JPH07315167A - 起動装置 - Google Patents

起動装置

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JPH07315167A
JPH07315167A JP7186478A JP18647895A JPH07315167A JP H07315167 A JPH07315167 A JP H07315167A JP 7186478 A JP7186478 A JP 7186478A JP 18647895 A JP18647895 A JP 18647895A JP H07315167 A JPH07315167 A JP H07315167A
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detonator
ignition pin
shaft
permanent magnet
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Katsuyasu Ono
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 起動装置の誤作動を確実に、かつ容易に防止
することができる安価な誤作動防止機構を備えた起動装
置を提供する。 【構成】 円柱状の永久磁石からなり雷管方向へ移動可
能な慣性体23と、該慣性体23の外径よりも大きな内径を
有する円環状永久磁石24と、前記慣性体23を選択的に移
動阻止状態及び移動可能状態とするシャフト31と、雷管
方向へ移動して雷管10と衝突することにより該雷管10を
着火可能であると共に前記慣性体23に対してはナット22
c によって相対的に雷管方向へ移動するのを阻止されて
いる着火ピン22とにより起動装置21を構成し、前記慣性
体23に所定以上の雷管方向への加速度が生じた際に、該
慣性体23が前記円環状永久磁石24に対する磁力の反発力
に抗して該円環状永久磁石24の開口内を雷管方向へ移動
し、更に磁力の吸引力を以て前記着火ピン22を雷管方向
へ移動させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、リトラクターの巻取り
軸を車両衝突時にシートベルト引込み方向へ回転させる
シートベルト引締め装置、又はガスで急激に膨張させた
エアバッグにより乗員を衝突時の衝撃から保護するエア
バッグ装置を作動させる起動装置に関し、特に該起動装
置の誤作動防止機構の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、車両衝突等の緊急時における乗員
の保護を目的として、シートベルト引締め装置及びエア
バッグ装置等の受動的拘束装置が多く用いられている。
前記シートベルト引締め装置は、例えばリトラクターの
巻取り軸(シャフト)に軸着したプーリーに掛回した索
条体の一端にピストンを連結し、シリンダー内に摺動可
能に受容された前記ピストンに作用する気体の膨張圧力
による推力をもって、索条体に張力を及ぼし、該索条体
がリトラクターのシャフトをウェビング巻取り方向へ引
込み駆動することにより、乗員に掛け渡された状態にあ
るウェビングを緊急時に引き込むものである。
【0003】又、前記エアバッグ装置は、例えばステア
リングホイールにセンターパッド、折り畳まれたエアバ
ッグ、インフレーター(ガス発生器)等で構成されたモ
ジュールが収められており、車両衝突時にインフレータ
ーに着火し、急速に燃焼したガスによって前記エアバッ
グを瞬時に膨らませることにより、膨張したエアバッグ
で乗員の身体を受け、人体に加わる衝撃力を低く抑える
ものである。
【0004】そして、車両衝突を検知してこれらシート
ベルト引締め装置及びエアバッグ装置を作動させる起動
装置として、例えば車両が衝突した際の慣性力により変
位する慣性体の動作を利用して通常は非作動位置に保持
された着火ピンを雷管に向けて射出し、これにより点火
薬を発火させ、その爆発力により前記シートベルト引締
め装置及びエアバッグ装置を作動させるようにした機械
式の起動装置がある。
【0005】ところで、これら機械式の起動装置を備え
たシートベルト引締め装置及びエアバッグ装置等のアッ
センブリ(組立て体)は、車両に組付けられる前に起動
