JPH0733446U - ＺｒＯ２−Ｃ質耐火物で補強した連続鋳造用浸漬ノズル - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本考案は溶損事故又はスポーリングによる先
端落ちを有効に防止することができる連鋳用浸漬ノズル
を提供するものである。 【構成】 本考案は、連続鋳造用浸漬ノズルのモールド
パウダーライン近傍部から該ノズル下端までの外周部を
ＺｒＯ₂ −Ｃ質耐火物で囲繞してなる浸漬ノズルにおい
て、溶鋼吐出孔近傍部外周に配設したＺｒＯ₂ −Ｃ質耐
火物の肉厚を、前記モールドパウダー部のＺｒＯ₂ −Ｃ
質耐火物肉厚よりも薄い、好ましくは１／２以下の肉厚
構造としたことを特徴とする、連続鋳造用浸漬ノズルで
ある。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、ＺｒＯ₂ −Ｃ質耐火物で外周を補強した連続鋳造用浸漬ノズルの改 良に関する。

【０００２】

【従来の技術】

連続鋳造用浸漬ノズルの寿命は、スラグラインの溶損、溶鋼流通孔の閉塞及び 溶鋼流通孔の溶損等が主たる要因として決定されるものであり、従来から浸漬ノ ズルを構成する耐火物組成並びに構造上から種々の提案がなされている。

【０００３】 ノズル本体部材質としてはＡｌ₂ Ｏ₃ −ＳｉＯ₂ −Ｃ系あるいはＳｉＯ₂ 含有 量の極めて少ないＡｌ₂ Ｏ₃ −Ｃ系が一般的であり、高耐食性が要求されるスラ グライン部の材質としては、例えば、組成的には、ジルコニア、ジルコン、黒鉛 、炭化珪素及び金属シリコン及び／又はフェロシリンを特定組成範囲で含有する 鋳造用ノズル（特開昭５７−４２５７６号公報参照）。またジルコニア、窒化珪 素、黒鉛及び炭化珪素及び／又は金属珪素を特定組成範囲で含有する連鋳用浸漬 ノズル（特開昭５９−９７５７３号公報参照）、更に、窒化珪素及びジルコニア 及び／又はアルミナを主成分とする溶融金属鋳造用ノズル（特開昭６１−６８３ ７４号公報参照）等が本出願人によって提案されている。

【０００４】 また、組成並びに構造的には、浸漬ノズルのモールドパウダーと接する外周部 と溶鋼流通孔内面側とをＺｒＯ₂ −Ｃ質耐火物の夫々異なる組成で構成すること も提案されている（特開昭６１−８６０５２号公報参照）。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

一般的にＡｌ₂ Ｏ₃ −ＳｉＯ₂ −Ｃ質耐火物が連続鋳造用浸漬ノズルに適用さ れているが、モールドパウダーによる損傷を受ける部位には、補強材としてＺｒ Ｏ₂ −Ｃ質耐火物を配設して構成することが現状であるが、図２図示の如き構成 では、高速鋳造条件下で溶鋼吐出孔からの高速流によって該吐出孔周辺上部の溶 湯部分が負圧となっているため、モールドパウダーが下方に巻き込まれ、このパ ウダー巻き込みが原因となり、ＺｒＯ₂ −Ｃ下端部からＡｌ₂ Ｏ₃ −ＳｉＯ₂ − Ｃ質耐火物の吐出孔上端部にかけてノズルが局部的な損傷をうけ、該ノズルが溶 断又は溶損されることになる。また、該吐出孔上縁部が溶損し形状が変化するこ とによって、鋳型への溶鋼流の所期の方向性にも影響を生じ、鋳型内における溶 鋼の凝固が偏在し、鋳塊組織に悪影響を生ずることになる。

