JPH07333084A - 制御対象の特性を表す関数の定数の同定・補償方法 - Google Patents

制御対象の特性を表す関数の定数の同定・補償方法

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JPH07333084A
JPH07333084A JP14562694A JP14562694A JPH07333084A JP H07333084 A JPH07333084 A JP H07333084A JP 14562694 A JP14562694 A JP 14562694A JP 14562694 A JP14562694 A JP 14562694A JP H07333084 A JPH07333084 A JP H07333084A
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俊明 山根
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 クーロン摩擦が存在する制御対象のクーロン
摩擦同定,その補償,そのイナーシャ同定,クーロン摩
擦と粘性摩擦が存在する制御対象のクーロン摩擦と粘性
摩擦の同定,それらの補償,それらのイナーシャ同定の
各方法と装置を求める。 【構成】 前記制御対象にPI制御系を構築し、速度指
令に対する指令トルクを測定すると同時に、前記PI制
御系積分時定数と同じ時定数を持つ一次遅れフィタにそ
の指令トルクを入出し、その出力の等価IP制御系指令
トルクを測定し、それら測定値の差異からクーロン摩擦
の同定・補償を基本とし、イナーシャ同定から粘性摩擦
を合わせ持つとき等にも適用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はクーロン摩擦が存在する
制御対象のクーロン摩擦同定方法、またそのクーロン摩
擦補償方法、さらにクーロン摩擦とイナーシャが存在す
る制御対象のイナーシャ同定方法、さらにまたクーロン
摩擦および粘性摩擦が存在する制御対象のクーロン摩擦
または粘性摩擦の同定方法、そのクーロン摩擦または粘
性摩擦の補償方法、さらにクーロン摩擦および粘性摩擦
とイナーシャが存在する制御対象のイナーシャ同定方法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般的には、制御装置を用いて制御対象
を制御する場合に、その制御対象の特性を知ることが必
要となる。先ず、従来技術として、同一の制御対象に相
異なる複数種類の制御系を構築し時間応答を測定する
と、その時間応答の差異は制御対象の特性を敏感に反映
するので、このことを利用して制御系の特性であるイナ
ーシャおよび粘性摩擦係数を同定する方法が考案されて
いる[特願平04-355144 発明の名称「制御装置の制御定
数設定方法および装置」以下、これを単に『前記先出
願』という]。これは、同一入力信号に対するPI制御
系とIP制御系の時間応答の差異を基にイナーシャおよ
び粘性摩擦係数を同定する方法であり、過渡状態の観測
値を用いる方法と定常状態の観測値、すなわち定常値を
用いる方法の2種類が存在する。
【0003】 そして、この同一入力信号に対するPI
制御系とIP制御系の時間応答の定常状態における差異
を基にイナーシャを同定する方法においては、PI制御
系の構築および時間応答の測定と、IP制御系の構築お
よび時間応答の測定を逐次行なう方法[以下、『逐次測
定方式』という]と、構築する制御系はPI制御系のみ
とし、PI制御系時間応答の測定と、その時間応答を信
号処理することで得る等価IP制御系時間応答の測定
を、同時に行なう方法[以下、『同時測定方式』とい
う]の、2種類が存在する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、第1に
上記の同一入力信号に対するPI制御系とIP制御系の
時間応答の差異の定常値を利用する方法の逐次測定方式
は、制御系の特性を感度良く測定することが可能な方法
ではあるが、クーロン摩擦は同定が出来ないし、その結
果クーロン摩擦の補償もイナーシャ同定も出来ないとい
う問題点があった。
【0005】 さらにまた、上記の同時測定方式におい
ては、突発的な外乱の影響を受けない為に高い測定精度
が得られると共に、測定時間も短縮できるという長所が
あるが、クーロン摩擦と粘性摩擦の両者が同時に存在す
る制御対象の場合、測定結果に両方の摩擦の影響が反映
されている為に、制御対象の特性を調べる場合に一般的
に用いられているステップ信号の様に単純な速度指令信
号を用いると、個々の摩擦の同定が不可能となり、その
結果、個々の摩擦の補償もイナーシャの同定も不可能に
なるという問題点があった。
【0006】 ここにおいて本発明の目的は、上記問題
点を解決する為になされたものであり、第1にクーロン
摩擦の同定方法を提供し、第2にクーロン摩擦の補償方
法を提供し、第3にクーロン摩擦が存在する制御対象に
おいても、精度良くイナーシャの同定を可能とする方法
を提供することであり、第4にクーロン摩擦と粘性摩擦
の同定を独立に行う方法を提供し、第5にクーロン摩擦
と粘性摩擦の補償を行う方法を提供し、第6にクーロン
摩擦および粘性摩擦が存在する制御対象においても、精
度良くイナーシャの同定を可能とする方法を提供するこ
とである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の第1の問題点を解
決するために、クーロン摩擦が存在する制御対象にPI
制御系を構築し、入力信号に対する時間応答を測定する
と共に、その時間応答信号をPI制御系の積分時定数と
等しい時定数をもつ一次遅れ系に入力し、その出力とし
てIP制御系における時間応答と等価な時間応答を得
る。そして、PI制御系時間応答と、等価IP制御系時
間応答の差異の定常値を用いてクーロン摩擦を同定する
様にした。
【0008】 そして、その同定結果を用いてクーロン
摩擦を補償する様にした。さらに、このクーロン補償摩
擦方法によりクーロン摩擦を補償し、その影響を打ち消
した制御対象に対して、相異なる複数種類の制御系を構
