JPH0739387A - 腫瘍の境界位置決定試薬及び腫瘍の治療剤 - Google Patents

腫瘍の境界位置決定試薬及び腫瘍の治療剤

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JPH0739387A
JPH0739387A JP6046534A JP4653494A JPH0739387A JP H0739387 A JPH0739387 A JP H0739387A JP 6046534 A JP6046534 A JP 6046534A JP 4653494 A JP4653494 A JP 4653494A JP H0739387 A JPH0739387 A JP H0739387A
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Toni Marie Antalis
トニー・マリー・アンタリス
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Biotech Australia Pty Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 組織学的標本及び生体における腫瘍の境界の
位置決定に有効な腫瘍の境界位置決定試薬及び腫瘍の侵
入の阻害、腫瘍あるいは慢性的炎症の治療に有効な腫瘍
の治療剤を提供することにある。 【構成】 ある種の特定の細胞から産生・分離され、ウ
ロキナーゼタイプ・プラスミノ−ゲンアクチベ−タ−の
特異的な不活性化因子であるタンパク質ミナクチビンを
有効量有する腫瘍の境界位置決定試薬及び腫瘍の治療
剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ある種の細胞から分離
した新しい蛋白質の用途、即ち腫瘍の境界位置決定試薬
及び腫瘍の治療剤に関するものであり、この蛋白質は、
ウロキナーゼタイプのプラスミノーゲン アクチベータ
ーの特異的な不活性化因子として作用するものである。
詳しくは、本発明は、例えば人血の単核細胞、ある種の
マクロファージ及び単核細胞由来の形質転換細胞を付着
単層培養することにより分離、同定された、ウロキナー
ゼ タイプのプラスミノーゲン アクチベーターの特異
的不活性因子の用途に関するものである。この不活性化
因子を「ミナクチビン」と名付け、この物質について当
該明細書中ではこの名前を用いることとする。
【0002】
【従来の技術】プラスミノーゲン アクチベーターは、
多くの動物組織及び分泌液中に存在する蛋白質分解酵素
である。最も広く知られているプラスミノーゲン アク
チベーターの機能は、プラスミノーゲンをその活性型で
あるプラスミンへ転換する触媒作用である。プラスミン
の主な役割は、線維素の溶解又は凝血塊の溶解作用であ
る。分子量、アミノ酸配列及び免疫反応性を異にする二
つのタイプの哺乳類プラスミノーゲン アクチベーター
に大別され、ウロキナーゼ タイプのプラスミノーゲン
アクチベーターと、組織タイプのプラスミノーゲン
アクチベーターに特徴付けられる。乳房、肺臓、結腸及
び前立腺の癌腫を含む人の主要な癌は、異常な高レベル
でウロキナーゼ タイプのプラスミノーゲン アクチベ
ーターを生産することが知られており、また、一連の証
拠によって、このことは腫瘍が隣接組織へ侵入する過程
と関係することが分っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、人血の単核
細胞を付着単層培養して得た上澄が、ウロキナーゼ タ
イプのプラスミノーゲン アクチベーターの有力な不活
性化因子であるミナクチビンを含有することを発見した
ことを基礎としている。ミナクチビンは、侵入する腫瘍
と深く関連するプラスミノーゲン アクチベーターの天
然の不活性化因子であり、それ故に、腫瘍の侵入及び転
移に対する体内の通常の防御に、決定的な役割を持つも
のであることが示唆される。ミナクチビンは、更に、医
学の領域、種々のタイプの癌腫の生体内及び生体外診
断、そしてそれらの症状の治療などにおける臨床上の試
薬として広く応用し得る可能性を有している。ミナクチ
ビンは、マクロファージ及び単核細胞由来の形質転換細
胞の培養によっても分離、同定された。本発明の第一点
として、ウロキナーゼ タイプのプラスミノーゲン ア
クチベーターの特異的不活性化因子であるミナクチビン
を有する腫瘍境界位置決定及び限定するための試薬を提
供できる。本発明は、更に、該ミナクチビンを有する腫
瘍の侵入の阻害、及び慢性的炎症を治療するための薬剤
を提供するものである。その他のミナクチビンの特徴に
ついては、後に詳しく記述する。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、ミナクチビン
の製造方法を提供することであり、それは、ミナクチビ
ン生産性細胞の培養と、培養上澄の回収から成る。ミナ
クチビンは、少なくとも部分精製生産物として培養上澄
から回収される。ミナクチビン生産性細胞には、人血の
単核細胞、ある種のマクロファージ及び人の形質転換セ
ルラインが含まれるが、以下特に詳細に説明する。細胞
から分泌されたミナクチビンを含む培養上澄は、含まれ
るミナクチビンを濃縮すべくそして、少なくとも部分精
製されたミナクチビンを生産すべく処理され、他の培養
上澄の成分は除去される。この濃縮及び精製は、例え
ば、フェニル−セファロース又はDEAE−セファロー
スを用いたハイドロフォービックインターラクションク
ロマトグラフィーを利用し、目的生産物を溶出させるこ
とにより実施される。この生産物は、更に、アフィニテ
ィー クロマトグラフィー(例えば、シバクロンブルー
−セファロース又はハイドロキシル アパタイト)又は
予備的非変性ゲル電気泳動を用いて他の不純物を除去す
ることにより実施される。研究によると、ミナクチビン
は、分子サイズが約60〜70,000(ゲルろ過クロ
マトグラフィーによる)であり、その阻害効果は、Mr
52,000(HPA52)及び36,000(HPA
36)のプラスミノーゲン アクチベーター(ウロキナ
ーゼの如き)に特異的であり、そのことは、(i)プラ
スミノーゲン依存性の線維素溶解作用の阻害、(ii)比
色定量アッセイで見られるプラスミノーゲン賦活レベル
での阻害、及び(iii)プラスミノーゲン賦活化活性の不
可逆的消失、によって示されるが、これらは、培養基で
前培養した後、電気泳動させると明白である。ミナクチ
ビンとHPA36型のプラスミノーゲン アクチベータ
ーとの複合体は、界面活性剤耐性を示し、Mr70〜7
5,000で特徴付けられる(ミナクチビン−HPA3
6複合体)。更に、ミナクチビンは、ウロキナーゼ タ
イプのプラスミノーゲン アクチベーターを選択的に阻
害し、トリプシン、プラスミン又は組織タイプのプラス
ミノーゲン アクチベーター(HPA66又は66,0
00Mr アクチベーター)は阻害しないことが明らか
となった。
【0005】ミナクチビンは、人の単核細胞のみなら
ず、ある種のマクロファージ及びマクロファージ直系の
形質転換細胞によっても生産されることが見い出され
た。特に、腹膜マクロファージ及び骨髄質マクロファー
ジは、付着単層培養することにより、相当量のミナクチ
ビンを生産し、分泌することが見い出された。人マクロ
ファージセルラインのU937は、デキサメタゾン(de
xamethasone)を添加して培養すると、ミナクチビンを
生産することが見い出された。この点については、更
に、付着単層培養によってミナクチビンを人血の単核細
胞から生産する場合、ムラミル ジペプチド(アジュバ
ント ペプチド)、バクテリアのリポポリサッカライド
又は活性化したリンパ球の培養物のリンホカイン含有上
澄、を用いて細胞を活性化することによって、生産を刺
激し又は増強することができることが分かった。人結腸
の癌腫セルラインのCOLO394の培養物に添加する
と、ミナクチビンは、特異的にプラスミノーゲン アク
チベーター(HPA52)を不活性化することが、比色
定量アッセイ及び電気泳動によって確認された。更に、
ミナクチビンは、外科的に切除して得た人腫瘍の組織ホ
モジエネートにおけるプラスミノーゲン アクチベータ
ー活性を、特異的に不活性化することができる。プラス
ミノーゲン アクチベーターのレベルは腫瘍組織におい
ては、相当する結腸の正常組織と比較して著しく高いこ
とが証明された。同様の観察は、広範囲の充実性腫瘍に
関して、他の研究者によっても実証されている。
【0006】それ故に、ウロキナーゼ タイプのプラス
ミノーゲン アクチベーターに対するミナクチビンの特
異性及び腫瘍組織におけるこのプラスミノーゲン アク
チベーターの著しく増強されたレベルの観点から、当該
生産物は、組織学的標本及び生体における腫瘍の境界の
位置を定め、特定するための試薬として応用できる。こ
のように、ミナクチビンは、生体内の腫瘍を仮想するの
に使用し得る。特に、乳房、前立腺、結腸及び肺臓のよ
うな、プラスミノーゲン アクチベーターを生産する充
実性腫瘍は、ミナクチビンによって標的となり得る。こ
のような癌腫は一般的に、外科的処置で直るので、その
ような腫瘍を仮想する際のミナクチビンの利用は、外科
的処置の後に生起する小さい転移性癌を確認するのに特
に有用である。ミナクチビンは、天然生産物であるの
で、抗原性がなく、体内での排除の問題を回避し得る長
所があることももちろん評価されよう。そのような腫瘍
を生体内で仮想する場合、ミナクチビンを、ラベルした
形例えば、適当な放射性同位体(テクネチウム99など)
でラベルして、投与した後、ミナクチビンにより仮想さ
れる腫瘍の位置と境界は、通常のラジオアイソトープの
操作手段で決定することができる。組織学的標本におけ
る腫瘍の境界の位置の決定と特定において、ミナクチビ
ンは、上記した放射性同位体と結合するか、又は、標準
的な操作手段を用いて、適当な酵素(又は他の適当な試
薬)と結合させてラベル化できる。組織学的標本がミナ
クチビン−酵素複合体と接触すると、ミナクチビンは、
ウロキナーゼと、それが分泌されて高濃度である位置に
おいて反応し、それによって、腫瘍の境界が確認され
る。この高濃度の位置において見い出されるミナクチビ
ン−酵素複合体の検出は、通常の方法、例えば、酵素の
基質を利用して、基質に対する酵素の反応を検知する指
示薬によって実施される。腫瘍を仮想することに加え
て、ミナクチビンは、また、腫瘍のプラスミノーゲン
アクチベーター活性を減ずるので直接腫瘍の治療に用い
られ、この活性は、腫瘍が隣接組織に侵入する過程に関
連していることから、腫瘍の侵入を規制し、特に阻害す
ることが可能となる。
【0007】ミナクチビンの一般的性質 ミナクチビンは、56℃以上の温度で不安定であり、−
20℃の冷凍及び解凍に対しては安定である(一サイク
ルすると0〜5%の活性を失う)。無菌条件下で採取し
た上澄を含むミナクチビンは、4℃においてゲンタマイ
シンの存在下で、著しく活性が低下することなく、2ケ
月間保存できる。プラスミノーゲン アクチベーターと
ミナクチビンの相互作用は、イオン強度がプラスミノー
ゲンの活性化に逆の効果を有するにもかかわらず(191
9.Aggeler, J., Risch, J. & Werb, A. (1981). Bioch
em. Biophys. Acta. 675: 62-68.)、イオン強度に依存
しないようである。ウロキナーゼ活性は、比色定量アッ
セイにおいて、塩濃度により著しく阻害されるが、減少
したウロキナーゼ活性に対するミナクチビンの効果は、
比例的に同じである。ミナクチビンは、pH5〜9で4
℃において比較的安定である。塩の存在下でセファクリ
ルS 300(Pharmacia)によるミナクチビン標品の
ゲルろ過によると、ミナクチビンの分子サイズは、血清
アルブミンを標準として、60〜70,000(図1
0)と同定された。図10において、2.5mlのアルブ
ミンを含まないミナクチビン培養上澄──、及び1.0
mlの1%血清アルブミンを含む未調整RPMI……の溶
出について、ウロキナーゼ阻害作用及び蛋白質を評価し
た。セファクリルS 300(95×1.5cm)をカラ
ムに詰め、0.15M NaClを含む50mMグリシ
ン(pH7.8)で6m/hrの速度で溶出させた。矢印
は、ボイドボリューム及びベッドボリュームを示す。こ
のカラムから得た濃縮ミナクチビン標品の特異性をSD
S−PAGE−線維素カラムで分析したところ、単核細
胞培養から得たミナクチビン上澄について図6で得た結
果と同じであった。図6においては、CUK(30mP
U、レーン1及び2)、MLA144(30μl希釈培
養上澄、レーン3及び4)、人メラノーマ(20μl培
養上澄、レーン5及び6)、及びラット13762腫瘍
(20μl 1%ホモジエネート、レーン7及び8)の
プラスミノーゲン アクチベーターを、ミナクチビン培
養上澄の存在下(偶数番号)及び不存在下(奇数番号)
でSDS−PAGE処理に先立って前培養した。37℃
で20時間培養して線維素オーバーレイゲルで展開し
た。しかしながら、ウロキナーゼの不活性化は、以下の
点で血清アルブミンの特性と異なる。すなわち、(a)
人血清アルブミンは、ウロキナーゼの比色定量アッセイ
に効力を有しない。(b)ミナクチビン活性は、ブルー
−セファロース(Pharmacia)のアルブミン アフィニ
ティーカラムにより保持されない、(c)人血清アルブ
ミンの培地濃度は、ムラミル ジペプチド又は前記の誘
導実験における細胞タイプで変化し得ない、(d)アル
ブミン又は血清の補充なしで単核細胞はミナクチビンを
生産する。
【0008】腫瘍の診断及び治療におけるミナクチビン
の役割 ある種の主要な人癌腫が、ウロキナーゼ タイプのプラ
スミノーゲン アクチベーター(HPA52)を正常の
組織に見られるレベルより著しく高レベルで生産するこ
とが立証された。Markus及び共同研究者らの最近の研究
では、酵素の含有量と種類につき、短期間の組織培養に
よる分泌割合(Camiolo, S.M., Markus,G., Englander,
L.S., Siuta, M.R., Hobika, G.H., Kohga, S. (198
4). Cancer Res.44: 311-318.、Marcus, G., Camiolo,
S.M., Kohga, S., Madeja, J.M.,Mittelman, A. (198
3). Cancer Res. 43: 5517-5525.)と同様に留意してお
り、肺臓、前立腺、乳房及び結腸の腫瘍が含まれている
(Camiolo, S.M., Markus, G., Evers, J.L., Hobika,
G.H., De Pasquale, J.L., Beckley, S., Grimaldi,J.
