JPH07314114A - 酸化物の除去方法 - Google Patents

酸化物の除去方法

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Publication number
JPH07314114A
JPH07314114A JP11301094A JP11301094A JPH07314114A JP H07314114 A JPH07314114 A JP H07314114A JP 11301094 A JP11301094 A JP 11301094A JP 11301094 A JP11301094 A JP 11301094A JP H07314114 A JPH07314114 A JP H07314114A
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JP
Japan
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molten metal
buffer plate
metal buffer
injection sleeve
oxide
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JP11301094A
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English (en)
Inventor
Takashi Kawasaki
隆 川崎
Mitsuru Adachi
充 安達
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Ube Corp
Original Assignee
Ube Industries Ltd
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Publication date
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  • Casting Support Devices, Ladles, And Melt Control Thereby (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 アルミニウム合金あるいはマグネシウム合金
などの高圧鋳造時に製品内部へ混入する酸化物の除去方
法を提供する。 【構成】 竪型射出スリーブ間で環状の隙間を有する溶
湯緩衝板を前記射出スリーブと同軸方向に上下動する移
動軸の先端部に固着するとともに前記移動軸の途中に荷
重センサを配設した酸化物除去装置を用い、前記射出ス
リーブ内の下方に位置した状態で射出スリーブの上方よ
り溶湯緩衝板に向けて注湯した後前記環状の隙間より流
下させるとともに、溶湯の湯面上昇速度に併せて前記溶
湯緩衝板を上昇させ、注湯完了時に湯面を前記溶湯緩衝
板より上方になるように位置させて射出スリーブ内の溶
湯緩衝板の位置を検知しながら前記溶湯緩衝板上に残留
した酸化物を前記溶湯緩衝板と一体的に取出すようにし
た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、酸化物の混入が少なく
機械的性質に優れた鋳造製品を得るための酸化物の除去
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図11は従来のビスケットの正面図であ
る。ダイカストマシンなどの射出成形装置は、固定盤に
装着された固定金型と、可動盤に装着された可動金型と
を備えており、型締されたこれら両金型の接合部にはキ
ャビティが形成されている。また、固定金型のスリーブ
孔には、キャビティとの間をゲートで連通された固定ス
リーブが嵌着されており、この固定スリーブには、固定
盤側に支持された射出シリンダの射出スリーブが着脱自
在に接合されている。このように構成されていることに
より、射出スリーブに溶湯を供給して固定スリーブに接
合し、射出シリンダ内に設けたプランジャチップを油圧
などで前進させて射出シリンダ内の溶湯を押すと、溶湯
は固定スリーブとゲートとを経てキャビティ内へ射出さ
れる。
【0003】キャビティ内の溶湯が固化することにより