装置が作動することがあっては成らず、起動装置に何ら
かの誤作動防止機構を設ける必要がある。そこで、様々
な誤作動防止機構を備えた機械式の起動装置が種々提案
されている。
【0006】例えば、実開平4−83862号公報等に
開示された衝突センサ(起動装置)は、雷管に向かって
付勢された点火ピン(着火ピン)と、衝突により移動す
る慣性体と、該慣性体を反衝突方向に付勢するレバーを
有し前記着火ピンを掛止する回転体(トリガー手段)と
を含み、更に前記慣性体又は前記レバーをロック又は解
除する干渉手段が備えられた安全装置を設けられてい
る。そこで、回転軸の回転によってロック又は解除位置
となる安全装置の干渉部材により慣性体の移動をロック
することによって、衝突センサが誤作動(暴発)するの
を防止されている。
【0007】ところが、上記の如き着火ピンを点火薬に
設けた雷管に衝突させる起動装置の場合は、コイルばね
でばね付勢された着火ピンと、慣性体とが別個の部材で
ある。このため、慣性体の移動を規制して起動装置を非
作動状態にしても、着火ピンは雷管を発火させる衝突エ
ネルギーを保持したままの状態であるので、何らかの未
想定因子によりトリガー手段が解放され、着火ピンが移
動して起動装置が作動することがあり得る。
【0008】これは、前記慣性体が限られたスペース内
に配設されており、トリガー手段を動かすためのエネル
ギーを高め難く、又、慣性体が動いてから点火薬を発火
させるまでの起動装置の応答時間を早めなければならな
いので、着火ピンを掛止するトリガー手段と着火ピンと
の当接部における掛かり代は一般的に少なくされてい
て、トリガー手段の僅かな動きでも着火ピンの掛止が外
れるように設定されているためである。従って、これら
起動装置を備えたアッセンブリーに落下等の衝撃を与え
たり、起動装置のケースに変形等が生じていると、トリ
ガー手段が不用意に解放され易いという問題があった。
【0009】そこで、特開昭64−85856号公報等
に開示された加速度センサは、所定値以上の加速度が作
用した際の慣性力により変位し得るように前記加速度に
対向する向きに弾発支持されたセンサマス(慣性体)の
変位に干渉する部分と、エネルギを放出させる作動位置
に向けて変位し得るように常時弾発支持されたエネルギ
解放手段(着火ピン)の変位に干渉する部分とをそれぞ
れ有するセット部材を備えた安全装置(誤作動防止機
構)を有している。即ち、セット部材の位置により慣性
体及び着火ピンの変位を共に拘束する状態に設定するこ
とによって、加速度センサが誤作動するのを防止してい
るので、万が一トリガー手段が破損する等して着火ピン
の掛止を解放されても着火ピンが雷管に衝突するのを防
止することができる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
如く慣性体及び着火ピンの移動を阻止して起動装置の誤
作動を防止する誤作動防止機構の場合にも、着火ピンの
変位を拘束するセット部材と着火ピンの係止部との間に
は隙間があり、着火ピンはこのようなセット部材との間
隙分だけ雷管方向に移動可能である。そこで、このよう
な起動装置を備えたアッセンブリーに不用意な衝撃が作
用し、トリガー手段による着火ピンに対する掛止が外れ
てしまうと、着火ピンは係止部がセット部材へ当接する
まで前記間隙分だけ移動する。そして、トリガー手段に
よる掛止が外れた着火ピンは自力で元に戻ることができ
ないので、誤作動防止機構を解除するとトリガー手段が
既に外れてしまっている着火ピンは雷管に衝突して雷管
を発火させてしまう。従って、このような起動装置にお
いては、別個に着火ピンを所定位置に押し戻す機構が更
に必要となり、構造が複雑になってしまうので、部品点
数が増加すると共に組立て性が良くなく、製造コストが
高いという問題がある。
【0011】そこで、本発明の目的は上記課題を解消す
ることにあり、起動装置の誤作動を確実に、かつ容易に
防止することができる安価な誤作動防止機構を備えた起
動装置を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、所
定以上の加速度に応動して雷管を打撃し、ガス発生器を
作動させる起動装置であって、雷管方向へ移動して雷管
と衝突することにより雷管を着火可能な着火ピンと、着
