JPH07320697A - 低圧水銀蒸気放電ランプおよび照明装置 - Google Patents

低圧水銀蒸気放電ランプおよび照明装置

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JPH07320697A
JPH07320697A JP6202643A JP20264394A JPH07320697A JP H07320697 A JPH07320697 A JP H07320697A JP 6202643 A JP6202643 A JP 6202643A JP 20264394 A JP20264394 A JP 20264394A JP H07320697 A JPH07320697 A JP H07320697A
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JP
Japan
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transparent conductive
container
resistance value
conductive coating
antimony
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JP6202643A
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English (en)
Inventor
Hisashi Honda
久司 本田
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Toshiba Lighting and Technology Corp
Original Assignee
Toshiba Lighting and Technology Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】ラピッドスタート形低圧水銀蒸気放電ランプの
黒化発生を低減する。 【構成】低圧水銀蒸気放電ランプは、管形の透光性気密
容器1内側に、酸化錫を主体として0.7ないし2.0
モル%のアンチモンを含有し、容器1の中央部における
膜厚が100nm以下、容器1の端部の平均膜厚が25
nm以下であり、中央部が両端部よりも厚く、管軸方向
10cm当りの抵抗値が中央部で2kΩないし50k
Ω、両端部で20kΩないし1000kΩである透明導
電性被膜4と、を具備することを特徴とする。 【作用】透明導電性被膜4が薄いので黒化発生率を低く
維持できる。またアンチモン濃度を所定範囲にすること
で、抵抗値を低くできるので透明導電性被膜4を薄くす
ることができ、黒化発生率低減を容易にする。また、透
明導電性被膜4の抵抗値変化を小さくできるので、長期
に亘って黒化発生を抑制できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は透光性気密容器内側に透
明導電性被膜を形成した低圧水銀蒸気放電ランプに関す
る。
【0002】
【従来の技術】低圧水銀蒸気放電ランプの代表的なもの
はいわゆる蛍光ランプである。蛍光ランプは、透光性の
気密容器を形成する管形のガラスバルブの内面に蛍光体
被膜を形成し、両端に電極を設け、内部に水銀と希ガス
を封入してある。この蛍光ランプの始動性改善のため、
蛍光体被膜とガラスバルブの間に酸化錫を主体とし、こ
れに導電性をもたせた透明導電性被膜を形成したのがラ
ピッドスタート形蛍光ランプであり、40W以上の蛍光
ランプではこのラピッドスタート形蛍光ランプが多く使
用されている。
【0003】ラピッドスタート形蛍光ランプの最大の欠
点は、電極近傍が黒く変色することである。透明導電性
被膜を持たない蛍光ランプでも電極近傍が黒く変色する
が、これは、電極物質が飛散して蛍光体被膜に被着し、
この物質が水銀と反応したり蛍光体と反応したりして黒
く変色するためである。これに対し、ラピッドスタート
形蛍光ランプの電極近傍が黒く変色する現象は、電極物
質の飛散によるものではなく、透明導電性被膜がその黒
く変色(以下、「黒化」という。)する原因となってい
る。
【0004】この黒化の原因やメカニズムを解析した文
