JPH07316288A - ε−カプロラクタムの重合法 - Google Patents
ε−カプロラクタムの重合法Info
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- JPH07316288A JPH07316288A JP14107694A JP14107694A JPH07316288A JP H07316288 A JPH07316288 A JP H07316288A JP 14107694 A JP14107694 A JP 14107694A JP 14107694 A JP14107694 A JP 14107694A JP H07316288 A JPH07316288 A JP H07316288A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 微量の水分を含有するε−カプロラクタムの
アニオン重合により、高強度・高弾性率材料の素材とし
て好適な高分子量ナイロン6を製造する。 【構成】 微量の水分を含有するε−カプロラクタム
を、グリニヤール化合物や有機リチウム化合物のような
塩基性有機金属触媒及びアシルラクタム化合物のような
共触媒の二成分触媒系で重合するに際し、次式を満足す
る量の共触媒を使用する。 1.8w+0.01≦a≦0.12 ただし、w≧0.001 (a及びwはそれぞれ共触媒及び水分のε−カプロラク
タムに対するモル%)
アニオン重合により、高強度・高弾性率材料の素材とし
て好適な高分子量ナイロン6を製造する。 【構成】 微量の水分を含有するε−カプロラクタム
を、グリニヤール化合物や有機リチウム化合物のような
塩基性有機金属触媒及びアシルラクタム化合物のような
共触媒の二成分触媒系で重合するに際し、次式を満足す
る量の共触媒を使用する。 1.8w+0.01≦a≦0.12 ただし、w≧0.001 (a及びwはそれぞれ共触媒及び水分のε−カプロラク
タムに対するモル%)
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、微量の水分を含有する
ε−カプロラクタムのアニオン重合により、高強度・高
弾性率材料の素材として好適な高分子量ナイロン6を製
造することのできるε−カプロラクタムの重合法に関す
る。
ε−カプロラクタムのアニオン重合により、高強度・高
弾性率材料の素材として好適な高分子量ナイロン6を製
造することのできるε−カプロラクタムの重合法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】ε−カプロラクタムを原料とするナイロ
ン6の一般的な製造法としては、水を触媒とする溶融重
合法、溶融重合と固相重合を組合せた方法及びアニオン
重合法等がある。しかし、これらの重合法により得られ
たナイロン6を通常に成形加工した繊維、フィルム等の
強度、弾性率は、理論強度、理論弾性率の高々5〜10%
にすぎない。有機合成高分子を用いて高強度繊維の製造
に成功した例としては、剛直分子鎖を有するアラミド繊
維及び超高分子量ポリエチレンをゲル紡糸したポリエチ
レン繊維がある。ポリエチレンの場合には、超高分子量
の実現(重量平均分子量100万以上)が第一のキーポイ
ントであり、ナイロンの場合にも、高強度繊維を得るた
めには、分子量を大きく増加させる必要があると考えら
れる。
ン6の一般的な製造法としては、水を触媒とする溶融重
合法、溶融重合と固相重合を組合せた方法及びアニオン
重合法等がある。しかし、これらの重合法により得られ
たナイロン6を通常に成形加工した繊維、フィルム等の
強度、弾性率は、理論強度、理論弾性率の高々5〜10%
にすぎない。有機合成高分子を用いて高強度繊維の製造
に成功した例としては、剛直分子鎖を有するアラミド繊
維及び超高分子量ポリエチレンをゲル紡糸したポリエチ
レン繊維がある。ポリエチレンの場合には、超高分子量
の実現(重量平均分子量100万以上)が第一のキーポイ
ントであり、ナイロンの場合にも、高強度繊維を得るた
めには、分子量を大きく増加させる必要があると考えら
