JPH07335249A - 非水電解質二次電池およびその製造方法 - Google Patents

非水電解質二次電池およびその製造方法

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JPH07335249A
JPH07335249A JP6145679A JP14567994A JPH07335249A JP H07335249 A JPH07335249 A JP H07335249A JP 6145679 A JP6145679 A JP 6145679A JP 14567994 A JP14567994 A JP 14567994A JP H07335249 A JPH07335249 A JP H07335249A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 渦巻型電極体を有する非水電解質二次電池の
生産性およびサイクル寿命を向上させた非水電解質二次
電池を提供すること。 【構成】 帯状のセパレータ3の一端部を割りピン16
でまず巻き取り、次に中空筒の長手方向の一ケ所にスリ
ット状の割りが入ったセンターピン14内に前記セパレ
ータ3の一端を支持した割りピン16を挿入した後に帯
状の正極2、負極1をセパレータ3を介して巻き取るこ
とにより渦巻型電極体を作製する。得られた渦巻型電極
体には、すでにセンターピン14が挿入されているので
電極体を円筒形状に維持することができる。こうして、
従来技術で必要な渦巻型電極体の中心部にセンターピン
14を挿入する工程が本発明では不必要になるので、生
産性が向上する。得られる渦巻型電極体では巻芯空隙部
の内径とセンターピン14の外形にクリアランスがない
ため、巻きゆるみによるサイクル劣化が抑制される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は非水電解質二次電池に関
し、特に渦巻型電極体の製造方法に特徴を有する生産性
およびサイクル寿命が向上した非水電解質二次電池に関
する。
【0002】
【従来の技術】近年、電子技術の進歩により、電子機器
の高性能化、小型化、ポータブル化が進み、これら電子
機器に使用される二次電池として高エネルギー密度のも
のに対する要求が強まっている。従来、これらの電子機
器に使用される二次電池としては、ニッケル・カドミウ
ム電池や鉛電池などが挙げられるが、ニッケル・カドミ
ウム電池や鉛電池は放電電位が低く、エネルギー密度の
高い電池を得るという目的は十分に達成されていない。
最近、リチウムやリチウム合金もしくは炭素材料のよう
なリチウムイオンをドープおよび脱ドープ可能な物質を
負極として用い、また正極にリチウムコバルト複合酸化
物などのリチウム複合酸化物を使用する非水電解質二次
電池の研究・開発が行われている。この電池は、電池電
圧が高く、高エネルギー密度を有し、自己放電も少な
く、かつ、サイクル特性に優れている。また、この電池
は渦巻型電極構造とすることで電極面積を大きくし、重
負荷放電を可能としている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】一般に、渦巻型電極構
造を有する素子を製造する場合、割りピンでセパレータ
を初めに巻き取った後、帯状の正極と負極をセパレータ
を介して巻き取るが、割りピンを抜き取った跡に割りピ
ンの形状がそのまま残るため、割りピンを抜き取った跡
にセンターピンを挿入し易くするために、図3に示すよ
うに巻芯21の空隙部22に先端の鋭利なピン23を差
し込み、巻芯21に残るセパレータ3を変形して、その
後にセンターピンを挿入する工程が必要だった。なお、
センターピンは破壊的な外部加圧に対して電池強度を強
くするのに有効である。また、センターピンを容易に渦
巻型電極構造体の巻芯21の空隙部22に挿入するため
に空隙部22の内径とセンターピンの外径にはクリアラ
ンスが設けられているが、このクリアランスがあるため