献は多数ある。これらによると、交流電力で点灯中、極
性反転する時、透明導電性被膜と電極との間に微放電が
生じており、この微放電が透明導電性被膜の変質をもた
らし、また、電極近傍の蛍光体被膜の上に水銀の付着が
あると、この水銀が微放電の通路となり、このため水銀
の接している蛍光体が微放電による高エネルギーにより
破壊されたり、水銀と反応したり、さらにはこの水銀と
透明導電性被膜が反応したりして黒化が発生するといわ
れている。
【0005】このような欠点を改善するため、例えば特
開昭56−84861号公報には、透明導電性被膜の抵
抗値分布を変えることが開示されている。具体的にはバ
ルブ中央部のバルブ軸方向の単位長さ当りの抵抗値(以
下単に抵抗値という。)を低く、バルブ端部すなわち電
極近傍の抵抗値を高くし、これによりランプの電極間に
おける導電性被膜の抵抗値分布曲線を略V字形にするこ
とが開示されている。これにより、電極近傍の微放電を
抑制している。この技術は市販のラピッドスタート形蛍
光ランプ全てに普及しており、通常、管軸方向10cm
当りの抵抗値が中央部で2kΩないし50kΩ、両端部
で20kΩないし1000kΩに形成されている。抵抗
値分布をV字形にするために、この従来例では、導電性
被膜の膜厚を変えている。導電性被膜は錫化合物の蒸気
をバルブ内に導入し、バルブの中で分解反応させ酸化錫
として堆積させている。このときの反応速度は、バルブ
温度に対して指数関数的に変化するため、バルブ中央部
の温度を高くして導電性被膜の厚さを増やしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来
は、バルブ温度を高くすることで、導電性被膜の生成堆
積速度を早くするのに対応させて、錫化合物の蒸気が不
足しないように分解反応に必要な両よりも多めにバルブ
内に供給していた。このため透明導電性膜の中に未分解
の錫化合物が多く残っていた。この未分解の錫化合物は
堆積後に反応したりランプ完成後のランプ点灯中、徐々
に反応したりする。堆積後の反応により、膜の状態とし
ては、空隙率が多く、緻密性が失われ、同じ堆積量、従
って同じ抵抗値でも膜厚が厚くなることがわかった。ま
た、ランプ完成後の点灯動作中に未分解の錫化合物が分
解反応するので導電性被膜の抵抗値が寿命中徐々に低下
し、抵抗値分布のV字形の傾きが小さくなって黒化が発
生しやすくなる。また、ランプ完成後の錫化合物の分解
反応によって、不純ガスが生成され、ランプの始動性を
損なっていた。
【0007】本発明は、透明導電性被膜が所望のV字形
の抵抗値分布を有し、しかも寿命中そのV字形の抵抗値
分布のくずれが小さく、したがって始動性が高く維持で
き、かつ寿命中黒化発生の少ない低圧水銀蒸気放電ラン
プおよび照明装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の低圧水
銀蒸気放電ランプは、水銀を含む放電媒体を封入した管
形の透光性気密容器と、この容器内の両端に装着された
一対の電極と、酸化錫を主体として0.7ないし2.0
モル%のアンチモンを含有し、一対の電極間の容器内側
に被着され、容器の中央部における膜厚が100nm以
下容器の端部の平均膜厚が25nm以下であり、中央部
が両端部よりも厚く、管軸方向10cm当りの抵抗値が
中央部で2kΩないし50kΩ、両端部で20kΩない
し1000kΩである透明導電性被膜と、を具備するこ
とを特徴とする。
【0009】管形の透光性気密容器とは、通常ガラスバ
ルブである。
【0010】酸化錫を主体とするとは、添加物、未分解
の化合物、一部還元された金属あるいは不純物の含有を
許容する。酸化錫を多めとする他の金属酸化物との混合
物であっても良い。
【0011】少量の添加物とは、導電性を付与するとと
もに抵抗値を調整する程度の少量であって通常数%であ
る。
【0012】両端部とは電極近傍であり、電極の位置か
ら放電路側20cmの範囲内とし、中央部とは、両端部
を除いた部分である。添加物の含有量はそれぞれの範囲
での平均値を意味する。
【0013】抵抗値は、ガラスバルブの軸方向の10c
m当りの透明導電性被膜の抵抗値であり、JISに規定
されている4端子法により測定した値である。測定周波
数は10KHzである。
