JPH07316288A - ε−カプロラクタムの重合法 - Google Patents

ε−カプロラクタムの重合法

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JPH07316288A
JPH07316288A JP14107694A JP14107694A JPH07316288A JP H07316288 A JPH07316288 A JP H07316288A JP 14107694 A JP14107694 A JP 14107694A JP 14107694 A JP14107694 A JP 14107694A JP H07316288 A JPH07316288 A JP H07316288A
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caprolactam
mol
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nylon
catalyst
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JP14107694A
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Kazunobu Yamada
和信 山田
Makoto Nakai
誠 中井
Kazue Ueda
一恵 上田
Tsunetoshi Matsuda
常俊 松田
Kazuo Tai
和夫 田井
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 微量の水分を含有するε−カプロラクタムの
アニオン重合により、高強度・高弾性率材料の素材とし
て好適な高分子量ナイロン6を製造する。 【構成】 微量の水分を含有するε−カプロラクタム
を、グリニヤール化合物や有機リチウム化合物のような
塩基性有機金属触媒及びアシルラクタム化合物のような
共触媒の二成分触媒系で重合するに際し、次式を満足す
る量の共触媒を使用する。 1.8w+0.01≦a≦0.12 ただし、w≧0.001 (a及びwはそれぞれ共触媒及び水分のε−カプロラク
タムに対するモル%)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、微量の水分を含有する
ε−カプロラクタムのアニオン重合により、高強度・高
弾性率材料の素材として好適な高分子量ナイロン6を製
造することのできるε−カプロラクタムの重合法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】ε−カプロラクタムを原料とするナイロ
ン6の一般的な製造法としては、水を触媒とする溶融重
合法、溶融重合と固相重合を組合せた方法及びアニオン
重合法等がある。しかし、これらの重合法により得られ
たナイロン6を通常に成形加工した繊維、フィルム等の
強度、弾性率は、理論強度、理論弾性率の高々5〜10%
にすぎない。有機合成高分子を用いて高強度繊維の製造
に成功した例としては、剛直分子鎖を有するアラミド繊
維及び超高分子量ポリエチレンをゲル紡糸したポリエチ
レン繊維がある。ポリエチレンの場合には、超高分子量
の実現(重量平均分子量100万以上)が第一のキーポイ
ントであり、ナイロンの場合にも、高強度繊維を得るた
めには、分子量を大きく増加させる必要があると考えら
れる。
【0003】ε−カプロラクタムの重合によるナイロン
6の合成の場合、水を触媒とするε−カプロラクタムの
溶融重合で得られるナイロン6の重量平均分子量には限
界があり、最高でも10万程度である。また、溶融重合で
得られたナイロン6をポリマーの融点以下で長時間熱処
理して固相重合させると、ナイロン6の分子量は増大す
るものの分子量分布が広くなり、しばしば交鎖結合を生
じて溶媒不溶のゲルを生じる。このようなナイロン6か
ら例えば繊維を製造する場合、均一に延伸することがで
きず、高強度・高弾性率の繊維を得ることができない。
さらに、固相重合においては、数十時間の高温熱処理を
要するために、生産性が低く製造コストが高くなるとい
う問題がある。
【0004】一方、ナトリウム、カリウム等のアルカリ
金属やグリニヤール試薬を主触媒とするアニオン重合で
は、溶融重合法又は溶融重合と固相重合を組合せた方法
によって得られるナイロン6に比べて、高分子量のもの
が得られる。例えば、特公昭43−1621号公報には、アル
カリ金属とN−アルミニウム−ε−カプロラクタムを触
媒とするε−カプロラクタムのアニオン重合法が開示さ
れているが、ここで得られた溶媒に可溶な範囲のナイロ
ン6の重量平均分子量は高々25万程度であり、高強度・
高弾性率材料の素材としては満足すべき分子量レベルに
は到達していない。
