JPH07331441A - 強化された化学蒸着ダイヤモンド - Google Patents

強化された化学蒸着ダイヤモンド

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JPH07331441A
JPH07331441A JP7043328A JP4332895A JPH07331441A JP H07331441 A JPH07331441 A JP H07331441A JP 7043328 A JP7043328 A JP 7043328A JP 4332895 A JP4332895 A JP 4332895A JP H07331441 A JPH07331441 A JP H07331441A
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voids
pressure
cvd
diamond body
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JP7043328A
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Thomas R Anthony
トーマス・リチャード・アンソニー
William F Banholzer
ウイリアム・フランク・バンホルザー
Clifford Lawrence Spiro
クリフォード・ローレンス・スピロ
Steven William Webb
スティーブン・ウイリアム・ウエッブ
Bradley Earl Williams
ブラッドリイ・アール・ウイリアムズ
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General Electric Co
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    • C23CCOATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; SURFACE TREATMENT OF METALLIC MATERIAL BY DIFFUSION INTO THE SURFACE, BY CHEMICAL CONVERSION OR SUBSTITUTION; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL
    • C23C16/00Chemical coating by decomposition of gaseous compounds, without leaving reaction products of surface material in the coating, i.e. chemical vapour deposition [CVD] processes
    • C23C16/22Chemical coating by decomposition of gaseous compounds, without leaving reaction products of surface material in the coating, i.e. chemical vapour deposition [CVD] processes characterised by the deposition of inorganic material, other than metallic material
    • C23C16/26Deposition of carbon only
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C23COATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; CHEMICAL SURFACE TREATMENT; DIFFUSION TREATMENT OF METALLIC MATERIAL; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL; INHIBITING CORROSION OF METALLIC MATERIAL OR INCRUSTATION IN GENERAL
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Abstract

(57)【要約】 【目的】密度勾配及び応力勾配の低減した化学蒸着ダイ
ヤモンド物体が開示される。 【構成】かかるダイヤモンド物体は圧縮されたボイドを
有するものであって、ダイヤモンドが炭素の熱力学的に
安定な相となるような十分に高い温度及び圧力の下で低
圧化学蒸着ダイヤモンド物体を処理して該ダイヤモンド
物体中のボイドを縮小しかつ応力を低減させることによ
って製造される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の分野】本発明は、低圧化学蒸着(CVD)ダイ
ヤモンドの性質を改善するための方法及びかかる処理に
よって得られた改質製品に関するものである。
【0002】
【発明の背景】一例について述べれば、成長したままの
CVDダイヤモンド窓はできるだけ高いレーザー光透過
率を有する必要がある。ダイヤモンド窓中に結晶粒界、
欠陥、転位、塑性ひずみ及びその他の密度変動源が存在
すると、それの透過率は低下し、それの入射光吸収率は
増大し、かつそれの熱伝導率は低下する。レーザー光の
吸収は窓中に熱を発生するが、この熱はダイヤモンド物
体を通してそれに接触した隣接吸熱源に放散させなけれ
ばならない。熱の放散が速度制限因子を成す場合には、
窓の温度が上昇して窓取付具のゆがみ及び窓取付装置全
体の破損を引起こす。CVDダイヤモンドの密度変動を
機械的に取除くことはできない。なぜなら、それらは成
長環境中における摂動によって生み出されるものであっ
て、成長したままのウェーハからそれらを排除すること
は困難なのである。
【0003】熱アニールを利用して不完全な単結晶物体
又は多結晶質物体中の密度変動を低減させることができ
る。しかしながら、ダイヤモンドの場合、適正な速度で
それのアニールを行うために必要な温度は必然的に非常
に高いから、ダイヤモンドの動力学的安定性が低下し、
そしてダイヤモンドは黒鉛に戻ってしまう。通例、結晶