製品となるので、型開して製品を取出すが、この時、射
出スリーブ内とゲート内とには、鋳造余剰材が製品と切
離されて残される。すなわち、溶湯が固化することによ
り、金型キャビティ内には、一般にビスケットと呼ばれ
る大径薄型円柱状の溶湯固化物が残り、またゲート内に
も溶湯固化物と一体でその中心部から突出する小径円柱
状の溶湯固化物が残る(なお、このあとスリーブ内の溶
湯固化物とゲート内の溶湯固化物とからなる鋳造余剰材
全体をビスケットという。また、スリーブ内の溶湯固化
物を大径部材72と呼び、ゲート内の溶湯固化物を小径
部材73という)。そして鋳造に際しては、溶湯の酸化
物などの非金属介在物がキャビティ内に侵入すると、製
品の品質が低下するので、一般にゲート内には図11に
符号74で示す金網が1ショットごとに装填されること
がある。そして、この金網は小径部材内に埋設状態で残
される。このようにしてできた鋳造品からビスケット7
1を切離す。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
ようにゲート内に金網を下方より装填した後、射出スリ
ーブ内に注湯したアルミニウム合金をプランジャチップ
によって押上げて金型キャビティ内に充填すると、溶湯
表面の酸化物や非金属介在物は金網74によって製品内
部への混入の一部は妨げられるが、残りの酸化物や非金
属介在物は金網74によって細かく破砕されて溶湯とと
もにキャビティへ充填される。このため良好な機械的性
質が得られていた。しかし、従来のビスケット71は上
記のように大径部材72と小径部材73で一体形成され
ており、ゲート内固化物である小径部材73には金網7
4が埋設されたままになっていることにより、このまま
回収して再使用することができないので材料の歩留りが
悪いといった問題があった。
【0005】本発明は、上記従来の問題点に着目し、ア
ルミニウム合金あるいはマグネシウム合金などの高圧鋳
造時に製品内部へ混入する酸化物の除去方法を提供する
ことを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】このような課題を解決す
るために、本発明では、竪型射出スリーブ間で環状の隙
間を有する溶湯緩衝板を前記射出スリーブと同軸方向に
上下動する移動軸の先端部に固着するとともに前記移動
軸の途中に荷重センサを配設した酸化物除去装置を用
い、前記射出スリーブ内の下方に位置した状態で射出ス
リーブの上方より溶湯緩衝板に向けて注湯した後前記環
状の隙間より流下させるとともに、溶湯の湯面上昇速度
に併せて前記溶湯緩衝板を上昇させ、注湯完了時に湯面
を前記溶湯緩衝板より上方になるように位置させて射出
スリーブ内の溶湯緩衝板の位置を検知しながら前記溶湯
緩衝板上に残留した酸化物を前記溶湯緩衝板と一体的に
取出すようにした。
【0007】
【作用】溶湯緩衝板を支持する中空状の移動軸の下端部
を開口するとともに、射出スリーブ内に挿入した溶湯緩
衝板間とで適宜な環状の隙間を設けた状態で所定の高さ
に位置させておく。次いで、とりべから射出スリーブへ
所望量のアルミニウム合金溶湯を注湯すると、溶湯は溶
湯緩衝板上へ落下した後、環状の隙間を通って射出スリ
ーブ内壁面上を整流となって流下し射出スリーブ内へ貯
留されるが、溶湯緩衝板上部の溶湯量を移動軸上に配設
した荷重センサで絶えず検出しているためとりべから射
出スリーブへ注湯された溶湯が溢流することなく、かつ
射出スリーブ内へ注湯された溶湯は乱流を伴う飛散が防
止され、射出スリーブ内で溶湯金属が新たに酸化される
ことが少なくなる。
【0008】
【実施例】以下に、本発明に係る酸化物の除去方法の具
体的実施例を図面を参照して詳細に説明する。
【0009】図1ないし図8は本発明の実施例に係る射
出スリーブへの注湯時に混入した酸化物の除去方法を説
明する図、図9は竪鋳込型ダイカストマシンの正面図、
図10は竪型射出装置の縦断面図である。
【0010】図9および図10において、床面下には平
面視長方形状のピット1が設けられており、このピット
1の両端には、鋼板や形鋼などにより枠組形状された一
対のマシンベース2が床面上に延びて立設されており、
これらのマシンベース2の一方の端部には、ほぼ正方形
状に形成された固定プラテン3が載置されてその脚部3
aをボルト締めによって固定されている。
