JPH0733397B2 - 精製されたインターフェロンを含む組成物 - Google Patents

精製されたインターフェロンを含む組成物

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JPH0733397B2
JPH0733397B2 JP61502079A JP50207986A JPH0733397B2 JP H0733397 B2 JPH0733397 B2 JP H0733397B2 JP 61502079 A JP61502079 A JP 61502079A JP 50207986 A JP50207986 A JP 50207986A JP H0733397 B2 JPH0733397 B2 JP H0733397B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、一般に、組換技術によって生成されるインタ
ーフェロンであって、特に、精製したヒト免疫インター
フェロン、すなわち、ヒト免疫インターフェロン4Aを含
む組成物に関する。
〔従来の技術および発明が解決しようとする問題点〕
インターフェロンは、天然には、繊維芽細胞、上皮細
胞、そして、大食細胞およびリンパ球と称するタイプの
白血球によって産生されることが知られている、抗ウィ
ルス性および免疫反応抑制タンパク質の一群を形成す
る。確認されている3種類のインターフェロンは、αイ
ンターフェロン(白血球)、βインターフェロン(繊維
上皮)、およびγインターフェロン(免疫)と称されて
いる。
現在、これら3種類のインターフェロンは全て、ヒトの
疾病の治療に用いるために研究が行われている。その結
果、発熱やアレルギー反応といった副作用をもたらす可
能性がある不純物を除去するために、インターフェロン
を高度に精製することが重要であることが明らかになっ
ている。インターフェロンの全タイプが、共通の構造お
よび化学的性質を備えているとされているにも関わら
ず、全てのインターフェロンを精製するのに有効な方法
は、未だ見出されていない。
インターフェロンを精製する技術としては、アフィニテ
ィークロマトグラフィー(調整済多孔性ガラス、亜鉛キ
レート、コンカナバリンA、抗インターフェロン抗
体)、アクリルニトリル高重合体(Nobuhara et al.,の
米国特許第4,465,622号)、および、アフィニティーク
ロマトグラフィーとゲル濾過クロマトグラフィーの併用
「Yip et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,78:1601−1605
(1981)」がある。これらの技術は、タンパク質1mg当
たり約107単位の比活性を有すると推定されるリンパ球
によって産生され、ヒト免疫インターフェロンを取得す
るために用いられている(前出のYipの文献)。しかし
ながら、リンパ球を培養することは難しく、またリンパ
球の培養株から経済的に産生されるインターフェロンの
量は、組換技術を用いて産生される量よりもはるかに少
ない。
ヒト免疫インターフェロン(IFN−γ)をコードする合
成遺伝子ならびにcDNA遺伝子を、プラスミドベクターに
挿入し、次に、原核宿主および真核宿主に導入して、組
換ヒト免疫インターフェロン(rIFN−γ)の「成熟」体
および類似体を産生するのに用いられている。「成熟」
体のrIFN−γは、146個の残基のアミノ酸配列を有し、
この配列のアミノ末端は、ヒト免疫インターフェロンの
コードを決定する遺伝子配列に基づくと、Cys−Tyr−Cy
sで始まっている。Goeddel et al.,欧州特許出願第0776
70号。Alton et alの国際公開公報第WO83/04053号に
は、成熟体のrIFN−γの種々の類似体が記載されてい
る。これらの類似体には、アミノ末端Cys−Tyr−Cys残
基の無い類似体、〔des−Cys1−Tyr2−Cys3〕IFN−γ類
似体がある。De Maeyer et al編の“The Biology of th
e Interferon System 1983",Elsevier Science Publish
ers(1983)に収録されている、〔des−Cys1−Tyr2−Cy
s3−Lys81〕IFN−γを、Met-1の形で表した『IFN−γ
4』について述べた、Alton et alの論文、第119〜128
頁をも参照されたい。大腸菌にて、通常直接的に発現さ
れるrIFN−γは、N末端メチオニン残基を有すること
と、グリコシル基を持たない点において、リンパ球によ
って産生される天然IFN−γと異なっている。従って、
成熟体rIFN−γは、直接に〔Met-1〕IFN−γとして表記
し、組換によって産生される類似体〔des−Cys1−Tyr2
−Cys3〕〕IFN−γ(以後、『組換ヒト免疫インターフ
ェロン4A』または『IFN−γ4A』と称する)は、〔Me
t-1,des−Cys1−Tyr2−Cys3〕IFN−γと表記する。
IFN−γの天然の形態は、40,000から60,000の分子量の
オリゴマーであると報告されており、これまでに報告さ
れている20,000および25,000の分子量を持つ2つの単量
体の二重体であると考えられる。単量体の炭水化物成分
を、グリコシダーゼ処理によって除去すると、各々16,0
