JPH07331391A - 切削性が改良されたフェライト系ステレンス鋼 - Google Patents

切削性が改良されたフェライト系ステレンス鋼

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JPH07331391A
JPH07331391A JP7156765A JP15676595A JPH07331391A JP H07331391 A JPH07331391 A JP H07331391A JP 7156765 A JP7156765 A JP 7156765A JP 15676595 A JP15676595 A JP 15676595A JP H07331391 A JPH07331391 A JP H07331391A
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steel
ferritic
sulfur
calcium
stainless steel
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JP7156765A
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Pierre Pedarre
ペダール ピエール
Pascal Terrien
テリアン パスカル
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YUUJINU SABOWA
Ugine Savoie SA
Original Assignee
YUUJINU SABOWA
Ugine Savoie SA
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Publication date
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    • C22METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
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    • C22C38/00Ferrous alloys, e.g. steel alloys
    • C22C38/60Ferrous alloys, e.g. steel alloys containing lead, selenium, tellurium, or antimony, or more than 0.04% by weight of sulfur
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C22METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C22METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
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    • C22C38/18Ferrous alloys, e.g. steel alloys containing chromium

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Abstract

(57)【要約】 【構成】 炭素≦0.17%、珪素≦2%、マンガン≦2
%、クロム11〜20%、ニッケル<1%、硫黄≦0.55%、
カルシウム≧30×10-4%、酸素≧70×10-4%で、カルシ
ウムと酸素の比Ca/Oは 0.2≦Ca/O≦0.6 である組成
を有し、圧延・冷却後にアニール熱処理してフェライト
構造になる切削性が向上した穿孔加工で使用可能なフェ
ライト構造ステンレス鋼。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は切削性が改良されたフェ
ライト構造のステンレス鋼に関するものであり、特に、
旋盤加工(decolletage) で使用可能なフェライトステン
レス鋼に関するものである。
【0002】
【従来の技術】クロムを少なくとも10.5%含む鉄合金は
ステンレス鋼とよばれる。このステンレス鋼の組成に他
