JPH07320952A - 静止誘導機器巻線及びその製造方法 - Google Patents

静止誘導機器巻線及びその製造方法

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JPH07320952A
JPH07320952A JP11576594A JP11576594A JPH07320952A JP H07320952 A JPH07320952 A JP H07320952A JP 11576594 A JP11576594 A JP 11576594A JP 11576594 A JP11576594 A JP 11576594A JP H07320952 A JPH07320952 A JP H07320952A
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JP
Japan
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winding
case
filling
silicone oil
insulator
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JP11576594A
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Keiichi Abe
景一 阿部
Hiroshi Sonobe
浩 園部
Yasufumi Nagata
恭文 永田
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 絶縁性能を高くしながら、難燃性を高くす
る。 【構成】 ケース1内に収納される巻線の絶縁物として
表面を粗面化した絶縁物を使用し、絶縁媒体5には、充
填後に付加反応により高粘度シリコーン油状ないしシリ
コーン生ゴム状となるポリシロキサン組成物を使用す
る。ポリシロキサン組成物は、表面を粗面化した絶縁物
を通して巻線内部等の細部まで容易に含浸され、ポリシ
ロキサン組成物の有する絶縁性能が十分に発揮される。
そしてポリシロキサン組成物は、充填後に付加反応によ
り高粘度シリコーン油状ないし生ゴム状となって高粘度
になることにより難燃性が十分高くなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ケース内に巻線を収納
する共に絶縁媒体を充填してなる静止誘導機器巻線及び
その製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、電力需要の拡大に応じて都市部に
静止誘導機器を設置することが多くなってきた。特に静
止誘導機器として例えば大型の変圧器をビルや地下街に
設置することが多くなっており、このような場合、変圧
器には難燃性・安全性・環境調和性が要求されている。
また都市部では地価が高いことから設置場所の制限が厳
しくなり、変圧器の軽量化及び小型化も要求されてい
る。
【0003】このような背景、事情のもとで、都市部に
設置する変圧器として、従来より、エポキシ樹脂で注型
して成形されたモールド変圧器が数多く使用されてい
る。しかし、モールド変圧器は、注型時の硬化反応によ
り発生する熱や硬化時の収縮などによって、クラックや
ボイド等の欠陥が発生し易く、場合によっては高電圧下
で部分放電が発生して絶縁破壊が生ずる恐れがあり、現
状では33kVが実用上の限界である。
【0004】一方、流動性絶縁物としてシリコーン油等
の難燃性絶縁油を充填してなる油入変圧器も提供されて
おり、この変圧器は真空注油等を行うことにより容易に
信頼性の高い絶縁性能を得ることができる。しかし、油
入変圧器用として使用されているシリコーン油は、50
cSt程度の粘度(動粘度)のポリジメチルシロキサン
であり、この程度の粘度のシリコーン油はモールド変圧
器と比較して引火し易いことから、防災上劣るものであ
った。
【0005】そこで、モールド変圧器のような固体絶縁
機器の優れた難燃性と油入変圧器のような液体絶縁機器
