JPH0736041A - 液晶光学素子 - Google Patents

液晶光学素子

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JPH0736041A
JPH0736041A JP20292093A JP20292093A JPH0736041A JP H0736041 A JPH0736041 A JP H0736041A JP 20292093 A JP20292093 A JP 20292093A JP 20292093 A JP20292093 A JP 20292093A JP H0736041 A JPH0736041 A JP H0736041A
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仁嗣 大阿久
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英昌 高
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裕 熊井
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】本発明は、マルチプレックス駆動に適した透過
散乱型液晶光学素子を得る。 【構成】垂直配向処理したITO付基板にスペーサーを
1mm2 あたり約1個散布し、セル化した後、高分子材
料として、2, 2’, 6, 6’−テトラブロモビスフェ
ノールAジアクリレート、液晶として、BDH社製「E
48」、カイラル化合物としてメルク社製「CB1
5」、光硬化開始剤としてベンゾインメチルエーテルを
均一に溶解した、液晶高分子混合物をセルに注入した。
注入孔を封止した後、交流電圧30V(50Hz)を印
加しながら、紫外線照射装置(旭硝子社製SUNCUR
ERIGHT)により約20分光露光し、電圧の印加を
停止して、露光面全面が白濁した素子を得た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、マルチプレックス駆動
に適した透過散乱型液晶光学素子の素子構成に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】従来、光散乱を動作原理とする液晶光学
素子には動的散乱(DS),相転移(PC)及び高分子
分散型の3つのモードが知られている。
【0003】DSモードは透明電極基板に、導電性物質
を添加した誘電異方性が負の液晶を封入したものであ
り、電圧を印加しない透過状態としきい値電圧より高い
電圧印加により動的散乱を生じさせ、透過率を低下させ
た状態との二状態を制御するものである。
【0004】PCモードは、必要に応じて配向処理した
透明電極付き基板にコレステリック液晶を封入し、電圧
印加の有無によりホメオトロピック配列のネマティック
相(透過)とフォーカルコニック配列もしくはプレーナ
配列のコレステリック相(散乱)の二状態を制御するも
のである。
【0005】高分子分散型液晶は液晶と高分子の複合体
を光学素子に用いたものであり、さまざまな形態があ
る。特に、R.A.M.Hikmetが、J.Appl.Phys.,68(9)4406(1
990)、及び特開平4−227684号公報に開示した方
法は、ネマティック液晶に1〜10重量%のアクリレー
トを添加し、いわゆる異方性ゲルを形成して、これを透
明電極基板に挟持し、電圧無印加時には透過、電圧印加
時には散乱の二状態を制御するものである。
【0006】比較的多量の高分子のマトリクス中に液晶
分子を分散保持するタイプの液晶電気素子の場合は、液
晶と高分子との屈折率差により散乱状態を作るものであ
るが、Hikmetの方法は、むしろ液晶の配向状態の
差により散乱−透過状態を作り出すものであり、高分子
は配向を固定し散乱状態における散乱度をより高める役
割を果たしているといえる。
【0007】この方法において、液晶をホメオトロピッ
クの状態で異方性ゲルを形成すれば、電圧非印加の状態
が散乱状態となり、電圧印加状態が透明状態になる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上に示した各モードに
ついて、共通する問題点として、マルチプレックス駆動
に向いていないという点があった。マルチプレックス駆
動を行うためには、電圧−透過率曲線が急峻であるか、
もしくは双安定性を有することが必要である。しかし、
いずれのモードも電圧を印加して液晶の再配向を行うと
きの急峻性が十分でなく、また、実質的にはメモリー性
を有するともいえない。
【0009】PCモードについては、わずかにメモリー
性を有する場合があることが報告されている。すなわ
ち、このモードのホメオトロピック配列のネマティック
相は不完全ではあるがピッチによってはメモリー性を持
ち、印加電圧を液晶の立ち上がり電圧以下に急激に低下
させた場合、数ミリ秒〜数秒程度の間ネマティック相は
保たれ、双安定状態が形成される。しかし、ピッチ等が
特定の条件でしかメモリー性をもたないため、散乱状態
の色相調節、駆動電圧の調整などのための素子設計の自
由度が小さい問題点がある。例えば、このモードで、透
過散乱制御を行うものとして、Proceedings of the SI
D,Vol.26,No.4,p.243,1985.のような発表が知られてい
る。このモードでは電圧無印加時の散乱が十分でない、
