JPH0735168B2

JPH0735168B2 - プラスチツク製容器

Info

Publication number: JPH0735168B2
Application number: JP16842686A
Authority: JP
Inventors: 順彦近久; 慎一長
Original assignee: 株式会社近久; 慎一長
Priority date: 1986-07-17
Filing date: 1986-07-17
Publication date: 1995-04-19
Anticipated expiration: 2010-04-19
Also published as: JPS6333252A

Description

【発明の詳細な説明】（産業上の利用分野）本発明は、車両用燃料タンク等、貯溜する燃料等の流体
に対して高い不透過性が要求されるプラスチック製の容
器に関し、特にその不透過性の改善対策に関するもので
ある。

（従来の技術）近年、自動車等車両の燃料タンクとして、その軽量化お
よび成形加工の容易化を図るべくプラスチック製のもの
が提案され実用化されつつある。このプラスチック製の
燃料タンクは、貯溜する燃料（ガソリン、軽油等）に対
して高い不透過性が要求され、最近この要求が厳しくな
る傾向にある。

そして、上記従来のプラスチック製燃料タンクとして
は、単にポリエチレン等の熱可塑性樹脂製のものでは、
上記燃料の不透過性が充分でないため、これら樹脂を多
層にあるいはサンドイッチ構造にしたものがある。ま
た、特公昭53-15862号公報に開示されるように、燃料タ
ンク等、不透過性が要求される熱可塑性樹脂製の容器の
内面に弗素処理を施したり、SO₃等のガス処理を施すこ
とによって上記不透過性を改善するようにしたものが提
案されている。

（発明が解決しようとする問題点）しかしながら、上記従来のものは、製造工程数の増加を
招くという欠点があり、結果として生産コストが高くつ
くことになる。しかも、上記公報のものでは、有毒な弗
素を使用することから、その安全対策上、弗素処理のた
めの装置設備が大がかりとなるという欠点がある。

本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、上述の
如き不透過性の要求されるプラスチック製容器の基材と
して用いられる熱可塑性樹脂に適切な添加物を添加する
だけで、不透過性を簡便に向上させることを目的とす
る。

（問題点を解決するための手段）上記の目的を達成するため、本発明では、包接作用を有
するシクロデキストリンを添加剤として使用することに
ある。

具体的に、本発明の講じた解決手段は、、プラスチック
製容器を、シクロデキストリンを適宜量添加した熱可塑
性樹脂で形成したものである。

（作用）上記の構成により、本発明では、熱可塑性樹脂に添加さ
れたシクロデキストリンが、熱可塑性樹脂の分子間に介
在してその閉塞作用により流体に対する不透過性が向上
する。さらに、貯溜される流体が透過しようとする際、
この流体の組成物、例えばガソリンの場合には芳香族炭
化水素がシクロデキストリンにゲスト化合物として包接
されて捕捉されてしまい、外部へ流体が洩出するのが抑
制され、不透過性が一層向上するものと推量される。

（実施例）以下、本発明の実施例について説明する。

本発明の適用されるプラスチック製容器としては、貯溜
される流体に対して高い不透過性が要求されるもので、
例えば車両用の燃料タンク、その他各種エンジン用の燃
料タンク、あるいは燃料等の揮発性流体や有害性流体の
貯溜用容器等がある。

上記プラスチック製容器の基材としての熱可塑性樹脂
は、その軟化点において射出成形や吹込成形が可能なも
ので、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、
ポリアクリルニトリル、ポリ塩化ビニルなどのポリマお
よびコポリマ等が用いられる。尚、この熱可塑性樹脂に
は、顔料、充填剤、艶消剤、可塑剤、難燃化剤、帯電防
止剤、その他物性を改質するための物質を含んでいても
よい。

そして、上記熱可塑性樹脂にはシクロデキストリン（以
下、CDという）が適宜量添加されている。このシクロデ
キストリン（CD）はグルコース残基がα−1,4−グリコ
シド結合で環状に結合したデキストリンであって、工業
的に生産されているものとして、6,7,8価のグルコース
残基からなるα−CD、β−CD、γ−CDがよく知られてい
る。このCDはバチルスマセランスアミラーゼ（Bacillus
macerans amylase）や好アルカリ性微生物を適当な培
地で好気的に培養して得られるCD生成酵素（サイクロデ
キストリングリコシルトランスフェラーゼ）を糊化又は
液化澱粉に作用させることによって得られる。このCDの
添加量は、熱可塑性樹脂に対して20重量％を超えると熱
可塑性樹脂の物性に悪影響を与えるので、20重量％以下
に設定され、好ましくは数重量％に設定され、その程度
で充分に流体の不透過性に著効を発揮する。

上記の如くCDが添加された熱可塑性樹脂を用いて、射出
成形法、吹込成形法等によって中空成形品としての容器
が成形される。この成形品において、上記CDは熱可塑性
樹脂の分子間に介在して閉塞する作用をするとともに、
貯溜した流体が透過しようとする際、該流体の組成物、
例えば芳香族炭化水素等をCDの環状空洞内に包み込む，
つまりCDの包接作用により流体の組成物を捕捉する。そ
の結果、流体に対する不透過性を著しく高めることがで
きる。また、このCDはその他の添加剤、例えば帯電防止
剤等をその包接作用により包み込んで、その効果（帯電
防止効果等）を長期間に亘って維持することにより、熱
可塑性樹脂の物理的，化学的性質の向上をも図ることが
できる。

また、熱可塑性樹脂にCDを添加して成形するだけでよ
く、従来の如きガス処理等を要さないので、工程数の増
加を招くことなく簡便に製造することができ、コスト的
にも有利である。また、このCDの添加は他の組成物の悪
影響を与えることがないので、機械的特性の劣化等がな
く、耐久性，耐衝撃性等の点で問題はない。

今、具体的に、ポリエチレンにCDを５重量％添加した材
料を用いて車両用の燃料タンクを成形し、該燃料タンク
にガソリンを貯溜して、「通達自車458号昭和47−６
−24」に規定されたテストをしたところ、燃料タンクか
らのブローバイガスとしてのHCの排出重量が1g以下に抑
えることができ、ガソリンの不透過性に優れ、上記基準
を十分にクリアして実用に供することができることが判
明した。

（発明の効果）以上の如く、本発明のプラスチック製容器によれば、そ
の基材の熱可塑性樹脂にシクロデキストリンを添加する
だけの簡易な処理でもって流体の不透過性を著しく向上
させることができるので、従来の如きガス処理等を要さ
ずに簡便に不透過性の改善を図ることができ、特に車両
用燃料タンクとしての好適なプラスチック製容器の提供
を実現することができるものである。

フロントページの続き (56)参考文献特開昭61−164947（ＪＰ，Ａ) 特公昭57−9848（ＪＰ，Ｂ２) 特公昭56−15806（ＪＰ，Ｂ２)

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】シクロデキストリンを適宜量添加した熱可
塑性樹脂によって形成されてなることを特徴とするプラ
スチック製容器。