JPH0735331B2 - 外用ゲル製剤 - Google Patents

外用ゲル製剤

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JPH0735331B2
JPH0735331B2 JP61007641A JP764186A JPH0735331B2 JP H0735331 B2 JPH0735331 B2 JP H0735331B2 JP 61007641 A JP61007641 A JP 61007641A JP 764186 A JP764186 A JP 764186A JP H0735331 B2 JPH0735331 B2 JP H0735331B2
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晃 中川
忠則 矢野
悟 宮田
稔 和田
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Description

【発明の詳細な説明】 (イ)産業上の利用分野 本発明は薬効成分としてケトチフェン(一般名)〔化学
名:4−(1−メチル−4−ピペリジリデン)−4H−ベン
ゾ〔4,5〕シクロヘプタ〔1,2-b〕チオフェン−10(9H)
−オン〕を含有し、それを特定のゲル基剤中に含有せし
めてなる外用ゲル製剤に関するものである。
更に詳しくは、抗ヒスタミン作用および抗SRS-A作用、
並びに広範囲な抗アレルギー作用を有するケトチフェン
を局所適用することを目的とした外用ゲル製剤に関する
ものである。
(ロ)従来の技術 ケトチフェンは優れた抗ヒスタミン作用、抗SRS-A作用
および広範囲な抗アレルギー作用を有し、ケトチフェン
にフマル酸を付加した塩の形態で気管支喘息、鼻アレル
ギー等の疾患の治療剤として使用されている経口型の薬
物である。
また、特開昭51-32724号公報および特開昭51-142543号
公報にはケトチフェンを配合したクリーム製剤、軟膏製
剤およびスプレー製剤に関する記載がなされている。し
かしながら、これらの製剤では、ケトチフェンの経皮吸
収性が悪く、製剤の安定性にも問題があり、実用化され
るに至っていない。また、上記文献には、本発明のゲル
製剤に関する内容は何ら記載されてなく、それを示唆す
る記載もない。
(ハ)発明が解決しようとする問題点 現在、市販されているケトチフェン〔商品名:サジテ
ン〕の経口型製剤は、眠気、倦怠感等の神経系に対する
副作用、あるいは肝臓に対する副作用等の発現がみら
れ、長期服用する際は、特に慎重な配慮が必要であると
言われている。そこで、本発明者らは、上記副作用の軽
減を目的として当薬物の外用製剤の研究に着手したので
ある。
更に、公知の当薬物配合のクリーム製剤が、 (I)経皮吸収性、 (II)製剤上の熱安定性、 (III)使用感、 (IV)薬効成分の溶解性、 (V)薬効の持続性、 (VI)基剤からの薬物放出性、 等において、満足しうる外用製剤とは言い難いものであ
るため、この問題を解決することが本発明の次の目的で
ある。尚、上記公知クリーム製剤の問題について、その
原因を本発明者らは下記の通り推察している。
即ち、薬効成分であるケトチフェンの物理化学的性質、
つまり水および有機溶媒系に易溶性でないという性質の
ため、基剤中において不完全溶解の形態で存在し、基剤
からの薬効成分の放出および経皮吸収が充分に行われな
いものと察せられる。
そこで、この経皮吸収性に乏しいケトチフェンの経皮吸
収を促進するため、製剤上から種々検討したところ、こ
れを、ゲル製剤化することにより、副作用が軽減された
外用製剤が得られることは勿論、更に上記(I)〜(V
I)の要件を満足しうる外用製剤が得られることを見出
し、本発明を完成したのである。尚、本発明のケトチフ
ェンを含有するゲル製剤およびその配合組成は、全く文
献未載の新規知見であり、本発明者らの鋭意研究の結
果、初めて見出されたものである。
(ニ)問題点を解決するための手段 本発明は薬効成分としてケトチフェンまたはその薬学的
に許容される塩0.01〜5.0重量%を特定のゲル基剤中に
含有せしめてなる外用ゲル製剤に関するものである。
ケトチフェンの薬学的に許容される塩としては、例えば
塩酸塩,硫酸塩等の無機塩、フマル酸塩,マレイン酸,
酒石酸塩等の有機塩が挙げられる。
ケトチフェンまたはその薬学的に許容される塩は、ゲル
製剤全重量中0.01〜5.0重量%配合される。また本発明
の外用製剤に用いられるゲル基剤としては、当薬効成分
を製剤的に安定に保持し、かつ経皮適用にあたっては薬
効成分を充分に放出し得るためのゲル基剤が選択され、
それは、低級アルコール、低級アルコール、多価アルコ
ール、水、ゲル化剤、中和剤および任意に用いる溶解補
助剤からなる配合組成物である。
次に本発明の配合処方について詳述する。本発明の好ま
しい配合処方は、ゲル基剤として、低級アルコール5〜
60重量%、多価アルコール3〜45重量%、溶解補助剤0.
