JPH0734706Y2 - 水性ボールペン等の筆記具 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案はノックや回転により筆記先端部を軸先端口より
出没可能とした水性ボールペン等の筆記具の改良に関す
る。

（従来の技術） 水性ボールペン等のリフィールには内圧調節用の通気孔
を設ける必要がある。しかしながら、この通気孔からは
インクが蒸発するので筆記寿命を縮める弊がある。又通
気孔はリフィールの先方側に設けたものとリフィールの
後端に密嵌された尾栓等に設けたものがある。そこでイ
ンクの蒸発を防ぐために前者の場合は、チップと通気孔
を同時に密閉するキャップ式の筆記具に適用されてい
る。又後者はインクの蒸発を抑制するために細く且つ長
い空気流通路を構成する手段がこうじられているが、長
期間置かれた場合、インクの蒸発は徐々に進行し寿命を
縮める。又インクの蒸発はチップの先端よりも起り、イ
ンクの蒸発とともにボール部の直下が乾燥して筆記した
ときかすれるといった問題も引き起こす。従って、この
種のリフィールはアルミニュウムの薄膜を主材としたフ
ィルムに熱シール等の手段で封入し、使用時に封を解い
てノック式や回転式の筆記具に搭載するようにしてい
る。しかしながら、フィルムの封を解く方法は扱い上不
便であり、又リフィールを筆記具に搭載した全体をフィ
ルムで封入する方法もあるが内部が見えずユーザーに対
して表示性を欠くなど難点が多い。尚、透明性のあるフ
ィルムはインクの蒸発に対して抑制力は著しく劣る。

（考案が解決しようとする問題点） 本考案は上記従来例の欠点の解消を目的とするもので、
即ち水性ボールペン等のノック式又は回転式等の筆記具
に於いて筆記寿命を延ばし、アルミニュウム等フィルム
の熱シール包装のように封を解いて筆記具に搭載する煩
わしさもなく、ユーザーが簡単に取扱えるようにするこ
とにある。

（問題点を解決するための手段） 上記目的を達成するために案出された本考案の水性ボー
ルペン等筆記具のリフィールはインクの蒸発を抑制する
特性に優れた樹脂成形品で、チューブを前チューブと後
チューブで形成し、後チューブの先端にボールペンチッ
プを固着するとともに後チューブにインク吸蔵体を挿入
してチップ側とインク誘導芯を接続し、後チューブの後
端を尾栓で密嵌して、更に後チューブにインク内蔵部と
連通する横孔を設け、後チューブに前チューブを密嵌し
て取付け、後チューブの外周と前チューブの内周との間
に横孔と連通して通気溝を形成してチップ先方部位に至
る空気流通路とし、前チューブの先方に先端部とその端
面に空気流通路と連通した通気孔を設けてリフィールを
構成し、リフィールをその先端部がノック又は回転等に
より軸先端口より出没可能とした筆記具に搭載して、軸
先端口にチップと通気孔を閉塞してシールキャップを嵌
着し、ノック又は回転等によりリフィールを前進したと
き、シールキャップを軸外に突出して離脱させ筆記先端
部が軸先端口より突出するように構成したことである。

（実施例） 第１図に示した本考案の実施例である水性ボールペン等
筆記具のリフィール（１）はインクの蒸発を抑制する特
性に優れた樹脂成形品よりなるチューブを前チューブ
（２）と後チューブ（３）で構成し、後チューブ（３）
の先端にはボールペン等チップ（10）が固着されてい
る。又、チップ（10）にはボール部の略直下に至りイン
ク誘導芯（11）が挿入され後方に伸びている。一方、後
チューブ（３）の後端よりインクを充填したインク吸蔵
体（12）が挿入され、上記インク誘導芯（11）の後端は
インク吸蔵体（12）の前端より適宜没入している。又、
後チューブ（３）の後端孔にはインク吸蔵体（12）の後
端面に略当接して尾栓（13）が密嵌されている。ところ
で、後チューブ（３）の前方部側面にはインク吸蔵体
（12）の前端面より適宜後方位置で横孔（４）が設けら
れている。又、先端部（７）を有した筒体で上記後チュ
ーブ（３）と同質の樹脂成型品で形成された前チューブ
（２）がチップ（10）と後チューブ（３）の前方部位を
被覆して密嵌し、前チューブ（２）の内周と後チューブ
（３）の外周との間には上記後チューブの横孔（４）と
連通した通気溝（５）が形成され、前チューブの先端部
（７）の前端面に至り通気孔（６）が形成されている。
以上のようにインク吸蔵部と通気孔（６）との間には横
孔（４）と通気溝（５）により細くて且つ長い空気流通
路が形成されてリフィール（１）は構成され、第２図に
示すように筆記具（14）に搭載される。ところで筆記具
（14）は後端にノック部材を備えてノックすることによ
りそれと連動してリフィールを軸推移して軸先端口（1
6）よりリフィール（１）の先端部を突出した状態で位
置ぎめ係止し、係止を解除して軸内に収納するようにし
た、いわゆるノック式筆記具や、回転を利用してリフィ
ール（１）を軸推移するようにした回転式等で構成され
ている。（図示せず）又、実施例では軸（17）とリフィ
ール（１）との間にリターンスプリング（15）がリフィ
ールを後方に附勢しているが、ノック式の場合でリフィ
ールがノック部に一体化されているときはリターンスプ
リング（15）は軸（17）とノック部との間に附勢するこ
とも可能である。又、回転式の場合は回転により軸推移
する機構部とリフィールが一体化するときはリターンス
プリング（15）は特に必要としない。又、更に軸先端口
（16）には上記チップ（10）と通気孔（６）とを閉塞し
てシールキャップ（８）がせ適宜嵌着している。ところ
で、第５図は上記チップ（10）と通気孔（６）を確実に
閉塞するためにシールキャップ式（８′）の内段とリフ
ィールの先端部（７）の前端面との間にＯリング（18）
を設置した態様を示したものである。