00と18,500の分子量の単量体が生じる(Le et al.,J.Im
munol.,132:1300−1304(1984))。rIFN−γの単量体
の分子量は、17,140と計算されている。IFN−γの天然
形態と組換形態の分子量の相違は、少なくとも部分的に
は、天然のIFN−γが、C末端アミノ酸残基を除去する
処置を受けており、一方、rIFN−γは、これらの追加的
な残基を含んでいるという事実によって説明することが
可能であろう。
IFN−γを分離するための処理を行う際には、IFN−γが
酸処理に対して潜在的に不安定性であることを考慮せね
ばならない。例えば、前出のYip et al.,の文献では、
天然のIFN−γを、pH2の溶液に対して透析し、その後、
中性リン酸塩緩衝液で処理した場合、抗ウィルス作用が
約1/10に低下することが観察されている。これは、IFN
−γが酸の中で変性して、元の天然構造に取り込まれな
いことを示唆している。
rIFN−γの精製をさらに難しくしている問題は、大腸菌
からのrIFN−γの抽出に関連する。天然のIFN−γは、
培養リンパ球周囲の培地から採取することができるが、
大腸菌rIFN−γは、細菌細胞を破壊して採取するので、
産生されたインターフェロンを劣化させる可能性がある
タンパク質分解酵素が、細胞から放出されることにな
る。
尿素および塩酸グアニジンといった変性剤は、抽出時に
インターフェロンの活性を不可逆的に損うことなく、酵
素の作用を抑制する(Kungの米国特許第4,476,049
号)。
しかしながら、一旦、変性すると(取り込まなくなる
と)、インターフェロンを元に取り込むための適切な条
件を、容易に決定できない。その結果、免疫グロブリン
あるいはメチオニン−プロキモシンといった、可溶性天
然タンパク質の復元法の一つとして、尿素あるいは塩酸
グアジニンのアルカリ溶液中における変性および希釈、
そして、タンパク質の変性に有効なpH値よりも、pHを低
下させることによる復元(例としてLowe et al.,英国特
許出願第GB2138004Aを参照されたい)という方法がある
が、このような方法を、インターフェロンにそのまま適
用することはできない。
それ故、インターフェロン、特にrIFN−γを活性の高い
状態でもたらす精製法が求められている。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明による物質を含む組成物は、中性pHの水性溶液中
において、約259nm、266nm、280nmおよび287nmに正常、
そして、約270nmおよび292nmに肩がある近紫外円二色性
スペクトルを有する、活性の高い組換ヒト免疫インター
フェロン分離体を本質的に含むものである。本発明の最
も好ましい組成物は、0.1モルの酢酸アンモニウム中に
て上述した特性を示す、IFN−γ4A組成物である。
本発明の分離方法によれば、クロマトグラフィーによる
インターフェロンの主要な分画が2つ得られるが、一方
は、上述したスペクトルを特徴とするものであり、他方
は、スペクトルの近紫外外部域に強い二色性が無いこと
を特徴とするものである。後者の分画は、前者と選択的
に組み合わせて(例えば、95:5、90:10、80:20、70:3
0、および60:40の重量比で)生物学的活性を有する組成
物を提供することも可能であり、あるいは、さらに処理
を施して前者のスペクトル特性を備えた物質を得ること
も可能である。
本発明に従い、組換ヒト免疫インターフェロン、特に、
IFN−γ4Aを、精製方法の最後の工程として、1Mの尿素
および0.1Mの酢酸アンモニウム中でセファデックス〕登
録商標〕G−75ゲル濾過技術を用いて精製する。アミノ
酸配列、およびそれから誘導された合成遺伝子の塩基配
列を、下記表1に示した。
この方法では、IFN−γ4Aが2つのピーク、すなわち、
会合状態を表すピークと、単量体状態を表すピークとし
て溶離することが分かった。会合状態では、尿素および
酢酸アンモニア中のタンパク溶液は、通常は、限外濾過
によって生成物の沈澱を生ずることも、約1mg/ml以上に
濃縮されることもなく、また、IFN−γ4Aの活性は、0.5
×107から2×107の程度であることが分かった。
本発明の方法を用いることで、IFN−γ4Aを、各々の状
態で分離し、推定上の単量体タンパクを、6×107から1
0×107単位/mgもの高い活性を示す5mg/ml以上の濃度に
濃縮することが可能となる。会合タンパク質の分離され
た画分、あるいは会合画分のみは、7M尿素処理とそれに
続くゲル濾過によって、実際上、完全に単量体の状態に
変換することが可能である。変換されたタンパク質は、
分離された単量体タンパク質と同等の可溶性および活性
を有するものと思われる。変換が必要な理由は、会合状
態の活性が、単量体状態の活性の1/4から1/8の大きさに
すぎないことによる。
会合状態から単量体状態(以後、各々、「ピークI」お
よび「ピークII」と称する)への変換の方法では、7M尿
素の存在下においてタンパク質を完全に取り込まず、続
いて、酢酸アンモニウム水溶液中で希釈し、その後に1M
の尿素中でG−75のカラムを用いてクロマトグラフィー
を行う。
〔実施例〕
以下の実施例は、本発明によるIFN−γ4AのピークIお
よびピークIIの調製、およびそれらの特性づけを例示す
るものである。実施例1は、大腸菌からのIFN−γ4Aの