れる。
【0003】ε−カプロラクタムの重合によるナイロン
6の合成の場合、水を触媒とするε−カプロラクタムの
溶融重合で得られるナイロン6の重量平均分子量には限
界があり、最高でも10万程度である。また、溶融重合で
得られたナイロン6をポリマーの融点以下で長時間熱処
理して固相重合させると、ナイロン6の分子量は増大す
るものの分子量分布が広くなり、しばしば交鎖結合を生
じて溶媒不溶のゲルを生じる。このようなナイロン6か
ら例えば繊維を製造する場合、均一に延伸することがで
きず、高強度・高弾性率の繊維を得ることができない。
さらに、固相重合においては、数十時間の高温熱処理を
要するために、生産性が低く製造コストが高くなるとい
う問題がある。
6の合成の場合、水を触媒とするε−カプロラクタムの
溶融重合で得られるナイロン6の重量平均分子量には限
界があり、最高でも10万程度である。また、溶融重合で
得られたナイロン6をポリマーの融点以下で長時間熱処
理して固相重合させると、ナイロン6の分子量は増大す
るものの分子量分布が広くなり、しばしば交鎖結合を生
じて溶媒不溶のゲルを生じる。このようなナイロン6か
ら例えば繊維を製造する場合、均一に延伸することがで
きず、高強度・高弾性率の繊維を得ることができない。
さらに、固相重合においては、数十時間の高温熱処理を
要するために、生産性が低く製造コストが高くなるとい
う問題がある。
【0004】一方、ナトリウム、カリウム等のアルカリ
金属やグリニヤール試薬を主触媒とするアニオン重合で
は、溶融重合法又は溶融重合と固相重合を組合せた方法
によって得られるナイロン6に比べて、高分子量のもの
が得られる。例えば、特公昭43−1621号公報には、アル
カリ金属とN−アルミニウム−ε−カプロラクタムを触
媒とするε−カプロラクタムのアニオン重合法が開示さ
れているが、ここで得られた溶媒に可溶な範囲のナイロ
ン6の重量平均分子量は高々25万程度であり、高強度・
高弾性率材料の素材としては満足すべき分子量レベルに
は到達していない。
金属やグリニヤール試薬を主触媒とするアニオン重合で
は、溶融重合法又は溶融重合と固相重合を組合せた方法
によって得られるナイロン6に比べて、高分子量のもの
が得られる。例えば、特公昭43−1621号公報には、アル
カリ金属とN−アルミニウム−ε−カプロラクタムを触
媒とするε−カプロラクタムのアニオン重合法が開示さ
れているが、ここで得られた溶媒に可溶な範囲のナイロ
ン6の重量平均分子量は高々25万程度であり、高強度・
高弾性率材料の素材としては満足すべき分子量レベルに
は到達していない。
【0005】ところで、アニオン重合においては、反応
系中の水分の影響が大きいことは周知であり、従来、
「実質的に無水」のラクタムモノマーを用いてアニオン
重合がなされてきた。しかしながら、ラクタム類は親水
性が高く、完全に水分を除くことは非常に難しく、長時
間の乾燥が必要で工業的に実施することはコスト的に困
難であった。水分を含有するラクタムのアニオン重合に
ついては、その水分率と生成ナイロンの分子量との相関
を詳細に検討した例は少なく、例えばBull.Chem.Soc.Ja
pan., 31, 913 (1958)に水分量については記述されてい
るものの、ここでは共触媒が用いられておらず、生成ポ
リマーの分子量には言及されていない。
系中の水分の影響が大きいことは周知であり、従来、
「実質的に無水」のラクタムモノマーを用いてアニオン
重合がなされてきた。しかしながら、ラクタム類は親水
性が高く、完全に水分を除くことは非常に難しく、長時
間の乾燥が必要で工業的に実施することはコスト的に困
難であった。水分を含有するラクタムのアニオン重合に
ついては、その水分率と生成ナイロンの分子量との相関
を詳細に検討した例は少なく、例えばBull.Chem.Soc.Ja
pan., 31, 913 (1958)に水分量については記述されてい
るものの、ここでは共触媒が用いられておらず、生成ポ
リマーの分子量には言及されていない。
【0006】特公平1− 19807号公報には、グリニヤー