P. (1981). Int. J. Cancer97: 191-198.、Corasanti,
J.G., Celik, C., Camiolo, S.M., Mittelman, A., Eve
rs, J.L., Barbasch. A., Hobika, G.H., Markus, G.
(1980). J. Nat. Cancer Inst. 65: 345-351.、Evers,
J.E., Patel,J., Madeja, J.M., Schneider, S.L., Ho
bika, G.H., Camiolo, S.M., Markus,G. (1982). Canc
er. Res.42: 219-226.)。更に、HPA52は、異なる
遺伝子の生産物であり(Strassburger, W., Wollmer,
A., Pitts, J.E., Glover, I.D., Tickle, I.J., Blund
ell, T.L., Steffens, G.J., Gunzler, W.A., Otting,
F., Flohe, L. (1983). FEBS Letters 157: 219-223.
)、結腸の内皮性食細胞のような全ての血管新生組織
中に偏在する組織タイプのプラスミノーゲン アクチベ
ーター(HPA66)の蛋白質分解又は他の修飾によっ
て得られるものではないことが確認された。遺伝子発現
の変化は、人結腸癌の発達の間に上皮細胞で起こり、高
レベルのHPA52が生じることは明らかである。
【0009】細胞のプラスミノーゲン アクチベーター
が関連する生物学的過程は、炎症反応及び腫瘍の転移の
ような侵入及び組織破壊と関連するこれらの生理学上の
結果を含んでいる(Duffy, M.J., O'Grady, P. (1984).
Eur. J. Cancer Clin. Oncol. 20: 577-582.)。腫瘍
の侵入の媒介者としての役割に関係するプラスミノーゲ
ン アクチベーターの特異的作用は、細胞分裂を刺激す
ること(Blumberg, P.M., Robbins, P.W. (1975). Cel
l 6: 137-147. )、細胞表面を修飾すること(Sutherla
nd, D.J.A. (1980). J.N.C.I. 64: 3-7.)、細胞転移を
促進すること(Ossowski, L., Quigley, J.P., Reich,
E. (1975) in Proteases and Biological Control
(Reich, E., Rifkin, D.B., Shaw, E. eds.) New Yor
k, Cold Spring Harbor Laboratory, p. 901-913.)、
腫瘍に隣接した線維素を消化すること(Day, E.D., Pla
ninsek, J.A., Pressman, D. (1959). J.N.C.I. 22: 41
3-426.)、そして、コラーゲナーゼを活性化すること
(O'Grady, R.L., Upfold, L.I., Stephens, R.W, (198
1). Int. J. Cancer28: 509-515.)などを含んでいる。
ミナクチビンは、ウロキナーゼ タイプのプラスミノー
ゲン アクチベーター(HPA52及びHPA33)の
有力な特異的阻害因子であるので、慢性の炎症及び種々
のタイプの癌腫の診断、臨床試薬として、これらの症状
の治療と同様に、応用される。HPA52の生体内活性
を特異的に調節することによって、ミナクチビンは、組
織タイプのプラスミノーゲン アクチベーター(HPA
66)の役割に、止血の維持の点で、影響を持たない。
更に、ミナクチビンは、天然生産物であるので、抗原性
が無い長所があり、また、体内での排除の問題を回避し
得る。ミナクチビンは、それ故に、炎症的病状の指標と
して応用できる。最近、慢性的炎症は、ステロイドで処
置されるが、一般的に、治療の経過をモニターすること
は困難である。ミナクチビンに対する抗体を用いて、体
液又は組織中のマクロファージの活性状態がモニターさ
れ、治療の経過もモニターされる。炎症又は慢性的潰瘍
及び粘膜状の表面細胞層又は上皮に対する損傷は、多量
の血液の単核細胞の損傷領域への浸潤をもたらす。この
際に、単核細胞は、炎症の広がりに応じてミナクチビン
を生産すべく刺激される。
【0010】更に、ミナクチビンは、組織学的標本及び
生体内における腫瘍の境界を確認し、決定するための試
薬として応用される。充実性腫瘍は、一般的に、外科的
処置により除かれるので、ミナクチビンの使用は、外科
的処置に続いて生起する小さい転移性癌の確認を可能と
する。組織学的標本の分析において、ミナクチビン又は
その抗体は、I131のようなアイソトープでラベルされ
るか、又は、適当な酵素又は他の化学試薬に結合され
る。組織学的標本に接触して、ミナクチビンは、腫瘍タ
イプのプラスミノーゲン アクチベーターとその分泌位
置において結合し、それによって腫瘍の境界が確認され
る。複合体のミナクチビンは、公知の操作手段(Skrive
r, L., Larsson, L.-I., Kielberg, V., Nielsen, L.
S., Andersen, P.B., Kristensen, P., Dano, K. (198
4). J. of Cell Biol. 99: 752-757.、Taylor, C.R. (1
978). Arch, Pathol. Lab. Med. 102: 113-121. 、Sou
le, H.R., Linder E., Edgington, T.S. (1983). Proc.
Matl., Acad. Sci. 80: 1332-1336.、Ryman, B.E., Ba
rratt, G.M., Begent, R.H.J. (1983). Biol. Cell 47:
71-80.)によって、目で観察し得る。生体内の腫瘍を仮
想するために、テクネチウム99のような適当なアイソト
ープでミナクチビンをラベルし、投与した後腫瘍の位置
及び境界が公知のラジオアイソトープ法(Ryman, B.E.,
Barratt, G.M.,Begent, R.H.J. (1983). Biol. Cell 4
7: 71-80.、Richardson, V.J., Ryman, B.E., Jewkes,
R.F., Jeyasingh, K., Tattersasll, M.H.N., Newland
s, E.S., Kaye, S.B. (1979). B.J., Cancer 40: 35-4
3.、Osborne, M.P., Richardson, V.J., Jeyasingh,
K., Ryman, B.E. (1982). Int. J. Nucl. Med. Bicl.
9: 47-51. 、Begent, RH.J., Keep, P.A., Green, A.
J., Searle, F., Bagshawe, K.D., Jewkes, R.F., Jone
s, B.E., Barratt, G.M., Ryman, B.E. (1982). Lancet
739-742. )によって決定される。更に、ミナクチビン
は、プラスミノーゲン アクチベーターの活性型とのみ
結合するので、生長又は侵入段階の腫瘍細胞を標的とし
得る。
【0011】診断上の応用に加えて、ミナクチビンは、
腫瘍の直接治療においても使用される。腫瘍が隣接組織
に侵入する過程に関連する酵素の特異的阻害因子とし
て、腫瘍の生長及び転移を規制し特に、阻害することが
できる。更に、ミナクチビンは、生育する腫瘍に直接レ
クチン又は毒素を運搬する医薬運搬システムとして使用
される。このことは、特異的で著しく有力な抗腫瘍効力
の見地から、多くの長所をもたらすものであることを認
識させる。
【0012】
【実施例】ミナクチビンの生産、精製及び同定について
の詳細は、以下の実施例により、添付した図面と関連さ
せて開示するが、これは、この発明の範囲を限定するも
のではない。 この発明の好ましい具体例
【0013】実施例1 ミナクチビンの生物学的な同定及び特徴 1.プラスミノーゲン アクチベーターの比色定量アッ
セイ いくつかのタイプのプラスミノーゲン アクチベーター
酵素を、0.1%トライトンX−100及び0.1%ゼ
ラチンを含む50mMグリシン緩衝液、pH7.8、中
で、Coleman及びGreenの方法(Coleman, P.L., Green,
G.D.J. (1981).Ann. NY Acad Sci 370: 617)を用いて
分析した。2〜8mPlough単位(mPU)の 活性範囲
を保つように希釈した。酵素(10μl)、プラスミノ
ーゲン(0.1mg/ml、20μl)及び分析緩衝液(2
0μl)を45分間、37℃で培養し、次いで、プラス
ミン分析試薬(1ml、Coleman, P.L., Green, G.D.J.
