JPH0735644Y2 - 鋳造用ストーク - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、主として低圧鋳造に用いられるストークの改
良に関するものである。

［考案の概要］ 本考案は、金属製の筒体を芯金とし、その内側に厚い断
熱壁を、また外側に断熱層をそれぞれ所定の材料で形成
し、それにより耐濡れ性、断熱性および耐久性に優れた
ストークを構成したものである。

［従来の技術］ 従来、低圧鋳造用ストークとして、筒状の鋳鉄ストーク
が多用されている。この鋳鉄ストークは充分な機械的強
度を有し、かつ非通気性であることから、鋳型への取り
付け時の外的衝撃に対して優れた抵抗性を備え、溶湯の
鋳型への圧入を円滑に行なえることが長所とされている
が、その反面、溶湯によって浸蝕されやすい、溶湯の付
着で筒内径が小さくなり、溶湯の通過が悪くなるから、
熱伝導によりストークを通過する溶湯の温度を低下させ
る等の欠点がある。

そこで、上記鋳鉄ストークの欠点を除去するものとし
て、金属ストークの内側と外側に無機質材からなる断熱
層をそれぞれ形成し、溶湯に対する耐漏れ性ならびに熱
伝導に対する断熱性を具備させた各種構造の改良型スト
ークが提案されている。

［考案が解決しようとする課題］ しかしながら、これまで提案されている改良型ストーク
にあっても、所望する耐濡れ性、断熱性、耐久性のすべ
てに満足できるものでなく、改善向上すべき点が多く残
されている。

［考案の目的］ 本考案の目的は、従来の改良型ストークに比べ、耐濡れ
性、断熱性、耐久性を格段と向上させた低圧鋳造用スト
ークを提供することにある。

［課題を解決するための手段］ 本考案の鋳造用ストークは、金属製の薄肉筒体がストー
クの芯金とされ、この筒体の内側に、ワラストナイト／
アルミナセメント／繊維材から成る耐火材の厚い断熱壁
が設けられ、その断熱壁の表面に窒化ほう素溶液のコー
ティング膜が形成され、前記筒体の溶湯に浸漬される筒
部分の外側に、セラミック繊維／マイカ／無機質バイン
ダーから成る断熱層が設けられ、その表面にセラミック
ペーパーが張り付けられ、さらにその表面に窒化ほう素
溶液のコーティング膜が形成され、溶湯に浸漬されない
筒部分の外側に、セラミックペーパーが張り付けられ、
その表面に窒化ほう素溶液のコーティング層が形成され
ている構成に特徴を有するものである。

［作用］ 上記構成のストークにおいて、ストーク内側の断熱壁
は、耐火材からなる厚い断熱壁で形成されているので、
高い保温性と優れた断熱性とにより、ストークを通過す
る溶湯の温度の低下防止に顕著な効果があり、かつ表面
の窒化ほう素のコーティング膜とあいまって、溶湯の付
着防止にも顕著な効果がある。また、溶湯に浸漬される
ストーク外側の断熱層は、セラミック繊維質の断熱層と
セラミックペーパーとで形成されているので、金属筒体
の外部断熱層として有効に作用する。

［実施例］ 第１図および第２図は、本考案の一実施例を示すもので
ある。

同図において、１はストークの芯金となる金属製の筒体
であり、薄肉の鉄管が用いられている。２は筒体の筒口
に溶接で結合されたフランジである。

前記筒体１の内側には、ワラストナイト／アルミナセメ
ント／ポリプロピレン繊維／耐アルカリ性ガラス質繊維
から成る耐火材組成物の厚い断熱壁３が一体に設けられ
ている。前記組成物の筒体への一体化は、例えば型枠内
に金属筒体１をセットした後、前記組成物を流し込んで
養生し、ついで脱型後、乾燥、焼成することによって得
られる。

図示の例では、筒体１の先端を延長する方向に圧縮可能
な繊維ブランケット４を置き、その先に前記繊維物をま
わりこませるように形成し、筒体の熱による伸びを吸収
できるようにしてある。

前記断熱壁に用いるワラストナイト／アルミナセメント
／ポリプロピレン繊維／耐アルカリ性ガラス質繊維の耐
火材組成物は、60〜40:40〜60:0.1〜0.3:0〜0.5（重量
比）の範囲で調製したものが好ましい。

前記断熱壁３の表面には、窒化ほう素溶液のコーティン
グ膜５が形成されている。

前記金属製筒体１のうち、溶湯に浸漬される筒部分の外
側には、エキスパンドメタルまたは金網６が取り付けら
れ、これにセラミック繊維／マイカ／コロイダルシリカ
またはコロイダルアルミから成るセラミック繊維質組成
物のコーティングによる断熱層７が形成されている。こ
のコーティング膜に用いるセラミック繊維／マイカ／コ
ロイダルシリカまたはコロイダルアルミ（固形分30％）
およびアルミナ粉末等の無機充填材から成る組成物は20
〜30:15〜25:20〜30:25〜37（重量比）の範囲で調製し
たものが好ましい。