【０００６】 前述の如き欠陥の対策として、ＺｒＯ₂ −Ｃ質耐火物層を溶鋼吐出孔下方まで 延長した構造のもの（図３図示）も使用されているが、溶鋼吐出孔周辺は構造的 に熱応力の集中する部位であるため、膨張率の高く耐スポール性に劣るＺｒＯ₂ −Ｃ質耐火物を図示のように配設することにより、亀裂が発生し易く、ノズルの 先端落ちを発生し易い結果となっている。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

本考案者等は前述の如き現状に鑑み、種々検討かつ実験の結果、本考案の如き 機構とした連鋳用浸漬ノズルを開発したものであり、本考案の技術的構成は、連 続鋳造用浸漬ノズルのモールドパウダーライン近傍部から該ノズル下端までの外 周部をＺｒＯ₂ −Ｃ質耐火物で囲繞してなる浸漬ノズルにおいて、溶鋼吐出孔近 傍部外周に配設したＺｒＯ₂ −Ｃ質耐火物の肉厚を、前記モールドパウダー部の ＺｒＯ₂ −Ｃ質耐火物肉厚よりも薄い、好ましくは１／２以下の肉厚構造とした ことを特徴とする連続鋳造用浸漬ノズルにあり、このような特別の技術的構成と することにより、溶損事故又はスポーリングによる先端落ちを有効に防止するこ とができる。

【０００８】 本考案の一例を示す図１により詳述する。

【０００９】 図１は本考案を適用した連鋳用浸漬ノズルの縦断面図であり、１は浸漬ノズル 本体であり、２は該ノズルの溶鋼流通孔、３は溶鋼吐出孔である。ノズル本体１ は公知の如くＡｌ₂ Ｏ₃ −ＳｉＯ₂ −Ｃ質耐火物からなっており、４はモールド パウダーライン（Ｐ．Ｌ．）近傍部から該ノズル下端までの外周部を囲繞して配 設したＺｒＯ₂ −Ｃ質耐火物層である。

【００１０】 このＺｒＯ₂ −Ｃ質耐火物層４は図示の如く、モールドパウダーライン（Ｐ． Ｌ．）上下の近傍部の厚さｔ₁ を肉厚とし、溶鋼吐出孔近傍部の厚さｔ₂ を薄肉 とし、ｔ₁ ＞ｔ₂ とする。ｔ₁ とｔ₂ の関係はｔ₂ ≦１／２ｔ₁ とするのが実験 の結果好適であることを認めた。

【００１１】 上述の如く、ＺｒＯ₂ −Ｃ質耐火物層の肉厚をＰ．Ｌ．部と吐出孔３それぞれ の近傍部において差を設けた理由は、モールドパウダーが集中的に接触する部位 には厚肉ｔ₁ のＺｒＯ₂ −Ｃ質耐火物を配設し、一方それ以下の熱的スポーリン グを発生し易い構造の吐出孔３近傍部については薄肉ｔ₂ のＺｒＯ₂ −Ｃ質耐火 物層としても、モールドパウダーの侵食性が小さいため耐用性が充分可能である 。

【００１２】 図１〜図３図示のそれぞれの浸漬ノズルを下記条件で比較使用した： 取鍋容量： ２５０Ｔ ターンディッシ容量：５０Ｔ＊２ストランド モールド引抜速度： Ｖｃ＝３．０ｍ／分 各１０本のノズル使用 １）本考案浸漬ノズル： ａ．ｔ₁ ＝２０ｍｍ，ｔ₂ ＝８ｍｍの場合； １０本ともに溶損及び鋳造スタート時のスポーリングによる割れもなく全 く問題なし。

【００１３】 ｂ．ｔ₁ ＝２００ｍｍ，ｔ₂ ＝１５ｍｍの場合； １／２０本がスポーリングによる先端落ちが発生した。

【００１４】 ２）図２図示の浸漬ノズル（従来品）： パウダーライン部の耐用性は問題ないが、吐出孔下端部の溶断が１０本中 ２本に発生し、吐出口上縁部に溶損が発生したものも若干あり。