つまり、オフ時の透過率が高いという欠点があり、これ
を改善するためには、液晶のネジレネマチック配向のピ
ッチ長を短くする、もしくは液晶層の厚さを厚くするな
どの方法が考えられるが、この場合メモリー性を安定に
保つことは困難である。
【0010】このように、上記モードではTFTを用い
るなどしたアクティブ駆動によらない限りコントラスト
のよい大容量表示は困難である。
【0011】また、高分子分散型液晶については、散乱
時の散乱度が、PCモードに比べて高い有利さがある
が、一方で駆動電圧が高くなってしまう欠点がある。高
分子の部分に基板間の電圧降下が食われてしまうからで
ある。このため、特にパルス印加の必要のあるマルチプ
レックス駆動においては、非常に高い電圧を印加するこ
とになり、そのような電圧に耐えられる駆動ICは非常
に少ないのが現状である。このように駆動電圧の高さ
は、高分子を含む液晶素子について特有かつ本質的な問
題点となっている。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明はネマティック液
晶、カイラルネマティック液晶もしくは、コレステリッ
ク液晶を挟持してなる液晶光学素子において、液晶の立
ち上がりしきい値電圧以上の電圧印加が行われた場合に
生じる液晶のホメオトロピック配向状態を安定化させる
ように施された高分子を液晶中に分散させ、液晶の立ち
上がり急峻性を向上させるとともに、しきい値電圧以上
の電圧が印加された際に生じる液晶のホメオトロピック
配向状態を安定化させることにより、ホメオトロピック
配列状態にメモリー性を生じさせ、液晶の立ち上がりし
きい値電圧と立ち下がりしきい値電圧の差(ヒステリシ
ス)を増大させた液晶光学素子を提供することを目的と
するものである。本発明によれば、十分なメモリー性を
有する双安定型の透過−散乱型素子が得られる上、駆動
電圧を低く抑えることが可能になり、散乱−透過タイプ
の表示素子、特に、ペーパーホワイトの背景色を有する
反射型大容量の表示素子などの実用化に途を開くことが
できる。
【0013】すなわち、本発明は、少なくとも1枚は垂
直配向処理を施された複数の電極付き基板と、前記基板
間に挟持された誘電異方性が正で自発ねじれ性を有する
液晶層と、液晶分子を液晶層の厚み方向全体にわたって
基板に略垂直方向に配向せしめる配向手段と、を有し、
前記液晶層の自発ねじれ力に対する前記配向手段の配向
規制力を所定の強さに調整することにより、前記の電極
間に電圧が印加された場合には実質的にホメオトロピッ
ク配向をとり、前記の電極間に電圧が印加されない場合
には、実質的にねじれ配向をとり、前記電極間に所定の
中間電圧が印加された場合には、ホメオトロピック配向
とねじれ配向とのメモリー性を有する双安定状態をとる
ようにされたことを特徴とする液晶光学素子を提供する
ものである。
【0014】本発明で使用する液晶材料は、単一の液晶
化合物であることは必要ではなく、2種以上の液晶化合
物や、液晶化合物以外の物質も含んだ混合物であっても
よく、通常この技術分野で液晶材料として認識されるも
のであればよい。そのうち正の誘電異方性を有するもの
であることが望ましい。用いる液晶としては、ねじれ構
造を有するものであり、スメクティック液晶、ネマティ
ック液晶、カイラルネマティック液晶、コレステリック
液晶が望ましく、とくに、カイラルネマティック液晶が
望ましい。その性能を改善するために、コレステリック
液晶、カイラルスメクティック液晶等や、2色性色素、
通常の色素、顔料等が適宜含まれていてもよい。
【0015】本発明で使用する液晶材料は、以下に示す
化合物群から選ばれる1種以上の化合物からなる配合組
成物が望ましく、液晶の特性、例えば、等方性液体と液
晶の相転移温度、融点、粘度、屈折率異方性(Δn)、
誘電率異方性(Δε)、及び分散する高分子原料との溶
解度等を改善することを目的として適宜選択して用いる
ことが望ましい。そして、これに液晶光学素子の応答特
性、立ち上がりしきい値電圧等の特性を考慮し、同様に
以下に示すカイラル物質、もしくはコレステリック液晶
を添加・混合し、カイラルネマティック液晶とし、用い
ることが望ましい。
【0016】このとき、添加・混合後の液晶分子のねじ
れのピッチは高分子分散液晶層の厚さの10倍以下であ
ることが、液晶光学素子の応答特性、立ち上がり急峻性
等の特性から望ましく、さらに、0.5倍以下であるこ
とが液晶立ち上がりしきい値電圧以下の電圧印加時の散
乱能(白濁度)の点から望ましい。
【0017】また、ピッチが0.8μmを超え、好まし
くは、1.0μmを超える場合には、ほぼ白色に散乱す
るため、印加電圧によって、白色散乱状態と、透明状態
の二状態をとることができるようになる。一方、ピッチ
が0.2μm〜0.8μmの場合には、ピッチによる選
択反射が生じ、印加電圧により、着色散乱状態と、透明
状態との二状態をとることができるようになる。
【0018】液晶材料としては、例えば、4−置換安息
香酸4’−置換フェニルエステル、4−置換シクロヘキ
サンカルボン酸4’−置換フェニルエステル、4−置換
シクロヘキサンカルボン酸4’−置換ビフェニルエステ
ル、4−(4−置換シクロヘキサンカルボニルオキシ)
安息香酸4’−置換フェニルエステル、4−(4−置換
シクロヘキシル)安息香酸4’−置換フェニルエステ
ル、4−(4−置換シクロヘキシル)安息香酸4’−置
換シクロヘキシルエステル、4−置換4’−置換ビフェ