築して、同一の入力信号に対する時間応答をそれぞれ測
定し、その測定結果の差異からイナーシャを同定する様
にした。
【0009】 上記の第2の問題点を達成するために、
クーロン摩擦と粘性摩擦の両者が同時に存在する制御対
象の場合に、PI制御系時間応答と等価IP制御系時間
応答を同時に測定し、その定常状態における差異を基に
制御系の特性を同定する方法において、[1]粘性摩擦
同定用速度指令信号として、「ラプラス変換してsの多
項式で表現した場合に、その分母多項式が、係数が0で
ないすべての項の次数が2次以上である信号」を用いる
ことで、その測定結果の差の定常値が収束する階数微分
または積分して得られる値を基にして、粘性摩擦係数の
みを同定する。[2]クーロン摩擦同定用速度指令信号
として、「ラプラス変換してsの多項式で表現した場合
に、その分母多項式が、sの0次の項が存在する信
号」、または「時間tに関してf(t) =a・u (t) −
a・u(t−t02)という矩形波状信号」を用いることで、
その測定結果の差の定常値を積分して得られる値を基に
して、クーロン摩擦のみを同定する様にした。
【0010】 そして、その同定結果を用いてクーロン
摩擦または粘性摩擦を補償する様にした。さらにこの、
クーロン摩擦または粘性摩擦の補償方法により、クーロ
ン摩擦および粘性摩擦の両方を補償し、それらの影響を
打ち消した同一の制御対象に対して、相異なる複数種類
の制御系を構築して、同一の入力信号に対する時間応答
をそれぞれ測定し、その測定結果の差異からイナーシャ
を同定する様にした。
【0011】
【作用】上記の第1の手段では、クーロン摩擦が存在す
る制御対象にPI制御系を構築し、入力信号に対する時
間応答を測定すると共に、その時間応答信号をPI制御
系の積分時定数と等しい時定数をもつ1次遅れフィルタ
に入力し、その出力としてIP制御系における時間応答
と等価な時間応答の差異を利用して、制御対象のクーロ
ン摩擦を精度良く同定する。そして、その同定結果を用
いることで精度の良いクーロン摩擦補償が可能になる。
【0012】 さらに、クーロン摩擦を補償し、その影
響を打ち消した同一の制御対象に対して、相異なる複数
種類の制御系を構築して、同一の入力信号に対する時間
応答をそれぞれ測定し、その測定結果の差異からイナー
シャを同定する。上記の第2の手段では、クーロン摩擦
と粘性摩擦の両者が同時に存在する制御対象にPI制御
系を構築し、入力信号に対する時間応答を測定すると共
に、その時間応答信号をPI制御系の積分時定数と等し
い時定数をもつ1次遅れフィルタに入力し、その出力と
してIP制御系における時間応答と等価な時間応答を得
る方法を用いて、入力信号として、第2の手段での上記
[1],[2]で記述される速度指令を用いることで、
粘性摩擦とクーロン摩擦を互いに独立に同定することが
可能になる。
【0013】 そして、これらクーロン摩擦または粘性
摩擦の同定結果を用いることで精度の良いクーロン摩擦
または粘性摩擦の補償が可能になる。さらに、このクー
ロン摩擦または粘性摩擦の補償方法により,クーロン摩
擦および粘性摩擦の両方を補償し、それらの影響を打ち
消した同一の制御対象に対して、相異なる複数種類の制
御系を構築して、同一の入力信号に対する時間応答をそ
れぞれ測定し、その結果の差異を利用して制御対象のイ
ナーシャを精度良く同定する。
【0014】
【実施例】
[第1の実施例]図1に本発明の第1の実施例を示す。
本実施例は、サーボモータと負荷からなり、クーロン摩
擦が存在する制御対象と、速度制御を行なう制御装置か
ら構成される。PI制御系を構築し、その指令トルクを
1次遅れフィルタに入力し、その出力としてIP制御系
の指令トルクと等価な信号を得ている。図1の中で、制
御対象のJはサーボモータのロータイナーシャと負荷の
イナーシャの総和であり、その大きさが速度によらず一
定値Fc で、運動をさまたげる向きの抵抗となるクーロ
ン摩擦が存在している。制御装置のKv は比例ゲイン、
Ti は積分と1次遅れフィルタの時定数である。PI制
御系と等価IP制御系の指令トルクの時間応答の差異か
らFc を同定する方法について説明する。
【0015】 図1において,速度指令をVref 、クー
ロン摩擦をFとし、Vref とFから指令トルクへの伝達
関数[ただし、s はラプラス演算子とする]を考える。
PI制御系の指令トルクをTPI(s) とすると次式の数1
で示され、
【数1】 これを1次遅れフィルタに通して得た等価IP制御系指
令トルクは次式の数2で示される。
【数2】 その結果PI制御系指令トルクと等価IP制御系指令ト
ルクの応答の差は次の数3のように、
【数3】 となる。
【0016】 正方向のみの速度指令を与えた場合、ク
ーロン摩擦Fの値は一定値:−Fc であり、ステップ的
に加わると仮定できるので、 F(s) =−Fc /s となる。これを数3の式に代入すると以下の数4の式で
表される。
【数4】 ある速度指令信号Vref に対して、PI制御系指令トル
クと等価IP制御系指令トルクの応答の差を1階積分し
た値の定常値Sは、最終値定理により、t→∞(即ち定
常状態)において数5に示す
【数5】 の値になる。Vref として、数5の式の第1項の値を0
に収束させる様な信号,すなわち数6で表す
【数6】 となる様な信号を用いることで、定常値S=Fc ・Ti
と得られる。Ti の値が既知である為、定常値SをTi
で割ることでFc の値が計算出来る。実際上はt→∞に
なるまで待つ必要はなく、時間tが制御系の固有周期の
3〜5倍以上程度において定常状態となり、数5の式の
値に充分収束する。
【0017】 測定手順を以下に示す。 (1)図2(a) に示す様に制御系をPIとし、速度指令
信号Vref に対して、そのPI制御系指令トルクと、こ
のPI制御系指令トルクを制御系の積分時定数Ti と等
しい時定数を持つ1次遅れフィルタに入力して、その出
力として得た等価IP制御系指令トルクの差をとり、そ
の差を1階積分する系を構築する。 (2)比例ゲインKv と積分時定数Ti を適当な値に設
定して、速度指令信号を入力し、充分定常状態になって
