JPH07313152A - 組換え型ヒト・ヒスタミン受容体、その製造法および用途 - Google Patents

組換え型ヒト・ヒスタミン受容体、その製造法および用途

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JPH07313152A
JPH07313152A JP7038289A JP3828995A JPH07313152A JP H07313152 A JPH07313152 A JP H07313152A JP 7038289 A JP7038289 A JP 7038289A JP 3828995 A JP3828995 A JP 3828995A JP H07313152 A JPH07313152 A JP H07313152A
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histamine
human histamine
screening
cells
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JP7038289A
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Kuniji Hinuma
州司 日沼
Yasuaki Ito
康明 伊藤
Hiroyuki Fukui
裕行 福井
Haruo Onda
治夫 音田
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Takeda Pharmaceutical Co Ltd
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Takeda Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【構成】ヒト・ヒスタミンH1受容体をコードするDN
Aを導入したバキュロウイルスを感染させた昆虫細胞、
該昆虫細胞をヒト・ヒスタミンH1受容体をコードする
DNAの発現が可能な条件下で培養することを特徴とす
る組換え型ヒト・ヒスタミンH1受容体を含有する昆虫
細胞、該組換え型ヒト・ヒスタミンH1受容体またはそ
の部分ペプチド、該組換え型ヒト・ヒスタミンH1受容
体の製造法、該組換え型ヒト・ヒスタミンH1受容体ま
たは該昆虫細胞を用いるヒト・ヒスタミンH1受容体結
合阻害化合物のスクリーニング方法、スクリーニング用
キット、該スクリーニング方法またはスクリーニング用
キットを用いて得られる化合物、および該化合物を含有
する医薬組成物。 【効果】組換え型ヒト・ヒスタミンH1受容体を大量に
製造することができさらに、効率良くスクリーニングす
ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、DNA組換え技術を用
いて産生されたヒトのヒスタミンH1受容体に関する。
さらに詳しくは、本発明は、昆虫細胞に組換え型バキュ
ロウイルスを感染させることにより産生されたヒトのヒ
スタミンH1受容体に関する。これにより産生されたヒ
ト・ヒスタミンH1受容体は、ヒスタミンH1受容体結合
阻害化合物のスクリーニングに有用である。
【0002】
【従来の技術】近年アレルギー疾患の患者が急増し、そ
れに伴い、抗アレルギー薬の使用量も年々増加してい
る。アレルギー疾患の増加の原因として大気汚染、ダニ
やカビの増加、食生活の変化、精神的ストレスなどが指
摘されているが、生活様式に根差しているものだけに、
原因を取り除くことは難しく、優れた抗アレルギー薬の
早急な開発が望まれている。ヒスタミンは、I型アレル
ギー(花粉症、鼻炎、蕁麻疹、気管支喘息など)にかか
わるメディエーターとして古くから研究され、アレルギ
ー疾患の治療を考える上で最も主要な因子としてとらえ
られている。ヒスタミンは、ヒスタミン受容体を介して
作用を発揮するが、ヒスタミン受容体にはH1、H2、H
3の三つのサブタイプの存在が知られている〔福井ら、
蛋白質核酸酵素, 35,718−733(1990)〕。このうち、
アレルギー反応に関係するヒスタミンの平滑筋収縮作用
や血管透過性亢進作用は、H1を介する反応であること
が判明している。このためヒスタミンH1受容体拮抗薬
は多種開発され、I型アレルギーの関与する疾患の主た
る治療薬として用いられている。初期に開発されたヒス
タミンH1拮抗薬は、脂溶性のため血液−脳関門を通過
しやすく、中枢神経抑制作用を示したり、局所麻酔作用
を示したり、極めて副作用が強く、患者への投与量は限
られていた。
【0003】これに対し、近年、 中枢神経抑制作用が少
ない、より選択的なヒスタミンH1拮抗薬が開発されて
きているが、理想的なヒスタミンH1受容体拮抗薬に対
する社会的要請に対して、十分こたえているとは言えな
い。ヒスタミンH1受容体拮抗薬は受容体部位で競合的
にヒスタミンに拮抗し、その作用を特異的に遮断する薬
物であるので、拮抗作用を評価するには、受容体へのヒ
スタミンまたはヒスタミンにかわるリガンドの結合阻害
の程度を調べることが最も直接的で確かな方法である。
一般に、生理活性物質に対する拮抗薬(アンタゴニス
ト)や作動薬(アゴニスト)を開発する場合、最初に膨
大な数の化合物、発酵生産物、天然物等から特定の受容
体に親和性を持つ物質をスクリーニングして、リード化
合物を選び出すことが行われる。現在、ヒスタミンH1
受容体に対する標識リガンドとしては、Hillらにより最
初に報告された〔3H〕ピリラミン(メピラミン)が広
く用いられている〔Hill,S.J.ら,ネイチャー(Natu
re),270,361−363(1977)〕。またヒスタミンH1
容体標品としては、モルモットやラットなどの実験動物
の脳や腸管の細胞膜成分が使用されている。
【0004】しかしながら、これらのヒスタミンH1
容体標品を用いて選択された薬剤が、種が異なることに
よりヒトに対してはあまり効果がない場合も考えられ
る。そのため、理想的にはヒトのヒスタミンH1受容体
を用いて薬剤の開発を行うことが望ましい。近年、DN
A組換え技術により数多くの受容体cDNAまたは受容
体遺伝子がクローニングされ、動物細胞、昆虫細胞、酵
母、大腸菌などの組換え体を用いてこれらの受容体が発
現されている。本発明者らは、ウシ・ヒスタミンH1
容体cDNAのクローニングに成功し、ヒスタミンH1
受容体の分子構造を明らかにしている〔プロシージング
・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエン
ス・ユーエスエー(Proc.Natl.Acad.Sci.,USA),8
8,11515−11519,(1991)〕。さらに、ラット、モルモ
ット、ヒトのヒスタミンH1受容体遺伝子のクローニン
グにも成功している〔それぞれバイオケミカル・バイオ
フィジカル・リサーチ・コミュニケーションズ(Bioche
m.Biophys. Res. Commun.),190,294−301,(199
3);ジャーナル・オブ・バイオケミストリー(J. Bioche
m.),114,408−414,(1993);バイオケミカル・バイ
オフィジカル・リサーチ・コミュニケーションズ(Bioc
hem. Biophys. Res. Commun.,201,894-901,(199
4))〕。
【0005】一方、Backerらは、ヒト・ヒスタミンH1
受容体遺伝子をクローニングし、動物細胞(COS−
7)での発現を検討している〔バイオケミカル・バイオ
フィジカル・リサーチ・コミュニケーションズ(Bioche
m. Biophys. Res. Commun.),197,1601−1608,(199
3)〕が、ヒト・ヒスタミンH1受容体の発現量は十分と
は言い難い。したがって、ヒト・ヒスタミンH1受容体
を大量に製造できる方法が確立されていないのが現状で