の有する優れた絶縁特性とを兼ね備えた防災形変圧器と
して、液体と固体の中間的性状のゲル状絶縁物を用いた
ものが考えられている。このような変圧器の一例が、特
開昭56−118318号公報に開示されている。
【0006】上記公報の変圧器は、鉄心に巻線を巻装し
たものをケース内に収納した後、ケース内に付加反応に
より架橋してゲル状を呈するゲル状シリコーンを充填し
て構成されるものである。この場合、ゲル状シリコーン
は低粘度状態にて充填し、1時間〜2時間加熱もしくは
常温で1日〜2日でゲル化反応(硬化反応)を生じさせ
るもので、上記構成では、ゲル化反応による発熱もな
く、柔軟性が極めて高いことから、クラック等も生じな
いと述べられている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この種
のゲル状シリコーンを大容量高電圧の変圧器に適用した
場合、次のような問題点が生じることがある。一般にシ
ロキサンポリマーは、体積膨張が大きい(例えば100
℃の温度上昇で体積が5〜10%膨張する)ので、周囲
温度や負荷増加により巻線の温度が上昇する際に、充填
されたシリコーンの体積が膨張し、大型機器になるほど
部分的にクラック・ボイドを生じ、絶縁不良を発生する
可能性が高くなる。
【0008】そこで、本発明の目的は、ケース内に絶縁
媒体を充填するように構成して絶縁性能を高くしなが
ら、しかも、難燃性を高くすることができる静止誘導機
器巻線及びその製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の静止誘導機器巻
線は、ケース内に巻線を収納すると共に絶縁媒体を充填
してなる静止器誘導機器巻線において、絶縁媒体とし
て、充填後に付加反応により高粘度シリコーン油状ない
しシリコーン生ゴム状となるポリシロキサン組成物を使
用し、巻線の絶縁物として、表面を粗面化した絶縁物を
使用したことを特徴とする。
【0010】この場合、ポリシロキサン組成物をケース
内に充填した後加熱することにより高粘度シリコーン油
状ないしシリコーン生ゴム状とすることができる。また
ポリシロキサン組成物として、ポリオルガノシロキサン
及び触媒量の白金系化合物からなるA液と、分子中にケ
イ素原子に結合せる水素原子を含有し該水素原子の数が
分子中平均2個以下であるポリオルガノシロキサンから
なるB液とを所定配合で混合した2液混合タイプのもの
をケース内に充填して高粘度シリコーン油状ないしシリ
コーン生ゴム状とすることができる。
【0011】さらにケース内に予めB液を含浸処理して
排出した後、所定配合された2液混合タイプのポリシロ
キサン組成物を充填して高粘度シリコーン油状ないしシ
リコーン生ゴム状とすることもできる。
【0012】
【作用】本発明による静止誘導機器巻線は、ポリシロキ
サン組成物が、表面を粗面化した絶縁物を通して巻線内
部等の細部まで容易に含浸され、ポリシロキサン組成物
の有する絶縁性能が十分に発揮される。そしてポリシロ
キサン組成物は、充填後に付加反応により高粘度シリコ
ーン油状ないし生ゴム状となって高粘度になることによ
り難燃性が十分高くなる。
【0013】またB液を巻線に予備含浸させておけば、
B液はA液よりも絶縁破壊電圧が高いことから、表面を
粗面化した絶縁物を使用したことによる含浸性能の向上
と相俟ってポリシロキサン組成物充填後の絶縁破壊電圧
低下などの影響を防止でき、絶縁性能の優れた静止誘導
機器巻線を構成することができる。
【0014】
【実施例】以下、本発明の一実施例にもとづき、図面参
照して説明する。変圧器の巻線部分の概略構成を示す図
1において、ケース1は、巻線2を収容するものであ
り、例えばエポキシ樹脂等から形成されている。このケ
ース1は、2重円筒状をなす内筒1a、外筒1bと、こ
れら筒部1a、1bの底部側を塞ぐ底板部1cと、筒部
1a、1b間の上部側を塞ぐ天板部1dと、タップ部分
の収容部1e及び口出しリード収容部1fから構成され
ている。
【0015】上記ケース1の内筒部1aの外周面上に