いると考えられる(すなわち固有周期の3〜5倍以上経
過した)時点tm における、「指令トルク差1階積分
値」は数5の式の定常値Sに収束しているので、この値
を用いてクーロン摩擦Fの大きさFc を計算する。
【0018】 PI制御系と等価IP制御系の応答を同
時に測定し、Fcの値を計算する為に構築する系は、図
2(b) に示す様に制御系をPIとし、そのPI制御系指
令トルクを1階積分すると共に、PI制御系指令トルク
1階積分値を制御系の積分時定数Ti と等しい時定数を
持つ一次遅れフィルタに入力して、その出力として得た
等価IP制御系指令トルク1階積分値との差をとる構造
としても良い。PI制御系と等価IP制御系の応答を同
時に測定し、Fc の値を計算する為に構築する系は、図
2(c) に示す様に制御系をPIとし、そのPI制御系指
令トルクと、PI制御系指令トルクを制御系の積分時定
数Ti と等しい時定数を持つ1次遅れフィルタに入力し
て、その出力として得た等価IP制御系指令トルクを、
それぞれ1階積分してその差をとる構造としても良い。
【0019】 以下に速度指令として4種類の信号を用
いた場合について、定常値Sを用いてクーロン摩擦の大
きさFc を同定する計算方法を例示する。 [1:ステップ信号]速度指令信号としてVref (t) =
a・u(t) において、t<0のときu(t) =0、t≧
0のときu(t) =1、aは信号の大きさを表す係数とい
うステップ信号を与えると、PI制御系指令トルクと等
価IP制御系指令トルクの差の1階積分値の定常値Sは
数7に示す
【数7】 という値に収束する。この場合の各部の信号波形の時間
応答を図3に示す。Ti の値が既知であるから、クーロ
ン摩擦Fの大きさ又は値Fc の同定値としてFc ’=S
/Ti が計算される。
【0020】[2:台形状信号]速度指令信号として
[t01は信号値増大停止時点] t<0 のときはVref (t) =0 t≦0≦t01 のときはVref (t) =a・t t01<t のときはVref (t) =a・t01 という台形状の信号[時点零で値零の信号が時間の経過
に連れて、その値が傾斜した直線状に上昇し、この範囲
では値a・tであり、時点t01に至り値a・t01の飽和
値に到達し、以後は時間の経過に関わらず飽和した一定
値a・t01が続く]を与えると、PI制御系指令トルク
と等価IP制御系指令トルクの差の1階積分値の定常値
Sは数8に表す
【数8】 という値に収束する。Ti の値が既知であるから、クー
ロン摩擦Fの大きさFc の同定値としてFc ’=S/T
i が計算される。
【0021】[3:指数関数状信号1]速度指令信号と
して Vref (t) =a・exp(−Tt) という信号を与えると、PI制御系指令トルクと等価I
P制御系指令トルクの差の1階積分値の定常値Sは数9
に示す
【数9】 という値に収束する。Ti の値が既知であるから、クー
ロン摩擦Fの大きさFc の同定値としてFc ’=S/T
i が計算される。 [4:指数関数状信号2]速度指令信号として Vref (t) =a・t・exp(−Tt) という信号を与えると、PI制御系指令トルクと等価I
P制御系指令トルクの差の1階積分値の定常値Sは数1
0に表す
【数10】 という値に収束する。Ti の値が既知であるから、クー
ロン摩擦Fの大きさFc の同定値としてFc ’=S/T
i が計算される。
【0022】 前述した様に、時間tが制御系の固有周
期の3〜5倍程度において定常状態となり、積分した値
が数7,数8,数9,数10の式の値に収束していると
考えられる為、それらの値をTi の値で割ればFc の値
が求められる。本発明の第1の実施例では、時間応答と
して4種類の信号に対する応答を測定する場合について
説明したが、本発明はその他の時間応答を用いる場合に
も適用出来る。
【0023】[第2の実施例]図4に本発明の第2の実
施例を示す。本実施例は、サーボモータと負荷からな
り、クーロン摩擦が存在する制御対象と、速度制御を行
なう速度制御部と、クーロン摩擦補償を行なうクーロン
摩擦補償部をもつ制御装置から構成される。図4の中
で、制御対象のJはサーボモータのロータイナーシャと
負荷のイナーシャの総和であり、その大きさが速度によ
らず一定値Fc で、運動をさまたげる向きの抵抗となる
クーロン摩擦Fが存在している。
【0024】 本実施例の実施手順を以下に示す。 図4に示すクーロン摩擦補償部において、補償を行
なわない状態で、先の第1の実施例で説明したクーロン
摩擦同定方法を用いてクーロン摩擦の大きさを同定し、
その同定値Fc ’を得る。 図5に示す様にして、クーロン摩擦同定値Fc ’を
用いてクーロン摩擦の補償を行なう。制御装置の速度制
御部で行なわれる制御による指令トルクに、大きさFc
’でクーロン摩擦と逆の向きををもつトルクF’を加
算している。その結果、制御系は等価的に図6の様に、
制御対象がイナーシャのみである形式で表現され、最終
的にクーロン摩擦の影響を補償した制御が実現される。
【0025】[第3の実施例]図4に本発明の第3の実
施例の回路構成を示す。本実施例は、サーボモータと負
荷からなり、クーロン摩擦が存在する制御対象と、速度
制御とクーロン摩擦補償を行う制御装置から構成され
る。図4において、制御対象のJはサーボモータのロー
タイナーシャと負荷のイナーシャの総和であり、Fはク
ーロン摩擦である。ここで、先の第1および第2の実施
例でのクーロン摩擦の同定および補償方法により、クー
ロン摩擦の補償を行なうと、制御系は等価的に図6の形
式で表現される。
【0026】 図6の速度制御部で行なう速度制御をP
Iとした場合を図7(a) に、図6の速度制御部で行なう
速度制御をIPとした場合を図7(b) に示す。制御装置
のKv ,Ti は制御定数であり、それぞれ比例ゲインと
積分時定数である。先の第1および第2の実施例でのク
ーロン摩擦の同定および補償方法により、クーロン摩擦
の補償を行ない、図8の形式で表現されているPI制御
系とIP制御系の時間応答の差異から、イナーシャの総
和Jを同定する方法について説明する。
【0027】 図7(a),(b) において速度指令から指令