(1981). Ann. NY Acad Sci 370: 617. を参照)を加
え、30分間、37℃で培養した。反応をトラシロール
を加えて停止し(0.3mg/mlで20μl)、412nm
の吸収をモニターした。単核細胞培養で補充的に用いた
人血清アルブミン(1%)は、この方法では、ウロキナ
ーゼの分析に影響しなかった。
【0014】人プラスミノーゲンは、リジン−セファロ
ース(Pharmacia)カラム(Unkeless, J., Dano, K., K
ellermann, G., Reich, E. (1974). )のアフィニティ
ークロマトグラフィーで、保存新鮮血漿より精製を2度
繰り返し、最終濃度0.3μMで分析に用いた。人プラ
スミノーゲン アクチベーターの利用可能な市販製品、
すなわち、Calbiochem-Behring Corp. La Jolla、CA.の
Calboiochemの資料の標準品のウロキナーゼ(lot 10328
5、1700 Plough 単位/小ビン)及びSigmaウロキナーゼ
(lot 101F-05991、約40,000 Plough 単位/mg蛋白)を
使用した。これらは、ここでは、CUK及びSUKと、
各々、する。これらの標品は、SDS−PAGE及びそ
れに線維素を付加して展開させることにより、Mr5
2,000(HPA52)のプラスミノーゲン アクチ
ベーターとMr36,000(HPA36)の蛋白質分
解生産物の混合物であることが分かった。ラットの乳腺
癌ライン13762(Dr I.Ramshaw, Dept. Experiment
al Pathology, JCSMRより入手)を、0.5%トライト
ンX−100を含むpH7.8の50mMグリシン中で
ホモゲナイズした。牛のトリプシン(1Xタイプ)、牛
のトロンビン(グレード1)及び豚の血漿は、Sigmaか
ら入手した。
【0015】2.ミナクチビンの比色定量アッセイ 培養上澄及び細胞溶解質中のミナクチビンの量は、ウロ
キナーゼ標準品の比色定量アッセイ(Coleman, P.L., G
reen, G.D.J. (1981). Ann. NY Acad Sci 370:617)に
おける阻害作用により決定した。試料(20μl)は、
プラスミノーゲンの添加に先立って4mPUのウロキナ
ーゼと90分間、23℃に前培養した。阻害作用は、プ
ラスミノーゲン活性作用のレベルであってプラスミンの
阻害作用ではないことを実証するために、ミナクチビン
を相当するプラスミンの分析に直接添加することによる
コントロールを実施した。1単位のミナクチビンが、ウ
ロキナーゼの1 plough単位を阻害する量であることが判
明した。
【0016】3.ラジアル ディフュージョン アッセ
イ フィブリノーゲン(Sigma タイプX)、人プラスミノー
ゲン及びトロンビン(Sigma 1グレート)を1.25%
のアガロース(Plaque、FMC Corp., Rockland、ME US
A)ゲルの1.2mm厚の基質に投じた。37℃で固まっ
た後、ゲルを4℃で固化させ、ウロキナーゼ/ミナクチ
ビン混合物(5μl)を適用させるために3mmにカット
した。
【0017】4.SDS−PAGE及び線維素オーバー
レイによるプラスミノーゲン アクチベーター活性の展
開 SDS電気泳動ゲルに供する試料は、分析緩衝液中プラ
スミノーゲン アクチベーター酵素のみか、あるいは、
培養上澄及び/又はプロテアーゼ阻害因子と90分間、
23℃で前培養した酵素を含み、最終体積を100μl
とすべくSDS試料緩衝液を加える。用いたプロテアー
ゼ阻害因子は、トラシロール、α1−アンチトリプシン
(Sigma)、大豆トリプシン阻害剤(Sigma)、ヨードア
セトアミド、EDTA、SDS、トラネキサミン酸(Al
drich Chemicals. Milwaukee WI)及びベンズアミジン
であった。ゲルの平板は、11%ポリアクリルアミドで
あり、垂直に位置させ、トライトンX−100で洗浄
し、Granelli-Piperno & Reichの方法(Unkeless, J.,
Dano, K., Kellermann, G., Reich, E. (1974).J.Bio
l. Chem. 249: 4295 )に従って、線維素/アガロース
ゲルの接触溶解により展開した。線維素溶解の展開時間
は、通常、37℃で5〜8時間であった。酵素的溶解バ
ンドの分子量は、市販酵素の場合と比較して、アクリル
アミドゲル中の標準蛋白質の発色位置(Pharmacia LMW
Kit)により決定した。
【0018】5.形態学及び細胞化学 位相差顕微鏡検出法のために、付着した単核細胞又はマ
クロファージの単層を2回洗浄し、0.1Mカコジル酸
塩緩衝液(pH7.4)中で1.5%グルタールアルデ
ヒド(Koerten, H.K., Ploem, J.S., Daems, W.R. (198
0). Exp.Cell Res. 128: 470)に実験に先立ち少なくと
も室温で30分間固定した。細胞遠心分離標品を、Shan
don Southern遠心機で調製した。詳しくは、10%牛胎
児血清中に50,000細胞を含む0.2mlの標品を5
00rpmで3分間回転させた。標品は、続いて、ドライ
ヤーで直ちに乾燥し、これをMay-Grunwald Giemsaで発
色させた。非特異的なエステラーゼの存在は、基質とし
てα−ナフチルアセテート(Yam,L.T., Li, C.Y., Cros
by, W.H. (1971). Am. J. Clin.Path. 55: 282 、Ornst
ein, l., sley, H., Saunders, A. (1976). Blood Cel
ls 2: 557)を用い評価した。食細胞活性は、付着単核
細胞又は細胞懸濁液10%人AB血清及び1.1μmラ
テックス ビーズ(Sigma)を細胞当たり100ビーズ
の濃度で含むRPMI−1640中にて、37℃、60
分間培養することにより評価した。非摂取のビーズは、
単層又は細胞懸濁液をRPMI−1640で3回、20
℃、150gにて10分間洗浄することにより除去し
た。2以上のラテックスビーズを摂取している細胞を食
細胞と判定した。
【0019】6.単核細胞及びマクロファージ細胞標品 a)人血の単核細胞 人単核細胞の白血球を、Ficoll-Hypaque (Pharmacia Fi
ne Chemicals. Sydney. Australia )グラジエントによ
り、Woden Valley病院の赤十字血液輸血サービスにおい
て除去された軟層から分離した。混在する血小板を除去
するために、4℃でPi/NaCl中で4回洗浄した
後、細胞ペレットを60単位/mlのゲンタマイシンを含
むRPMI−1640(Gibco、Grand Island、N.Y)中
に懸濁させた。精製単核細胞の単層は、107単核細胞
を、人AB血清2mlを30分間プレコートした30mmの
ウエル(Linbro multiwell plates. Cat. No.7605805)
中、10%AB血清とRPMI−1640にて平板培養
することによって得られた。単核細胞は、空気中5%の
CO2条件で、37℃にて60分間付着させた。非付着
細胞は、37℃にて、RPMI−1640で単層を6回
洗浄することにより除去した。付着した単核細胞は、い
くつかの基準により85%の単核細胞より多いことが分
かった。単核細胞をホリクローム酸塩で発色することに
より、94±6%の細胞は、好塩基性細胞質を有する円
形又はへこんだ大きな核を有する単核細胞であることが
示された。細胞質の酵素の発色により、非特異的エステ
ラーゼは単核細胞の85±2%がこの単核細胞マーカー
に対して陽性であることを示した。91%の付着細胞が
ラテックスビーズを食したことは、単核食細胞の形態学
的、組織学的外観を示す付着細胞集団がこの特徴的な機
能特性をも表わすことを確認させるものである。生体外
培養の間に、単核細胞は細胞サイズ及び形態学的に著し
い変化を被る。培養単核細胞の細胞遠心分離標品は、単
核細胞が培養期間中そのサイズを増加させ、7日目の終
わりには見かけサイズは倍以上になる。時々、二核化し
た細胞も見られる。単核細胞はサイズを増し、その細胞
質は空胞の生じた状態になり、細胞質の顆粒が顕在化す
る。更に培養すると多核の大型細胞の形成が増加する。
【0020】b)腹膜マクロファージ 慢性の腎不全のため日常的に腹膜透析を受けている患者
から得た2リットルの透析液を、20℃、300gに
て、10分間遠心分離した。細胞ペレットを50mlのR
PMI−1640に再懸濁し20℃、200gにて10
分間再遠心した。細胞を、次いで、ml当たり約2×10
6の最終濃度にすべくRPMI−1640中に再懸濁
し、腹膜細胞懸濁液6mlをFicoll-Hypaque 3mlと20
℃、400gにて20分間遠心分離した。細胞を10%
人AB血清を含むRPMI−1640中に1×106/m
lの濃度まで再懸濁した。高収率の単核細胞が、腹膜洗
浄物のFicoll-Hypaqueグラジエントにより得られた。細
胞の47%は、形態学的基準から判定するとマクロファ
ージであった。単核細胞のフラクションの細胞遠心分離
標品は、マクロファージ集団は不均質であって、豊富な
細胞質及び時として二核を持つ成熟細胞を、へこんだ核
及び細胞質の割合に応じた仁を有する単核細胞に特徴的
な小さい細胞と同様に、含んでいることを示した。腹膜
マクロファージは、更に、単核細胞について前記したよ
うに、プラスチックの培養トレイに付着させて精製し
た。非付着性の細胞層を除去した後、培地を2〜3日毎
に取り変えて、生存する腹膜マクロファージを、3週間
に至るまで培養維持できた。腹膜マクロファージは、非
特異的エステラーゼで発色させて決定した87%のマク
ロファージよりも通常的に大きかった。
【0021】c)骨髄質由来のマクロファージ 新鮮な人腸骨稜及び肋骨髄質を整形外科的処理により得
てこれを10%の巨大細胞腫瘍(GCT)培養上澄(Gi
bo-Biocult、Grand Island、NY、USA)及び10%牛胎
児血清を含むRPMI−1640培地中に分散させた。
この第一培養は、ゼラチンをコーティングしたフラスコ
(Hume, D,, Gordon, S. (1983). J. Cell Physiol. 11
7: 189)で7日間続けた。その後、血液の単核細胞の場
合と同じ培養皿に付着させて、単核細胞/マクロファー
ジを精製し、ミナクチビン測定のために、第二付着培養
を実施した。得られた細胞は、非特異的エステラーゼの
90%陽性細胞より大きかった。
【0022】d)結腸粘膜マクロファージ これらの細胞は、Golder及びDoeの方法(Golder, J.P.,
Doe, W.F. (1983). Gastroenterology84: 795 )によ
る結腸粘膜の酵素的分離によって、切除された結腸から
得た。これらは、単核細胞として、RPMI−1640
中で付着単層として生育した。得られた細胞は、85%
非特異的エステラーゼ陽性細胞より大きく、ヒツジ赤血
細胞を食する。
【0023】7.細胞培養 a)単核細胞及びマクロファージ 単核細胞又はマクロファージ単層は、1%人血清アルブ
ミン(Commonwealth Serum Labs., Melbourne、Austral
ia)を含むRPMI−1640中で培養した。前記
(a)〜(d)起源の細胞の培養は、3×106cells/
ml培地の割合まで出来る限り高密度に保って行なった。
【0024】以下の試剤を、細胞培養実験で用いた。 (a) ムラミル ジペプチド(N−アセチル−ムラミ
ル−L−アラニル−D−イソグルタミン、Peninsula La
boratories. San Carlos. CA. USA)を5μg/ml、
(b)Salmonella minnesota R595の細胞壁リポポリサ
ッカライド(Doe,W.F., Henson, P.M. (1978). J. Ex
p. Med. 148: 544)。後者は0.1%トリエチル アミ
ン中水溶解性抽出物を超音波処理し、Pi/NaClに
対して透析して調製した。培養物中の最終濃度は0.1
μg/mlである。デキサメタゾン及びフォルボール ミ
ラステイト アセテイト(Sigma Chemical Co., St. Lo
uis.MO. USA)は、最終濃度0.1μM及び10ng/m
lで各々用いた。 b)形質転換セルライン 人マクロファージ様セルライン U937(Sundstrom,
C., Nilsson, K. (1976). Int. J. Cancer 17: 565 )
及びHL60(Gallagher, R.S., Collins, S., Trujil
lo, J. (1979). Blood54: 713 )は、Drs R Ulevitch及
びR G Pain ter (Scripps Cli nic. and Research Fo
undation. La Jolla. CA. USA)から入手した。U93
7 セルラインは、ATCC(Rockville. Maryland. U
SA)からも入手した。RC2A(Bradley, T.R., Pilki
ngton, G.R., Garson, M., Hogdson, G.S., Kraft, N.
(1982). Br. J. Haematol. 51: 595 )は、Dr N Kraft
(Prince Henry's Hospita l. Melbourne. Australi
a)から入手した。MLA144は、手長ザルのT−リ
ンパ球ライン(Rabin, H., Hopkins R.F., Ruscetti,F.
W., Neubauer, R.H.,Brown, R.L. Kawakami, T.G. (198
1). J. Immunol. 12 7: 1852 )である。人赤血球ライ
ンK562(Lozzio, C.B., Lozzio, B.B. (1975). B
lood 45: 321, 1975)は、Dr H S Warren. Cancer Re
seach Unit. Woden Valley Hospitalから入手した。C
OLO394は、人結腸癌腫細胞セルラインであり、Dr
R Whitehend. Ludwig Institute of Cancer Research.