【0005】ところで、アニオン重合においては、反応
系中の水分の影響が大きいことは周知であり、従来、
「実質的に無水」のラクタムモノマーを用いてアニオン
重合がなされてきた。しかしながら、ラクタム類は親水
性が高く、完全に水分を除くことは非常に難しく、長時
間の乾燥が必要で工業的に実施することはコスト的に困
難であった。水分を含有するラクタムのアニオン重合に
ついては、その水分率と生成ナイロンの分子量との相関
を詳細に検討した例は少なく、例えばBull.Chem.Soc.Ja
pan., 31, 913 (1958)に水分量については記述されてい
るものの、ここでは共触媒が用いられておらず、生成ポ
リマーの分子量には言及されていない。
【0006】特公平1− 19807号公報には、グリニヤー
ル化合物、アシルラクタム化合物及び有機アルミニウム
化合物を用いるε−カプロラクタムのアニオン重合によ
って、重量平均分子量が30〜100 万のナイロン6を得た
ことが開示されている。しかしながら、この方法では、
第三成分の有機アルミニウム化合物が不可欠であり、こ
の有機アルミニウム化合物は不安定で、発火の危険性が
あるものであった。また、第三成分を加えることはコス
ト的に不利であるばかりでなく、水分率が変化すると第
三成分の効果が変化し、一定の分子量のナイロン6を得
ることは困難であった。
【0007】このように、第三成分として有機アルミニ
ウム化合物等を添加することによって高分子量ポリマー
は得られるものの、コスト、品質管理面で問題があっ
た。アニオン重合において、アシルラクタム化合物のよ
うな共触媒を併用すると重合が促進され、高分子量のポ
リマーが得られることは知られているが、これまで、塩
基性触媒及び共触媒の二成分触媒系で分子量が 100万を
超えるような高分子量のものは得られていない。この原
因は、従来、ε−カプロラクタムのアニオン重合におい
ては、「実質的に無水」のモノマーを使用するというだ
けで、系中の水分と共触媒の量との関係について十分に
考慮されていなかったためと推察される。
【0008】なお、分子量の表記について、特公平1−
19807号公報では、ゲル浸透クロマトグラフィー(GP
C)を用いて測定した重量平均分子量により表記されて
いるが、この方法では標準ポリマーに対する相対値しか
得られず、さらに用いる溶媒によってその値が変化する
という問題があった。これに対し、良溶媒を用いた粘度
測定法では絶対値に近い取り扱いが可能である。そこ
で、本発明では、分子量の目安として相対粘度(96%硫
酸を溶媒とし、濃度1g/dl、温度25℃で測定)を用い
ることとした。(相対粘度20のものは、特公平1− 198
07号公報に記載されているm−クレゾールとクロロホル
ムとの容量比30/70の混合溶媒を使用し、25℃でGPC
によってポリスチレン換算で求めた重量平均分子量では
約45万、相対粘度90のものは、同じくGPCによる重量
平均分子量では約 130万に当たる。)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、微量の水分
を含有するε−カプロラクタムのアニオン重合により、
高強度高弾性率材料の素材として好適な高分子量ナイロ
ン6を比較的低温、かつ、短時間で得ることのできるε
−カプロラクタムの重合法を提供しようとするものであ
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意研究を重ねた結果、微量の水分を
含有するε−カプロラクタムを塩基性有機金属触媒及び
共触媒の二成分触媒系で重合するに際し、共触媒の量を
系中の水分率に応じて調節することにより、高分子量ナ
イロン6が容易に得られることを見出し、本発明に到達
した。
【0011】すなわち、本発明の要旨は次のとおりであ
る。微量の水分を含有するε−カプロラクタムを、塩基
性有機金属触媒及び共触媒の二成分触媒系で重合するに
際し、次式を満足する量の共触媒を使用することを特徴
とするε−カプロラクタムの重合法。 1.8w+0.01≦a≦0.12 ただし、w≧0.001 (a及びwはそれぞれ共触媒及び水分のε−カプロラク
タムに対するモル%)
【0012】以下、本発明を詳細に説明する。本発明に
おける塩基性有機金属触媒としては、グリニヤール化合
物及び有機リチウム化合物(これらのラクタム塩を含
む)が好ましくは用いられる。塩基性有機金属触媒の使
用量はε−カプロラクタムに対し0.05〜5モル%、特に
0.2〜1モル%とするのが適当である。触媒の量があま
り少ないと重合速度が低下し、一方、あまり多いと高分
子量のナイロン6が得られ難くなり、好ましくない。
【0013】共触媒としては、N−アセチルカプロラク
タム、アジポイルビスカプロラクタム、テレフタロイル
ビスカプロラクタム等のアシルラクタム化合物(カルボ