【0014】蛍光体被膜は必須ではない。また、透光性
気密容器の内側というように、透光性気密容器の内面に
直接透明導電性被膜を形成するだけでなく、金属酸化物
の下地層を形成していても良い。
【0015】請求項2に記載の低圧水銀蒸気放電ランプ
は、水銀を含む放電媒体を封入した管形の透光性気密容
器と、この容器内の両端に装着された一対の電極と、酸
化錫を主体として0.7ないし2.0モル%のアンチモ
ンを含有し、一対の電極間の容器内側に被着され、容器
の中央部における膜厚が100nm以下、容器の端部の
平均膜厚が25nm以下であり、中央部が両端部よりも
厚く、管軸方向10cm当りの抵抗値が中央部で2kΩ
ないし50kΩ、両端部で20kΩないし1000kΩ
である透明導電性被膜と、透明導電性被膜の内側に形成
された蛍光体被膜と、を具備することを特徴とする。
【0016】請求項3に記載の低圧水銀蒸気放電ランプ
は、請求項2において透明導電性被膜の容器中央部にお
ける抵抗率が容器端部の電気抵抗率よりも高いことを特
徴とする。
【0017】請求項4に記載に記載の照明装置は、照明
装置本体と、照明装置本体に装着された請求項1ないし
3のいずれか一記載の低圧水銀蒸気放電ランプと、照明
装置本体に配設され、放電ランプを付勢する放電ランプ
点灯装置と、を具備することを特徴とする。照明装置に
は通常の一般照明器具が含まれるがこれに限らない。
【作用】請求項1ないし請求項3の発明によれば、透明
導電性被膜は、中央部が、両端部よりも薄く形成され、
かつ抵抗値が所定の範囲なので、抵抗値分布は黒化の少
ないV字形が得られる。しかもアンチモン濃度が0.7
ないし2.0モル%の範囲内であるので、0.7モル%
未満の場合と比較して透明導電性被膜の寿命中の抵抗値
変化が小さく、また、2.0モル%を越えていないので
アンチモン添加による光透過率の減少が小さく抑えられ
る。さらにアンチモン濃度がこの範囲にあると透明導電
性被膜の抵抗率は極小値またはこれに近い値にでき、透
明導電性被膜を薄く形成しやすい。
【0018】また、透明導電性被膜は従来よりも薄く形
成されている。すなわち両端部は、25nm以下なの
で、従来の40ないし60nmに比べて薄く、また、中
央部は従来の100nmを越えた厚さに対して、本発明
では、100nm未満である。抵抗値が同じで薄い透明
導電性被膜であるから、透明導電性被膜は緻密な空隙率
のすくない膜であり、膜中の未分解錫化合物の残留量が
小さい。未分解錫化合物の残留量が小さいので、ランプ
の寿命中の抵抗値変化が小さく抑えられる。従来ランプ
のように緻密性が低い(空隙率が大きい)透明導電性被
膜を薄く形成すると、ランプ全体として必要な抵抗値が
得られない。また、ランプ完成後の分解反応が少ないの
で、分解反応により生成される不純ガスの量が小さく抑
えられ、始動性低下の度合が小さい。
【0019】請求項4に記載の照明装置は、請求項1な
いし3の低圧水銀蒸気放電ランプを有しているので、低
圧水銀蒸気放電ランプと同様の作用を有する。
【0020】
【実施例】図1は、本発明を蛍光ランプに適用した実施
例の正面図およびB部分を拡大して断面で表した断面図
である。このものは、JISで規定されたFLR40S
・W/Mで表されるものである。この蛍光ランプは、管
形の透光性気密容器すなわちガラスバルブ1の両端にフ
ィラメントからなる電極2が装着され、フィラメントを
支持懸架するリード線がガラスバルブ1を気密に貫通し
てガラスバルブ1の両端に装着された口金3に突設され
た口金ピン3aに接続されている。このガラスバルブ1
の内部には少量の水銀と、266ないし400Pa(2
ないし3Torr)のアルゴンが封入されている。
【0021】ガラスバルブ1の内面には、透明導電性被
膜4が被着されている。この透明導電性被膜4は、酸化
錫を主体とし、酸化錫の一部が還元されて導電性が付与
されているとともに、導電性安定化のために少量のアン
チモンが添加されている。アンチモンは価数が3であ
り、透明導電性被膜4中の価数4の錫と置き替わること
により、還元された酸化錫と同様、導電性を付与する働
きを併せ持っている。
【0022】透明導電性被膜4中のアンチモンの含有率
は、両端部で1.5モル%、中央部で0.7モル%であ
る。透明導電性被膜4の両端部における膜厚は20n
