JPH0738304Y2 - 工事用エレベータの外扉装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野： 本考案は建築現場に設置した工事用エレベータへの資材
等の揚降部に設ける外扉装置に関する。

考案の背景と問題点： 従来、高層の建物を建築する工事現場では、高層階へ資
材や人員を運ぶのに、工事用エレベータが使用されてい
る。

このエレベータ（ロングスパンエレベータも含む）の昇
降路に対面する構築中の各階には、安全のために、エレ
ベータケージ（荷台）が着床時の乗降以外は閉じてお
く、乗降部の外扉が設置されている。この外扉は、通常
仮設するものであるから、構造上も恒久設備のような強
固なものにはできず、また資材等をエレベータケージ
（または荷台）と作業床との間での受払いのため、床面
を昇降路側から構築物側へ、あるいはその逆に、小運搬
車を移動させる際、床面に突出物があると、円滑な操作
ができないから、外扉の開閉用ガイドレールを床に敷設
するわけには行かない。また、エレベータによつて運ば
れる機材を目的階に取り込むに際し、小運搬車に搭載し
て作業階に運び込むため、外扉部をくぐり抜けるための
最大高さを外扉の設置高さの範囲内で可能な限り高くす
るのに、外扉支持部の上梁部材を高くする必要があり、
その分扉に支持構造に無理が生じる。さらに扉の開閉時
に、扉の移動に伴う空間を可能な限り少なくして、他の
作業に使用を来さないようにすることも工事の合理化上
重要な事項である。

このような事項のほかに、高所位置での作業場所に設け
る安全柵等は、労働安全衛生規則等によつて、一定の要
件を備えておらねばならず、特にこの種外扉などでは扉
を構成する面の開口率についても規制がある。

さらに、比較的低層の建築物の場合には、気象条件によ
る影響を受けることが少ないが、高層・超高層の建物の
場合、強風によって扉があふられる恐れがあり、建築中
の建物の外部に設置してエレベータに対応させるもので
あるから、その安定維持と安全性とが満足できるもので
なければならず、その構成について多くの条件を満足さ
せるには問題がある。

解決しようとする課題： このように仮設のエレベータ昇降路に面して設置される
外扉は、設置が容易で、使用時に、資材等の運搬に支障
のない状態を呈し、しかも強風等の影響に対し対応でき
て安定状態が保たれ、その上安全性が確保できて取扱の
容易なものが要求されている。したがつて、本考案では
このような要件を満足し得る構成の外扉を得ることにあ
る。

課題を解決するための手段： 本考案は、前記したような課題を解決したものであつ
て、直立して配設した一対の支柱間を、その最上部にて
下面に吊下げガイドレールを沿設した横梁で連結し、か
つ該横梁から適宜寸法下側で支柱の一側面間に、前記吊
下げガイドレールに平行させて補助ガイドレールを固設
して門形に枠組みした外扉支柱体と；前記両支柱間に、
吊下げガイドレールに案内されて折り畳み可能な扉と；
からなり：扉は、吊下げガイドレールにガイドローラを
介して上端を支持案内される複数本の支持杆を垂設し、
該各支持杆間に下端から所定高さの折り畳み可能で透孔
を備えた扉板を取り付けて、一連の扉に形成し、各支持
杆間の上部には交叉して配した補強リンクにて支持杆を
相互に連結してあり、かつ各支持杆の上部側面に補助ガ
イドレールを前後方向に挟持する補助ガイドローラを付
設した、構成の工事用エレベータの外扉装置である。

また、本考案にては、少なくとも扉板と支持杆との連結
部における蝶番取付部以外の適宜区間に、風抜け空間と
なる透孔を設けて、強風によるあふりを受けて扉が破損
しないように構成したのである。

作用： このように構成した本考案装置は、工事用エレベータ昇
降路に面した位置で、所要階の床面上に立設して使用す
る。エレベータの運転中は扉板を閉じて一方の支柱に予
め設けておいた鍵装置を施錠しておく。この状態で作業
床側とエレベータ昇降路側とは扉板によつて遮断され、
安全が保たれている。なお、この閉扉状態で強い風を受
けても、扉板は各支持杆が上部をクロスした補強部材に
よって相互に連結され、かつ補助ガイドローラを介して
補助ガイドレールに受け止められ、しかも扉板自体が透
孔部を備えているので、あふられることなく閉扉状態を
保つ。

なお、扉板の折曲げヒンジ部に透孔を設けておけば、扉
板の通気率が高まって、さらに安定性が増すことにな
る。

開扉に際しては、支柱との施錠を解いて、そのまま横移
動させれば、各吊下げている支持杆は上部で相互にクロ
スした補助部材が順次隣接する支持杆に推力を伝達し、
吊下げガイドレールと補助ガイドレールとに係合するガ
イドローラがそれぞれレールに沿って移動して、支持杆
に取り付く扉板が蝶番部で折り畳まれて開扉する。この
際、折り畳まれる扉板は、予め建物側に張り出して折り
畳まれるようにしておくことで、エレベータ側に突き出
さず、支障はない。もちろん、この開扉時作業の状態に
応じて全開に到るまで任意に移動できる。万一開口部の
幅が少ない状態になつていて、強い風を受けるようなこ
とがあっても、扉板乃至その連結部に透孔が設けてある
ことと、補強部材による連結並びに補助レールによる保
持とでもって、扉が大きく振れ動くことなく安全であ
る。