【0011】また、マシンベース2の他端部には、エン
ドプラテン4が移動調節自在に立設されて固定されてお
り、固定プラテン3とエンドプラテン4とは、4個のタ
イロッド5で4隅を連結されて移動調節後、ナット6で
固定されている。7はタイロッド5に4隅の孔を嵌合さ
れて固定プラテン3に対する遠近方向へ進退自在に形成
された可動プラテンであって、型締シリンダ8のピスト
ンロッド9との間をトッグル機構10を介して連結され
ており、油圧でピストンロッド9を進退させることによ
り、固定プラテン3に対して進退するように構成されて
いる。
【0012】固定プラテン3と可動プラテン7には、キ
ャビティ11a、12aとビスケット部15を有する固
定金型11と可動金型12とがそれぞれ装着されてお
り、型締シリンダ8に駆動されて可動プラテン7が型開
状態から前進することにより図1に示すように型締が行
われる。
【0013】次に、前記ピット1内に配設された竪鋳込
型の射出装置13について説明する。符号20はピット
1の底面に固設された受座18にピン19を介して回動
自在に枢支された射出シリンダであって、下段側から順
次射出シリンダ20、ドッキングフレーム22、射出ス
リーブ24が段設された構成となっている。射出シリン
ダ20内にはピストン26が設置され、該ピストン26
には上方に向って延びるロッド28が連結されている。
ドッキングフレーム22には上下方向に延びるシリンダ
孔30が設けられており、該シリンダ孔30内にはドッ
キングラム32が挿入され、該ドッキングラム32の下
端は射出シリンダ20の上面に形成されたフランジ34
に固着されている。
【0014】射出スリーブ24は連結部材36を介して
ドッキングフレーム22の上側に連結されており、その
上端はビスケット部15の下端に挿入可能とされてい
る。射出スリーブ24内にはプランジャチップ38が摺
動自在に設置されており、該プランジャチップ38を保
持するプランジャ40は、その下端がカップリング42
を介して前記ロッド28の上端に連結されている。ピッ
ト1の側面壁には傾転シリンダ44が受座46およびピ
ン48を介して傾動自在に枢支されており、該傾転シリ
ンダ44のピストン50に連結されているロッド52
は、その先端が継手54およびピン56を介して射出シ
リンダ20のフランジ34の側面に枢着されている。
【0015】符号60は酸化物除去装置であり、溶湯緩
衝板62、移動軸64から構成されている。溶湯緩衝板
62はとりべ66から注湯される溶湯68にひねりなど
の乱流を発生することなく整流となって射出スリーブ2
4の内壁面を流下するようにするものである。溶湯緩衝
板62の中心部と直交方向に移動軸64の先端部が固着
され、また移動軸64の他端部は例えば図示しないロボ
ットなどに把持した状態で射出スリーブ24の軸芯方向
に上下移動可能な構成となっている。溶湯緩衝板62の
投影面積A1 が射出スリーブ24の断面積A2 の60〜
95%、望ましくは75〜90%となるような径を有す
る平板を用いている。
【0016】溶湯緩衝板62の投影面積A1 が射出スリ
ーブ24の断面積A2 の60%以下では、射出スリーブ
24へ注湯された溶湯68が一旦溶湯緩衝板62に当っ
た後射出スリーブ24の内壁面を添うことなく落下する
ため、溶湯68の金属が乱流を伴って飛散し、溶湯68
の金属を酸化することになる。また、溶湯緩衝板62の
投影面積A1 が射出スリーブ24の断面積A2 の95%
以上では環状の隙間69を通って流下する溶湯68と射
出スリーブ24内に滞留する空気との置換が行われにく
く、とりべ66から射出スリーブ24への注湯速度が非
常に遅くなる。
【0017】また、図1に示す如く溶湯緩衝板62はと
りべ66より注がれる溶湯68を一旦受けるためのもの
であり、その設定位置H2 が射出スリーブ24の高さH
1 の1/5未満ではとりべ66の注湯位置から溶湯緩衝
板62までの溶湯68の落差が大きいために注湯した溶
湯68中に多くの気泡が発生し、このために酸化物70
の巻き込みが多くなる。また、溶湯緩衝板62の高さH
2 が射出スリーブ24の高さH1 の4/5を超えた場
合、とりべ66の注湯位置から溶湯緩衝板62までの溶
湯68の落差が小さいために注湯した溶湯68中に気泡
の発生は少ないものの、溶湯緩衝板62と射出スリーブ
24上端面までの高さが小さく溶湯68を溢流しないよ
