JPH0740565U - 消臭性簡易洋服カバー - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】消臭素材で構成した洋服カバーに臭気の付着し
た衣服を収納することにより衣服の消臭を効率よく行う
消臭性簡易洋服カバーを提供することを目的とする。 【構成】前カバー２と後カバー３とから成り上方に吊り
下げ開口４を備え、下方に開放部５を設けた筒状の消臭
性簡易洋服カバー１であって、上記前カバー２と後カバ
ー３のうち少なくとも一方を消臭性繊維を含む消臭性湿
式不織布で構成した。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業状の利用分野】

本考案は、消臭機能を有する簡易洋服カバーに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

洋服カバーは、衣類の保管のために用いられるものであって、衣類への埃の付 着防止のほか、日光による変退色の防止、防虫といった機能を有することが必要 とされる。そこで従来より種々の洋服カバーが提案され、実用に供されている。 例えば、洋服カバーの内部にポケットを設け、その中に防虫剤等を入れることが できるように構成されたものは従前より良く知られている。また、最近では防虫 加工が予め施されたシート状物を用いて構成された洋服カバーが多く提案されて いる。例えば、実開平３ー６９８４１号公報、特開平３ー２７５０１３号公報に おいては、防虫加工を施した不織布を用いて構成された洋服カバーについて記載 されている。

【０００３】 また最近では、着用中に付着した臭いを衣類を保管している間に除去あるいは 衣類の保管中に臭いが付着するのを防止すべく、消臭・防臭機能をも有する洋服 カバーが提案されている。例えば、実開平５ー２６８８４号においては、殺菌、 防カビ、防ダニ以外に消臭機能をも有するカバーが提案されている。ここで示さ れている洋服カバーは、酸素や植物抽出オイル等を含有させた微粒子を含むパウ ダー層をプラスチックフィルムで挟んだシートで構成されたものである。また、 特開昭６２ー４８３５３号公報には、脱臭剤を担持した繊維の両面に防水通気性 フィルムを貼り合わせたシートを用いて洋服カバーとなすことができる旨記載さ れている。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

上述のように、消臭作用を有する洋服カバーは汎用されつつあり、場合によっ ては保管中に消臭を同時に行うという消極的な利用ではなく、むしろ積極的に衣 類を消臭させるための手段としてこれらの洋服カバーを利用するケースもある。 例えば、強い臭気の発生を伴う環境下で作業する作業員のユニホームは、１日 の作業で臭気が付着し、臭気が付着した衣服は着用時に不快感をもたらし、作業 員の作業意欲を喪失させる要因の一つとなるものである。特に、養鶏場、各種廃 棄物処理場、調理場等で作業に従事する人々のユニホームの中には、それほど汚 れが付着していなくても、強い臭気が付着するために毎日の洗濯を必要とするも のもあり、このことは作業者にとって多大な負担となっている。そのため、これ らの現場においては、作業服を入れておくロッカーに活性炭などの脱臭剤をいれ 、休憩時間や退出時に作業服の臭気をできるだけ取り除くようにしている。しか し、ロッカーがなく、大きな部屋に衣服を吊すような場合、衣服の臭気だけを効 率良く短時間で除去することは難しく、これを解決するためには多量の消臭剤も しくは大がかりな脱臭装置を必要としなければならない。

【０００５】 そこで、前述した消臭・防臭機能を有する洋服カバーを利用し、作業員が休憩 時間や退出時にユニホームにカバーをかけておき、できるだけ臭気を軽減しよう という試みがなされているのである。しかしながら、先に挙げた消臭・防臭機能 を有する洋服カバーはいずれもそのような強い臭気の除去には向いておらず、わ ずか数十分の休憩時間や作業終了時から翌朝の作業開始時までの十数時間程度で 十分な消臭を行えるものではない。

【０００６】 本考案は上記事情に鑑みて成立したものであって、消臭素材で構成した洋服カ バーに臭気の付着した衣服を収納することにより衣服の消臭を効率よく行う消臭 性簡易洋服カバーを提供するものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