実施例： 以下本考案を一実施例について図面により説明すれば、
次の通りである。

第１図に示すのは、扉板によって開口部を閉じた状態で
の外扉装置の正面図であり、門形に枠組みされた外扉支
持体１と、この外扉支持体１の枠内で横方向に移動して
折り畳まれる扉10とで構成されている。

外扉支持体１は、第１図乃至第３図で示すように所要の
間隔で直立状態に配設した一対の支柱２を、その上端内
側間を横梁３で分解可能に連結して、門形に枠組してな
り、横梁３の下面には下側にスリツト４′を全長にわた
り設けた断面Ｃ形状の吊下げガイドレール４を付設して
ある。また、横梁３から適宜寸法下側の設置時における
エレベータ昇降側側面に補助ガイドレール５が、前記吊
下げガイドレール４と平行して付設してある。

扉10は、外扉支持体１の両支柱2,2間で、前記横梁３の
下面に沿設した吊下げガイドレール４に、吊下げガイド
ローラ12を頂部に備えた吊下げ用の支持杆11複数本を、
該ガイドローラ12を介して吊下げ、該各吊下げ用の支持
杆11間に、両端を蝶番14付けして中間部で二つ折りでき
る扉板13が、規定の高さ（約1800mm）で取り付けてあ
る。この扉板13はパンチングプレート等通風性を有して
耐火性のある薄板で形成されている。また、各吊下げ用
の支持杆11は上部において図示したようにクロスする補
強部材15でピン16連結してある。なお、補強部材15の支
持杆11に対する連結部において、下側になる連結部分は
支持杆11に設けた長溝にてスライドできる摺動片17にピ
ン18連結してある。さらに、外扉支持体１の補助ガイド
レール５と対応する位置に、ブラケツト20付設して、こ
のブラケツト20に取り付けたガイドローラ21,21を、前
記補助ガイドレール５の前後から（正面図において）挟
持するように当接して、支持杆11を介し扉10全体が前後
方向に振れないようにしてある。

このブラケツト20は、支持杆11に対しての取付位置を補
助ガイドレール５位置より下側にしておくことが、吊下
げ位置からの距離を大きくとれて、扉10の振れ止め効果
が高まり、かつ作業床から補助ガイドレール５までの高
さ寸法を高くして作業に支障を与えないことになり有効
である。

また、補助ガイドレール５は、前記の振れ止め用のガイ
ドローラ21、21を支持するブラケット20が、上側を開放
した構造にしてあるので、該補助ガイドレール５の中間
部を支持部片６で外扉支持体１の横梁３に繋いで、中間
部が撓むことなく安定状態に維持できる。さらに、該ガ
イドローラ支持用のブラケツト20が上側開放形にしてあ
れば、組立作業時第４図で例示するように、扉10を仮組
した後、補助ガイドレール５を上側から各ブラケツト20
取り付きの両ガイドローラ21,21間に介在するよう挿入
して、両端を支柱２に取り付けて組立ができるので、組
立に余分な場所をとらず、作業性がよくなる。もちろ
ん、解体時はこの逆操作になるから、同様である。

さらに、扉10の開閉のための把手８は一方端の支持杆1
1′のエレベータ側に付設して、これに対応する側の支
柱２対向側面に設けた係止孔と閉扉時に係合させる鍵片
とを軸で連結してある。前記鍵片とその係止孔とによっ
て構成される施錠装置７は、エレベータ側からは把手８
を操作して扉10を開くことができるが、建物側（作業床
側）からはキーを使用しない施錠を解くことができない
ようにし、安全性を保つようにしてある。しかもこの支
持杆11の上部には、閉扉状態を確認するためのリミット
スイッチ30（支柱２側に取り付く）と接触する接触子32
が付設してある。９は落し棒であって、エレベータ側で
操作できるようにしてあり、作業床に埋設するなどした
係止孔に落し棒９を挿入することで、扉10を中間下部位
置で固定して、突風時などの安全対策が図れるようにし
てある。

このような構成の本考案装置は、通常工事用エレベータ
の設置部（昇降路）に沿って各作業階に、統一した構造
のものを設置して使用する。構成する各部の部材および
部品については、搬送が容易な状態に分解できて、かつ
ボルト締結等により組立られる構成にしておくことで、
作業の進行状態に応じて順次高所に運んで設置できる。
また、エレベータの解体時には分解して撤去することが
でき、別な場所に運んで再設置できる。