火ピンに運動エネルギーを供給する柱状の永久磁石から
なる慣性体と、慣性体の外径よりも大きな内径を有する
環状永久磁石と、慣性体を選択的に移動阻止状態及び移
動可能状態とする規制手段と、を有することを特徴とす
る起動装置により達成される。
【0013】尚、好ましくは、前記着火ピンと前記慣性
体と前記環状永久磁石が、トリガーケースに内設されて
いる。又、好ましくは、前記規制手段が、トリガーケー
スに回動可能に取付けられたシャフトを有する。又、好
ましくは、前記シャフトはトリガーケースの慣性体移動
方向を横切るように設けられた孔に貫装され、シャフト
の切り欠き部の底面が慣性体の雷管側端と干渉して慣性
体を移動阻止状態とする位置と、該位置から所定角度回
転し慣性体と干渉せず慣性体を移動可能状態とする位置
との間を回動可能である。又、好ましくは、前記規制手
段が、トリガーケースに取り付けられ、所定の範囲内を
軸線方向に移動可能な多角形断面のシャフトからなる。
又、好ましくは、前記シャフトはトリガーケースの慣性
体移動方向を横切るように設けられた多角形断面の孔に
貫装され、慣性体の雷管側端と干渉して慣性体を移動阻
止状態とする位置と、該位置から軸線方向に移動し中間
部に形成された切り欠き部により慣性体と干渉せず慣性
体を移動可能状態とする位置との間を移動可能である。
又、好ましくは、前記慣性体と前記着火ピンとは同軸上
に構成され、慣性体は着火ピンを遊貫する貫通孔が設け
られ、着火ピンは慣性体に対して相対的に雷管方向へ移
動するのを阻止する移動阻止部を有する。又、好ましく
は、前記移動阻止部が、慣性体の貫通孔を貫通した後端
部に装着したストッパーである。更に好ましくは、上記
起動装置が、ガス圧で駆動することによりリトラクター
の巻取軸を車両衝突時にシートベルト引込み方向へ回転
させるシートベルト引締め装置に用いられる。
【0014】
【作用】本発明の上記構成によれば、車両衝突時に、所
定以上の雷管方向への加速度が生じた慣性体自体が直
接、雷管に対する衝撃エネルギーを付与することができ
るので、慣性体の移動に応じて着火ピンの移動規制を解
除するトリガーシャフトや着火ピンを雷管方向へ付勢す
る付勢部材が不要となると共に、慣性体の雷管方向への
移動を阻止するだけで着火ピンも雷管方向への移動を阻
止することが可能となるため、簡単な構造で起動装置の
誤作動を防止できる。
【0015】また、前記規制手段により慣性体を移動阻
止状態とした際には、不用意な衝撃によって慣性体の移
動を規制する規制手段と慣性体の係止部との間に生じる
隙間分だけ該慣性体が雷管方向へ移動したとしても、該
慣性体は環状永久磁石に対する磁力の反発力によって所
定位置に押し戻されるので、慣性体を移動可能状態とす
べく規制手段を解除した途端に着火ピンが雷管を発火さ
せることがない。
【0016】
【実施例】以下、添付図面に基づいて本発明の一実施例
を詳細に説明する。図1は、本発明に基づく起動装置を
備えたプリテンショナー付きリトラクター1の部分正面
図である。前記プリテンショナー付きリトラクター1
は、ウェビング16を巻取り又は引き出し自在に巻回し
た巻取りリール2を備えており、巻取りリール2はその
巻取り軸に連結された巻取りバネにより、ウェビング1
6が巻き取られる方向に常時付勢されている。衝突時に
は、公知の緊急ロック機構13により巻取り軸の回転が
阻止され、それ以上ウェビング16が引き出されないよ
うになっている。
【0017】そして、前記プリテンショナー付きリトラ
クター1は、略コ字形状に形成されたリトラクターベー
ス18の一方のベース側壁には車両衝突時に巻取り軸を
シートベルトの弛みが除去される方向に回転させるシー
トベルト引締め装置であるプリテンショナー3が配設さ
れている。そして、前記プリテンショナー付きリトラク
ター1は、前記プリテンショナー3を予めリトラクター
に一体的に組立てられたアッセンブリ(組立て体)とし
て、車体パネルに取り付けられる。
【0018】前記プリテンショナー3は、例えば巻取り
軸の一端部に軸着した図示しないプーリーに掛回した伝
達部材であるワイヤー7に張力を及ぼし、該ワイヤー7
が巻取り軸をウェビング巻取り方向へ引込み駆動するこ
とによって、乗員に掛け渡された状態にあるウェビング
16を緊急時に引き込むものであり、ワイヤー7に張力