の元素を入れると鋼の構造・特性が変わる。構造的に異
なる主要な鋼は下記の4つである: マルテンサイト構造のステンレス鋼 オーステナイト構造のステンレス鋼 オーステノフェライト構造のステンレス鋼 フェライト構造のステンレス鋼 フェライトステンレス鋼は所定組成によって特徴付けら
れ、フェライト構造は熱処理(recuit)することによっ
て、その組成物の圧延・冷却後に得られる。
【0003】フェライトステンレス鋼はクロム含有量と
炭素含有量とに応じて下記4つの種類に大別できる: 1) 炭素含有量が0.17%以下のフェライトステンレス
鋼。この鋼は製造後に冷却するとオーステノフェライト
二相構造になる。炭素含有量が比較的高いが、アニール
後にフェライトステンレス鋼に転化する。 2) クロム含有量が11〜12%の範囲のフェライトステン
レス鋼。これはクロムを12%含むマルテンサイト鋼に極
めて近いが、炭素含有量がかなり低いという点でマルテ
ンサイト鋼とは異なる。例えば、規格の炭素含有量で示
したフェライト鋼およびマルテンサイト鋼の種類を〔表
1〕に示した。
【0004】
【表1】
【0005】3) クロム含有量が17%のフェライトステ
ンレス鋼。これは最も普通のもの。炭素含有量によって
多くの変形が存在する。モリブデンを添加すると耐食性
が改良する。一般に、鋼のフェライト構造はクロムカー
バイドの量を制限することで得られるので、大部分のフ
ェライト鋼の炭素含有量は0.12%以下であり、0.08%以
下の場合もある。チタン、ニオブ、ジルコニウム等の炭
素または窒素に対する親和力の強い元素を添加して安定
化させたクロム含有量が17%のフェライトステンレス鋼
もある。 4) クロム含有量が高い(一般には24%以上)のフェラ
イトステンレス鋼。
【0006】冶金学的観点でみると、鋼組成にある種の
元素を入れると体心立方構造を有するフェライト相の出
現を促進するということが知られており、これらの元素
はα形成元素とよばれる。その中にクロムおよびモリブ
デンが含まれる。γ形成元素とよばれる他の要素は面心
立方構造を有するγオーステナイト相の出現を促進す
る。この元素の中に炭素、窒素、ニッケルが含まれる。
【0007】鋼の熱間圧延時に鋼の構造が二相すなわち
フェライト構造とオーステナイト構造とになることがあ
る。例えば、急速冷却すると最終構造はフェライトおよ
びマルテンサイトになる。ゆっくり冷却するとオーステ
ナイトが部分的にフェライトおよびカーバイドに分解す
るが、加熱時にはオーステナイトはフェライトより炭素
を多く溶解させるので、カーバイド含有量は周りのマト
リックスより高くなる。どちらの場合も、完全なフェラ
イト構造を生成するためには熱間圧延、冷却した鋼を焼
戻し(revenu)またはアニール(recuit)しなければならな
い。焼戻しはカーバイドの沈澱を生じるα→γ遷移温度
A1より低い約 820℃の温度で行うことができる。
【0008】また、アニールをより高い温度、例えば 8
70℃で実施することもできる。この場合にはマルテンサ
イトがより顕著に軟化するが、一部はオーステナイトへ
転化する。従って、ゆっくりと冷却してオーステナイト
をフェライトおよびカーバイドに分解し新たにマルテン
サイトが生成するのを防止する必要がある。いわゆる安
定化フェライト鋼の製造では、炭素とチタンおよび/ま
たはニオブ等の安定化元素とを組み合わせてγ形成相を
無くすので、マトリックス中に存在することはない。こ
の場合、熱間圧延後に構造が完全にフェライト系である
鋼を得ることができる。
【0009】物理特性の観点からは、フェライト鋼とオ
ーステナイト鋼との最も明らかな相違点は、フェライト
鋼は強磁性を示す点である。フェライト鋼の熱伝導性は
極めて低く、室温ではマルテンサイト鋼の熱伝導性とオ
ースナイト鋼の熱伝導性との間にある。切削加工中の鋼
の温度に対応する 800〜1,000 ℃ではオーステナイト鋼
の熱伝導性に等しい。切削加工の観点からは、フェライ
ト鋼の熱膨脹係数はオーステナイト鋼の熱膨脹より約60
%高い。また、フェライト鋼の機械特性はマルテンサイ
ト鋼およびオーステナイト鋼に明らかに劣る。フェライ
ト系、マルテンサイト系およびオーステナイト系のステ
ンレス鋼と、それらの機械特性(Rm )は〔表2〕に示
してある。
【0010】
【表2】
【0011】フェライト構造を有する鋼を製造する際の
圧延温度での降伏応力はオーステナイト鋼またはマルテ
ンサイト鋼よりはるかに低い。従って、圧延は比較的低