m、中央部で約80nmである。
【0023】透明導電性被膜4の上には、酸化アルミニ
ウムの微粒子を積層した保護被膜5が形成されている。
微粒子の粒径は、約0.05ないし0.1μmのものを
用いている。膜厚は1ないし3μmである。この保護膜
は、水銀が透明導電性被膜4と接触して透明導電性被膜
4の錫またはアンチモンと反応し、透明導電性被膜4の
特性が変化変質するのを防止する機能を有する。また、
この保護被膜5は、電気絶縁性を有するため、微放電を
抑制する機能も併せ持っている。
【0024】保護被膜5の上すなわち内側である放電路
側には、蛍光体被膜6が形成されている。蛍光体被膜6
は、アンチモン・マンガン共付活ハロ燐酸カルシウム蛍
光体を主体として構成されており、膜厚は約30μmで
ある。もちろん近年広く普及したJISに規定されてい
る3波長発光形蛍光ランプに使用される希土類蛍光体で
もよい。
【0025】透明導電性被膜4は、以下の手順で形成さ
れる。図2は透明導電性被膜の形成方法の概略を示す概
念図である。まず、両端開口した管形のガラスバルブ1
が用意され、このガラスバルブ1を水平に保持しつつ加
熱炉に入れて外からガラスバルブ1を加熱する。このと
きの加熱温度は、バルブ1中央部で約560℃、端部で
約500℃である。この状態で一端開口から四塩化錫と
三塩化アンチモンの混合蒸気をガラスバルブ1内に導入
し、ガラスバルブ1内を流して他端開口から排出する。
このときジメチル二塩化錫と三塩化アンチモンはガラス
バルブ1の高温に触れて分解し、それと同時に酸化し、
酸化錫、酸化アンチモンの形でガラスバルブ1内面に堆
積する。このときのジメチル二塩化錫と三塩化アンチモ
ンのモル比率は、約99.3:0.7である。この比率
に対応してランプ完成後のバルブ1中央部における透明
導電性被膜4中のアンチモン含有率が定まる。
【0026】しかしながら、バルブ1端部は、加熱温度
が低いので、反応速度が低くなり、供給される蒸気の一
部が未反応のままバルブ1の他端開口から排出される。
蒸気圧の高い物質ほど多く排出されやすいため、加熱温
度が低い部分では、蒸気圧の低い物質が多く反応堆積す
る。ジメチル二塩化錫と三塩化アンチモンでは、ジメチ
ル二塩化錫の方(実際にはこれが分解して堆積する直前
の塩化錫の蒸気圧)が蒸気圧が高いので、この部分では
アンチモンの濃度が混合蒸気のアンチモン含有率よりも
高くなる。これに対して、バルブ1中央部では供給され
た蒸気のほとんどが反応堆積するので、供給された蒸気
のアンチモン濃度と同じ含有率で膜形成される。このた
め全体的にはバルブ1中央部のアンチモン含有率は、バ
ルブ1端部のアンチモン含有率よりも低くなる。また、
加熱温度に違いがあるので、アンチモン濃度に差が出る
だけでなく、反応量自体に差がでるため、バルブ1中央
部で膜厚が厚くなり、端部で薄くなる。このため膜厚分
布は中央部の抵抗値が低くなる方向に分布する。
【0027】なお、上記のように、アンチモン濃度に差
をつけたくない場合には、バルブ1中央部とバルブ1の
両端部ともに500℃で加熱して一定時間、ジメチル二
塩化錫と三塩化アンチモンの蒸気をバルブ1内に導入し
て分解反応させて膜形成をし、その後、バルブ1中央部
だけ500℃で加熱してバルブ1内に透明導電性被膜4
を形成すればよい。
【0028】また、錫とアンチモンの化合物の種類によ
って加熱温度範囲におけるそれぞれの蒸気圧が変わり、
中央部におけるアンチモン濃度を中央部におけるアンチ
モン濃度よりも低くすることができる。
【0029】このようにして形成された透明導電性被膜
4の上に保護被膜5を形成する。保護被膜5は、微粒子
酸化アルミニウムを分散した塗布液をバルブ1内に塗布
乾燥する。つぎに蛍光体塗布液をバルブ1内に塗布し、
つぎに乾燥した後、焼成により焼き付ける。この後、ガ
ラスバルブ1両端に電極2を装着し、図示しない排気管
を介して内部を加熱しつつ排気した後、少量の水銀とア
ルゴンを封入し、その後排気管を封止切る。このあと口
金3を装着してリード線を口金ピン3aに接続してラン
プとして完成する。
【0030】このようにして完成された蛍光ランプは、
図3のとおり安定器等の点灯回路部品22を搭載した照
明器具本体20に装着される。照明器具本体20にはも
