JPH0735682B2

JPH0735682B2 - 遮音仕切壁

Info

Publication number: JPH0735682B2
Application number: JP61185026A
Authority: JP
Inventors: 一隆大川原; 輝雄折笠; 寛剛滝澤; 斉井手; 政雄小畑; 敍夫田中
Original assignee: Shimizu Corp
Current assignee: Shimizu Corp
Priority date: 1986-08-08
Filing date: 1986-08-08
Publication date: 1995-04-19
Anticipated expiration: 2010-04-19
Also published as: JPS6344048A

Description

【発明の詳細な説明】（産業上の利用分野）本発明は、例えば間仕切壁の音響透過損失を大きくする
ことにより隣室との独立性を保持することができる遮音
仕切壁に関する。

（従来の技術）従来から住環境の保全に必要な条件の一つとして、壁の
遮音度が高いことが挙げられているが、間仕切壁の騒音
対策として、例えば壁厚を厚くしたり、そして壁材に吸
音材を使用したり、さらに壁を二重壁にすることなどが
行われている。

（発明が解決しようとする問題点）従来技術においては、まず壁厚を厚くすることは、遮音
度を目標値までに到達させるためには、壁厚を著しく厚
くする必要があり、そのためい梁や柱などを大きくしな
ければならず不経済である。また、壁材として吸音性の
高いものを使用すると材料コストが高くなる。さらに二
重壁にした場合は両側の壁面を完全に独立させることが
できない上に中間の空気層のばね作用により、反対側に
振動が伝わらなくすることには限度がある。また、二重
壁の間に吸音材を詰め込むことも考えられるが、これに
ついては、そのための手間と材料費がかかる問題があ
る。

本発明の目的は、以上の問題点を踏まえて、低コストで
かつ、音響の透過損失を大きくした遮音仕切壁を提供す
ることにある。

（問題点を解決するための手段）本発明の特徴は、壁体１とこの壁体に取付けてある動吸
振器２とからなり、上記動吸振器は、ばね体４とこのば
ね体に支持された所定質量の棒状の錘５とからなり、上
記ばね体は、上記壁体への取付け部4aと、この取付部の
下方に形成してある振動部4bと、この振動部の下端い設
けてある保持部4cとからなり、上記錘は、上記保持部に
よって保持されており、上記錘の質量は、上記ばね体の
固有振動数を上記壁体の固有振動数に近い値にするよう
に構成されたところにある。

（作用）そのため、壁体１の外側で生じた音響は壁体を振動さ
せ、同時に壁体に取付けてある動吸振器２を共振させる
が、振動がばね体４から錘５に伝わって、壁体と動吸振
器とが共振して、透過して来た音響エネルギーを吸収し
てこれを熱エネルギーに変えるため、大部分の音響は遮
音仕切壁の反対側には透過しない。

（実施例）以下本発明の実施例について図面を参照して説明する。

第１図示のように、本考案にかかる遮音仕切壁は、二重
壁の壁体1,1に動吸振器２がねじ３で固定してある構成
である。

動吸振器２の構成は、板状のねじ体４と、このばね体に
支持された棒状の錘５とを具備したもので、この錘は、
後で説明する所定の質量のものである。

ばね体４の具体的な形状は、第1,2図示のように、長方
形の薄鋼板を折り曲げて加工したものであるが、一端か
らほぼ３分の１のところを折り返して二重にして取付け
部4aを形成し、この取付け部の下方は連続して斜め下方
に曲げ加工して振動部4bが形成してあり、さらにこの振
動部の下端位置には、錘５を保持するための保持部たる
抱持部4cが形成してあり、この保持部の形状は、ほぼ円
形で下方が開口部になっている。また、抱持部4cの終端
を開口部端から反らせて、わずかに延長したガイド部4d
にしてある。