Royal Melbourne Hospital Melbourneより入手した。
これらの細胞は、分析のための上澄の採取に先立って、
全て、血清なしにRPMI−1640培地で生育した。
細胞溶解質は、酵素研究のために0.5%トライトンX
−100の存在下で調製した。
【0025】ミナクチビンの生物学的特徴 細胞集団におけるミナクチビンの生産 a)人血の単核細胞 ミナクチビンは、Coleman及びGreenの比色定量アッセイ
(Coleman, P.L., Green, G.D.J. (1981). Ann. NY Aca
d Sci 370: 617)(図1)におけるウロキナーゼ活性の
阻害作用により、付着性の人単核細胞から血清の存在し
ない培地条件で生産されることが示された。(図1で
は、単核細胞の付着培養において、△──△は、リポポ
リサッカライド(0.1mg/ml)、○──○は、ムラミ
ル ジペプチド(10μg/ml)を含むコントロール培
地。□……□は、A:培養上澄をウロキナーゼで評価
し、24時間毎に新鮮培地に置き変えた。B:細胞溶解
質中のミナクチビンのコントロール。) この阻害作用は、人血清によって細胞の初期的付着化が
促進されるか否かにかかわらず観察される。付着性単層
の調製の間に得られる非付着性単核フラクションは、培
養中、全くミナクチビンを生産しない。最大限のミナク
チビン活性は、単核細胞の培養の最初の24時間の培養
上澄を用いて得られた。継続する各24時間の阻害因子
生産率は、4日後にわずかになるまで減少を示した。こ
のことは、培養上澄及び細胞溶解質の双方に見られた。
しかしながら、ムラミル ジペプチド又はバクテリアの
リポポリサッカライドによって単核細胞の生体外の活性
化し、ミナクチビンの生産及び分泌を促進させた(図1
A及び図1B)。最初の24時間の期間の培養上澄にお
ける阻害因子の量は、細胞数と相関関係を示す(図
2)。図2においては、24時間培養した上澄を希釈し
て評価した(△──△、1:5希釈、 □……□、1:
10、○──○又は …… 、1:20)。ミナクチビ
ンの最大レベルは、細胞濃度が106cells/mlより大き
い培養条件で生産される。少い量のミナクチビンが(細
胞当たり)、高い細胞濃度において生産される。人の線
維芽細胞の培養においてプラスミノーゲン アクチベー
ターの阻害因子の合成を誘導することが以前に示された
デキサメタゾンと単核細胞を培養しても(10-6〜10
-8M)ミナクチビンの生産上影響を示さなかった。
【0026】b)人腹膜マクロファージ 新鮮に分離した血液単核細胞の溶解質は、ミナクチビン
を含有していないが(図1B参照)、新鮮に分離した付
着性の腹膜マクロファージの溶解質は、全て、著しいレ
ベルのミナクチビンを含んでおり(約30%の阻害作
用)、続いて培養中に増加する(図3)。図3では、付
着マクロファージは、コントロール培地△──△、又は
ムラミル ジペプチド(10μg/ml)含有培地□──
□で生長した。下の2本の曲線は、溶解質を、上の2本
の曲線は上澄を示す。このミナクチビンの持続的生産
は、相当する培養上澄中で測定される分泌生産物のレベ
ルにも反映される。コントロールの単核細胞培養と違っ
て、腹膜マクロファージ溶解質のミナクチビンのレベル
は、3日間の培養期間中高レベルを保持した。この細胞
集団は、形態学的にみて大部分新しく増加した単核細胞
から成ると考えられ、繰り返される透析によって誘導さ
れる軽い炎症による生体内での刺激は、腹膜腔内におい
てミナクチビンを生産するための単核細胞を増加させ、
活性化するに充分なものであることが示される。腹膜マ
クロファージは、溶解質又は上澄中でのミナクチビンの
生産に対してムラミル ジペプチドの添加が影響しない
ことから、更に活性作用を高めることはないと考えられ
た(図3)。
【0027】c)骨髄質由来マクロファージ 骨髄質マクロファージは、最初の骨髄質培養で生育を刺
激してGCT(giantcellの腫瘍培養上澄)の7日後の
付着性細胞として得た。この細胞は、組織の7日間の最
初の培養の後の第二培養として研究が行なわれたので、
それらの最初のミナクチビン生産及び分泌は、新鮮に分
離した血液単核細胞又は腹膜マクロファージと直接比較
できない。それにもかかわらず、7日間の最初の培養の
後、第二培養の間に得た付着性骨髄質マクロファージの
溶解質は、ムラミル ジペプチドの存否にかかわらず減
少を示したミナクチビン活性を高レベルで示した(図
4、条件は図3と同じ)。これらの骨髄質細胞は、上澄
に高レベルのミナクチビンを分泌することが見い出さ
れ、そのレベルは溶解質で観察されたように、ムラミル
ジペプチドの影響は受けなかった(図4)。
【0028】d)結腸粘膜マクロファージ 切除した人結腸の酵素的分離粘膜から分離したマクロフ
ァージは、培養中きわめて限られた活性のミナクチビン
を生産し、そのレベルは、前記の3種の場合と比較する
とわずかであった(4つの実験で24時間の上澄の阻害
作用の平均値は4%)。この低レベルは、Salmonella m
innesotaのリポポリサッカライドを培養物に添加しても
(0.1μg/ml)、増加しなかった。腸のマクロファ
ージの反応の不足は、それらの分離に際して用いた分解
酵素(コラゲナーゼ及びDNA ase)に長くさらしたこ
とによるかどうか確認するために、正常の人血単核細胞
を腸のマクロファージ標品からの上澄培地で数時間培養
させた。血液単核細胞を処理した酵素は、続く培養中ミ
ナクチビンを生産し、分泌する機能を保持していた(表
1)。
【0029】 表 1 コントロール単核細胞 酵素処理 溶解質 90% 100% 上 澄 67% 72% DNAase及びコラゲナーゼを含む結腸分解物の上澄で
培養した前又は後の人血単核細胞によるミナクチビンの
生産。結果は、単核細胞上澄によるウロキナーゼアッセ
イの阻害%として示した。
【0030】このように、血液単核細胞は、ミナクチビ
ンの分泌を可能とする理想的生育段階にあることが示さ
れる。この可能性は、ムラミル ジペプチドで生体外で
活性化されるか、又は生体内の炎症部位に対して活性が
増加することで実現される。一方、腸粘膜から分離され
た成熟組織のマクロファージは、刺激にかかわらず、分
泌ミナクチビンを生産する能力を欠乏しているように見
える。
【0031】e)人マクロファージ セルラインU93
7 ミナクチビン活性は、Coleman及びGreenの方法(Colema
n, P.L., Green, G.D.J. (1981). Ann. NY Acad Sci 37
0: 617)によって評価した場合、人マクロファージ セ
ルラインU937から得た上澄中に見い出すことができ
なかった。しかしながら、このセルラインをデキサメタ
ゾン(1μM)の存在下で培養した場合、著しいレベル
のミナクチビンが培養上澄中で測定された。このこと
は、生産されたミナクチビンと実際上結合したU937
細胞によるプラスミノーゲン アクチベーターの付随し
た生産によって説明され、従って、比色定量アッセイで
は、隠れて探知し得ない。実際に、U937細胞を72
時間培地を含むデキサメタゾンで処理すると、高レベル
の細胞内のプラスミノーゲン アクチベーター活性が、
0.5%トライトンX−100の細胞抽出物中のプラス
ミノーゲン アクチベーター活性の評価によって測定さ
れるものとして誘導された。デキサメタゾンなしで7日
間以上培養したU937細胞は、完全に、ミナクチビン
生産能を失った。デキサメタゾンの付加は、最終濃度1
0μMに至ると、ミナクチビン生産を回復しえなかっ
た。U937細胞により本質的に分泌されるミナクチビ
ンのレベルは、培養中ムラミル ジペプチドで誘導され
る単核細胞による生産レベルの約4倍低かった。しかし
ながら、U937細胞により分泌されるミナクチビンの
レベルは、フォルボール ミラステート アセテートの
ようなフォルボール エステルを培養中の細胞に添加す
ることによって16倍に増強された。ミナクチビン活性
は、人のマクロファージ様セルラインRC2A又は人
(Jurkat)及び手長ザル(MLA144)由来のT−リンパ球
セルラインから得た上澄中には見い出せなかった。
【0032】2.ミナクチビンの特異性 a)線維素溶解の阻害作用 プロテアーゼのミナクチビンによる阻害作用の特異性
は、単核細胞の培養上澄を含むミナクチビンをフィブリ
ン/アガロース ゲルを入れたマイクロウェル中にて種
々の酵素と培養することによって研究された。プラスミ
ノーゲン(20μg/ml)を、プラスミノーゲン アク
チベーター活性を発現し得るべくゲル混合物中に含有さ
せ、37℃、20時間の培養後に比較し得る溶解性を与
えるべく適当な酵素濃度が選ばれた(図5の記載参
照)。図5においては、プロテアーゼ溶液(10μl)
を、ミナクチビン培養上澄(10μl)と共に(上の二
列)又は、加えることなく(下の列)と前培養し、混合
物(5μl)を、プラスミノーゲンを補足した線維素/
アガロース ゲルに供した。20μlの前培養当たり用
いた酵素とその量は、2.トリプシン100ng、プラ
スミン600ng、4.CUK(Calbiochem ウロキナ
ーゼ)50mPU、5.SUK(Sigma ウロキナーゼ)
100mPU、及び6.メラノーマ培養上澄の希釈物、
であり、コントロール ウエル 1及び7は、緩衝液及
びミナクチビン上澄を、各々含有する。ゲルは、30℃
で20時間培養した。ミナクチビンは、明らかにプラス
ミン又はトリプシンの阻害因子でないことが、23℃、
2時間これらの酵素と前培養して判明した(図5)。人
のプラスミノーゲン アクチベーターの内、ミナクチビ
ンで処理した場合、ウロキナーゼの二種の標品(CUK
及びSUK)が、全て、線維素溶解能を失った。しかし
ながら、ほぼ全てが組織タイプのプラスミノーゲン ア
クチベーター(HPA66)(以下参照)である人メラ
ノーマの培養上澄による線維素溶解活性は、ミナクチビ
ンによっては、前培養の後でも阻害されなかった。トロ
ンビンによるフィブリノーゲンの凝血化も、ミナクチビ
ンの影響を受けなかった。
【0033】b)比色定量アッセイによる阻害作用 Coleman及びGreen(Coleman, P.L., Green, G.D.J. (19
81). Ann. NY Acad Sci 370: 617)の評価方法を、ミナ
クチビン阻害作用の特異性を研究するために、更に利用
した。プラスミノーゲンの不存在下でプラスミン アッ
セイ試薬と培養する方法が(Coleman, P.L., Green, G.
D.J. (1981). Ann. NY Acad Sci 370: 617)、プラスミ
ンと同様にトリプシンの高感度の評価法として使用さ
れ、一方、プラスミノーゲンの存在下で、数タイプのプ
ラスミノーゲン アクチベーターが評価された。しかし
ながら、記載すべき例外は、人のメラノーマの培養物中
のHPA66であり、これは、おそらくフィブリンの欠
乏によって(Hoylaerts, M.,Rijken, D.C., Lijnen, H.
R. & Collen, D.(1982) J. Biol. Chem. 257: 2912-291
9)、この評価においては不活性であった。ミナクチビ
ンは、トリプシン又はプラスミンのリジン チオエステ
ラーゼ活性を阻害しなかった(表2)。しかしながら、
ウロキナーゼ タイプのプラスミノーゲン アクチベー
ター、CUK、SUK及び手長ザルのT−リンパ球ライ
ン(MLA144)のAPA52、のプラスミノーゲン依存活
性は、ミナクチビンによって著しく阻害された。更に、
ウロキナーゼの阻害は、ミナクチビンが、プラスミノー
ゲンと培養する間に存在する場合にのみ観察され、プラ
スミンアッセイ段階でミナクチビンを添加しても起こら
なかった。希釈したラット13762腫瘍のホモジエネ
ート中に存在するラット プラスミノーゲン アクチベ
ーター活性(RPA48、おそらくHPA52と同類
体)は、ミナクチビンに影響されなかった。
【0034】 表 2 酵素又はPAの 量 コントロール ミナクチビン コントロール 起源 活性(A412 ) (A412 ) 活性% トリプシン 6ng 0.32 0.31 97 プラスミン 180ng 0.94 0.98 104 CUK 4mPU 0.72 0.00 0 SUK 8mPU 0.88 0.00 0 メラノーマ 20μl上澄 0.05 0.07 − MLA144 20μl上澄 0.69 0.08 12 ラット腫瘍−13762 20μl (1%ホモゲネート) 0.53 0.50 94 表2はミナクチビンによるプロテアーゼ比色定量アッセ
イの阻害作用を示す。非希釈ミナクチビン培養上澄(2
0μl)を、最終体積が40μlとなるようにして酵素
と23℃、2時間前培養した。プラスミノーゲン(20
μl、100μg/ml)を、次いで、アクチベーターに
添加し、プラスミンアッセイ試薬(1ml)を、他のプロ
テアーゼに添加し、各々発色評価を行なった。
【0035】c)SDS−PAGE及び線維素オーバー
レイ Granelli-Piperno & Reichの線維素オーバーレイ方法
(Granelli-Piperno, A.& Reich, E. (1978). J. Exp.