体中の黒鉛化は欠陥、粒界及び微小亀裂の位置において
起こり、そして結晶体中に暗色領域を形成する。これは
密度勾配を悪化させて結晶を弱化し、ひいてはウェーハ
の割れ及び破壊をもたらすことがある。
【0004】別の例について述べれば、ダイヤモンド工
具ブランク、線引きダイス、ワイヤガイド、光学部品、
音響部品、熱制御部品及びその他の熱機械部品がダイヤ
モンドで作られている。その理由は、ダイヤモンドが耐
摩耗性、透明性、高い熱伝導性、高い電気抵抗、化学的
不活性、低い摩擦係数、高い弾性率及び早い音速のごと
き望ましい性質を有するからである。現在、ダイヤモン
ド製品は単結晶の宝石用原石から作られているが、それ
らは高価であり、大きさが限られており、不純物を含
み、しかもダイヤモンド格子に固有の異方性のために不
均等な摩耗を示す。多結晶質のダイヤモンド製品(たと
えばダイス)も知られているが、それらはダイヤモンド
粉末を焼結することによって製造される。焼結は単結晶
ダイヤモンドに固有の異方性を取除くと共に、単結晶の
場合よりも遥かに大きい製品を生み出すことができる。
しかしながら、焼結が不十分な場合には欠陥や結晶粒の
脱落を生じることがある。かかる焼結製品にはまた、焼
結過程を促進するために使用された金属やその他の元素
が混入している。金属結合はダイヤモンド結合ほどに強
くないから、かかる部品は固有の弱さを有することにな
る。金属はまた、もう1つの密度変動源を成すことによ
り、熱伝導性を妨害し、光学的透明性を破壊し、音速を
低下させ、摩擦係数を増大させ、かつ電気抵抗を低下さ
せる。
【0005】現在、当業者にとって公知でありかつCV
D法又は化学蒸着法として類別される幾つかの方法によ
り、実質的に金属を含まない多結晶質ダイヤモンドフィ
ルムを製造することが可能である。一般に、ダイヤモン
ドフィルムは高エネルギー条件下で炭化水素ガス(時に
はその他の酸素、窒素又はハロゲン含有化合物を伴う)
を分解することによって製造される。かかる目的のため
には、マイクロ波プラズマ、高周波プラズマ、直流アー
ク、直流プラズマ、火炎、白熱フィラメントへの接触、
電子サイクロトロン共鳴及びレーザーアブレーションが
使用される。
【0006】しかるに、CVD法によって製造された多
結晶質ダイヤモンドフィルムは結晶粒界に関連した可視
的及び機械的な欠陥並びにボイドをはじめとする成長欠
陥を有している。更にまた、成長方法に付随する残留応
力が望ましくない場合もある。引続いて多結晶質のCV
Dダイヤモンドフィルムを工具用途や電気光学的用途な
どにおいて使用する場合、これらの欠陥の存在がそれを
妨げることがある。
【0007】
【発明の概要】従来のCVD法においては、得られる低
圧CVDダイヤモンドの特性を改善するためにCVD法
自体を変化させることに関心が集中していた。しかる
に、ある種の有害な性質はこの方法に固有の性質に由来
している。本発明の方法は、初期蒸着後の処理によって
CVDダイヤモンドの性質を改善するものである。本発
明に従えば、ボイドの寸法を縮小すると共に低圧CVD
ダイヤモンド中のひずみを低減させることによって改善
された性質が得られる。縮小した寸法のボイドを有する
高純度のCVDダイヤモンド構造物は、かかるCVDダ
イヤモンドの光透過性、靱性、強度、耐摩耗性及び摩耗
の均一性を向上させる。
【0008】かかる改質されたCVDダイヤモンド構造
物は、自発的な黒鉛化を阻止する高温高圧条件下でCV
Dダイヤモンドを処理することによって製造し得ること
が判明した。このようにすれば、結晶の骨組の平衡安定
性を維持しながら高温を用いて製造方法の速度を促進す
ることにより、改善された性質を有するCVDダイヤモ
ンド構造物を製造することができる。
【0009】本発明に従えば、ボイドを有する種類の化
学蒸着ダイヤモンド物体をダイヤモンドが炭素の熱力学
的に安定な相となるような十分に高い温度及び圧力の下
で処理することにより、前記ボイドの寸法を縮小して密
度勾配及び応力勾配の低減したダイヤモンド物体を形成
することを特徴とする、密度勾配及び応力勾配の低減し
たダイヤモンド物体の製造方法が提供される。
【0010】本発明に従えばまた、気体物質を含む圧縮
されたボイドを有する低圧化学蒸着ダイヤモンド物体か
ら成ることを特徴とする、密度勾配及び応力勾配の低減
した化学蒸着ダイヤモンド物体が提供される。本発明の
好適な実施の態様に従えば、低圧化学蒸着ダイヤモンド
物体をダイヤモンドが熱力学的に安定な炭素相となるよ
うな高温高圧条件に暴露し、そして所定の時間にわたっ
てかかる条件下に保持することにより、該ダイヤモンド
物体にアニールが施される。このような条件下では、塑
性変形が起こると共に、欠陥部位を構成しかつそれらの
界面に沿って存在する原子に十分な移動性が付与される
結果、欠陥が除去される。続いてダイヤモンド物体を冷
却しかつ圧力を解放すれば、欠陥及び応力の低減した多
結晶質ダイヤモンド製品が得られる。かかる製品は、引
続いて仕上げを施してから各種の用途において使用する
ために十分なものである。
【0011】
【好適な実施の態様の詳細な説明】密度勾配の低減によ
って特徴づけられる改善された性質を有するCVDダイ
ヤモンドは、低圧下で製造されたCVDダイヤモンドの
後処理によって製造される。本発明の方法において使用
される原料CVDダイヤモンドは、当業界において公知
の方法によって製造されたCVDダイヤモンドである。
低圧CVDダイヤモンドを製造するための方法として
は、通例、マイクロ波CVD法、高周波CVD法、DC
ジェットCVD法、燃焼炎CVD法及びフィラメント法
が挙げられる。CVDダイヤモンドフィルムを形成する
ためのフィラメント法は、アンソニー(Anthony) 等の米
国特許第5110579号明細書中に記載されている。
この特許明細書中に記載された方法に従えば、たとえば
モリブデンから成る基体上にフィラメント法によってダ
イヤモンドが化学蒸着される。この方法によれば、それ
の実施例中に記載されたような適当な混合ガスをフィラ
メントに接触させながら適当な時間にわたって流すこと
により、所望の厚さを有するダイヤモンドフィルムが形
成される。
【0012】約50ミクロンより大きい結晶粒度及び約
500ミクロンより大きい厚さを有するダイヤモンドフ
ィルムを蒸着する場合、かかるダイヤモンドの最終の望
ましい性質を損なう有害なボイドが生じ易い。化学蒸着