【００１５】 ３）図３図示の浸漬ノズル（従来品）： 吐出孔部の溶損は問題ないが、鋳造初期の熱的スポーリングによる先端落 ちが１０本中３本発生した。

【００１６】

【考案の効果】

本考案浸漬ノズルは使用に当り、モールドパウダーライン近傍部のＺｒＯ₂ − Ｃ質耐火物を肉厚としたので、耐侵食性が大であり、一方吐出孔近傍部のＺｒＯ₂ −Ｃ質耐火物を１／２以下の薄肉としたので耐スポール性が向上し、ノズル寿 命を大いに延命することができた。

【提出日】平成６年１月１２日

【手続補正１】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】０００３

【補正方法】変更

【補正内容】

【０００３】 ノズル本体部材質としては一般的にはＡｌ₂ Ｏ₃ −ＳｉＯ₂ −Ｃ系が、高耐食 性が要求される場合はＳｉＯ₂ を含まないＡｌ₂ Ｏ₃ −Ｃ系が使用されている。 高耐食性が要求されるスラグライン部の材質としては、例えば、組成的には、ジ ルコニア、ジルコン、黒鉛、炭化珪素及び金属シリコン及び／又はフェロシリコ ンを特定組成範囲で含有する鋳造用ノズル（特開昭５７−４２５７６号公報参照 ）、またジルコニア、窒化珪素、黒鉛及び炭化珪素及び／又は金属珪素を特定組 成範囲で含有する連鋳用浸漬ノズル（特開昭５９−９７５７３号公報参照）、更 に、窒化珪素及びジルコニア及び／又はアルミナを主成分とする溶融金属鋳造用 ノズル（特開昭６１−６８３７４号公報参照）等が本出願人によって提案されて いる。

【手続補正２】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】０００６

【補正方法】変更

【補正内容】

【０００６】 前述の如き欠陥の対策として、ＺｒＯ₂ −Ｃ質耐火物層を溶鋼吐出孔下方まで 延長した構造のもの（図３図示）も使用されているが、溶鋼吐出孔周辺は構造的 に熱応力の集中する部位であるため、膨張率が高く耐スポール性に劣るＺｒＯ₂ −Ｃ質耐火物を図示のように配設することにより、亀裂が発生し易く、ノズルの 先端落ちを発生し易い結果となっている。

【手続補正３】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】００１３

【補正方法】変更

【補正内容】

【００１３】 ｂ．ｔ₁ ＝２０ｍｍ，ｔ₂ ＝１５ｍｍの場合； １／２０本がスポーリングによる先端落ちが発生した。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案を適用した連鋳用浸漬ノズルの縦断面
図、

【図２】従来品の一例を示す縦断面図、

【図３】従来品の他の例を示す縦断面図、

【符号の説明】

１ 浸漬ノズル本体 ２ 溶鋼流通孔 ３ 溶鋼吐出口 ４ ＺｒＯ₂ −Ｃ質耐火物層 Ｐ．Ｌ． パウダーライン ｔ₁ ，ｔ₂ ＺｒＯ₂ −Ｃ質耐火物層の肉厚

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 連続鋳造用浸漬ノズルの、モールドパウ
   ダーライン近傍部から該ノズル下端までの外周部をＺｒ
   Ｏ₂ −Ｃ質耐火物で囲繞してなる浸漬ノズルにおいて、
   溶鋼吐出孔近傍部外周に配設したＺｒＯ₂ −Ｃ質耐火物
   の肉厚を、前記モールドパウダー部のＺｒＯ₂ −Ｃ質耐
   火物肉厚よりも薄い構造としたことを特徴とする、連続
   鋳造用浸漬ノズル。
2. 【請求項２】 前記溶鋼吐出孔近傍部外周に配設したＺ
   ｒＯ₂ −Ｃ質耐火物の肉厚が前記モールドパウダーライ
   ン近傍部外周のＺｒＯ₂ −Ｃ質耐火物の肉厚の１／２以
   下である請求項１記載の連続鋳造用浸漬ノズル。