Hed. 148: 223-234)を、ミナクチビンの阻害作用の特
異性を立証し、ミナクチビンによって種々のプラスミノ
ーゲン アクチベーターが不可逆的に不活性化されるか
どうか確認するために利用した。 酵素のミナクチビン
との前培養は、SDS−PAGEにより行ない、残余の
酵素活性は、プラスミノーゲンを補充したフィブリン/
アガロースゲルの溶解領域として観察した。アクリルア
ミド及びフィブリン ゲルを一緒に5時間培養して、コ
ントロール(未処理)のウロキナーゼ(CUK)による
顕著なバンドが形成された。一つは、HPA52の特徴
を示し、他は、その蛋白質分解生産物、HPA36の特
徴を示した(Barlow, G.H., Francis, C.W. & Narder,
V.J. (1981).Thromb. Res.23: 541-547.)(図9レーン
1)。しかしながら、SDS−PAGEの前に、CUK
をミナクチビンと前培養すると、わずかに溶解した一本
のバンドが、5時間後に、オーバーレイしたゲル中に見
い出され、これは、HPA52よりも高分子量の位置に
位置していた(図9A、レーン10)。図9において、
Aは、ミナクチビンでCUKを不活性化するためのプロ
テアーゼ阻害剤コントロールを示す。その方法として
は、ウロキナーゼ標品(20mPU)を、以下のプロテ
アーゼ阻害剤と前培養した。すなわち、レーン1:コン
トロール、レーン2:トラシロール(0.2mg/ml)、
レーン3:α1−抗トリプシン(16μg/ml)、レー
ン4:トラネキサミン酸(3mM)、レーン5:ヨード
アセトアミド(3mM)、レーン6:EDTA(6m
M)、レーン7:大豆トリプシン阻害剤(0.16mg/
ml)、レーン8:SDS(0.6%)、レーン9:ベン
ズアミジン(3mM)及びレーン10:ミナクチビン培
養上澄(20μl)。Bは、Aの前培養を、各プロテア
ーゼ阻害剤前培養に含まれるミナクチビン培養上澄(2
0μl)で繰り返した(レーン2〜9)。ゲルを20時
間培養すると、このバンドは、著しく増加し、HPA3
6として観察されたものよりも高分子量の位置にバンド
が加わった(図6、レーン2)。これらの結果は、最終
的に残った活性が未処理の酵素のものより高分子量のも
のを生起させる形で、ミナクチビンがHPA52及びH
PA36を不活性化することを示す。このように、ミナ
クチビンとウロキナーゼの相互作用の形態は、複合体の
形成又はウロキナーゼの構造上のラジカルな変化であ
り、これが電気泳動の移動度に影響すると考えられる
(後述の3、参照)。HPA36は、HPA52よりも
不活性化を受け易いと考えられる。
【0036】手長ザル セルラインMLA144は、血
清の存在しない培地中にプラスミノーゲン アクチベー
ターを分泌させるが、SDS−PAGE及び線維素で展
開すると、この活性は、人ウロキナーゼのHPA52と
同じ分子量上に二つに分離したバンドを形成した(図
6、レーン3)。これらのバンドは、いずれも、MLA
144の培養上澄をミナクチビンと前培養しても影響を
受けなかった(図6、レーン4)。人メラノーマの培養
上澄のMr66,000のプラスミノーゲン アクチベ
ーター及びラット腫瘍のMr48,000のプラスミノ
ーゲン アクチベーターは、ミナクチビンで処理しても
影響を受けなかった(図6、レーン7&8)、これらの
結果は、ミナクチビンは、人ウロキナーゼ タイプのプ
ラスミノーゲン アクチベーター(HPA52及びHP
A36)を特異的に阻害し、人組織タイプのプラスミノ
ーゲン アクチベーター(HPA66)及び、他の(少
なくともある種の)哺乳動物のプラスミノーゲン アク
チベーターを阻害しないことを示している。
【0037】3.ミナクチビンとウロキナーゼ タイプ
のプラスミノーゲン アクチベーターの相互作用 ミナクチビンとウロキナーゼの相互作用を、プラスミノ
ーゲンの存在下でミナクチビン及びCUKを前培養し、
続いて、前記した比色定量アッセイにおける残余のプラ
スミノーゲン アクチベーター活性を評価することによ
り、分析した。 HL60 78 K562 75 MLA144 60 マウスの尿 4 人の変換セルラインを含む、種々の起源から得たプラス
ミノーゲン アクチベーターの単核細胞ミナクチビンに
よる阻害。
【0038】4.他の細胞集団から得たミナクチビンの
特異性 他のマクロファージ細胞集団によって生産されるミナク
チビンは、単核細胞によって生産されるミナクチビンと
同じく、人ウロキナーゼ タイプのプラスミノーゲン
アクチベーターに著しい特異性を示すことが、フィブリ
ン ラジアルディフュージョン アッセイにより確認さ
れた。プロテアーゼ、プラスミノーゲン アクチベータ
ー、プラスミン、トリプシン、HPA66(メラノーマ
培養上澄から得た組織タイプのアクチベーター)及び人
ウロキナーゼ(HPA52及びHPA36)を選択し
て、各細胞集団で生産されるミナクチビンによる阻害作
用を検査した。ウロキナーゼ タイプのプラスミノーゲ
ン アクチベーターの特異的阻害作用は、腹膜マクロフ
ァージ及び血液単核細胞の培養上澄に観察された(図1
1)。図11において、A列:HPA66を含む人メラ
ノーマセルラインの上澄、B列:HPA52及びHPA
36を含むウロキナーゼ、C列:トリプシン、D列:プ
ラスミン。カラム1及び2は、人腹膜マクロファージ及
び血液単核細胞の上澄を、各々、含み、カラム4〜6
は、骨髄質マクロファージ、腹膜マクロファージ及び血
液単核細胞の溶解質を各々含む。カラム3及び7は、培
地及び溶解緩衝液を含むコントロールを示す。
【0039】これらの細胞で生産されたミナクチビン
は、プラスミン、トリプシン又はHPA66の活性に影
響を示さなかった。腹膜マクロファージ、血液単核細
胞、骨髄マクロファージのトライトンX−100で溶解
した全細胞溶解質は、全て、ウロキナーゼ タイプのプ
ラスミノーゲン アクチベーターを阻害し、プラスミン
又はトリプシンを阻害しなかった。しかしながら、血液
単核細胞及び腹膜マクロファージの溶解質は、HPA6
6に弱い阻害作用を示した(図11)。U937セルに
より生産されるミナクチビンは、その一般的特徴におい
て、単核細胞由来のミナクチビンと同じであった。U9
37及び単核細胞の精製ミナクチビンを用いたフィブリ
ンラジアル ディフュージョン アッセイにより特異性
を比較して、これらのミナクチビンは、ウロキナーゼ
タイプのプラスミノーゲン アクチベーター、CUK及
びSUKを特異的に阻害し、組織タイプのプラスミノー
ゲン アクチベーター(HPA66)を阻害しないこと
が確認された(図12)。プラスミン及びマウスのウロ
キナーゼでは、阻害作用が見られなかった。図12にお
いては、A列:緩衝液コントロール、B列:単核細胞の
フェニル−セファロース精製ミナクチビン、C列:U9
37細胞のフェニル−セファロース精製ミナクチビン、
D列:胎盤阻害剤(Calbiochem)、カラム1:豚プラス
ミン60μg/ml(Sigma)、カラム2:HPA52を
含むウロキナーゼ、CUK:5PU/ml、カラム3:H
PA36を含むウロキナーゼ、SUK:5PU/ml、カ
ラム4:人メラノーマ セルライン上澄、MM170:
HPA66含有、カラム5:マウス ウロキナーゼ、1
/10希釈のマウスの尿。
【0040】単核細胞及びU937セル由来のミナクチ
ビン標品の電気泳動における移動度は、非変性、不連続
性ポリアクリルアミドゲル システムで比較すると、非
常に似たものであった(図13)。図13においては、
サンプルを6〜16%グラジエントの未変性(非SD
S)ポリアクリルアミドゲルで電気泳動し、10mlのS
UK、1PU/mlで、23℃、1時間培養し、線維素/
アガロースゲルにオーバーレイし、一夜展開させた。同
一サンプルを、電気泳動し、Coomassie Blueで発色させ
た。レーン4:標準分子量、レーン3:フェニル−セフ
ァロース精製U937ミナクチビン、レーン2:フェニ
ル−セファロース精製単核細胞ミナクチビン、レーン
1:レーン3と同じ。U937セルラインのミナクチビ
ン標品は、単核細胞のミナクチビンより、わずかに大き
い電気泳動上の移動度を示した(図13)。このわずか
の差異は、ゲル上の溶解の量的差異又はこの異なる起源
のミナクチビンのグリコシレーションの差異によろう。
U937セル又は単核細胞から分離したミナクチビン
は、フィブリン ラジアル ディフュージョン アッセ
イによると、人胎盤から分離したプラスミノーゲン ア
クチベーター阻害因子(Hokmberg, L., Lecander, I.,
Persson, B., Astedt, B. (1978). Biochem. Biophy. A
cta. 544: 128-137)と特異性を異にする(図12)。
人胎盤阻害因子(Calbiochem)は、ウロキナーゼ タイ
プ及び組織タイプのプラスミノーゲン アクチベーター
の両者を、ミナクチビンの阻害作用は前者を特異的に不
活性化すると考えられる。
【0041】実施例2 ミナクチビンの精製例 1.人単核細胞培養からのミナクチビンの精製 人血を、先ず白血球の白い「軟層」を赤血球層の上部に
形成させるべく遠心分離して、単核細胞を分離した。Fi
coll-Hypaque上で層を形成させて、白血球を、顆粒球単
核細胞を含むリンパ球に分離した。単核細胞は、リンパ
球より、遠心分出法により分離した。精製単核細胞(通
常、3〜4リットルの血液から5〜8×108細胞が得
られる)は、0.20〜0.34×106cells/cm2
密度で15cmのプラスチック皿(ゼラチンで前処理し、
人血清で洗浄する)に付着させ、0.05μg/mlのム
ラミル ジペプチド(アジュバンド ペプチド)を含む
血清不存在のRPMI−1640(0.50〜0.75
ml/106cells)で培養した。培養を3時間続けた後、
培地を採取し、遠心分離により清澄化した。次いでNa
Clを上澄に2Mまで添加し、これを4℃でフェニル−
セファロース アフィニティー(Pharmacia)にかけ
た。カラムを2M NaClを含む、pH7.8の50
mMグリシンで洗浄して蛋白質を除去し、そして同じ緩
衝液中NaClの下降グラジエントにより固着した蛋白
質を溶出させた。このグラジエントのフラクションを用
いて、Coleman及びGreenの方法(Coleman, P.L., Gree
n, G.D.J. (1981). Ann. NY Acad Sci 370: 617)によ
り、ミナクチビン活性を評価した。蛋白質濃度は、Lowr
y法(Lowry, O.H., Rosebrough, N.J., Farr, A.L., Ra
ndall, R.J.(1951). J.Biol. Chem. 193: 265)により
決定した。代表的結果を図14に示す。 図14におい
ては、フェニル−セファロース カラムを、2M Na
Clを含むpH7.8の50mMグリシン緩衝液で平衡
にさせた。2M NaClに合わせた単核細胞上澄を通
した後、グリシン−NaClを用いて洗浄した。グリシ
ン緩衝液中NaClの下降グラジエントによってミナク
チビンが溶出された。──:蛋白質(Lowryアッセイに
よる、OD750nm)、………:NaCl濃度、……
…:ミナクチビンのウロキナーゼ阻害作用(逆ピーク
状)。
【0042】最も活性の高いフラクションを保管し、p
H7.8の50mMグリシンで透析し同じ緩衝液で平衝
にしたCibacron Blue−セファロース(Phermacia)のア
フィニティ カラムに、そのまま又はCentricon 30(Am
ico)で濃縮して、かけた。ミナクチビンは、吸着され
ないが、他の不純蛋白質は、カラム中に残った。この操
作によって得られた精製度合は、蛋白質(Lowry法)及
びウロキナーゼ阻害作用の比色定量アッセイにおけるミ
ナクチビン活性の滴定を基礎として、1,000倍のオ
ーダーであった。ミナクチビン生産物とウロキナーゼの
相互作用は、ミナクチビン培養上澄について観察された
ように(図8)、化学量論的であった。図8において
は、ウロキナーゼ標品(4mPU)を、希釈ミナクチビ
ン上澄(20μl)と前培養し、次いで、比色定量アッ
セイを行った。ミナクチビン生産物は、200〜500
単位/mlのミナクチビンを含むが、ミナクチビン成分
は、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動によって
も明確に同定し得なかった。この方法によるミナクチビ
ンの精製に続いて、培養中生体内にラベルした(35S−
メチオニン)単核細胞標品を用いてSDS−ポリアクリ
ルアミド ゲル電気泳動を行なった。3日間で多くの蛋
白質が血清不存在の培養基中に分泌され、続くフェニル
−セファロース クロマトグラフィーにより、著しく比