い温度で実施される。例えば、圧延温度 1,100℃、変形
速度1s-1での降伏応力は、AISI 420A型のマルテ
ンサイト鋼では 110MPa、AISI 304型のオーステナ
イト鋼では 130MPaであるが、AISI 430型のフェラ
イト鋼では30MPaである。
【0012】フェライト構造を有する鋼をマルテンサイ
ト鋼またはオーステナイト鋼のように急冷(teemp)また
は過急冷 (hypertremp) 型の急速冷却することはなく、
一般には、フェライト鋼の構造を与えるための極めて特
殊なオフラインで熱処理を行う。このオフライン熱処理
の目的はクロム元素を均質化し、クロムカーバイドの生
成を抑え、クロム減損領域の出現を防止することにあ
る。例えば、非安定化クロムを17%含むフェライト構造
の鋼は圧延後にフェライトとマルテンサイトの構造を有
する。熱処理によってマルテンサイトはフェライトおよ
びカーバイドに転化され、クロムが均一に分布される。
【0013】使用分野では、フェライトステンレス鋼に
はオーステナイトまたはマルテンサイト構造のステンレ
ス鋼の場合の問題とは極めて異なる切削性の問題があ
る。すなわち、フェライト鋼の大きな欠点は切屑の形が
極めて貧弱なことであり、細かく分けるのが極めて困難
な長くてもつれた切屑ができることである。このことは
切屑が閉じ込められる切削法、例えば深穴加工や分割加
工(tronconnage) では不便なことであり(操作者が機械
の近くで管理する必要がある)、コストがかかるという
欠点につながる。
【0014】この問題を解決するための1つの方法は切
削速度を速くして切屑を細分化することであるが、切削
速度を大きくすると工具寿命が大幅に短くなるだけでな
く、機械を常に十分に速い速度にすることができるとは
限らず、特に、穿孔加工(decolletage) で直径の小さい
部品を製造する場合には速い速度にすることはできな
い。
【0015】フェライト鋼の切削加工時のこの問題を軽
減するための別の解決方法は、組成の硫黄を入れること
である。硫黄はマンガンと共に切屑の細分化に好ましい
硫化マンガンを形成する。従って、工具の寿命が長くな
る。しかし、硫黄はフェライト鋼の特性、特に熱間また
は冷間での変形性(deformabilite) と耐食性を悪くす
る。一般に、フェライト鋼は、切削工具を磨耗させるク
ロマイト(Cr Mn、Al Ti)O型、アルミナ(AlMg)O型また
はケイ酸塩(SiMn)O型の硬い介在物を含んでいる。従っ
て、硫黄を添加したフェライト鋼は良好な切削性を有す
るが、耐食性だけでなく横断方向の機械特性が大幅に劣
ることが分かっている。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、例え
ば、硫黄を添加したフェライト鋼よりはるかに優れた特
性を有する切削性が向上したフェライト鋼、特に、硫黄
を全く含まないか、ほとんど含まない切削可能なフェラ
イト鋼を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明の対象は、下記組
成を有する切削性が向上した、穿孔加工で使用可能なフ
ェライト構造ステンレス鋼にある: 炭素 ≦0.17% 珪素 ≦2% マンガン ≦2% クロム 11〜20% ニッケル <1% 硫黄 ≦0.55% カルシウム ≧30×10-4% 酸素 ≧70×10-4% カルシウムと酸素の比Ca/Oは 0.2≦Ca/O≦0.6 。
【0018】本発明のフェライト構造ステンレス鋼は下
記組成を有するのが好ましい: 炭素 ≦0.12% 珪素 ≦2% マンガン ≦2% クロム 15〜19% ニッケル <1% 硫黄 ≦0.55% カルシウム ≧35×10-4% 酸素 ≧70×10-4% カルシウムと酸素の比Ca/Oは0.35≦Ca/O≦0.6 。
【0019】本発明の1実施例のフェライト構造ステン
レス鋼は下記組成を有する: 炭素 ≦0.08% 珪素 ≦2.0 % マンガン ≦2.0 % クロム 15〜19% ニッケル <1% 硫黄 ≦0.55% カルシウム ≧35×10-4% 酸素 ≧70×10-4% カルシウムと酸素の比Ca/Oは0.35≦Ca/O≦0.6 。
【0020】本発明の上記以外の特徴は下記の点にあ
る: 1) フェライト鋼が硫黄を0.035 %以下含む。 2) フェライト鋼が硫黄を0.05〜0.15%含む。 3) フェライト鋼がその組成中にモリブデンを3%以下