うに注湯するのが難しい。このため、射出スリーブ24
への溶湯68の注湯前に溶湯緩衝板62の高さH2 を射
出スリーブ24の高さH1 の1/5〜4/5望ましくは
2/5〜3/5になるように位置するのがよい。
【0018】また、本実施例では、移動軸64の途中
(溶湯緩衝板62とロボット(図示なし)が移動軸64
を把持した位置との間)に荷重センサ90を配設して射
出スリーブ24内へ注湯した時、溶湯緩衝板62の上面
62bにある溶湯量の検知を出力変化信号によって行い
ながらとりべ66から注湯された溶湯68が溢流しない
ように構成されている。
【0019】なお、荷重センサ90は市販品のものを使
用しているが、射出スリーブ24内へ注湯された溶湯6
8の熱量により移動軸64へ熱伝導されて移動軸64が
伸び、本来の溶湯緩衝板62上の溶湯重量のみを検知し
たい時に誤差を生じることになるため荷重センサ90の
周辺を図示しない冷却装置によって移動軸64の溶湯熱
による線膨張を防止することになっている。
【0020】本実施例では荷重センサ90による溶湯6
8の湯面80の検知方法を図7と図8を用いて説明する
と、溶湯緩衝板62が図7に示すように液深L1 の溶湯
68中にある時(図8のに相当)は、荷重センサ(例
えばロードセル)で検知できる溶湯緩衝板62の上面6
2bの溶湯68の重量W1 は、W1 =W0 −ρ(V1+
V2 +V3 )となり、ρ(V1 +V2 +V3 )の浮力分
だけ小さくなる。
【0021】ここでW0 は酸化物除去装置の重量、ρは
溶湯の密度、V1 は溶湯緩衝板の容積、V2 は溶湯中に
浸漬された部分の移動軸の容積、V3 は溶湯中に浸漬さ
れた部分の残留空気排出管の容積、W1 は液深L1 の時
の酸化物除去装置の重量を示す。
【0022】図7に示す状態から移動軸64を引上げる
と、溶湯緩衝板62は次第に湯面80に近づき、図8中
のからへ移行する。すなわち、溶湯緩衝板62の上
昇開始時の初期状態(液深L1 )から上昇するに連れて
液深はL1 −xと次第に浅くなるとともにV1 は変化し
ないもののV2 とV3 は次第に小さくなり、溶湯緩衝板
62の上面62bが湯面80に接する位置(図8のの
位置)からV1 も変化を始める。そして、溶湯緩衝板6
2が湯面80から出ると図8中からへ移行する。移
動軸64と溶湯緩衝板62との交点Xが湯面80と一致
した時荷重センサ90が検出する酸化物除去装置60の
重量W2 は、W2 =W0 −ρ(V1 /2)となる(図8
中の状態)。
【0023】この時、図4に示す状態にあり、溶湯緩衝
板62の左側半分には酸化物70が載った状態を呈し、
右側半分は未だ溶湯68中に浸漬された状態にある。
【0024】引続き、移動軸64を引上げると、溶湯緩
衝板62が酸化物70を載せたまま湯面80上に露出
し、荷重センサ90は酸化物除去装置60の重量W0 の
出力変化信号を発する(図8中の状態)。
【0025】こうして、荷重センサ90の出力信号を検
出することにより溶湯緩衝板62が前記した図8中の
、、、のいずれの状態にあるかがわかるのであ
る。さらに、本実施例では溶湯緩衝板62の端縁部近傍
に残留空気排出管85を配設した構成となっている。
【0026】注湯時に環状の隙間69全体にわたり射出
スリーブ24内に流入した溶湯68により逃げ遅れた射
出スリーブ24内の空気は図2に示すように溶湯緩衝板
62の下面62aに封じ込められた形になり、この封じ
込められた残留空気は残留空気排出管85を介して溶湯
上に排出するように構成されている。
【0027】なお、残留空気排出管85の長さは注湯時
に溶湯68が入らないような長さにすることが好まし
い。また、荷重センサ90は溶湯68の熱の影響を受け
ないように移動軸64の上方に位置させることが望まし
い。
【0028】酸化物除去装置60の材質はアルミニウム
合金やマグネシウム合金の溶湯に対して溶損しない例え
ば金属、非金属、あるいはその複合材が用いられる。な
お、符号58は固定スリーブ、65は金型スリーブ、6
6はとりべ、67はゲート部、69は溶湯緩衝板62と
射出スリーブ24間に設けられた環状の隙間を示す。
【0029】以上のように構成された竪型射出装置の動
作を説明する。まず、型締シリンダ8によって可動プラ
テン7を前進させて金型11、12を型締した後、図1