活性が増加した(図15)。図15においては、付着単
核細胞を、ムラミル ジペプチドの存在下で35S−メチ
オニン(1mCi、800Ci/mmol、Amersham)を添加し
て培養した。上澄標品を3日経過の時点で取り除いた。
ミナクチビンをフェニル−セファロースを用いて精製し
た。各標品をCentricon 30(Amicon)を用いて50倍
に濃縮し、5〜15%アクリルアミド グラジエントに
よるSDS−PAGEで、その30μlについて解析し
た。ラベル化された蛋白質をフルオロ グラフィー(Am
plify、Amersham)により探知し、Kodak O−MAT
X線フィルム上に、ゲルを10日間さらした。レーン2
〜6は、示された時間に取り除いたサンプル、レーン7
は、フェニル−セファロース精製ミナクチビン標品、レ
ーン1及び8は、高及び低分子量の標準を、各々、示
す。
【0043】他の不純蛋白質は、更に、Blue−セファロ
ース クロマトグラフィにより除去した(図16)。図
16の条件は、基本的には、図15及び明細書に記載し
たのと同様。各サンプルを、ゲルに30μl通す前に、
10倍に濃縮した。18日間さらした。レーンAは、フ
ェニル−セファロース精製ミナクチビン、レーンBは、
Blueセファロース精製ミナクチビン、レーンCは、電気
泳動の直前にサンプルに0.1%2−メルカプトエタノ
ールを添加することを除き、Bと同様。各サンプルは、
27 PU SUKによる23℃、90分間の(−)又
は(+)前培養で示される。外側のレーンは、標準分子
量を示す。ウロキナーゼ(HPA36)を、これらのミ
ナクチビン標品と培養したところ、分子量の移動が観察
され、Mr70〜75,000のウロキナーゼ−ミナク
チビン複合体が得られた(図16)。電気泳動の移動度
におけるこの変化は、ミナクチビンとしての蛋白質の分
子量を同定するために利用可能である。この移動はMr
39〜48,000のミナクチビン標品中の主要な蛋白
質バンドの消失と相互に関係する。Mr60,000及
び32,000のバンドも観察された。単一の蛋白質バ
ンドは、分子量30〜35,000に相当するものであ
った。
【0044】2.人マクロファージセルライン U93
7のミナクチビンの精製 細胞培養 非付着性の人マクロファージ セルライン U937
を、10%牛胎児血清及び1μMデキサメタゾンを含む
RPMI1640中で、T175培養フラスコ又は10
リットルBraun ファーメンターを用いて培養した。細胞
濃度は、1〜3×106cells/mlに保持した。生長期の
間に、細胞によってミナクチビンが分泌されるが、細胞
は、ミナクチビン精製のための上澄を得るべく血清不存
在の培地に移した。細胞ペレットを、洗浄し、1μMの
デキサメタゾンを含むRPMI1640中に懸濁させ、
3日間培養した。細胞の生育力を高めるために、0.7
%ゼラチンを血清不存在培地に添加した。ゼラチンの添
加により、ミナクチビンの活性は、4〜8倍に増加した
(図17)。図17においては、U937細胞(1.3
×106cells/ml)を血清不存在培地でデキサメタゾン
と、0.7%ゼラチンの存在下(×──×)及び不存在
下(・──・)で、培養した。細胞を採取し、上澄を精
製例に用いた。精製例は、精製ミナクチビン標品を得る
ために、適宜の組み合わせ及び順序で行ない得る。
【0045】精製例1 ステップpH溶出法によるフェ
ニル−セファロース クロマトグラフィー 0.7%ゼラチンの存在下で培養したU937細胞から
得た上澄を用いてミナクチビンを精製した。50mlのフ
ェニル−セファロース カラムを、2M NaClを含
む、pH5.5の50mMクエン酸塩で平衡にした。U
937培養上澄1.6リットルについて、クエン酸でp
H5.5に調節し、カラムにかける前に、NaClを2
M濃度まで添加した。カラムは、同等の緩衝液で、充
分、洗浄し、次いで、0.5M NaClを含む、pH
5.5の50mM クエン酸塩で洗浄した。次いで、ミ
ナクチビンを50mM グリシン、pH7.8で溶出
し、Coleman及びGreenの比色定量法(Coleman, P.L., G
reen, G.D.J. (1981). Ann. NYAcad Sci 370: 617)に
より活性を評価した。蛋白質含有量は、Bradford法(Br
adford, M.M. (197). Anal. Biochem. 72: 248-254 )
により決定した。結果を、図18に示す。図18におい
ては、実施例1記載の如く行なった。A部分は、溶出を
50mMクエン酸塩、pH5.0、0.5M NaCl
に、B部分は、50mMグリシン、pH7.8に変え
た。回収率は、3,360ミナクチビン単位、又は、比
活性では140単位/mgで、66%であった。これは、
214倍の比活性の増加を意味する。
【0046】精製例2 塩溶出法によるバッチ式フェニ
ル セファロース クロマトグラフィー U937細胞をゼラチン不存在下で培養して得た上澄を
用いてミナクチビンを精製した。 a)血清不存在ミナクチビン上澄の濃縮 4〜5リットルの上澄を、30,000MWカットオフ
カートリッジを装備したAmicon DC2 Hollow Fiber Di
alysis/Concentrationユニットを用いて、10倍濃度
に濃縮した。濃縮物は、次いで、全ての着色物を除去す
るために、pH7.8の50mMグリシンで透析した。 b)ミナクチビン濃縮物の遠心分離 透析した濃縮物を、JALO ロータ中で、残余の細胞の破
片及び透析中に沈澱した蛋白質を除去すべく、4℃、
8,000rpmで30分間遠心分離した。清澄化した上
澄を分画し、−20℃に凍結して続く精製処理に備え
た。この段階では、当初のミナクチビン活性が100%
回収され、比活性20単位/mgで10〜20,000単
位のミナクチビンが得られた。
【0047】c)バッチ式 フェニル−セファロース
クロマトグラフィー ミナクチビンは、濃縮培養上澄(0.7%ゼラチンの存
在下で培養した細胞から得た。比活性は、1単位/mg)
を用いて、更に、フェニル−セファロースを使用したバ
ッチ式塩溶出法により、精製を行なった。上澄(750ml
s)のイオン強度を、NaClで2Mに調節した。2M
NaClを含む、pH7.8の50mMグリシンで平
衡させたフェニル−セファロースを、上澄に対して1:
7.5(w/v)の割合で添加した。懸濁液を室温で2
時間又は4℃で一夜、攪拌下で培養した。フェニル−セ
ファロースを、グラスフィルターで除去し、次いで、同
じ緩衝液を用いて完全に洗浄し、不純蛋白質を除去する
べく、1.4M NaClを含むpH7.8の50mM
グリシンで洗浄した。ミナクチビンは、次いで、pH
7.8、50mMグリシンによりカラムから溶出した。
この方法によるミナクチビン活性の収量は、4,800
単位であり、これは、出発物質の35%収率に相当す
る。ミナクチビン生産物の比活性は、96単位/mgで約
100倍増加した。
【0048】精製例3 ステップpH溶出法によるDE
AE−セファロース クロマトグラフィー 細胞不存在の上澄について、精製例2に記載のステップ
(a)及び(b)に従って、pH溶出を行なった。濃縮
したミナクチビンの上澄(40ml、6.5単位/ml)
を、pH7.8、50mMグリシンで平衡にしたDEA
E−セファロースカラムにかけた。非吸着の蛋白質を除
くために、同等の緩衝液で完全に洗浄後、ミナクチビン
を、pH5.0、25mMクエン酸−リン酸塩で溶出さ
せた。次いで、残余の蛋白質を除去するために、2M
NaClを含む、pH5.0、25mMクエン酸−リン
酸塩で洗浄した。結果を図19に示す。ミナクチビン含
有上澄を、DEAE−セファロースを用いて、精製例3
記載の如く、フラクションに分画した。ミナクチビン活
性は、カラム外に示す。この方法によって生成されたミ
ナクチビンは、比活性が63単位/mgで、35%の収率
で回収された。これは、比活性で10倍の増加を意味す
る。
【0049】精製例4 予備的な非変性ゲル電気泳動 細胞不存在の上澄について、精製例2に記載のステップ
(a)、(b)及び(c)に従って、ミナクチビン
(3.5単位、比活性25単位/mg)及び適当な標準蛋
白質を電気泳動に先立って、等量の緩衝液で混合した。
緩衝液は、0.025%ブロモフェノール ブルー、
0.025%キシレン−シアノール、50mMトリス−
HCl、pH7.5、18%シュクロース及び1%トラ
イトンX−100から成る。ゲルは、5〜15%直線ビ
ス−アクリルアミドグラジエントで構成され、ゲルシス
テムは、基本的には、ナトリウム ドデシル−サルフェ
ートを無添加として、Laemmliの方法(Laemmlli, U.K.
(1970). Nature 227, 680-685.)を用いた。緩衝液槽の
ランニング緩衝液としては0.15%トライトンX−1
00 をSDSの代用に用いた。サンプルをゲルに供し
て、100mAにて電気泳動を行なった。温度は、水冷
システムにより25℃以下に保持した。低移動性のキシ
レン−シアノールの発色が、ゲルの全長を移動した後
に、ゲルを取り除いた。ゲルをセクション(約0.5×
1cm)にカットし、pH7.8、50mMグリシン15
0μlを添加し、サンプルをBranson Soifier cell dis
rupterを用いて、10〜20秒間、4℃、ソニック パ
ワー20で超音波処理した。蛋白質は、ゲルセクション
より攪拌下で一夜溶出させた。サンプルを14,930
g、10分間遠心分離して、ゲルをペレット化し、上澄
を分離してミナクチビン活性の評価に用いた。蛋白質の
含有量を発色させて観察させるために、重複してサンプ
ルを処理した。結果を図20に示す。図20において
は、フェニル−セファロース精製ミナクチビン標品を、
精製例4記載の如く、更に、未変性ゲル電気泳動で分画
した。ゲル切片から溶出したミナクチビン活性は、カラ
ム外に示す。下に、シルバー発色法による発色ゲルのレ
ーンを示す。ゲルからのミナクチビンの回収率は高く、
一回の抽出で、当初活性の64%が回収された。更に1
3%が第二回の抽出で回収された。銀白色に発色した蛋
白質の状況から、ミナクチビン活性は、標品中の不純蛋
白質からなり分離していることが分った。得られたミナ
クチビンの比活性は、2323単位/mgで、これは、こ
のステップで93倍精製されたことを意味する。
【0050】精製例5 Blue−アガロース クロマトグ
ラフィー 細胞不存在の上澄について、精製例2に記載のステップ
(a)及び(b)に従って、10mlの濃縮上澄(600
単位、20.0mg、比活性30.0)を、pH7.0、
100mM Na フォスフェートで平衡にした3.2
cm×2.8cmのBlue−アガロース カラムに供した。カ
ラムを、同じ緩衝液で洗浄し、8.1mlのフラクション
を集めた。フラクションを7グループに分けて保管し、
pH7.8、50mMグリシンで4℃、一夜透析し、次
いで、蛋白質含有量及びミナクチビン活性について評価
した。ミナクチビンは、カラムから溶出され、その比活
性は120単位/mgで、4倍の増加を示した。
【0051】精製例6 塩グラジエント溶出法によるD
EAE−セファセル クロマトグラフィー 細胞不存在の上澄について、精製例2に記載のステップ
(a)及び(b)に従って、10mlの濃縮上澄(640
単位、20.0mg、比活性32.0単位/mg)を、pH
7.8、50mMグリシンで平衡にした2.6cm×6cm
のDEAE−セファセル カラムに供した。カラムをp
H7.8、50mMグリシン50mlで洗浄し、次いで同
じ緩衝液で、0から0.5Mに至るNaClの直線グラ
ジエントを500ml NaClで行なった。完了後、グ
ラジエント カラムを、1M NaClを含むpH7.
8、50mMグリシン90mlで、更に、洗浄した。6ml
のフラクションを集めた。10フラクションを保管し、
pH7.8、50mMグリシンで4℃、一夜透析を行な
い、ミナクチビン活性及び蛋白質含有量を評価した。結
果を図21に示す。図21においては、ミナクチビン含
有上澄を、精製例6の如く、DEAE−セファセル カ
ラムで分画した。生物活性の単位は、カラム外に示す。
………:A275、------:NaCl濃度を示す。ミナ
クチビンは、0.24M NaClで溶出され、最大活
性を示すフラクションは、比活性216単位/mgで、回
収率79%であった。これは、6.75倍に精製された
ことを意味する。
【0052】精製例7 pHグラジエント溶出法による
DEAE−セファセル クロマトグラフィー 細胞不存在の上澄について、精製例2に記載のステップ
(a)及び(b)に従って、10mlの濃縮培地(400
単位、20mg、比活性20.0単位/mg)を、pH6.