トルクへの伝達関数を考える。PI制御系の伝達関数を
TPI (s) とすると次式の数11で示され、
【数11】 IP制御系の伝達関数をGTIP (s) とすると次式の数1
2で示される。
【数12】 その結果PI制御系とIP制御系の速度指令に対する指
令トルクの応答の差は数13で示され
【数13】 となる。速度指令信号がVref (s) であった場合に、そ
の指令トルクの応答の差をn階積分した値の定常値Sは
最終値定理により、t→∞(即ち定常状態)において、
数14で表す
【数14】 の値になる。
【0028】 この、n階積分するという処理は、n=
0の場合:すなわち積分を行なわない場合、およびnが
負の場合:すなわち微分する場合も含むものとする。こ
の定常値SはJとVref とTiの関数となっており、V
ref もTiも任意に設定可能、すなわちその値が既知で
ある為、定常値Sの値を基にしてJの値が計算できる。
実際上はt→∞になるまで待つ必要はなく、時間tが制
御系の固有周期の3〜5倍以上程度において定常状態と
なり、数14の式の値に収束する。この、指令トルクの
応答を測定し、差を取ってJを同定する手順を2通り示
す。
【0029】《1.逐次測定手順》第1にKvとTiを
適当な値に設定したPI制御系を構築し、速度指令信号
を入力し、指令トルクをn階積分した信号の、充分定常
状態になっていると考えられる(すなわち固有周期の3
〜5倍以上経過した)、時点tm における値を記録す
る。第2にKvとTiは固定のままIP制御系を構築
し、第1の場合と同じ速度指令信号を入力し、指令トル
クを第1と同じ階数n階積分した信号の、同一時点tm
における値を記録する。第3にそれら記録した「PI制
御系指令トルクn階積分値」と「IP制御系指令トルク
n階積分値」の差をとる。その値は数14の式の定常値
Sに収束しているので、この値を用いてJの値を計算す
る。
【0030】《2.同時測定手順》数11,数12の式
からPI制御系の指令トルクの応答とIP制御系の指令
トルクの応答が、数15で示す
【15】という関係になっていることが分かる。すなわ
ち、PI制御系の指令トルクの応答を、制御系の積分時
定数Tiと等しい時定数を持つ1次遅れフィルタに入力
すると、そのフィルタからの出力としてIP制御系指令
トルクの応答と等価な信号を得ることが可能となる。
【0031】 このことを利用してPI制御系とIP制
御系の応答を同時に測定し、Jの値を計算する手順を以
下に示す。初めに図8(a) に示す様に制御系をPIと
し、速度指令信号Vref に対して、そのPI制御系指令
トルクと、PI制御系指令トルクを制御系の積分時定数
Tiと等しい時定数を持つ1次遅れフィルタに入力し
て、その出力として得た等価IP制御系指令トルクの差
をとり、その差をn階積分する系を構築する。それから
KvとTiを適当な値に設定して、速度指令信号を入力
し、充分定常状態になっていると考えられる(すなわち
固有周期の3〜5倍以上経過した)時点tm における、
「指令トルク差n階積分値」は数14の式の定常値Sに
収束していると考えられる為、この値を用いてJの値を
計算する。
【0032】 PI制御系とIP制御系の応答を同時に
測定し、Jの値を計算する為に構築する系は、図8(b)
に示す様に制御系をPIとし、そのPI制御系指令トル
クをn階積分すると共に、PI制御系指令トルクn階積
分値を制御系の積分時定数Tiと等しい時定数を持つ1
次遅れフィルタに入力して、その出力として得た等価I
P制御系指令トルクn階積分値との差をとる構造として
も良い。PI制御系とIP制御系の応答を同時に測定
し、Jの値を計算する為に構築する系は、図8(c) に示
す様に制御系をPIとし、そのPI制御系指令トルク
と、PI制御系指令トルクを制御系の積分時定数Tiと
等しい時定数を持つ1次遅れフィルタに入力して、その
出力として得た等価IP制御系指令トルクを、それぞれ
n階積分してその差をとる構造としても良い。
【0033】 以下に速度指令として6種類の信号を用
いた場合について、定常値SおよびJを同定する計算方
法を例示する。 [1:ステップ信号]速度指令信号としてVref (t) =
a・u(t) においてt<0のときu(t) =0、t≧0
のときu(t) =1というステップ信号を与えると、その
指令トルクの2階積分値の差の定常値Sは数16に表す
【数16】 という値に収束する。a,Tiの値が既知であるから、
Jの同定値としてJ’=S/(a・Ti )が計算され
る。この場合の各部の信号波形の時間応答を図9に示
す。
【0034】[2:ランプ信号]速度指令信号として Vref (t) =a・t というランプ信号を与えると,その指令トルクの1階積
分値の差の定常値Sは数17で示す
【数17】 という値に収束する。a,Tiの値が既知であるから、
Jの同定値としてJ’=S/(a・Ti )が計算され
る。
【0035】[3:パラボリック信号]速度指令信号と
して Vref (t) =a・t2 ボリック信号を与えると、その指令トルク差の定常値S
は数18で表す
【数18】 という値に収束する。a,Tiの値が既知であるから、
Jの同定値としてJ’=S/(2a・Ti )が計算され
る。
【0036】[4:正弦波信号]速度指令信号として Vref (t) =a・sin(ωt) という正弦波信号を与えると、その指令トルクの差の3
階積分値の定常値Sは数19で示す
【数19】 という値に収束する。a,Ti,ωの値が既知であるか
ら、Jの同定値としてJ’=ω・S/(a・Ti )が計
算される。
【0037】[5:指数関数状信号1]速度指令信号と
して Vref (t) =a・exp(−Tt) という信号を与えると、その指令トルクの差の3階積分
値の定常値Sは数20に表す
【数20】 という値に収束する。a,Ti,Tの値が既知であるか
ら、Jの同定値としてJ’=T・S/(a・Ti )が計
算される。
【0038】[6:指数関数状信号2]速度指令信号と
して Vref (t) =a・t・exp(−Tt) という信号を与えると、その指令トルクの差の3階積分
値の定常値Sは数21で示す
【数21】 という値に収束する。a,Ti,Tの値が既知であるか
