JPH0737666B2 - 化合物薄膜の形成方法及び装置 - Google Patents
化合物薄膜の形成方法及び装置Info
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- JPH0737666B2 JPH0737666B2 JP2501491A JP2501491A JPH0737666B2 JP H0737666 B2 JPH0737666 B2 JP H0737666B2 JP 2501491 A JP2501491 A JP 2501491A JP 2501491 A JP2501491 A JP 2501491A JP H0737666 B2 JPH0737666 B2 JP H0737666B2
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、窒化チタン等の化合物
の薄膜を形成する方法及びその装置に関するもので、特
に、1種以上の固体原料の粒子と1種以上の気体原料の
粒子とを基体に付着堆積させることにより化合物の薄膜
を形成するようにした、化合物薄膜の形成方法及び装置
に関するものである。
の薄膜を形成する方法及びその装置に関するもので、特
に、1種以上の固体原料の粒子と1種以上の気体原料の
粒子とを基体に付着堆積させることにより化合物の薄膜
を形成するようにした、化合物薄膜の形成方法及び装置
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、TiN(窒化チタン)等の化合物
の薄膜を形成する方法としては、一般に熱CVD(化学
蒸着)法が採用されてきた。この方法は、互いに反応す
る複数種類の原料気体を真空チャンバ内に導入し、熱エ
ネルギを与えて化学反応を起こさせながら、そのチャン
バ内に配置された基体上に付着堆積させることにより、
化合物薄膜を形成するというものである。この熱CVD
法によれば、基体上に、強靱な薄膜を密着性よく、かつ
付き回り性よく形成させることができる。しかも、成膜
速度が速いので、生産性にも優れているという特徴があ
る。しかしながら、薄膜形成に必要な化学反応は、10
00℃以上の高温下で行われることが多いので、そのよ
うな熱CVD法によるときには、基体を極めて高い温度
にすることが必要となる。そのために、基体を構成する
材料が制約されるという問題がある。例えば、熱的損傷
が生じやすい材料や寸法変化が生じやすい材料を基体に
用いた場合には、熱CVD法を適用することは困難とな
る。
の薄膜を形成する方法としては、一般に熱CVD(化学
蒸着)法が採用されてきた。この方法は、互いに反応す
る複数種類の原料気体を真空チャンバ内に導入し、熱エ
ネルギを与えて化学反応を起こさせながら、そのチャン
バ内に配置された基体上に付着堆積させることにより、
化合物薄膜を形成するというものである。この熱CVD
法によれば、基体上に、強靱な薄膜を密着性よく、かつ
付き回り性よく形成させることができる。しかも、成膜
速度が速いので、生産性にも優れているという特徴があ
る。しかしながら、薄膜形成に必要な化学反応は、10
00℃以上の高温下で行われることが多いので、そのよ
うな熱CVD法によるときには、基体を極めて高い温度
にすることが必要となる。そのために、基体を構成する
材料が制約されるという問題がある。例えば、熱的損傷
が生じやすい材料や寸法変化が生じやすい材料を基体に
用いた場合には、熱CVD法を適用することは困難とな
る。
【0003】そこで、低温下においても化合物薄膜を形
成することのできる方法として、反応性蒸着法、反応性
スパッタリング法、あるいは反応性イオンプレーティン
グ法等のPVD(物理蒸着)法が開発されている。反応
性蒸着法とは、真空チャンバ内で抵抗加熱蒸発や電子ビ
ーム加熱蒸発により固体原料を蒸発させ、基体上に付着
堆積させて薄膜を形成する、いわゆる真空蒸着法におい
て、その固体原料と反応する気体原料を同時に導入する
ことにより化合物薄膜を形成する方法である。また、反
応性スパッタリング法とは、真空チャンバ内で発生した
プラズマを用いてターゲットと呼ばれる固体原料の表面
に高速粒子を衝突させ、スパッタリング現象によりター
ゲット表面から飛び出してきた粒子を基体上に堆積させ
て薄膜を形成する、いわゆるスパッタリング法におい
て、その固体原料と反応する気体原料を同時に導入する
ことにより化合物薄膜を形成する方法である。そして、
反応性イオンプレーティング法とは、反応性真空蒸着法
において、蒸発する粒子の一部又は大部分を励起・イオ
ン化して化合物薄膜を形成させる方法である。しかしな
がら、これらのPVD法は、化合物の組成の制御が困難
な場合があること、成膜速度が比較的遅いこと、などの
欠点を共通して有している。そのために、これらの方法
は、その適用し得る範囲が限られている。
成することのできる方法として、反応性蒸着法、反応性
スパッタリング法、あるいは反応性イオンプレーティン
グ法等のPVD(物理蒸着)法が開発されている。反応
性蒸着法とは、真空チャンバ内で抵抗加熱蒸発や電子ビ
ーム加熱蒸発により固体原料を蒸発させ、基体上に付着
堆積させて薄膜を形成する、いわゆる真空蒸着法におい
て、その固体原料と反応する気体原料を同時に導入する
ことにより化合物薄膜を形成する方法である。また、反
応性スパッタリング法とは、真空チャンバ内で発生した
プラズマを用いてターゲットと呼ばれる固体原料の表面
に高速粒子を衝突させ、スパッタリング現象によりター
ゲット表面から飛び出してきた粒子を基体上に堆積させ
て薄膜を形成する、いわゆるスパッタリング法におい
て、その固体原料と反応する気体原料を同時に導入する
ことにより化合物薄膜を形成する方法である。そして、
反応性イオンプレーティング法とは、反応性真空蒸着法
において、蒸発する粒子の一部又は大部分を励起・イオ
ン化して化合物薄膜を形成させる方法である。しかしな
がら、これらのPVD法は、化合物の組成の制御が困難
な場合があること、成膜速度が比較的遅いこと、などの
欠点を共通して有している。そのために、これらの方法
は、その適用し得る範囲が限られている。
【0004】ところで、このようなPVD法の欠点の原
因の一つとして、固体原料と反応するべき気体原料が励
起されていないことが挙げられている。そして、そのよ
うな観点から、その欠点の解消を図る方法としてIVD
(イオンアシスト蒸着)法が開発されている。この方法
は、反応性蒸着法において、気体原料の一部又は大部分
を励起・イオン化させ、固体原料の蒸発粒子と反応させ
ることにより化合物薄膜を形成するというものである。
しかしながら、従来は、このIVD法においても、反応
性蒸着法と同様に、固体原料は単に蒸発させるのみとさ
れていた。そのために、固体原料のエネルギが十分では
なく、反応性蒸着法の欠点が完全に解消されるまでには
至っていない。
因の一つとして、固体原料と反応するべき気体原料が励
起されていないことが挙げられている。そして、そのよ
うな観点から、その欠点の解消を図る方法としてIVD
(イオンアシスト蒸着)法が開発されている。この方法
は、反応性蒸着法において、気体原料の一部又は大部分
を励起・イオン化させ、固体原料の蒸発粒子と反応させ
ることにより化合物薄膜を形成するというものである。
しかしながら、従来は、このIVD法においても、反応
性蒸着法と同様に、固体原料は単に蒸発させるのみとさ
れていた。そのために、固体原料のエネルギが十分では
なく、反応性蒸着法の欠点が完全に解消されるまでには
至っていない。
【0005】以上のことから、固体原料と気体原料とを
ともに励起、ないしはそのエネルギを高めるようにすれ
ばよいという結論に到達する。例えば、反応性イオンプ
レーティング法とIVD法とを組み合わせて、固体原料
の一部又は大部分を励起・イオン化すると同時に、気体
原料の一部又は大部分を励起・イオン化させ、それらを
