管内に、例えば原子炉から発生する蒸気等の高温流体からなる二次流 体を流して、低温流体との間で熱交換を行うものである。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

ところで、高温高圧の流体を扱うシェル＆チューブ型熱交換器の場合では、強 度を確保するために板厚の厚い伝熱管を用いる必要がある。しかしながら、この ような板厚の厚い伝熱管では、内面積が減少してしまうため、熱交換効率が低下 してしまうことになっていた。そのため、熱交換効率を上昇させるためには、こ の一次流体通路内の伝熱管自体の数を増加させることが考えられるが、この場合 では一次流体通路内における一次流体の流通抵抗が増大してしまうことから、新 たに熱交換器全体を設計し直さなければならず、コストの上昇や熱交換器自体が 大型化してしまうといった不都合を招く結果となる。

【０００４】 そこで、本考案は上記問題点を有効に解決するために案出されたものであり、 その目的は既存の熱交換器をそのまま適用して熱交換率を向上させた新規な熱交 換器を提供するものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するために本考案は、一次流体が流通する一次流体通路内に、 二次流体を流通する伝熱管を収容した熱交換器において、その伝熱管の内面に雌 ネジ状の突起部を形成したものである。

【０００６】

【作用】

本考案は上述したように、二次流体を流通させる伝熱管の内面に雌ネジ状の突 起部を形成したものであるため、伝熱管の外径及びその板厚は従来と略変わらず 、その内面積のみが増大することになる。従って、伝熱管内を流れる二次流体と 一次流体通路内を流れる一次流体との熱交換面積が増大すると共に、二次流体の 流れが乱されることになるため、一次流体との熱交換効率が向上する。また、伝 熱管の外径及びその板厚は従来と同様であるため、製作にあたって既存の熱交換 器の伝熱管のみを交換するだけで達成されるため、熱交換器自体の大型化や、強 度の低下及び新規設計によるコストの上昇が抑制される。

【０００７】

【実施例】

以下、本考案の一実施例を添付図面に基づいて詳述する。

【０００８】 図１は本考案に係る熱交換器の一実施例を示したものである。この熱交換器は シェル＆チューブ型熱交換器のうち、特にＵ字管型熱交換器と称されるものであ り、その構造は図１に示すように、二次流体入口１と二次流体出口２が設けられ たヘッダ３に、管板４を介して一次流体通路となる筒状の胴部５が設けられてい ると共に、この管板４に、胴部５内に臨んだＵ字型の伝熱管６が複数設けられ、 さらに、このヘッダ３内が仕切板７によって入口ヘッダ３ａと出口ヘッダ３ｂと に区画されると共に、胴部５の両端部に一次流体入口８と一次流体出口９が設け られている。また、伝熱管６はその両端部が開口すると共に、管板４を貫通して それぞれ入口ヘッダ３ａ及び出口ヘッダ３ｂと連通しており、入口ヘッダ３ａ内 の二次流体Ｂを出口ヘッダ３ｂ側に流すようになっている。また、胴部５内には 反径方向に延びる邪魔板１０，１０，１０がそれぞれ交互に設けられており、胴 部５内に臨んだ伝熱管６を支持すると共に、一次流体Ａを図示するように蛇行さ せて流すように制御している。また、図２に示すように、伝熱管６の内面には、 雌ネジ状の突起部６ａがその長さ方向に沿って形成されており、二次流体Ｂを乱 流させるようになっている。

【０００９】 以上において、胴部５の端部に設けられた一次流体入口８から一次流体Ａを胴 部５内に流すと共に、ヘッダ３に設けられた二次流体入口１から入口ヘッダ３ａ に二次流体Ｂを流すと、入口ヘッダ３ａに流れた二次流体Ｂは伝熱管６を通過し て出口ヘッダ３ｂに達する間に胴部５内を流れている一次流体Ａと熱交換した後 、出口ヘッダ３ｂを通って二次流体出口２からヘッダ３外へ排出され、他方の一 次流体Ａも二次流体Ｂと熱交換した後、一次流体出口９から胴部５外へ排出され ることになる。この時、伝熱管６内を流れる二次流体Ｂは、その内面に形成され た雌ネジ状の突起部６ａによって乱されて攪拌されながら流れるため、その内面 との境膜伝熱係数が高くなると共に、伝熱管６内の表面積が増大して伝熱面積が 上昇することで、一次流体Ａとの熱交換率が向上することになる。

【００１０】 このように、本考案は二次流体を流す伝熱管の内面に雌ネジ状の突起部を形成 したため、一次流体と二次流体との熱交換率を上昇させることができる。また、 伝熱管の外面は面一でかつ、その外径及び板厚は従来と略同様であるため、既存 の熱交換器の伝熱管のみを交換するだけで容易に製作することができ且つ、充分 な強度も維持できる。尚、本実施例では伝熱管の内面にのみ突起部を形成した場 合で説明したが、図３に示すように、その外面にも同様な突起部６ｂを形成して もよく、また、外面のみに突起部を形成しても上記実施例と略同様な効果が期待 できる。

【００１１】

【考案の効果】

以上要するに本考案によれば、一次流体と二次流体との熱交換率を上昇させる ことが可能となる上に、既存の熱交換器の伝熱管のみを交換するだけで容易に製 作することができ、熱交換器自体の大型化や、新規設計によるコストの上昇も抑 制される等といった優れた効果を有する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例を示す断面図である。

【図２】本考案に係る伝熱管の一実施例を示す一部破断
拡大斜視図である。

【図３】本考案に係る伝熱管の一実施例を示す一部破断
拡大斜視図である。

【符号の説明】

５ 一次流体通路 ６ 伝熱管 ６ａ 突起部 Ａ 一次流体 Ｂ 二次流体

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 一次流体が流通する一次流体通路内に、
   二次流体を流通する伝熱管を収容した熱交換器におい
   て、その伝熱管の内面に雌ネジ状の突起部を形成したこ
   とを特徴とする熱交換器。