条件によっては、約20ミクロンより大きい直径を有す
るボイドが生じることもある。それ故、かかる材料を改
質することが本発明の目的であることを考えると、好適
な原料CVDダイヤモンドフィルムは約50ミクロンよ
り大きい結晶粒度、約500ミクロンより大きい厚さ、
及び約20ミクロンより大きい直径のボイドを有するの
が通例である。とは言え、本発明の方法は50ミクロン
より大きい厚さ(たとえば、100ミクロンの厚さ)を
有するCVDダイヤモンドフィルムを改質することもで
きる。なお、自立したフィルムとして使用される場合、
ある種の用途にとっては200ミクロンより大きい厚さ
を有するCVDダイヤモンドフィルムが好適である。
【0013】上記の特許明細書中に記載されたような好
適な原料CVDダイヤモンドフィルムは、〈110〉方
向が底面に対して垂直に配列したダイヤモンド結晶粒か
ら成る実質的に透明な柱体によって構成されている。互
いに隣接したダイヤモンド結晶粒間の粒界はダングリン
グ炭素結合を飽和させる水素原子を含有することが好ま
しい。その場合には、ラマン分光分析、赤外線分析、N
MR分析およびX線分析に基づけば、かかる原子の少な
くとも50%が四面体結合を成すものと考えられる。な
お、H、F、Cl、Oまたはその他の原子もダングリン
グ炭素結合を飽和させ得ることを理解すべきである。
【0014】原料CVDダイヤモンドフィルムは、不純
物の量が極めて低いレベルにありかつCVDダイヤモン
ドフィルムがダイヤモンドのみから成るような方法によ
って製造されることが好ましい。不純物及び目的添加剤
としての追加成分は(重量で表わして)4000ppm
未満の量で存在することが好ましく、また100ppm
未満の量で存在することがより好ましい。かかる低い不
純物レベルは、密度勾配の低減した最終のCVDダイヤ
モンドが示す性質の改善の一因を成す。
【0015】原料CVDダイヤモンドの結晶粒度は大幅
に変化し得るが、それはダイヤモンドの核生成状態に依
存する。蒸着工程中に継続して核生成が起これば、サブ
ミクロンのダイヤモンド結晶粒が得られることがある。
また、核生成が基体上における初期の核生成のみに限ら
れる場合には、最大ではダイヤモンドフィルムの全厚に
まで達する細長いダイヤモンド結晶粒が生成されること
がある。なお、結晶粒は200ミクロンより小さい長さ
を有するのが通例であるが、それより長い結晶粒が生成
されることもある。CVDダイヤモンドフィルムは、好
ましくは少なくとも約6W/cm・Kの熱伝導率を有
し、より好ましくは少なくとも約9W/cm・Kの熱伝
導率を有し、そして最も好ましくは少なくとも約12W
/cm・Kの熱伝導率を有する。なお、かかるダイヤモ
ンドフィルムの熱伝導率は約21W/cm・Kにも達す
ることがある。実質的に透明なダイヤモンドフィルムの
熱伝導率を測定するために使用される使用し得る技術は
蜃気楼を利用したものであって、かかる技術は新しいダ
イヤモンド科学技術に関する第2回国際会議の議事録
(1990年)の863頁に収載されたアール・ダブリ
ュー・プライアー(R.W.Pryor)等の論文中に示されてい
る。
【0016】原料CVDダイヤモンドフィルムは、良好
な光学的性質を有すると共に光を透過し得ることが好ま
しい。これらの性質は、密度勾配の低減した高品質のC
VDダイヤモンドを製造するために好適なものである。
ダイヤモンドの多結晶性は光の散乱を引起こして透明性
を妨げることがある。更にまた、屈折率の大きい材料は
入射光を反射することがあるが、これも透過率の低下の
一因となる。それ故、望ましい透明度及び屈折率を有す
る原料CVDダイヤモンドが好適である。
【0017】通例、原料CVDダイヤモンドは化学蒸着
工程中に生じたボイドを含んでいる。かかるボイドは化
学蒸着工程に由来する気体成分を含有することがある。
かかる気体成分としては、一般に水素、窒素、酸素、二
酸化炭素及び一酸化炭素が挙げられる。低圧下で蒸着さ
れたCVDダイヤモンドの場合、ボイドは200ミクロ
ン程度の直径を有することがある。なお、好適な高品質
のCVDダイヤモンドは10ミクロン未満の直径を有し
ている。
【0018】ボイドの存在は材料を弱くするように働く
と共に、CVDダイヤモンドの望ましい性質に悪影響を
及ぼす。見たところ、ボイドは結晶粒同士が互いに接触
しながら成長するために結晶表面の一部が遮蔽されてそ
れ以上の成長が起こらないことによって生じるものと考
えられる。かかるボイドはまた、CVDダイヤモンドフ
ィルムに固有の応力の内部除去の結果としても出現する
こともある。成長の進行に伴い、このような小さい空洞
がCVDダイヤモンドフィルム中に埋没してボイドを形
成するのであって、それらが後になってフィルムを横断
した場合に認められるのである。これらのボイドの起源
を表わす若干の証拠は、それらの寸法及び内面から得ら
れる。一般に、ボイドの寸法はそれらが存在する材料の
結晶粒度に比例する。また、ボイドの内面は小面を有す
るのが通例であるが、これもボイドが結晶成長起源のも
のであることを示している。
【0019】CVDダイヤモンドフィルムは柱状晶から
成るのが通例であるが、これは最初の核生成表面上に生
じた極めて小さな結晶粒度から出発する。最初の成長面
から最後の成長面まで結晶粒が競争しながら成長するた
め、結晶粒度は次第に増大する。その結果、結晶粒度の
増大に比例してフィルム中のボイドの寸法も増大する。
それ故、200ミクロンの結晶粒度及び500ミクロン
より大きいフィルム厚さには一般に50ミクロン程度の
大きいボイドが付随する。なお、ボイドは結晶粒界に沿
って見られるのが通例である。それらが結晶粒界に位置
することは、それらが結晶成長に由来することを示す結
果の1つである。
【0020】本発明に従えば、原料CVDダイヤモンド
中のボイドの寸法を縮小することによって密度勾配の低
減したCVDダイヤモンドを得ることが望ましい。通
例、CVDダイヤモンドは水素、炭化水素及び時にはそ
の他の気体成分(たとえば酸素)から成る低圧の気体雰
囲気中において成長させられる。その結果、CVDダイ
ヤモンド中のボイドはこれらの気体成分を低圧下で含有
し、従って大きい密度勾配の一因となる。かかる密度勾
配は、ボイド領域におけるダイヤモンドの密度の低下に
よって誘起される。なお、大きいボイドは小さいボイド
よりも顕著な密度の低下を誘起する傾向がある。