反応させて基体上に付着堆積させることにより、化合物
薄膜を形成するという方法が考えられる。また、IVD
法において、固体原料の蒸発エネルギを一層高めるよう
にすることが考えられる。そのような方法とすることに
より、化合物薄膜の優れた組成制御性、及び高速形成の
可能性を期待することができる。
ともに励起、ないしはそのエネルギを高めるようにすれ
ばよいという結論に到達する。例えば、反応性イオンプ
レーティング法とIVD法とを組み合わせて、固体原料
の一部又は大部分を励起・イオン化すると同時に、気体
原料の一部又は大部分を励起・イオン化させ、それらを
反応させて基体上に付着堆積させることにより、化合物
薄膜を形成するという方法が考えられる。また、IVD
法において、固体原料の蒸発エネルギを一層高めるよう
にすることが考えられる。そのような方法とすることに
より、化合物薄膜の優れた組成制御性、及び高速形成の
可能性を期待することができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、本発明
者らは、従来用いられてきた上記各種のPVD法を同時
に動作させた場合には、次のような問題があることを見
いだした。すなわち、固体原料及び気体原料をそれぞれ
励起させるためには、各々独立した励起手段を設けるこ
とが必要となるが、それらを同時に動作させると、互い
に干渉し合って各々の独立した動作が不可能になる場合
があるという問題である。また、固体原料の蒸発エネル
ギを高めるためには、電子ビーム加熱蒸発法を用いると
ともにその電子ビームを強くすることが有効であるが、
そのようにした場合にも、気体原料の励起手段が影響を
受けて安定した動作が得られなくなってしまう。
者らは、従来用いられてきた上記各種のPVD法を同時
に動作させた場合には、次のような問題があることを見
いだした。すなわち、固体原料及び気体原料をそれぞれ
励起させるためには、各々独立した励起手段を設けるこ
とが必要となるが、それらを同時に動作させると、互い
に干渉し合って各々の独立した動作が不可能になる場合
があるという問題である。また、固体原料の蒸発エネル
ギを高めるためには、電子ビーム加熱蒸発法を用いると
ともにその電子ビームを強くすることが有効であるが、
そのようにした場合にも、気体原料の励起手段が影響を
受けて安定した動作が得られなくなってしまう。
【0007】この原因については、現時点ではまだその
すべては解明されていない。しかしながら、その中で非
常に重要なものとして、次のことが推定される。すなわ
ち、固体原料や気体原料を励起させるときには、通常、
プラズマを利用した励起やイオン化が行われる。そし
て、イオン化の際には電子も発生するので、その励起に
よってイオンや電子が発生する。そのイオンや電子のう
ちのあるものは基体に到達して薄膜の形成に関与する
が、あるものは迷走イオンあるいは迷走電子として真空
チャンバ内に存在する。その結果、一方の励起手段から
発生した迷走電子・イオンが他方の励起手段に影響を及
ぼし、各々の独立した動作が妨げられる。化合物薄膜の
形成速度を高速化するためには、各励起手段によるイオ
ン化率や電流密度を高めることが求められるが、そのよ
うにしようとすると、上述のような相互干渉の傾向がま
すます増大する。また、固体原料を蒸発させるために電
子ビーム加熱手段を用いた場合にも、そのパワーを高め
ると多量の反射電子が発生する。そのために、同様な干
渉が生ずると考えられる。
すべては解明されていない。しかしながら、その中で非
常に重要なものとして、次のことが推定される。すなわ
ち、固体原料や気体原料を励起させるときには、通常、
プラズマを利用した励起やイオン化が行われる。そし
て、イオン化の際には電子も発生するので、その励起に
よってイオンや電子が発生する。そのイオンや電子のう
ちのあるものは基体に到達して薄膜の形成に関与する
が、あるものは迷走イオンあるいは迷走電子として真空
チャンバ内に存在する。その結果、一方の励起手段から
発生した迷走電子・イオンが他方の励起手段に影響を及
ぼし、各々の独立した動作が妨げられる。化合物薄膜の
形成速度を高速化するためには、各励起手段によるイオ
ン化率や電流密度を高めることが求められるが、そのよ
うにしようとすると、上述のような相互干渉の傾向がま
すます増大する。また、固体原料を蒸発させるために電
子ビーム加熱手段を用いた場合にも、そのパワーを高め
ると多量の反射電子が発生する。そのために、同様な干
渉が生ずると考えられる。
【0008】このような問題のために、上述のように固
体原料と気体原料とを独立して励起ないしは活性化させ
て反応させる化合物薄膜の形成方法は、実際上は適用が
不可能となっている。
体原料と気体原料とを独立して励起ないしは活性化させ
て反応させる化合物薄膜の形成方法は、実際上は適用が
不可能となっている。
【0009】本発明は、このような実情に鑑みてなされ
たものであって、その目的は、1種以上の固体原料及び
1種以上の気体原料を、各原料ごとに独立して同時に所
望の状態に励起ないしは活性化することができるように
し、それによって、成膜の高速化及び組成制御の容易化
を図ることのできる化合物薄膜の形成方法及び装置を提
供することである。
たものであって、その目的は、1種以上の固体原料及び
1種以上の気体原料を、各原料ごとに独立して同時に所
望の状態に励起ないしは活性化することができるように
し、それによって、成膜の高速化及び組成制御の容易化
を図ることのできる化合物薄膜の形成方法及び装置を提
供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に、本発明による化合物薄膜の形成方法は、1種以上の
固体原料を電子ビーム加熱手段により蒸発させるととも
に1種以上の気体原料を励起手段により励起させるに際
して、あるいは1種以上の固体原料と1種以上の気体原
料とを各原料ごとに独立した励起手段を用いてそれぞれ
所望の状態に励起させるに際して、それら固体原料の電
子ビーム加熱手段あるいは励起手段と気体原料の励起手
段との間に少なくとも一つ以上の電気的遮蔽部材を設置
し、その遮蔽部材に電位を印加して、電子ビーム加熱手
段と気体原料励起手段、あるいは固体原料及び気体原料
の各励起手段を同時に動作させるようにしたことを特徴
としている。遮蔽部材に印加する電位は正電位あるいは
負電位のいずれともすることができる。その場合、正電
位であれば10〜500V、負電位であれば−10〜−
500Vの範囲とすることが望ましい。
に、本発明による化合物薄膜の形成方法は、1種以上の
固体原料を電子ビーム加熱手段により蒸発させるととも
に1種以上の気体原料を励起手段により励起させるに際
して、あるいは1種以上の固体原料と1種以上の気体原
料とを各原料ごとに独立した励起手段を用いてそれぞれ
所望の状態に励起させるに際して、それら固体原料の電
子ビーム加熱手段あるいは励起手段と気体原料の励起手
段との間に少なくとも一つ以上の電気的遮蔽部材を設置
し、その遮蔽部材に電位を印加して、電子ビーム加熱手
段と気体原料励起手段、あるいは固体原料及び気体原料
の各励起手段を同時に動作させるようにしたことを特徴
としている。遮蔽部材に印加する電位は正電位あるいは
負電位のいずれともすることができる。その場合、正電
位であれば10〜500V、負電位であれば−10〜−
500Vの範囲とすることが望ましい。
【0011】また、本発明による化合物薄膜の形成装置
は、1種以上の固体原料を蒸発させる電子ビーム加熱手
段あるいはそれを励起させる励起手段と1種以上の気体
原料を励起させる励起手段とを互いに独立させて設ける
とともに、それら電子ビーム加熱手段あるいは固体原料
励起手段と気体原料励起手段との間に導電性材料からな
る少なくとも一つ以上の電気的遮蔽部材を設置し、その
遮蔽部材に電位を印加し得る直流電源を設けたことを特