分離、およびそれによって得られるピークIならびにピ
ークIIの物質を説明する。実施例2は、円二色性スペク
トルを用いたピークIならびにピークIIの特性について
述べている。実施例3は、IFN−γ4Aのゲル濾過分析に
ついて説明する。実施例4は、再取り込みした結果にお
ける、タンパク質濃度による影響を検討している。実施
例5は、使用する溶媒が、再取り込みに及ぼす影響につ
いて検討している。実施例6は、ピークIおよびピーク
IIの溶解度に対する種々の溶媒の影響を述べている。実
施例7は、ピークIおよびピークIIの沈降速度の定量を
開示する。実施例8は、ピークIおよびピークIIの比活
性の定量について説明する。実施例9は、ピークI物質
からピークII物質への変換を開示するものである。
実施例1 以下の方法は、rIFN−γの分離および精製に多大な利点
をもたらす、非常に理想的な方法である。
IFN−γ4Aを含んだペレット状の大腸菌細胞を、例え
ば、ポリトロン〔登録商標〕ミキサーのような適切なミ
キサーを用いて、室温で約5分間分散した。その結果、
得られた細胞の懸濁液を、ホモジナイザーに7,000psiで
4回通した。ホモジナイザーに適用する度に、約11℃に
冷却した。均質物を、4℃で、約45分間にわたって、42
00rpmで遠心分離を行い、ペレット1個を得た。
ペレットを、出発細胞ペースト(200mM Tris−HCl、7M
尿素、pH9.0)1kg当たり2.6の可溶化緩衝液中にて、
5℃で懸濁させ、ミキサーを用いて均質な懸濁が得られ
るまで、15分間にわたって氷浴内で分散した。懸濁液容
積の0.001倍量の10%ポリエチレンイミン(PEI)を加
え、この溶液を、5℃で、15分間、攪拌した。次に、懸
濁液を、5℃にて、40分間にわたり、毎分4200回転で遠
心分離した。
上清を静かに別の容器に移し、2N塩酸を用いて上清のpH
を、5℃で、8.1に調整した。この溶液を、伝導率が700
μS/cm以下になるまで8M尿素で希釈した。
緩衝液(40m Tris−HCl、6M尿素、pH8.1)で平衡化した
ワットマンSE−53樹脂を、出発細胞ペースト1kgに対し
て1の割合で加え、5℃で、約1時間にわたって、緩
やかに攪拌した。適切な大きさの漏斗に、予めSE−53緩
衝液で平衡化したSE−53樹脂500ml(出発ペースト1kg当
たり)を加えた。真空ポンプおよび吸引フィルターを用
いて、SE−53緩衝液200〜400mlを漏斗に注ぎ込み、湿っ
たケーキ(固形物)が残るまでスラリーを濾過すること
により、湿った樹脂ベッドを調製した。洗浄した樹脂
に、2〜3の5℃のSE−53緩衝液を加え、樹脂を攪拌
して均一なゲル状スラリーを得た。ゲル懸濁液をカラム
に注ぎ、流量を6〜12ml/分に調節した。画分を、0.2カ
ラム容量のインクリメントで回収した。
緩衝液A(40m Tris−HCl、6M尿素、pH8.1)内の0〜0.
4Mの塩化ナトリウムの直線勾配を用いて、IFN−γ4Aを
溶離した。
緩衝液(40m Tris−HCl、6M尿素、pH9)で平衡化したSE
−53樹脂を詰めたカラムを用意し、前工程で得た70%以
上のIFN−γ4Aを含んでいる画分をカラムに入れた。カ
ラムを600mlの緩衝液C(40m Tris−HCl、6M尿素、30mM
NaCl、pH9.0)で洗浄し、30mMから330mMの塩化ナトリ
ウムの直線勾配で溶離を行った。流量は、6〜12ml/分
に調節した。
85〜90%以上のIFN−γ4Aを含んでいる画分を集め、2N
塩酸を用いて、pH7.5に調整した。この溶液を、0.5M塩
化ナトリウムの濃度にして、シリカゲルカラムに入れ
た。カラムを、ゲル溶離緩衝液(9%エタノール、40mM
Tris−HCl、6M尿素、0.5M塩化ナトリウム、pH7.5)を
用いて、0〜9%エタノールの直線勾配で溶離した。エ
タノールを用いずに溶離した画分、および高分子量の不
純物を含まないエタノール溶離画分を集めた。
前工程にて集めた物質を、G−75緩衝液(0.1M酢酸アン
モニウム、1M尿素)で平衡化した分子量10,000遮断膜を
有するペリコン〔登録商標〕カセットを用いて、約2mg/
mlに濃縮した。次に、回収物を、セファデックス〔登録
商標〕G−75カラムに入れて、10〜16ml/分の流量で、
G−75緩衝液を用いて溶離した。各々が200mlの画分
を、45個得た。
上記の方法で得たIFN−γ4Aは、SDSポリアクリルアミド
ゲル電気泳動分析(クマシーブルおよびシルバー染色)
による純度が、95%以上であった。
上記の方法で得たIFN−γ4Aの約1mg/mlの溶液に、0.1M
酢酸アンモニウムから、タンパクを完全に取り込まない
濃度である7Mの最終濃度になるまで、固体尿素を加える
ことにより、IFN−γ4Aの適切な取り込みを試みた。
透析を行った結果、2つの異なる構造形態、すなわち、
ピークIおよびピークIIを得た。ピークIIは長時間にわ
たって安定しており、ピークIの形態に変換することは
なかった。一方、0.1M酢酸アンモニウム内で、ピークI
からピークIIへの極めて緩慢な変換が見られた。この変
換は、1M尿素の存在下、あるいはもっと低いイオン強度
において、加速される可能性がある。
実施例2 Jasco(東京、日本)から入手したJasco J−500Cスペク
トロポラリメター用いて、室温で円二色性スペクトルを