0に示すように傾転シリンダ44のロッド52を前進さ
せて鎖線位置へ傾動させ、射出スリーブ24へ図示しな
い潤滑剤噴霧装置から潤滑剤を噴霧供給する。次いで、
図示しないロボットなどの把持装置で酸化物除去装置6
0の移動軸64を射出スリーブ24と同軸上に位置する
ように把持した状態で射出スリーブ24の軸方向に溶湯
緩衝板62を下降させ、溶湯緩衝板62と射出スリーブ
24間に均一な環状の隙間69を有するように位置させ
るとともに、図7に示すように射出スリーブ24内での
溶湯緩衝板62の高さH2 を射出スリーブ24の高さH
1 の例えば約2/5になるように位置させる。
【0030】次いで、とりべ66によって図示しない溶
湯保持炉から例えばアルミニウム合金溶湯68を汲上げ
た後射出スリーブ24上で傾転しながら一旦溶湯68落
差の小さい溶湯緩衝板62上へ静かに注湯を開始する
と、溶湯68は環状の隙間69から射出スリーブ24の
内壁面上を整流となって流下し空気と置換されつつ少し
づつ射出スリーブ24内へ貯留される(図1)。溶湯6
8が環状の隙間69から射出スリーブ24の内へ流下す
る際には、溶湯68の渦流をできる限り緩慢にし、空気
の巻込みを防止し、かつ溶湯68中への酸化物70の巻
込みも少なくする。
【0031】引続き射出スリーブ24内へ溶湯緩衝板6
2を介して溶湯68を注湯すると、溶湯68の湯面は少
しづつ漸増するとともに、射出スリーブ24内の残留空
気も溶湯68と置換されつつ環状の隙間69から排出さ
れる(図2)
【0032】もし、このような残留空気排出管85を用
いない場合には、引続く射出スリーブ24への注湯によ
り残留空気は溶湯68により加熱・圧縮され、注湯量が
変化し隙間69の一部が開口された時封じ込められた残
留空気は、隙間69から流下する溶湯68と向流接触し
ながら大気中へ放出されることになる。
【0033】この残留空気は流下する溶湯68との向流
接触の際気泡状態いわゆる比表面積の多い状態となるた
め、射出スリーブ24内でも副次的な酸化物70の生成
が促進されることになりやすい。本実施例ではこうした
現象を防止するために、溶湯緩衝板62の端縁部に残留
空気排出管85を少なくとも1つ(溶湯緩衝板62の端
縁部から中心部に向う半径方向に複数個設けてもよい)
配設して溶湯緩衝板62の下面62a側に封じ込められ
た残留空気を容易に排出するのである。
【0034】射出スリーブ24内へ貯留された溶湯68
の湯面が溶湯緩衝板62へ漸近するに連れて溶湯緩衝板
62が溶湯68の湯面より絶えず下方に位置するように
注意しながら溶湯緩衝板62を上昇させる(図3)。射
出スリーブ24への注湯完了時に、溶湯緩衝板62の上
昇を中止し、湯面80と溶湯緩衝板62が適宜な角度
(この角度は射出装置13の傾転角度と同じとなる)で
交差した状態とする。この場合、溶湯緩衝板62の左側
半分は酸化物70を捕捉したまま湯面80上へ露出し、
右側半分は溶湯68中に浸漬した状態を呈し、酸化物7
0が湯面80上に浮遊したままであり未捕捉である(図
4)。
【0035】この後、溶湯緩衝板62の上面に酸化物7
0を捕捉した状態で射出スリーブ24から引上げ、この
まま適宜な位置へ後退させる(図5)。
【0036】こうして溶湯緩衝板62上に捕捉された酸
化物70を前記溶湯緩衝板62と一体的に取出し、適宜
な位置まで移動した状態下で溶湯緩衝板62上に捕捉さ
れた酸化物70に例えば圧縮エア81などを吹付けて溶
湯緩衝板62上に付着、捕捉された酸化物70を除去す
るのである(図6)。
【0037】酸化物70を除去する場合、圧縮エア81
を吹付けた場合について述べたが、酸化物70を外部加
熱、振動、吸引あるいは掴むなどして除去してもよい。
【0038】一方、射出スリーブ24への注湯が完了す
ると傾転シリンダ44のピストンロッド52側に圧油を
導入して射出装置13を起立させる。次いでシリンダ孔
30に圧油を導入するとドッキングフレーム22は所定
の速度で上昇を開始し、射出スリーブ24を固定スリー
ブ58に当接させる。さらに、ピストン26のヘッド側
に圧油を導入してプランジャチップ38を上昇させ溶湯
68を金型スリーブ65内へ上昇させる。最後に射出シ
リンダ20へ圧油を導入してプランジャチップ38をさ
らに上昇させてキャビティ11a、12a内へ溶湯68
を充填させる。キャビティ11a、12a内へ溶湯68