ン酸ハライド、カルボン酸無水物等のラクタムと反応し
てアシルラクタムを与える化合物を含む)が好ましく用
いられる。共触媒の使用量は、系中の水分率によって前
記式を満足するように調節することが必要である。共触
媒の量があまり少ないと重合速度が小さいとともに、高
分子量のナイロン6が得られず、一方、共触媒の量が多
すぎてもやはり高分子量のナイロン6が得られない。共
触媒の使用量を系中の水分率によって前記式を満足する
ように調節することによって、はじめて、短時間の重合
で高分子量のナイロン6が得られるのである。
【0014】水分率(w)は小さい方が良いが、 0.001
〜0.061(a=0.12) モル%の範囲であればよい。水分率
を 0.001モル%未満にするには、特別な乾燥が必要で、
コスト高となって好ましくなく、一方、 0.061モル%を
超えるものでは、高分子量のナイロン6が得られない。
【0015】水分除去法としては、減圧蒸留、真空乾
燥、モレキュラーシーブやシリカゲル等の乾燥剤を用い
る方法、不活性乾燥ガスを通じる方法等が挙げられる
が、不活性乾燥ガスを通じる方法が最も簡便で水分除去
の効率も高い。不活性乾燥ガスとしては、通常アルゴン
又は窒素ガスが用いられるが、ラクタムのアニオン重合
に悪影響を及ぼさない乾燥ガスであればいかなるガスを
用いてもよい。
【0016】重合温度は、 100〜200 ℃、特に 120〜18
0 ℃とするのが好ましい。重合温度が 100℃未満である
と重合が迅速に進行せず、一方、 200℃を超えると副反
応が起こり、溶媒可溶のナイロン6が得られ難い。重合
圧力は、常圧、加圧、減圧のいずれも適用可能である。
また、塩基性金属触媒及び共触媒のε−カプロラクタム
への添加順序は任意でよい。
【0017】本発明において、ε−カプロラクタムの重
合性及び生成ナイロン6の物性を損なわない限りにおい
て他のラクタム成分を少量(例えば30モル%以下)共重
合することもできる。共重合可能なラクタムの例として
は、α−ピロリドン、α−ピペリドン、エナントラクタ
ム、カプリルラクタム、ラウロラクタム等を挙げること
ができる。
【0018】本発明の方法によれば、溶媒可溶で交鎖結
合の少ない、相対粘度が20以上の高分子量ナイロン6を
製造することができる。
【0019】
【実施例】次に、本発明を実施例により具体的に説明す
る。なお、実施例における水分率の測定は、平沼産業
(株)製カールフィッシャー水分測定装置 AQV-5SPを用
いて行った。また、相対粘度の測定は、ウベローデ型粘
度計を用いて前記の条件で行った。また、固化時間と
は、重合開始より系の流動性がなくなるまでの時間を示
す。また、実施例で得られたナイロン6は、いずれも濃
硫酸のほか、蟻酸、m−クレゾール、ヘキサフルオロイ
ソプロパノールに室温で容易に溶解した。
【0020】実施例1 常圧下で水分率0.06モル%(100ppm)のε−カプロラク
タムを 100℃に保ち、無酸素乾燥窒素気流を3時間液中
に通じることにより水分率を0.01モル%(15ppm)とし
た。このラクタムに対し、共触媒としてN−アセチルカ
プロラクタムを0.07モル%添加し、十分に真空加熱乾燥
し、内部をアルゴンガス置換しておいたセプタムキャッ
プ付きアンプル中に、アルゴンガス気流下で分注した。
次に、アルゴンガス気流下で、各アンプルに塩基性金属
触媒としてエチルマグネシウムブロマイドを 3.0モル/
lジエチルエーテル溶液としてε−カプロラクタムに対
し0.50モル%添加した。ジエチルエーテルを留去後、真
空下でアンプルを封管し、アンプルを 150℃の油浴中で
加熱し、重合を開始した。18分後、系の流動性がなくな
り(固化)、さらに加熱を続け、重合開始より90分後に
アンプルを油浴より取り出して急冷し、重合を停止し
た。生成したナイロン6は白色で、熱水不溶部は99%で
あり、相対粘度は36.4であった。結果を表1に示す。
【0021】実施例2 ε−カプロラクタム中の水分率を 0.015モル%(25ppm)
とし、N−アセチルカプロラクタムの添加量を種々変化
させ、それ以外は実施例1と同様の方法で重合を行っ
た。結果を表1に示す。
【0022】実施例3 ε−カプロラクタム中の水分率を0.04モル%(60ppm)と
し、N−アセチルカプロラクタムの添加量を種々変化さ
せ、それ以外は実施例1と同様の方法で重合を行った。
結果を表1に示す。
【0023】
【表1】
【0024】実施例4 ε−カプロラクタム中の水分率を 0.015モル%(25ppm)
とし、共触媒としてテレフタロイルビスカプロラクタム
を0.06モル%(官能基濃度としては0.12モル%に相当)
添加し、それ以外は実施例1と同様の条件で重合を行っ
た。結果を表2に示す。
【0025】実施例5 ε−カプロラクタム中の水分率を 0.015モル%(25ppm)
とし、共触媒としてアジポイルビスカプロラクタムを0.