を及ぼすための駆動手段4と、車両衝突を感知して該駆
動手段4を作動させる起動装置21とを有している。
【0019】前記駆動手段4は、ワイヤー7の一端に連
結されたピストン6と、該ピストン6を摺動可能に受容
するシリンダー5と、該シリンダー5の基端部とガス発
生器8のガス噴出部とを連通連結するハウジング15
と、所定以上の加速度に応動してガス発生器8を作動さ
せる起動装置21とから成る。前記ハウジング15は、
ほぼ直角に屈曲した略L字形状の管部材であり、その一
開口19にはシリンダー5の基端部が固定されており、
該開口19に対向して設けられた孔20にはピストン6
に連結されたワイヤー7が挿通されている。
【0020】前記ハウジング15内における孔20の周
縁には、円管状の保護壁17が前記開口19に向かって
突設されており、ピストン6の下端面から下方でハウジ
ング15内に位置しているワイヤー7は、前記保護壁1
7によって覆われている。前記ガス発生器8は、火薬1
1を収容してフレームに封着されるケース12内に雷管
10を組み込んだものである。そして、雷管10を打撃
されて火薬11が点火されると膨張ガスがケース12先
端のガス噴出部から噴出される。そこで、ガス発生器8
の雷管10の側方には、リトラクターベース18の側壁
を挟んで該雷管10を打撃する起動装置21が固定され
ている。
【0021】前記起動装置21は、図2に示すように、
ステンレス等の非磁性体からなると共に雷管方向へ移動
して雷管10と衝突することにより該雷管10を着火可
能な着火ピン22と、該着火ピン22を遊貫する貫通孔
23aが中心軸線に沿って設けられた円柱状の永久磁石
からなる慣性体23と、該慣性体23の外径よりも大き
な内径を有する円環状永久磁石24と、これらを内設し
てリトラクターベース18の側壁に固定されたトリガー
ケース25と、該トリガーケース25に配設されて起動
装置21の誤作動を防止する誤作動防止機構9とから成
る。そこで、前記慣性体23と着火ピン22とは、同軸
上に構成されている。
【0022】前記着火ピン22は、先端部に雷管10を
打つための撃針22aが形成されると共に、その基部に
鍔部22bが形成されており、後端部がトリガーケース
25の底壁部25cに摺動可能に嵌挿されてトリガーケ
ース25内に内設されている。この際、着火ピン22
は、慣性体23の貫通孔23aを貫通した後端部に装着
されたストッパーとしてのナット22cが慣性体23の
底壁部側端に当接することによって、慣性体23に対し
て相対的に雷管方向へ移動するのを阻止され、初期状態
においては雷管側への移動を規制されている。尚、前記
ナット22cのかわりに加締め部材等を着火ピン22に
恒久的に固定しても良い。
【0023】そこで、撃針22aが雷管側のトリガーケ
ース25の壁部25aに形成された開口25bを挿通し
て雷管10に間隙をもって対向すると共に、鍔部22b
が壁部25aの内壁面との間に間隙をもって対向してい
る。従って、慣性体23を鍔部22bに衝突させると、
着火ピン22が雷管側に移動して撃針22aが雷管10
を打撃、点火する。
【0024】前記円環状永久磁石24は、トリガーケー
ス25の雷管側内に嵌装されており、着火ピン22に遊
貫された前記慣性体23は、トリガーケース25の底壁
部側に内装されている。そこで、円環状永久磁石24の
底壁部側端24aに対して雷管側端23bが間隔を有
し、隣接する磁極が同極(図中、N極−N極)となるよ
うに配置された慣性体23は、その磁力の反発力によっ
て雷管10から離れる底壁部側に付勢されている。即
ち、前記慣性体23は着火ピン22に沿って軸線方向へ
摺動自在であるが、円環状永久磁石24と慣性体23と
の間に作用している磁力の反発力以上の大きさの雷管方
向の力が慣性体23に対して作用しなければ、慣性体2
3は雷管方向へ移動することができないので、起動装置
21は作動しない。
【0025】そして、後述する誤作動防止機構9が解除
され、シャフト31が慣性体23と干渉しない状態にお
いては、慣性体23の重さと雷管方向の加速度を乗じた
慣性体の慣性力が、磁力の反発力よりも大きくなると、
図5(a) に示す如く慣性体23は雷管方向(図中、左方
向)へ移動する。更に、慣性体23に磁力の吸引力が作
用する領域まで慣性体23が移動すると、該慣性体23