【0021】多くの材料において、ボイドは材料をそれ
の融点に近い温度に保持することによって除去すること
ができる。ボイドの表面上に存在する空孔は、ボイドと
空孔吸収源との間における化学ポテンシャル(γ/r)
の差により駆動されて空孔吸収源に拡散除去される。な
お、γは固体の表面エネルギー(ダイヤモンドの場合に
は5300erg/cm2 )であり、またrはボイドの
半径である。ボイドから拡散除去される空孔は、ボイド
中に拡散導入される原子に相当している。このようにし
て、ボイドは焼結型の工程に際して次第に埋められて消
失する。通常、かかる焼結工程は材料の融点の2/3 を越
える温度下で実施される。とは言え、3800℃の相当
融点を有するダイヤモンドの場合には、この方法は可能
でなかった。なぜなら、ダイヤモンドは不安定であっ
て、高温に暴露されると急速に炭化するからである。し
かるに、ダイヤモンドを50キロバールの高圧プレス内
に配置すれば、ダイヤモンド安定領域から出ることなし
に温度を1000〜1600℃の範囲内に日常的に上昇
させることができる。
【0022】ダイヤモンド中における炭素原子の拡散係
数は次式によって与えられる。 D=D0 exp{−Q/RT} (1) 式中、D0 =116cm2 /sであり、またQ=143
kcal/molである。ダイヤモンド中における炭素の移動は
置換拡散によるものであり、従って隣接した空孔を必要
とする。活性化エネルギーQは、空孔の生成エネルギー
と、炭素原子がそれ自身の格子位置から隣接する空位へ
のポテンシャル障壁を飛越えるために必要な活性化エネ
ルギーとの和である。ほとんどの固体においては空孔の
生成エネルギーとポテンシャル障壁を飛越えるための活
性化エネルギーとはほぼ等しい。ダイヤモンドについて
このような仮定を設ければ、ダイヤモンド中の空孔の拡
散係数Dv は次式によって与えられる。
【0023】 Dv =D0 exp{−Qv /RT} (2) 式中、Qv =71.5kcal/molである。また、1600
℃においてDv =6(10)-7cm2 /sである。ボイ
ドが結晶粒の内部に埋没している場合、最も近い空孔吸
収源は隣接する結晶粒界である。材料の結晶粒度をXと
すれば、空孔がボイドから結晶粒界にまで拡散するため
に必要な時間Tは近似的に次式によって与えられる。
【0024】 T=X2 /Dv (3) ボイドを含むCVDダイヤモンド材料の一片に1600
℃[この場合にはDv=6(10)-7cm2 /s]でア
ニールを施す場合を考察しよう。この温度におけるアニ
ール時間が数日間(約105 秒)である場合、2.4m
mより小さい結晶粒中の微視的なボイドをアニールによ
って除去するのに十分な時間が存在し得る。しかし、そ
れより大きいダイヤモンド結晶粒又は単結晶ダイヤモン
ドについては、空孔拡散によってボイドを除去するのに
十分な時間は存在しない。下記表1中には、空孔拡散に
よってボイドを除去し得る最大の結晶粒度と数日間にわ
たる高圧アニール工程の温度との関係が示されている。
【0025】
【表1】
【0026】通例、CVDダイヤモンドは水素、炭化水
素及び時にはその他の気体成分(たとえば酸素)から成
る低圧の気体雰囲気中において成長させられる。その結
果、CVDダイヤモンド中のボイドはこれらの気体成分
を含有することがある。ボイドが収縮するのに伴い、ボ
イド内の圧力は増大する。やがて、γ/rによって与え
られる収縮の駆動力はボイド内のガス圧力Pと釣合うこ
とになる。すなわち、 P=γ/r (4) 式中、Pはボイド内の圧力、γはボイドの表面エネルギ
ー、そしてrはボイドの半径である。ボイド内の初期圧
力P0 は次式によって与えられる。
【0027】 P0 =Pcvd [Tanneal/Tcvd ] (5) 式中、Pcvd はダイヤモンド製造のためのCVD法にお
いて使用されるガス圧力、Tcvd はCVD法における基
体の温度、そしてTannealは高圧アニール工程の温度で
ある。ボイドが初期半径r0 から半径rにまで収縮する
と、ボイド内のガス圧力は次式のごとくに増大する。
【0028】 P=P0 (r0 /r)3 (6) 式4、5及び6を解くことにより、ボイドが空孔拡散機
構に基づいてもはや収縮しなくなる最終半径rを求める
ことができる。 r={(Pcvd /γ)(Tanneal/Tcvd )r0 3 1/2 0 ={(Tanneal/Tcvd )R0 (Pcvd /γ)}1/2 (7) Tanneal>Tcvd であるから、Pcvd >γ/r0 であれ
ば、空孔拡散によるボイドの収縮は不可能である。典型
的な条件であるPcvd =10000dyn/cm2 及び
γ=5300dyn/cmは、0.5cmを越えるボイ
ドが収縮しないことを示している。しかしながら、CV
Dダイヤモンドにおいてはこのように大きいボイドは見
られないから、これは制限条件とはならない。
【0029】約20ミクロンの直径を有する典型的なボ
イドについては、ボイドが空孔拡散によって収縮する最
終半径は1.73ミクロンである。この時点においてボ
イド内のガス圧力はボイドの表面張力と釣合い、従って
空孔拡散は停止する。この最終半径に近い後期のボイド
収縮は、ボイドの収縮に伴ってボイド内のガス圧力が増
大する結果として駆動力が低下するために極めて遅くな
る。それ故、固体の塑性流れのごとき別のボイド除去機
構が必要となる。望ましい性質の改善を達成するために
は、密度勾配の低減した最終のCVDダイヤモンドは一
般に約10ミクロン未満、好ましくは約5ミクロン未
満、そしてより好ましくは約2ミクロン未満のボイド寸
法を有することが望ましい。
【0030】実際の問題の理想化の事例として、中心に
半径aのボイドを含みかつ半径bを有するCVDダイヤ
モンドの球体を考察しよう。かかる球体がボイド内の残
留ガス圧力よりも遥かに高い圧力Pを有する圧力容器内
に配置されている場合、CVDダイヤモンド中の半径方
向応力σr 及び接線応力σt は次式によって与えられ
る。
【0031】 σr =P[b3 (R3 −a3 )/R3 (a3 −b3 )] (8) σt =P[b3 (2R3 +a3 )/2R3 (a3 −b3 )](9) 式中、Rはボイドの中心に起点を有する半径方向ベクト
ルである。最も興味深いのはボイドの表面付近(すなわ
ち、R=a)における応力である。この場合、半径方向
応力σr はゼロに近づくのに対し、接線応力σt は1.