使用時には、施錠を解くことにより、扉板13を吊下げて
いる各支持杆11は、その頂部に設けてある吊下げガイド
ローラ12が横梁３下面に沿設したガイドレール４に沿っ
て移動して、隣接支持杆11を相互に繋ぐクロス状態の補
強部材15が、その下側の連結部において摺動可能にピン
18連結されているので、当該部分の移動変位により、支
持杆11間の間隔が縮められ、付設した扉板13がそれぞれ
蝶番部分で折り畳まれて開扉することになる。

この開扉時の開口幅は、作業の都合によって両支柱2,2
間の寸法から、全支持杆11の幅寸法の合計幅寸法差し引
いた寸法を最大限とし、それまでの範囲で任意に開くこ
とができる。この際、折り畳まれる扉板13は、第２図に
二点鎖線で示すように、建物側に折り畳まれて突き出す
ことになり、エレベータ昇降路側へは突出せず、したが
つてエレベータケージ等に接触する危険もない。

閉扉時には施錠するようにし、施錠によつて可動側の最
端支持杆11′に取り付く接触子32がリミツトスイツチ30
を操作して、閉扉されている場合のみエレベータケージ
が昇降できるよう、該エレベータの制御部と電気的に関
連させておけば、運転中の事故防止になることは一般の
エレベータと同様である。

この閉扉状態では、扉板13に対して風等の外力が作用し
た場合、扉板13全面に受ける風圧力に対して、まず該扉
板13には無数の透孔が設けてあるから、該透孔13′を風
の一部が吹き抜けて低減し、残余の風圧力を受けても、
補強部材15による各支持杆11の連結と、補助ガイドレー
ル５に対する振れ止めガイドローラ21,21の係合保持に
より受け止められて、扉10が大きく振れることはない。

また、暴風時や夜間等の作業を行わない時間帯では落し
棒９により、床面に対し扉10の中間下端部を係止するこ
とで、より安全に保持できる。もちろん、その作業はエ
レベータケージを移動して、順次外側から落し棒９の上
げ降ろしをすることによって行えばよい。

また、第５図に示すように扉板13とその支持杆11との連
結部において、蝶番14取付部分以外の適宜区間で、扉板
13にパンチング孔以外の切取り孔19を設けておけば、そ
の分扉10としての通風開口率が大きくなって、突風等風
の影響を受けた際の抵抗力が少なくなり、より安全性が
高められる。

なお、このような構造にしても機械的強度を低下させる
ことがないから、支障を来すことはない。

考案の効果： 本考案の外扉装置は、工事用エレベータの昇降路に沿っ
た作業階に設置するに際して、特別な機材を別途必要と
せずに分解して搬送し、組立できる構造になつており、
使用時には本設のエレベータと同様の安全性を確保でき
て、エレベータケージ（荷台）上と作業床との間での資
材等の積み降ろしに際して、高さ制限をしなくとも作業
が円滑にできる。しかも、閉扉状態で風等の影響を受け
るようなことがあっても、吊下げ部から補助ガイドレー
ルまでの距離を比較的少なくとっているにもかかわら
ず、補助ガイドレールに対し係合する振れ止め用のガイ
ドローラの支持ブラケツトを許容範囲で下方に固着する
ことで、補助ガイドレールに対し扉面に作用する風等の
外力を合理的に受け止めて無理なく安定保持できるよう
になり、高所に設置して安全に使用できる有用なもので
あるといえる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例正面図、第２図は平面図、第
３図は要部の拡大断面図、第４図は補助ガイドレール取
付態様を示す図、第５図は扉板に対する通風のための透
孔部を設けた別例図である。 １……外扉支持体、２……支柱 ３……横梁、４……吊下げガイドレール ５……補助ガイドレール、６……支持部片 ７……施錠装置、８……把手 ９……落し棒、10……扉 11……支持杆、12……吊下げガイドローラ 13……扉板、14……蝶番 15……補強部材、16,18……ピン 17……摺動片、20……ブラケツト 21……ガイドローラ、30……リミツトスイツチ 32……リミツトスイツチに対する接触子

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】直立して配設した一対の支柱間を、その最
   上部にて下面に吊下げガイドレールを沿設した横梁で連
   結し、かつ該横梁から適宜寸法下側で支柱の一側面間
   に、前記吊下げガイドレールに平行させて補助ガイドレ
   ールを固設して門形に枠組みした外扉支持体と；前記両
   支柱間に、吊下げガイドレールに案内されて折り畳み可
   能な扉と；からなり： 扉は、吊下げガイドレールにガイドローラを介して上端
   を支持案内される複数本の支持杆を垂設し、該各支持杆
   間に下端から所定高さの折り畳み可能で透孔を備えた扉
   板を取り付けて、一連の扉に形成し、各支持杆間の上部
   には交叉して配した補強リンクにて支持杆を相互に連結
   してあり、かつ各支持杆の上部側面に補助ガイドレール
   を前後方向に挟持する補助ガイドローラを付設した、 ことを特徴とする工事用エレベータの外扉装置。
2. 【請求項２】少なくとも扉板と支持杆との連結部におけ
   る蝶番取付部以外の適宜区間に、風抜け空間となる透孔
   を設けてある、請求項１に記載の工事用エレベータの外
   扉装置。