は、軸方向に延び周方向に間隔をおいて配置された半径
方向間隔片2が設けられ、この半径方向間隔片2上に、
絶縁素線3aを円板状に巻回して構成された巻線セクシ
ョンを複数個軸方向に積層した巻線本体3が設けられて
いる。また巻線本体3のセクション間には周方向に間隔
をおいて配置された軸方向間隔片4が設けられている。
この半径方向間隔片2及び軸方向間隔片4は、ポリアミ
ド積層板、エポキシ樹脂、ポリエステル積層板等で形成
されており、耐熱性を有している。そしてタップ部分の
収容部1e及び口出しリード収容部1fを含むケース内
1には、絶縁媒体5が充填されている。
【0016】ここで巻線本体3やリード線を構成する絶
縁素線3aの被覆絶縁物として表面を粗面化した絶縁物
(以下粗面化フィルムと称する)が使用されている。図
2は、粗面化フィルム13aの斜視図を示す。図2に示
した粗面化フィルム13aは、フィルムの延伸時に表面
を粗面化したタイプのフィルムである。フィルムの表面
を粗面化する手法としては、エンボス法、サンド法のよ
うに種々あるが、延伸時に粗面化する手法が物性的に安
定していることから変圧器巻線の素線絶縁物には適した
素材と言える。変圧器等の静止誘導機器巻線に適用する
材料としては、例えばポリエチレンテレフタレートフィ
ルム(PET)が有り、2軸延伸時にフィルム表面を粗
面化することが可能で、25ないし75μm程度の厚さ
のフィルムで数μm程度の凹凸を表面につけることがで
きる。
【0017】図3は、本実施例で使用した絶縁素線3a
を示し、素線23a上に粗面化フィルム13aをラップ
巻きして通常のPETフィルムと同様に絶縁被覆したも
のである。粗面化フィルムを巻回した絶縁素線3aは、
通常の変圧器巻線と同様にして巻回することが可能であ
るが、例えば粗面化PETフィルムの絶縁被覆を有する
絶縁素線を使用した場合は、表面に凹凸があることによ
り他の材料との接触抵抗が低減されて素線が巻き易くな
り、しかも巻線製作時には摩擦による静電気の発生が抑
制され、異物などの付着がしにくくなるなどの効果もあ
る。
【0018】一方、ケース1内に充填する絶縁媒体5と
して充填後に付加反応により高粘度シリコーン油状ない
しシリコーン生ゴム状となるポリシロキサン組成物を使
用する。ポリシロキサン組成物は、具体的には、基本的
に(A)分子中にケイ素原子に結合せる水素原子を含有
し且つ該アルケニル基の数が分子中平均2個以下である
ポリオルガノキサンと、(B)分子中にケイ素原子に結
合せる水素原子を含有し該水素原子の数が分子中平均2
個以下であるポリオルガノシロキサンと、(C)触媒量
の白金系化合物とを有する構成である。
【0019】ここで、上記(A),(B),(C)の各
物質について更に詳しく説明する。まず、(A)のポリ
オルガノシロキサンは、付加反応による一方の化合物
で、分子中にケイ素原子に結合せるアルケニル基を有す
るものである。ケイ素原子に結合せるアルケニル基以外
の有機基としては、メチル基、エチル基、プロピル基等
のアルキル基、シクロヘキシル基のようなシクロアルキ
ル基、フェニール基のようなアリール基、フェニルエチ
ル基のようなアラルキル基、更に、3,3,3−トリフ
ルオロプロピル基、クロロメチル基、クロロフェニル
基、シアノエチル基のようにこれらの水素原子の一部或
いは全部がハロゲン原子等で置換された基が例示され
る。これらの中でも、ポリマーの合成の容易さや耐熱性
などから、すべてがメチル基かメチル基とフェニル基で
あることが好ましい。
【0020】上記(A)のポリオルガノシロキサンは、
1分子中に平均2個以下のケイ素原子に結合せるアルケ
ニル基を含有することが必要である。このアルケニル基
の数が2個を越えると、架橋によりゴムまたはゲルを生
じ、中間及び最終生成物の流動性や温度変化に対する追
随性を損なう。尚、アルケニル基の数が2個であること
が、中間及び最終生成物の高分子化をより効果的に進行
させる点で好ましいことである。
【0021】(B)のポリオルガノシロキサンは、付加
反応によるもう一方の化合物で、分子中にケイ素原子に