ニル、4−置換フェニル4’−置換シクロヘキサン、4
−置換4”置換ターフェニル、4−置換ビフェニル4’
−置換シクロヘキサン、2−(4−置換フェニル)5−
置換ピリミジン等が挙げられる。
【0019】カイラル物質としてはカイラルネマチック
液晶を用いるのが一般的であり、4’−(光学活性(以
下略)2−メチルブチル)−4−シアノビフェニル、
4’−(3−メチルペンチル)−4−シアノビフェニ
ル、4’−(2−メチルブトキシ)−4−シアノビフェ
ニル、4”−メチルヘキシル−4−シアノターフェニ
ル、4−(2−メチルブチル)安息香酸4’−シアノフ
ェニルエステル、4−(2−メチルブトキシ)安息香酸
4’−シアノフェニルエステル、4−(2−メチルブト
キシ)安息香酸4’−シアノビフェニルエステル、4−
(2−メチルブトキシ)安息香酸4’−シアノビフェニ
ルエステル、4−(p−2ーメチルブチルフェニル)
4’−シアノビフェニルエステル、4−(2−メチルブ
チル)シクロヘキサンカルボン酸4”−シアノビフェニ
ルエステル、4−アルコキシ−4’−(2−メチルブチ
ル)アゾキシベンゼン、4−(2−メチルブチル)4’
−n−アルコキシフェニルエステル、(ポリ)4−アル
コキシ安息香酸4’−(2−メチルブチル)カルボン酸
エステル、4’−(アルキル)−ビフェニル−カルボン
酸−(2−メチルブチル)エステル、4’−(アルコキ
シ)−ビフェニル−カルボン酸−(2−メチルブチル)
エステル等がある。
【0020】コレステリック液晶としては、塩化コレス
テロール、脂肪酸コレステロールエステル、ノナン酸コ
レステロール、酢酸コレステロール、炭酸アルキルコレ
ステロールエステル、炭酸メチルコレステロール、炭酸
エチルコレステロール、安息香酸コレステロール、安息
香酸Δ5,6−コレステン−3β−オール、p(o,
m)−置換安息香酸コレステロールエステル、p−メト
キシ安息香酸コレステロール、p−アミノ安息香酸コレ
ステロール、フェニル脂肪酸及びその誘導体のコレステ
ロールエステル、p−アミノケイ皮酸コレステロール、
シトステロールエステル、酪酸シトエステル、安息香酸
(及びその誘導体)のコレスタノールエステル、安息香
酸コレスタノール、安息香酸のコレスタジエンエステ
ル、等がある。
【0021】本発明の配向手段としては、実質的に透明
なものであって、液晶分子の動作を極端に妨げないもの
であれば、使用できる。この観点では、液晶層中に高分
子材料を、一定量分散させたものであることが好まし
い。本発明の配向手段は、液晶分子を基板に略垂直方向
に配向せしめるような配向力を有する必要がある。この
ような配向力は、高分子材料を、液晶層中に添加した
後、液晶層がホメオトロピック配向をとった状態で高分
子材料を硬化する、もしくはゲル状とすることで、高分
子材料に付与することができる。
【0022】すなわち、基板に保持した混合物に液晶の
立ち上がりの飽和値電圧以上の電圧を印加し、液晶をホ
メオトロピック配列にしたうえで、光露光を行うか、も
しくは加熱すること等により、液晶のホメオトロピック
配列を安定化するように液晶に作用する高分子を液晶中
に分散させる。なお、ここでいう光露光とは、一般に紫
外線照射、電子線照射を意味する。加熱を行う場合は、
液晶の相転移温度以下で行うことが好ましい。
【0023】このようにして得られた高分子は液晶がホ
メオトロピック状態で安定化するように液晶に対して規
制力を持つ。
【0024】また電圧非印加時には液晶の自発ねじれ力
により、配向の乱れたフォーカルコニック配列もしくは
プレーナ配列のコレステリック相等を生じ強い散乱状態
(白濁)を示す。そして電圧印加時にはいずれの場合も
ホメオトロピック配列になり透過率が高くなる。
【0025】そのとき前記配向手段の作用によりホメオ
トロピック配列状態は高分子を含まない場合に比べ安定
化されているため、立ち上がりしきい値電圧の低下と立
ち上がり急峻性の向上がもたらされる。これによって、
時分割駆動をした際のコントラストに向上が見られる。
【0026】高分子として、光硬化型の化合物もしくは
熱硬化型の化合物を用いることができる。光硬化型の化
合物を用いる場合は、硬化速度を速めるために、光硬化
開始剤を加えてもよい。特に、ラジカル種により光硬化
可能なものであれば、外観品位、信頼性に優れた素子を
作成することができる。
【0027】光硬化型化合物を用いる場合には、例え
ば、光硬化性ビニル系化合物を使用することが好まし
い。この光硬化性ビニル系化合物は化合物自身が光反応
性をもつもの、光照射に依って生成した物質により硬化
が誘起されるもがあり、大別すると、光照射によって分
解硬化するものと、重合硬化するものに分類される。
【0028】重合硬化するものは、さらに光二量化する
ものと重合高分子化するものとに分けられる。前者はビ
ニル基の中でも、シンナモイル基やシンナミリデン基を
もつものが多く、例えばポリケイ皮酸ビニル、ポリシン
ナミリデン酢酸ビニル、フェニレンジアクリル酸エステ
ルなどが例示される。後者はモノマーやオリゴマーが光
により活性化されて、相互にあるいは他のポリマーやオ
リゴマー、モノマーと重合硬化するものであり、ビニル
基の中でもアクリロイル系、アリル系、スピラン系、ビ
ニルベンゼン系のモノマー、オリゴマー、ポリマー等が
挙げられる。
【0029】具体的には、モノアクリレート、ジアクリ
レート、N−置換アクリルアミド、N−ビニルピロリド
ン、スチレン及びその誘導体、ポリオールアクリレー