測定した。スペクトル幅を1nmに設定し、190〜260nmお
よび240〜340nmに対する光路長が、それぞれ0.1cm及び1
cmのキュベットを用いた。各試料に関する溶媒スペクト
ルを得、タンパク質スペクトルから差し引いた。平均残
基楕円率(θ)は、IFN−γ4Aの平均残基重量(117)か
ら算出した。
第1図に、0.1M酢酸アンモニウムにおけるピークIIの遠
紫外域円二色性スペクトルを、線10として示した。この
スペクトルは、209nmおよび220nmにおける2つの最小値
によって特徴づけられており、秩序のある構造の存在の
示している。0.1M酢酸アンモニウム中の1mg/mlのピーク
IIを、pH2の緩衝液に対して透析した。その円二色性ス
ペクトルを、第1図に曲線11として示した。このスペク
トルは、209nmにおいて最小値を、また216nm周辺で肩を
示しており、曲線10の値に比して、検討した波長域にお
いて楕円率が、かなり減少していることを示している。
円二色性スペクトルにおけるこれらの変化は、IFN−γ4
Aが、pH2の酸において、取り込まれなかったことを示唆
している。一方、曲線12によって示した7M尿素における
ピークIIのスペクトルは,秩序のある構造がほとんど無
いことを示している。従って、α−ヘリックスおよびβ
−シートのような秩序ある構造、特に、α−ヘリックス
が、元の状態に比べて、酸においてかなり失われてはい
るが、これらの構造が、酸の中で未だ存在していると結
論できるであろう。従って、酸の中にある取り込まれて
いないIFN−γ4Aは、7Mの尿素を用いた場合からすれ
ば、部分的であるといえる。
酸の中にある取り込まれなかった試料を、0.1M酢酸アン
モニウムに対して透析し、タンパク質の復元を行った。
生成物の遠紫外域二色性スペクトルを、第1図に曲線13
として示した。曲線13は、酸処理の前後で楕円率の大き
さおよびピーク位置に小さな差異があるものの、酸中で
部分的に取り込まれなかったIFN−γ4Aが、元のピークI
I物質に似た構造にて、再取り込みされることを示して
いる。
近紫外域円二色性スペクトルを、第2図に、各々20、2
1、22および23の曲線で示した。0.1M酢酸アンモニウム
中の元のピークIIは、曲線20のいくつかの正のピークな
らびに肩を特徴とする。このことは、芳香族残基がピー
クIIの堅固な三次構造の中に組み込まれ、この構造がこ
れら残基に非対称性の環境をもたらし、芳香族の円二色
性シグナルを生じることを示唆する。酸において生じる
IFN−γ4Aのスペクトルは、曲線21に示すように、元の
スペクトルと完全に異なり、近紫外域において認識しう
る円二色性シグナルを殆ど示さず、曲線22に示した7M尿
素において取り込まれなかったIFN−γ4Aのスペクトル
に類似している。従って、ピークIIを酸に対して透析す
ると、二次構造は部分的に取り込まれているように見え
るが、その堅固は三次構造は失われたものと思われる。
曲線23として示す酸処理後の0.1M酢酸アンモニウムにお
けるピークIIの近紫外域円二色性スペクトルは、元のピ
ークII構造(曲線20)と酸によって取り込まれなかった
構造(曲線21)の中間である。この結果は、同じ試料の
遠紫外円二色性スペクトルの結果が、元のスペクトルへ
のほぼ完全な復元を示しているのと対照的である。従っ
て、酸によって取り込まれなかったIFN−γ4Aは、ピー
クIIと似た二次構造にて再取り込みされる可能性はある
が、三次構造は部分的にしか回復されないものと思われ
る。あるいは、再取り込みによってピークIおよびピー
クIIの双方を形成して、観察される近紫外域円二色性ス
ペクトルは、2つの形態の平均である可能性もある。こ
の後者の仮説を指示する兆候が、第2図の曲線24に示さ
れている。この曲線は、ピークIが小さい負の円二色性
シグナルを生じることを示している。
実施例3 4℃で、pH7の1M尿素を含む0.1M酢酸アンモニウムを用
いて、セファデックス〔登録商標〕G−75カラム(1×
120cm)の分析用ゲル濾過を行った。
第3図に示すように、酸処理したピークIIの再取り込み
後の、2つのピーク(ピークIおよびピークII)の形成
を分析用ゲル濾過によって確認した。元のピークIIは、
単一のピークを有する曲線30のウシ血清アルブミン(分
子量68,000)とミオグロビン(分子量17,000)の間で溶
離した。ピークIIの試料を酸処理すると、曲線31の2つ
のピーク、すなわち、1つは空隙容量にあり、他方は、
元のピークIIと同じ溶離点にあるピークを示した。これ
らの条件下では、生成されたピークIIの割合は75%であ
り、これは再取り込みされた試料の近紫外域部において
観察された楕円率の中間値と定性的に合致する。上記の
結果は、ピークII形態のIFN−γ4Aを7M尿素中で取り込
まず、またこれより低い濃度の尿素によって再取り込み
した場合に観察した結果と似通っている。
ピークIの活性は、ピークIIの1/4から1/8であることを
一貫して観察した。従って、ピークIIからピークIを生
成すると、IFN−γ4Aの比活性が低下する。
実施例4 タンパク質濃度に対する再取り込みの影響を検討した。
0.1Mの酢酸アンモニウム中の0.5mg/mlから4mg/mlのピー
クII溶液を、上記の方法で処理し、近紫外域円二色性ス
ペクトルならびに二次微分スペクトル、およびゲル濾過