は磁力の吸引力によって雷管方向へ加速され、図5(b)
に示す如く円環状永久磁石24の開口内に挿入されて鍔
部22bに衝突する。このように、慣性体23は、磁力
が反発−吸引に変化する事を利用して加速度センサーと
しての機能と、着火ピン22の衝撃エネルギー供給を開
始させるトリガー手段としての機能とを合わせもってい
る。尚、一般には着火ピン22自体も雷管方向の加速度
により移動を始めているので、同図に示す位置で慣性体
23と鍔部22bとが互いに当接するとは限らない。
【0026】そして更に、磁力の吸引力によって雷管方
向へ加速された慣性体23は、図5(c) に示すように着
火ピン22を雷管方向に移動させ、雷管10を撃針22
aで打撃、点火する。尚、一般には着火ピン22の鍔部
22bが壁部25aの内壁面に当接するまでに雷管10
が発火するように設定されている。上記起動装置21
は、プリテンショナー付きリトラクター1が組立て体と
して車両に組付けられる前に、該起動装置21が誤作動
するのを防止する誤作動防止機構9を備えている。
【0027】前記誤作動防止機構9は、円環状永久磁石
24の底壁部側端24aと慣性体23の雷管側端23b
との間に、トリガーケース25のガイド孔の上側の部分
を横切るように設けられた孔25dに貫装され、前記慣
性体23を選択的に移動阻止状態及び移動可能状態とす
る規制手段である好ましくは非磁性体からなるシャフト
31を有する。前記シャフト31は、図3に示すよう
に、一端が拡径されてトリガーケース25からの抜け止
めがなされると共に圧縮コイルばね32が巻装され、他
端にスプリングピン33が圧入により固着されており、
後述するように該スプリングピン33を操作することに
より、所定の範囲内を回動可能である。また、前記トリ
ガーケース25のガイド孔に対応するシャフト31の中
間部は、断面が略半円形状に形成され、前記慣性体23
と干渉しない回転位相をとりうる切り欠き部31aが構
成されている。
【0028】図4に示すように、前記スプリングピン3
3に対向する側の孔25dの周端部には、スプリングピ
ン33を嵌装するために対をなして互いに直交するよう
に配置された凹部25eが等間隔に形成されており、前
記圧縮コイルばね32の付勢力によってスプリングピン
33は所望の対の凹部25e内に保持される。そこで、
圧縮コイルばね32の付勢力に抗してシャフト31を軸
方向へ移動させ、一旦、凹部25eとの係合を外した
後、スプリングピン33を回転して他の対の凹部25e
に嵌装することにより、シャフト31を約90度の回転
位相差をもって保持可能である。尚、シャフト31の回
転方向の固定手段は、上記の如きスプリングピン33と
凹部25eに限らず、例えば回転リミッターとスナップ
アクションスプリング等で行っても良い。
【0029】そこで、前記誤作動防止機構9がセットさ
れた状態においては、前記スプリングピン33が図4に
示すような位置にあり、前記シャフト31の切り欠き部
31aの底面が慣性体23の雷管側端23bの上部と対
向している。そこで、慣性体23とシャフト31とが干
渉し、該慣性体23は雷管方向への移動が阻止された移
動阻止状態となり、後端部に装着されたナット22cが
慣性体23の底壁部側端に当接している着火ピン22
も、該慣性体23に対して相対的に雷管方向へ移動する
ことができないので、起動装置21は作動不可能である
(図2、3参照)。
【0030】即ち、車体の加速度を感知する慣性体23
が直接、雷管10に対する衝撃エネルギーを付与するの
で、慣性体23の移動に応じて着火ピン22の移動規制
を解除するトリガーシャフトや着火ピン22を雷管方向
へ付勢する付勢部材が不要となると共に、慣性体23の
雷管方向への移動を阻止するだけで着火ピン22も雷管
方向への移動を阻止されるため、簡単な構造で起動装置
21の誤作動を防止できる。
【0031】次に、前記プリテンショナー付きリトラク
ター1が車両に組付けられ、誤作動防止機構9を解除す
る際には、圧縮コイルばね32の付勢力に抗してシャフ
ト31を軸方向へ移動させた後、スプリングピン33を
矢印Y方向へ約90度回転させ、想像線で示す如く他の
対の凹部25eに嵌装する。すると、シャフト31も矢
印Y方向へ約90度回転して、図1に示すように前記切
り欠き部31aが慣性体23と干渉しない位置となるの