ト、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレー
ト、エポキシアクリレート、シリコーンアクリレート、
フルオロアルキルアクリレート、ポリブタジエン骨格を
有するポリアクリレート、イソシアヌル酸骨格を有する
ポリアクリレート、ヒダントイン骨格を有するアクリレ
ート、不飽和シクロアセタールなどに代表される単官能
および多官能ビニル基を有する化合物が例示される。
【0030】本発明では、これら種々の光硬化性ビニル
系化合物が使用できるが、アクロイル系化合物を使用す
ることが、光露光後の液晶への硬化物の作用及びその均
一性に優れていること、また、光露光による硬化速度が
速く硬化物が安定であることから好ましい。なお、ここ
でいうアクリロイル系化合物のアクリロイル基は、α
位、β位の水素がフェニル基、アルキル基、ハロゲン、
シアノ等で置換されていてもよい。
【0031】また、硬化性化合物は、単独もしくは複数
混合で用いてもよく、素子作成に必要な改質剤、作成し
た素子の改質剤等を含んでいてもよい。具体的には、架
橋剤、界面活性剤、希釈剤、増粘剤、消泡剤、接着性付
与剤、安定剤、吸収剤、色素、重合促進剤、連鎖移動
剤、重合禁止剤等を含んでいてもよい。
【0032】また、光硬化開始剤は、ベンゾインエーテ
ル系、ベンゾフェノン系、アセトフェノン系、チオキサ
ントン系などが例示される。
【0033】本発明の高分子として、熱硬化型の化合物
を用いる場合、グアナミン樹脂、ビスマレイミド・トリ
アジン樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹
脂、フラン樹脂、ポリイミド、ポリウレタン、ポリジア
リルフタレート、ポリビニルエステル、メラミン樹脂、
ユリア樹脂、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、
エポキシ樹脂、DFK樹脂、キシレン樹脂、クマロン樹
脂、ケトン樹脂、ポリエチレンオキサイド、ポリ塩化ビ
ニリデンラテックス、ポリテルペン、ポリビニルアルコ
ール、ポリビニルエーテル、ポリビニルブチラート、ポ
リビニルホルマール、ポリプロピオン酸ビニル、マレイ
ン酸樹脂、シリコーン、等がある。
【0034】また、熱可塑型の化合物を用いる場合、ア
イオノマー、アクリロニトリル−アクリリックスチレン
樹脂、アクリロニトリル−エチレン−プロピレン−ジエ
ン−スチレン樹脂、アクリロニトリルスチレン樹脂、ア
クリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(AB
S)、ABS−ポリ塩化ビニル樹脂、アクリロニトリル
−塩素化ポリエチレン−スチレン樹脂、メチルメタクリ
レート−ブタジエン−スチレン樹脂、液晶ポリマー、エ
チレン塩化ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重
合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、塩素化ポ
リ塩化ビニル、塩素化ポリプロピレン、全芳香族ポリエ
ステル、フェノキシ樹脂、ポリテトラフルオロエチレ
ン、ポリテトラフルオロエチレン−ポリヘキサフルオロ
プロピレン共重合体、ポリテトラフルオロエチレン−パ
ーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、ポリクロ
ロトリフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン
−エチレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ
化ビニル、ポリアクリレート、ポリアミド、ポリアセタ
ール、ポリアミドイミド、ポリアリレート、ポリエーテ
ルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレ
ン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニリデ
ン、ポリ塩化ビニル、ポリオキシベンゾイルエステル、
ポリカーボネート、ポリ酢酸ビニル、ポリサルホン、ポ
リスチレン、ポリパラバン酸、ポリパラメチルスチレ
ン、ポリフェニレンエーテル、ポリブタジエン、ポリフ
ェニレンサルファイド、ポリブチレンテレフタレート、
ポリプロピレン、ポリメタクリル酸メチル、メチルペン
テンポリマー、セルロース誘導体(エチルセルロース、
他)ポリビニルアセテート、等を用いることができる。
【0035】本発明では、液晶層の自発ねじれ力に対す
る配向手段の配向規制力を所定の強さに調整する。
【0036】液晶層の自発ねじれの力については、さま
ざまな経験式が知られている。しかし、液晶の自発ねじ
れ力を大きく変化させることは現実には難しい。むし
ろ、配向手段たる高分子材料の液晶層への添加量を調整
することにより、それぞれの力を調整することができ
る。
【0037】高分子材料を液晶層に添加する場合の量
は、液晶高分子複合層に対して重量で、0.1〜10%
特に、0.5〜5%の中で選ぶことが好ましい。あまり
少ないと、必要な配向規制力を得ることができないし、
多すぎると、駆動電圧が大きくなりすぎる。また、液晶
をホメオトロピック状態にしようとする力が強すぎるた
め、散乱状態が不安定になり、電圧非印加時での光透過
率の上昇、もしくは、反射モードでの反射率の低下がお