取付け部4aには、動吸振器２を壁体１に取付けるために
必要な２個のＴ字状の取付け孔4eが穿設してある。ばね
体４の抱持部4c内には、この抱持部の幅よりやや長い丸
棒鋼からなる錘５が抱持されている。錘５の質量は、ば
ね体２の固有振動数を壁体１の固有振動数に近い値にす
るよう予め調整されているもので、この質量の調整に
は、棒状の錘の直径および長さを変化させることによっ
て行われる。そして、この調整は、錘５が棒状であるた
め容易である。

第３図は、本発明の使用例を示すもので、居室A,Bを仕
切るための間仕切壁である二重壁の各壁体1a,1b間に空
気層1cが形成され、この壁体のそれぞれの空気層側の側
面には、動吸振器2a,2bが固定したものである。

そこで、居室Ａの音響源Ｎから発せられた音響は、居室
Ａの壁体1aに作用してこれを振動させ、それと同時に動
吸振器2aも振動する。そのため、ばね体４の振動部4bを
介して下端部に支持してある錘５に振動を及ぼすと、壁
体1aと動吸振器2aとが共振し、この錘を振動させながら
この振動部における振動エネルギーが、ここで熱エネル
ギーに変化して壁体1a、動吸振器2aが音響を吸収する。
このため、壁体1bには振動は伝わらず居室Ｂ側には殆ど
音響が透過しない。また、これとは逆に、居室Ｂ側の方
に音響源がある場合は、壁体1bと動吸振器2bとが共振
し、前記と同様な作用により壁体1aには振動は伝わら
ず、居室Ａ側には殆ど音響が透過しない。第４図は、壁
体1a,1bに動吸振器2a,2bを取付けた場合と、取付けてな
い場合との遮音性能を比較したグラフである。グラフ
は本発明のものを示し、グラフは従来例についてのも
のである。このグラフにより、一般に周波数が125（H
z）の近傍で共振現象により遮音性が大きく低下する
が、本発明によりこの低下を防ぐことが可能となり、本
案の遮音度の方が従来より高く、遮音性能が優れている
ことがわかる。

（発明の効果）本発明によれば、簡単な構成からなる動吸振器を壁体に
取付けるだけで、音響の透過損失を大きくすることがで
き、特に錘は棒状であるので、その質量の調整が容易で
あり、そのため種々の音源に対する振動エネルギーの減
衰に有効であり、そして低コストの遮音仕切壁を提供す
ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は動吸振器を取付けた壁体を示す断面図、第２図は動吸振器の斜視図、第３図は使用例を示す説明図、第４図は本案と従来例との遮音性能を比較したグラフで
ある。１……壁体、1a,1b……壁体、1c……空気層、２……動
吸振器、2a,2b……動吸振器、４……ばね体、4a……取
付け部、4b……振動部、4c……保持部（抱持部）、５…
…錘。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者井手斉東京都中央区京橋２丁目16番１号清水建設株式会社内 (72)発明者小畑政雄東京都中央区京橋２丁目16番１号清水建設株式会社内 (72)発明者田中敍夫東京都中央区京橋２丁目16番１号清水建設株式会社内 (56)参考文献実開昭57−80511（ＪＰ，Ｕ) 実開昭60−76113（ＪＰ，Ｕ)

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】壁体（１）とこの壁体に取付けてある動吸
振器（２）とからなり、上記動吸振器は、ばね体（４）とこのばね体に支持され
た所定質量の棒状の錘（５）とからなり、上記ばね体は、上記壁体への取付け部（4a）と、この取
付部の下方に形成してある振動部（4b）と、この振動部
の下端に設けてある保持部（4c）とからなり、上記錘は、上記保持部によって保持され、上記錘の質量は、上記ばね体の固有振動数を上記壁体の
固有振動数に近い値にするものであることを特徴とする遮音仕切壁。
【請求項２】特許請求の範囲第１項において、上記壁体
は二重壁体（1a,1b）で、この間に空気層（1c）があ
り、動吸振器（2a,2b）は、この各壁体のこの空気層側
の側面に取付けてあることを特徴とする遮音仕切壁。