ある。アレルギー疾患の治療において、ヒスタミンH1
受容体拮抗薬は、蕁麻疹、アレルギー性鼻炎、花粉症、
アトピー性皮膚炎、気管支喘息などの即時型アレルギー
に対する治療薬として多用されているが、特異的で副作
用の心配がなく、高い有効性を持つ新しい治療薬の開発
が望まれている。組換え体で産生したヒト・ヒスタミン
1受容体を使用してH1受容体結合阻害化合物をスクリ
ーニングすることができれば、実験動物を用いることの
欠点(種が異なることにより、ヒトとは異なる結果が得
られる可能性)を克服することができ、ヒトに対して有
効な抗ヒスタミン剤の開発が効率よく行えるようになる
と期待される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、抗ヒスタミ
ン剤の開発のために使用可能なヒト・ヒスタミンH1
容体を組換え体を用いて大量に製造する方法、該方法で
製造される組換え型ヒト・ヒスタミンH1受容体、該組
換え型ヒト・ヒスタミンH1受容体を用いてヒト・ヒス
タミンH1結合阻害化合物をスクリーニングする方法、
該ヒト・ヒスタミンH1結合阻害化合物スクリーニング
用のキット、該スクリーニング方法で得られるヒト・ヒ
スタミンH1結合阻害化合物、および該ヒト・ヒスタミ
ンH1結合阻害化合物を含有する医薬組成物を提供する
ことを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記した
事情に鑑み、ヒト・ヒスタミンH1受容体結合阻害化合
物を効率よくスクリーニングする方法につき鋭意研究の
結果、バキュロウイルスにヒト・ヒスタミンH1受容体
をコードするDNAを導入し、これを昆虫細胞に感染さ
せることにより大量の組換え型ヒト・ヒスタミンH1
容体を製造することに成功し、該ヒト・ヒスタミンH1
受容体を用いて極めて効率よくスクリーニングを行うこ
とができることを見い出し、この知見に基づいてさらに
研究を進めた結果、本発明を完成した。
【0008】すなわち、本発明は、(1)ヒト・ヒスタ
ミンH1受容体をコードするDNAを導入したバキュロ
ウイルスを感染させた昆虫細胞、(2)第(1)項記載
の昆虫細胞をヒト・ヒスタミンH1受容体をコードする
DNAの発現が可能な条件下で培養することにより製造
されることを特徴とする組換え型ヒト・ヒスタミンH1
受容体を含有する昆虫細胞またはその細胞膜画分、
(3)第(2)項記載の昆虫細胞から単離されることを
特徴とする天然型のヒト・ヒスタミンH1受容体と実質
的に同質の活性を有する組換え型ヒト・ヒスタミンH1
受容体、その部分ペプチドまたはそれらの塩、(4)ヒ
ト・ヒスタミンH1受容体をコードするDNAを導入し
たバキュロウイルスを昆虫細胞に感染させ、該DNAの
発現が可能な条件下で昆虫細胞を培養することを特徴と
する第(3)項記載のヒト・ヒスタミンH1受容体また
はその塩の製造法、
【0009】(5)第(2)項記載の組換え型ヒト・ヒ
スタミンH1受容体を含有する昆虫細胞またはその細胞
膜画分を用いることを特徴とするヒスタミンH1受容体
結合阻害化合物のスクリーニング方法、(6)第(3)
項記載の組換え型ヒト・ヒスタミンH1受容体、その部
分ペプチドまたはそれらの塩を用いることを特徴とする
ヒスタミンH1受容体結合阻害化合物のスクリーニング
方法、(7)第(2)項記載の組換え型ヒト・ヒスタミ
ンH1受容体を含有する昆虫細胞またはその細胞膜画分
を含有することを特徴とするヒスタミンH1受容体結合
阻害化合物スクリーニング用キット、(8)第(3)項
記載の組換え型ヒト・ヒスタミンH1受容体、その部分
ペプチドまたはそれらの塩を含有することを特徴とする
ヒスタミンH1受容体結合阻害化合物スクリーニング用
キット、(9)第(5)項もしくは第(6)項記載のス
クリーニング方法または第(7)項もしくは第(8)項
記載のスクリーニング用キットを用いて得られる化合物
またはその塩、および(10)第(9)項記載の化合物
またはその塩を含有することを特徴とする花粉症、鼻
炎、蕁麻疹、気管支喘息または(および)アトピー性皮
膚炎の予防または(および)治療剤に関する。
【0010】より具体的には、(11)ヒト・ヒスタミ
ンH1受容体をコードするDNAが配列番号:1で表さ
れる塩基配列のうち第7番目から第1467番目の塩基
配列を有するものである第(1)項記載の昆虫細胞、
(12)ヒト・ヒスタミンH1受容体をコードするDN
Aを導入したバキュロウイルスが核多角体病ウイルス
(nuclear polyhedrosis virus;NPV)である第
(1)項記載の昆虫細胞、(13)核多角体病ウイルス
(nuclear polyhedrosis virus;NPV)がキンウワバ
亜科のAutographa californica NPV(AcNPV)
またはカイコのBombyx mori NPV(BmNPV)であ
る第(12)項記載の昆虫細胞、(14)ヒト・ヒスタ
ミンH1受容体をコードするDNAを導入したバキュロ
ウイルスがvBac11で標示される組換えウイルスで
ある第(1)項記載の昆虫細胞、(15)昆虫細胞が、
ウイルスがAcNPVの場合は夜盗蛾の幼虫由来株化細
胞(Spodoptera frugiperda cell;Sf細胞)、Tricho
plusia niの中腸由来のMG1細胞、Trichoplusia niの
卵由来のHigh FiveTM細胞(以下、TMは登録商標を示
す。)、Mamestra brassicae由来の細胞またはEstigmen
a acrea由来の細胞であり、ウイルスがBmNPVの場
合は蚕由来株化細胞(Bombyx mori N;BmN)または
カイコ幼虫個体である第(1)項記載の昆虫細胞、(1
6)Sf細胞がSf9細胞またはSf21細胞、好まし
くはSf9細胞である第(15)項記載の昆虫細胞、
【0011】(17)昆虫細胞が、ヒト・ヒスタミンH
1受容体をコードするDNAを導入したvBac11で
標示される組換えバキュロウイルスを感染したSf9細
胞である第(1)項記載の昆虫細胞、(18)活性がリ
ガンド結合活性である第(3)項記載の組換え型ヒト・
ヒスタミンH1受容体、その部分ペプチドまたはそれら
の塩、(19)組換え型ヒト・ヒスタミンH1受容体の
分子量が約55,000Daである第(3)項または第
(18)項記載の組換え型ヒト・ヒスタミンH1受容
体、その部分ペプチドまたはそれらの塩、(20)組換
え型ヒト・ヒスタミンH1受容体が、配列番号:2で表
されるアミノ酸配列、配列番号:2で表わされるアミノ
酸配列中の1または2個以上のアミノ酸が欠失したアミ
ノ酸配列、配列番号:2で表わされるアミノ酸配列に1
または2個以上のアミノ酸が付加したアミノ酸配列、あ
るいは配列番号:2で表わされるアミノ酸配列中の1ま
たは2個以上のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されたア
ミノ酸配列を含有する蛋白質である第(3)、(1
7)、(18)または(19)項記載の組換え型ヒト・
ヒスタミンH1受容体、その部分ペプチドまたはそれら
の塩、(21)ヒト・ヒスタミンH1受容体をコードす
るDNAが配列番号:1で表される塩基配列配列番号:
1で表される塩基配列のうち第7番目から第1467番
目の塩基配列を有するものである第(4)項記載のヒト
・ヒスタミンH1受容体またはその塩の製造法、
【0012】(22)組換え型ヒト・ヒスタミンH1
容体が、配列番号:2で表されるアミノ酸配列、配列番
号:2で表わされるアミノ酸配列中の1または2個以上
のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列、配列番号:2で表
わされるアミノ酸配列に1または2個以上のアミノ酸が
付加したアミノ酸配列、あるいは配列番号:2で表わさ
れるアミノ酸配列中の1または2個以上のアミノ酸が他