こるおそれがある。駆動電圧は、2〜3%程度の高分子
材料を加えた状態では、驚くべきことに、むしろ高分子
材料を多く添加した方が駆動電圧が低下することがわか
った。これは、この付近の量で、高分子材料の配向力に
よる駆動電圧の低下と、電圧降下による駆動電圧の上昇
とが、バランスする状態にあるのではないかと推察され
る。
【0038】発明者は、セルの基板に垂直配向処理を施
した場合、液晶層の自発ねじれ力に対する配向手段の配
向規制力を所定の強さに調整することにより、いわゆる
メモリー性を有する双安定状態をとることができること
を見いだした。つまり、電極間に飽和電圧より低い特定
の中間電圧が印加された場合に、ホメオトロピック配向
とねじれ配向とのメモリー性を有する双安定状態をとる
ことができる。
【0039】この場合、中間電圧(以下、バイアス電圧
ともいう)を印加することで飽和電圧印加により生じた
ホメオトロピック配列が安定に存在し、液晶光学素子は
透明な状態を維持する。このとき、電圧無印加時の散乱
状態(白濁)に前記バイアス電圧と等しい電圧を印加し
ても液晶素子に配向変化は生じず、白濁のままであるこ
とから、バイアス電圧を印加する際二つの安定状態(双
安定状態)が存在することになる。したがって、この双
安定状態を用いたマルチプレックス駆動が可能となり、
TFT等を用いたアクティブ駆動によることなく、コン
トラストの高い大容量表示が可能となる。
【0040】本発明において、基板に垂直配向処理を行
うことの別の利点は、駆動電圧を大幅に下げることが可
能となることである。特にマルチプレックス駆動を行う
場合は、より高いパルス高が必要となるために、駆動I
C利用の観点では、駆動電圧を下げることの必要性は極
めて高い。
【0041】垂直配向処理法として、物理吸着現象を利
用した溶液塗布法があり、配向剤としてはレシチン、ス
テアリン酸、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロ
マイド(CTAB)、オクタデシルアミンハイドロクロ
ライド等を用いる。また、化学吸着現象を利用した溶液
塗布法があり、配向剤としては一塩基性カルボン酸クロ
ム錯体(例えば、シリスチン酸クロム錯体、パーフルオ
ロノナン酸クロム錯体、等)有機シラン(例えば、n−
オクタデシルトリエトキシシラン、DMOAP)等を用
いる。
【0042】また、プラズマ重合を利用した方法があ
り、配向剤としてはヘキサメチルジシロキサン、パーフ
ルオロジメチルシクロヘキサン、テトラフルオロエチレ
ン、等を用いる。また、スパッタリングを利用した方法
があり、配向剤としてはポリテトラフルオロエチレン、
等が用いられる。また、液晶に配向剤を溶解した後、液
晶セルにこの液晶を注入し、結果として基板処理が行わ
れる方法があり、物理吸着現象を利用する配向剤とし
て、レシチン、CTAB、パーミサイド100、オクタ
デシルマロン酸、等が用いられる。
【0043】本発明の素子を製造する際、調整する硬化
性化合物と液晶物質との混合物は溶液状であっても、粘
稠物であっても、分散液であっても、均一になっていれ
ばよく、素子の製造方法によって最適なものを選べばよ
い。
【0044】具体的には、In23 −SnO2 、Sn
2 等の透明電極付きガラス基板が相対向するように配
して周辺をシールしたセルには、液状で注入したほうが
一般に便利であり、透明電極付きのプラスチック、ガラ
ス等の基板に塗布し、対向する基板を重ね合わせようと
する場合には、一般に粘稠状態の方が便利である。また
この時、本発明の液晶光学素子を反射型の表示素子とし
て用いる場合には、片側基板(裏側)上の電極は透明で
ある必要はなく、銅、アルミニウム等の金属材料等、不
透明な材料を用いてもよい。
【0045】基板間のギャップは1〜100μmにて動
作できるが、印加電圧、オン・オフ時のコントラストを
配慮すれば、3〜40μmに設定することが適当であ
る。
【0046】本発明では、この液晶中に2色性色素や単
なる色素、顔料を添加したり、硬化性化合物として着色
したものを使用したり、基板に着色基板を使用したり、
カラーフィルターを積層したりして、特定の色をつける
こともできる。
【0047】本発明の液晶光学素子は透過と散乱(白
濁)の双安定状態を印加する電圧により制御するモード
であり、通常の時分割駆動によるツイストネマティック
型の表示素子のように、基板間隔を厳密に制御する必要
はなく、大面積を有する液晶調光体をきわめて生産性良
く製造できる。しかし、光の透過状態のムラを少なくす
るためには、基板間隔はある程度一定である方がよい。
そのためには、液晶材料と硬化物の原料にスペーサーを
混合してもよく、一方の基板上に、スペーサーを塗布し
てもよい。スペーサーとしては、例えば、マイラー、ア
ルミナ、ロッドタイプのガラスファイバー、ガラスビー
ズ、ポリマービーズ等、種々の液晶セル用のものを用い
ることができる。
【0048】本発明の液晶光学素子は電圧を印加して駆
動する時には、液晶の配列が変化するような交流電圧を
印加すればよく、その大きさ、周波数の制限は特にはな
い。具体的には、5〜100Vで10〜1000Hz程
度の交流電圧を印加すればよい。
【0049】また本発明では液晶の飽和電圧以下のバイ
アス電圧を設定することにより、散乱状態(白濁)とホ
メオトロピック配列(透過)の双安定性を利用すること
ができ、TFT等のアクティブ駆動に依ることなくマル
チプレックス駆動できる散乱(白濁)−透過モードの液