結合せる水素原子以外の有機基としては、(A)に示し
た1価の有機基が例示されるが、(A)成分と同様の理
由から、すべてがメチル基かメチル基とフェニル基であ
ることが好ましい。
【0022】上記(B)のポリオルガノシロキサンは、
1分子中に平均2個以下のケイ素原子に結合せる水素原
子を含有することが必要である。この水素原子の数が2
個を越えると、架橋によりゴムまたはゲルを生じ、中間
及び最終生成物の流動性や温度変化に対する追従制を損
なう。尚、水素原子の数が2個であることが、中間及び
最終生成物の高分子化をより効果的に進行させる点で好
ましい。
【0023】また(A)成分及び(B)成分におけるア
ルケニル基または水素原子の結合位置は、特に制約され
るものではないが、分子鎖の末端に位置する方が高分子
化効果の面から好ましい。
【0024】これら(A)及び(B)、または(A)ま
たは(B)の分子鎖形状は、直線状であっても分岐を含
んでいても良いが、より高分子化を良くするためには、
直線状で且つその末端にアルケニル基を1個ずつ有する
ことが好ましい。また粘度は用途によるもので任意であ
るが、一般には少なくとも一方が10〜100000c
Pが好ましい。
【0025】また(A)成分におけるアルケニル基の量
と、(B)成分における水素原子の量との比は、特に限
定されるものではないが、(A)のアルケニル基/
(B)の水素原子が0.5〜2であることが好ましく、
更に上記比が0.8〜1.2であることがより一層好ま
しい。
【0026】(C)の白金系触媒は、付加反応を促進す
る公知の触媒であり、(A)成分と(B)成分との付加
反応触媒として、本発明に用いる組成物を反応させるた
めに用いられる。これには、塩化白金酸、アルコール変
成塩化白金酸、白金とオレフィンとの錯体、白金とケト
ン類との錯体、白金とビニルシロキサンとの錯体、アル
ミナまたはシリカなどの担体に白金を保持させたもの、
白金黒などで例示される白金系化合物、或いは、ロジウ
ム系化合物などが使用できる。
【0027】この(C)成分は、触媒としての必要量が
用いられるが、この量は(A)成分に対し、白金、パラ
ジウム、ロジウムの量に換算して、0.1〜1000p
pmとなる範囲であり、より好ましくは0.5〜200
ppmの範囲である。尚、0.1ppm未満では触媒濃
度が低いため、硬化が不十分となる。他方、(C)成分
は、貴金属を含み一般に高価であることから、多量の添
加は経済性が悪くなるし、また1000ppmより多く
しても意味がなく、更に耐熱性が悪くなるために、この
ような範囲を一応確定したのである。
【0028】また上記(A),(B),(C)の成分
は、通常(A)及び(C)を一包装(一つの液体)と
し、(B)を一包装(一つの液体)とし、使用時に上記
二つの液体を混合するようになっている。
【0029】またα−アルキニル化合物、トリアリルイ
ソシアヌレートなどの公知の付加反応抑制剤を配合する
ことにより、上記(A),(B)及び(C)を混合して
一つの包装体(一液)とすることができる。この場合に
は、ケース1内にポリシロキサン組成物を充填した後、
加熱することにより、高粘度化させるようにすれば良
い。
【0030】尚、ポリシロキサン組成物には、必要に応
じて、煙霧質シリカ、沈降法シリカ、石英粉末、けいそ
う土、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化セリウム、
マイカ、クレイ、カーボンブラック、グラファイト、炭
酸カルシュウム、炭酸亜鉛、水酸化セリウム、ガラスビ
ーズ、金属粉などの充填剤や顔料、耐熱性向上剤、防か
び剤などを配合しても良い。更に、溶剤や他のポリオル
ガノシロキサンを併用、希釈しても良い。
【0031】ポリシロキサン組成物をケース1内に充填
する手順について以下に説明する。まず、ケース内1に
巻線を収納したものを図示しない減圧装置の真空容器内
に設置し、真空容器内を真空引きしてケース1内を減圧
する。続いて、減圧状態でケース1内に、上述した分子
中にケイ素原子に結合せるアルケニア基を含有し該アル