前記課題を達成するために本考案の消臭性簡易洋服カバーは、前カバーと後カ バーとから成り上部に吊り下げ用の開口を有し、下部が開放された筒状の洋服カ バーであって、上記前カバーと後カバーのうち少なくとも一方が消臭性繊維を含 む消臭性湿式不織布で構成されていることを特徴とする。

【０００８】 また、他方のカバーを透明な樹脂フィルムシートで構成してもよい。

【０００９】 さらに、上記消臭性繊維が、酸化還元能を有する金属錯体を担持した繊維であ って、上記酸化還元能を有する金属錯体が金属フタロシアニン化合物であればよ い。

【００１０】 そして、上記消臭性湿式不織布が消臭性繊維と熱接着性繊維とから構成されて いてもよい。

【００１１】

【作用】

本考案の洋服カバーはその前後カバーの少なくとも一方が消臭性湿式不織布に よって構成されているので、上記前カバーと後カバーとによって形成された空間 に臭気の付着した洋服を収納すると、該衣服の臭気を短時間で分解除去する。

【００１２】 また、他方のカバーを透明な樹脂フィルムシートで構成した場合には収納した 衣服の形状、色彩が外部に透過する。

【００１３】 さらに、消臭性湿式不織布が酸化還元能を有する金属錯体を担持し、該金属錯 体が金属フタロシアニン化合物である場合は、水分の存在下で消臭作用をより効 果的に発揮する。

【００１４】 そして、上記消臭性湿式不織布が消臭性繊維と熱接着性繊維とから構成されて いる場合には熱を加えることによって他の消臭性湿式不織布もしくは熱可塑性樹 脂フィルムシートとヒートシールする。

【００１５】

【実施例】

以下、図面によって本考案の実施態様について説明する。図１において符号１ は消臭性簡易洋服カバーを示し、この洋服カバー１は前カバー２と後カバー３と で筒状に形成され上方に吊り下げ開口４が設けられるとともに、下方には開放部 ５が設けられている。

【００１６】 上記前カバー２は消臭性繊維を含む消臭性湿式不織布で構成されている。この 湿式不織布は周知の方法で製造することができ、その製造方法は特開昭６２ー７ ０００号に記載されている。

【００１７】 上記後カバー３は樹脂フィルムシートで構成され、該後カバーの両側縁と上端 縁の両側部と、上記前カバーの両側縁と上端縁の両側部とはそれぞれ縫着もしく は接着され筒状の洋服カバーを形成しているので、上記カバーの上端部には吊り 下げ開口４が形成されるとともに下端部には解放部５が形成される。

【００１８】 上述のように洋服カバー１は構成されているので、臭気の付着した洋服をハン ガーに掛けて上記洋服カバーの解放部５から挿入し、ハンガーの鈎手を吊り下げ 部４から突出させ収納ロッカーや室内に適宜に配置されたフックに吊り下げるこ とにより、洋服は消臭性湿式不織布で構成された閉鎖空間に収納されるので、洋 服に付着した臭気を分解消臭することができる。

【００１９】 なお、上記後カバー３を前カバー２と同じ消臭性湿式不織布で構成することに より消臭効果を倍加することができる。

【００２０】 また、上記樹脂フィルムシートをポリエチレン、ポリエステル、ポリプロピレ ン等の透明な樹脂フィルムシートを使用することにより洋服カバー１の外部から 内部に収納された衣服を識別できるので衣服の管理が容易にすることができる。 上記後カバー３は洋服カバー１の内部に収納された衣服を外部から識別できる程 度に透明であれば素材は樹脂フィルムシートに限定されるものではない。

【００２１】 次に、上記湿式不織布に酸化還元能を有する金属錯体を担持させることにより 消臭性湿式不織布を構成することができる。この酸化還元能を有する金属錯体と して、金属ポルフィリン、金属ポルフィラジン及びこれらの誘導体を用いるのが 好ましい。