（作用） 本考案の構成は以上の通りであり、リフィール（１）は
第２図の状態で筆記具（14）に搭載されているのでチッ
プ（10）と通気孔（６）はシールキャップ（８）、
（８′）により閉塞されてインクの蒸発と筆記先端部の
乾燥が抑えられ長期間の保存に耐える。又、第２図の状
態からノック又は回転等によりリフィール（１）を前進
させると第３図に示すようにシールキャップ（８）の軸
部（９）と軸先端口（16）との嵌着状態が解放され、次
いでシールキャップ（８）が脱落して第４図に示すよう
に筆記先端部が軸先端口（16）より突出した状態に係止
させると筆記状態となる。そのときよりリフィール
（１）はシール無しの状態で筆記先端部を軸先端口（1
6）より出没可能となる。しかしながら本考案のリフィ
ール（１）は通気孔（６）をインク吸蔵部から細く且つ
長い空気流通路として形成しているので比較的長期間に
渡り筆記寿命を維持することができる。

（考案の効果） 本考案の構成及び作用は以上の通りであり、長期間に渡
って店頭等に放置されてもインクの蒸発や筆先部の乾燥
が抑えられ初期品質を維持することができる。又、ユー
ザーが従来のようにリフィールのアルミニュウム包装の
封を解いて筆記具に搭載する等のわずらわしさもなく容
易に取扱うことができる。又、シールキャップはノック
又は回転等によりリフィールを前進したとき軸先端口よ
り離脱し、且つ筆記先端部より脱落するので、シールキ
ャップが小さくとも、又テーパー状に形成されていたと
しても個人差に関係なくシールキャップを離脱できるな
ど効果は大きい。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例であるリフィールの縦断面図、
第２図は筆記具にリフィールを収納したときの状態を示
した要部透視断面図、第３図はシールキャップが軸先端
口より突出した状態を示した要部透視断面図、第４図は
シールキャップを離脱し、筆記状態にセットしたときの
要部透視断面図を示している。第５図はシールキャップ
の他の態様を示した要部透視断面図を示している。 （１）……リフィール、（２）……前チューブ、（３）
……後チューブ、（４）……横孔、（５）……通気溝、
（６）……通気孔、（７）……先端部、（８）、
（８′）……シールキャップ、（９）……軸部、（10）
……チップ、（11）……インク誘導芯、（12）……イン
ク吸蔵体、（13）……尾栓、（14）……筆記具、（15）
……リターンスプリング、（16）……軸先端口、（17）
……軸、（18）……Ｏリング

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁶ 識別記号 庁内整理番号 ＦＩ 技術表示箇所 6863−2Ｃ Ｂ４３Ｋ 24/00 Ｚ

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】インクの蒸発を抑制する特性に優れた樹脂
   成形品よりなる後チューブ３の先端にチップ10を固着す
   ると共に、後チューブ３の後端よりインクを充填したイ
   ンク吸蔵体12を挿入して後端を尾栓13で密嵌し、上記後
   チューブ３の前方部位にそれと同質の樹脂成形品よりな
   る前チューブ２を密嵌して固着し、後チューブ３の前方
   部位の略後方位置にインク内蔵部と連通した横孔４を設
   け、それと連通して後チューブ３の前方部位外周、チッ
   プ10の外周と前チューブ２の内周との間に細く且つ長い
   通気溝５が形成され、更にそれと連通して前チューブ２
   の先端部７の前端に通気孔６が設けられて成る水性ボー
   ルペンのリフィール１をノックあるいは回転等によりそ
   の先端部が軸先端口16から出没可能となした筆記具14に
   搭載して、上記チップ10と通気孔６を閉塞して前チュー
   ブ２の先端部７に密嵌されると共に軸先端口16に適宜嵌
   着可能となるシールキャップ８、８′を取付けたことを
   特徴とする水性ボールペン等の筆記具。