によって分析した。タンパク質濃度は、280nmで0.65ml/
(mg,cm)の吸光係数を用いて、3Mのグアニジン塩酸塩
中で分光光度定量した。
タンパク質濃度に対する影響の研究については、円二色
性スペクトルを第4図に示し、結果を以下の表2に示し
た。
4mg/mlの試料は、0.1Mの酢酸アンモニウムに対して透析
を行った後に多量の沈澱を生じたが、pH2における溶液
は透明であった。このことは、タンパク質を、酸から再
取り込みした時に、沈澱をもたらす凝集が置きたことを
示している。この試料を遠心分離し、上清のタンパク質
濃度を定量したところ、タンパク質が全て沈澱している
ことを示した。
0.5mg/ml、1mg/mlおよび2mg/mlの試料について、第4図
にそれぞれ40、41および42の曲線で示した。これらの円
二色性スペクトルは、第4図の曲線43に示す元のピーク
IIのスペクトルとは異なり、タンパク質濃度は依存して
いる。2mg/mlの試料は、典型的なピークIの調製物に観
察されたものに似たスペクトルを示した。タンパク質濃
度の変化に伴う楕円率の緩慢な変化を、280nmにおける
〔θ〕の変化として表2に示した。
これら試料の紫外吸収の二次微分スペクトルを、タンパ
ク質濃度を約0.5mg/mlに調節した後に測定した。その結
果を、第5図にそれぞれ、50、51、52および53の曲線で
示した。二次微分スペクトルは、タンパク質構造の変化
に対して感受性が強いことが指摘されている(Ishikawa
等,Biochim.Biophys.Acta,580:120−128(1979))。
曲線53に示す元のピークIIのスペクトルは、270nmから3
00nmの範囲において、292nmに正のピーク、282nmならび
に287.5nmにおける負のピークがあることが特徴であ
る。
2mg/mlの試料の酸処理後のスペクトルは、元のスペクト
ルとは大幅に異なり、290nmに正のピーク、285nmに負の
ピーク、そして275nm付近に負の肩があった。これらの
特徴は、ピークIに特有のものである。0.5mg/mlおよび
1mg/mlの酸処理した試料は、元のピークIIと2mg/mlの試
料との中間のパターンを示した。これらの円二色性およ
び紫外吸収の結果は、ピークIIの酸処理によってピーク
Iが形成されること、またピークIの形成の程度がタン
パク質濃度に影響されることを示唆している。
表2に、酸処理したピークIIの試料および元のピークII
の試料の分析ゲル濾過の結果をまとめた。元のピークII
の結果は、ピークIの溶離点における検出範囲内でタン
パク質が検出されなかったことを示している。酸処理し
た試料は、ピークIおよびピークIIの双方が存在するこ
とを示している。タンパク質濃度が高いほど、ピークI
の形成が促進された。ピークIの形成は、タンパク質ほ
会合によるため、4mg/mlにおいて生じた完全な沈澱は、
ピークIを形成する会合を顕著に促進し、沈澱するほど
の大きさにまで達したものと考えられる。これらの結果
は、タンパク質濃度が高い状態でピークIIが酸処理を受
けると、ピークIの形成が高まるという、円二色性およ
び紫外吸収が示した結果を確認するものである。1mg/ml
の結果(表1)は、先の実施例におけるピークIの形成
が25%であったのに対して、44%の形成を示しており、
これはピークIの形成が、再取り込み、あるいは取り込
みを行わない実際の方法に、ある程度依存していること
を示唆している。
実施例5 再取り込みに対する溶媒の影響 IFN−γ4Aを、5mMリン酸塩(pH7)および、0.01M酢酸ア
ンモニウムならびに0.1M酢酸アンモニウム中で、再取り
込みを行った。ゲル濾過分析および円二色性分析の結果
を、下記表3に示した。
5mMリン酸塩(pH7)における2mg/mlの試料を除いて、実
験した溶液はいずれも酸処理後に、沈澱を生じなかっ
た。2mg/mlの試料は、全タンパク質の27%が沈澱し、分
析ゲル濾過によって定量したところ、上清に残っている
タンパク質はピークIIであった。40mMのリン酸塩(pH
7)を再取り込みに用いた場合、0.5mg/mlの試料は、タ
ンパク質の約20%が沈澱し、可溶性画分はピークIIであ
った(データ示さず)。これらの結果は、5mMリン酸塩
の場合と同様であるが、リン酸塩濃度が高いほど、タン
パス質の沈澱を生ずる効果が高まるようである。
タンパク質濃度が5mg/mlの試料は、5mMリン酸塩および
0.01M酢酸アンモニウムの双方についてピークIIを100%
形成した。分析ゲル濾過および円二色性スペクトルによ
ると、0.1M酢酸アンモニウムでのピークIIの形成は100
%を下回った。この傾向は、2mg/mlのタンパク質濃度に
おいても観察されたが、5mMリン酸塩は上述したように
沈澱を生じた。これらの結果は、低いイオン強度(すな
わち、0.1M酢酸アンモニウムと比べて5mMリン酸塩およ
び0.01M酢酸アンモニウム)は、ピークIIの形成に有利
であることを明確に示している。
タンパク質濃度が2mg/mlの試料を、5mMリン酸塩と0.01M
酢酸アンモニウムでそれぞれ処理した結果の比較は、前
者の溶媒もまた、観察されたような沈澱の形でピークI
の形成を招くということを示唆している。これが正しけ
れば、2mg/mlにおけるIFN−γ4Aを用いた場合は、5mMリ
ン酸塩中でのピークIIの形成は73%であり、この値は0.