晶光学素子を提供できる。
【0050】したがって、従来マルチプレックス駆動が
困難であった表示用素子への応用が可能である。とりわ
け反射型で明るく、大容量の表示が可能な表示素子に適
している。また、調光素子、光シャッター等数多くの利
用が考えられる。また、電球等の光源の前に設置して、
例えばフォグランプと通常のランプの切り替えを電気的
に行う用途等にも使用できる。
【0051】また、本発明では、一方の電極を鏡面反射
電極として鏡として使用してもよく、この場合には、裏
側の基板は不透明なガラス、プラスチック、セラミッ
ク、金属製とされてもよい。
【0052】また、カラーフィルターを併用したり、液
晶中に二色性色素を混入したりして、カラー化したり、
他のディスプレーであるTN液晶表示素子、エレクトロ
クロミック表示素子、エレクトロルミネッセンス表示素
子等と積層して使用してもよく、種々の応用が可能であ
る。
【0053】
【実施例】以下、実施例により、本発明を具体的に説明
する。
【0054】高分子材料として、2, 2’, 6, 6’−
テトラブロモビスフェノールAジアクリレート、液晶と
して、BDH社製「E48」、カイラル化合物としてメ
ルク社製「CB15」、を表1に記載した量だけ用い、
光硬化開始剤としてベンゾインメチルエーテルを2,
2’, 6, 6’−テトラブロモビスフェノールAジアク
リレートに対して0.02部用いて均一に溶解して、液
晶高分子混合物を調整した。また、ITO付きガラス基
板の表面を表1に示したように配向処理した。垂直配向
処理の場合は、処理用試薬である処理用試薬である「n
−オクタデシルトリエトキシシラン」(東京化成製)に
よる。また、平行配向処理の場合は、表面をラビング処
理された厚さ50nm厚ポリイミド配向膜(日立化成製
LX−5800)による。この基板に表1に示した径
のスペーサーを1mm2 あたり約1個散布し、セル化し
た後、上記の液晶高分子混合物をセルに注入した。この
時、液晶のねじれの自然長(ねじれピッチ)はセルの基
板間隔(液晶層の厚さ)の約0.2倍となっている。
【0055】注入孔を封止した後、表1に示した交流電
圧30V(50Hz)を印加しながら、紫外線照射装置
(旭硝子社製SUNCURERIGHT)により約20
分光露光し、電圧の印加を停止すると、露光面全面が白
濁した素子が得られた。電圧印加前の透過率及び、飽和
電圧(40V、50Hz)印加時の透過率を表1に示す
(透過率計:大塚電子製LCD7000)。また、それ
ぞれの電圧−光透過率カーブを表1に示した図番の図に
示した。
【0056】
【表1】
【0057】例1、例2においては、光露光時の電圧を
印加しなかった以外全く同じ条件で素子を作成し、それ
ぞれの電圧−光透過率カーブを図1、図2に示した。電
圧印加露光により、液晶の立ち上がりの急峻性が著しく
向上していることがわかる。なお、この場合は、重合直
後は透明であるが、一度電圧印加して白濁させると、電
圧非印加状態においても白濁状態を保持した。図1、図
2は、このときの電圧−光透過率カーブとなっている。
【0058】例6はピッチを小さくし、着色散乱−透明
の二状態をとるようにした例である。散乱色は緑色とな
った。さらにこの例においては、基板の垂直配向処理を
行うかわりに、平行配向処理を行った以外は、まったく
同じ条件で素子を作成し、電圧−光透過率カーブを点線
で図5に示した図番の図に同時に示した。垂直配向処理
品は34V程度でほぼ透明状態が出現して飽和し、平行
配向処理品は38V〜40Vでほぼ透明状態になるが、
以降も少なくとも50V近傍まで透明状態は変化し続け
ている。このように、垂直配向処理品では、電圧しきい
値が著しく小さくなっていることがわかる。
【0059】基板の垂直配向処理の効果は、図1、図
6、図7を比較することによっても明らかである。図1
では7V近傍から立ち上がり始め、10Vでほぼ完全に
飽和する。図6、図7では、では9〜10V近傍から立
ち上がり始め、12V付近でほぼ立ち上がるが、以降3
0V付近でも立ち上がり続ける。
【0060】図4には、セルギャップ20μmの場合の
電圧−光透過率曲線を、高分子量が液晶−高分子複合体
に対して2重量%のものと、3重量%のものとを比較し
て示した。3重量%のもののほうが低電圧で立ち上がる
ことがわかる。
【0061】以下に各素子のメモリー性について評価し
た。
【0062】例1の素子において、電圧無印加状態から
矩形波8V(50Hz)を印加し、白濁状態(透過率1
0.5%)を確認した後、さらに矩形波12.5V(5
0Hz)の電圧を印加し、素子が透明(透過率79.1
%)になることを確認し、再び素早く印加電圧を8Vに
下げる。すると素子は先の白濁状態には戻らず、透明の
状態を保持する。この状態は25℃の条件下で1時間以
上保たれる。以下ここで示した8Vの電圧印加を8Vの
バイアス電圧を印加したとし、12.5Vの電圧印加を
立ち上がり電圧を印加したと表現する。
【0063】比較例として、光硬化物を液晶に加えず、
したがって光露光もしない他は例1と同様にして素子を
作成した。同様の測定を行ったが透明の状態(透過率9
0.2%)は1〜3秒程度しか保たれなかった。この結
果はバイアス電圧印加時の透過率を著しく変化させない
範囲でバイアス電圧を変化させても、また、立ち上がり
電圧を変化させても、大きな変化はなかった。
【0064】例2の素子において、電圧無印加状態から
バイアス電圧として矩形波17V(50Hz)を印加