前記断熱層７の表面には、厚さ約2.5mmのセラミックペ
ーパー８が２枚、無機質系接着剤により張り付けられ、
その下端は筒体先端側にまわりこませてある。そして、
セラミックペーパー８の表面には、窒化ほう素溶液のコ
ーティング膜９が形成されている。

前記金属製筒体の溶湯に浸漬されない筒部分の外側に
は、セラミックペーパー10が接着剤にて直接張り付けら
れ、その表面に窒化ほう素溶液のコーティング膜11が形
成されている。

前記実施例では、溶湯に浸漬される筒部分の外側に張り
付けたセラミックペーパー８は、筒体の先端側にまわり
こませてあるが、第３図に示す如く、前記まわりこみ部
分を省いて構成してもよい。

第４図は他の実施例であって、金属筒体１の下端近傍に
環状の金属鍔板12が予め溶接で固着されている。この構
造によれば、溶湯面への加圧空気が、溶湯内に浸漬して
いる筒体外側のセラミックペーパー上端から浸入して下
方に進み、筒体下端を回り込み、筒体と断熱層３とのあ
いだを通って筒体上部に放出し、それが溶湯内に気泡と
なって混入するおそれを未然に阻止することができる。

上記のように構成されたストークは、次のような効果が
ある。

［１］ ストーク内側の断熱壁３は、ワラストナイト／
アルミナセメント／繊維材からなる耐火材組成物で形成
されているので、高い保温性と優れた断熱性を有し、ス
トークを通過する溶湯の温度の低下防止に顕著な効果が
あり、かつ表面の窒化ほう素溶液のコーティング膜とあ
いまって、溶湯の付着防止にも顕著な効果がある。

［２］ 前記断熱壁を、従来耐熱内張り材として多用さ
れているアルミナセメントだけで形成した場合、焼成あ
るいは溶湯との接触時における温度上昇と収縮による亀
裂を生じやすいが、上記の如くワラストナイトおよび繊
維材が添加配合されているので、温度による損傷を受け
るおそれはない。また、ワラストナイトの添加で耐熱性
および断熱性はさらに向上する。

［３］ 前記断熱壁は、従来の鋳鉄管を主材としたスト
ークの鋳鉄管に変わる管状物であり、芯金にしている金
属筒体は、前記組成物からなる断熱壁の空気漏れを防止
する役目を果たしている。

［４］ 一方、溶湯に浸漬される金属筒体の外側の断熱
層は、セラミック繊維／マイカ／無機質バインダーから
成る組成物で形成されているので、優れた耐熱性を有
し、かつ塗着作業で簡単に施工できる。

上記塗着によって形成される断熱層は平滑でないが、そ
の表面に張り付けたセラミックペーパーにより、表面精
度（平滑性）を出し、さらにその表面に窒化ほう素溶液
のコーティング膜を形成してあるので、溶湯の付着も起
こらない。

［４］ 溶湯に浸漬されない金属筒体の外側は、セラミ
ックペーパー、窒化ほう素溶液のコーティング膜で形成
するので、溶湯が付着しない簡易な断熱層とすることが
できる。

［考案の効果］ 以上に述べたように、本考案によれば、従来のストーク
に比べ、溶湯の付着を防止する耐濡れ性、溶湯温度の低
下を防止する断熱性および耐久性を格段と向上させたス
トークを得ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案の一実施例を示すストークの側面図、
第２図はその要部の拡大縦断面図、第３図および第４図
はそれぞれ他の実施例によるストーク下端部の断面図で
ある。 １……金属製筒体、２……フランジ、３……断熱壁、４
……繊維ブランケット,5,9,11……コーティング膜、６
……エキスパンドメタル、７……断熱層、8,10……セラ
ミックペーパー、12……鍔板。

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】金属製の薄肉筒体がストークの芯金とさ
   れ、この筒体の内側に、ワラストナイト／アルミナセメ
   ント／繊維材から成る耐火材の厚い断熱壁が設けられ、
   その断熱壁の表面に窒化ほう素溶液のコーティング膜が
   形成され、前記筒体の溶湯に浸漬される筒部分の外側
   に、セラミック繊維／マイカ／無機質バインダーから成
   る断熱層が設けられ、その表面にセラミックペーパーが
   張り付けられ、さらにその表面に窒化ほう素溶液のコー
   ティング膜が形成され、溶湯に浸漬されない筒部分の外
   側に、セラミックペーパーが張り付けられ、その表面に
   窒化ほう素溶液のコーティング層が形成されていること
   を特徴とする鋳造用ストーク。
2. 【請求項２】前記金属筒体の下端近傍に、溶湯の加圧空
   気が筒体外側のセラミックペーパーの上端から侵入して
   筒体下側に向けて進入するのを阻止するための環状鍔板
   が設けられている第１請求項記載の鋳造用ストーク。