5Pに近づく。
【0032】 R→aのとき、σr →P[1−(a/R)3 ]→0 (10) R→aのとき、σt →1.5P (11) この結果は、レイム(Lame)の弾性理論に関する講義録
(パリ、1852年)中において導かれたものである。
ダイヤモンドについては、塑性降伏強さは温度と共に変
化する。ドフリース(DeVries) の論文[マテリアルズ・
リサーチ・ブレティン(Mat. Res. Bull.) 、第10巻、
1193〜1200頁(1975年)]中には、温度に
対するダイヤモンドの塑性降伏強さの変化が図5として
示されている。この図からわかる通り、1100℃以上
ではダイヤモンドの降伏応力が10キロバールより小さ
くなる。これらの温度下でダイヤモンド安定領域内に維
持するためには、ダイヤモンドを50キロバールより高
い圧力下に保つ必要がある。50キロバールにおいて
は、空洞に加わる接線応力が75キロバールになること
が式11からわかる。これは、1100℃以上における
ダイヤモンドの塑性降伏強さである10キロバールより
も遥かに高い。それ故、ダイヤモンドは空洞の周囲にお
いて滑りによる塑性降伏を示し、従って空洞は潰れて消
失する。下記に概述される理由により、滑りは〈11
0〉方向の4つの(111)型平面及びもう1つの未知
の平面上において起こる。
【0033】多結晶質CVDダイヤモンドについては、
塑性流れに対する追加の制限が必要である。延性の多結
晶が塑性変形を示す場合、各々の結晶粒は隣接した結晶
粒に接合されたままに保たれ、従ってそれらにより規定
された形状に変形する。隣接した結晶粒によって規定さ
れる形状に変形するためには、相異なる方向を向いた滑
り平面上における同時滑りが起こらなければならない。
ただ1つの平行な平行群上における滑りは所要の形状変
化を生み出すことができない。それ故、一般に多結晶質
固体の三次元塑性を得るためには、結晶粒は相異なる方
向を向きかつ幾何学的に独立した少なくとも5つの滑り
系において滑りを生じなければならない。かかる結晶粒
は常に隣接した結晶粒の形状変化に順応し得るのであ
る。
【0034】ダイヤモンドにおいては、〈110〉方向
の4つの相異なる(111)平面上に独立の滑り系が存
在する。上記のごときドフリースの論文から得られた臨
界塑性降伏応力は、これら4つの滑り系に関するもので
ある。多結晶質CVDダイヤモンドについてはもう1つ
の滑り系が必要であるから、更に別の滑り系が作用して
いるはずである。残念ながら、このような追加の滑り系
に関するダイヤモンドの臨界塑性降伏応力を観測若しく
は測定した者は誰もいない。このような滑り系に関する
臨界塑性降伏応力が75キロバールを越えていれば、上
記の条件下で塑性降伏は起こらず、従ってボイドは潰れ
ない。とは言え、二次滑り系に関する典型的な塑性降伏
応力は一次滑り系に関する臨界塑性降伏応力の1.5倍
を越えないから、このような状況は極めて起こり難い。
ダイヤモンドの場合、これは全部で5つの滑り系に関し
て必要な臨界塑性降伏応力が一次(111)滑り系に関
してドフリースにより観測された10キロバールではな
くて15キロバールであることを意味している。
【0035】本発明の好適な実施の態様に従えば、特定
の物体を成す原料CVDダイヤモンドがプレス装置の内
部に配置され、そしてそれにアニールが施される。かか
るアニールは、ダイヤモンドが炭素の熱力学的に安定な
相となるような環境が実現されるようにしながら極めて
高い圧力下で熱処理を施すことによって行われる。この
ようなアニール条件は一般に1000〜2000℃の範
囲内の温度及び1〜20GPaの範囲内の圧力から成っ
ており、また好ましくは1400〜1700℃の範囲内
の温度及び5〜7GPaの範囲内の圧力から成ってい
る。
【0036】アニール条件は、原料ダイヤモンド物体か
ら除去すべき欠陥又は密度勾配の種類に依存する。亀裂
又はボイドによって引起こされた密度変動は、塑性流れ
をもたらす比較的温和な条件によって除去することがで
きる。しかるに、双晶又は転位のごとき結晶欠陥によっ
て引起こされた密度変動は、原子状炭素の拡散をもたら
すより激しい条件によって除去することができる。図1
には、ダイヤモンド物体中において塑性流れ及び原子拡
散の両方をもたらす概略の温度及び圧力範囲を規定する
(ドフリースによる)グラフが示されている。原料ダイ
ヤモンド物体は、一般に数分間ないし数日間にわたり、
多くは1〜24時間にわたり、そしてより多くは6〜1
0時間にわたり高温高圧条件下に保持すればよい。
【0037】アニール工程に際しては、塩類又は非反応
性金属をはじめとする不活性の圧力伝達流体又は固体中
に原料ダイヤモンド物体を配置することができる。力が
加えられる外部表面からダイヤモンド表面に圧力を伝達
するために使用される圧力媒質は、アニール工程にとっ
て極めて重要である。かかる媒質は、圧力装置内におい
て圧力を損失なくダイヤモンド表面に連続的に伝達する
