JPH0739492Y2 - スポット溶接用電極チップの抜脱工具 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案はスポット溶接用電極チップの抜脱工具に関す
る。

（従来の技術） 自動車製造における車体組立ての分野では、自動溶接ラ
インにおいてマルチスポット溶接機が広く使用されてい
る（昭和62年６月20日社団法人自動車技術会編集発行新
編自動車工学便覧第９編第１−42〜１−45頁参照）。

マルチスポット溶接機のスポット溶接用電極チップ（以
下、電極チップと称す）は、第３図に示すように、電極
シャンク９の裁頭円錐形状に形成されたテーパ部9aと電
極チップ10に形成したテーパ穴10aとを嵌合することに
より電極チップ10を電極シャンク９に取り付けている。
電極チップ10の交換等のために電極シャンク９より電極
チップ10を抜脱するには、電極チップ10の頂部10bを斜
め方向（矢印Ｂ方向）からハンマ（図示せず）により叩
くことにより電極シャンク９のテーパ部9aと電極チップ
10のテーパ穴10aとの嵌合力を緩め抜脱している。

（考案が解決しようとする課題） 上記従来例によると、電極シャンクのテーパ部より電極
チップを抜脱する際、電極チップをハンマにより叩くの
で、電極シャンクのテーパ部が変形し、電極チップのテ
ーパ孔と電極シャンクのテーパ部とのハメアイ精度が低
下し、溶接作業時に電極チップが脱落するたなどの原因
となり、また、電極チップの抜脱作業に熟練と時間を要
すなどの不具合がある。

従って本考案の目的は、電極チップを電極シャンクのテ
ーパ部を変形することなく容易に抜脱することができる
スポット溶接用電極チップの抜脱工具を提供することに
ある。

（課題を解決するための手段） 上記目的を達成するために、本考案のスポット溶接用電
極チップの抜脱工具は、電極シャンクのテーパ部に嵌合
する溶接用電極チップを抜脱するスポット溶接用電極チ
ップの抜脱工具において、棒状体と、棒状体に所望の間
隙を隔て相対向して設けたフランジ状の第１及び第２の
ストッパと、第１及び第２のストッパ間を往復動可能に
棒状体に遊嵌したリング状のウェイトと、棒状体の一端
にスポット溶接用電極チップの収容部となるスペーサを
介して設けられ、かつ棒状体の軸線上に軸線と直交する
板状体と、板状体に形成した係止部となる電極シャンク
のテーパ部径より大であり、かつスポット溶接用電極チ
ップより小なる径の頂部を有するＵ字形の切り欠き部と
を具備したものである。

（作用） 板状体に形成した係止部となるＵ字形の切り欠き部を電
極シャンクのテーパ部に嵌合し、かつ第１及び第２のス
トッパ間の棒状体に遊嵌したウェイトを往復動して係止
部より遠方側にあるストッパに衝打することにより、電
極チップの端部を衝撃的に押圧して電極チップを電極シ
ャンクより抜脱する。

（実施例） 以下本考案のスポット溶接用電極チップの抜脱工具の一
実施例を第１図乃至第３図によって説明する。第１図は
スポット溶接用電極チップの抜脱工具の正面図、第２図
は第１図の矢印Ｃ方向からの側面図であり、第３図は電
極シャンクと電極チップの嵌合状態を説明する一部断面
説明図である。

図中符号１は棒状体であり、棒状体１の長手方向中間部
にはフランジ状の第１のストッパ２が形成してあり、一
端にはフランジ1aが形成してある。フランジ1aには断面
コ字形のスペーサ３を介して棒状体１の軸線１と直交す
るよう板状体４が設けてあり、板状体４には第２図に示
すようにＵ字形の切り欠き部５が形成してある。切り欠
き部５の頂部の径5dは、第３図に示す電極シャンク９の
テーパ部9aの径より大で、かつ電極チップ径より小に形
成してある。

棒状体１の他端には、フランジ状の第２のストッパ６が
溶接により取り付けてある。第１のストッパ２と第２の
ストッパ６との間には棒状体１の外周に遊嵌するリング
状のウェイト８が往復動可能に設けてある。