徴としている。固体原料を励起させる場合、その励起手
段は、例えばその固体原料を蒸発させる抵抗加熱あるい
は電子ビーム加熱等の加熱手段とその蒸発粒子の少なく
とも一部をイオン化するグロー放電、アーク放電、ある
いは熱電子放射等のイオン化手段とによって構成され
る。遮蔽部材としてはメッシュ状のものを用いることが
望ましい。
は、1種以上の固体原料を蒸発させる電子ビーム加熱手
段あるいはそれを励起させる励起手段と1種以上の気体
原料を励起させる励起手段とを互いに独立させて設ける
とともに、それら電子ビーム加熱手段あるいは固体原料
励起手段と気体原料励起手段との間に導電性材料からな
る少なくとも一つ以上の電気的遮蔽部材を設置し、その
遮蔽部材に電位を印加し得る直流電源を設けたことを特
徴としている。固体原料を励起させる場合、その励起手
段は、例えばその固体原料を蒸発させる抵抗加熱あるい
は電子ビーム加熱等の加熱手段とその蒸発粒子の少なく
とも一部をイオン化するグロー放電、アーク放電、ある
いは熱電子放射等のイオン化手段とによって構成され
る。遮蔽部材としてはメッシュ状のものを用いることが
望ましい。
【0012】
【作用】前述したように、従来の方法で各種PVD法を
同時に動作させると、その各励起手段が互いに干渉し合
い、各々の独立した動作が不可能になる場合がある。と
ころが、それらの励起手段の間に少なくとも一つ以上の
電気的遮蔽部材を設置し、その遮蔽部材に電位を印加す
ると、1種以上の固体原料と1種以上の気体原料とを各
原料ごとに独立して所望の状態に励起させることが可能
となる。固体原料を電子ビーム加熱手段によりハイパワ
ーで蒸発させる場合も同様である。その理由については
必ずしも明らかではないが、正電位を印加した遮蔽部材
を設置すると、迷走電子がその遮蔽部材に捕捉されると
ともに、迷走イオンがその遮蔽部材に近付くことが妨げ
られるようになり、また、負電位を印加した遮蔽部材を
設置すると、迷走電子はその遮蔽部材に近付くことが妨
げられ、迷走イオンはその遮蔽部材に捕捉されるように
なるためであると考えられる。そして、そのような迷走
電子及びイオンの遮蔽効果により、各々の励起手段の相
互干渉が防止されるようになるのではないかと推定され
る。本発明者らの実験の結果、遮蔽部材に印加する電位
の範囲は±10〜±500Vが適当であることが見いだ
された。遮蔽部材に印加する電位が±10V未満の場合
には、上述の干渉防止効果が十分には発揮されないの
で、従来と同様の問題が生ずる。また、遮蔽部材に印加
する電位を±500V以上とすると、その遮蔽部材と励
起手段との間で異常放電が起こるなど、新たな実用上の
問題が発生し、各原料を所望の状態に励起させることが
できなくなってしまう。
同時に動作させると、その各励起手段が互いに干渉し合
い、各々の独立した動作が不可能になる場合がある。と
ころが、それらの励起手段の間に少なくとも一つ以上の
電気的遮蔽部材を設置し、その遮蔽部材に電位を印加す
ると、1種以上の固体原料と1種以上の気体原料とを各
原料ごとに独立して所望の状態に励起させることが可能
となる。固体原料を電子ビーム加熱手段によりハイパワ
ーで蒸発させる場合も同様である。その理由については
必ずしも明らかではないが、正電位を印加した遮蔽部材
を設置すると、迷走電子がその遮蔽部材に捕捉されると
ともに、迷走イオンがその遮蔽部材に近付くことが妨げ
られるようになり、また、負電位を印加した遮蔽部材を
設置すると、迷走電子はその遮蔽部材に近付くことが妨
げられ、迷走イオンはその遮蔽部材に捕捉されるように
なるためであると考えられる。そして、そのような迷走
電子及びイオンの遮蔽効果により、各々の励起手段の相
互干渉が防止されるようになるのではないかと推定され
る。本発明者らの実験の結果、遮蔽部材に印加する電位
の範囲は±10〜±500Vが適当であることが見いだ
された。遮蔽部材に印加する電位が±10V未満の場合
には、上述の干渉防止効果が十分には発揮されないの
で、従来と同様の問題が生ずる。また、遮蔽部材に印加
する電位を±500V以上とすると、その遮蔽部材と励
起手段との間で異常放電が起こるなど、新たな実用上の
問題が発生し、各原料を所望の状態に励起させることが
できなくなってしまう。
【0013】
【実施例】以下、図面を用いて本発明の実施例を説明す
る。図1は、本発明による化合物薄膜形成装置の一実施
例を示す概略構成図である。
る。図1は、本発明による化合物薄膜形成装置の一実施
例を示す概略構成図である。
【0014】この図から明らかなように、この化合物薄
膜形成装置1は、密閉容器状の真空チャンバ2を備えて
いる。そのチャンバ2の壁面は金属等の導電性材料によ
って形成されており、アース電位に保持されるようにな
っている。また、そのチャンバ2には真空排気口3が設
けられ、その排気口3に接続される真空排気手段として
の真空ポンプ4によりそのチャンバ2内が減圧されるよ
うになっている。
膜形成装置1は、密閉容器状の真空チャンバ2を備えて
いる。そのチャンバ2の壁面は金属等の導電性材料によ
って形成されており、アース電位に保持されるようにな
っている。また、そのチャンバ2には真空排気口3が設
けられ、その排気口3に接続される真空排気手段として
の真空ポンプ4によりそのチャンバ2内が減圧されるよ
うになっている。
【0015】チャンバ2の底部には、電子ビーム加熱に
よって固体原料5を蒸発させる電子ビーム蒸発源6が設
けられている。また、その蒸発源6の上方には、固体原
料5の蒸発粒子5aをアーク放電によってイオン化させ
るアーク放電式イオン化手段7が設けられている。その
イオン化手段7はイオン化電極8からなり、励起電源9
からそのイオン化電極8に印加される電圧の大きさによ
って、蒸発粒子5aの励起状態が制御されるようになっ
ている。こうして、この実施例においては、電子ビーム
加熱蒸発とアーク放電との組み合わせによって固体原料
5が励起・イオン化されるようになっている。すなわ
ち、電子ビーム加熱手段である電子ビーム蒸発源6とア
ーク放電式イオン化手段7とによって、固体原料5の励
起手段が構成されている。
よって固体原料5を蒸発させる電子ビーム蒸発源6が設
けられている。また、その蒸発源6の上方には、固体原
料5の蒸発粒子5aをアーク放電によってイオン化させ
るアーク放電式イオン化手段7が設けられている。その
イオン化手段7はイオン化電極8からなり、励起電源9
からそのイオン化電極8に印加される電圧の大きさによ
って、蒸発粒子5aの励起状態が制御されるようになっ
ている。こうして、この実施例においては、電子ビーム
加熱蒸発とアーク放電との組み合わせによって固体原料
5が励起・イオン化されるようになっている。すなわ
ち、電子ビーム加熱手段である電子ビーム蒸発源6とア
ーク放電式イオン化手段7とによって、固体原料5の励
起手段が構成されている。
【0016】真空チャンバ2内には、更にイオンガン1
0が設置されている。そのイオンガン10には、真空チ
ャンバ2の外部において4本に分岐しその各々にバルブ
11及びマスフローコントローラ12が設けられたガス
導入管13が連結されており、その導入管13から気体
原料14が供給されるようになっている。そして、その
気体原料14が、イオンガン10内において励起電源1
5により励起・イオン化され、イオンビーム14aとし
て放出されるようになっている。すなわち、この実施例
においては、イオンガン10が気体原料14の励起手段
となっている。
0が設置されている。そのイオンガン10には、真空チ
ャンバ2の外部において4本に分岐しその各々にバルブ
11及びマスフローコントローラ12が設けられたガス
導入管13が連結されており、その導入管13から気体
原料14が供給されるようになっている。そして、その
気体原料14が、イオンガン10内において励起電源1
5により励起・イオン化され、イオンビーム14aとし