に、充放電のサイクルを繰り返すうちに渦巻型電極構造
に巻きゆるみが生じ、サイクル劣化の一要因となってい
た。本発明は渦巻型電極体を有する非水電解質二次電池
の生産性およびサイクル寿命を向上させた非水電解質二
次電池を提供することを目的としている。また、本発明
の目的は渦巻型電極構造に巻きゆるみが生じない非水電
解質二次電池を提供することを目的としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は次の
構成によって達成される。すなわち、帯状の正極と負極
と該正極と負極との間にセパレータを介して巻き取った
形状の渦巻型電極体を有する非水電解質二次電池におい
て、中空筒の長手方向にスリット状の割りが入ったセン
ターピンと、該センターピン内に一端が支持され、該セ
ンターピンのスリット状の割りを通してセンターピン表
面に巻き付けられた帯状のセパレータと、該セパレータ
を挟んでセンターピン表面に巻き付けられた帯状の正極
と負極とからなる渦巻型電極体を備えた非水電解質二次
電池である。本発明の上記非水電解質二次電池の中空筒
状のセンターピンの材質はステンレス、ニッケル、チタ
ン、スチール等の金属材料を用いることができる。ま
た、中空筒状センターピンの長手方向の長さは、帯状の
セパレータの幅方向の長さより短くすることで、センタ
ーピンをそのまま渦巻型電極体の芯体として用いること
ができる。
【0005】また、本発明の上記目的は次の構成によっ
て達成される。すなわち、帯状の正極と負極をセパレー
タを介して巻き取って得られる渦巻型電極体を有する非
水電解質二次電池において、セパレータ端部を円柱形の
長手方向に設けられた径方向の貫通孔を設けられた割り
ピンの前記貫通孔に挿入し、該割りピンで巻き取り、次
いで、中空筒の長手方向にスリット状の割りが入ったセ
ンターピン内に前記セパレータを巻き付けた割りピンに
挿入して、次いでセンターピン表面に帯状の正極と負極
をセパレータを介して巻き取り、渦巻型電極体を作製す
る非水電解質二次電池の製造方法である。
【0006】
【作用】本発明において、帯状のセパレータの一端部を
割りピンでまず巻き取り、次に中空筒の長手方向の一ケ
所にスリット状の割りが入ったセンターピン内に前記セ
パレータの一端を支持した割りピンを挿入した後に帯状
の正極、負極をセパレータを介して巻き取ることにより
渦巻型電極体を作製する。得られた渦巻型電極体には、
すでにセンターピンが挿入されているので電極体を円筒
形状に維持することができる。こうして、従来技術で必
要な渦巻型電極体の中心部にセンターピンを挿入するた
めに割りピンの抜き出した跡に形成される巻芯空隙部に
センターピンを挿入するために、該空隙部の先端を鋭利
なピンで成形する工程と成形した後にセンターピンを挿
入する工程が本発明では不必要になるので、生産性が向
上する。また、本発明で得られる渦巻型電極体では巻芯
空隙部の内径とセンターピンの外形にクリアランスがな
いため、巻きゆるみによるサイクル劣化が抑制される。
【0007】
【実施例】本発明の一実施例を図面と共に説明する。 実施例 正極活物質の主成分であるコバルト酸リチウム(LiC
oO2)の合成を次のように行った。炭酸リチウムと炭
酸コバルトをLi/Co(モル比)=1になるように混
合し、空気中で900℃、5時間焼成した。この材料に
ついてX線回折測定を行った結果、JCPDSカードの
LiCoO2と良く一致していた。このようにして得ら
れたLiCoO2を用い、LiCoO295重量%と炭酸
リチウム5重量%からなる混合品を正極活物質とした。
また、導電材であるグラファイトKS−15を6重量%
と結着剤であるポリフッ化ビニリデンを3重量%および
前記正極活物質91重量%からなる混合物から正極合剤
を作成し、これをN−メチル−2−ピロリドン中に分散
してスラリー状とした。次にこのスラリーを正極集電体
である帯状のアルミニウム箔の両面に塗布し、乾燥後ロ
ーラープレス機で圧縮成形して正極を作成した。