ル化合物、アシルラクタム化合物及び有機アルミニウム
化合物を用いるε−カプロラクタムのアニオン重合によ
って、重量平均分子量が30〜100 万のナイロン6を得た
ことが開示されている。しかしながら、この方法では、
第三成分の有機アルミニウム化合物が不可欠であり、こ
の有機アルミニウム化合物は不安定で、発火の危険性が
あるものであった。また、第三成分を加えることはコス
ト的に不利であるばかりでなく、水分率が変化すると第
三成分の効果が変化し、一定の分子量のナイロン6を得
ることは困難であった。
ル化合物、アシルラクタム化合物及び有機アルミニウム
化合物を用いるε−カプロラクタムのアニオン重合によ
って、重量平均分子量が30〜100 万のナイロン6を得た
ことが開示されている。しかしながら、この方法では、
第三成分の有機アルミニウム化合物が不可欠であり、こ
の有機アルミニウム化合物は不安定で、発火の危険性が
あるものであった。また、第三成分を加えることはコス
ト的に不利であるばかりでなく、水分率が変化すると第
三成分の効果が変化し、一定の分子量のナイロン6を得
ることは困難であった。
【0007】このように、第三成分として有機アルミニ
ウム化合物等を添加することによって高分子量ポリマー
は得られるものの、コスト、品質管理面で問題があっ
た。アニオン重合において、アシルラクタム化合物のよ
うな共触媒を併用すると重合が促進され、高分子量のポ
リマーが得られることは知られているが、これまで、塩
基性触媒及び共触媒の二成分触媒系で分子量が 100万を
超えるような高分子量のものは得られていない。この原
因は、従来、ε−カプロラクタムのアニオン重合におい
ては、「実質的に無水」のモノマーを使用するというだ
けで、系中の水分と共触媒の量との関係について十分に
考慮されていなかったためと推察される。
ウム化合物等を添加することによって高分子量ポリマー
は得られるものの、コスト、品質管理面で問題があっ
た。アニオン重合において、アシルラクタム化合物のよ
うな共触媒を併用すると重合が促進され、高分子量のポ
リマーが得られることは知られているが、これまで、塩
基性触媒及び共触媒の二成分触媒系で分子量が 100万を
超えるような高分子量のものは得られていない。この原
因は、従来、ε−カプロラクタムのアニオン重合におい
ては、「実質的に無水」のモノマーを使用するというだ
けで、系中の水分と共触媒の量との関係について十分に
考慮されていなかったためと推察される。
【0008】なお、分子量の表記について、特公平1−
19807号公報では、ゲル浸透クロマトグラフィー(GP
C)を用いて測定した重量平均分子量により表記されて
いるが、この方法では標準ポリマーに対する相対値しか
得られず、さらに用いる溶媒によってその値が変化する
という問題があった。これに対し、良溶媒を用いた粘度
測定法では絶対値に近い取り扱いが可能である。そこ
で、本発明では、分子量の目安として相対粘度(96%硫
酸を溶媒とし、濃度1g/dl、温度25℃で測定)を用い
ることとした。(相対粘度20のものは、特公平1− 198
07号公報に記載されているm−クレゾールとクロロホル
ムとの容量比30/70の混合溶媒を使用し、25℃でGPC
によってポリスチレン換算で求めた重量平均分子量では
約45万、相対粘度90のものは、同じくGPCによる重量
平均分子量では約 130万に当たる。)
19807号公報では、ゲル浸透クロマトグラフィー(GP
C)を用いて測定した重量平均分子量により表記されて
いるが、この方法では標準ポリマーに対する相対値しか
得られず、さらに用いる溶媒によってその値が変化する
という問題があった。これに対し、良溶媒を用いた粘度
測定法では絶対値に近い取り扱いが可能である。そこ
で、本発明では、分子量の目安として相対粘度(96%硫
酸を溶媒とし、濃度1g/dl、温度25℃で測定)を用い
ることとした。(相対粘度20のものは、特公平1− 198
07号公報に記載されているm−クレゾールとクロロホル
ムとの容量比30/70の混合溶媒を使用し、25℃でGPC