のアミノ酸で置換されたアミノ酸配列を含有する蛋白質
である第(4)または(21)項記載のヒト・ヒスタミ
ンH1受容体またはその塩の製造法、(23)標識した
リガンドを組換え型ヒト・ヒスタミンH1受容体を含有
する昆虫細胞またはその細胞膜画分に接触させた場合
と、標識したリガンドおよび試験化合物を組換え型ヒト
・ヒスタミンH1受容体を含有する昆虫細胞またはその
細胞膜画分に接触させた場合における、標識したリガン
ドと組換え型ヒト・ヒスタミンH1受容体を含有する昆
虫細胞またはその細胞膜画分との結合量を測定し、比較
することを特徴とする第(5)項記載のヒスタミンH1
受容体結合阻害化合物のスクリーニング方法、(24)
標識したリガンドを組換え型ヒト・ヒスタミンH1受容
体、その部分ペプチドまたはそれらの塩に接触させた場
合と、標識したリガンドおよび試験化合物を組換え型ヒ
ト・ヒスタミンH1受容体、その部分ペプチドまたはそ
れらの塩に接触させた場合における、標識したリガンド
と組換え型ヒト・ヒスタミンH1受容体、その部分ペプ
チドまたはそれらの塩との結合量を測定し、比較するこ
とを特徴とする第(6)項記載のヒスタミンH1受容体
結合阻害化合物のスクリーニング方法、および(25)
ヒスタミンH1受容体拮抗阻害化合物である第(9)項
記載の化合物またはその塩に関する。
【0013】本発明のヒト・ヒスタミンH1受容体をコ
ードするDNAを導入したバキュロウイルスを感染させ
た昆虫細胞は、例えば、ヒト・ヒスタミンH1受容体を
コードするDNA断片を、昆虫細胞を宿主細胞とするバ
キュロウイルスに導入し、該バキュロウイルスを昆虫細
胞に感染させることによって製造し得る。ヒト・ヒスタ
ミンH1受容体をコードするDNAとしては、ヒト・ヒ
スタミンH1受容体をコードするDNA断片にはイント
ロンが介在していないことから、DNA断片を直接用い
ることができるが、cDNAや合成DNAを用いること
もできる。例えば、ヒト・ヒスタミンH1受容体をコー
ドするcDNAなどが用いられているが、ヒト・ヒスタ
ミンH1受容体またはヒト・ヒスタミンH1受容体と実質
的に同等のリガンド結合活性を有する部分ペプチドをコ
ードする塩基配列を有するものであれば、必ずしもこれ
に制約されるものではない。
【0014】具体的には、例えば、後述する参考例1で
得られたプラスミドpHH1または実施例2で得られた
トランスファープラスミドに保持されているDAN断片
などや、バイオケミカル・バイオフィジカル・リサーチ
・コミュニケーションズ(Biochem. Biophys. Res. Com
mun.),197,1601-1608(1993)に記載されているDNAな
どを用いることができる。例えば、配列番号:2で表わ
されるアミノ酸配列を有するヒト・ヒスタミンH1受容
体をコードしているDNAであって、配列番号:1で表
される塩基配列のうち第7番目から第1467番目の塩
基配列を有するDNA〔図2〕などを用いることができ
る。これらDNAは、それ自体公知の遺伝子工学的手法
を用いてクローニングすることができるし、あるいはヌ
クレオチド合成装置を用いて製造することもできる。例
えば、後述する参考例1の方法あるいはそれらに準ずる
方法に従ってクローニングすることができる。
【0015】昆虫細胞を宿主細胞とするバキュロウイル
スとしては、例えば、核多角体病ウイルス(nuclear po
lyhedrosis virus;NPV)などが挙げられる。昆虫細
胞としては、例えば、ウイルスがAcNPVの場合は、
夜盗蛾の幼虫由来株化細胞(Spodoptera frugiperda ce
ll;Sf細胞)、Trichoplusia niの中腸由来のMG1
細胞、Trichoplusia niの卵由来のHigh FiveTM細胞、Ma
mestra brassicae由来の細胞またはEstigmena acrea由
来の細胞などが挙げられる。ウイルスがBmNPVの場
合は、蚕由来株化細胞(Bombyx mori N;BmN細胞)
などの他、カイコ幼虫個体などが挙げられる。該Sf細
胞としては、例えば、Sf9細胞(ATCC CRL1711)、S
f21細胞〔以上、Vaughn, J.L.ら、イン・ヴィトロ
(In Vitro),13, 213-217,(1977)〕などが挙げられ
る。バキュロウイルスの昆虫細胞への感染方法として
は、m.o.i.(multiplicity of infection)が約0.
1〜100、望ましくは約1〜10になるようにバキュ
ロウィルスを昆虫細胞の培養液に添加する方法が用いら
れる。
【0016】本発明のヒト・ヒスタミンH1受容体をコ
ードするDNAを導入したバキュロウイルスを感染させ
た昆虫細胞の具体例としては、例えば、後述する実施例
1で得られるvBac11で標示される組換え体ウイル
スを感染させた昆虫細胞などが挙げられる。以下に、本
発明のヒト・ヒスタミンH1受容体をコードするDNA
を導入したバキュロウイルスを感染させた昆虫細胞の製
造法を具体的に説明する。ヒト・ヒスタミンH1受容体
をコードするDNA断片を宿主細胞に導入し、それらを
効率よく発現させるためには、該DNA断片を昆虫を宿
主とするバキュロウイルスに属する核多角体病ウイルス
(nuclear polyhedrosis virus;NPV)などのポリヘ
ドリンプロモーターの下流に組み込むのが好ましい。ベ
クターとしては、キンウワバ亜科のAutographa califor
nica NPV(AcNPV)、カイコのBombyx mori N
PV(BmNPV)などのウイルスが用いられる。バキ
ュロウイルスは、環状の2本鎖DNA(130kb)を
持ち、脊椎動物及び植物にはまったく感染性を示さな
い。
【0017】ウイルスDNAは130kbもあるので、
発現させたいDNA断片を直接に多角体プロモーターの
下流に挿入するのは不可能である。そこで、実際には、
まずプロモーター部分を含むポリヘドリン遺伝子部分を
ウイルスから切り出し、これをpUC18などの大腸菌
を宿主とするベクターに組み込みトランスファーベクタ
ーを作製する。次いで、目的とするDNA断片をトラン
スファーベクターのポリヘドリンプロモーターの下流へ
挿入し、これをバキュロウイルスDNAと共に昆虫細胞
に同時に感染させて培養し、昆虫細胞の中で相同組換え
をおこさせて組換えバキュロウイルスを得る。組換えウ
イルスは、多角体を作るかわりに新しく導入された目的
産物を作るようになる。宿主としては、ウイルスがAc
NPVの時は、夜盗蛾の幼虫由来株化細胞(Spodoptera
frugiperda cell;Sf細胞)を用いるのが望ましい。
特に、Sf9細胞〔Vaughn, J.L.ら、イン・ヴィトロ
(In Vitro),13, 213-217,(1977)〕は、静置培養と浮
遊培養ができ、また、これまでに多くの研究に使用され
ており、宿主細胞としての情報が蓄積していることから
好適である。ウイルスがBmNPVの場合は、蚕由来株
化細胞(Bombyx mori N;BmN細胞)などを用いるの
が好ましい。バキュロウイルスおよび昆虫細胞を用いた
ヒト・ヒスタミンH1受容体の発現系としては、例え
ば、市販されているもの(例えば、Invitrogen社 MAXB
ACTMなど)を使用することができ、手段についても、市
販品に添付されている実験書や文献〔バイオテクノロジ
ー(Bio/Technology),6,47−55,(1988)〕などに記
載されているものを採用することができる。
【0018】本発明の組換え型ヒト・ヒスタミンH1
容体を含有する昆虫細胞は、前述のヒト・ヒスタミンH
1受容体をコードするDNAを導入したバキュロウイル
スを感染させた昆虫細胞を、ヒト・ヒスタミンH1受容
体をコードするDNAの発現が可能な条件下で培養する
ことにより製造され得る。すなわち、ヒト・ヒスタミン
1受容体をコードするDNAを導入したバキュロウイ