ちろん蛍光ランプを電気的機械的に接続するソケット2
1が設けられている。
【0031】以上の透明導電性被膜4が薄く、緻密に形
成されてる本実施例に係る蛍光ランプAと、従来の透明
導電性被膜4が厚く形成されている蛍光ランプB(中央
部膜厚が120nm)とを比較すると、目視評価で、蛍
光ランプAは1500時間前後の点灯で黒化が目だって
くるが、蛍光ランプBは、1000時間前後の点灯で黒
化が目だってくる。また、始動電圧を比較すると、製造
直後は、蛍光ランプAと蛍光ランプBとの始動性の差は
殆どみられなかったが、1000時間点灯後は、本実施
例の蛍光ランプAの方が従来タイプの蛍光ランプよりも
始動性が良かった。
【0032】ところで、上記蛍光ランプの透明導電性被
膜4のアンチモン濃度は、0.7ないし2.0モル%で
ある。この濃度範囲は、アンチモン濃度により透明導電
性被膜4の抵抗値の経時変化の程度、透明導電性被膜4
の着色程度(全光透過率)および抵抗値が変化し、これ
らの値の最適範囲から決められている。もちろんこのと
きの透明導電性被膜4は、未分解の錫化合物の残留の少
ない緻密な膜が形成されている場合である。
【0033】すなわち図4はアンチモン濃度と透明導電
性被膜4の相対抵抗値の関係を表している。アンチモン
濃度がゼロのときの相対抵抗値を1.0としたとき、ア
ンチモン濃度が増加するにしたがって相対抵抗値は減少
し、1.5モル%を最小値として再び増加していく。
【0034】抵抗値の経時変化の程度を表したのが図5
である。100時間点灯時の抵抗値を1.0としたとき
1000時間点灯後の抵抗値は、アンチモン濃度が増加
するにしたがって1.0に近づき、0.7モル%以上で
は、殆ど変化しない。透明導電性被膜4が緻密に形成さ
れていない場合には、アンチモン濃度を高くしても、抵
抗値変化が大きく、安定しない。
【0035】透明導電性被膜4の着色程度(全光透過
率)は、図6に示されるようにアンチモン濃度が増加す
るにしたがって暫減していく。これらの特性値の最適範
囲として0.7モル%以上、2.0モル%以下が選定さ
れている。すなわちアンチモン濃度が0.7モル%以
上、2.0モル%以下であれば、透明導電性被膜4の抵
抗値の経時変化が少なく、着色が少なく、光透過率を高
く維持できる。また、この範囲にあるため、抵抗値が低
く一定の導電性を得るための膜厚が薄くできる。
【0036】次に透明導電性被膜4の厚さと5000時
間後の黒化発生率との関連を調査した。試験品の中で黒
化の発生したランプの比率を縦軸に表したところ、図7
に示されるように、電極2から中央部側20cmまでの
範囲の電極近傍での黒化発生率は、透明導電性被膜4の
厚さに依存して変化するが、電極2から中央部側20c
mを越える範囲の黒化発生率は低く、透明導電性被膜4
の厚さに依存しないことがわかった。このことから、電
極2から中央部側20cmまでの範囲の電極近傍での透
明導電性被膜4を薄く形成すれば、中央部の膜厚に関係
がなく、端部の電極近傍の黒化発生率を低くすることが
できることが分かる。そして25nm以下で比較的、黒
化発生率が低いことが分かる。このときの膜厚は、膜厚
が違っても抵抗値が変わらないように、膜状態を意識的
に変えてある。
【0037】次に電極2からバルブ1の中央部側20c
mまでの範囲の電極近傍での透明導電性被膜4の平均膜
厚(抵抗値は同じにする)と5000時間後の電極2近
傍の黒化発生率との関係を調査測定したのが図8であ
る。この特性図から分かるように、薄い緻密な膜構造の
透明導電性被膜4ほど黒化発生率は小さくなる。
【0038】以上のことから、この蛍光ランプは、透明
導電性被膜4が薄いほど黒化発生率を低く維持できる。
またアンチモン濃度を0.7ないし2.0モル%の範囲
にすることで、抵抗値を低くできるので透明導電性被膜
4を薄くすることができ、黒化発生率低減を容易にす
る。また、透明導電性被膜4の抵抗値変化を小さくでき
るので、長期に亘って黒化発生を抑制できる。またアン
チモン濃度が0.7ないし2.0モル%の範囲なので光
透過率も高く維持できる。
【0039】なお,本発明は上記実施例に限定されず、
たとえば透明導電性被膜4被膜の形成方法はスプレー法
など他の方法であってもよい。また、V字形の抵抗値分
布は、左右対象でなくてもよく、もっとも抵抗値野低い