ものでなければならない。かかる媒質はまた、熱的かつ
化学的に安定なものでなければならない。すなわち、ダ
イヤモンド表面の存在下において、かかる媒質はそれ自
体が化学的に劣化したり、反応への関与や反応の促進を
示したり、あるいはダイヤモンド物体の溶解や分解を生
じたりすることなくアニール工程の温度、圧力及び時間
条件に耐え得るものでなければならない。適当な媒質は
アニール条件下で安定な流体又は気体あるいは高度の塑
性を示す固体であって、後者の実例としては塩化ナトリ
ウムのごとき塩類、酸化マグネシウムのごとき酸化物、
及び黒鉛のごとき炭素が挙げられる。かかる媒質はま
た、公知の方法によって高温高圧条件下に密封し得ると
共に、ガスケット材料と同等の小さい体積圧縮性を有す
るものでなければならない。すなわち、かかる媒質はボ
イドを含まないと共に、アニール条件下でそれの理論格
子密度に近い密度を有するものでなければならない。
【0038】本発明に従えば、こうして得られる密度勾
配の低減したCVDダイヤモンドはダイヤモンドが炭素
の熱力学的に安定な相となるような温度及び圧力の下で
高密度化されたものである。かかるCVDダイヤモンド
はボイドの寸法の縮小によって特徴づけられる。これら
のボイドは圧縮されたボイドと呼ばれる。ボイドの寸法
の縮小にはボイド内のガス圧の増大が付随するものと考
えられる。最初、原料CVDダイヤモンド中のボイドは
化学蒸着工程の圧力に近似した圧力の気体物質を含有し
ている。しかるに、密度勾配の低減したCVDダイヤモ
ンド中における最終のボイド(すなわち、圧縮されたボ
イド)は高密度化工程の圧力からダイヤモンドの降伏強
さを差引いた値に近似した内部圧力を有している。
【0039】高温高圧アニール工程からダイヤモンド物
体を取出した後には、ダイシング、研磨又は(レーザー
若しくは機械的手段による)穴あけによってそれらを電
気光学的、音響学的又は熱機械的装置に加工したり、あ
るいは元来意図されていた任意の用途においてそれらを
使用したりすることができる。上記の方法に対する別法
として、ダイヤモンド物体に成形、研磨又はその他の仕
上げを施した後にそれらを圧縮することが望ましい場合
もある。また、上記の方法に対する別法として、三次元
物体(たとえば、管、ノズル、ビーズ、軸受、半球又は
その他の特異な形状の部材)に対してアニールを施すこ
ともできる。
【0040】本発明によれば、CVDダイヤモンドから
開始しかつ物体の完成をもって終了する任意の工程系列
が意図されていて、本発明の処理は1つ以上の中間工程
において行われる。その場合、研磨、成形及びダイシン
グの諸工程は加工業者の都合に応じて任意の順序で実施
することができる。本発明によればまた、単結晶ダイヤ
モンド物体及び多結晶質ダイヤモンド物体を含めたその
他の種類のダイヤモンド物体の性質を改善することも意
図されている。かかるダイヤモンド物体の実例として
は、ダイヤモンド線引きダイス、ダイヤモンド工具、ダ
イヤモンド摩耗部品(減摩用のダイヤモンド表面を含
む)、ダイヤモンド窓、ダイヤモンド放熱体、ダイヤモ
ンド電子部品(アニール条件下でドーピングを施したも
のを含む)、並びにのこぎり、ドリル及び研削工具用の
ダイヤモンドグリットが挙げられる。
【0041】線引きダイス用途においては、最終製品が
望ましい性質を有するようにするために不透明でない高
純度の原料CVDダイヤモンドを使用することが望まし
い。本発明の方法によって得られる高密度化ダイヤモン
ドは原料ダイヤモンド材料に応じた純度及びその他の特
性を有するから、高品質のダイヤモンドを要求する用途
において最終の高密度化ダイヤモンドを望ましく使用す
るためには、特定の望ましい特定を有する原料ダイヤモ
ンドを使用することが好ましい。好適な用途のための原
料CVDダイヤモンドの厚さは一般に0.2〜10mm
であり、また好ましくは0.3〜1.2mmである。ま
た、好適な光学的性質として、約300〜1400nm
の範囲内の波長を有する光を使用した場合に約1.6m
il-1未満の吸光度を有することが挙げられる。この波
長範囲内においては、波長が300nmから1400n
mまで増加するのに伴って吸光度は約1.6mil-1
ら0.2mil-1にまで直線的に低下する。また、波長
が約1400nmから約2400nmまで増加するのに
伴って吸光度は0.2mil-1から0.1mil-1未満
にまで低下する。
【0042】光学的用途のために好適な原料CVDダイ
ヤモンドフィルムは、前述のごとく、〈110〉方向が
底面に対して垂直に配列した結晶粒から成るのが通例で
ある。また、ダイヤモンド結晶粒が開口に平行な方向及
び開口の軸方向に対して垂直な方向の両方についてラン
ダムな配列状態を有していてもよいことを理解すべきで
ある。CVDダイヤモンドの結晶粒度が十分に小さい場
合、ランダムな結晶粒配列状態を得ることができる。光
学的用途のために好適な原料CVDダイヤモンドフィル