ら、Jの同定値としてJ’=T2 ・S/(a・Ti )が
計算される。本発明の第3の実施例では、時間応答とし
て6種類の入力信号に対する応答を測定する場合につい
て説明したが、本発明はその他の入力信号を用いる場合
にも適用出来る。
【0039】[第4の実施例]図10に本発明の第4の
実施例を示す。本実施例は、サーボモータと負荷からな
り、クーロン摩擦と粘性摩擦が存在する制御対象と、速
度制御を行なう制御装置から構成される。PI制御系を
構築し、その指令トルクを1次遅れフィルタに入力し、
その出力としてIP制御系の指令トルクと等価な信号を
得ている。 図10の中で、制御対象のJはサーボモー
タのロータイナーシャと負荷のイナーシャの総和であ
り、その係数がDである粘性摩擦と、その大きさが速度
によらず一定値Fc で、運動をさまたげる向きの抵抗と
なるクーロン摩擦が存在している。制御装置のKv は比
例ゲイン、Ti は積分と1次遅れフィルタの時定数であ
る。
【0040】 PI制御系と等価IP制御系の指令トル
クの時間応答の差異からDおよびFc を互いに独立に同
定する方法について説明する。図10において、速度指
令をVref 、クーロン摩擦をFとし、Vref とFから指
令トルクへの伝達関数を考える。PI制御系の指令トル
クをTPI(s) とすると次式の数22でで示され、
【数22】 これを1次遅れフィルタに通して得た等価IP制御系指
令トルクは次式の数23で示される。
【数23】 その結果PI制御系指令トルクと等価IP制御系指令ト
ルクの応答の差は数24で表す
【数24】 となる。正方向のみの速度指令を与えた場合、クーロン
摩擦Fの値は一定値:−Fc であり、ステップ的に加わ
ると仮定出来るので、 F (s) =−Fc /s となる。これを数24の式に代入すると以下の数25式
で表される。
【数25】
【0041】 ある速度指令信号Vref に対して、PI
制御系指令トルクと等価IP制御系指令トルクの応答の
差をn階積分した値の定常値Sは、最終値定理により、
t→∞(即ち定常状態)において数26で示される
【数26】 の値になる。この、n階積分するという処理は、n=0
の場合:すなわち積分を行なわない場合、およびnが負
の場合:すなわち微分する場合も含むものとする。実際
上はt→∞になるまで待つ必要はなく、時間tが制御系
の固有周期の3〜5倍程度において定常状態となり、数
26の式の値に充分収束する。この定常値SはDとFc
、およびVref とTi の関数となっており、Vref
Ti も任意に設定可能、すなわちその値が既知である
為、以下に示す方法でSの値を基にしてDとFc の値が
計算出来る。
【0042】 測定手順を以下に示す。 (1) 図11(a) に示す様に制御系をPIとし、速度指令
信号Vref に対して、そのPI制御系指令トルクと、P
I制御系指令トルクを制御系の積分時定数Ti と等しい
時定数を持つ1次遅れフィルタに入力して、その出力と
して得た等価IP制御系指令トルクの差をとり、その差
をn階積分する系を構築する。 (2) Kv とTi を適当な値に設定して、粘性摩擦同定用
速度指令信号として、「ラプラス変換してsの多項式で
表現した場合に、その分母多項式が、係数が0でないす
べての項の次数が2次以上である信号」を入力し、充分
定常状態になっていると考えられる(すなわち固有周期
の3〜5倍以上経過した)時点tm における、「指令ト
ルク差n階積分値」は数26の式の定常値Sに収束して
いるので、この値を用いてDの値を計算する。
【0043】 (3) Kv とTi を適当な値に設定し、積
分階数n=1として、クーロン摩擦同定用速度指令信号
として、「ラプラス変換してsの多項式で表現した場合
に、その分母多項式にsの0次の項が存在する信号」、
または「時間tに関してf (t) =a・u (t) −a・
u (t−t02) という矩形波状信号[時点零で信号の値
aで立ち上がり、その後時間の経過に連れてそのまま信
号は値aを維持し、時点t02に到達すると信号の値は立
ち下がり零になるという形態の信号]」を入力し、充分
定常状態になっていると考えられる(すなわち固有周期
の3〜5倍以上経過した)時点tm における、「指令ト
ルク差n階積分値」(すなわち「指令トルク差1階積分
値」)は数26の式の定常値Sに収束しているので、こ
の値を用いてFc の値を計算する。 上記の(2) と(3) の順番は逆になっても良い。
【0044】 PI制御系とIP制御系の応答を同時に
測定し、DおよびFc の値を計算する為に構築する系
は、図11(b) に示す様に制御系をPIとし、そのPI
制御系指令トルクをn階積分すると共に、PI制御系指
令トルクn階積分値を制御系の積分時定数Ti と等しい
時定数を持つ一次遅れフィルタに入力して、その出力と
して得た等価IP制御系指令トルクn階積分値との差を
とる構造としても良い。PI制御系とIP制御系の応答
を同時に測定し、DおよびFc の値を計算する為に構築
する系は、図11(c) に示す様に制御系をPIとし、そ
のPI制御系指令トルクと、PI制御系指令トルクを制
御系の積分時定数Ti と等しい時定数を持つ1次遅れフ
ィルタに入力して、その出力として得た等価IP制御系
指令トルクを、それぞれn階積分してその差をとる構造
としても良い。
【0045】 以下に粘性摩擦同定用速度指令信号とし
て、「ラプラス変換してsの多項式で表現した場合に、
その分母多項式が、係数が0でないすべての項の次数が
2次以上である信号」を用い、定常値Sの値からDを同
定する計算方法を2種類例示する。 [粘性摩擦同定用速度指令信号1:ランプ信号]速度指
令信号として Vref (t) =a・t というランプ信号を与えると、PI制御系指令トルクと
等価IP制御系指令トルクの差の定常値Sは数27で示
【数27】 という値に収束する。a,Ti の値が既知であるから,
Dの同定値としてD’=S/ (a・Ti)が計算される。
【0046】[粘性摩擦同定用速度指令信号2:パラボ
リック信号]速度指令信号として Vref (t) =a・t2 というパラボリック信号を与えると、PI制御系指令ト
ルクと等価IP制御系指令トルクの差を微分した値の定