1〜25重量%、水30〜60重量%、ゲル化剤0.1〜5重量%
および中和剤0.1〜5.0重量%の配合組成であり、これに
薬効成分であるケトチフェンが0.01〜5.0重量%配合さ
れたものである。尚、当製剤のpH値は5〜9、好ましく
はpH値6〜8を有することが適当である。
次に、本発明の基剤成分について、更に具体的に説明す
る。
低級アルコールとしては、具体的にはエタノール,プロ
パノール,イソプロパノール等が挙げられるが、その中
でもエタノールが最も好ましく、その最終濃度が5〜60
重量%、好ましくは10〜50重量%配合される。
多価アルコールは、具体的にはグリセリン,プロピレン
グリコール,エチレングリコール,1,3−ブチレングリコ
ール,トリエチレングリコール,ポリエチレングリコー
ル等が挙げられるが、グリセリン,プロピレングリコー
ルおよび1,3−ブチレングリコールが好ましい。これら
は最終濃度が3〜45重量%、好ましくは5〜40重量%配
合することによりその目的が達成される。
溶解補助剤としては、具体的にはクロタミトン,ベンジ
ルアルコール,安息香酸,サリチル酸,サリチル酸メチ
ル,サリチル酸グリコール,ハッカ油,l−メントール,
炭素数C4〜C14のモノカルボン酸の炭素数C1〜C5の低級
アルコールエステル、例えばパルミチン酸イソプロピ
ル、ミリスチン酸イソプロピル等、あるいは炭素数C4
C10のジカルボン酸の炭素数C1〜C3のアルコールのジエ
ステル、例えばアジピン酸ジイソプロピル,セバシン酸
ジエチル,セバシン酸ジイソプロピル等、あるいはグリ
セリンまたはプロピレングリコールのモノ,ジまたはト
リカルボン酸のエステル,例えばモノカプリン酸グリセ
リン,ジカプリン酸グリセリン,ジカプリン酸プロピレ
ングリコール,トリカプリン酸グリセリン等、あるいは
高級アルコール、例えば2−オクチルドデカノール,2−
ヘキシルデカノール等、あるいはエイゾン (商品
名),尿素等が使用される。これらの溶解補助剤をその
最終濃度が0.1〜25重量%、好ましくは0.5〜20重量%配
合することによって薬効成分の経皮吸収が促進される。
ゲル化剤としては、低級アルコールおよび水系でゲル化
する親水性ポリマー、例えばカルボキシビニルポリマ
ー,ヒドロキシプロピルセルロース,ヒドロキシエチル
セルロース,ポリビニルアルコール,カルボキシメチル
セルロース,アルギン酸プロピレングリコールエステル
等が挙げられる。これらのゲル化剤は1種もしくは2種
以上の組み合わせでもって最終濃度0.1〜5重量%、好
ましくは0.3〜3重量%配合するのが良い。
中和剤はゲル化剤を中和するために0.1〜5重量%の範
囲内で使用され、その中和剤としては、例えば水酸化カ
リウム,水酸化ナトリウム,アンモニア水等の無機塩
基、トリエチルアミン,アルギニン,トリエタノールア
ミン,トリイソプロパノールアミン,ジエタノールアミ
ン,ジイソプロパノールアミン等の有機塩基が挙げられ
るが、特に本発明においては有機塩基を用いることが好
ましい。尚、この中和剤はゲル製剤全体のpH値が中性付
近、つまりpH値5〜9、好ましくはpH値6〜8に設定す
べく添加するのが、薬効成分の経皮吸収の点で最も好ま
しいものである。
これらの基剤成分に加えて、必要に応じてポリオキシエ
チレンソルビタン脂肪酸エステル,ポリエチレングリコ
ール脂肪酸エステル,グリセリン脂肪酸エステル,ソル
ビタン脂肪酸エステル,ポリオキシエチレンアルキルエ
ーテル等の非イオン性界面活性剤およびジブチルヒドロ
キシトルエンd1−α−トコフェロール等の抗酸化剤を添
加することができる。
次に本発明の外用ゲル製剤の製造法について、その一例
を説明する。
本発明のゲル製剤を製造するには、ケトチフェンを低級
アルコールに溶解したのち、溶解補助剤および多価アル
コールを加え、これにゲル化剤の水溶液を加えて攪拌
し、次いで、これに中和剤を水に溶解したものを加え、
pH値5〜9になるように調整し、均一なゲル製剤になる
まで攪拌することにより本発明のゲル製剤を製造するこ
とができる。
(ホ)実施例 次に実施例を示し、本発明を詳述する。
実施例1 ケトチフェン1gにエタノール40gを加え溶解する。この
溶液にプロピレングリコール15gおよびアジピン酸ジイ