ムは、上記のごとき性質を有すると共に、互いに隣接し
たダイヤモンド結晶粒間の粒界には前述の特許明細書中
に示されているごとくダングリング炭素原子を飽和させ
る水素原子を含有することが好ましい。好適な原料CV
Dダイヤモンドフィルムは一般に2000ppm未満の
水素濃度を有し、また好ましくは900ppm未満の水
素濃度を有する。原子比率で表わされた水素濃度は一般
に10〜約1000ppmの範囲内にあり、また好まし
くは約10〜500ppmの範囲内にある。好適な原料
CVDダイヤモンド物体は20ミクロン好ましくは10
ミクロンより大きい直径を有するボイドを含有せず、ま
たその他の物質若しくは炭素相から成る介在物を含有し
ない。
【0043】光学的用途のために好適な原料CVDダイ
ヤモンドフィルムは不透明でなく(すなわち、透明又は
半透明であり)、また1ppbより高い原子比率で酸素
を含有する。鉄、ニッケル又はコバルトのごとき触媒物
質から成る望ましくない不純物は、10ppm未満の原
子比率で存在することが好ましい。これらの不純物は、
競合する高温高圧ダイヤモンド合成法に付随するのが通
例である。かかるCVDダイヤモンドフィルム中にはま
た、0.1〜1000ppmの原子比率で窒素が存在す
ることもある。
【0044】Si、Ge、Nb、V、Ta、Mo、W、
Ti、Zr又はHfから成る基体上への蒸着によって好
適な原料CVDダイヤモンドフィルムが製造される場
合、中性子放射化分析によれば、これらの基体上におい
て製造されたCVDダイヤモンドフィルム中には小量の
これらの基体材料が混入することが判明した。それ故、
かかるフィルムは10ppbより多くかつ10ppmよ
り少ない量のSi、Ge、Nb、V、Ta、Mo、W、
Ti、Zr又はHfを含有することがある。更にまた、
かかるフィルムは1ppmより多い量のハロゲン(すな
わち、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素)を含有すること
もある。その他の添加剤としては、目的添加剤として存
在することのあるN、B、O及びPが挙げられる。な
お、これらの物質は成長工程中において目的添加剤とし
て添加されることがある。
【0045】更に説明を続ければ、CVDダイヤモンド
フィルム中の固有応力を低減させるため、あるいはフィ
ルムの耐酸化性を向上させるため、目的添加剤としてホ
ウ素を使用することができる。その場合、ホウ素は1〜
4000ppmの原子比率で存在するのが通例である。
また、N、S、Ge、Al及びPのごとき添加剤はそれ
ぞれ100ppm未満の濃度で存在することが好まし
い。なお、それより高い濃度においても適当なフィルム
を製造し得ることを理解すべきである。不純物の濃度が
低いほど、靱性や耐摩耗性のごとき望ましい性質にとっ
て有利である場合が多い。最も好適なフィルムは、5p
pm未満(好ましくは1ppm未満)の不純物及び目的
添加剤を含有するものである。この場合、水素、窒素及
び酸素は目的添加剤または不純物とは見なされない。な
ぜなら、これらの成分は製造方法の結果として存在する
ものだからである。本発明においては、かかる高純度の
原料ダイヤモンドフィルムはマイクロ波CVD法、高周
波CVD法、DCジェットCVD法、高温フィラメント
CVD法又は燃焼炎CVD法のごとき各種の方法によっ
て製造し得ることを理解すべきである。
【0046】
【実施例1】約2mmの直径及び約0.5mmの厚さを
有する成長したままのCVDダイヤモンドウェーハを2
つに分割した。一方の断片を黒鉛箔シートの間に挟み、
そしてKCl粉末中において約50キロバール及び13
00℃の条件下で15分間にわたりアニールを施した。
このような条件下ではKClは融解せず、そして圧力は
黒鉛箔を通してダイヤモンドウェーハに加えられた。ウ
ェーハ表面に加わる圧力は、黒鉛箔が容易に塑性変形を
生じることによって一様に分配された。応力除去アニー
ル前のウェーハの一部分の光学顕微鏡像を応力除去アニ
ール後の同じウェーハの一部分の光学顕微鏡像と比較し
たところ、アニールに由来する差異は明らかであった。
また、透過直交偏光によって同じウェーハを検査したと
ころ、アニールを受けない部分には複屈折によって証明
されるようなひずみ場が認められた。様々な色の暗領域
及び明領域が明らかであった。アニールを受けた部分
は、偏光の一様性によって表わされる複屈折の減少によ
って証明されるような応力の低減を示した。また、暗い
陰影の付いたひずみ領域からはひずみが除去された。処
理済みのCVDダイヤモンド中に暗領域が存在しなかっ
たことは、応力が除去された証拠である。なお、未処理
のCVDダイヤモンド中に存在する応力は複屈折及び変
化する多色パターンを引起こした。
【図面の簡単な説明】
【図1】ダイヤモンドの降伏強さを温度に対してプロッ
トした曲線(P−T曲線)及びドフリース(DeVries) の
論文〔マテリアルズ・リサーチ・ブレティン(Mat. Res.
