JPH0734056Y2 - 枚葉印刷機の排紙紙揃え装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は枚葉印刷機において紙積板や板取り板（以下、
紙積板と板取り板とを紙積用板と総称する。）の上に落
下する紙の後端を当接させて揃える排紙紙揃え装置に関
するものである。

〔従来の技術〕

枚葉印刷機において排紙チェーンの爪でくわえられて搬
送される紙は、搬送終端部において爪のくわえから解放
され、紙積用板上へ落下，積載される。この紙積みに際
しては、紙端が正しく揃えられて積まれないと、そのあ
との断裁工程や折り工程において支障があるので、落下
する紙の前端と後端とを紙当てと紙揃え板とにそれぞれ
当てて紙端を揃えることが従来から行われている。

このうち紙の後端を揃える紙揃え板は従来、垂直板状に
形成されて揺動自在なアームの遊端部に枢支されてお
り、自身の重量とアームの重量とで下端を紙積用板の上
面に当接させている。

〔考案が解決しようとする課題〕

しかしながら、従来におけるこの種の紙揃え板は、上下
動調節ができないことと、傾いたときの垂直姿勢への復
帰性が悪いこととにより、紙積板の上昇停止位置や、板
取り板の厚み等に対する追従性が悪く、紙揃え板が傾い
たりこれと紙積板との間にすき間ができたりして紙の不
揃いが発生するという問題があった。また板取り板をガ
イドレールへ挿入するときにその先端で押されて紙揃え
板が傾いても垂直姿勢に復帰しないことがあり、紙の不
揃いの要因になっていた。

このように、従来の紙揃え装置には上下動調節機能と垂
直姿勢への復帰機能とがないために、紙が揃い難く、印
刷面が傷つき易いという問題があった。

〔課題を解決するための手段〕

このような課題を解決するために本考案では、機体側に
支持され落下紙の後端を摺接させる垂直面を備えた紙揃
え板と、この紙揃え板に上下方向に移動調節自在に支持
された支持部材と、この支持部材から垂下された屈曲自
在でかつ伸張自在な密着巻きのコイルばねの下端に設け
られ前記紙揃え板の背面に摺動自在に当接しかつ紙揃え
板の垂直面と同一面をなす垂直面を備えた紙揃え部材
と、この紙揃え部材の下端を積載用板に圧接させる方向
に弾発する弾性部材とを備えた。

〔作用〕

排紙チェーンから解放されて落下する紙は紙揃え板に後
端を当接させこれに摺接しながら落下することにより後
端を揃えられて紙積用板上に落ち着き、紙揃え部材に後
端を当接させることにより揃えられながら積載される。
このとき、紙揃え部材の下端平面が弾性部材の弾発力で
紙積用板に圧接されているので、下層の積載紙が紙揃え
部材と紙積用板との間に侵入することなく揃えられる。
板取り板の上昇位置が変ったり板取り板の厚みが変った
りしても一定範囲内は弾性部材によって追従し、この範
囲を越えた場合は支持部材の調節によって対応できる。
またガイドレールへ挿入される板取り板の先端で押され
た紙揃え部材は、これを支持する弾性部材を屈曲させな
がら傾くが、挿入後はこの弾性部材の弾性復帰力で垂直
姿勢に復帰する。