ルスを感染させた昆虫細胞を静地培養または浮遊培養す
ることにより、該細胞にヒト・ヒスタミンH1受容体を
大量発現させることができる。昆虫細胞を培養するため
の培地としては、グレース昆虫細胞用培地サプリメント
入り、IPL−41昆虫細胞用培地、Sf−900昆虫
細胞用無血清培地、TC−100昆虫細胞用培地(いず
れも GIBCO-BRL社)などが挙げられる。またこれらの培
地に約5%〜20%の牛胎児血清、ペニシリンG、スト
レプトマイシン、ゲンタマイシンなどの抗生物質、約
0.1%のプルロニックF−68(GIBCO-BRL社)などを
添加してもよい。培養は約20℃から30℃、望ましく
は約26℃から27℃で、約12時間から120時間、
望ましくは約24時間から72時間行い、シャーレやフ
ラスコの中で静置してもよいし、スピナーフラスコを用
いて約50rpm〜200rpmで撹拌してもよい。以
上の方法で製造された昆虫細胞は、天然のヒスタミンH
1受容体を含有する組織(例えば、ヒト大脳皮質など)
に比べて、膜蛋白質1mg当たり約100〜300倍、
好ましくは約200倍の受容体活性(例えば、リガンド
結合活性など)を有するものである。
【0019】本発明の組換え型ヒト・ヒスタミンH1
容体を含有する昆虫細胞の細胞膜画分としては、前述し
た組換え型ヒト・ヒスタミンH1受容体を含有する昆虫
細胞を破砕した後、それ自体公知の方法で得られる細胞
膜が多く含まれる画分のことをいう。細胞の破砕方法と
しては、Potter−Elvehjem型ホモジナイザーで細胞を押
し潰す方法、ワーリングブレンダーやポリトロン(Kine
matica社)による破砕、超音波による破砕、フレンチプ
レスなどで加圧しながら細胞を細いノズルから噴出させ
ることによる破砕などが用いられる。細胞膜の分画に
は、分画遠心分離法や密度勾配遠心分離法などの遠心力
による画分法が主として用いられる。例えば、細胞破砕
液を低速(500rpm〜3,000rpm)で短時間
(約1〜10分)遠心し、上清をさらに高速(15,0
00rpm〜30,000rpm)で30分〜2時間遠
心し、得られる沈澱を膜画分とする。該膜画分中には、
発現した組換え型ヒト・ヒスタミンH1受容体と細胞由
来のリン脂質や膜蛋白質などの膜成分が多く含まれる。
該組換え型ヒト・ヒスタミンH1受容体を含有する昆虫
細胞やその膜画分中の受容体濃度は、1細胞当たり10
4〜108分子または膜蛋白1mg当たり1pmole〜1nmo
leであり、発現量が多いほど比活性が高くなり、高感度
なスクリーニング系の構築が可能になるばかりでなく、
単一ロットで大量の試料を測定できるようになる。
【0020】本発明の天然型のヒト・ヒスタミンH1
容体と実質的に同質の活性を有する組換え型ヒト・ヒス
タミンH1受容体は、前述の組換え型ヒト・ヒスタミン
1受容体を含有する昆虫細胞から単離され得る。すな
わち、本発明の組換え型ヒト・ヒスタミンH1受容体
は、ヒト・ヒスタミンH1受容体をコードするDNAを
導入したバキュロウイルスを昆虫細胞に感染させ、該D
NAの発現が可能な条件下で昆虫細胞を培養することに
より製造され得るものである。したがって、本発明の製
造法以外の方法でも製造され得る。本発明の組換え型ヒ
ト・ヒスタミンH1受容体の具体例としては、例えば、
配列番号:2で表されるアミノ酸配列を含有する蛋白質
などが挙げられるが、配列番号:2で表わされるアミノ
酸配列中の1または2個以上のアミノ酸が欠失したアミ
ノ酸配列、配列番号:2で表わされるアミノ酸配列に1
または2個以上のアミノ酸が付加したアミノ酸配列、あ
るいは配列番号:2で表わされるアミノ酸配列中の1ま
たは2個以上のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されたア
ミノ酸配列を含有する蛋白質などが挙げられる。さら
に、これら組換え型ヒト・ヒスタミンH1受容体は、分
子内のアミノ酸の側鎖が適当な保護基(例えば、ホルミ
ル基、アセチル基などのC1-6アシル基など)で保護さ
れていてもよいし、あるいは糖鎖などが結合していても
よい。
【0021】天然型のヒト・ヒスタミンH1受容体の分
子量が約100,000Daであるのに対して、本発明
の組換え型ヒト・ヒスタミンH1受容体の分子量は約5
5,000Daであるので、本発明の組換え型ヒト・ヒ
スタミンH1受容体は、天然型のヒト・ヒスタミンH1
容体とは異なる新規な蛋白質である。天然型のヒト・ヒ
スタミンH1受容体としては、例えばジャーナル・オブ
・ニューロケミストリー(J. Neurochem.),32,1653-16
63,(1979)に記載されている大脳皮質膜画分などが挙げ
られる。天然型のヒト・ヒスタミンH1受容体と実質的
に同質の活性としては、例えばリガンド結合活性などが
挙げられる。リガンドとしては、ヒスタミン、トリプロ
リジン、ジフェンヒドラミン、シメチジン、ドクセピン
またはヨードボルピリラミンなど、あるいはこれらのリ
ガンドを〔3H〕、〔125I〕などで標識したものなどが
用いられる。その他、シグナル情報伝達なども該受容体
の活性の指標とすることができる。すなわち、実質的に
同質とはリガンド結合活性などが性質的に同質であるこ
とを示す。したがって、膜蛋白質当たりのリガンド結合
活性の強さなどの強弱、受容体の分子量、昆虫細胞にお
ける受容体の発現量などの量的要素は天然型のものと異
なっていてもよい。例えば、本発明の昆虫細胞で発現さ
れた受容体のリガンドに対する親和性は、天然型の受容
体のリガンドに対する親和性と同等であることが望まし
いが、強い場合や弱い場合であってもよい。
【0022】組換え型ヒト・ヒスタミンH1受容体を含
有する昆虫細胞から組換え型ヒト・ヒスタミンH1受容
体を単離するには、例えば下記の方法により行なうこと
ができる。組換え型ヒト・ヒスタミンH1受容体を培養
昆虫細胞から抽出するに際しては、培養後、公知の方法
で昆虫細胞を集め、これを適当な緩衝液に懸濁し、超音
波やポリトロンなどによって昆虫細胞を破壊したのち、
遠心分離やろ過により組換え型ヒト・ヒスタミンH1
容体の粗抽出液を得る方法などが適宜用いられる。緩衝
液の中に尿素や塩酸グアニジンなどのたんぱく変性剤
や、トリトンX−100(登録商標。以下、TMと省略
することがある。)、CHAPS、ジギトニンなどの界
面活性剤が含まれていてもよい。得られた抽出液中に含
まれる組換え型ヒト・ヒスタミンH1受容体の精製は、
自体公知の分離・精製法を適切に組み合わせて行なうこ
とができる。これらの公知の分離、精製法としては、塩
析や溶媒沈澱法などの溶解度を利用する方法、透析法、
限外ろ過法、ゲルろ過法、およびSDS−ポリアクリル
アミドゲル電気泳動法などの主として分子量の差を利用
する方法、イオン交換クロマトグラフィーなどの荷電の
差を利用する方法、アフィニティークロマトグラフィー
などの特異的新和性を利用する方法、逆相高速液体クロ
マトグラフィーなどの疎水性の差を利用する方法、等電
点電気泳動法などの等電点の差を利用する方法などが用
いられる。
【0023】かくして得られる組換え型ヒト・ヒスタミ
ンH1受容体が遊離体で得られた場合には、自体公知の
方法あるいはそれに準じる方法によって塩に変換するこ
とができ、逆に塩で得られた場合には自体公知の方法あ
るいはそれに準じる方法により、遊離体または他の塩に
変換することができる。なお、組換え体が産生する組換
え型ヒト・ヒスタミンH1受容体を、精製前または精製
後に適当な蛋白修飾酵素を作用させることにより、任意
に修飾を加えたり、ポリペプチドを部分的に除去するこ
ともできる。蛋白修飾酵素としては、トリプシン、キモ
トリプシン、アルギニルエンドペプチダーゼ、プロテイ
ンキナーゼなどが用いられる。本発明の組換え型ヒト・
ヒスタミンH1受容体の量と質の検査は、それ自体公知
の方法で行うことができる。例えば、文献〔Nambi,P.