01M酢酸アンモニウムで観察した値よりほんの僅か小さ
いものである。これは5mMリン酸塩および0.01M酢酸アン
モニウムが、ピークIIを形成する能力が共に似通ってい
ることを示唆している。0.1M酢酸アンモニウム中の2mg/
mlの試料による結果(47%のピークIIの形成)では、同
じ条件下での先の実施例の結果(表2、28%のピークII
の形成)と僅かに異なり、この差異も、IFN−γ4Aの再
取り込みが、再取り込みと取り込みが起こらない実際の
条件によって、ある程度変化する可能性があることを示
唆している。
実施例6 ピークIおよびピークIIの可溶性に対する溶媒の影響 上記の結果は、酸処理後のIFN−γ4Aの再取り込みが溶
媒系に依存し、またリン酸塩緩衝液が沈澱を生じさせる
ことを示唆した。従って、20%のピークIIを含む0.1M酢
酸アンモニウム中のピークIの調製液を、種々の溶媒に
対して透析することにより、ピークIの沈澱の可能性を
調べた。表4に示した結果は、検査したリン酸塩緩衝液
の全てについて、80%近くのタンパクが沈澱したが、水
性酢酸アンモニウムでは沈澱が起きなかったことを示し
ている。リン酸塩緩衝液試料のゲル濾過分析および二次
微分スペクトルは、上清の中のタンパク質が、全タンパ
ク質のおよそ20%であり、ピークIIであることを示し
た。この割合は、出発物質中に存在する量に等しく、リ
ン酸塩緩衝液は試料中のピークIおよびピークIIの率に
影響することはないが、ピークIを完全に沈澱させるこ
とを示唆している。
さらに、表4に示す結果は、0.1M酢酸アンモニウムに対
して透析した場合に、IFN−γ4Aの80%はピークIの状
態に止まったことを示している。これは、0.1M酢酸アン
モニウム中での、ピークIからのピークIIの形成が非常
に緩やかに起こるが、大きくないという前記した観察結
果と合致する。表4の最後の欄は、これらの溶媒中で観
察したピークIIの割合を示している。0.01M酢酸アンモ
ニウムの場合を除いて、これらの割合は、約20%で一定
しており、従って、出発物質中にあったピークIIの量に
等しい。また、この結果は、これらの溶媒が、ピークI
対ピークIIの比率を変化させないという点で一致する
が、リン酸塩緩衝液がピークIの沈澱を生じる一方、0.
1M酢酸アンモニウムはそのような影響力を持たないとい
う点で異なることを示唆している。
0.01M酢酸アンモニウムを用いた結果は、その他の溶媒
を用いた場合とは異なるものであった。分析ゲル濾過に
よって定量したところ、透析の間に、試料中のピークII
の量が20%(出発物質)から55%に増した。この結果
は、低いイオン強度がピークIの解離を促進すること、
従って、ピークIIが形成されるという前記した観察結果
に一致するものである。
一方、0.5〜2mg/mlのピークIIを同じ方法で処理した
が、いかなる溶媒系に対しても沈澱は見られなかった
(結果明示せず)。ピークIIは、分析ゲル濾過ならびに
二次微分スペクトル分析(結果明示せず)により定量に
よれば、その大きさと構造は保持されていた。
ピークIの溶解度は、溶媒中に存在するイオン種の種類
によって此なるものと思われた。そこで、その他の溶媒
系、例えば、5mMのトリス−ホウ酸塩緩衝液(pH7.5)、
5mMの塩化カルシウムを含む0.1Mの酢酸アンモニウム、
塩酸で調製した5mMの炭酸塩(pH7.5)、および5mMの硫
酸ナトリウムを含む0.01Mの酢酸アンモニウム等を用い
て試験を行った。5mMの硫酸ナトリウム(pH7.0)を含む
0.01Mの酢酸アンモニウムを除いて、これら溶媒のいず
れも沈澱を生じなかった。
適用したpHにおいては、ホウ酸塩および炭酸塩は主に一
価イオンとして存在し、一般的に、一価陰イオンはピー
クIの沈澱を生じないことを示唆している。また、二価
陽イオンであるCa2+もこのような作用が無い。硫酸ナト
リウムを含む溶媒は、約85%の沈澱を引き起こしたが、
これは出発物質中に存在するピークIの量に等しい。
リン酸塩緩衝液を用いた場合にも同様な結果が得られ
る。この溶媒およびリン酸緩衝液は二価陰イオンを含
み、また、IFN−γ4Aの等電点は非常に高いので、この
結果は、二価陰イオンが、正に電荷したIFN−γ4Aの架
橋剤として作用し、さらに、すでに凝集しているピーク
I分子間のさらなる結合を促進することを示唆してい
る。5mMのリン酸塩、または5mMの硫酸ナトリウムを含む
0.01M酢酸アンモニウムのイオン強度は低いために、こ
れら物質は、ピークIIの生成を高めることが予測される
が、これは観察結果に反していた。二価陰イオンの架橋
結合の影響は、低イオン強度による解離の影響を圧倒す
ることが考えられる。
実施例7 シュリーレン光学系および温度制御装置を備えた限外遠
心機Spinco Model Eを用いて、沈降速度実験を実施し
た。水晶窓を備えたアルミニウム充填エポンダブルセク
ターセンターピースを用いた。実験は全て、25℃で実施
した。
沈降の早いピークは、おそらくピークIに対応するもの
であり、2〜5mg/mlの0.1M酢酸アンモニウム中での沈降
定数は、約20Sであった。沈降の遅いピークは、おそら
くピークIIであり、ゼロタンパク質濃度に外挿した場合
の沈降定数は約2.8Sであった。試料中の2つの沈降ピー
クの比は、タンパク質濃度とは関係がないように思わ
れ、2つの形態は急激に、可逆可能な自己会合を起こし
ていないことを示している。
実施例8 IFN−γ4A調製剤の抗ウィルス作用を、標準細胞変性効
果検定を用いて調べた。HeLa細胞を、前述の精製を行っ
たIFN−γ4A調製剤、あるいは標準品を用いて処理し、