〔実施例〕

第１図ないし第４図は本考案に係る枚葉印刷機の排紙紙
揃え装置の実施例を示し、第１図はその正面図、第２図
は一部破断側面図、第３図は一部破断平面図、第４図は
本考案を実施した枚葉印刷機の排紙装置の概要側面図で
ある。図において、左右の排紙フレーム１に枢着された
スプロケット2,3と図示しない印刷ユニットのスプロケ
ットとの間には、左右一対の排紙チェーン４が張架され
ており、左右の排紙チェーン４間に一定間隔で支架され
た複数個の爪竿上には、爪と爪台とからなる複数組のく
わえ爪装置５（以下爪５という）が並設されている。そ
して、印刷後の紙６は、爪５でくわえられて排紙チェー
ン４の走行により第４図に矢印Ａで示す方向に搬送さ
れ、搬送終端部で爪５のくわえから解放されて落下す
る。紙６の落下径路下方には、一対の昇降バー７がフレ
ーム１から垂下された昇降チェーン８で前後を吊下され
ており、これら左右の昇降バー７に支承された紙積用板
としての紙積板９が載置されている。この紙積板７上に
は、同じく紙積用板としての板取り板10が載置されてお
り、前記落下紙６はこの板取り板10上に積載される。な
お、落下紙６が紙積板７上に直接積載されることもある
が、本実施例では、板取り板10を介して積載する場合に
ついて説明する。11は搬送される紙６のくわえ端以外の
箇所を摺接させて搬送速度を減速し、紙６を緊張させる
複数個の吸引車であり、12は落下，積載される紙６の側
端縁に振動を付与して紙端を揃える横寄せ装置である。
また、13は落下する紙６の前端を当接させて揃える紙当
てである。左右のフレーム１下方には、水平方向へ開閉
自在なガイドレール14が支架されており、図示のように
板取り板10上に紙６が所定量積まれたときに、このガイ
ドレール14が閉じられ、次の板取り板がこの閉じたガイ
ドレール14に前方から挿入されてこの静止状態の板取り
板10上に紙６が積載されるように構成されている。そし
て、この積載中に下方の積載済の紙を機外に取出し、紙
積台を上昇させてガイドレール14を開くことにより板取
り板10が紙積板９上に乗り移って正規の紙積みに移行す
る。

このような紙積装置には、落下する紙６の後端を摺接さ
せ、かつガイドレール14へ挿入された板取り板10上に積
載され始める紙10の後端の移動を規制して揃える紙揃え
装置が設けられている。すなわち、左右のフレーム１間
に支架された前記吸引車11側の軸20には、平面視をＹ字
状に形成された支持部材としての複数個のブラケット21
が、軸方向に並列して割締め固定されており、その前端
面には、落下紙６の後端を摺接させる垂直面を備えた長
方形板状の紙揃え板22が止ねじ23によって固定されてい
る。なお、紙揃え板22の上端部は落下紙６が進入し易い
ように湾曲されている。紙揃え板22の裏面に固着された
ピン受け24のピン孔には、紙揃え板22と平行する調節ピ
ン25が摺動自在に挿入されており、その上方への突出ね
じ部には、ナット26が螺合されている。27は密着巻きさ
れて上端を調節ピン25の下端に固着されたコイルばねで
あって屈曲性を有しており、その下端には、直方形状に
形成された紙揃え金具28が前面の切欠き28aを紙揃え板2
2と摺動自在に係合させて固着されている。紙揃え金具2
8は、傾斜下端面の前端を板取り板10の上面に対接させ
ていて、ナット26を弛めての調節ピン25の進退により高
さを調節可能に構成されており、コイルばね27を屈曲さ
せながらの後方への移動は可能であるが、ストッパの役
目をする紙揃え板22の下端により前方への移動端限を規
制されている。また、紙揃え金具28は、ガイドの役目を
する紙揃え板22により上下動を案内されている。ピン受
け24と紙揃え金具28との間には、紙揃え金具28の下端を
板取り板10に圧接させる方向に付勢する圧縮コイルばね
29がコイルばね27を内包してこれと同芯状に介装されて
おり、ナット26を弛めての調節ピン25の進退により伸縮
する。

以上のように構成された排紙紙揃え装置の動作を説明す
る。排紙チェーン４の爪５でくわえられ排紙チェーン４
の走行により搬送された紙６は、搬送終端部において爪
５のくわえから解放され、前端を紙当て13に当接させて
これに摺接させながら落下することにより前端を揃えら
れて板取り板10上に積載される。また、落下する紙６の
後端は紙揃え板22の垂直面に摺接することにより揃えら
れ、板取り板10上に着地後は紙揃え金具28で移動を規制
されて後端を揃えられる。昇降バー７は紙６の積載量に
したがって自動降下し、積載紙６の上端面が一定の高さ
を保持する。第３図に示すように板取り板10上に所定量
の紙６が積載されると、昇降バー７をわずかに降下させ
たのち、ガイドレール14を閉じ、次の板取り板10を前方
からガイドレール14に挿入する。引続き落下する紙６は
ガイドレール14上の板取り板10に積載されるので、この
積載中に下方の積載済板取り板10上の紙６を機外に取出
して運搬したのち、昇降バー７を上昇させる。そしてガ
イドレール14を開くと、紙受け中の板取り板10が紙積板
９上に乗り移り、自動降下に切替えることにより通常の
排紙に移行する。