て放出されるようになっている。すなわち、この実施例
においては、イオンガン10が気体原料14の励起手段
となっている。
【0017】このようにして、固体原料5の励起手段と
気体原料14の励起手段とは、それぞれ独立して制御さ
れるようになっている。
気体原料14の励起手段とは、それぞれ独立して制御さ
れるようになっている。
【0018】固体原料5の励起手段、すなわち電子ビー
ム蒸発源6及びイオン化手段7と、気体原料14の励起
手段であるイオンガン10との間には、メッシュ状の遮
蔽部材16が配置されている。その遮蔽部材16は金属
等の導電性材料からなるもので、絶縁材17を介してチ
ャンバ2の底面上に設置されている。そして、その遮蔽
部材16に、極性切り換え可能な直流電源18が接続さ
れ、その電源18によって正電位あるいは負電位が印加
されるようになっている。こうして、その遮蔽部材16
によって、固体原料5の励起手段と気体原料14の励起
手段との間が電気的に遮蔽されるようになっている。
ム蒸発源6及びイオン化手段7と、気体原料14の励起
手段であるイオンガン10との間には、メッシュ状の遮
蔽部材16が配置されている。その遮蔽部材16は金属
等の導電性材料からなるもので、絶縁材17を介してチ
ャンバ2の底面上に設置されている。そして、その遮蔽
部材16に、極性切り換え可能な直流電源18が接続さ
れ、その電源18によって正電位あるいは負電位が印加
されるようになっている。こうして、その遮蔽部材16
によって、固体原料5の励起手段と気体原料14の励起
手段との間が電気的に遮蔽されるようになっている。
【0019】一方、真空チャンバ2の頂部には、アーク
放電式イオン化手段7によって励起された固体原料5の
蒸発粒子5aとイオンガン10によって励起された気体
原料14のイオンビーム14aとが同時に投射される位
置に、平板状の基体である基板19を支持する基板支持
電極20が設けられている。その基板支持電極20には
基板加熱用のヒータ21が内蔵されており、基板支持電
極20に接続されたヒータ用電源22によってそのヒー
タ21が作動され、電極20に取り付けられた基板19
が加熱されるようになっている。また、その基板支持電
極20には直流バイアス電源23が接続されており、そ
のバイアス電源23によって、基板19に負のバイアス
電位が印加されるようになっている。更に、その基板支
持電極20にはマッチングボックス24を介して高周波
電源25が接続されており、その高周波電源25によっ
て、基板19に高周波バイアス電圧が印加されるように
なっている。
放電式イオン化手段7によって励起された固体原料5の
蒸発粒子5aとイオンガン10によって励起された気体
原料14のイオンビーム14aとが同時に投射される位
置に、平板状の基体である基板19を支持する基板支持
電極20が設けられている。その基板支持電極20には
基板加熱用のヒータ21が内蔵されており、基板支持電
極20に接続されたヒータ用電源22によってそのヒー
タ21が作動され、電極20に取り付けられた基板19
が加熱されるようになっている。また、その基板支持電
極20には直流バイアス電源23が接続されており、そ
のバイアス電源23によって、基板19に負のバイアス
電位が印加されるようになっている。更に、その基板支
持電極20にはマッチングボックス24を介して高周波
電源25が接続されており、その高周波電源25によっ
て、基板19に高周波バイアス電圧が印加されるように
なっている。
【0020】次に、このように構成された化合物薄膜形
成装置1の作用について説明する。
成装置1の作用について説明する。
【0021】化合物の薄膜を形成しようとするときに
は、基板支持電極20にステンレス鋼等からなる基板1
9を取り付ける。そして、真空チャンバ2の真空排気口
3に真空ポンプ4を接続し、その真空ポンプ4によって
チャンバ2内を真空排気するとともに、ヒータ用電源2
2によってヒータ21を作動させ、基板19を所定の温
度に加熱する。また、目標とする化合物が導電性である
場合には、直流バイアス電源23によって基板19に所
定のバイアス負電位を印加する。一方、その化合物が酸
化物のような絶縁性のものである場合には、高周波電源
25を作動させて基板19に高周波バイアス電圧を印加
する。更に、遮蔽部材16には、直流電源18により正
電位あるいは負電位を印加しておく。
は、基板支持電極20にステンレス鋼等からなる基板1
9を取り付ける。そして、真空チャンバ2の真空排気口
3に真空ポンプ4を接続し、その真空ポンプ4によって
チャンバ2内を真空排気するとともに、ヒータ用電源2
2によってヒータ21を作動させ、基板19を所定の温
度に加熱する。また、目標とする化合物が導電性である
場合には、直流バイアス電源23によって基板19に所
定のバイアス負電位を印加する。一方、その化合物が酸
化物のような絶縁性のものである場合には、高周波電源
25を作動させて基板19に高周波バイアス電圧を印加
する。更に、遮蔽部材16には、直流電源18により正
電位あるいは負電位を印加しておく。
【0022】この状態で、電子ビーム蒸発源6を作動さ
せて固体原料5を蒸発させるとともに、アーク放電式イ
オン化手段7によってその蒸発粒子5aを励起させる。
すると、蒸発粒子5aの少なくとも一部がイオン化され
る。そして、そのイオンは、基板19との間の電場によ
って加速され、基板19に衝突する。一方、これと同時
にイオンガン10を動作させ、気体原料14のイオンビ
ーム14aを基板19に照射する。それによって、励起
された気体原料14の粒子が基板19に衝突する。
せて固体原料5を蒸発させるとともに、アーク放電式イ
オン化手段7によってその蒸発粒子5aを励起させる。
すると、蒸発粒子5aの少なくとも一部がイオン化され
る。そして、そのイオンは、基板19との間の電場によ
って加速され、基板19に衝突する。一方、これと同時
にイオンガン10を動作させ、気体原料14のイオンビ
ーム14aを基板19に照射する。それによって、励起
された気体原料14の粒子が基板19に衝突する。
【0023】このようにして、固体原料5の粒子と気体
原料14の粒子とが、ともに励起した状態で基板19の
表面に導かれる。したがって、それらが反応し、化合物
の粒子が形成される。そして、その化合物の粒子が基板
19の表面に付着して堆積する。その結果、化合物の薄
膜が形成される。
原料14の粒子とが、ともに励起した状態で基板19の
表面に導かれる。したがって、それらが反応し、化合物
の粒子が形成される。そして、その化合物の粒子が基板
19の表面に付着して堆積する。その結果、化合物の薄
膜が形成される。
【0024】ところで、このように固体原料5を励起さ
せると、その原料5のイオンと電子とが発生する。ま
た、気体原料14の励起により、そのイオンと電子とが
発生する。しかも、固体原料5は電子ビームによって加
熱蒸発されるので、その電子ビームを強くすると多量の
反射電子が発生する。そして、それらが迷走すると、各
励起手段に支障が及ぼされる。例えば固体原料5の励起
によって生じたイオンや電子がイオンガン10に飛び込
むと、イオンガン10の正常な動作が妨げられ、気体原
料14が所望の状態に励起されなくなってしまう。ま
た、固体原料5を加熱蒸発させる電子ビーム蒸発源6か
ら発生した電子がイオンガン10に飛び込んだ場合に
も、同様な現象が生じる。このように、固体原料5の励
起手段と気体原料14の励起手段とを同時に動作させる
と、それらが互いに干渉して、各々独立して動作させる
ことが不可能となってしまうことがある。
せると、その原料5のイオンと電子とが発生する。ま
た、気体原料14の励起により、そのイオンと電子とが
発生する。しかも、固体原料5は電子ビームによって加
熱蒸発されるので、その電子ビームを強くすると多量の
反射電子が発生する。そして、それらが迷走すると、各