9、20mM NH4Acで平衡にした2.6cm×6cm
のDEAE−セファセル カラムに供した。カラムを、
pH6.9、20mM NH4Ac 30mlで洗浄し、
次いで20mM NH4Acから20mM酢酸に至る5
00mlのグラジエントによりミナクチビンを溶出させ
た。完了後、カラムを20mM酢酸で、275nmの吸収
がベースラインに至るまで、洗浄した。5.5mlのフラ
クションを集めた。10グループのフラクションを保管
し、NaOHでpHを7及び8の間に調節した。5.0
mlの各保管標品を、pH7.8、50mM グリシンで
一夜透析し、次いで、ミナクチビン活性及び蛋白質含有
量を評価した。結果を図22に示す(図22の条件とし
ては、ミナクチビン含有上澄を精製例7の如く分画し
た。生物活性の単位は、カラム外に示す。蛋白質含有量
は、カラム内に示す。………:A275、------:p
H)。pH5.3で溶出された最大活性を示すフラクシ
ョンは、出発材料と比較して74%の活性を示した。比
活性は、1966単位/mgで、98倍に精製されたこと
を示した。各保管フラクションより70μgの蛋白質が
回収され、SDS−PAGEで評価した。結果を図23
に示す。図23においては、図22に示したDEAE−
セファセル クロマトグラフィーのフラクションから得
た蛋白質70μgを、Laemmli法(Laemmlli, U.K. (197
0). Nature 227, 680-685. )によりSDS−PAGE
処理した。レーン1:分子量マーカー、レーン4:フラ
クション30〜40、レーン5:フラクション40〜5
0、レーン6:50〜60、レーン7:60〜70、レ
ーン8:70〜80、レーン9:80〜90、レーン1
0:90〜100。
【0053】精製例8 ハイドロキシル アパタイト
クロマトグラフィー 細胞不存在の上澄について、精製例2に記載のステップ
(a)及び(b)に従って、10mlの濃縮上澄〔520
単位、16.6mg、比活性31.0単位(mg)〕を、p
H7.8、50mM グリシンで平衡にしたハイドロキ
シルアパタイトカラム(2.6cm×4.5cm)に供し
た。カラムを、pH7.8、50mMグリシンで洗浄
し、次いで、50mMグリシン、pH7.8から0.5
Mナトリウム フォスフェート、pH7.0に至る50
0mlのグラジエントを行なった。10グループのフラク
ションに保管し、4℃、一夜透析した。これらのミナク
チビン活性及び蛋白質含有量につき評価した。図24に
よると、ミナクチビンは、グラジエントの最終段階で溶
出され、最大活性フラクションは、50%の回収率を示
した。比活性は、651単位/mgで、21倍に精製され
たことを示す。図24においては、ミナクチビン含有上
澄を、精製例8の如く、分画した。生物活性単位は、カ
ラム外に示す。蛋白質含有量は、カラム内に示す。……
…:A275、------:Naフォスフェート濃度。各フ
ラクションから70μgの蛋白質を回収し、SDS−P
AGEで評価した。その結果を図25に示す。図25に
おいては、図24のハイドロキシアパタイト クロマト
グラフィーのフラクションから得た蛋白質70μgを、
Laemmli法の如く、SDS−PAGEで解析した。レー
ン:8フラクション70〜80、レーン9:フラクショ
ン80〜90、レーン10:90〜100。
【0054】実施例3 腫瘍組織のミナクチビンの効果 この実施例では、結腸腫瘍細胞に対するミナクチビンの
効果について検討するに際して使用した方法について詳
しく説明する。 1.組織サンプル及び均質化 人結腸のサンプルは、外科的に切除して入手した。粘膜
筋より解剖操作で結腸粘膜を取り出し、これをHank's溶
液で洗浄した。肉眼的にみて正常な粘膜及び直性癌腫を
各結腸から採取し、凍結貯蔵した。一部を解凍し、計量
され、mg組織当り(含水重量)10μlの緩衝液を用い
て、0.5%トライトンX−100を含むpH7.8の
50mMグリシンで静かにホモゲナイズした。
【0055】2.プラスミノーゲン アクチベータの比
色定量アッセイ 組織均質物及び細胞培養上澄のプラスミノーゲン アク
チベーター含有量を、Coleman及びGreenの評価方法(Co
leman, P.L., Green, G.D.J. (1981). Ann. NYAcad Sci
370: 617)によって実施例1と同様にして測定した。
前記のよう にして 調製した均質物は、評価に先立っ
て、1:10に希釈した。
【0056】3.SDS−PAGE及び線維素オーバー
レイ Granelli-Piperno及びReichの方法(Unkeless, J., Dan
o, K., Kellermann, G., Reich, E. (1974). J. Biol.
Chem. 249: 4295 )を、実施例1に記載した如く、当
該分離技術のため に利用した。組織均質物を、11%
アクリルアミドゲルに、(a)そのまま未処理で、
(b)アフィニティーで精製した人プラスミノーゲン
と、37℃、30分間培養した後、(c)単核細胞ミナ
クチビンと、23℃、90分間培養した後、又は、
(d)先ず、プラスミノーゲンと、次いで、ミナクチビ
ンと培養した後、通した。上記培養物の未処理サンプル
(60μl)を、SDSサンプル緩衝液(40μl)を
用いて、ゲルに通した。
【0057】4.ラジアル ディフュージョン アッセ
イ 実施例1に記載した通りに、ラジアル ディフュージョ
ンアッセイを行なった。培養に用いたプロテアーゼは、
カリクレイン(1.5μg)、プラスミン(150μ
g)、マウス ウロキナーゼ(2.5mPU)HPA6
6(メラノーマ培養上澄)、人ウロキナーゼ(12.5
mPU)及びCOLO394上澄(1.3mPU HP
A52を含む)である。これらの酵素は、過剰量のミナ
クチビンと、23℃で90分間培養し、次いで、ゲルに
供した。
【0058】5.結腸腫瘍細胞の培養 人結腸腫瘍セルラインCOLO394(Quinn, L.A., M
oore, G.E., Morgan,R.T. and Woods, L.K.(1979). Can
cer Res. 39: 4914-4924 )を、10%牛胎児血清を補
足したRPMI−1640中で培養し、2週間経過させ
た。ミナクチビン及び腫瘍細胞の酵素の効果を研究する
ために、約3×106cells/wellを、6−place multi-
well plate(Linbro No.76-058-05)に供した。一夜付
着培養させた後、細胞を洗浄し、48時間、血清不存在
のRPMI−1640で培養した。三つの実験用培地と
して、1)人プラスミノーゲン(15μg/ml)、2)
プラスミノーゲンとミナクチビン(1PUのウロキナー
ゼと等価)、3)プラスミノーゲン、ミナクチビン及び
トラシロール(18μg/ml)、を更に用いた。
【0059】6.ミナクチビン標品 この実験で用いたミナクチビンは、実施例6に記載され
た通り、人血単核細胞の培養上澄から調製した。プラス
チック皿上での単核細胞の付着培養は、ムラミル ジペ
プチド0.05μg/mlを含むPRMI1640で3時
間行なった。
【0060】腫瘍組織均質物のミナクチビンの効果 1.正常及び腫瘍結腸組織のプラスミノーゲン アクチ
ベーター含有量の比較 a)比色定量アッセイ 結腸粘膜の希釈ホモジエネートのプラスミノーゲンアク
チベーターについて、Coleman及びGreenの方法(Colema
n, P.L., Green, G.D.J. (1981). Ann. NY Acad Sci 37
0: 617)で評価を行なった。この評価では、用いたプラ
スミノーゲン基質が前酵素の活性化に充分な量で含まれ
ていることから、プラスミノーゲン アクチベーター酵
素(すなわち、前酵素及び活性化酵素)の全量を測定し
た。希釈ホモジエネート中のプラスミノーゲン非依存性
の天然プロテアーゼによるリジンチオエステル プラス
ミン基質の直接的加水分解は、発色展開に著しい影響を
示さなかった。癌化した結腸の組織学上の正常領域と、
直性結腸癌組織について、図26に示した如くプラスミ
ノーゲン アクチベーター活性を評価した。図26にお
いて、プラスミノーゲン基質は、わずかのプラスミンを
含んでおり、前酵素と活性酵素の総和を、結果は示して
いる。活性は、412nmの吸収を示す。同じ評価条件
で、4mPUの市販ウロキナーゼは、412nmで0.9
の吸収を示した。
【0061】正常組織ホモジエネートの活性は、平均値
0.5±0.16の範囲に集中していた。サンプルの一
部がSDS−PAGE 線維素オーバーレイでウロキナ
ーゼ活性バンドを示したが、より高感度の比色定量アッ
セイでは、正常組織のホモジエネートは全てプラスミノ
ーゲン アクチベーターを含んでいた。これは低レベル
のウロキナーゼ タイプのプラスミノーゲン アクチベ
ーター(HPA52)によるものであって、遍在する組
織タイプのプラスミノーゲン アクチベーター(HPA
66)によるものではないと考えられる(Rijken, D.
C., Hoylaerts, M., Collen, D. (1982). J, Biol. Che
m.257: 2920-2925)。しかしながら、腫瘍ホモジエネー
トは、10倍の吸収レンジをカバーするプラミノーゲン
アクチベーター活性の広いスペクトルを示した。平均
吸収値は、1.15±0.56であり、正常の組織ホモ
ジエネートの平均値の2倍以上であった。しかしなが
ら、この割合は、全ての材料サンプルを包含するもので
あり、腫瘍サンプルを、各結腸の正常組織の相当するサ
ンプルと組み合わせた場合(図27)は、5倍以上の組
み合わせもあり、平均値は3倍以上に増加した。図27
においては、15の結腸腫瘍標品(斜線の長方形)のプ
ラスミノーゲン アクチベーター活性を、同じ結腸由来
の正常組織(長方形)の活性と比較した。サンプルは、
左から右へ、腫瘍:正常の割合(T/N)値で増加する
ように並べた。
【0062】b)SDS−PAGE及び線維素オーバー
レイ 癌化した結腸の組織学的に正常な領域から得た結腸粘膜
は、人メラノーマ培養上澄の組織タイプ プラスミノー
ゲン アクチベーター(HPA66)に相当する、SD
S−PAGEの線維素−アガロース ツイモグラム上で
の、唯一の主要溶解バンドを形成した(図28A)。分
子量約96,000及び110,000に相当する他の
バンドも形成された。しかしながら、正常組織のホモジ
エネートは、高分子量のウロキナーゼ、すなわちHPA
52に相当する溶解バンドを形成した(以下参照)。代
表的な正常な結腸の非希釈ホモジエネートをアッセイ緩
衝液中で人プラスミノーゲンと培養すると、プラスミノ
ーゲンの活性化が起こり、プラスミンのバンドがツイモ
グラム上のMr85,000上に形成された(図28
A、レーン2)。サンプルを取り除き、プラスミノーゲ
ンと2時間培養すると、HPA66の活性は、消失し
た。96,000及び110,000の主要バンドもす
みやかに消失した。癌組織のホモジエネートは、HAP
52の主要バンドと、相対強度を異にした第2のHPA
66バンドを形成した(時として、ほとんどわずかであ
る)(図28B)。前記した副次的なバンドは、通常、
きわめてわずかであるか又は形成されない。プラスミノ
ーゲンと前培養すると、37℃、2時間後に消失した
(図28B、レーン2〜4)。生産されたプラスミン
(Mr85,000の溶解)は、HPA52を分解して
約Mr33〜36,000の活性分解物を生産した。図
28のAにおいては、レーン1は、未処理サンプル、レ
ーン2〜4は、ホモジエネートを人プラスミノーゲンと
37℃で、30、60及び120分間培養した場合の効
果を示す。溶解ゾーンは、a)11,000のプラスミ
ノーゲン アクチベーター、b)Mr96,000のプ
ラスミノーゲン アクチベーター、c)プラスミン、M
r85,000及びd)HPA66、Mr66,00
0。図28のBにおいては、レーン1は、未処理サンプ
ル、レーン2〜4は、人プラスミノーゲンと37℃で、
30、60及び120分間培養した場合。ゾーンA〜D
は、正常結腸、ゾーンEは、HAP52(Mr52,0
00)及びゾーンFは、HPA33〜35(Mr33〜
36,000)。
【0063】2.ウロキナーゼ タイプのプラスミノー
ゲン アクチベーターとミナクチビンの結腸粘膜ホモジ
エネート中での相互作用 正常結腸組織ホモジエネートを電気泳動に先立ってミナ
クチビンで処理しても、組織タイプのプラスミノーゲン
アクチベーターによって形成される溶解バンドに影響
を与えないが、副次的なHPA52バンドは、ほとんど
すべて消失させる(図29A)。図29において、レー
ン1は、コントロールの処理したサンプル、レーン2
は、ミナクチビンと23℃で60分間前培養した場合の
効果、レーン3は、ミナクチビンと37℃で30分間前
培養し、次いで、コントロール緩衝液と23℃で30分
間前培養した場合の効果、レーン4は、ホモジエネート
をプラスミノーゲンと37℃で30分間前培養し、次い
で、23℃で60分間ミナクチビンにさらした場合。溶
解ゾーンは、A−プラスミン、Mr85,000、B−
HPA66、Mr66,000、C−HPA52、Mr
52,000及びD−HPA33〜36、Mr33〜3
6,000。ホモジエネートをプラスミノーゲンと前培