このような紙積作業においては、紙揃え金具28の下端が
圧縮コイルばね29のばね力で板取り板10の上面に圧接さ
れており、またコイルばね27の弾性復帰力により切欠き
28aが紙揃え板22の下端部に圧接されているので、板取
り板10が昇降しても、紙揃え金具28が紙揃え板22の下端
部に切欠き28aを摺接させて案内されることにより垂直
姿勢を保持しながら板取り板10に追従して昇降し、紙揃
え金具28と板取り板10との間にすき間ができず密着して
いる。したがって紙６がすき間に侵入するおそれがな
く、紙揃えが良好になる。またガイドレール14への板取
り板10の挿入に際しては、板取り板10の先端で紙揃え金
具28が押されるので紙揃え金具28は、コイルばね27を圧
縮コイルばね29内で屈曲させながら後方へわずかに移動
するが、板取り板10を挿入し終わると、コイルばね27の
弾性復帰力により垂直姿勢に復帰する。このとき、紙揃
え板22は紙揃え金具28の移動端限を規制するストッパの
役目をするので、紙揃え金具28は正確な垂直姿勢にな
る。

板取り板10の厚みが変った場合には、ナット26を弛めて
調節ピン25を進退させると、これとコイルばね27を介し
て一体の紙揃え金具28が圧縮コイルばね29を伸縮させな
がら上下動し、高さが調節されて板取り板10の厚みに対
応する。

なお、本実施例では紙積用板として板取り板10を例示し
たが、板取り板10を用いずに紙積板９に直接紙６を積載
する場合にも本考案を実施することができ同様の効果が
得られる。この場合には紙積板９の上昇限位置が変るこ
とがあるが、前記調節ピン25の進退調節によりこれに対
応することができる。

〔考案の効果〕

以上の説明により明らかなように本考案によれば枚葉印
刷機の排紙紙揃え装置において、機体側に支持され落下
紙の後端を摺接させる垂直面を備えた紙揃え板と、この
紙揃え板に上下方向に移動調節自在に支持された支持部
材と、この支持部材から垂下された屈曲自在でかつ伸張
自在な密着巻きのコイルばねの下端に設けられ前記紙揃
え板の背面に摺動自在に当接しかつ紙揃え板の垂直面と
同一面をなす垂直面を備えた紙揃え部材と、この紙揃え
部材の下端を積載用板に圧接させる方向に弾発する弾性
部材とを備えたことにより、密着巻きコイルばねにより
常時紙揃え部材が紙揃え板の背面に摺動自在に当接しか
つ紙揃え部材の垂直面が紙揃え板の垂直面と同一面をな
すように垂直姿勢を維持しているので、紙揃えが精度よ
く安定して行われる。また、紙積用板の上昇位置や板取
り板の厚み等が変わった場合には、支持部材の回動操作
によりこれに対応して紙揃え部材を上下動調節すること
ができるので、良好な紙揃え機能を維持することができ
損紙が発生しない。また、紙揃え部材の下端を紙積用板
上に圧接させる方向に弾発する弾性部材を備えてること
により、紙積み用板の昇降時や板取り板の挿入時に、紙
揃え部材の下端が常に紙積用板に圧接されているので、
紙揃え部材と紙積用板との間に紙が侵入することがなく
的確な紙揃えがなされる。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第４図は本考案に係る枚葉印刷機の排紙紙
揃え装置の実施例を示し、第１図はその正面図、第２図
は一部破断側面図、第３図は一部破断平面図、第４図は
本考案を実施した枚葉印刷機の排紙装置の概要側面図で
ある。 １……フレーム、６……紙、９……紙積板、10……板取
り板、20……軸、21……ブラケット、22……紙揃え板、
24……ピン受け、25……調節ピン、26……ナット、27…
…コイルばね、28……紙揃え金具、29……圧縮コイルば
ね。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】機体側に支持され落下紙の後端を摺接させ
   る垂直面を備えた紙揃え板と、この紙揃え板に上下方向
   に移動調節自在に支持された支持部材と、この支持部材
   から垂下された屈曲自在でかつ伸張自在な密着巻きのコ
   イルばねの下端に設けられ前記紙揃え板の背面に摺動自
   在に当接しかつ紙揃え板の垂直面と同一面をなす垂直面
   を備えた紙揃え部材と、この紙揃え部材の下端を積載用
   板に圧接させる方向に弾発する弾性部材とを備えたこと
   を特徴とする枚葉印刷機の排紙紙揃え装置。