励起手段に支障が及ぼされる。例えば固体原料5の励起
によって生じたイオンや電子がイオンガン10に飛び込
むと、イオンガン10の正常な動作が妨げられ、気体原
料14が所望の状態に励起されなくなってしまう。ま
た、固体原料5を加熱蒸発させる電子ビーム蒸発源6か
ら発生した電子がイオンガン10に飛び込んだ場合に
も、同様な現象が生じる。このように、固体原料5の励
起手段と気体原料14の励起手段とを同時に動作させる
と、それらが互いに干渉して、各々独立して動作させる
ことが不可能となってしまうことがある。
【0025】しかしながら、この化合物薄膜形成装置1
の場合には、固体原料5の励起手段と気体原料14の励
起手段との間に導電性材料からなる遮蔽部材16が設け
られ、その遮蔽部材16に正あるいは負の電位が印加さ
れているので、そのような相互干渉が防止される。例え
ば遮蔽部材16に正電位を印加しておくと、迷走電子は
その遮蔽部材16に捕捉され、迷走イオンはその遮蔽部
材16によって反発される。また、遮蔽部材16に負電
位を印加しておくと、その遮蔽部材16によって迷走イ
オンが捕捉され、迷走電子が反発される。その結果、そ
れらの迷走電子やイオンによって他方の励起手段に影響
が及ぼされることが防止されるようになる。
の場合には、固体原料5の励起手段と気体原料14の励
起手段との間に導電性材料からなる遮蔽部材16が設け
られ、その遮蔽部材16に正あるいは負の電位が印加さ
れているので、そのような相互干渉が防止される。例え
ば遮蔽部材16に正電位を印加しておくと、迷走電子は
その遮蔽部材16に捕捉され、迷走イオンはその遮蔽部
材16によって反発される。また、遮蔽部材16に負電
位を印加しておくと、その遮蔽部材16によって迷走イ
オンが捕捉され、迷走電子が反発される。その結果、そ
れらの迷走電子やイオンによって他方の励起手段に影響
が及ぼされることが防止されるようになる。
【0026】そして、このように固体原料5の励起手段
と気体原料14の励起手段との相互干渉が防止されるこ
とにより、それらを同時に独立して動作させ、各原料
5,14をそれぞれ所望の状態に励起させることが可能
となるので、形成される化合物薄膜の組成を正確に制御
することが可能となる。また、その励起エネルギを高め
ることができるので、高速成膜も可能となる。
と気体原料14の励起手段との相互干渉が防止されるこ
とにより、それらを同時に独立して動作させ、各原料
5,14をそれぞれ所望の状態に励起させることが可能
となるので、形成される化合物薄膜の組成を正確に制御
することが可能となる。また、その励起エネルギを高め
ることができるので、高速成膜も可能となる。
【0027】しかも、メッシュ状の遮蔽部材16を用い
ることにより、その遮蔽部材16が固体原料5の蒸発粒
子5aや気体原料14のイオンビーム14aに対する物
理的な障壁となることが軽減されるので、その遮蔽部材
16の高さを高くしても、基板19上の広い範囲で化学
反応を起こさせて化合物薄膜を形成させることができ
る。そして、そのように遮蔽部材16の高さを高くする
ことにより、各励起手段の相互干渉をより確実に防止す
ることができる。
ることにより、その遮蔽部材16が固体原料5の蒸発粒
子5aや気体原料14のイオンビーム14aに対する物
理的な障壁となることが軽減されるので、その遮蔽部材
16の高さを高くしても、基板19上の広い範囲で化学
反応を起こさせて化合物薄膜を形成させることができ
る。そして、そのように遮蔽部材16の高さを高くする
ことにより、各励起手段の相互干渉をより確実に防止す
ることができる。
【0028】電子ビーム蒸発源6のパワーを高め、固体
原料5をイオン化せずに単に蒸発させて化合物の薄膜を
形成するときにも、遮蔽部材16を設けることによって
同様な作用効果が得られる。
原料5をイオン化せずに単に蒸発させて化合物の薄膜を
形成するときにも、遮蔽部材16を設けることによって
同様な作用効果が得られる。
【0029】このような化合物薄膜形成装置1を実際に
試作し、それを用いて次のような実験を行った。
試作し、それを用いて次のような実験を行った。
【0030】基板支持電極20上に縦50mm、横50m
m、厚さ1mmのステンレス鋼(JISSUS304)製の基板
19を取り付けた。そして、真空ポンプ4により、真空
チャンバ2内を1×10-7Torrにまで減圧した。また、
ヒータ21により基板19の温度を400℃とし、更
に、直流バイアス電源23により基板19に−100V
のバイアス電位を印加した。一方、遮蔽部材16には直
流電源18により100Vの正電位を印加した。この状
態で、固体原料5としてTiを用い、電子ビーム蒸発源
6及びアーク放電式イオン化手段7を動作させて、Ti
のイオンプレーティングを行った。同時に、気体原料1
4としてN2をイオンガン10に供給し、イオンガン1
0を動作させて、N2をイオン化して基板19に照射し
た。その結果、基板19の表面上に薄膜が形成された。
m、厚さ1mmのステンレス鋼(JISSUS304)製の基板
19を取り付けた。そして、真空ポンプ4により、真空
チャンバ2内を1×10-7Torrにまで減圧した。また、
ヒータ21により基板19の温度を400℃とし、更
に、直流バイアス電源23により基板19に−100V
のバイアス電位を印加した。一方、遮蔽部材16には直
流電源18により100Vの正電位を印加した。この状
態で、固体原料5としてTiを用い、電子ビーム蒸発源
6及びアーク放電式イオン化手段7を動作させて、Ti
のイオンプレーティングを行った。同時に、気体原料1
4としてN2をイオンガン10に供給し、イオンガン1
0を動作させて、N2をイオン化して基板19に照射し
た。その結果、基板19の表面上に薄膜が形成された。
【0031】このときには、固体原料5の励起手段であ
る電子ビーム蒸発源6及びイオン化手段7、気体原料1
4の励起手段であるイオンガン10はともに正常に動作
し、干渉等の異常は認められなかった。
る電子ビーム蒸発源6及びイオン化手段7、気体原料1
4の励起手段であるイオンガン10はともに正常に動作
し、干渉等の異常は認められなかった。
【0032】次いで、このようにして表面に薄膜が形成
された基板19をチャンバ2内から取り出し、その薄膜
の評価試験を行った。形成された薄膜は、XRD(X線
回折)によりTiNと同定された。また、その薄膜のT
iとNとの比は、EPMAによりほぼ1であることが確
認された。そして、膜厚測定の結果から、成膜速度は約
20μm/hrと算出された。なお、同一条件で10回の成
膜を行ったが、再現性は良好であった。
された基板19をチャンバ2内から取り出し、その薄膜
の評価試験を行った。形成された薄膜は、XRD(X線
回折)によりTiNと同定された。また、その薄膜のT
iとNとの比は、EPMAによりほぼ1であることが確
認された。そして、膜厚測定の結果から、成膜速度は約
20μm/hrと算出された。なお、同一条件で10回の成
膜を行ったが、再現性は良好であった。
【0033】次に、直流電源18の極性を切り換えて、
遮蔽部材16に−100Vの負電位を印加し、同様の実
験を行った。このときにも、遮蔽部材16に正電位を印
加した場合と全く同じ結果が得られた。
遮蔽部材16に−100Vの負電位を印加し、同様の実
験を行った。このときにも、遮蔽部材16に正電位を印
加した場合と全く同じ結果が得られた。
【0034】一方、同一の装置1を用いて、遮蔽部材1
6を外した状態で薄膜形成試験を行った。なお、この場
合にも、同一条件で10回の成膜を行った。この場合に
は、薄膜形成中にイオンガン10がしばしば制御不能状
態に陥った。そして、薄膜形成終了後、基板19をチャ
ンバ2内から取り出し、評価試験を行ったところ、形成
された薄膜は、XRDによりすべてTiNと同定された
が、EPMAにより測定されたTiとNとの比は、0.