によってポリスチレン換算で求めた重量平均分子量では
約45万、相対粘度90のものは、同じくGPCによる重量
平均分子量では約 130万に当たる。)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、微量の水分
を含有するε−カプロラクタムのアニオン重合により、
高強度高弾性率材料の素材として好適な高分子量ナイロ
ン6を比較的低温、かつ、短時間で得ることのできるε
−カプロラクタムの重合法を提供しようとするものであ
る。
を含有するε−カプロラクタムのアニオン重合により、
高強度高弾性率材料の素材として好適な高分子量ナイロ
ン6を比較的低温、かつ、短時間で得ることのできるε
−カプロラクタムの重合法を提供しようとするものであ
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意研究を重ねた結果、微量の水分を
含有するε−カプロラクタムを塩基性有機金属触媒及び
共触媒の二成分触媒系で重合するに際し、共触媒の量を
系中の水分率に応じて調節することにより、高分子量ナ
イロン6が容易に得られることを見出し、本発明に到達
した。
を解決するために鋭意研究を重ねた結果、微量の水分を
含有するε−カプロラクタムを塩基性有機金属触媒及び
共触媒の二成分触媒系で重合するに際し、共触媒の量を
系中の水分率に応じて調節することにより、高分子量ナ
イロン6が容易に得られることを見出し、本発明に到達
した。
【0011】すなわち、本発明の要旨は次のとおりであ
る。微量の水分を含有するε−カプロラクタムを、塩基
性有機金属触媒及び共触媒の二成分触媒系で重合するに
際し、次式を満足する量の共触媒を使用することを特徴
とするε−カプロラクタムの重合法。 1.8w+0.01≦a≦0.12 ただし、w≧0.001 (a及びwはそれぞれ共触媒及び水分のε−カプロラク
タムに対するモル%)
る。微量の水分を含有するε−カプロラクタムを、塩基
性有機金属触媒及び共触媒の二成分触媒系で重合するに
際し、次式を満足する量の共触媒を使用することを特徴
とするε−カプロラクタムの重合法。 1.8w+0.01≦a≦0.12 ただし、w≧0.001 (a及びwはそれぞれ共触媒及び水分のε−カプロラク
タムに対するモル%)
【0012】以下、本発明を詳細に説明する。本発明に
おける塩基性有機金属触媒としては、グリニヤール化合
物及び有機リチウム化合物(これらのラクタム塩を含
む)が好ましくは用いられる。塩基性有機金属触媒の使
用量はε−カプロラクタムに対し0.05〜5モル%、特に
0.2〜1モル%とするのが適当である。触媒の量があま
り少ないと重合速度が低下し、一方、あまり多いと高分
子量のナイロン6が得られ難くなり、好ましくない。
おける塩基性有機金属触媒としては、グリニヤール化合
物及び有機リチウム化合物(これらのラクタム塩を含
む)が好ましくは用いられる。塩基性有機金属触媒の使
用量はε−カプロラクタムに対し0.05〜5モル%、特に
0.2〜1モル%とするのが適当である。触媒の量があま
り少ないと重合速度が低下し、一方、あまり多いと高分
子量のナイロン6が得られ難くなり、好ましくない。
【0013】共触媒としては、N−アセチルカプロラク
タム、アジポイルビスカプロラクタム、テレフタロイル
ビスカプロラクタム等のアシルラクタム化合物(カルボ
ン酸ハライド、カルボン酸無水物等のラクタムと反応し
てアシルラクタムを与える化合物を含む)が好ましく用
いられる。共触媒の使用量は、系中の水分率によって前
記式を満足するように調節することが必要である。共触
媒の量があまり少ないと重合速度が小さいとともに、高
分子量のナイロン6が得られず、一方、共触媒の量が多
すぎてもやはり高分子量のナイロン6が得られない。共
触媒の使用量を系中の水分率によって前記式を満足する
ように調節することによって、はじめて、短時間の重合
で高分子量のナイロン6が得られるのである。
タム、アジポイルビスカプロラクタム、テレフタロイル
ビスカプロラクタム等のアシルラクタム化合物(カルボ
ン酸ハライド、カルボン酸無水物等のラクタムと反応し