し、白濁状態(透過率6.4%)を確認した後、さらに
立ち上がり電圧として矩形波25V(50Hz)の電圧
を印加し、素子が透明(透過率74.0%)になること
を確認し、再び素早く印加電圧をバイアス電圧17Vに
下げる。すると素子は先の白濁状態には戻らず、透明の
状態を保持する。この状態は25℃の条件下で1時間以
上保たれる。
【0065】比較例として、光硬化物を液晶に加えず、
したがって光露光もしない他は例2と同様にして素子を
作成した。同様の測定を行ったが透明の状態(透過率9
0.4%)は1秒程度しか保たれなかった。この結果は
バイアス電圧、立ち上がり電圧を種々変化させても、大
きな変化はなかった。
【0066】例3の素子において、電圧無印加状態から
バイアス電圧として矩形波15V(50Hz)を印加
し、白濁状態(透過率5.0%)を確認した後、さらに
立ち上がり電圧として矩形波25V(50Hz)の電圧
を印加し、素子が透明(透過率74.2%)になること
を確認し、再び素早く印加電圧をバイアス電圧15Vに
下げる。すると素子は先の白濁状態には戻らず、透明の
状態を保持する。この状態は25℃の条件下で1時間以
上保たれる。
【0067】比較例として、光硬化物を液晶に加えず、
したがって光露光もしない他は例4と同様にして素子を
作成した。同様の測定を行ったが透明の状態(透過率9
0.4%)は1秒以下程度しか保たれなかった。この結
果はバイアス電圧、立ち上がり電圧を種々変化させて
も、大きな変化はなかった。
【0068】例4の素子において、電圧無印加状態から
バイアス電圧として矩形波25V(50Hz)を印加
し、白濁状態(透過率3.6%)を確認した後、さらに
立ち上がり電圧として矩形波35V(50Hz)の電圧
を印加し、素子が透明(透過率71.0%)になること
を確認し、再び素早く印加電圧をバイアス電圧25Vに
下げる。すると素子は先の白濁状態には戻らず、透明の
状態を保持する。この状態は25℃の条件下で1時間以
上保たれる。
【0069】比較例として、光硬化物を液晶に加えず、
したがって光露光もしない他は例4と同様にして素子を
作成した。同様の測定を行ったが透明の状態(透過率9
0.8%)は1秒以下程度しか保たれなかった。この結
果はバイアス電圧、立ち上がり電圧を種々変化させて
も、大きな変化はなかった。
【0070】例5の素子において、電圧無印加状態から
バイアス電圧として矩形波21.5V(50Hz)を印
加し、白濁状態(透過率2.3%)を確認した後、さら
に立ち上がり電圧として矩形波35V(50Hz)の電
圧を印加し、素子が透明(透過率67.7%)になるこ
とを確認し、再び素早く印加電圧をバイアス電圧21.
5Vに下げる。すると素子は先の白濁状態には戻らず、
透明の状態を保持する。この状態は25℃の条件下で1
時間以上無限に保たれる。
【0071】比較例として、光硬化物を液晶に加えず、
したがって光露光もしない他は例5と同様にして素子を
作成した。同様の測定を行ったが透明の状態(透過率9
0.8%)は1秒以下程度しか保たれなかった。この結
果はバイアス電圧、立ち上がり電圧を種々変化させて
も、大きな変化はなかった。
【0072】例7の素子において、例1の素子と同様
に、電圧無印加状態からバイアス電圧として矩形波8V
(50Hz)を印加し、白濁状態(透過率8.9%)を
確認した後、さらに立ち上がり電圧として、矩形波1
2.5V(50Hz)の電圧を印加し、素子が透明(透
過率76.6%)になることを確認し、再び素早く印加
電圧をバイアス電圧8Vに下げる。この時、例1の素子
とは異なり透明状態は保持されず、時間とともに透過率
の低下が見られた。なお透過率が60%まで低下する時
間は、50msecであった。さらに、立ち上がり電圧
を矩形波15V(50Hz)とし、同様の検討を行った
が、やはり透明状態(透過率83.3%)は保持され
ず、透過率が60%まで低下する時間は70msecで
あった。バイアス電圧をバイアス電圧印加時の透過率が
著しく上昇しない範囲で種々変化させても、透明状態は
保持されなかった。
【0073】例8の素子において、例1の素子と同様
に、電圧無印加状態からバイアス電圧として矩形波8V
(50Hz)を印加し、白濁状態(透過率8.6%)を
確認した後、さらに立ち上がり電圧として、矩形波1
2.5V(50Hz)の電圧を印加し、素子が透明(透
過率71.7%)になることを確認し、再び素早く印加
電圧をバイアス電圧8Vに下げる。このとき、例1の素
子とは異なり透明状態は保持されず、時間とともに透過
率の低下が見られた。なお透過率が60%まで低下する
時間は、90msecであった。さらに、立ち上がり電
圧を矩形波15V(50Hz)とし、同様の検討を行っ
たが、やはり透明状態(透過率76.6%)は保持され
ず、透過率が60%まで低下する時間は500msec
であった。バイアス電圧をバイアス電圧印加時の透過率
が著しく上昇しない範囲で種々変化させても、透明状態
は保持されなかった。
【0074】
【発明の効果】以上のごとく、本発明は、新規な液晶光
学素子を提供するものであり、ネマティック液晶、カイ
ラルネマティック液晶もしくは、コレステリック液晶を
挟持してなる液晶光学素子において、液晶の飽和電圧以
上の電圧印加が行われた場合に生じる液晶のホメオトロ
ピック配向状態を安定化させるように施された高分子を
液晶中に分散させ、液晶の立ち上がり急峻性を向上させ
るとともに(しきい値電圧以上の電圧が印加された際に