含む。 以下、添付図面を参照して本発明を説明するが、本発明
は下記実施例に限定されるものではない。
【0021】
【作用】一般に、ステンレス鋼の切削性で問題となる事
項は使用する鋼の構造によって異なるだけでなく、各構
造に特異的である。フェライト鋼の切削で問題となる点
はオーステナイト鋼またはマルテンサイト鋼を切削する
場合の問題点とは何の関係もない。例えば、オーステナ
イトステンレス鋼の問題点は加工硬化と切削工具の磨耗
が極めて早く切屑の形が貧弱であるという点にあるが、
フェライト鋼の問題点とは比較できない。
【0022】
【実施例】〔図1〕〔図2〕は、硫黄の添加のないAI
SI 430フェライト鋼(参照A)と、AISI 304オー
ステナイト鋼とで測定した供給速度と切削深さとを関数
とした切屑の形の概略図である。〔図3〕は切屑の形を
比較するための表であり、各種の切屑の形に一連の数を
付けたものである。最初の数は表の縦列を形成する各切
屑の一般的な図を示し、例えば、1はリボン状切屑、2
は管状切屑、3は螺旋状切屑、4は座金型螺旋切屑、5
は円錐形螺旋切屑、6はアーチ形切屑、7は細かい切
屑、8は針型切屑をそれぞれ示している。第2の数は各
列での寸法および形状の特性を示し、例えば1は長い、
2は短い、3はもつれている、4は平ら、5は円錐形、
6は互いに付着している、7は分離していることをそれ
ぞれ意味している。
【0023】マルテンサイトステンレス鋼は高い機械特
性を有し、従って、切削温度が高くなり、工具を急速に
磨耗させる。フェライト構造ステンレス鋼は機械特性が
低いので、マルテンサイト鋼と同じような切削工具の磨
耗および劣化は起こらない。フェライト構造ステンレス
鋼は硫黄含有量によって下記2種のフェライト構造が存
在する: 1) 硫黄含有量が0.15〜0.55%の範囲にある穿孔鋼。こ
の鋼を穿孔した場合には良好な切削性を示すが、耐食性
が劣る。 2) 硫黄含有量が0.035 %以下の標準的鋼。この鋼は良
好な耐食性を示すが、穿孔加工の種々の問題のために、
加工できないか、ほとんどできない。硫黄含有量がこれ
らの中間の0.05〜0.15%の範囲にある鋼は市販されてい
ない。その理由は、この硫黄含有量ではその切削性がい
わゆる硫黄添加した鋼に比較してほんのわずか改良され
るだけで、耐食性が悪くなるという欠点に比べて実際の
利点がないためである。
【0024】本発明のフェライトステンレス鋼は穿孔加
工で使用可能な切削性が向上した鋼であり、重量組成で
0.17%以下の炭素、2%以下の珪素、11〜20%のクロ
ム、1%以下のニッケル、0.55%以下の硫黄、30×10-4
%以上のカルシウム、70×10-4%以上の酸素を含み、製
造後にアニール処理してフェライト構造にしたものであ
る。鋼の工業的製造では、組成中にニッケルが存在して
もそれは減少または除去させるのが好ましい単なる残留
元素に過ぎない。
【0025】カルシウムおよび酸素を所定の意図的な量
すなわち 0.2≦Ca/O≦0.6 を満たす高い含有量で導入
することによって〔図4〕に示すような Al23 /SiO
2 /CaO三元図でアノルサイト(anorthite) /ゲーレナ
イト(gehlenite) /擬ウォラスナイト(pseudo-wollasto
nite) の3つの領域内から選択される可鍛性(malleabl
e) 酸化物がフェライト鋼中に形成できる。その結果、
クロマイト、アルミナおよび珪酸塩型の硬くて磨耗性の
ある介在物の生成が、カルシウムおよび酸素の存在によ
って減少する。フェライト構造の鋼中に存在する硬い酸
化物に代えて上記カルシウムと酸素とをベースとした酸
化物を導入しても、熱間または冷間での変形性、耐食性
等のフェライト鋼の他の特性は変化しないということは
確認されている。
【0026】こうして得られたフェライト鋼は良好な切
削性を有し、鋼の組成中に硫黄が存在することによって
切屑は細かくなる。しかも、驚くべきことに、上記可鍛
性酸化物をこの鋼に導入することによって、切削性が大
きく改善されるということが分かった。可鍛性鋼に含ま
れるいわゆる可鍛性介在物は、オーステナイトまたはマ
ルテンサイト構造の可鍛性鋼中の可鍛性介在物とは異な
る挙動を示す。すなわち、フェライト鋼の圧延温度は他
の構造の鋼の圧延温度より低く、圧延温度でのフェライ
ト鋼の降伏応力(contrainte d'ecoulement) は極めて低