Bull.) 、第10巻、1193〜1200頁(1975
年)〕から引用したダイヤモンド−黒鉛曲線を示すグラ
フである。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成7年3月3日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0036
【補正方法】変更
【補正内容】
【0036】アニール条件は、原料ダイヤモンド物体か
ら除去すべき欠陥又は密度勾配の種類に依存する。亀裂
又はボイドによって引起こされた密度変動は、塑性流れ
をもたらす比較的温和な条件によって除去することがで
きる。しかるに、双晶又は転位のごとき結晶欠陥によっ
て引起こされた密度変動は、原子状炭素の拡散をもたら
すより激しい条件によって除去することができる。前記
ドフリース(DeVries)のグラフはダイヤモンド
物体中において塑性流れ及び原子拡散の両方をもたらす
概略の温度及び圧力範囲を規定している。原料ダイヤモ
ンド物体は、一般に数分間ないし数日間にわたり、多く
は1〜24時間にわたり、そしてより多くは6〜10時
間にわたり高温高圧条件下に保持すればよい。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図面の簡単な説明
【補正方法】削除
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図1
【補正方法】削除
【手続補正書】
【提出日】平成7年5月10日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0036
【補正方法】変更
【補正内容】
【0036】アニール条件は、原料ダイヤモンド物体か
ら除去すべき欠陥又は密度勾配の種類に依存する。亀裂
又はボイドによって引起こされた密度変動は、塑性流れ
をもたらす比較的温和な条件によって除去することがで
きる。しかるに、双晶又は転位のごとき結晶欠陥によっ
て引起こされた密度変動は、原子状炭素の拡散をもたら
すより激しい条件によって除去することができる。図1
には、ダイヤモンド物体中において塑性流れ及び原子拡
散の両方をもたらす概略の温度及び圧力範囲を規定する
(ドフリースによる)グラフが示されている。原料ダイ
ヤモンド物体は、一般に数分間ないし数日間にわたり、
多くは1〜24時間にわたり、そしてより多くは6〜1
0時間にわたり高温高圧条件下に保持すればよい。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図面の簡単な説明
【補正方法】追加
【補正内容】
【図面の簡単な説明】
【図1】ダイヤモンドの降伏強さを温度に対してプロッ
トした曲線(P−T曲線)及びドフリース(DeVries)の
論文[マテリアルズ・リサーチ・ブレティン(Mat. Re
s.Bull.)、第10巻、1193〜1200頁(197
5年)]から引用したダイヤモンド−黒鉛曲線を示すグ
ラフである。
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図1
【補正方法】追加
【補正内容】
【図1】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 クリフォード・ローレンス・スピロ アメリカ合衆国、ニューヨーク州、ニスカ ユナ、トロイ・ロード、2801番 (72)発明者 スティーブン・ウイリアム・ウエッブ アメリカ合衆国、オハイオ州、ワーシント ン、バック・ラブ・コート、1492番 (72)発明者 ブラッドリイ・アール・ウイリアムズ アメリカ合衆国、オハイオ州、ワーシント ン、リレイ・アヴェニュー、544番

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ボイドを有する種類の化学蒸着ダイヤモ
    ンド物体をダイヤモンドが炭素の熱力学的に安定な相と
    なるような十分に高い温度及び圧力の下で処理すること
    により、前記ボイドの寸法を縮小して密度勾配及び応力
    勾配の低減したダイヤモンド物体を形成することを特徴
    とする、密度勾配及び応力勾配の低減したダイヤモンド
    物体の製造方法。
  2. 【請求項2】 ボイドを有する種類の前記ダイヤモンド
    物体が低圧の気体物質を含んだボイドを有する原料ダイ
    ヤモンド物体から成る請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 密度勾配の低減した前記ダイヤモンド物
    体が前記原料ダイヤモンド物体よりも高い圧力の下で気
    体物質を含んだボイドを有する高密度化ダイヤモンド物
    体から成る請求項2記載の方法。
  4. 【請求項4】 前記原料ダイヤモンド物体を前記十分に
    高い温度及び圧力の下で処理することにより、前記ボイ
    ドの寸法が縮小されて前記高密度化ダイヤモンド物体が
    得られる請求項3記載の方法。
  5. 【請求項5】 前記原料ダイヤモンド物体が1000〜
    2500℃の範囲内の温度及び1GPa〜20GPaの
    範囲内の圧力を含む高温高圧条件下で処理される請求項
    4記載の方法。
  6. 【請求項6】 前記原料ダイヤモンド物体が主として
    〈110〉、〈100〉又は〈111〉方位を有するダ
    イヤモンド結晶粒から成る実質的に透明な柱体によって
    構成される請求項5記載の方法。
  7. 【請求項7】 前記原料ダイヤモンド物体においては、
    互いに隣接したダイヤモンド結晶粒間の粒界が実質的に
    飽和したダングリング炭素結合を有する請求項5記載の
    方法。
  8. 【請求項8】 前記ボイドが水素及び炭素から成る混合
    ガスを含む請求項5記載の方法。
  9. 【請求項9】 前記原料ダイヤモンド物体が不純物又は
    目的添加剤を4000ppm未満の量で含有する請求項
    5記載の方法。
  10. 【請求項10】 気体物質を含む圧縮されたボイドを有
    する低圧化学蒸着ダイヤモンド物体から成ることを特徴
    とする、密度勾配及び応力勾配の低減した化学蒸着ダイ
    ヤモンド物体。
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