ソプロピル3gを加え攪拌する。次に、この溶液にカルボ
キシビニルポリマー1.1gを水29.4gに溶解した溶液を加
え攪拌する。次にこれにジイソプロパノールアミン1.5g
を水10gに溶解した溶液を加え均一になるまで攪拌して
ゲル製剤を得た。
実施例2 エタノール35g、プロピレングリコール10gおよびセバシ
ン酸ジイソプロピル3gの溶液に、カルボキシビニルポリ
マー0.7gを水30.29gに溶解した溶液を加え攪拌する。こ
の溶液にジイソプロパノールアミン1gを水5gに溶解した
溶液を加え攪拌する。次にこれにケトチフェン・フマル
酸塩0.01gを水15gに溶解した溶液を加え均一になるまで
攪拌してゲル製剤を得た。
実施例3 ケトチフェン0.01gにエタノール35gを加え溶解する。こ
の溶液にプロピレングリコール10gおよびアジピン酸ジ
イソプロピル2gを加え攪拌する。この溶液にカルボキシ
ビニルポリマー0.8gを水41.19gに溶解した溶液を加え攪
拌する。次にこれにジイソプロパノールアミン1gを水10
gに溶解した溶液を加え均一になるまで攪拌してゲル製
剤を得た。
実施例4 ケトチフェン0.1gにエタノール40gを加え溶解する。こ
の溶液にグリセリン10gおよびアジピン酸ジイソプロピ
ル3gを加え攪拌する。この溶液にカルボキシビニルポリ
マー0.8gを水35gに溶解した溶液を加え攪拌する。次に
これにジイソプロパノールアミン1.1gを水10gに溶解し
た溶液を加え、均一になるまで攪拌してゲル製剤を得
た。
実施例5 ケトチフェン0.3gにエタノール40gおよび1,3−ブチレン
グリコール15gおよびオレイルアルコール5gを加え溶解
する。この溶液にカルボキシビニルポリマー0.8gを水2
7.8gに溶解した溶液を加え攪拌する。次にこれにジイソ
プロパノールアミン1.1gを水10gに溶解した溶液を加え
均一になるまで攪拌してゲル製剤を得た。
実施例6 ケトチフェン2gにエタノール35g、クロタミトン2gおよ
び1,3−ブチレングリコール10gを加え溶解する。この溶
液にカルボキシビニルポリマー1gを水39gに溶解した溶
液を加え攪拌する。次にこれにジイソプロパノールアミ
ン1gを水10gに溶解した溶液を加え均一になるまで攪拌
してゲル製剤を得た。
実施例7 ケトチフェン1gにエタノール35g、プロピレングリコー
ル15gおよびグリセリンジカプリレート2gを加え溶解す
る。この溶液にカルボキシビニルポリマー1gを水34.5g
に溶解した溶液を加え攪拌する。次にこれにトリエタノ
ールアミン1.5gを水10gに溶解した溶液を加え均一にな
るまで攪拌してゲル製剤を得た。
実施例8 ケトチフェン1gにエタノール35gを加えて溶解する。こ
の溶液にプロピレングリコール15gにヒドロキシプロピ
ルセルロース1gを溶解した溶液を加え攪拌する。次にこ
の溶液にアジピン酸ジイソプロピル4gおよびカルボキシ
ビニルポリマー1gを水31.5gに溶解した溶液を加え攪拌
する。これにジイソプロパノールアミン1.5gを水10gに
溶解した溶液を加え均一になるまで攪拌してゲル製剤を
得た。
実施例9 カルボキシビニルポリマー1gに水27.5gを溶解し、これ
にジイソプロパノールアミン1.5gを水10gに溶解した溶
液を加えゲル化する。次にケトチフェン3gをエタノール
40g、ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油2gおよび
1,3−ブチレングリコール15gに溶解し、この溶液を先の
ゲルに加え、均一になるまで攪拌してゲル製剤を得た。
参考例1 ウールワックス63g、液体パラフィン15gを75℃に加温し
溶解した。一方、ケトチフェン・フマル酸塩0.006gに水
21.994gを加え75℃に加温した。次に先の油相に水相を
攪拌しながら加えた後、ホモジナイザーで乳化し、室温
まで攪拌しながら冷却してクリーム製剤を得た。
参考例2 乳酸ラウリル19.5g、2−ヘキシルデカノール8g、1,2−
プロピレングリコール3g、2−エチルカプロン酸セチル
エステルおよびミリスチン酸イソプロピル2g、3gのステ
アリン酸ポリエチレングリコールDAB7およびコロイド状
ケイ酸マグネシウムアルミニウム3g中に例5gのケトチフ