【0008】次に負極活物質はつぎのようにして作製し
た。出発物質として石油ピッチを用い、これを酸素を含
む官能基を10〜20%導入(いわゆる酸素架橋)した
後、不活性ガス中1000℃で焼成して得たガラス状炭
素に近い性質の難黒鉛化炭素材料を用いた。この材料に
ついてX線回折測定を行った結果、(002)面の面間
隔は3.76Åであり、また真比重は1.58であっ
た。このようにして得た炭素材料を90重量%と結着剤
であるポリフッ化ビニリデン10重量%とを混合して負
極合剤を作成し、これをN−メチル−2−ピロリドンに
分散させてスラリー状とした。次にこのスラリーを負極
集電体である帯状の銅箔の両面に塗布し、乾燥後ローラ
ープレス機で圧縮成形して負極を作成した。また、正極
と負極との間の絶縁体として厚さ25μmの微孔性ポリ
プロピレンフィルムから成る帯状セパレータを用いる。
【0009】次に上記帯状の正極と負極を用いて渦巻型
電極体を作製する手順を説明する。図1には円筒形の電
極体の円形断面での渦巻型電極体の作製工程を示し、図
2は得られた渦巻型電極体を用いた非水電解質二次電池
の円筒側面断面を示す。まず、図1(a)に示すよう
に、円筒の径方向にスリット状の貫通孔を形成した割り
ピン16を用いて帯状のセパレータ3を巻き取る。この
とき割りピン16の貫通孔にセパレータ3の端部を挿入
して割りピン16を図1(a)の矢印方向に一回転させ
て図1(b)に示すようにセパレータ3の端部を割りピ
ン16の円筒側面に巻きつける。次に図1(c)に示す
ように中空筒形の側面の一ケ所にスリット状の割りが入
った金属性のセンターピン14内にセパレータ3が巻き
付いた割りピン16を挿入する。この時、金属性のセン
ターピン14の円筒方向の長さをセパレータ3の幅方向
の長さより短くして金属性のセンターピン14がセパレ
ータ3からはみ出さないようにする。金属性のセンター
ピン14内にセパレータ3が巻き付いた割りピン16を
挿入し終わると、金属性のセンターピン14を芯材とし
て図1(d)に示すように帯状の正極2、負極1をセパ
レータ3を介して順々に巻き取る工程により渦巻型電極
体を作製する。その後、割りピン16を抜き取る。
【0010】次に、図2に示すようにニッケルメッキを
施した鉄製の電池缶5の底部に絶縁板4を挿入し、上記
渦巻型電極体を収納する。そして、負極1の集電をとる
ためにニッケル製の負極リード12の一端を負極1に圧
着し、負極1の巻き付け端部に設けられる負極集電体1
0に接続する負極リード12の他端を電池缶5の底部に
溶接した。また、正極2の集電をとるためにアルミニウ
ム製の正極リード13の一端を正極2に取り付け、正極
リード13の他端を電池内圧に応じて電流を遮断する電
池蓋7の安全弁装置8に溶接した。そして、この電池缶
5の中にプロピレンカーボネート50容量%とジエチル
カーボネート50容量%からなる混合溶媒中1リットル
当たりLiPF6を1mol溶解させた電解質を注入し
た。そして、アスファルトを塗布した絶縁封口ガスケッ
ト6を介して電池缶5をかしめることで、電池蓋7を固
定して直径20mm、高さ50mm円筒型非水電解質二
次電池を作製した。
【0011】比較例 この比較例では、前記実施例の渦巻型電極体の作製工程
と比較して次の工程が異なる。それは、割りピン16で
セパレータ3端部を初めに巻き取った後、帯状の正極
2、負極1をセパレータ3を介して順々に巻き取りその
巻芯21の空隙部22の割りピン16の跡を先端の鋭利
なピン23で成形して(図3参照)、その後にセンター
ピン14を挿入する工程が前記実施例とは異なる。それ
以外の工程と材料は前記実施例と同一である。こうし
て、直径20mm、高さ50mmの円筒型非水電解質二
次電池を作製した。その際、巻芯21の空隙部22の割
りピン16の跡を先端の鋭利なピン23で成形する工程
とセンターピン14を挿入する工程で不良が発生した。
このようにして前記実施例と前記比較例でそれぞれ10
0個ずつ電池を作製し、このうち20個をそれぞれ任意
に抽出した。そして、上限電圧4.2V、電流1Aの条