【００２２】 上記酸化還元能を有する金属錯体は湿式不織布を作成するため、繊維に担持さ れ、消臭性繊維を形成する。金属錯体を担持する繊維は特に限定されるものでは なく、セルロース等の再生繊維、ポリビニルアルコール等の合成繊維等を用いる ことができる。特に金属フタロシアニン化合物を用いる場合、金属フタロシアニ ン化合物は水分の存在下でその消臭作用をより発揮することができるものである から、レーヨンやキュプラ等の吸湿性繊維に担持させることが望ましい。また繊 維に担持させる量は、目的とする消臭能に応じて決定することができるが、通常 、繊維に対し、１〜１０重量％担持させればよい。例えば、金属フタロシアニン 化合物をレーヨンに担持させる場合、レーヨンに対し１〜５重量％担持させれば 十分な消臭能を得ることができる。

【００２３】 また、上記酸化還元能を有する金属錯体の中で金属フタロシアニン化合物は、 悪臭の分解速度が速く分解率も高いこと、常温でも反応が進行すること、悪臭分 解反応において触媒的な働きをするものであり寿命が長いこと等の点から用いる のに最も好ましい。上記金属フタロシアニン化合物として具体的には、コバルト フタロシアニンオクタカルボン酸、コバルトフタロシアニンテトラカルボン酸、 鉄フタロシアニンオクタカルボン酸、鉄フタロシアニンテトラカルボン酸等が使 用できる。

【００２４】 次に、前カバー２の消臭性繊維を含む消臭性湿式不織布に熱接着性繊維を混合 して抄紙することが望ましい。上記熱接着性繊維はヒートシート性を考慮すると 、ポリエチレン、ポリプロピレン等の低融点成分からなる単一繊維もしくはそれ らの成分を繊維表面に有する複合繊維が好ましい。例えば、鞘／芯成分が、ポリ エチレン／ポリプロピレンやポリエチレン／ポリエステルである芯鞘型複合繊維 を使用することができる。また熱接着性繊維は、消臭性繊維１００重量部に対し て、２０〜１００重量部となるように混合されるのが望ましい。上記前カバー２ と組み合わされる後カバー３は熱可塑性樹脂フィルムシートで構成するとよい。 この熱可塑性樹脂フィルムシートは洋服カバーの内部にある衣服を識別できる程 度に透明であることが望ましく、ポリエチレン、ポリエステル、ポリプロピレン 等からなる透明な熱可塑性樹脂フィルムシートを使用することが好ましい。

【００２５】 実施例では前カバー２には消臭性繊維を一次膨潤度が約２００％、長さ１０ｍ ｍ、太さ４デニールのレーヨンステープルを鉄フタロシアニンオクタカルボン酸 の水溶液（水溶液濃度３ｇ／リットル）に浸漬した後、脱水乾燥して、鉄フタロ シアニンオクタカクボン酸がレーヨン繊維の重量に対し約２．５％担持させた消 臭性繊維を製造し、この繊維１００重量部と、芯部がポリプロピレン、鞘部がポ リエチレンからなる熱接着性の芯鞘型複合繊維５５重量部、および太さ１デニー ル、長さ３ｍｍのポリビニルアルコール系繊維状バインダ１０重量部とを分散さ せた抄紙液から丸網抄紙機により抄紙し、目付６０ｇ／ｍ ²の湿式不織布を使用 し、後カバー３にはポリエチレンフィルムを使用した。

【００２６】 上述のように前カバー２を熱接着性繊維を混合して抄紙した消臭性繊維を含む 消臭性湿式不織布で構成し、後カバー３を熱可塑性樹脂フィルムシートで構成し 、図１及び図２に示すように、この消臭性湿式不織布２と、ポリエチレンフィル ム３とを重ね合わせて型で打ち抜き、吊り下げ用の開口４が上方に、衣服の出し 入れのための開放部５が下方に存在するように周縁をヒートシールし、洋服カバ ー１となした。前カバー２と後カバー３とをヒートシール部６を介して一体化す ることができるので接着、縫着に比べて製造工程を簡略化することができるうえ 、密閉度を高めることができる。

【００２７】 この洋服カバー１を、養鶏場内で８時間作業した作業員のユニホームに被せて 放置したところ、ユニホームは約３０分後には臭気が薄らぎ、１６時間後には臭 気を全く感じない程度にまで消臭されていた。