で、該慣性体23は雷管方向への移動が可能な移動可能
状態となり、起動装置21は作動可能状態となる。
【0032】尚、上記誤作動防止機構9がセットされて
起動装置21が作動不可能状態となっている際、切り欠
き部31aの底面と雷管側端23bとの間には、寸法公
差による隙間が生じるが、不用意な衝撃によって該隙間
分だけ慣性体23が雷管方向へ移動したとしても、該慣
性体23は円環状永久磁石24に対する磁力の反発力に
よって雷管10から離れる底壁部側に押し戻されるの
で、その後、慣性体23を移動可能状態とすべく前記誤
作動防止機構9を解除した途端に、着火ピン22が雷管
10方向へ移動して雷管10を発火させてしまうことは
ない。従って、上記誤作動防止機構9は、どのような状
況においても、起動装置21の誤作動を確実に防止する
ことができると共に、着火ピン22を所定位置に押し戻
す機構が不必要となる。
【0033】次に、上記プリテンショナー付きリトラク
ター1の動作について説明する。車両の通常走行時状態
では、前記プリテンショナー3が巻取り軸に非係合なの
で、巻取り軸は自由に回転可能となっている。従って、
ウェビング16を巻取りバネの付勢力で巻取り可能であ
ると共に、バネ力に抗してウェビング16を引出し自在
となっている。
【0034】急ブレーキ等のある程度の大きさの減速度
が車両に発生すると、リトラクターの緊急ロック機構1
3が作動して巻取り軸の回転をロックする。これによ
り、ウェビングの伸び出しは阻止されるが、慣性体23
に作用する慣性力は円環状永久磁石24と慣性体23と
の間に作用している磁力の反発力よりも小さく、起動装
置21が作動しないので、前記プリテンショナー3の駆
動手段4は作動しない。
【0035】一方、車両衝突時等におけるような極めて
大きな所定の減速度が生じると、慣性体23に作用する
慣性力は円環状永久磁石24と慣性体23との間に作用
している磁力の反発力よりも大きくなり、慣性体23が
雷管方向へ移動して鍔部22bに衝突するので、着火ピ
ン22が雷管10を打撃し、点火する。この雷管10の
点火によって駆動手段4内のガス発生器8が発火させら
れ、ガス発生器8がシリンダー5内に燃焼ガスを発生す
ると、生じたガスの圧力によって前記ピストン6が急速
に上方(矢印X方向)へ移動する。このピストン6の駆
動力によって、ワイヤー7が所定の大きさの力で矢印X
方向へ急速に引っ張られると、巻取り軸はウェビング巻
取り方向へ駆動されるので、乗員に掛け渡された状態に
あるウェビング16が引き込まれ、シートベルトの遊び
が除去される。
【0036】図6は本発明の他の実施例に基づく起動装
置41の縦断面図であり、図7は図6におけるB−B断
面矢視図である。尚、上記実施例の起動装置21と同様
の構成部分については同符号を付与して説明を省略す
る。本実施例における起動装置41の誤作動防止機構4
2は、円環状永久磁石24の底壁部側端24aと慣性体
23の雷管側端23bとの間に、トリガーケース25の
ガイド孔の上側の部分を横切るように設けられた断面八
角形の孔45に貫装され、前記慣性体23を選択的に移
動阻止状態及び移動可能状態とする規制手段である断面
八角形のシャフト43を有する。
【0037】前記シャフト43は、図7に示すように、
一端が拡径されてトリガーケース25からの抜け止めが
なされると共に、他端には両端部を支持されたスナップ
アクションスプリング44が装着されており、所定の範
囲内を軸線方向に移動可能である。また、前記トリガー
ケース25のガイド孔に対応するシャフト43の中間部
には、慣性体23と対向する当接面43bが形成される
と共に、前記慣性体23と干渉しない状態をとりうるた
めの円弧状の切り欠き部43aが形成されている。
【0038】そこで、前記誤作動防止機構42がセット
された状態においては、スナップアクションスプリング
44の付勢力によって前記シャフト43が図7に示すよ
うな位置に保持され、前記シャフト43の当接面43b
が慣性体23の雷管側端23bの上部と対向している。
そこで、慣性体23とシャフト43とが干渉し、該慣性
体23は雷管方向への移動が阻止された移動阻止状態と
なり、後端部に装着されたナット22cが慣性体23の
底壁部側端に当接している着火ピン22も、該慣性体2
3に対して相対的に雷管方向へ移動することができない