その後に、エンセファロミオカルディチス(Encephalom
yocardis)ウィルスで試した。この標準品は、天然IFN
−γ調製剤であり、Interferon Sciences社から入手可
能であり、NIH標準(Gg−23−902−530)に対して較正
している。比較のために、ピークIとピークIIの物質
は、常に同じ時間に検定を行った。精製したIFN−γ4A
調製剤は、pH6.9、温度4℃、の0.1M酢酸アンモニウム
中に保存した。
同じ希釈度では、ピークIIはピークIよりも2〜3倍の
高い滴定濃度を示した。これは、タンパク質濃度を考慮
した場合、ピークIIの方が4〜8倍高い活性を有するこ
とを示している。ピークIとピークIIとの差異の大きさ
は、他の調製剤については、同様に認められた。
ピークIについて観察された抗ウィルス比活性の範囲
は、0.5×107〜2×107単位/mgであった。ピークIIにつ
いては、観察された抗ウィルス比活性の範囲は、6×10
7〜10×107単位/mgであった。
実施例9 ピークIの非取り込み性および再取り込み 上記の結果から、ピークI物質は、ピークIIが酸によっ
て取り込まれず、さらにpHを中性まで高めることによっ
て再取り込みされる時に形成されることが明らかになっ
た。ピークIIの方が活性が高いので、ピークIを出発物
質として用いた場合に、ピークIIの生成が促進されるか
どうかを調べるのが好ましい。
0.1M酢酸アンモニウム(0.3mg/ml)中のピークI調製剤
の紫外吸収スペクトルには、第6図の曲線60が示すよう
に、大きな光の散乱が見られることから、試料が相当に
凝集していることが実証されている。曲線60の二次微分
は、第7図の曲線70が示すように、ピークIとピークII
の混合物のスペクトルに似通ったスペクトルを示す。実
際のところ、ゲル濾過分析によって、このピークI調製
剤には、40%のピークIIが存在していることがわかっ
た。このピークIの試料を酸に対して透析し、その後、
0.01M酢酸アンモニウムに対して透析を行った。ピーク
IからのピークIIの生成は、0.1M酢酸アンモニウムより
も、0.01M酢酸アンモニウムにおいてずっと早く生じる
ので、0.01M酢酸アンモニウムに対して一晩透析を行っ
た後直ちに、円二色性実験およびゲル濾過実験を行っ
た。
酸処理後の0.01M酢酸アンモニウム中のピークIの紫外
吸収スペクトルには、第6図の曲線61に示すように、出
発物質に見られた種類の光の散乱が見られる。二次微分
スペクトルは、元のピークIスペクトルに実験誤差内で
一致するものであった。これらの結果は、ゲル濾過分析
によっても確認されているように、ピークI試料の酸処
理前後の三次構造および凝集状態には変化がないことを
示している。これは、酸処理がピークIおよびピークII
の比率には影響を及ぼさず、さらに酸処理後にこの緩衝
液に対する透析を行った際に0.01M酢酸アンモニウムに
よって、ピークIからピークIIが大量に生成されないこ
とを示している。
出発物質としてピークIまたはピークIIを用いるかどう
かにかかわらず、この処理によって、同様の取り込まれ
ていない状態に至るのであれば、前述の低タンパク質濃
度(0.3mg/ml)において、再取り込み用溶媒として0.01
M酢酸アンモニウムを用いて100%のピークIIを生成する
ことができるであろう。従って、pH2におけるピークI
およびピークIIの構造を、紫外吸収スペクトルおよび二
次微分スペクトルによって比較した。二次微分スペクト
ル(第7図)は、曲線71で示すピークIで、曲線72で示
すピークIIについて非常に似通っており、酸がピークI
とピークIIの三次構造を、同様に取り込まないことが分
かる。しかし、第6図の曲線62に示すピークIの紫外吸
収スペクトルと、第6図の曲線63に示すピークIIのそれ
とは非常に異なっている。ピークIIは、酸の中において
光の散乱が見られないが、ピークIはまだ大きな光の散
乱を呈している。これは、酸がピークIをピークIIと同
じ程度に取り込まないが、ピークIを解離できないこと
も示唆している。このように、出発試料中に存在するピ
ークI形態は、酸の中でその凝集状態を維持し、酸が取
り除かれると同じ構造を再形成し、さらに出発試料(約
0.12mg/ml)中のピークII形態は、酸の中で取り込まれ
ず、ピークIIに再取り込みされる。このように、酸処理
によっては、ピークIに対するピークIIの比率の変化は
起きないのである。
クロマトグラフィー精製を行ったピークIまたはピーク
II、あるいはその混合物は、0.1M酢酸アンモニウム、7M
尿素中で取り込まれず、その後の種々の条件のもとで改
めて取り込まれた。7M尿素は、タンパク質がピークIま
たはピークII形態のいずれであっても、取り込みを行わ
ないので、その結果はいずれの試料を使用するかには関
係がない。従って、出発物質としてピークIを用いた場
合の結果だけを示す。その結果を、下記表5に示した。
0.1M酢酸アンモニウムおよび1M尿素中での、表5に示し
た濃度のピークIタンパク質に、固形尿素を加えて尿素
を7Mとし、これを2時間放置し、それから透析または希
釈を行って尿素の濃度を低下させた。実験1および2を
比較した場合、タンパク質濃度の低い方がピークIIが生
成しやすいことは明白である。この特性は、タンパク質
濃度も希釈によって低下した、実験3および4において
も明白である。しかし、実験4に見られるように、25%
を上回るピークIIを生成するには、希釈溶媒が0.1M酢酸
アンモニウムの場合には、タンパク質濃度を約0.015mg/
mlまで低下させる必要がある。一方、実験5(約0.18mg