てアシルラクタムを与える化合物を含む)が好ましく用
いられる。共触媒の使用量は、系中の水分率によって前
記式を満足するように調節することが必要である。共触
媒の量があまり少ないと重合速度が小さいとともに、高
分子量のナイロン6が得られず、一方、共触媒の量が多
すぎてもやはり高分子量のナイロン6が得られない。共
触媒の使用量を系中の水分率によって前記式を満足する
ように調節することによって、はじめて、短時間の重合
で高分子量のナイロン6が得られるのである。
【0014】水分率(w)は小さい方が良いが、 0.001
〜0.061(a=0.12) モル%の範囲であればよい。水分率
を 0.001モル%未満にするには、特別な乾燥が必要で、
コスト高となって好ましくなく、一方、 0.061モル%を
超えるものでは、高分子量のナイロン6が得られない。
〜0.061(a=0.12) モル%の範囲であればよい。水分率
を 0.001モル%未満にするには、特別な乾燥が必要で、
コスト高となって好ましくなく、一方、 0.061モル%を
超えるものでは、高分子量のナイロン6が得られない。
【0015】水分除去法としては、減圧蒸留、真空乾
燥、モレキュラーシーブやシリカゲル等の乾燥剤を用い
る方法、不活性乾燥ガスを通じる方法等が挙げられる
が、不活性乾燥ガスを通じる方法が最も簡便で水分除去
の効率も高い。不活性乾燥ガスとしては、通常アルゴン
又は窒素ガスが用いられるが、ラクタムのアニオン重合
に悪影響を及ぼさない乾燥ガスであればいかなるガスを
用いてもよい。
燥、モレキュラーシーブやシリカゲル等の乾燥剤を用い
る方法、不活性乾燥ガスを通じる方法等が挙げられる
が、不活性乾燥ガスを通じる方法が最も簡便で水分除去
の効率も高い。不活性乾燥ガスとしては、通常アルゴン
又は窒素ガスが用いられるが、ラクタムのアニオン重合
に悪影響を及ぼさない乾燥ガスであればいかなるガスを
用いてもよい。
【0016】重合温度は、 100〜200 ℃、特に 120〜18
0 ℃とするのが好ましい。重合温度が 100℃未満である
と重合が迅速に進行せず、一方、 200℃を超えると副反
応が起こり、溶媒可溶のナイロン6が得られ難い。重合
圧力は、常圧、加圧、減圧のいずれも適用可能である。
また、塩基性金属触媒及び共触媒のε−カプロラクタム
への添加順序は任意でよい。
0 ℃とするのが好ましい。重合温度が 100℃未満である
と重合が迅速に進行せず、一方、 200℃を超えると副反
応が起こり、溶媒可溶のナイロン6が得られ難い。重合
圧力は、常圧、加圧、減圧のいずれも適用可能である。
また、塩基性金属触媒及び共触媒のε−カプロラクタム
への添加順序は任意でよい。
【0017】本発明において、ε−カプロラクタムの重
合性及び生成ナイロン6の物性を損なわない限りにおい
て他のラクタム成分を少量(例えば30モル%以下)共重
合することもできる。共重合可能なラクタムの例として
は、α−ピロリドン、α−ピペリドン、エナントラクタ
ム、カプリルラクタム、ラウロラクタム等を挙げること
ができる。
合性及び生成ナイロン6の物性を損なわない限りにおい
て他のラクタム成分を少量(例えば30モル%以下)共重
合することもできる。共重合可能なラクタムの例として
は、α−ピロリドン、α−ピペリドン、エナントラクタ
ム、カプリルラクタム、ラウロラクタム等を挙げること
ができる。
【0018】本発明の方法によれば、溶媒可溶で交鎖結
合の少ない、相対粘度が20以上の高分子量ナイロン6を
製造することができる。
合の少ない、相対粘度が20以上の高分子量ナイロン6を
製造することができる。
【0019】
【実施例】次に、本発明を実施例により具体的に説明す
る。なお、実施例における水分率の測定は、平沼産業
(株)製カールフィッシャー水分測定装置 AQV-5SPを用
いて行った。また、相対粘度の測定は、ウベローデ型粘
度計を用いて前記の条件で行った。また、固化時間と
は、重合開始より系の流動性がなくなるまでの時間を示
す。また、実施例で得られたナイロン6は、いずれも濃
硫酸のほか、蟻酸、m−クレゾール、ヘキサフルオロイ