い。このように降伏応力が低いので、いわゆる可鍛性酸
化物が変形して切削時の切屑の形とその挙動に影響を与
えるということは全く予想外のことであった。
【0027】〔図5〕〔図6〕は、工具の送り速度と切
削深さとを関数とした硫黄添加されたAISI 430F型
の参照鋼Cと硫黄添加された本発明の鋼Sとの切屑の形
を示す概念図である。参照鋼Cの鋼組成を〔表3〕に示
す:
【0028】
【表3】 本発明の鋼Sの組成は〔表4〕に示す:
【0029】
【表4】
【0030】本発明の鋼での切屑の除去現象は極めて特
異的である。切屑に傷が付かずに細分化割合が大幅に大
きくなる。硫黄含有量が0.035 %以下のフェライト鋼に
も所定量のカルシウムと酸素とを導入した。本発明の鋼
は耐食性を改良する元素であるモリブデンを3%以下含
むことができる。硫黄を全く含まないかほとんど含まな
い本発明のフェライト構造鋼では切削性が大きく改良さ
れるので、良好な耐食性を維持したまま穿孔加工で工業
的に使用することができる。
【0031】本発明の1実施例では、アノルサイト、ゲ
ーレナイト及び擬ウォラスナイト型の酸化物を含まず且
つ硫黄添加の無いフェライト鋼(参照A)と、本発明の
2つの鋼C1およびC2とで、切削性を比較した。〔表
5〕は参照鋼Aの組成を示し、〔表6〕は本発明の鋼C
1、C2の組成を示す。
【0032】
【表5】
【0033】
【表6】
【0034】〔図7〕は、参照鋼A、鋼C1、鋼C2を
切削性テストした時の被覆カーバイド工具の各磨耗量を
示している。このテストは、より厳しい条件とするため
に潤滑剤なしで実施した。参照鋼A(曲線A)、本発明
の鋼C1(曲線C1)および鋼C2(曲線C2)を比較
することによって、工具のすくい面(depouille) の磨耗
が減少することが分かる。すなわち、鋼C1の組成は金
属中のカルシウムが少ないのでいわゆるアノルサイト、
ゲーレナイトおよび擬ウォラスナイト型の可鍛性酸化物
を含まない。〔図8〕の概念図から分かるように、本発
明の鋼C2の細分化区域は参照鋼Aよりはるかに大き
く、硫黄添加したフェライト鋼である参照鋼Cに近い。
硫黄含有量が中間の0.05〜0.15%の範囲にある鋼の場合
にも、本発明の鋼は硫黄添加の鋼に匹敵する切削性を有
し、しかも、耐食性に優れていることが確認されてい
る。
【0035】別の用途では、フェライト鋼中にいわゆる
可鍛性酸化物が存在することによってさらに別の利点が
あることが分かった。すなわち、可鍛性酸化物は圧延方
向に変形できる(これに対して、硬い酸化物は粒状形状
を有している)。従って、直径の小さいフェライト鋼の
ワイヤを線引きする場合には、本発明による介在物は伸
線ワイヤの破損率を減少させる。
【0036】フェライトステンレス鋼のワイヤをシアリ
ング(rasage)してスチールウールを製造する場合には、
硬い介在物によって削り工具が急速に磨耗し、しかも、
その形状が粒状であるため破損が多くなり、スチールウ
ールの品質を損なう。本発明では、削られるワイヤ形状
のフェライトステンレス鋼が可鍛性介在物を含むので、
平均長さがより大きいスチールウールストランドが形成
でき、残留ワイヤの量の少ない削り加工を行うことがで
き、従って、材料を節約することができる。
【0037】本発明の別の用途、例えば研磨作業では、
フェライト鋼に埋め込まれた硬い介在物が表面に孔を生
じさせるが、可鍛性介在物を含む本発明のフェライト鋼
では優れた研磨表面仕上げを得る研磨作業が容易であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 切削条件を関数とした硫黄添加のない公知の
AISI 430型フェライト鋼(参照A)とAISI 304
型オーステナイト鋼の切屑の形の概念図。
【図2】 図1と同様な図。
【図3】 各種金属を穿孔した時に生じる切屑の各種の
形を示す図。
【図4】 本発明フェライト鋼の組成中に導入した可鍛
性酸化物の組成を定義する三元図。
【図5】 切削条件を関数とする公知のAISI 430F
型フェライト鋼Cと、硫黄を添加した本発明の鋼Sとの
切屑の形を示す概念図。
【図6】 図5と同様な図。
【図7】 切削テストで得られた3つの特性曲線を示す
グラフで、Aは参照鋼に対応し、他の2つは硫黄をほと
んど含まない本発明範囲内の2つの鋼C1およびC2に
対応する。
【図8】 供給速度と切削深さとを関数にした本発明の