ケニル基の数が分子中平均2個以下であるポリオルガノ
シロキサン及び触媒量の白金系化合物からなる一包装
(A液)と、分子中にケイ素原子に結合せる水素原子を
含有し該水素原子の数が分子中平均2個以下であるポリ
オルガノシロキサンからなる一包装(B液)とを所定配
合で混合したものを注入して充填する。この場合ポリシ
ロキサン組成物は、付加反応(高粘度化反応)が適切な
速さで行われるように反応促進剤の量が調整されてい
る。
【0032】A液・B液を所定混合したポリシロキサン
組成物は、充填時、粗面化フィルムの表面の凹凸の間隙
から、巻線本体3の細部まで十分に充填される。充填が
完了した後は、付加反応が進行し、ポリシロキサン組成
物として100000cSt以上の粘度に達する。この
結果、ポリシロキサン組成物即ち絶縁媒体5は、ケース
1内に巻線の内部等の細部まで十分に充填されて、ポリ
シロキサン組成物の絶縁性能が発揮される。
【0033】次に具体的な実験例を説明する。本発明に
対応する実験例が実施例1であり、参考実験例として比
較例1を記載する。 実施例1
【0034】
【化1】 及び塩化白金酸のイソプロパノール溶液を、白金量とし
て(A)成分に対し、10ppmとなる量を混合した。
【0035】混合直後の粘度は、600cP(25
℃)、−SiH/−SiVi=1.03である。このも
のを25℃の常温にて24時間放置した後の状態を見た
ところ、高粘度化しており、ASTM D−1403の
1/4コーンにおける針入度が60の値を示す生ゴム状
(鎖状分子構造)物であった。 比較例1
【0036】
【化2】 及び塩化白金酸のイソプロパノール溶液を、白金量とし
て(A)成分に対し、10ppmとなる量を混合した。
【0037】混合直後の粘度は、1000cP(25
℃)、−SiH/−SiVi=0.5である。このもの
を25℃の常温にて24時間放置した後の状態を見たと
ころ、高粘度化しており、ASTM D−1403の1
/4コーンにおける針入度は60の値を示すゲル状(網
状分子構造)物であった。
【0038】実験例1及び比較例1で得た生成物を、直
径10mm、長さ10cmの試験管に入れ、25℃の常
温にて24時間放置して硬化させた。このものを150
℃の恒温槽に入れ、1時間後に取り出し、その表面状態
を観察したところ、実施例1の硬化物は変化がなかった
のに対し、比較例1の硬化物は温度が常温に戻るに従
い、徐々にクラックが発生してきた。
【0039】さらに実験例1及び比較例1で得た生成物
を、図4に示すように直径100mm、高さ350mm
程度の、表面に粗面化フィルムを巻き付けて変圧器巻線
を模した電極6を内蔵し、外周にアース電極7を有する
直径125mm,高さ400mmのガラス筒8にそれぞ
れ充填し、25℃の常温にて24時間放置して硬化させ
た。
【0040】その後、電極6に各々電圧を印加し、部分
放電開始電圧を求めた。しかる後、恒温槽に入れ、図5
に示すように−20℃の低温で1時間,150℃の恒温
で1時間の熱履歴を加えた後、再度電圧を印加して部分
放電開始電圧を求めた。その結果、実施例1の硬化物に
は外観上の変化がなく部分放電開始電圧についても初期
と同レベルを保持していた。一方、比較例1の硬化物に
は部分的にクラックが発生しており、部分放電開始電圧
も大幅に低下した。
【0041】以上の結果から、絶縁媒体を、充填後に付
加反応により高粘度シリコーン油状ないしシリコーン生
ゴム状となるポリシロキサン組成物から構成し、巻線の
絶縁物として、表面を粗面化した絶縁物を使用すること
により、クラックなどの発生がなく絶縁性能の優れた巻
線が得られることがわかる。
【0042】巻線がより複雑な形状を呈し、絶縁物への
含浸に時間を要する場合は、予めB液をケース1内に充
填して巻線に含浸させた後、ケース1から排出し、再び
A液・B液を所定混合したポリシロキサン組成物をケー
ス1内に注入し充填するようにしても良い。付加反応形
シリコーンでは、A液とB液には各々所定の添加剤が添
加されている影響で、混合前のA液・B液では絶縁破壊
特性が異なる。図6は、ポリシロキサン組成物のA液・