ので、起動装置21は作動不可能である。
【0039】次に、前記誤作動防止機構42を解除する
際には、スナップアクションスプリング44の付勢力に
抗してシャフト43を軸方向(図中、左方向)へ移動さ
せる。すると、スナップアクションスプリング44の付
勢方向が反転し、シャフト43は、図中、左方向へ付勢
され、その拡径部がトリガーケース25に当接する位置
に保持される。この際、前記切り欠き部43aがトリガ
ーケース25のガイド孔に対応し、慣性体23と干渉し
ない位置となるので、該慣性体23は雷管方向への移動
が可能な移動可能状態となり、起動装置21は作動可能
状態となる。尚、前記シャフト43及び前記孔45は断
面八角形に形成されているが、これらはシャフト43が
軸線を中心に回転できない断面形状を有していれば良い
ので、多角形や半円等の他の断面形状を採りうる。
【0040】尚、本発明の起動装置を構成する各部材は
上記各実施例における形状に限定されるものではなく、
本発明の主旨に基づいて種々の形態を採り得ることは勿
論であり、起動装置及びプリテンショナーの各構造も適
宜変更可能であることは言うまでもない。例えば、上記
各実施例においては、誤作動防止機構の規制手段である
シャフトを直接操作することによって慣性体を移動阻止
状態及び移動可能状態としているが、リンク機構やワイ
ヤー等の連動手段を操作部材に接続することにより、操
作のやり易い場所に設置した操作部材にでこれらの切換
えを行うことも可能である。
【0041】また、上記各実施例においては、慣性体2
3に対して相対的に雷管方向へ移動するのを阻止された
着火ピン22の鍔部22bに、該着火ピン22よりも速
く雷管方向へ移動する慣性体23を衝突させて雷管10
を発火させることにより、慣性体23の移動量を大きく
して雷管10を発火させるために十分な速度を省スペー
ス内で得ているが、着火ピンを慣性体に固定して一体と
することも可能である。
【0042】更に、上記各実施例においては、本発明の
起動装置をシートベルト引締め装置のガス発生器を作動
させる起動装置として適用しているが、これに限らずエ
アバッグ装置のガス発生器を作動させる起動装置にも等
しく適用することもできる。
【0043】
【発明の効果】本発明の起動装置によれば、柱状の永久
磁石からなる慣性体に所定以上の雷管方向への加速度が
生じた際に、該慣性体が環状永久磁石に対する磁力の反
発力に抗して該環状永久磁石の開口内を雷管方向へ移動
し、更に磁力の吸引力を以て着火ピンを雷管方向へ移動
させるので、慣性体自体が直接、雷管に対する衝撃エネ
ルギーを付与する。そこで、慣性体の移動に応じて着火
ピンの移動規制を解除するトリガーシャフトや着火ピン
を雷管方向へ付勢する付勢部材が不要となる。
【0044】また、規制手段により前記慣性体を移動阻
止状態とした際には、不用意な衝撃によって慣性体の移
動を規制する規制手段と慣性体の係止部との間に生じる
隙間分だけ該慣性体が雷管方向へ移動したとしても、該
慣性体は環状永久磁石に対する磁力の反発力によって所
定位置に押し戻されるので、慣性体を移動可能状態とす
べく規制手段を解除した途端に着火ピンが雷管を発火さ
せることがない。そこで、どのような状況においても、
起動装置の誤作動を確実に防止することができると共
に、着火ピンを所定位置に押し戻す機構が不必要とな
り、構造が複雑になることがない。
【0045】従って、起動装置の誤作動を確実に、かつ
容易に防止することができる安価な誤作動防止機構を備
えた起動装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に基づく起動装置を備えたプ
リテンショナー付きリトラクターの部分正面図である。
【図2】図1に示した起動装置の縦断面図である。
【図3】図2に示した起動装置のA−A断面矢視図であ
る。
【図4】図2に示した起動装置の正面図である。
【図5】図1に示した起動装置の作動状態を説明するた
めの縦断面図である。
【図6】本発明の他の実施例に基づく起動装置の縦断面
図である。
【図7】図6に示した起動装置のB−B断面矢視図であ
る。
【符号の説明】
1 プリテンショナー付きリトラクター 3 プリテンショナー 4 駆動手段 5 シリンダー 9 誤作動防止機構 13 緊急ロック機構 16 ウェビング 18 リトラクターベース 21 起動装置 22 着火ピン 22a 撃針 22b 鍔部 22c ナット 23 慣性体 24 円環状永久磁石 25 トリガーケース 31 シャフト