第２のストッパ６の外方には電極チップ10の頂部10bと
嵌合する凹部7aを形成した電極チップ押し込みホルダ７
が設けてある。また棒状体１の第１ストッパ２とフラン
ジ1aとの間にはローレット加工が施され、取手部1bを形
成している。

次に、以上のように構成されたスポット溶接用電極チッ
プの抜脱工具の使用について説明する。

第３図に示すように電極シャンク９に嵌装した電極チッ
プ10を抜脱するには、棒状体１の端部に設けられた板状
体４に形成したＵ字形の切り欠き部５を第１図に示すよ
うに電極シャンク９のテーパ部9aに嵌合して、電極チッ
プ10をコ字形のスペーサ３内に収容し、取手部1bを握持
し、ウェイト８を第１のストッパ２及び第２のストッパ
６間を往復動せしめ、ウェイト８を第２のストッパ６に
繰り返し衝打する。

これにより電極シャンク９のテーパ部9aに嵌挿された電
極チップ10の端部10cに繰り返し、板状体４の内面4aが
衝撃的に圧接し、電極シャンク９のテーパ部9aより電極
チップ10を円滑に抜脱する。

一方電極チップ10を電極シャンク９に挿着するには、第
１図に示すように棒状体１の他端に設けた電極チップ押
し込みホルダ７に形成した凹部7aに電極チップ10の頂部
10bを嵌装し、電極シャンク９のテーパ部9aに電極チッ
プ10のテーパ穴10aを嵌合させる。

次に取手部1aを握持して、ウェイト８を第１のストッパ
２及び第２のストッパ６間を往復動せしめ、ウェイト８
を第２のストッパ６に繰り返し打ち付け、電極チップ押
し込みホルダ７に嵌合した電極チップ10を電極シャンク
９のテーパ9aに装着する。

（効果） 係止部となるＵ字形の切り欠き部を電極シャンクのテー
パ部に嵌合し、ウェイトをストッパに繰り返し衝打する
ことにより、電極シャンクに嵌挿した電極チップの端部
を板部材の内面が衝撃的に圧接して電極チップを電極シ
ャンクから抜脱し、また電極チップ押し込みホルダの凹
部に電極チップを嵌装し、ウェイトをストッパに衝打す
ることにより電極チップを電極シャンクに嵌挿するよう
にしたので、電極チップの脱着が容易に、かつ円滑に実
施できるとともに、電極シャンクのテーパ部を変形する
ことがないので、電極チップのテーパ孔と電極シャンク
のテーパ部のハメアイ精度の低下を招くことなく、溶接
作業時の電極チップの脱落を未然に防止できるなど実用
的効果大なるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案のスポット溶接用電極チップの抜脱工具
の一実施例を示す正面図、第２図は同側面図、第３図は
電極シャンクと電極チップとの嵌合状態を説明する一部
断面説明図である。 １……棒状体、２……第１のストッパ、３……スペー
サ、４……板状体、５……切り欠き部、６……第２のス
トッパ、７……電極チップ押し込みホルダ、7a……凹
部、９……電極シャンク、9a……テーパ部、10……スポ
ット溶接用電極チップ、10a……テーパ穴、10b……頂
部、10c……端部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】電極シャンクのテーパ部に嵌合する溶接用
   電極チップを抜脱するスポット溶接用電極チップの抜脱
   工具において、棒状体と、棒状体に所望の間隙を隔て相
   対向して設けたフランジ状の第１及び第２のストッパ
   と、第１及び第２のストッパ間を往復動可能に棒状体に
   遊嵌したリング状のウェイトと、棒状体の一端にスポッ
   ト溶接用電極チップの収容部となるスペーサと、棒状体
   の他端にスポット溶接用電極チップの頂部と嵌合する凹
   部を形成した電極チップ押し込みホルダを設け、かつ棒
   状体の軸線上に軸線と直交する板状体と、板状体に形成
   した係止部となる電極シャンクのテーパ部径より大であ
   り、かつスポット溶接用電極チップ径より小なる径の頂
   部を有するＵ字形の切り欠き部とを電極チップの収容部
   となるスペーサに具備したことを特徴とするスポット溶
   接用電極チップの抜脱工具。