7〜1の間でばらついていた。また、膜厚測定をした結
果、成膜速度にも約10〜15μm/hrというばらつきが
見られた。
6を外した状態で薄膜形成試験を行った。なお、この場
合にも、同一条件で10回の成膜を行った。この場合に
は、薄膜形成中にイオンガン10がしばしば制御不能状
態に陥った。そして、薄膜形成終了後、基板19をチャ
ンバ2内から取り出し、評価試験を行ったところ、形成
された薄膜は、XRDによりすべてTiNと同定された
が、EPMAにより測定されたTiとNとの比は、0.
7〜1の間でばらついていた。また、膜厚測定をした結
果、成膜速度にも約10〜15μm/hrというばらつきが
見られた。
【0035】更に、アーク放電式イオン化手段7の作動
を停止させた状態で、電子ビーム蒸発源6のパワーを高
め、遮蔽部材16を設置した場合とそれを取り外した場
合とについて同様な成膜実験を行った。その結果、遮蔽
部材16がない場合にはイオンガン10の動作が不安定
となるが、遮蔽部材16を設置した場合には、化合物薄
膜の良好な成膜が行われることが確認された。
を停止させた状態で、電子ビーム蒸発源6のパワーを高
め、遮蔽部材16を設置した場合とそれを取り外した場
合とについて同様な成膜実験を行った。その結果、遮蔽
部材16がない場合にはイオンガン10の動作が不安定
となるが、遮蔽部材16を設置した場合には、化合物薄
膜の良好な成膜が行われることが確認された。
【0036】このようなTiN薄膜の形成実験のほか、
その他の窒化物、酸化物、炭化物、ほう化物、水素化物
などの薄膜についても同様な成膜実験を行ったが、いず
れも同様な結果が得られた。また、固体原料5の励起手
段については、上記実施例のような電子ビーム蒸発源6
とアーク放電式イオン化手段7との組み合わせのほか、
抵抗加熱蒸発とグロー放電、アーク放電、熱電子放射の
うちの少なくとも1種以上との組み合わせ、あるいは電
子ビーム加熱蒸発とグロー放電、アーク放電、熱電子放
射のうちの少なくとも1種以上との組み合わせ、更には
スパッタリング法を用いた場合にも、同様の結果が得ら
れることが確認された。更に、気体原料19の励起手段
としても、グロー放電、アーク放電、熱電子放射、及び
イオンガンのうちの少なくとも1種以上を用いた場合に
は、同様の結果が得られた。
その他の窒化物、酸化物、炭化物、ほう化物、水素化物
などの薄膜についても同様な成膜実験を行ったが、いず
れも同様な結果が得られた。また、固体原料5の励起手
段については、上記実施例のような電子ビーム蒸発源6
とアーク放電式イオン化手段7との組み合わせのほか、
抵抗加熱蒸発とグロー放電、アーク放電、熱電子放射の
うちの少なくとも1種以上との組み合わせ、あるいは電
子ビーム加熱蒸発とグロー放電、アーク放電、熱電子放
射のうちの少なくとも1種以上との組み合わせ、更には
スパッタリング法を用いた場合にも、同様の結果が得ら
れることが確認された。更に、気体原料19の励起手段
としても、グロー放電、アーク放電、熱電子放射、及び
イオンガンのうちの少なくとも1種以上を用いた場合に
は、同様の結果が得られた。
【0037】図2は、本発明による化合物薄膜形成装置
の異なる実施例を示す概略構成図である。なお、この実
施例において、図1の実施例と対応する部分には同一の
符号を付すことにより、重複する説明は省略する。
の異なる実施例を示す概略構成図である。なお、この実
施例において、図1の実施例と対応する部分には同一の
符号を付すことにより、重複する説明は省略する。
【0038】この化合物薄膜形成装置1の場合には、固
体原料5の励起手段として、固体原料5を蒸発させる抵
抗加熱蒸発源26とその固体原料5の蒸発粒子5aをイ
オン化するグロー放電式イオン化手段27とが用いられ
ている。そのイオン化手段27はイオン化電極28を備
えており、励起電源29からそのイオン化電極28に印
加される電圧の大きさによって、蒸発粒子5aの励起状
態が制御されるようになっている。
体原料5の励起手段として、固体原料5を蒸発させる抵
抗加熱蒸発源26とその固体原料5の蒸発粒子5aをイ
オン化するグロー放電式イオン化手段27とが用いられ
ている。そのイオン化手段27はイオン化電極28を備
えており、励起電源29からそのイオン化電極28に印
加される電圧の大きさによって、蒸発粒子5aの励起状
態が制御されるようになっている。
【0039】真空チャンバ2の内部は、中心部に小さな
開口30を有する隔壁31により、上部の蒸着室32と
下部の蒸発室33とに区画されている。抵抗加熱蒸発源
26はその下部の蒸発室33内に設置されている。ま
た、グロー放電式イオン化手段27は上部の蒸着室32
内に配置されている。
開口30を有する隔壁31により、上部の蒸着室32と
下部の蒸発室33とに区画されている。抵抗加熱蒸発源
26はその下部の蒸発室33内に設置されている。ま
た、グロー放電式イオン化手段27は上部の蒸着室32
内に配置されている。
【0040】蒸着室32内には、更に、気体原料14の
励起手段であるイオンガン10が設けられている。この
イオンガン10は、図1の実施例のものより高圧の下で
も動作可能なものとされている。
励起手段であるイオンガン10が設けられている。この
イオンガン10は、図1の実施例のものより高圧の下で
も動作可能なものとされている。
【0041】これら固体原料5の励起手段と気体原料1
4の励起手段との間には、平板状の遮蔽部材16が二重
に設けられている。それらの遮蔽部材16,16はいず
れも導電性材料からなるもので、絶縁材17を介して隔
壁31上に設置されている。そして、それらの遮蔽部材
16,16には、それぞれ直流電源18,18によって
大きさの異なる正電位あるいは負電位が印加されるよう
になっている。
4の励起手段との間には、平板状の遮蔽部材16が二重
に設けられている。それらの遮蔽部材16,16はいず
れも導電性材料からなるもので、絶縁材17を介して隔
壁31上に設置されている。そして、それらの遮蔽部材
16,16には、それぞれ直流電源18,18によって
大きさの異なる正電位あるいは負電位が印加されるよう
になっている。
【0042】真空チャンバ2には、下部の蒸発室33に
開口する真空排気口3のほかに、上部の蒸着室32に開
口する真空排気口34が設けられている。その真空排気
口34にはバルブ35を介して真空ポンプ4が接続さ
れ、その真空ポンプ4によって、蒸着室32及び蒸発室
33がともに真空排気されるようになっている。
開口する真空排気口3のほかに、上部の蒸着室32に開
口する真空排気口34が設けられている。その真空排気
口34にはバルブ35を介して真空ポンプ4が接続さ
れ、その真空ポンプ4によって、蒸着室32及び蒸発室
33がともに真空排気されるようになっている。
【0043】その他の構成は図1の実施例と同様であ
る。
る。
【0044】このように構成された化合物薄膜形成装置
1においては、バルブ35を開いて真空ポンプ4を作動
させ、蒸着室32及び蒸発室33をともに減圧した後、