ら、ザ・ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミスト
リー(J. Biol. Chem.),267,19555−19559,(1992)〕
に記載の方法に従って行うことができる。
【0024】本発明の組換え型ヒト・ヒスタミンH1
容体が、リガンド結合性において、天然型ヒト・ヒスタ
ミンH1受容体と同質の活性を備えているかどうかを判
定するためには、代表的な既知の拮抗阻害剤〔例えば、
ピリラミン、トリプロリジン、ジフェンヒドラミン、シ
メチジン(H2拮抗阻害剤)〕やヒスタミンに対する親
和性を測定し、その値を天然型のものと比較することで
行なえる。本発明の組換え型ヒト・ヒスタミンH1受容
体は、上記のごとく組換え型ヒト・ヒスタミンH1受容
体を含有する昆虫細胞からそれ自体公知の方法あるいは
それに準じる方法によって単離精製されたものであって
もよいし、該昆虫細胞の細胞膜上に存在しているもので
あってもよいし、該細胞の膜画分に存在するものであっ
てもよい。
【0025】本発明の組換え型ヒト・ヒスタミンH1
容体の部分ペプチドとしては、例えば、本発明の組換え
型ヒト・ヒスタミンH1受容体分子のうち、細胞膜の外
に露出している部位などが用いられる。具体的には、疎
水性プロット解析において細胞外領域(親水性(Hydrop
hilic)部位)であると分析された部分ペプチドであ
る。また、疎水性(Hydrophobic)部位を一部に含むペ
プチドも同様に用いることができる。さらに、個々のド
メインを個別に含むペプチドも用い得るが、複数のドメ
インを同時に含む部分ペプチドでもよい。本発明の組換
え型ヒト・ヒスタミンH1受容体の部分ペプチドの塩と
しては、とりわけ生理学的に許容される酸付加塩が好ま
しい。この様な塩としては、例えば無機酸(例えば、塩
酸、リン酸、臭化水素酸、硫酸)との塩、あるいは有機
酸(例えば、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、フマル酸、マ
レイン酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、蓚
酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン
酸)との塩などが用いられる。
【0026】本発明の組換え型ヒト・ヒスタミンH1
容体の部分ペプチドまたはその塩は、自体公知のペプチ
ドの合成法に従って、あるいは本発明の組換え型ヒト・
ヒスタミンH1受容体を適当なペプチダーゼで切断する
ことによって製造することができる。ペプチドの合成法
としては、例えば固相合成法、液相合成法のいずれによ
っても良い。すなわち、本発明の蛋白質を構成し得る部
分ペプチドもしくはアミノ酸と残余部分とを縮合させ、
生成物が保護基を有する場合は保護基を脱離することに
より目的のペプチドを製造することができる。公知の縮
合方法や保護基の脱離としてはたとえば、以下の〜
に記載された方法が挙げられる。 M. Bodanszky および M.A. Ondetti、ペプチド シン
セシス (Peptide Synthesis), Interscience Publisher
s, New York (1966年) SchroederおよびLuebke、ザ ペプチド(The Peptide),
Academic Press, New York (1965年) 泉屋信夫他、ペプチド合成の基礎と実験、 丸善(株)
(1975年) 矢島治明 および榊原俊平、生化学実験講座 1、 タン
パク質の化学IV、 205、(1977年) 矢島治明監修、続医薬品の開発 第14巻 ペプチド合成
広川書店 また、反応後は通常の精製法、たとえば、溶媒抽出・蒸
留・カラムクロマトグラフィー・液体クロマトグラフィ
ー・再結晶などを組み合わせて本発明の部分ペプチドを
精製単離することができる。上記方法で得られる部分ペ
プチドが遊離体である場合は、公知の方法によって適当
な塩に変換することができるし、逆に塩で得られた場合
は、公知の方法によって遊離体に変換することができ
る。
【0027】本発明の組換え型ヒト・ヒスタミンH1
容体を含有する昆虫細胞またはその細胞膜画分、あるい
は単離した組換え型ヒト・ヒスタミンH1受容体、その
部分ペプチドまたはそれらの塩は、ヒト・ヒスタミンH
1受容体拮抗阻害化合物をスクリーニングするための試
薬として有用である。すなわち、本発明のヒト・ヒスタ
ミンH1受容体結合阻害化合物のスクリーニング方法
は、結合阻害実験(以下、リガンド結合実験、受容体結
合実験などと称する場合もある。)において、上記で得
られた組換え型ヒト・ヒスタミンH1受容体を含有する
昆虫細胞またはその細胞膜画分、あるいは単離した組換
え型ヒト・ヒスタミンH1受容体、その部分ペプチドま
たはそれらの塩を用いることを特徴とするものである。
具体的には、本発明は、 (1)(i)本発明の組換え型ヒト・ヒスタミンH1
容体、その部分ペプチドまたはそれらの塩に、リガンド
を接触させた場合と(ii)本発明の組換え型ヒト・ヒス
タミンH1受容体、その部分ペプチドまたはそれらの塩
に、リガンドおよび試験化合物を接触させた場合との比
較を行なうことを特徴とするヒト・ヒスタミンH1受容
体拮抗阻害化合物のスクリーニング方法、および (2)(i)本発明の組換え型ヒト・ヒスタミンH1
容体を含有する昆虫細胞またはその細胞膜画分に、リガ
ンドを接触させた場合と(ii)本発明の組換え型ヒト・
ヒスタミンH1受容体を含有する昆虫細胞またはその細
胞膜画分に、リガンドおよび試験化合物を接触させた場
合との比較を行なうことを特徴とするヒト・ヒスタミン
1受容体拮抗阻害化合物のスクリーニング方法を提供
する。
【0028】上記の本発明のスクリーニング方法(1)
および(2)においては、(i)と(ii)の場合におけ
る、例えば、該組換え型ヒト・ヒスタミンH1受容体、
その部分ペプチドまたはそれらの塩に対するリガンドの
結合量などを測定して、比較することを特徴とするもの
である。より具体的には、本発明は、 (1a)(i)標識したリガンドを、本発明の組換え型
ヒト・ヒスタミンH1受容体、その部分ペプチドまたは
それらの塩に接触させた場合と、(ii)標識したリガン
ドおよび試験化合物を、本発明の組換え型ヒト・ヒスタ
ミンH1受容体、その部分ペプチドまたはそれらの塩に
接触させた場合における、標識リガンドの該受容体、そ
の部分ペプチドまたはそれらの塩に対する結合量を測定
し、比較することを特徴とするヒト・ヒスタミンH1
容体拮抗阻害化合物のスクリーニング方法、および (2a)(i)標識したリガンドを、本発明の組換え型
ヒト・ヒスタミンH1受容体を含有する昆虫細胞または
その細胞膜画分に接触させた場合と、(ii)標識したリ
ガンドおよび試験化合物を、本発明の組換え型ヒト・ヒ
スタミンH1受容体を含有する昆虫細胞またはその細胞
膜画分に接触させた場合における、標識ヒリガンドの該