【００２８】 上記洋服カバー１は、少なくとも吊り下げ用の開口を上方に、衣服の出し入れ のための開放部を下方、脇部、もしくは身ごろのいずれかに備えたものでなけれ ばならない。製造の容易さ、製造コストの点からは下方が開放された状態のもの が好ましい。勿論、本洋服カバーは衣類を覆うことができる形状であればよいの だから、前面や脇部に任意のファスナーが取り付けられたものであってもよいし 、特開平３ー２７５０１３号に示されているように一方の身ごろが左右の身ごろ からなり、左右の身ごろが重ね合わされた部分を開放部にして衣類の出し入れを 容易にするようなものであってもよい。

【００２９】 また、図３に示すように消臭性湿式不織布を樹脂フィルムシートに接着、縫着 またはヒートシールで一体化した前カバーと後カバーとをさらに一体化すること により樹脂フィルムシートで外部から遮断した空間に臭気の付着した衣服を収納 することができるので消臭効果を更に高めることができる。

【００３０】

【考案の効果】

請求項１によれば本考案の洋服カバーは、洋服を保管するというよりはむしろ 衣服に付着した臭気を軽減・除去するためのものである。即ち、カバーという形 態をとることによって衣服を狭い空間内に置くことができ、その結果、衣類の臭 気だけを効率良く消臭することができるのである。そして、洋服カバー自身が高 い消臭能を有する素材で構成されているから、短時間で臭気成分を分解すること ができる。従って本考案の洋服カバーは、臭気が発生しやすい環境下で作業する 人々のユニホーム等の臭気が付着した衣類を短時間で消臭するので、着用時の不 快感をなくすことができ、また洗濯等の煩わしさをも軽減するという効果を奏す る。

【００３１】 請求項２によれば、透明な樹脂フィルムシートが一方のカバーを構成している ので、洋服カバー内部の衣服の識別が容易であり、多数の衣服が吊り下げられて いる現場においても好ましく使用することができる。

【００３２】 請求項３によれば、少なくとも一方のカバーが酸化還元能を有する金属錯体を 担持させた消臭性繊維で構成されているので優れた消臭効果を発揮することがで きる。

【００３３】 請求項４によれば、酸化還元能を有する金属錯体に金属フタロシアニン化合物 を使用しているので悪臭の分解速度が速く、常温でも反応が進行し、悪臭分解反 応において触媒的な働きをして寿命が長いので、洋服カバーに収納した衣服の悪 臭を短時間に除去することができる。

【００３４】 請求項５によれば、消臭性湿式不織布が消臭性繊維と熱接着性繊維から構成さ れているので、前カバーと後カバーとをヒートシールで一体化でき、製造工程の 簡略化と効率をあげることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の消臭性簡易洋服カバーの一例を示した
図である。

【図２】図１のＡーＡ’線における断面図である。

【図３】消臭性簡易洋服カバーの他の実施例である。

【符号の説明】

１ 消臭性簡易洋服カバー ２ 前カバー ３ 後カバー ４ 吊り下げ用の開口 ５ 開放部 ６ ヒートシール部

Claims (5)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 前カバーと後カバーとから成り上方に吊
   り下げ開口を備え、下方が開放された筒状の洋服カバー
   であって、上記前カバーと後カバーのうち少なくとも一
   方が消臭性繊維を含む消臭性湿式不織布で構成されてい
   ることを特徴とする消臭性簡易洋服カバー。
2. 【請求項２】 上記前カバーと後カバーの一方が消臭性
   繊維を含む消臭性湿式不織布で構成され、他方が透明な
   樹脂フィルムシートで構成されていることを特徴とする
   請求項１記載の消臭性簡易洋服カバー。
3. 【請求項３】 上記消臭性繊維が、酸化還元能を有する
   金属錯体を担持した繊維であることを特徴とする請求項
   １項又は２項記載の消臭性簡易洋服カバー。
4. 【請求項４】 上記酸化還元能を有する金属錯体が金属
   フタロシアニン化合物であることを特徴とする請求項３
   記載の消臭性簡易洋服カバー。
5. 【請求項５】 上記消臭性湿式不織布が消臭性繊維と熱
   接着性繊維から構成されていることを特徴とする請求項
   １項、２項、３項又は４記載の消臭性簡易洋服カバー。