バルブ35を閉じて更に真空ポンプ4を作動させると、
蒸発室33内の圧力が蒸着室32よりも十分に低くな
る。したがって、その状態で抵抗加熱蒸発源26を動作
させると、固体原料5が効率よく蒸発する。そして、そ
のようにして蒸発した固体原料5の蒸発粒子5aが隔壁
31の開口30を通って蒸着室32内に流入し、グロー
放電式イオン化手段27によってイオン化されて基板1
9に衝突する。その場合、蒸着室32内の圧力は比較的
高く保たれているので、グロー放電も効率よく起こさせ
ることができる。一方、気体原料14はイオンガン10
によって励起・イオン化され、そのイオンビーム14a
が基板19に照射される。こうして、この化合物薄膜形
成装置1においても、図1の実施例の場合と同様に、基
板19上に固体原料5と気体原料14との化合物の薄膜
が形成される。
1においては、バルブ35を開いて真空ポンプ4を作動
させ、蒸着室32及び蒸発室33をともに減圧した後、
バルブ35を閉じて更に真空ポンプ4を作動させると、
蒸発室33内の圧力が蒸着室32よりも十分に低くな
る。したがって、その状態で抵抗加熱蒸発源26を動作
させると、固体原料5が効率よく蒸発する。そして、そ
のようにして蒸発した固体原料5の蒸発粒子5aが隔壁
31の開口30を通って蒸着室32内に流入し、グロー
放電式イオン化手段27によってイオン化されて基板1
9に衝突する。その場合、蒸着室32内の圧力は比較的
高く保たれているので、グロー放電も効率よく起こさせ
ることができる。一方、気体原料14はイオンガン10
によって励起・イオン化され、そのイオンビーム14a
が基板19に照射される。こうして、この化合物薄膜形
成装置1においても、図1の実施例の場合と同様に、基
板19上に固体原料5と気体原料14との化合物の薄膜
が形成される。
【0045】この間において、グロー放電式イオン化手
段27によって生じたイオン及び電子、あるいはイオン
ガン10によって生じたイオン及び電子は、図1の実施
例の場合と同様に、その間に設けられた遮蔽部材16,
16によって電気的に遮蔽される。したがって、それら
のイオンあるいは電子によって他方の励起手段に影響が
及ぼされることは防止される。しかも、この実施例の場
合には、その遮蔽部材16が二重に配置され、それらに
大きさの異なる電位が印加されるようになっているの
で、一方の遮蔽部材16に印加する電位を高くしても、
固体原料5の励起手段あるいは気体原料14の励起手段
とそれに隣接する遮蔽部材16との間の電位差は小さく
することができる。したがって、遮蔽部材16による電
気的遮蔽効果を高めながら、その遮蔽部材16と励起手
段との間で異常放電等が起こることは防止することがで
きる。遮蔽部材16の数をより多くすれば、励起手段か
ら離れた遮蔽部材16に印加する電位を一層高めること
ができ、各励起手段間の電気的な遮蔽を更に確実なもの
とすることができる。
段27によって生じたイオン及び電子、あるいはイオン
ガン10によって生じたイオン及び電子は、図1の実施
例の場合と同様に、その間に設けられた遮蔽部材16,
16によって電気的に遮蔽される。したがって、それら
のイオンあるいは電子によって他方の励起手段に影響が
及ぼされることは防止される。しかも、この実施例の場
合には、その遮蔽部材16が二重に配置され、それらに
大きさの異なる電位が印加されるようになっているの
で、一方の遮蔽部材16に印加する電位を高くしても、
固体原料5の励起手段あるいは気体原料14の励起手段
とそれに隣接する遮蔽部材16との間の電位差は小さく
することができる。したがって、遮蔽部材16による電
気的遮蔽効果を高めながら、その遮蔽部材16と励起手
段との間で異常放電等が起こることは防止することがで
きる。遮蔽部材16の数をより多くすれば、励起手段か
ら離れた遮蔽部材16に印加する電位を一層高めること
ができ、各励起手段間の電気的な遮蔽を更に確実なもの
とすることができる。
【0046】なお、上記実施例においては、遮蔽部材1
6としてメッシュ状あるいは平板状のものを用いるよう
にしているが、その遮蔽部材16としては、例えば塊
状、曲面状など、任意の形状のものを用いることができ
る。また、その遮蔽部材16に印加する電位の電圧波形
も、例えば連続波、矩形波、三角波など、任意の波形と
することができる。
6としてメッシュ状あるいは平板状のものを用いるよう
にしているが、その遮蔽部材16としては、例えば塊
状、曲面状など、任意の形状のものを用いることができ
る。また、その遮蔽部材16に印加する電位の電圧波形
も、例えば連続波、矩形波、三角波など、任意の波形と
することができる。
【0047】更に、化合物薄膜を形成する基体は、上記
実施例のような平板状の基板19に限られることはな
く、棒状など立体的なものに化合物薄膜を形成する場合
にも本発明を適用することができる。
実施例のような平板状の基板19に限られることはな
く、棒状など立体的なものに化合物薄膜を形成する場合
にも本発明を適用することができる。
【0048】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、1種以上の固体原料及び1種以上の気体原料
から化合物薄膜を形成するに際し、その固体原料の励起
手段あるいはその固体原料を蒸発させる電子ビーム加熱
手段と気体原料の励起手段との間に、正電位あるいは負
電位が印加される遮蔽部材を設置するようにしているの
で、それらの励起手段相互、あるいは固体原料の電子ビ
ーム加熱手段と気体原料の励起手段との間の干渉を防止
することができる。したがって、それらの励起手段及び
電子ビーム加熱手段を同時に動作させるようにしなが
ら、各原料ごとに独立して所望の状態に励起あるいは活
性化することが可能となり、化合物薄膜の組成を正確に
制御するとともに、その成膜の高速化を図ることが可能
となる。
によれば、1種以上の固体原料及び1種以上の気体原料
から化合物薄膜を形成するに際し、その固体原料の励起
手段あるいはその固体原料を蒸発させる電子ビーム加熱
手段と気体原料の励起手段との間に、正電位あるいは負
電位が印加される遮蔽部材を設置するようにしているの
で、それらの励起手段相互、あるいは固体原料の電子ビ
ーム加熱手段と気体原料の励起手段との間の干渉を防止
することができる。したがって、それらの励起手段及び
電子ビーム加熱手段を同時に動作させるようにしなが
ら、各原料ごとに独立して所望の状態に励起あるいは活
性化することが可能となり、化合物薄膜の組成を正確に
制御するとともに、その成膜の高速化を図ることが可能
となる。
【図1】本発明による化合物薄膜形成装置の一実施例を
示す概略構成図である。
示す概略構成図である。
【図2】本発明による化合物薄膜形成装置の他の実施例
を示す概略構成図である。
を示す概略構成図である。