昆虫細胞またはその細胞膜画分に対する結合量を測定
し、比較することを特徴とするヒト・ヒスタミンH1
容体拮抗阻害化合物のスクリーニング方法を提供する。
【0029】上記の(1)および(2)、好ましくは
(1a)および(2a)のスクリーニング方法におい
て、組換え型ヒト・ヒスタミンH1受容体に結合して、
リガンドと組換え型ヒト・ヒスタミンH1受容体との結
合を阻害する化合物が、ヒト・ヒスタミンH1受容体拮
抗阻害化合物の候補化合物として選択できる。具体的に
は、上記のスクリーニング方法を実施するには、許容で
きる結合活性を保ったヒト・ヒスタミンH1受容体を含
有する細胞またはその細胞膜画分と、リガンド(また
は、標識したリガンド)が必要である。ヒト・ヒスタミ
ンH1受容体を含有する細胞またはその細胞膜画分とし
ては、ヒーラ(HeLa)細胞などのヒスタミンH1
容体を発現しているヒト由来培養細胞や、ヒト・ヒスタ
ミンH1受容体をコードするDNAを導入し、ヒト・ヒ
スタミンH1受容体を発現できるようにした形質転換体
やそれらの膜画分などが用いられる。形質転換体として
は、例えば大腸菌、枯草菌、放線菌などの原核生物や、
酵母、昆虫細胞、動物細胞などの真核生物が用いられ
る。なかでも、上述した本発明の組換え型ヒト・ヒスタ
ミンH1受容体を含有する昆虫細胞(例えば、Sf9細
胞など)またはその細胞膜画分が発現産物の質と量の両
面で優れており好ましい。リガンドとしては、ヒスタミ
ンH1受容体に対するリガンドが用いられる。例えば、
ピリラミン、ドクセピン、ヨードボルピリラミンなどが
用いられているが、最も広く利用されよく調べられてい
るピリラミンが望ましい。ヒスタミンもリガンドとして
使用することができるが、ヒスタミンH1受容体に対す
る親和性が弱いので、前記のピリラミン、ドクセピン、
ヨードボルピリラミンなどが好適である。
【0030】標識されたリガンドとしては、例えば〔3
H〕ピリラミン、〔3H〕ドクセピン、〔125I〕ヨード
ボルピリラミンなどが用いられているが、最も広く利用
されよく調べられている〔3H〕ピリラミンが望まし
い。〔3H〕ピリラミンは市販されている(Amersham社
およびDupon社)ので、それらを使用することができ
る。上記のスクリーニング方法を実施するには、組換え
型ヒト・ヒスタミンH1受容体を含有する細胞またはそ
の細胞膜画分をスクリーニングに適した緩衝液に懸濁す
ることにより受容体標品を調製する。緩衝液には、pH
4〜10(望ましくはpH6〜8)のリン酸バッファ
ー、トリス−塩酸バッファーなど、リガンドと受容体の
結合を阻害しない緩衝液であればいずれでもよい。ま
た、緩衝液中に界面活性剤、プロテアーゼ阻害剤、蛋白
質などを加えることもできる。0.01ml〜10ml
の該受容体標品に、一定量(10-10M〜10-8M)の
3H〕ピリラミンを添加し、同時に10-10M〜10-4
Mの試験化合物を共存させる。非特異的結合量(NS
B)を知るために大過剰の未標識のリガンド(ピリラミ
ンやトリプロリジン)を加えた反応チューブも用意す
る。反応は、通常0℃から50℃で通常10分から24
時間、望ましくは通常4℃から37℃で通常30分から
3時間行う。反応後、ガラス繊維濾紙等で濾過し、ガラ
ス繊維濾紙に残存する〔3H〕を液体シンチレーターを
用いて計測する。濾過には、セルハーベスターを用いる
ことが効率を上げるために望ましい。拮抗する物質がな
い場合のカウント(B0)からNSBを引いたカウント
(B0−NSB)を100%とした時、試験化合物を加
えた時の特異的結合量(B−NSB)が、例えば50%
以下になる場合を受容体拮抗阻害活性があるものとして
選択することができる。
【0031】試験化合物としては、例えば天然ペプチ
ド、合成ペプチド、合成化合物、発酵生産物、細胞抽出
液、植物抽出液、動物組織抽出液などが挙げられ、これ
らの化合物は新規な化合物であってもよいし、あるいは
公知の化合物であってもよい。以上のごとく、本発明の
ヒト・ヒスタミンH1受容体結合阻害化合物のスクリー
ニング方法またはスクリーニング用キットを用いること
によって、ヒト・ヒスタミンH1受容体に対する拮抗阻
害作用を有する化合物や発酵生産物を効率よく選択する
ことができる。これまでの実験動物を用いたスクリーニ
ング方法では、例えば、ラット・ヒスタミンH1受容体
に対しては強い拮抗阻害作用を有していても、実際には
ヒト・ヒスタミンH1受容体に対して拮抗阻害作用をそ
れほど有しない化合物がスクリーニングされてくる心配
があった。したがって、実験動物を用いたスクリーニン
グ方法を開始してから長時間かけてヒスタミンH1受容
体に対して拮抗阻害作用を有する化合物の開発を続けて
きても、最終的に選択されてきた化合物がヒト・ヒスタ
ミンH1受容体に対して拮抗阻害作用を有しないことが
後で判明して、多くの研究が無駄になってしまう可能性
があった。しかしながら、本発明の組換え型ヒト・ヒス
タミンH1受容体を用いるヒト・ヒスタミンH1受容体拮
抗阻害剤のスクリーニング方法はこのような問題点を一
気に解決できる優れた方法である。
【0032】本発明のスクリーニング用キットは、本発
明の組換え型ヒト・ヒスタミンH1受容体を含有する昆
虫細胞またはその細胞膜画分、あるいは本発明の組換え
型ヒト・ヒスタミンH1受容体、その部分ペプチドまた
はその塩を含有するものである。本発明のヒスタミンH
1受容体拮抗薬スクリーニング用キットの例としては、
次のものが挙げられる。 〔スクリーニング用試薬〕 (1)洗浄用緩衝液 KH2PO4 1.36g Na2HPO4・12H2O 14.32g これらを1リットルの蒸留水に溶解する。(終濃度50
mM,pH7.4) (2)測定用緩衝液 BSA 0.1g これを100mlの洗浄用緩衝液に溶解し、4℃で保存す
る。 (3)ヒト・ヒスタミンH1受容体標品 ヒト・ヒスタミンH1受容体を発現させた昆虫細胞(S
f9)の膜画分を、使用前に測定用緩衝液で5〜50μ
g蛋白/mlとなるように希釈する。 (4)〔3H〕ピリラミン 〔3H〕-pyrilamine(45pmole/μl,Amersham社) 洗浄用緩衝液を加えて90倍希釈し、0.5pmole/μl
とする。4℃で保存する。
【0033】(5)未標識ピリラミン ピリラミン(sigma) 33.5mg これを50mlの洗浄用緩衝液に溶解し、1.67mM溶液
を作る。 〔測定法〕 (1)ヒト・ヒスタミンH1受容体を含有するSf9細
胞の膜画分を測定用緩衝液で10μg〜50μg蛋白/
mlになるように希釈し、チューブ(falcon社)または
マイクロタイタープレート(Nunc社)に200μlずつ
分注する。 (2)10-4〜10-10Mの検体3μl、または10μl
以下の発酵生産物を加えた後、〔3H〕ピリラミンを2
μl加え25℃で60分間反応させる。非特異的結合量
を調べるためには検体のかわりに1.67mMピリラミン
を3μl加えておく。 (3)反応にチューブを用いた場合、洗浄用緩衝液1.
