JPH0738135B2 - 浮遊装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、宇宙ステーションなどに搭載され材料実験
に用いられる浮遊装置に関するものである。

〔従来の技術〕 第２図はリン、「宇宙材料実験用静電浮遊炉の開発」科
学機器、56巻、２月号、1985年、307〜317頁（W.K.Rhi
m,M.Collender,M.T.Hyson,W.T.Simms,and D.D.Elleman,
“Development ofan electrostatic positioner for sp
acematerial Processing,"Rev.Sci.Instrum.,56,Februa
ry 1985,pp.307−317.）に示されている従来の装置の構
成図である。図において、（１）は帯電した試料、
（２）は試料（１）の位置を検出する位置検出装置、
（３）は位置検出装置（２）の信号によって出力電圧の
変わる可変電源、（4a），（4b）はこの可変電源（３）
の両端に接続され、対向して位置した一対の平面電極、
（5a），（5b）は直流電源、（6a），（6b）は各平面電
極（4a），（4b）を囲むように配置され、直流電源（5
a），（5b）によって平面電極より高い電圧を保たれて
いる円環電極である。

次に動作について説明する。正に帯電した試料（１）の
位置は位置検出装置（２）によって常時監視され、試料
が図の鉛直方向の中央付近に留まるように可変電源
（３）の出力は制御される。円環電極（6a），（6b）に
は平面電極（4a），（4b）よりも高い電圧が印加されて
いるので図の水平方向にも安定である。

このように保持された試料（１）に光などを照射し、加
熱する実験を宇宙基地などで行なうことができる。

〔発明が解決しようとする課題〕

従来の浮遊装置は以上のように構成されているので、平
面電極と円環電極で試料の位置を制御するだけであるた
め、試料を回転させる制御力がなく、加熱を均等に行な
うために回転させることができなかった。又、試料自身
の対流などによる自然回転で宇宙実験の特徴である微小
重力条件がくずれることを止めることができないという
問題点があった。

〔課題を解決するための手段〕

この発明に係わる浮遊装置は、試料の位置を検出する位
置検出装置の信号によって出力電圧の変わる可変電源、
この可変電源の両端に接続され対向して位置した一対の
平面電極、各平面電極を囲むように配置され直流電源に
よって平面電極より高い電圧に保たれる円環電極を備
え、上記平面電極と円環電極で試料の位置を制御する浮
遊装置において、上記円環電極を分割すると共に、その
分割された隣合う電極に周期的に出力電圧を変える交番
電源を備えたものである。

〔作用〕

この発明においては、分割された円環電極が水平方向の
保持と回転制御の機構を兼ねるので、試料の自然回転を
抑止し、またその隣合う電極に交番電極により交番電界
を掛けることによって試料の回転を制御できる。

〔実施例〕

以下、この発明の一実施例を第２図と同一部分には同一
符号を付して示す第１図に基づいて説明する。図におい
て、（7a），（7b）は直流電源（5a），（5b）に直列に
接続している交番電源、（６）は各平面電極（4a），
（4b）を囲むように配置され、４分割されてなる円環状
の電極で、４分割された隣同士は交番電源（7a），（7
b）の逆極に接続されている。そして交番電源（7a），
（7b）の電圧尖頭値は直流電源（5a），（5b）の出力電
圧よりも低い値に設定されている。

次に動作について説明する。正に帯電した試料（１）の
位置は位置検出装置（２）によって常時監視され、試料
が図の鉛直方向の中央付近に留まるように可変電源
（３）の出力は制御される。円環電極（６）の電圧は交
番電極（７）の最小出力時においても平面電極（４）よ
りも高いので図の水平方向にも安定である。

また、交番電源（７）の周波数と電圧を調整することに
よって試料（１）の回転を制御することができる。試料
表面の電荷は試料とともに回転しているため、交番電源
（７）の周波数に同期するような回転運動が安定にな
る。円環電極（６）の分割数をｎ、電源の周波数をｆと
すると試料は回転数nfの回転になる。

このように保持された試料（１）に光などを照射し、加
熱する実験を宇宙基地などで行なうことができる。

なお、上記実施例では円環状の電極を分割して水平方向
の保持と回転制御の機構を兼ねたが、回転制御の電極を
別に配置し、交番電源を独立に接続しても効果は同じで
ある。

また上記実施例では円環状の電極を周期的に配置した
が、厳密に周期的である必要はない。

〔発明の効果〕

以上のように、この発明によれば、試料の回転を制御で
きるため、微小重力のもとで均等に加熱する実験が可能
になるという効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明の一実施例による浮遊装置の構成図、
また第２図は従来の浮遊装置の構成図である。 （１）は試料、（２）は位置検出装置、（３）は可変電
源、（４）は平面電極、（５）は直流電源、（６）は円
環電極、（７）は交番電源である。 なお、各図中同一符号は同一または相当部分を示す。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】試料の位置を検出する位置検出装置の信号
   によって出力電圧の変わる可変電源、この可変電源の両
   端に接続され対向して位置した一対の平面電極、各平面
   電極を囲むように配置され直流電源によって平面電極よ
   り高い電圧に保たれる円環電極を備え、上記平面電極と
   円環電極で試料の位置を制御する浮遊装置において、上
   記円環電極を分割すると共に、その分割された隣合う電
   極に周期的に出力電圧を変える交番電源を備えたことを
   特徴とする浮遊装置。