/mlに相当するインターフェロンの希釈)および実験6
は、10mMの酢酸アンモニウムを使用する場合には、5〜
10倍の希釈において、ほとんど100%のピークIIが形成
されたことを示しており、これらの希釈係数は0.1M酢酸
アンモニウムの場合に用いた希釈係数よりもずっと小さ
い。従って、置換溶媒のイオン強度を低減すれば、ピー
クIIが生成しやすくなるという結論になる。
〔発明の効果〕
本発明の望ましい実施態様を示して本発明を説明してき
たが、本発明に関する先の実施例での開示を考慮すれ
ば、当業者が変更や修正を想到することは可能であろ
う。
例えば、天然IFN−γの酸に対する不安定の機構は、組
換IFN−γ4Aについて得られた結果から推測することが
可能であろう。天然タンパク質が、組換タンパク質と同
じ挙動を示すと想定した場合には、たとえ出発試料にピ
ークII形態だけが含まれていた場合でも、天然タンパク
質の酸処理後にはピークIとピークIIの双方の形態が生
じると思われる。高分子量の不純物が存在すると、例え
ば、タンパク質の凝集を促進する体積除外効果を招き、
ピークI状形態を形成が促進されるものと思われる。Mi
nton,Biopolymers,20:2083−2120(1981);Lee et al.,
Biochemistry,18:5518−5526(1979)。ピークIIは、標
準CPE検定においては、一貫してピークIよりも4倍か
ら8倍活性が高いことが観察された。よって、ピークI
の形成は抗ウィルス作用の低減を招くものと期待され
る。リン酸塩緩衝液を、再取り込み用溶媒として使用す
る場合には、活性の低下はさらに大きなものとなろう。
なぜなら、リン酸塩緩衝液が、ピークIを沈澱させるこ
とが示されており、さらにこのような沈澱がピークIの
生物学的活性の完全喪失をひき起こすからである。しか
し、天然IFN−γは、グリコシル化、等電点の差異、お
よびC−末端処理等の要因のために、組換タンパク質と
は異なる挙動をすることが無いとは言えない。
さらに、分子間の二硫化物結合が生じる可能性があるイ
ンターフェロンの形態(たとえば、『成熟』したrIFN−
γ)においては、ジチオスレイトール等の還元剤を、取
り込まないか、あるいは希釈段階で添加することによっ
て、このような結合を防ぐことができる。
先に述べたように、ピークI物質をピークII構造に『変
換』することは、本発明の意図するところである。ま
た、重量比が例えば、95:5、90:10、80:20、70:30ある
いは60:40のピークIIおよびピークIの画分の混合また
は共存によって、非常に有用な組成物を得ることも本発
明の意図するところである。
したがって、本発明は、特許請求の範囲の欄に記載の発
明と同等な態様をも包含することを意図するものであ
る。
図面の簡単な説明 第1図は、異なる条件下におけるIFN−γ4Aの遠紫外部
域円二色性スペクトルを示すグラフ; 第2図は、異なる条件下におけるIFN−γ4Aの近紫外部
域円二色性スペクトルを示すグラフ; 第3図は、異なる条件下におけるIFN−γ4Aのゲルろ過
分析のグラフ; 第4図は、異なる条件下におけるIFN−γ4Aの近紫外部
域円二色性スペクトルを示すグラフ; 第5図は、異なる条件下におけるIFN−γ4Aの二次微分
スペクトルを示すグラフ; 第6図は、異なる条件下におけるIFN−γ4Aの紫外吸収
スペクトルを示すグラフ;および 第7図は、異なる条件下におけるIFN−γ4Aの二次微分
スペクトルを示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 米国特許4476049(US,A) 国際公開83104053(WO,A) Proceedings Nation al Academy of Scien ce Vol.79 P.1820〜1824 (1982,USA) Nucleic Acid Resea rch,Vol.10,No.8,P.2487 〜2501(1982,London) Nature,Vol.295,P.503〜 508(1982,England)

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】組換えヒト免疫インターフェロンを含む組
    成物であって、中性pHの水性溶液中にて、259nm、266n
    m、280nm、および287nmにて明確なバンド、および270nm
    および292nmにて肩を示す近紫外円偏光二色性スペクト
    ルを有する、ことを特徴とする組換えヒト免疫インター
    フェロンを含む組成物。
  2. 【請求項2】前記組成物が、組換えヒト免疫インターフ
    ェロン4Aを含む特許請求の範囲第1項に記載の物質の組
    成物。
  3. 【請求項3】前記組成物が、30,000から40,000の範囲の
    分子量を有する特許請求の範囲第2項に記載の組成物。
  4. 【請求項4】前記ヒト免疫インターフェロン4Aが、2.8S
    の沈降定数を有する特許請求の範囲第3項に記載の組成
    物。
  5. 【請求項5】前記ヒト免疫インターフェロン4Aが、282n
    mおよび288nmにて負のピークを示す二次導関数スペクト
    ルを有する特許請求の範囲第4項に記載の組成物。
  6. 【請求項6】前記ヒト免疫インターフェロン4Aが、209n
    mおよび220nmにて最小値を示す遠紫外円偏光二色性スペ
    クトルを有する特許請求の範囲第5項に記載の組成物。
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