5mlを加え、ガラス繊維瀘紙(Whatman社 GF/B)で濾
過後、残ったチューブにさらに同緩衝液1.5mlを加
え、再度濾過する。反応にマイクロタイタープレートを
用いた場合は、セルハーベスターを用いて同様に濾過を
行う。 (4)ガラス繊維濾紙に残存する〔3H〕を液体シンチ
レーターを用いて計測し、Percent of Maximum Binding
(PMB)を次の式〔数1〕で求める。
【0034】
【数1】 PMB:Percent of Maximum Binding B :検体を加えた時の計測値 NSB:Non−specific Binding(非特異的結合) B0 :検体を加えない時の計測値(最大結合量)
【0035】本発明のヒト・ヒスタミンH1受容体結合
阻害化合物のスクリーニング方法およびスクリーニング
用キットを用いて得られる化合物(すなわち、ヒト・ヒ
スタミンH1受容体結合阻害化合物)またはその塩とし
ては、ヒスタミンとヒト・ヒスタミンH1受容体との結
合を拮抗阻害する化合物またはその塩であれば何れので
もよく、例えば天然ペプチド、合成ペプチド、合成化合
物、発酵生産物、細胞抽出液、植物抽出液、動物組織抽
出液などである。また、新規な化合物であってもよい
し、あるいは公知の化合物であってもよい。さらに、本
発明のヒト・ヒスタミンH1受容体結合阻害化合物のス
クリーニング方法およびスクリーニング用キットを用い
て得られた化合物の誘導体(例えば、該化合物の構造を
修飾したり、変換した化合物など)なども、本発明のヒ
ト・ヒスタミンH1受容体結合阻害化合物のスクリーニ
ング方法およびスクリーニング用キットを用いて得られ
る化合物に含まれる。
【0036】すなわち、本発明のスクリーニング方法ま
たはスクリーニング用キットによって得られる化合物ま
たはその塩は、ヒト・ヒスタミンH1受容体に対して結
合阻害作用を有するものであるので、ヒスタミンがヒス
タミンH1受容体と結合することによって引き起こされ
る花粉症、鼻炎、蕁麻疹、気管支喘息、アトピー性皮膚
炎などの種々の病気に対する予防および(または)治療
剤として有用である。本発明のスクリーニング方法によ
って得られる化合物またはその塩を上記の予防および
(または)治療剤として使用する場合は、常套手段に従
って実施することができる。例えば、必要に応じて糖衣
を施した錠剤、カプセル剤、エリキシル剤、マイクロカ
プセル剤などとして経口的に使用できるし、あるいは水
もしくはそれ以外の薬学的に許容し得る液との無菌性溶
液、または懸濁液剤などの注射剤の形で非経口的に使用
できる。例えば、本発明の化合物またはその塩を生理学
的に認められる担体、香味剤、賦形剤、ベヒクル、防腐
剤、安定剤、結合剤などとともに一般に認められた製薬
実施に要求される単位用量形態で混和することによって
製造することができる。これら製剤における有効成分量
は指示された範囲の適当な容量が得られるようにするも
のである。
【0037】錠剤、カプセル剤などに混和することがで
きる添加剤としては、例えばゼラチン、コーンスター
チ、トラガント、アラビアゴムのような結合剤、結晶性
セルロースのような賦形剤、コーンスターチ、ゼラチ
ン、アルギン酸などのような膨化剤、ステアリン酸マグ
ネシウムのような潤滑剤、ショ糖、乳糖またはサッカリ
ンのような甘味剤、ペパーミント、アカモノ油またはチ
ェリーのような香味剤などが用いられる。調剤単位形態
がカプセルである場合には、前記タイプの材料にさらに
油脂のような液状担体を含有することができる。注射の
ための無菌組成物は注射用水のようなベヒクル中の活性
物質、胡麻油、椰子油などのような天然産出植物油など
を溶解または懸濁させるなどの通常の製剤実施にしたが
って処方することができる。注射用の水性液としては、
例えば生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等
張液(例えば、D−ソルビトール、D−マンニトール、
塩化ナトリウムなど)などがあげられ、適当な溶解補助
剤、たとえばアルコール(たとえばエタノール)、ポリ
アルコール(たとえばプロピレングリコール、ポリエチ
レングリコール)、非イオン性界面活性剤(たとえばポ
リソルベート80(TM)、HCO−50)などと併用
してもよい。
【0038】油性液としてはゴマ油、大豆油などがあげ
られ、溶解補助剤として安息香酸ベンジル、ベンジルア
ルコールなどと併用してもよい。また、緩衝剤(例え
ば、リン酸塩緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝液)、無痛化
剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩酸プロカインな
ど)、安定剤(例えば、ヒト血清アルブミン、ポリエチ
レングリコールなど)、保存剤(例えば、ベンジルアル
コール、フェノールなど)、酸化防止剤などと配合して
もよい。調整された注射液は通常、適当なアンプルに充
填される。このようにして得られる製剤は安全で低毒性
であるので、例えば温血哺乳動物(例えば、ラット、ウ
サギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、イヌ、サル、ヒトな
ど)に対して投与することができる。該化合物またはそ
の塩の投与量は、症状などにより差異はあるが、経口投
与の場合、一般的に成人(60kgとして)においては、
一日につき約0.1mg〜100mg、好ましくは1.0〜
50mg、より好ましくは1.0〜20mgである。非経口
的に投与する場合は、その1回投与量は投与対象、対象
臓器、症状、投与方法などによっても異なるが、たとえ
ば注射剤の形では通常成人(60kgとして)において
は、一日につき約0.01mg〜30mg程度、好ましくは
0.1〜20mg程度、より好ましくは0.1〜10m
g程度を静脈注射により投与するのが好都合である。他
の動物の場合も、60kg当たりに換算した量を投与す
ることができる。
【0039】本明細書および図面において、塩基やアミ
ノ酸などを略号で表示する場合、IUPAC−IUB
Commision on Biochemical Nomenclature による略号あ
るいは当該分野における慣用略号に基づくものであり、
その例を下記する。またアミノ酸に関し光学異性体があ
り得る場合は、特に明示しなければL体を示すものとす
る。 DNA :デオキシリボ核酸 cDNA :相補的デオキシリボ核酸 A :アデニン T :チミン G :グアニン C :シトシン RNA :リボ核酸 mRNA :メッセンジャーリボ核酸 dATP :デオキシアデノシン三リン酸
【0040】 dTTP :デオキシチミジン三リン酸 dGTP :デオキシグアノシン三リン酸 dCTP :デオキシシチジン三リン酸 ATP :アデノシン三リン酸 EDTA :エチレンジアミン四酢酸 SDS :ドデシル硫酸ナトリウム EIA :エンザイムイムノアッセイ Gly :グリシン Ala :アラニン Val :バリン Leu :ロイシン Ile :イソロイシン Ser :セリン