鋼C2の切屑の形の概念図。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記組成を有する切削性が向上した穿孔
    加工で使用可能なフェライト構造ステンレス鋼: 炭素 ≦0.17% 珪素 ≦2% マンガン ≦2% クロム 11〜20% ニッケル <1% 硫黄 ≦0.55% カルシウム ≧30×10-4% 酸素 ≧70×10-4% カルシウムと酸素の比Ca/Oは 0.2≦Ca/O≦0.6 。
  2. 【請求項2】 下記組成を有する請求項1に記載のフェ
    ライト構造ステンレス鋼: 炭素 ≦0.12% 珪素 ≦2% マンガン ≦2% クロム 15〜19% ニッケル <1% 硫黄 ≦0.55% カルシウム ≧35×10-4% 酸素 ≧70×10-4% カルシウムと酸素の比Ca/Oは0.35≦Ca/O≦0.6 。
  3. 【請求項3】 下記の組成を有する請求項1または2に
    記載のフェライト構造ステンレス鋼: 炭素 ≦0.08% 珪素 ≦2.0 % マンガン ≦2.0 % クロム 15〜19% ニッケル <1% 硫黄 ≦0.55% カルシウム ≧35×10-4% 酸素 ≧70×10-4% カルシウムと酸素の比Ca/Oは0.35≦Ca/O≦0.6 。
  4. 【請求項4】 硫黄含有量が 0.035%以下である請求項
    1または3に記載のフェライト構造鋼。
  5. 【請求項5】 硫黄含有量が0.15〜0.45%の範囲にある
    請求項1〜3のいずれか一項に記載のフェライト構造
    鋼。
  6. 【請求項6】 硫黄含有量が0.05〜0.15%の範囲にある
    請求項1〜3のいずれか一項に記載のフェライト構造
    鋼。
  7. 【請求項7】 モリブデン含有量が3%以下である請求
    項1〜6のいずれか一項に記載のフェライト構造鋼。
  8. 【請求項8】 アノルサイト型および/または擬ウォラ
    ストナイト型および/またはゲーレナイト型のシリカ/
    アルミナカルシウム酸化物の介在物を含む請求項1〜7
    のいずれか一項に記載のフェライト構造鋼。
JP7156765A 1994-05-31 1995-05-31 切削性が改良されたフェライト系ステレンス鋼 Pending JPH07331391A (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
FR9406590A FR2720410B1 (fr) 1994-05-31 1994-05-31 Acier inoxydable ferritique à usinabilité améliorée.
FR9406590 1994-05-31

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Publication Number Publication Date
JPH07331391A true JPH07331391A (ja) 1995-12-19

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ID=9463677

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Application Number Title Priority Date Filing Date
JP7156765A Pending JPH07331391A (ja) 1994-05-31 1995-05-31 切削性が改良されたフェライト系ステレンス鋼

Country Status (23)

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US (1) US5496515A (ja)
EP (1) EP0685567B1 (ja)
JP (1) JPH07331391A (ja)
KR (1) KR100316543B1 (ja)
AT (1) ATE193064T1 (ja)
CA (1) CA2150445C (ja)
CZ (1) CZ288539B6 (ja)
DE (1) DE69516937T2 (ja)
DK (1) DK0685567T3 (ja)
EG (1) EG20895A (ja)
ES (1) ES2147824T3 (ja)
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