生じる液晶のホメオトロピック配向状態を安定化させる
ことにより、)、ホメオトロピック配列状態にメモリー
性を生じさせ、液晶の立ち上がりしきい値電圧と立ち下
がりしきい値電圧の差(ヒステリシス)を増大させたこ
とを特徴とした液晶表示素子が得られる。
【0075】本発明の素子は液晶中に高分子を分散させ
る際に液晶に電圧を印加しホオトロピック配列にした状
態で行うため、生成し分散する高分子は液晶がホメオト
ロピック状態で安定化するように液晶に対して規制力を
持つ。また電圧無印加時にはネマティック液晶を用いた
場合は高分子があるため液晶の初期配向が乱れ散乱状態
(白濁)が生じ、、カイラルネマティック液晶、コレス
テリック液晶を用いた場合は配向の乱れたフォーカルコ
ニック配列もしくはプレーナ配列のコレステリック相を
生じ強い散乱状態(白濁)を示す。そして電圧印加時に
はいずれの場合ホメオトロピック配列になり透過率が向
上する。そのとき前記高分子の作用によりホメオトロピ
ック配列状態は高分子を含まない場合に比べ安定化され
ており、立ち上がりしきい値電圧の低下と立ち上がり急
峻性の向上をもたらし、時分割駆動をした際のコントラ
ストに向上が見られる。
【0076】そして垂直配向処理を施すことにより、メ
モリー性が安定に現れ、飽和電圧より低いバイアス電圧
を印加することで電圧印加により生じたホメオトロピッ
ク配列が安定に存在し、液晶光学素子は透明な状態を維
持する。このとき、電圧無印加時の散乱状態(白濁)に
前記バイアス電圧と等しい電圧を印加しても液晶素子に
配向変化は生じず、白濁のままであることから、バイア
ス電圧を印加する際二つの安定状態(双安定状態)が存
在することになる。
【0077】一方、基板を垂直配向処理することによ
り、駆動電圧が大幅に下がることが見いだされた。これ
により、IC化された駆動回路によって、マルチプレク
ス駆動を行うことについて途を開くことができる。
【0078】したがって、この双安定状態を用いたマル
チプレックス駆動が可能となり、TFT等を用いたアク
ティブ駆動に依ることなく、コントラストの高い大容量
表示が可能となる。
【0079】本発明の液晶光学素子は偏光板を必要とせ
ず、外観品位、生産製に優れた素子であり、表示用に、
とりわけ安価で、大容量の表示素子に利用できるととも
に、安価で高性能の調光、光シャッターに広く利用でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液晶光学素子と比較例の液晶光学素子
の電圧−光透過率カーブを示したグラフ
【図2】本発明の液晶光学素子の他の実施例の電圧−光
透過率カーブを示したグラフ
【図3】本発明の液晶光学素子の他の実施例の電圧−光
透過率カーブを示したグラフ
【図4】本発明の液晶光学素子の他の実施例の電圧−光
透過率カーブを示したグラフ
【図5】本発明の液晶光学素子の他の実施例の電圧−光
透過率カーブを示したグラフ
【図6】従来例の液晶光学素子の他の実施例の電圧−光
透過率カーブを示したグラフ
【図7】従来例の液晶光学素子の他の実施例の電圧−光
透過率カーブを示したグラフ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 渭原 聡 神奈川県横浜市神奈川区羽沢町1150番地 旭硝子株式会社中央研究所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも1枚は垂直配向処理を施された
    複数の電極付き基板と、 前記基板間に挟持された誘電異方性が正で自発ねじれ性
    を有する液晶層と、 液晶分子を液晶層の厚み方向全体にわたって基板に略垂
    直方向に配向せしめる配向手段と、を有し、 前記液晶層の自発ねじれ力に対する前記配向手段の配向
    規制力を所定の強さに調整することにより、前記の電極
    間に電圧が印加された場合には実質的にホメオトロピッ
    ク配向をとり、前記の電極間に電圧が印加されない場合
    には、実質的にねじれ配向をとり、前記電極間に所定の
    中間電圧が印加された場合には、ホメオトロピック配向
    とねじれ配向とのメモリー性を有する双安定状態をとる
    ようにされたことを特徴とする液晶光学素子。
  2. 【請求項2】配向手段は、基板間に挟持された液晶層中
    に高分子材料を添加した後、液晶層がホメオトロピック
    配向をとった状態で該高分子材料を硬化せしめたもので
    あることを特徴とする請求項1記載の液晶光学素子。
  3. 【請求項3】高分子材料は液晶層に対して、重量比で
    0.1〜10%であることを特徴とした請求項2記載の
    液晶光学素子。
  4. 【請求項4】液晶層のねじれ配向のピッチが0.8μm
    を超えていることを特徴とする請求項1〜3いずれか1
    項記載の液晶光学素子。
  5. 【請求項5】液晶層のねじれ配向のピッチが0.2μm
    〜0.8μmであることを特徴とする請求項1〜3いず
    れか1項記載の液晶光学素子。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008510195A (ja) * 2004-08-17 2008-04-03 ネモプティック 表示装置周縁部における改良された切替え手段を備える液晶表示装置
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