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所定以上の加速度に応動して雷管を打撃
    し、ガス発生器を作動させる起動装置であって、 雷管方向へ移動して雷管と衝突することにより雷管を着
    火可能な着火ピンと、 着火ピンに運動エネルギーを供給する柱状の永久磁石か
    らなる慣性体と、 慣性体の外径よりも大きな内径を有する環状永久磁石
    と、 慣性体を選択的に移動阻止状態及び移動可能状態とする
    規制手段と、を有することを特徴とする起動装置。
  2. 【請求項2】 着火ピンと慣性体と環状永久磁石が、ト
    リガーケースに内設されている請求項1記載の起動装
    置。
  3. 【請求項3】 規制手段が、トリガーケースに回動可能
    に取付けられたシャフトを有する請求項2記載の起動装
    置。
  4. 【請求項4】 シャフトはトリガーケースの慣性体移動
    方向を横切るように設けられた孔に貫装され、シャフト
    の切り欠き部の底面が慣性体の雷管側端と干渉して慣性
    体を移動阻止状態とする位置と、該位置から所定角度回
    転し慣性体と干渉せず慣性体を移動可能状態とする位置
    との間を回動可能である請求項3記載の起動装置。
  5. 【請求項5】 規制手段が、トリガーケースに取り付け
    られ、所定の範囲内を軸線方向に移動可能な多角形断面
    のシャフトからなる請求項2記載の起動装置。
  6. 【請求項6】 シャフトはトリガーケースの慣性体移動
    方向を横切るように設けられた多角形断面の孔に貫装さ
    れ、慣性体の雷管側端と干渉して慣性体を移動阻止状態
    とする位置と、該位置から軸線方向に移動し中間部に形
    成された切り欠き部により慣性体と干渉せず慣性体を移
    動可能状態とする位置との間を移動可能である請求項5
    記載の起動装置。
  7. 【請求項7】 慣性体と着火ピンとは同軸上に構成さ
    れ、慣性体は着火ピンを遊貫する貫通孔が設けられ、着
    火ピンは慣性体に対して相対的に雷管方向へ移動するの
    を阻止する移動阻止部を有する請求項1記載の起動装
    置。
  8. 【請求項8】 移動阻止部が、慣性体の貫通孔を貫通し
    た後端部に装着したストッパーである請求項7記載の起
    動装置。
  9. 【請求項9】 ガス圧で駆動することによりリトラクタ
    ーの巻取軸を車両衝突時にシートベルト引込み方向へ回
    転させるシートベルト引締め装置に用いられ、所定以上
    の加速度に応動して雷管を打撃し、ガス発生器を作動さ
    せる起動装置であって、 雷管方向へ移動して雷管と衝突することにより雷管を着
    火可能な着火ピンと、 着火ピンに運動エネルギーを供給する柱状の永久磁石か
    らなる慣性体と、 慣性体の外径よりも大きな内径を有する環状永久磁石
    と、 慣性体を選択的に移動阻止状態及び移動可能状態とする
    規制手段と、を有することを特徴とする起動装置。
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Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0442459U (ja) * 1990-08-10 1992-04-10
JPH04503706A (ja) * 1988-09-19 1992-07-02 ジーメンス アクチェンゲゼルシャフト 電磁制動慣性センサー

Patent Citations (2)

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JPH04503706A (ja) * 1988-09-19 1992-07-02 ジーメンス アクチェンゲゼルシャフト 電磁制動慣性センサー
JPH0442459U (ja) * 1990-08-10 1992-04-10

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