常値Sは数28で表す
【数28】 という値に収束する。a,Ti の値が既知であるから、
Dの同定値としてD’=S/(2 ・a ・Ti)が計算され
る。以下にクーロン摩擦同定用速度指令信号として、
「ラプラス変換してsの多項式で表現した場合に、その
分母多項式にsの0次の項が存在する信号」を用い、定
常値Sの値からDを同定する計算方法を2種類例示す
る。
【0047】[クーロン摩擦同定用速度指令信号1:指
数関数状信号1]速度指令信号として Vref (t) =a・exp(−Tt) という信号を与えると、PI制御系指令トルクと等価I
P制御系指令トルクの差の1階積分値の定常値Sは数2
9で示す
【数29】 という値に収束する.Ti の値が既知であるから、Fc
の同定値としてFc ’=S/Ti が計算される。
【0048】[クーロン摩擦同定用速度指令信号2:指
数関数状信号2]速度指令信号として Vref (t) =a・t・exp(−Tt) という信号を与えると、PI制御系指令トルクと等価I
P制御系指令トルクの差の1階積分値の定常値Sは数3
0で表す
【数30】 という値に収束する。Ti の値が既知であるから、Fc
の同定値としてFc ’=S/Ti が計算される。
【0049】 以下にクーロン摩擦同定用速度指令信号
として、「時間tに関してf (t) =a・u (t) −a
・u (t−t02) という矩形波状信号」を用い、定常値
Sの値からDを同定する計算方法を例示する。 [クーロン摩擦同定用速度指令信号3:矩形波状信号]
速度指令信号として f (t) =a・u (t) −a・u (t−t02) においてt<0のときu (t) =0、t≧0のときu
(t) =1、ただし、t02は信号値が零となる時点とい
う信号を与えると、PI制御系指令トルクと等価IP制
御系指令トルクの差の1階積分値の定常値Sは数31で
示す
【数31】 という値に収束する。Ti の値が既知であるから、Fc
の同定値としてFc ’=S/Ti が計算される。本発明
の実施例では、時間応答として5種類の信号に対する応
答を測定する場合について説明したが、本発明はその他
の時間応答を用いる場合にも適用出来る。
【0050】[第5の実施例]図12に本発明の第5の
実施例の回路構成を示す。本実施例は、サーボモータと
負荷からなり、クーロン摩擦と粘性摩擦が存在する制御
対象と、速度制御を行なう速度制御部と、粘性摩擦補償
を行なう粘性摩擦補償部と、クーロン摩擦補償を行なう
クーロン摩擦補償部をもつ制御装置から構成される。図
12の中で、制御対象のJはサーボモータのロータイナ
ーシャと負荷のイナーシャの総和であり、その大きさが
速度によらず一定値Fc で、運動をさまたげる向きの抵
抗となるクーロン摩擦と、その係数がDである粘性摩擦
が存在している。
【0051】 本実施例の実施手順を以下に示す。先ず
図12に示すクーロン摩擦補償部と粘性摩擦補償部にお
いて、補償を行なわない状態で、先の第4の実施例で説
明したクーロン摩擦または粘性摩擦の同定方法を用いて
クーロン摩擦および粘性摩擦係数を同定し、その同定値
Fc ’およびD’を得る。それから図13に示す様にし
て、クーロン摩擦同定値Fc ’を用いてクーロン摩擦の
補償を行なうと共に、粘性摩擦係数同定値D’を用いて
粘性摩擦の補償を行なう。
【0052】 制御装置の速度制御部で行なわれる制御
による指令トルクに、大きさFc ’でクーロン摩擦と逆
の向きををもつトルクF’を加算すると共に、制御対象
の速度にD’を掛けた大きさのトルクを加算している。
その結果、制御系は等価的に図7の様に、制御対象がイ
ナーシャのみである形式で表現され、最終的にクーロン
摩擦および粘性摩擦の影響を補償した制御が実現され
る。又、ここではクーロン摩擦と粘性の両方を補償する
場合について述べたが、本発明の方法はどちらか一方の
みを補償する方が良い場合にも、当然適用可能である。
【0053】[第6の実施例]図12に本発明の第6の
実施例の回路構成を示す。本実施例は、サーボモータと
負荷からなり、クーロン摩擦と粘性摩擦が存在する制御
対象と、速度制御を行なう速度制御部と、クーロン摩擦
補償を行なうクーロン摩擦補償部と、粘性摩擦補償を行
なう粘性摩擦補償部をもつ制御装置から構成される。図
12において、制御対象のJはサーボモータのロータイ
ナーシャと負荷のイナーシャの総和であり、その大きさ
が速度によらず一定値Fc で、運動をさまたげる向きの
抵抗となるクーロン摩擦と、その係数がDである粘性摩
擦が存在している。
【0054】 先に説明した第5の実施例におけるクー
ロン摩擦または粘性摩擦の補償方法により、クーロン摩
擦および粘性摩擦の補償を行なうと、制御系は等価的に
図6の形式で表現される。図12の速度制御部で行なう
速度制御をPIとした場合図7(a) に示し、IPとした
場合を図7(b) に示す。制御装置のKv ,Ti は制御定
数であり、それぞれ比例ゲインと積分時定数である。第
5の実施例におけるクーロン摩擦または粘性摩擦の補償
方法記載の方法により、クーロン摩擦および粘性摩擦の
補償を行ない、図7の形式で表現されているPI制御系
とIP制御系の時間応答の差異から、第3の実施例と同
様にしてイナーシャを同定する。
【0055】 本発明の実施例では、サーボモータの速
度制御において、クーロン摩擦,粘性摩擦,イナーシャ
の同定または補償を行なう場合について説明したが、こ
れに限られるものではない。すなわち位置や力の制御ま
たは温度制御等のプロセス制御の場合においても、制御
量の大きさに無関係に一定の大きさをもつ抵抗成分,制
御量の大きさに比例する抵抗成分,操作量から制御量ま
でのゲインに対しそれらの係数を同定または補償するこ
とが、本発明の方法により可能となる。
【0056】
【発明の効果】かくして本発明によれば、制御対象にク
ーロン摩擦が存在する場合に、そのクーロン摩擦を高精
度に同定可能となり、制御対象のクーロン摩擦を高精度
に補償が可能となり、制御対象のイナーシャを高精度に
同定可能になると共に、制御対象にクーロン摩擦と粘性
摩擦が存在する場合には、それらクーロン摩擦と粘性摩
擦を互いに独立に高精度に同定可能となり、制御対象の