ソプロパノールに室温で容易に溶解した。
る。なお、実施例における水分率の測定は、平沼産業
(株)製カールフィッシャー水分測定装置 AQV-5SPを用
いて行った。また、相対粘度の測定は、ウベローデ型粘
度計を用いて前記の条件で行った。また、固化時間と
は、重合開始より系の流動性がなくなるまでの時間を示
す。また、実施例で得られたナイロン6は、いずれも濃
硫酸のほか、蟻酸、m−クレゾール、ヘキサフルオロイ
ソプロパノールに室温で容易に溶解した。
【0020】実施例1 常圧下で水分率0.06モル%(100ppm)のε−カプロラク
タムを 100℃に保ち、無酸素乾燥窒素気流を3時間液中
に通じることにより水分率を0.01モル%(15ppm)とし
た。このラクタムに対し、共触媒としてN−アセチルカ
プロラクタムを0.07モル%添加し、十分に真空加熱乾燥
し、内部をアルゴンガス置換しておいたセプタムキャッ
プ付きアンプル中に、アルゴンガス気流下で分注した。
次に、アルゴンガス気流下で、各アンプルに塩基性金属
触媒としてエチルマグネシウムブロマイドを 3.0モル/
lジエチルエーテル溶液としてε−カプロラクタムに対
し0.50モル%添加した。ジエチルエーテルを留去後、真
空下でアンプルを封管し、アンプルを 150℃の油浴中で
加熱し、重合を開始した。18分後、系の流動性がなくな
り(固化)、さらに加熱を続け、重合開始より90分後に
アンプルを油浴より取り出して急冷し、重合を停止し
た。生成したナイロン6は白色で、熱水不溶部は99%で
あり、相対粘度は36.4であった。結果を表1に示す。
タムを 100℃に保ち、無酸素乾燥窒素気流を3時間液中
に通じることにより水分率を0.01モル%(15ppm)とし
た。このラクタムに対し、共触媒としてN−アセチルカ
プロラクタムを0.07モル%添加し、十分に真空加熱乾燥
し、内部をアルゴンガス置換しておいたセプタムキャッ
プ付きアンプル中に、アルゴンガス気流下で分注した。
次に、アルゴンガス気流下で、各アンプルに塩基性金属
触媒としてエチルマグネシウムブロマイドを 3.0モル/
lジエチルエーテル溶液としてε−カプロラクタムに対
し0.50モル%添加した。ジエチルエーテルを留去後、真
空下でアンプルを封管し、アンプルを 150℃の油浴中で
加熱し、重合を開始した。18分後、系の流動性がなくな
り(固化)、さらに加熱を続け、重合開始より90分後に
アンプルを油浴より取り出して急冷し、重合を停止し
た。生成したナイロン6は白色で、熱水不溶部は99%で
あり、相対粘度は36.4であった。結果を表1に示す。
【0021】実施例2 ε−カプロラクタム中の水分率を 0.015モル%(25ppm)
とし、N−アセチルカプロラクタムの添加量を種々変化
させ、それ以外は実施例1と同様の方法で重合を行っ
た。結果を表1に示す。
とし、N−アセチルカプロラクタムの添加量を種々変化
させ、それ以外は実施例1と同様の方法で重合を行っ
た。結果を表1に示す。
【0022】実施例3 ε−カプロラクタム中の水分率を0.04モル%(60ppm)と
し、N−アセチルカプロラクタムの添加量を種々変化さ
せ、それ以外は実施例1と同様の方法で重合を行った。
結果を表1に示す。
し、N−アセチルカプロラクタムの添加量を種々変化さ
せ、それ以外は実施例1と同様の方法で重合を行った。
結果を表1に示す。
【0023】
【表1】
【0024】実施例4 ε−カプロラクタム中の水分率を 0.015モル%(25ppm)
とし、共触媒としてテレフタロイルビスカプロラクタム
を0.06モル%(官能基濃度としては0.12モル%に相当)
添加し、それ以外は実施例1と同様の条件で重合を行っ
た。結果を表2に示す。
とし、共触媒としてテレフタロイルビスカプロラクタム
を0.06モル%(官能基濃度としては0.12モル%に相当)
添加し、それ以外は実施例1と同様の条件で重合を行っ
た。結果を表2に示す。
【0025】実施例5 ε−カプロラクタム中の水分率を 0.015モル%(25ppm)
とし、共触媒としてアジポイルビスカプロラクタムを0.