1 化合物薄膜形成装置 2 真空チャンバ 3 真空排気口 4 真空ポンプ(真空排気手段) 5 固体原料 6 電子ビーム蒸発源(電子ビーム加熱手段) 7 アーク放電式イオン化手段(固体原料の励起手段) 10 イオンガン(気体原料の励起手段) 14 気体原料 16 遮蔽部材 18 直流電源 19 基板(基体) 20 基板支持電極 26 抵抗加熱蒸発源(加熱手段) 27 グロー放電式イオン化手段(固体原料の励起手
段) 30 開口 31 隔壁 32 蒸着室 33 蒸発室
段) 30 開口 31 隔壁 32 蒸着室 33 蒸発室
Claims (12)
- 【請求項1】 1種以上の固体原料を電子ビーム加熱手
段により蒸発させるとともに、1種以上の気体原料を気
体原料励起手段により励起させ、それらの原料を基体に
付着させることにより化合物の薄膜を形成する化合物薄
膜の形成方法において;前記電子ビーム加熱手段と前記
気体原料励起手段との間に少なくとも一つ以上の電気的
遮蔽部材を設置し、その遮蔽部材に電位を印加するとと
もに、それら電子ビーム加熱手段及び気体原料励起手段
を同時に動作させることを特徴とする、化合物薄膜の形
成方法。 - 【請求項2】 1種以上の固体原料及び1種以上の気体
原料を各原料ごとに独立した励起手段により励起させ、
それらを基体に付着させることにより化合物の薄膜を形
成する化合物薄膜の形成方法において;前記固体原料の
励起手段と前記気体原料の励起手段との間に少なくとも
一つ以上の電気的遮蔽部材を設置し、その遮蔽部材に電
位を印加するとともに、それらの励起手段を同時に動作
させることを特徴とする、化合物薄膜の形成方法。 - 【請求項3】 前記遮蔽部材に10〜500Vの正電位
を印加することを特徴とする、請求項1又は2記載の化
合物薄膜の形成方法。 - 【請求項4】 前記遮蔽部材に−10〜−500Vの負
電位を印加することを特徴とする、請求項1又は2記載
の化合物薄膜の形成方法。 - 【請求項5】 前記気体原料の励起手段として、グロー
放電、アーク放電、熱電子放射、あるいはイオンガンの
うちの少なくとも1種以上を用いることを特徴とする、
請求項1又は2記載の化合物薄膜の形成方法。 - 【請求項6】 前記固体原料の励起手段として、抵抗加
熱蒸発とグロー放電、アーク放電、あるいは熱電子放射
のうちの少なくとも1種以上との組み合わせを用いるこ
とを特徴とする、請求項2記載の化合物薄膜の形成方
法。 - 【請求項7】 前記固体原料の励起手段として、電子ビ
ーム加熱蒸発とグロー放電、アーク放電、あるいは熱電
子放射のうちの少なくとも1種以上との組み合わせを用
いることを特徴とする、請求項2記載の化合物薄膜の形
成方法。 - 【請求項8】 前記固体原料の励起手段として、スパッ
タリング法を用いることを特徴とする、請求項2記載の
化合物薄膜の形成方法。 - 【請求項9】 1種以上の固体原料を蒸発させるととも
に、1種以上の気体原料を励起させ、それらの原料を基
体に付着させることにより化合物の薄膜を形成するよう
にした化合物薄膜の形成装置において;前記固体原料を
蒸発させる電子ビーム加熱手段と、前記気体原料を励起
させる気体原料励起手段と、それら電子ビーム加熱手段
と気体原料励起手段との間に設けられた導電性材料から
なる少なくとも一つ以上の電気的遮蔽部材と、その遮蔽
部材に電位を印加する直流電源と、を備えてなる、化合
物薄膜の形成装置。 - 【請求項10】 1種以上の固体原料及び1種以上の気
体原料をそれぞれ所望の状態に励起させ、それらを基体
に付着させることにより化合物の薄膜を形成するように
した化合物薄膜の形成装置において;前記固体原料及び
気体原料を各原料ごとにそれぞれ励起させる互いに独立
した励起手段と、それら固体原料の励起手段と気体原料
の励起手段との間に設けられた導電性材料からなる少な
くとも一つ以上の電気的遮蔽部材と、その遮蔽部材に電
位を印加する直流電源と、を備えてなる、化合物薄膜の
形成装置。 - 【請求項11】 前記遮蔽部材がメッシュ状のものとさ
れていることを特徴とする、請求項9又は10記載の化
合物薄膜の形成装置。 - 【請求項12】 前記固体原料の励起手段が、その固体
原料を蒸発させる加熱手段とその固体原料の蒸発粒子の
少なくとも一部をイオン化するグロー放電式イオン化手
段とからなり、その加熱手段が、前記基体が設置される
蒸着室とは開口を有する隔壁によって区画された蒸発室
内に設けられ、その蒸発室に真空排気手段が接続されて
いることを特徴とする、請求項10記載の化合物薄膜の
形成装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2501491A JPH0737666B2 (ja) | 1991-01-28 | 1991-01-28 | 化合物薄膜の形成方法及び装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2501491A JPH0737666B2 (ja) | 1991-01-28 | 1991-01-28 | 化合物薄膜の形成方法及び装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH04246168A JPH04246168A (ja) | 1992-09-02 |
JPH0737666B2 true JPH0737666B2 (ja) | 1995-04-26 |
Family
ID=12154062
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2501491A Expired - Lifetime JPH0737666B2 (ja) | 1991-01-28 | 1991-01-28 | 化合物薄膜の形成方法及び装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0737666B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH08181075A (ja) * | 1994-12-26 | 1996-07-12 | Nec Corp | 薄膜堆積方法 |
WO2003095698A2 (de) * | 2002-05-10 | 2003-11-20 | Fraunhofer-Gesellschaft Zur Förderung Der Angewan Dten Forschung E.V. | Vorrichtung und verfahren zum elektronenstrahlaufdampfen von reaktiv gebildeten schichten auf substraten |
-
1991
- 1991-01-28 JP JP2501491A patent/JPH0737666B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH04246168A (ja) | 1992-09-02 |
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