クーロン摩擦または粘性摩擦を高精度に補償可能とな
り、制御対象にクーロン摩擦と粘性摩擦が存在する場合
においてもイナーシャを高精度に同定可能になることか
ら、超精密サーボシステムに関するオートチューニング
において格段の飛躍がなされ、斯界に特筆すべき貢献が
なされるという特段の効果を奏することが出来る。さら
に、例えばサーボモータの速度制御におけるクーロン摩
擦,粘性摩擦,イナーシャの同定または補償を行なうこ
とに限らず、位置や力の制御または温度制御等のプロセ
ス制御の場合においても、制御量の大きさに無関係に一
定の大きさをもつ抵抗成分,制御量の大きさに比例する
抵抗成分,操作量から制御量までのゲインに対しそれら
の係数を同定または補償することが、本発明の方法によ
り可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例の回路構成を表すブロッ
ク線図
【図2】本発明の第1の実施例における第1の適応例を
示すブロック線図
【図3】本発明の第1の実施例の各部の時間応答を示す
グラフ
【図4】本発明の第2及び第3の実施例の制御系の回路
構成を表すブロック線図
【図5】本発明の第2の実施例におけるクーロン摩擦を
補償する回路構成を示すブロック線図
【図6】本発明の第2の実施例の図5及び第5の実施例
の図13のそれぞれの等価的ブロック線図
【図7】本発明の第3の実施例及び第6の実施例のそれ
ぞれの速度制御部の制御系がPIとIPの場合のブロッ
ク線図
【図8】本発明の第3の実施例または第6の実施例の適
用例を示すブロック線図
【図9】本発明の第3の実施例または第6の実施例にお
ける各部の時間応答の信号波形を表すグラフ
【図10】本発明の第4の実施例の回路構成を示すブロ
ック線図
【図11】本発明の第4の実施例の適用例を表すブロッ
ク線図
【図12】本発明の第5の実施例及び第6の実施例のそ
れぞれの回路構成を示すブロック線図
【図13】本発明の第5の実施例の第1の適用例を表す
ブロック線図
【符号の説明】
1 速度指令 2 制御装置 21 混合器 22 比例増幅器 23 積分器 24 一次遅れフィルタ 25 PI速度制御系指令トルク 26 等価IP速度制御系指令トルク 3 制御対象 31 混合器 32 制御対象 33 制御対象クーロン摩擦 34 混合器 35 制御対象粘性摩擦 4 速度
【数15】

Claims (29)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 クーロン摩擦が存在する制御対象の、そ
    のクーロン摩擦を同定する方法であって、制御対象にP
    I制御系を構築し、入力信号に対する時間応答を測定す
    ると共に、その時間応答信号を前記PI制御系の積分時
    定数と等しい時定数をもつ1次遅れ系に入力し、その出
    力としてIP制御系における時間応答と等価な時間応答
    を得、前記PI制御系の時間応答と、前記等価なIP制
    御系の時間応答との差異を用いてクーロン摩擦を同定す
    ることを特徴とする制御対象の特性を表す関数の定数の
    同定方法。
  2. 【請求項2】 前記時間応答の差異によるクーロン摩擦
    の同定は、任意の入力信号に対する時間応答差の1階積
    分値の定常値を利用しすることを特徴とする請求項1記
    載の制御対象の特性を表す関数の定数の同定方法。
  3. 【請求項3】 前記入力信号を時間tに関して、f(t)
    =a・u(t) [ただし、aは信号の大きさを表す係数、
    u(t) はt<0においてu(t) =0,0≦tにおいてu
    (t) =1]というステップ信号とすることを特徴とする
    請求項2記載の制御対象の特性を表す関数の定数の同定
    方法。
  4. 【請求項4】 前記入力信号を時間tに関して、t<0
    においてf(t) =0,0≦t≦t01においてf(t) =a
    ・t,t01<tにおいてf(t) =a・t01[ここで、t
    01は信号値増大停止時点]という台形状の信号とするこ
    とを特徴とする請求項2記載の制御対象の特性を表す関
    数の定数の同定方法。
  5. 【請求項5】 前記入力信号を時間tに関してf(t) =
    a・exp(−Tt)[ただし、Tは信号の時間応答を表す係
    数とする]という値を示す信号とすることを特徴とする
    請求項2記載の制御対象の特性を表す関数の定数の同定
    方法。
  6. 【請求項6】 前記入力信号を時間tに関してf(t) =
    a・t ・exp(−Tt)という値を示す信号とすることを特
    徴とする請求項2記載の制御対象の特性を表す関数の定
    数の同定方法。
  7. 【請求項7】 クーロン摩擦が存在する制御対象の、そ
    のクーロン摩擦を補償する方法であって、請求項1また
    は請求項2記載の方法により、クーロン摩擦を同定し、
    その同定結果を基にしてクーロン摩擦を補償することを
    特徴とする制御対象の特性を表す関数の定数の補償方
    法。
  8. 【請求項8】 クーロン摩擦とイナーシャが存在する制
    御対象のイナーシャ同定方法であって、請求項7のクー
    ロン摩擦補償方法により、クーロン摩擦を補償し、その
    影響を打ち消した制御対象に対して、相異なる複数種類
    の制御系を構築して、同一の入力信号に対する時間応答
    をそれぞれ測定し、その測定結果の差異からイナーシャ
    を同定する様にしたことを特徴とするクーロン摩擦が存
    在する制御対象の特性を表す関数の定数の同定方法。
  9. 【請求項9】 クーロン摩擦と粘性摩擦が存在する制御
    対象の、そのクーロン摩擦または粘性摩擦を同定する方
    法であって、制御対象にPI制御系を構築し、入力信号
    に対する時間応答を測定すると共に、その時間応答信号
    をPI制御系の積分時定数と等しい時定数をもつ1次遅
    れ系に入力し、その出力としてIP制御系における時間
    応答と等価な時間応答を得、PI制御系時間応答と、等