ェンを40℃に加熱しながら溶解し、この溶液に15gの脂
肪酸アミドプロピル−ジメチルアミノ酢酸ベタイン(脂
肪酸基の平均鎖長−14炭素原子)を水46g中に溶解した
溶液を加えホモジナイザーで乳化した後室温まで冷却し
てクリーム製剤を得た。
試験例1 熱安定性試験 本発明ゲル製剤および参考例1のクリーム製剤を60℃に
保存した時の外観変化を表1に示す。
以上の結果より明らかな如く、本発明のゲル製剤は参考
例のクリーム製剤に比し、熱安定性に大変優れているこ
とが判明した。
試験例2 経皮吸収性試験 〔試験方法〕 ウイスター系雄性ラット(5週令、体重115〜125g)を
1群4匹として、その剪毛背部に実施例1及び参考例1,
2で調製したゲル製剤90mgを塗布し、その上をアルミホ
イルで覆いテープで固定した。ラットは首かせを付け、
1匹づつ飼育ゲージに収容した。塗布後0.5、2、4、
6、8時間後に大腿部動静脈切断により採血し、3000rp
mで遠心分離し血清を得た。この血清中のケトチフェン
の含有量を液体クロマトグラフ法により定量した。
結果を表2に示す。
以上の結果より明らかな如く、本発明のゲル製剤は参考
例のクリーム製剤に対し、高い血中濃度を示した。この
ことはゲル基剤からのケトチフェンの放出性および経皮
吸収性を充分に示唆するものである。
(ホ)発明の作用・効果 本発明のゲル製剤は、人体部位の皮膚、口腔、鼻腔、直
腸等の局所において使用可能であり、胃腸アレルギー、
蕁麻疹、アトピー性皮膚炎、鼻炎、気管支喘息、枯草
熱、湿疹、皮膚掻痒症等のアレルギー疾患の局所または
全身性の治療剤として医療上有用であり、且つ、経口型
の製剤が具備していた各種副作用が全くないという効果
を有するものである。
更に、本発明のゲル製剤は、物理化学的安定性、薬効成
分の基剤中における熱安定性、基剤からの薬効成分の放
出性について優れた作用を有し、又、本発明の基剤中の
ポリマーは皮膜形成を有するので、使用部位に対する密
封療法的な作用を生じ、経皮吸収促進等に好結果を与え
るものである。更に、本発明の製剤は、塗布後ただちに
揮散するため、皮膚に清涼感を与え、べたつきのない使
用感の良い製剤という効果も具備するものである。又、
本発明のゲル製剤は、薬効成分の経皮吸収性が大変良好
であり、顕著な薬理作用が期待できるものである。
又、本発明の製剤はpH値が5〜9に調整されているた
め、皮膚等の使用部位に刺激を与えることなく、経皮吸
収が促進されるという効果も有するものである。更に、
試験例1および2の試験結果より明らかな如く、公知の
クリーム製剤に比較して本発明のゲル製剤は熱安定性に
優れ、且つゲル基剤からの薬効成分放出並びに経皮吸収
性において特に優れた作用を示すものである。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】薬効成分ケトチフェンまたはその塩0.01〜
    5重量%と、低級アルコール、多価アルコール、水、ゲ
    ル化剤および中和剤を含むゲル基剤とからなる外用ゲル
    製剤。
  2. 【請求項2】薬効成分ケトチフェンまたはその塩0.01〜
    5重量%と、低級アルコール5〜60重量%、多価アルコ
    ール3〜45重量%、水30〜60重量%、ゲル化剤0.1〜5
    重量%および中和剤0.1〜5重量%を含むゲル基剤とか
    らなる特許請求の範囲第1項に記載の外用ゲル製剤。
  3. 【請求項3】ゲル基剤が、さらに溶解補助剤を含む特許
    請求の範囲第1または2項に記載の外用ゲル製剤。
  4. 【請求項4】薬効成分ケトチフェンまたはその塩0.01〜
    5重量%と、低級アルコール5〜60重量%、多価アルコ
    ール3〜45重量%、水30〜60重量%、ゲル化剤0.1〜5
    重量%、中和剤0.1〜5重量%および溶解補助剤0.1〜25
    重量%を含むゲル基剤とからなる特許請求の範囲第3項
    に記載の外用ゲル基剤。
  5. 【請求項5】pHが、5〜9である特許請求の範囲第1〜
    4項のいずれかに記載の外用ゲル製剤。
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