の凝固が終了した後は、射出プランジャ20とドッキン
グフレーム22を下降させ、図10に示す鎖線位置に傾
転するとともに、金型11、12を開いてキャビティ1
1a、12a内の鋳造品を取出すが、型開時に製品とビ
スケット71を切断分離し、1サイクルを完了する。
【0039】
【発明の効果】以上説明したことからも明らかなよう
に、本発明では竪型射出スリーブ間で環状の隙間を有す
る溶湯緩衝板を前記射出スリーブと同軸方向に上下動す
る移動軸の先端部に固着するとともに前記移動軸の途中
に荷重センサを配設した酸化物除去装置を用い、前記射
出スリーブ内の下方に位置した状態で射出スリーブの上
方より溶湯緩衝板に向けて注湯した後前記環状の隙間よ
り流下させるとともに、溶湯の湯面上昇速度に併せて前
記溶湯緩衝板を上昇させ、注湯完了時に湯面を前記溶湯
緩衝板より上方になるように位置させて射出スリーブ内
の溶湯緩衝板の位置を検知しながら前記溶湯緩衝板上に
残留した酸化物を前記溶湯緩衝板と一体的に取出すよう
にしたことにより、溶湯の湯面上に浮遊する酸化物の捕
捉を溶湯緩衝板の移動軸に設けた荷重センサで酸化物除
去装置の重量を検出しながら行うようにしたので溶湯緩
衝板の上面に酸化物を捕捉したまま湯面より引上げる速
度を低く押えることができ射出スリーブから溶湯を溶湯
緩衝板の引上げ時の射出スリーブからの溢流を完全防止
でき、作業性が大幅に向上する。また、溶湯金属中への
外気および酸化物の巻込みおよび注湯中射出スリーブ内
の残留空気による副次的な酸化物の発生が防止できるた
め、従来の鋳造品に比べきわめて品質の優れた鋳造品が
得られる。また、ビスケット部に金網が埋設されないた
め鋳造余剰材(ビスケット)を有効に利用することがで
き、歩留りが向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係る射出スリーブへの注湯状
態を示す説明図である。
【図2】本発明の実施例に係る射出スリーブへの注湯状
態を示す説明図である。
【図3】本発明の実施例に係る射出スリーブへの注湯状
態を示す説明図である。
【図4】本発明の実施例に係る溶湯緩衝板による酸化物
の除去方法を説明する図である。
【図5】本発明の実施例に係る溶湯緩衝板による酸化物
の除去方法を説明する図である。
【図6】溶湯緩衝板上に捕捉された酸化物を除去する説
明図である。
【図7】本発明に係る実施例を説明するための説明図で
ある。
【図8】酸化物除去装置引上げ時の重量を荷重センサで
検知する時の重量変化を示す。
【図9】竪鋳込型ダイカストマシンの正面図である。
【図10】竪型射出装置の縦断面図である。
【図11】従来のビスケットの正面図である。
【符号の説明】
3 固定プラテン 4 エンドプラテン 5 タイロッド 10 トッグル機構 11 固定金型 12 可動金型 11a、12a キャビティ 13 射出装置 15 ビスケット部 20 射出シリンダ 22 ドッキングフレーム 24 射出スリーブ 32 ドッキングラム 38 プランジャチップ 44 傾転シリンダ 58 固定スリーブ 60 酸化物除去装置 62 溶湯緩衝板 64 移動軸 65 金型スリーブ 68 溶湯 69 環状の隙間 70 酸化物 71 ビスケット 74 金網 80 湯面 81 圧縮エア 85 残留空気排出管 90 荷重センサ

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 竪型射出スリーブ間で環状の隙間を有す
    る溶湯緩衝板を前記射出スリーブと同軸方向に上下動す
    る移動軸の先端部に固着するとともに前記移動軸の途中
    に荷重センサを配設した酸化物除去装置を用い、前記射
    出スリーブ内の下方に位置した状態で射出スリーブの上
    方より溶湯緩衝板に向けて注湯した後前記環状の隙間よ
    り流下させるとともに、溶湯の湯面上昇速度に併せて前
    記溶湯緩衝板を上昇させ、注湯完了時に湯面を前記溶湯
    緩衝板より上方になるように位置させて射出スリーブ内
    の溶湯緩衝板の位置を検知しながら前記溶湯緩衝板上に
    残留した酸化物を前記溶湯緩衝板と一体的に取出すよう
    にしたことを特徴とする酸化物の除去方法。
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