養すると、HPA52 バンドを消失させ、その活性分
解物のMr33〜36,000に相当するわずかなバン
ドを形成させる、プラスミンが生産された。プラスミノ
ーゲンと前培養し、ミナクチビンで処理すると、HPA
52 バンド及び33〜36,000のわずかなバンド
は消失した。
【0064】腫瘍ホモジエネートは、ミナクチビンと培
養することによって消失される、顕著なHPA52の溶
解バンドを形成した(図29B)。電気泳動に先立って
プラスミノーゲンと前培養すると、プラスミンが生産さ
れ、これは、正常組織ホモジエネートで観察されたよう
に、HPA52をHPA33〜36に、順次、変換され
た。このように、ミナクチビンはHPA66に影響を与
えないが、腫瘍結腸組織及びこれらの正常結腸組織のホ
モジエネート中のMr52,000バンドを形成する酵
素は、人単核細胞ミナクチビンと培養すると影響を受け
る。ホモジエネートを、当初、プラスミノーゲンで、次
いでミナクチビンで処理すると電気泳動の後に通常見ら
れるHAP52バンドは消失し、HPA33〜36に相
当するバンドも無くなった(図29B;結腸腫瘍ホモジ
エネートを、図29Aの如く処理した。)このように、
HPA52をミナクチビンで不活性化も、次いでプラス
ミノーゲンで処理すると、未処理ホモジエネートの場合
よりも著しく効果的であるように見える。このことは、
組織中のHPA52の形は、実際には、前酵素であり、
ミナクチビンとの反応は、おそらくプラスミンによる。
活性酵素への変換に関することを示唆している。
【0065】3.ウロキナーゼ タイプのプラスミノー
ゲン アクチベーターの前酵素体についてのミナクチビ
ンの特異性(比色定量アッセイ) ミナクチビンとウロキナーゼの化学量論的な相関関係
は、ウロキナーゼ濃度の広い範囲、すなわち、10mP
Uから1000mPUにわたって適用される(図3
0)。図30においては、ウロキナーゼを、適宜の範囲
に希釈する前に23℃で90分間ミナクチビンと前培養
した。三つの曲線は、左から右へ、1000mPU、1
00mPU及び10mPUのウロキナーゼを、各々、示
す。しかしながら、結腸粘膜の希釈ホモジエネート中の
プラスミノーゲン アクチベーターのミナクチビンによ
る阻害作用を滴定定量してみると、このような特性は示
されない(図31)。図31において、三つの曲線は、
左から右へ、正常粘膜抽出物(約0.5mPU)及び結
腸腫瘍抽出物(約10mPU)を示す。後者は、後に前
酵素であることが分かった。実際には、腫瘍組織ホモジ
エネート中の増強された活性を阻害する場合よりも、正
常組織中のHPA52の低レベルの活性を阻害する場合
は、より多くのミナクチビンが必要とされる。このこと
は、組織ホモジエネート中のHPA52の前酵素体の存
在と矛盾するものではない。
【0066】このHPA52前酵素体の存性は、結腸腫
瘍の形質転換セルラインCOLO394を培養して得た
血清不存在の上澄を用いて示される。このセルラインに
より分泌されるプラスミノーゲン アクチベーターは、
本質的に、わずかのより高分子量のバンドを伴ったHP
A52から成り、これは、腫瘍組織ホモジエネートと非
常に類似したパターンを示す(図32)。図32におい
て、レーン1は、未添加による培養、レーン2は、プラ
スミノーゲン添加、レーン3は、プラスミノーゲン及び
ミナクチビン添加、レーン4はプラスミノーゲン、トラ
シロール及びミナクチビン添加。プラスミノーゲンが培
地中に含まれていると、HPA52のHPA36への変
換を促進するプラスミン(図33、比色定量アッセイで
示される)が生産される。培地に、ミナクチビンとプラ
スミノーゲンが加えられると、培養中に生産されるプラ
スミノーゲン アクチベーターは、SDS−PAGE及
び線維素オーバーレイ展開(図32)、及び比色定量ア
ッセイ(図33)に見られる如く、不活性化される。し
かしながら、プラスミンの有力な阻害剤であるトラシロ
ールを、プラスミノーゲン及びミナクチビンと一緒に培
地に添加すると、不活性化は起らない(図32)。トラ
シロールは、ミナクチビンとウロキナーゼの反応に直接
影響を与えないので、これらの結果は、COLO394
により生産されるHPA52は、活性の発現及びミナク
チビンとの反応にプラスミンを必要とする前酵素体であ
ること示す。SDS−PAGE線維素オーバーレイシス
テムにおいては、活性化は、プラスミノーゲン基質中に
存在するわずかのプラスミンにより生じる。これは、プ
ラスミンがトラシロールにより阻害されると生じない。
これらの結果は、主要な人癌腫が、隣接する組織の場合
よりも著しく多量のウロキナーゼタイプのプラスミノー
ゲン アクチベーターを生産することを示すものであ
る。ミナクチビンは、直接、組織ホモジエネートに添加
すると、人ウロキナーゼタイプのプラスミノーゲン ア
クチベーター、HPA52を少なくとも部分的に阻害す
る。この不活性化作用は、ウロキナーゼ タイプのプラ
スミノーゲン アクチベーター、HPA52に特異的で
ある。ミナクチビンは、HPA52前酵素体には作用し
ないこと、ミナクチビンと反応する前にHPA52を活
性型に変換するためにプロテアーゼ活性が必要とされる
こと(この場合、プラスミン)、が確認された。
【0067】
【発明の効果】本発明により、組織学的標本及び生体に
おける腫瘍の境界の位置決定に有効な腫瘍の境界位置決
定試薬及び腫瘍の侵入の阻害、腫瘍あるいは慢性的炎症
の治療に有効な腫瘍の治療剤を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】血液の単核細胞培養によるミナクチビンの生産
を示す図である。
【図2】単核細胞の培養中のミナクチビン活性度合を示
す図である。
【図3】人腹膜マクロファージの培養によるミナミチビ
ンの生産及び分泌を示す図である。
【図4】人骨髄質マクロファージの第2培養におけるミ
ナクチビンの生産及び分泌を示す図である。
【図5】線維素溶解におけるミナクチビンの効果を示す
図である。
【図6】ミナクチビン前培養後のSDS−PAGE処理
を示す図である。
【図7】ミナクチビンと前培養することによるCUKの
不活性化。ウロキナーゼ(4mPU)標品を、単核細胞
培養上澄(6μl)と、23℃で、種々の時間前培養
し、次いで、テストに示した如く比色定量アッセイを行
なった。上の曲線は、緩衝液で前培養したウロキナーゼ
である。
【図8】CUKのミナクチビンによる滴定定量を示す図
である。
【図9】プロテアーゼ阻害剤の存在下におけるCUKの
ミナクチビンによる不活性化を示す図である。
【図10】培養上澄の溶出液中のウロキナーゼ阻害作用
及び蛋白質を示す図である。
【図11】プロテアーゼ阻害作用のラジアル ディフュ
ージョン線維素ゲルアッセイを示す図である。
【図12】プロテアーゼ阻害作用のラジアル ディフュ
ージョン線維素ゲルアッセイを示す図である。
【図13】ミナクチビンによって生じるU937及び単
核細胞の電気泳動移動度を示す図である。
【図14】フェニル−セファロースによる単核細胞ミナ
クチビンの精製状況を示す図である。
【図15】生体外ラベリングした単核細胞ミナクチビン
のフルオログラフィーを示す図である。
【図16】生体内でラベル化した単核細胞ミナクチビン
及びウロキナーゼ複合体の精製を示す図である。
【図17】ミナクチビン生産に対するゼラチンの効果を
示す図である。
【図18】ステップpH溶出法によるフェニル−セファ
ロース クロマトグラフィーの結果を示す図である。
【図19】ステップ式pH溶出法によるDEAE−セフ
ァロース クロマトグラフィーの結果を示す図である。
【図20】予備的な未変性ゲル電気泳動による分画の結
果を示す図である。
【図21】塩グラジエント溶出法によるDEAE−セフ
ァロース クロマトグラフィーの結果を示す図である。
【図22】pHグラジエントによるDEAE−セファセ
ル クロマトグラフィーの結果を示す図である。
【図23】DEAE−セファセル フラクションのSD
S−PAGE処理の結果を示す図である。
【図24】ハイドロキシアパタイト クロマトグラフィ
ーの結果を示す図である。
【図25】ハイドロキシアパタイト クロマトグラフィ
ーのフラクションのSDS−PAGE処理の結果を示す
図である。
【図26】人結腸粘膜ホモジエネート中のプラスミノー
ゲン アクチベータの比色定量アッセイの結果を示す図
である。
【図27】結腸腫瘍標品と結腸由来の正常組織のプラス
ミノーゲン アクチベーター活性の比較した図である。
【図28】SDS−PAGE処理後の線維素アガロース
オーバーレイで示される、正常結腸粘膜(A)及び結
腸癌標本(B)のホモジエネート中に存在するプラスミ
ノーゲン アクチベーターの種類を示す図である。
【図29】組織学的に正常結腸サンプル(A)及び結腸
腫瘍ホモジエネート(B)のホモジエネート中のプラス
ミノーゲン アクチベーターに対するミナクチビンの効
果を示す図である。
【図30】人ウロキナーゼのミナクチビンによる比色定
量滴定アッセイの結果を示す図である。
【図31】結腸細胞及び組織の人プラスミノーゲン・ア
クチベーターのミナクチビンによる比色定量滴定アッセ
イの結果を示す図である。
【図32】腫瘍細胞培養プラスミノーゲン アクチベー
ターに対するミナクチビンの効果を示す図である。
【図33】図32と同じ実験で得た培養上澄の比色定量
アッセイの結果を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 (C12P 21/00 C12R 1:91) (71)出願人 594046570 ジ・オーストラリアン・ナシヨナル・ユニ バーシテイー THE AUSTRALIAN NATI ONAL UNIVERSITY オーストラリア国 オーストラリアン・キ ヤピタル・テリトリー 2601、アクシヨン (番地なし) (72)発明者 ロス・ウエントワース・ステフエン オーストラリア国 オーストラリアン・キ ヤピタル・テリトリー 2616、ホルダー、 ハインズ・クレツセント 6 (72)発明者 ジエフレイ・フイリツプ・ゴルダー オーストラリア国 ニユー・サウス・ウエ ールズ 2106、ニユーポート、ウオルワー ス・ストリート 38 (72)発明者 ネイル・ホワード・ゴス オーストラリア国 ニユー・サウス・ウエ ールズ 2076、ワールーンガ、キヤンベ ル・ドライブ 118 (72)発明者 トニー・マリー・アンタリス オーストラリア国 ニユー・サウス・ウエ ールズ 2047、ドラモイン、ヘンレイ・ス トリート 48

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 生体外での組織学的標本において、腫瘍
    の境界の位置決定及び限定するための、適宜ラベルされ
    た、以下の特性: 1)フィブリン存在下において、ウロキナーゼタイプの
    プラスミノーゲンアクチベーターは特異的に阻害する
    が、組織タイプのプラスミノ−ゲンアクチベ−タ−は阻
    害しない; 2)56℃以上の温度で不安定である; 3)−20℃での冷凍及びその解凍に対して安定であ
    る; 4)4℃においてのpH範囲5〜9で安定である; 5)人ウロキナーゼ或いは人ウロキナーゼタイプのプラ
    スミノ−ゲンアクチベ−タ−と耐界面活性剤性複合体を
    形成する能力を有する; 6)非還元性SDS−PAGEにおいて、分子量32k
    D、39−48kD或いは60kDの少なくとも1つの
    バンドを形成し、該バンドはウロキナーゼとインキュベ
    ートされると消失する; を有するタンパク質ミナクチビンを含む試薬。
  2. 【請求項2】 タンパク質ミナクチビンがフルオレスセ
    インの如き化学物質によりラベルされている請求項1に
    記載の試薬。
  3. 【請求項3】 タンパク質ミナクチビンが酵素によりラ
    ベルされている請求項1に記載の試薬。
  4. 【請求項4】 タンパク質ミナクチビンが放射性同位元
    素によりラベルされている請求項1に記載の試薬。
  5. 【請求項5】 放射性同位元素がテクネチウム99である
    請求項4に記載の試薬。
  6. 【請求項6】 腫瘍の侵入の阻害、腫瘍或いはリュウマ
    チ様関節炎のような慢性的炎症を治療するために使用す
    る、以下の特性: 1)フィブリン存在下において、ウロキナーゼタイプの
    プラスミノーゲンアクチベーターは特異的に阻害する
    が、組織タイプのプラスミノ−ゲンアクチベ−タ−は阻
    害しない; 2)56℃以上の温度で不安定である; 3)−20℃での冷凍及びその解凍に対して安定であ
    る; 4)4℃においてのpH範囲5〜9で安定である; 5)人ウロキナーゼ或いは人ウロキナーゼタイプのプラ
    スミノ−ゲンアクチベ−タ−と耐界面活性剤性複合体を
    形成する能力を有する; 6)非還元性SDS−PAGEにおいて、分子量32k
    D、39−48kD或いは60kDの少なくとも1つの
    バンドを形成し、該バンドはウロキナーゼとインキュベ
    ートされると消失する; を有するタンパク質ミナクチビンを有効成分として治療
    上有効量含む薬剤。
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