部分が左右どちらかにずれていてもよい。さらにまた、
導電体、蛍光体、保護膜材料や重層被膜材料の組合わせ
などは実施例の材料に限定されない。
【0040】
【発明の効果】請求項1ないし請求項3の発明によれ
ば、この低圧水銀蒸気放電ランプは、透明導電性被膜4
が薄いので黒化発生率を低く維持できる。またアンチモ
ン濃度を0.7ないし2.0モル%の範囲にすること
で、抵抗値を低くできるので透明導電性被膜4を薄くす
ることができ、黒化発生率低減を容易にする。また、透
明導電性被膜4の抵抗値変化を小さくできるので、長期
に亘って黒化発生を抑制できる。またアンチモン濃度が
0.7ないし2.0モル%の範囲なので光透過率も高く
維持できる。
【0041】請求項4の発明によれば、照明装置は、請
求項1ないし3の低圧水銀蒸気放電ランプを有している
ので、低圧水銀蒸気放電ランプと同様、高品質の照明装
置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)は本発明の実施例にかかる蛍光ラン
プの正面図、図1(b)は部分拡大断面図である。
【図2】実施例の蛍光ランプの透明導電性被膜の形成方
法の工程概念図である。
【図3】実施例の蛍光ランプを搭載した照明装置の正面
図である。
【図4】アンチモン濃度と透明導電性被膜の相対抵抗値
の関係を表す特性図である。
【図5】アンチモン濃度と透明導電性被膜の相対抵抗値
変化の関係を表す特性図である。
【図6】アンチモン濃度と透明導電性被膜の全光透過率
の関係を表す特性図である。
【図7】透明導電性被膜の膜厚と5000時間後のバル
ブ位置毎の黒化発生率との関係を表す特性図である。
【図8】透明導電性被膜の電極近傍の平均膜厚と500
0時間後の電極近傍の黒化発生率との関係を表す特性図
である。
【符号の説明】
1…ガラスバルブ、 2…電極、 4…透明導電性被
膜、5…保護被膜、 6…蛍光体被膜

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】水銀を含む放電媒体を封入した管形の透光
    性気密容器と;この容器内の両端に装着された一対の電
    極と;酸化錫を主体として0.7ないし2.0モル%の
    アンチモンを含有し、一対の電極間の容器内側に被着さ
    れ、容器の中央部における膜厚が100nm以下、容器
    の端部の膜厚が25nm以下であり、中央部が両端部よ
    りも厚く、管軸方向10cm当りの抵抗値が中央部で2
    kΩないし50kΩ、両端部で20kΩないし1000
    kΩである透明導電性被膜と;を具備することを特徴と
    する低圧水銀蒸気放電ランプ。
  2. 【請求項2】水銀を含む放電媒体を封入した管形の透光
    性気密容器と;この容器内の両端に装着された一対の電
    極と;酸化錫を主体として0.7ないし2.0モル%の
    アンチモンを含有し、一対の電極間の容器内側に被着さ
    れ、容器の中央部における膜厚が100nm以下、容器
    の端部の平均膜厚が25nm以下であり、中央部が両端
    部よりも厚く、管軸方向10cm当りの抵抗値が中央部
    で2kΩないし50kΩ、両端部で20kΩないし10
    00kΩである透明導電性被膜と;透明導電性被膜の内
    側に形成された蛍光体被膜と;を具備することを特徴と
    する低圧水銀蒸気放電ランプ。
  3. 【請求項3】透明導電性被膜の容器中央部における抵抗
    値が容器端部の抵抗値よりも高いことを特徴とする請求
    項1または請求項2記載の低圧水銀蒸気放電ランプ。
  4. 【請求項4】照明装置本体と;照明装置本体に装着され
    た請求項1ないし3のいずれか一記載の低圧水銀蒸気放
    電ランプと;照明装置本体に配設され、放電ランプを付
    勢する放電ランプ点灯装置と;を具備することを特徴と
    する照明装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN100419945C (zh) * 2002-04-08 2008-09-17 通用电气公司 荧光灯

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