04モル%(官能基濃度としては0.08モル%に相当)添加
し、それ以外は実施例1と同様の条件で重合を行った。
結果を表2に示す。
とし、共触媒としてアジポイルビスカプロラクタムを0.
04モル%(官能基濃度としては0.08モル%に相当)添加
し、それ以外は実施例1と同様の条件で重合を行った。
結果を表2に示す。
【0026】実施例6 ε−カプロラクタム中の水分率を 0.015モル%(25ppm)
とし、共触媒としてアジポイルクロライドを0.04モル%
(官能基濃度としては0.08モル%に相当)添加し、それ
以外は実施例1と同様の条件で重合を行った。結果を表
2に示す。
とし、共触媒としてアジポイルクロライドを0.04モル%
(官能基濃度としては0.08モル%に相当)添加し、それ
以外は実施例1と同様の条件で重合を行った。結果を表
2に示す。
【0027】実施例7 ε−カプロラクタム中の水分率を 0.015モル%(25ppm)
とし、塩基性金属触媒としてn−ブチルリチウムを0.30
モル%用い、それ以外は実施例1と同様の方法で重合を
行った。結果を表2に示す。
とし、塩基性金属触媒としてn−ブチルリチウムを0.30
モル%用い、それ以外は実施例1と同様の方法で重合を
行った。結果を表2に示す。
【0028】
【表2】
【0029】実施例8 三方コック及び撹拌翼を備えた三ツ口セパラブルフラス
コ内でε−カプロラクタムを 100℃に保ち、実施例1の
方法により水分率を 0.015モル%(25ppm )とした。こ
のラクタムに対し、塩基性金属触媒としてエチルマグネ
シウムブロマイド0.50モル%を添加し、発生するジエチ
ルエーテル及びエタンガスを留去した後、系を 150℃の
油浴で昇温し、直ちに共触媒としてN−アセチルカプロ
ラクタムを0.07モル%添加して重合を開始した。20分
後、撹拌が困難になり、60分後系を急冷した。生成した
ナイロン6は白色で、熱水不溶部は99%であり、相対粘
度は38.1であった。
コ内でε−カプロラクタムを 100℃に保ち、実施例1の
方法により水分率を 0.015モル%(25ppm )とした。こ
のラクタムに対し、塩基性金属触媒としてエチルマグネ
シウムブロマイド0.50モル%を添加し、発生するジエチ
ルエーテル及びエタンガスを留去した後、系を 150℃の
油浴で昇温し、直ちに共触媒としてN−アセチルカプロ
ラクタムを0.07モル%添加して重合を開始した。20分
後、撹拌が困難になり、60分後系を急冷した。生成した
ナイロン6は白色で、熱水不溶部は99%であり、相対粘
度は38.1であった。
【0030】比較例1 水分率0.06モル%(100ppm)のε−カプロラクタムを用
い、N−アセチルカプロラクタム添加量を0.05、0.10、
0.15、0.20モル%と変化させたほかは実施例1と同様の
操作にて重合を行った。結果を表3に示す。最も粘度の
高いサンプルは、N−アセチルカプロラクタムを0.10モ
ル%添加したときのもので、相対粘度13.7であった。
い、N−アセチルカプロラクタム添加量を0.05、0.10、
0.15、0.20モル%と変化させたほかは実施例1と同様の
操作にて重合を行った。結果を表3に示す。最も粘度の
高いサンプルは、N−アセチルカプロラクタムを0.10モ
ル%添加したときのもので、相対粘度13.7であった。
【0031】比較例2 水分率0.09モル%(140ppm)のε−カプロラクタムを用
い、N−アセチルカプロラクタム添加量を0.05、0.10、
0.15、0.20モル%と変化させたほかは実施例1と同様の
操作にて重合を行った。結果を表3に示す。最も粘度の
高いサンプルはN−アセチルカプロラクタムを0.15モル
%添加したときのもので、相対粘度11.5であった。
い、N−アセチルカプロラクタム添加量を0.05、0.10、
0.15、0.20モル%と変化させたほかは実施例1と同様の
操作にて重合を行った。結果を表3に示す。最も粘度の
高いサンプルはN−アセチルカプロラクタムを0.15モル
%添加したときのもので、相対粘度11.5であった。
【0032】
【表3】
【0033】
【発明の効果】本発明によれば、高分子量ナイロン6
を、微量の水分を含有するε−カプロラクタムを用い
て、比較的低い温度で短時間で製造することができる。
そして得られるナイロン6は、交鎖結合がないため種々
の溶媒に可溶であり、加工が容易で、高強度高弾性率材
料の素材として好適である。
を、微量の水分を含有するε−カプロラクタムを用い
て、比較的低い温度で短時間で製造することができる。
そして得られるナイロン6は、交鎖結合がないため種々