    価IP制御系時間応答の差異を用いてクーロン摩擦また
    は粘性摩擦を互いに独立して同定することを特徴とする
    制御対象の特性を表す関数の定数の同定方法。
  10. 【請求項10】 前記時間応答の差異によるクーロン摩
    擦と粘性摩擦の互いに独立な同定は、任意の入力信号に
    対する時間応答差の定常値が収束する階数だけ微分また
    は積分することを特徴とする請求項9記載の制御対象の
    特性を表す関数の定数の同定方法。
  11. 【請求項11】 前記入力信号を、ラプラス変換してs
    の多項式で表現した場合に、その分母多項式が、係数が
    0でないすべての項の次数が2次以上である信号を用い
    ることを特徴とする請求項10記載の制御対象の特性を
    表す関数の定数の同定方法。
  12. 【請求項12】 前記入力信号を、ラプラス変換してs
    の多項式で表現した場合に、その分母多項式にsの0次
    の項が存在する信号を用いることを特徴とする請求項1
    0記載の制御対象の特性を表す関数の定数の同定方法。
  13. 【請求項13】 前記入力信号をランプ信号とすること
    を特徴とする請求項10記載の制御対象の特性を表す関
    数の定数の同定方法。
  14. 【請求項14】 前記入力信号をパラボリック信号とす
    ることを特徴とする請求項10記載の制御対象の特性を
    表す関数の定数の同定方法。
  15. 【請求項15】 前記入力信号を時間tに関してf(t)
    =a・exp(−Tt)という値を示す信号とすることを特徴
    とする請求項10記載の制御対象の特性を表す関数の定
    数の同定方法。
  16. 【請求項16】 前記入力信号を時間tに関してf(t)
    =a・t ・exp(−Tt)という値を示す信号とすることを
    特徴とする請求項10記載の制御対象の特性を表す関数
    の定数の同定方法。
  17. 【請求項17】 前記入力信号を時間tに関してf(t)
    =a・u(t) −a・u(t−t02)[ただし、u(t) はt<
    0で0,t≧0で1となるステップ信号、t02 は信号値
    が零となる時点とする]という矩形波状信号とすること
    を特徴とする請求項10記載の制御対象の特性を表す関
    数の定数の同定方法。
  18. 【請求項18】 クーロン摩擦および粘性摩擦が存在す
    る制御対象の、そのクーロン摩擦または粘性摩擦を補償
    する方法であって、請求項9または請求項10記載のク
    ーロン摩擦または粘性摩擦の同定方法により、クーロン
    摩擦または粘性摩擦を同定し、その同定結果を基にして
    クーロン摩擦または粘性摩擦を補償することを特徴とす
    る制御対象の特性を表す関数の定数の補償方法。
  19. 【請求項19】 クーロン摩擦と粘性摩擦とイナーシャ
    をもつ制御対象のイナーシャ同定方法であって、請求項
    18記載のクーロン摩擦または粘性摩擦の補償方法によ
    りクーロン摩擦および粘性摩擦を補償し、それらの影響
    を打ち消した同一の制御対象に対して、相異なる複数種
    類の制御系を構築して、同一の入力信号に対する時間応
    答をそれぞれ測定し、その測定結果の差異からイナーシ
    ャを同定することを特徴とする制御対象の特性を表す関
    数の定数の同定方法。
  20. 【請求項20】 前記同一の入力信号に対する時間応答
    を測定する為に構築する制御系を、PI制御系とIP制
    御系とすることを特徴とする請求項8または請求項19
    記載の制御対象の特性を表す関数の定数の同定方法。
  21. 【請求項21】 任意の前記入力信号に対する時間応答
    を測定し、その測定結果の差の定常値が収束する階数だ
    け微分および積分して得られる値を基にしてイナーシャ
    を同定することを特徴とする請求項8または請求項19
    記載の制御対象の特性を表す関数の定数の同定方法。
  22. 【請求項22】 同定の為の測定は、一種類の制御系の
    みで測定する時間応答と、その時間応答を信号処理して
    他種類の制御系の時間応答と等価にした時間応答を用い
    る請求項8または請求項19記載の制御対象の特性を表
    す関数の定数の同定方法。
  23. 【請求項23】 時間応答を測定する制御系をPI制御
    系とし、前記信号処理を、PI制御系の積分時定数と等
    しい時定数をもつ1次遅れ系に入力しその出力を得るこ
    ととし、IP制御系における時間応答と等価にした時間
    応答を得ることとする請求項8または請求項19記載の
    制御対象の特性を表す関数の定数の同定方法。
  24. 【請求項24】 入力信号をステップ信号とすることを
    特徴とする請求項8または請求項19記載の制御対象の
    特性を表す関数の定数の同定方法。
  25. 【請求項25】 入力信号をランプ信号とすることを特
    徴とする請求項8または請求項19記載の制御対象の特
    性を表す関数の定数の同定方法。
  26. 【請求項26】 前記入力信号をパラボリック信号とす
    ることを特徴とする請求項8または請求項19記載の制
    御対象の特性を表す関数の定数の同定方法。
  27. 【請求項27】 入力信号を正弦波信号とすることを特
    徴とする請求項8または請求項19記載の制御対象の特
    性を表す関数の定数の同定方法。
  28. 【請求項28】 入力信号を時間tに関してf(t) =a
    ・exp(−Tt)という値を示す信号とすることを特徴とす
    る請求項8または請求項19記載の制御対象の特性を表
    す関数の定数の同定方法。
  29. 【請求項29】 入力信号を時間tに関しf(t) =a・
    t ・exp(−Tt)という値を示す信号とすることを特徴と
    する請求項8または請求項19記載の制御対象の特性を
    表す関数の定数の同定方法。
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