B液の絶縁破壊電圧の温度依存性を示す。図6から分か
るようにA液よりもB液の方が絶縁破壊電圧が高いこと
がわかる。従って、予めB液を巻線に予備含浸させてお
けば、表面を粗面化した絶縁物を使用したことによる含
浸性能の向上と相俟って、より複雑な形状であっても完
全に含浸することが可能となり、ポリシロキサン組成物
充填後の絶縁破壊電圧低下などの影響を防止でき、絶縁
性能の優れた巻線を構成することができる。
【0043】尚、ポリシロキサン組成物は、高粘度シリ
コーン油状ないしシリコーン生ゴム状を呈することか
ら、高粘度化したポリシロキサン組成物上に、更にポリ
シロキサン組成物を充填し高粘度化しても、両者のポリ
シロキサン組成物は、ゲル状シリコーンの場合とは異な
り、物性状の界面はない。従ってタップ部分の収容部1
eにおいて、絶縁媒体5を一部取り除いてタップを切り
換えた後、再びポリシロキサン組成物からなる絶縁媒体
5を充填しても絶縁性能の低下をきたすことはない。
【0044】
【発明の効果】本発明は以上の説明から明らかなよう
に、絶縁媒体として、充填後に付加反応により高粘度シ
リコーン油状ないしシリコーン生ゴム状となるポリシロ
キサン組成物を使用し、巻線の絶縁物として、表面を粗
面化した絶縁物を使用したことにより、絶縁媒体を、巻
線内部まで十分に含浸することが可能であり、高粘度化
したポリシロキサン組成物の絶縁性能を十分に発揮でき
る効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例による静止誘導機器巻線の断
面図
【図2】本発明に使用する粗面化フィルムの表面状態を
示す斜視図
【図3】粗面化フィルムを巻回した巻線本体の要部を示
す斜視図
【図4】生成物の実験状態を示す断面図
【図5】実験に用いた熱履歴を示すタイムチャート
【図6】ポリシロキサン組成物を構成するA液・B液の
絶縁破壊特性を示す図
【符号の説明】
1はケース、2は半径方向間隔片、3は巻線本体、3a
は絶縁素線、4は軸方向間隔片、5は絶縁媒体、6は電
極、7はアース電極、8はガラス筒、13aは粗面化フ
ィルムを示す。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ケース内に巻線を収納すると共に絶縁媒
    体を充填してなる静止器誘導機器巻線において、前記絶
    縁媒体として、充填後に付加反応により高粘度シリコー
    ン油状ないしシリコーン生ゴム状となるポリシロキサン
    組成物を使用し、前記巻線の絶縁物として、表面を粗面
    化した絶縁物を使用したことを特徴とする静止誘導機器
    巻線。
  2. 【請求項2】 ポリシロキサン組成物をケース内に充填
    した後、加熱することにより高粘度シリコーン油状ない
    しシリコーン生ゴム状とすることを特徴とする請求項1
    記載の静止誘導機器巻線の製造方法。
  3. 【請求項3】 ポリシロキサン組成物として、ポリオル
    ガノシロキサン及び触媒量の白金系化合物からなるA液
    と、分子中にケイ素原子に結合せる水素原子を含有し該
    水素原子の数が分子中平均2個以下であるポリオルガノ
    シロキサンからなるB液とを所定配合で混合した2液混
    合タイプのものをケース内に充填して高粘度シリコーン
    油状ないしシリコーン生ゴム状とすることを特徴とする
    請求項1記載の静止誘導機器巻線の製造方法。
  4. 【請求項4】 ケース内に予めB液を含浸処理して排出
    した後、所定配合された2液混合タイプのポリシロキサ
    ン組成物を充填して高粘度シリコーン油状ないしシリコ
    ーン生ゴム状とすることを特徴とする請求項3記載の静
    止誘導機器巻線の製造方法。
JP11576594A 1994-05-30 1994-05-30 静止誘導機器巻線及びその製造方法 Pending JPH07320952A (ja)

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