04モル%(官能基濃度としては0.08モル%に相当)添加
し、それ以外は実施例1と同様の条件で重合を行った。
結果を表2に示す。
【0026】実施例6 ε−カプロラクタム中の水分率を 0.015モル%(25ppm)
とし、共触媒としてアジポイルクロライドを0.04モル%
(官能基濃度としては0.08モル%に相当)添加し、それ
以外は実施例1と同様の条件で重合を行った。結果を表
2に示す。
【0027】実施例7 ε−カプロラクタム中の水分率を 0.015モル%(25ppm)
とし、塩基性金属触媒としてn−ブチルリチウムを0.30
モル%用い、それ以外は実施例1と同様の方法で重合を
行った。結果を表2に示す。
【0028】
【表2】
【0029】実施例8 三方コック及び撹拌翼を備えた三ツ口セパラブルフラス
コ内でε−カプロラクタムを 100℃に保ち、実施例1の
方法により水分率を 0.015モル%(25ppm )とした。こ
のラクタムに対し、塩基性金属触媒としてエチルマグネ
シウムブロマイド0.50モル%を添加し、発生するジエチ
ルエーテル及びエタンガスを留去した後、系を 150℃の
油浴で昇温し、直ちに共触媒としてN−アセチルカプロ
ラクタムを0.07モル%添加して重合を開始した。20分
後、撹拌が困難になり、60分後系を急冷した。生成した
ナイロン6は白色で、熱水不溶部は99%であり、相対粘
度は38.1であった。
【0030】比較例1 水分率0.06モル%(100ppm)のε−カプロラクタムを用
い、N−アセチルカプロラクタム添加量を0.05、0.10、
0.15、0.20モル%と変化させたほかは実施例1と同様の
操作にて重合を行った。結果を表3に示す。最も粘度の
高いサンプルは、N−アセチルカプロラクタムを0.10モ
ル%添加したときのもので、相対粘度13.7であった。
【0031】比較例2 水分率0.09モル%(140ppm)のε−カプロラクタムを用
い、N−アセチルカプロラクタム添加量を0.05、0.10、
0.15、0.20モル%と変化させたほかは実施例1と同様の
操作にて重合を行った。結果を表3に示す。最も粘度の
高いサンプルはN−アセチルカプロラクタムを0.15モル
%添加したときのもので、相対粘度11.5であった。
【0032】
【表3】
【0033】
【発明の効果】本発明によれば、高分子量ナイロン6
を、微量の水分を含有するε−カプロラクタムを用い
て、比較的低い温度で短時間で製造することができる。
そして得られるナイロン6は、交鎖結合がないため種々
の溶媒に可溶であり、加工が容易で、高強度高弾性率材
料の素材として好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】ε−カプロラクタムの水分率wを横軸、共触媒
の使用量aを縦軸とし、実施例及び比較例で得られたナ
イロン6の相対粘度をランク分けしてプロットした図で
ある。
フロントページの続き (72)発明者 松田 常俊 京都府宇治市宇治小桜23番地 ユニチカ株 式会社中央研究所内 (72)発明者 田井 和夫 京都府宇治市宇治小桜23番地 ユニチカ株 式会社中央研究所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 微量の水分を含有するε−カプロラクタ
    ムを、塩基性有機金属触媒及び共触媒の二成分触媒系で
    重合するに際し、次式を満足する量の共触媒を使用する
    ことを特徴とするε−カプロラクタムの重合法。 1.8w+0.01≦a≦0.12 ただし、w≧0.001 (a及びwはそれぞれ共触媒及び水分のε−カプロラク
    タムに対するモル%)
  2. 【請求項2】 塩基性有機金属触媒がグリニヤール化合
    物又は有機リチウム化合物であり、共触媒がアシルラク
    タム化合物である請求項1記載のε−カプロラクタムの
    重合法。
JP14107694A 1994-05-30 1994-05-30 ε−カプロラクタムの重合法 Pending JPH07316288A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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