の溶媒に可溶であり、加工が容易で、高強度高弾性率材
料の素材として好適である。
【図1】ε−カプロラクタムの水分率wを横軸、共触媒
の使用量aを縦軸とし、実施例及び比較例で得られたナ
イロン6の相対粘度をランク分けしてプロットした図で
ある。
の使用量aを縦軸とし、実施例及び比較例で得られたナ
イロン6の相対粘度をランク分けしてプロットした図で
ある。
フロントページの続き (72)発明者 松田 常俊 京都府宇治市宇治小桜23番地 ユニチカ株 式会社中央研究所内 (72)発明者 田井 和夫 京都府宇治市宇治小桜23番地 ユニチカ株 式会社中央研究所内
Claims (2)
- 【請求項1】 微量の水分を含有するε−カプロラクタ
ムを、塩基性有機金属触媒及び共触媒の二成分触媒系で
重合するに際し、次式を満足する量の共触媒を使用する
ことを特徴とするε−カプロラクタムの重合法。 1.8w+0.01≦a≦0.12 ただし、w≧0.001 (a及びwはそれぞれ共触媒及び水分のε−カプロラク
タムに対するモル%) - 【請求項2】 塩基性有機金属触媒がグリニヤール化合
物又は有機リチウム化合物であり、共触媒がアシルラク
タム化合物である請求項1記載のε−カプロラクタムの
重合法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP14107694A JPH07316288A (ja) | 1994-05-30 | 1994-05-30 | ε−カプロラクタムの重合法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP14107694A JPH07316288A (ja) | 1994-05-30 | 1994-05-30 | ε−カプロラクタムの重合法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07316288A true JPH07316288A (ja) | 1995-12-05 |
Family
ID=15283673
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP14107694A Pending JPH07316288A (ja) | 1994-05-30 | 1994-05-30 | ε−カプロラクタムの重合法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH07316288A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR20160003004A (ko) | 2013-05-23 | 2016-01-08 | 가부시키가이샤 리코 | 폴리머의 제조 방법 |
WO2019069799A1 (ja) * | 2017-10-03 | 2019-04-11 | 日本曹達株式会社 | ポリアミド4粒子の製造方法 |
-
1994
- 1994-05-30 JP JP14107694A patent/JPH07316288A/ja active Pending
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR20160003004A (ko) | 2013-05-23 | 2016-01-08 | 가부시키가이샤 리코 | 폴리머의 제조 방법 |
US9587072B2 (en) | 2013-05-23 | 2017-03-07 | Ricoh Company, Ltd. | Method for producing polymer |
WO2019069799A1 (ja) * | 2017-10-03 | 2019-04-11 | 日本曹達株式会社 | ポリアミド4粒子の製造方法 |
KR20200032199A (ko) * | 2017-10-03 | 2020-03-25 | 닛뽕소다 가부시키가이샤 | 폴리아미드4 입자의 제조 방법 |
JPWO2019069799A1 (ja) * | 2017-10-03 | 2020-10-22 | 日本曹達株式会社 | ポリアミド4粒子の製造方法 |
EP3693405A4 (en) * | 2017-10-03 | 2021-06-09 | Nippon Soda Co., Ltd. | METHOD FOR PRODUCING POLYAMIDE-4 PARTICLES |
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