件で定電圧定電流充電を行った後、終止電圧2.75
V、抵抗6Ωの条件で放電を行うといった充放電サイク
ルを繰り返し行い、10サイクル目の放電容量および1
00サイクル目の放電容量を測定し、容量維持率[(1
00サイクル目の放電容量/10サイクル目の放電容
量)×100]を求めた。結果を表1と表2に示す。
【0012】
【表1】
【表2】
【0013】上述のように、本発明の実施例によれば、
中空筒の一ケ所に割りが入ったセンターピンを割りピン
に挿入してから後に帯状の正極、負極をセパレータを介
して巻き取ることにより、巻き取った状態ですでにセン
ターピンが挿入されているので、比較例のようにセンタ
ーピンを挿入するために割りピンの跡を先端の鋭利なピ
ンで成形する工程、成形した後にセンターピンを挿入す
る工程が不必要になる。こうして、比較例で述べたよう
なピンによる成形不良やセンターピン挿入不良が発生し
ないので不良率が下がり、なおかつ生産性が向上する。
また、巻芯空隙部の内径とセンターピンの外形にクリア
ランスがないため、巻きゆるみによるサイクル劣化が抑
制され、容量維持率が向上する。
【0014】
【発明の効果】本発明によれば、渦巻型電極体の成形工
程が簡略化し、しかも成形不良やセンターピン挿入不良
が発生しないので、作製される非水電解質二次電池の不
良率が下がり、なおかつ生産性が向上し、また、サイク
ル経過による渦巻型電極の巻きゆるみによる劣化が抑制
出来るため容量維持率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例の渦巻型電極体の円形断面図
である。
【図2】 本発明の実施例の渦巻型電極体を用いた非水
電解質二次電池の円筒側面断面である。
【図3】 従来の渦巻型電極体の巻芯空隙部の割りピン
跡の成形方法を説明する図である。
【符号の説明】
1…負極、2…正極、3…セパレータ、4…絶縁板、5
…電池缶、6…封口ガスケット、7…電池蓋、8…安全
弁装置、10…負極集電体、11…正極集電体、12…
負極リード、13…正極リード、14…センターピン、
16…割りピン

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 帯状の正極と負極と該正極と負極との間
    にセパレータを介して巻き取った形状の渦巻型電極体を
    有する非水電解質二次電池において、 中空筒の長手方向にスリット状の割りが入ったセンター
    ピンと、該センターピン内に一端が支持され、該センタ
    ーピンのスリット状の割りを通してセンターピン表面に
    巻き付けられた帯状のセパレータと、該セパレータを挟
    んでセンターピン表面に巻き付けられた帯状の正極と負
    極とからなる渦巻型電極体を備えたことを特徴とする非
    水電解質二次電池。
  2. 【請求項2】 中空筒状のセンターピンの材質は金属と
    することを特徴とする請求項1記載の非水電解質二次電
    池。
  3. 【請求項3】 中空筒状センターピンの長手方向の長さ
    は、帯状のセパレータの幅方向の長さより短いことを特
    徴とする請求項1または2記載の非水電解質二次電池。
  4. 【請求項4】 帯状の正極と負極をセパレータを介して
    巻き取って得られる渦巻型電極体を有する非水電解質二
    次電池において、 セパレータ端部を円柱形の長手方向に設けられた径方向
    の貫通孔を設けられた割りピンの前記貫通孔に挿入し、
    該割りピンで巻き取り、次いで、中空筒の長手方向にス
    リット状の割りが入ったセンターピン内に前記セパレー
    タを巻き付けた割りピンに挿入して、次いでセンターピ
    ン表面に帯状の正極と負極をセパレータを介して巻き取
    り、渦巻型電極体を作製することを特徴とする非水電解
    質二次電池の製造方法。
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