【0041】Thr :スレオニン Cys :システイン Met :メチオニン Glu :グルタミン酸 Asp :アスパラギン酸 Lys :リジン Arg :アルギニン His :ヒスチジン Phe :フェニールアラニン Tyr :チロシン Trp :トリプトファン Pro :プロリン Asn :アスパラギン Gln :グルタミン BSA :bovine serum albumin
【0042】後述の参考例1で得られたプラスミドpH
1を保持する形質転換体エシェリヒア コリ(Escheri
chia coli) JM109/pHH1は、平成6年3月28
日から財団法人発酵研究所(IFO)にIFO 156
62として寄託されており、平成6年3月24日から通
商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所(NIB
H)に寄託番号FERM BP−4615として寄託さ
れている。
【0043】本明細書で使用される配列番号は次のもの
を表す。 〔配列番号:1〕後述する実施例1で得られたヒト・ヒ
スタミンH1受容体をコードするDNAの塩基配列を示
す。 〔配列番号:2〕配列番号:1で表される塩基配列から
推定されるヒト・ヒスタミンH1受容体のアミノ酸配列
を示す。 〔配列番号:3〕ヒト・ヒスタミンH1受容体をコード
するDNAのクローニングに用いられたオリゴヌクレオ
チドの塩基配列を示す。 〔配列番号:4〕ヒト・ヒスタミンH1受容体をコード
するDNAのクローニングに用いられたオリゴヌクレオ
チドの塩基配列を示す。
【0044】
【実施例】以下に、参考例および実施例を挙げて本発明
をさらに具体的に説明するが、本発明がそれらに限定さ
れるものではない。なお、大腸菌を用いての遺伝子操作
法は、成書〔Maniatisら、モレキュラー・クローニング
(Molecular Cloning:A laboratory manual),Cold Sp
ring Harbor Laboratory,(1989)〕に記載されている
方法に従った。また昆虫細胞を用いての遺伝子操作法
は、Invitrogen社の推奨する方法(A Manual of Method
s for Baculovirus Vectors and Insect CellCulture
Procedures, Version 1.5.6)に従った。
【0045】
【参考例1】ヒト・ヒスタミンH1受容体遺伝子のクロ
ーニング ウシ・ヒスタミンH1受容体〔プロシージング・オブ・
ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス・ユー
エスエー(Proc.Natl.Acad.Sci.,USA),88,11515
−11519,(1991)〕のN末端およびC末端のアミノ酸配
列をコードする塩基配列に相当する二個のオリゴヌクレ
オチド〔5'−ATGTGTCAGGGGAATAAG
−3'(配列番号:3)および5'−CTAGGAACG
AATGTGCAG−3’(配列番号:4)〕をDNA
合成機(Applied Biosystems社製、モデル392)を用い
て合成した。これをプライマーに用いてPCR(polyme
rase chain reaction)によりウシ・ヒスタミンH1受容
体cDNAのコーディング領域を増幅した。PCRは G
ene AmpTM PCR Reagent kit(Perkin-Elmer Cetus社
製)を用いて行った。
【0046】〔32P〕で標識したPCR産物をプローブ
に用いてEMBL−3SP6/T7ファージベクターに
組み込まれたヒト遺伝子ライブラリー(CLONTECH社製)
よりハイブリダイゼーションクローニングにより、50
万個の遺伝子から一個のヒト・ヒスタミンH1受容体遺
伝子を含むファージクローンphH1を単離した〔図
1〕。ハイブリダイゼーションは5×SSC(1×SS
C=0.15M NaCl/0.015M sodium citrate)、2
0% formamide、5× Denhardt's溶液、100mg/ml
変性大腸菌DNA、106cpm/ml 〔32P〕標識プロー
ブを含む溶液中で行った。phH1のインサートDNA
断片をM13mp18およびmp19ファージに組み込
んだ後、dideoxy chain termination法によりDNAシ
ーケンサーを用いて決定した。ヒト・ヒスタミンH1
容体をコードするDNAの塩基配列とそれから推定され
るアミノ酸配列を〔図2〕に示した。次に、ヒスタミン
1受容体のコーディング領域を含むXbaI−Hin
dIII断片(2.4kb)をプラスミドpUC18のXb
aI−HindIII部位へ組み込み、pHH1を作製し
た。プラスミドpHH1をエシェリヒア コリ(Escheri
chia coli)JM109に導入して、形質転換体エシェ
リヒア コリ(Escherichia coli)JM109/pHH
1を作製した。
【0047】
【実施例1】ヒト・ヒスタミンH1受容体発現用組換え
体ウイルスの作製 参考例1に記載のヒト・ヒスタミンH1受容体遺伝子断
片を有するプラスミドpHH130μgを制限酵素Xb
aIとHindIIIで消化した後、1%アガロースゲル
電気泳動を行い、ヒト・ヒスタミンH1受容体をコード
する2.4kb DNA断片を回収した。次に、制限酵素
HhaIで2.4kb DNA断片の部分分解を行い、二
カ所存在するHhaI部位のうち、5’非翻訳領域内の
一カ所だけが切断された1.8kb DNA断片を得た。
該DNA断片の両末端をT4DNAポリメラーゼを用い
て平滑化した後、PstIリンカー(pGCTGCAG
C)をT4DNAリガーゼを用いて付加し、さらにPs
tIで消化し、1.8kb DNA断片をPstI断片と
した。
【0048】一方、トランスファーベクターpBlue
BacIII(Invitrogen社)2μgをPstIで消化し
た。該トランスファーベクター0.1μgと1.8kb
DNA断片をT4DNAリガーゼを用いて結合し、ヒト
・ヒスタミンH1受容体遺伝子断片が、ポリヘドリンプ
ロモーターに対して順方向に挿入されたトランスファー
プラスミドpBac11を得た。pBac11 3μg
と線状AcNPV DNA1μgを同時にリポソームを
用いてSf9細胞に導入し、27℃で3日間培養した
後、培養上清を回収した。該培養上清から組換え体ウイ
ルスを選び出すために、5-bromo-4-chloro-3-indolyl-
β-D-galactoside(X−gal)を含む軟寒天培地中で
プラークを作らせ、青色を呈する組換え体ウイルス(v
Bac11)を得た。これを用いて再度単一プラークを
作らせた後、2回増幅操作を行って発現のためのウイル
スストックを作製した。
【0049】
【実施例2】昆虫細胞を用いたヒト・ヒスタミンH1
容体の発現 Sf9細胞(2×106個)を25cm2のフラスコに入
れ、5mlの昆虫細胞用培地〔10%牛胎児血清、0.1
%プルロニックF−68TM(GIBCO−BRL社)、50μg
/mlゲンタマイシンを含むグレース培地(GIBCO−BRL
社)〕中で1時間静置し、細胞をフラスコに付着させた
後、実施例1で作製したウイルスストック液を0.1ml
添加した。3日間27℃で静置培養した後、細胞をスク
レーパーではがし、遠心(3,000rpm、10分)
で細胞を回収した。回収した細胞(約3×106個)を
5mlの50mM K-Na-リン酸緩衝液(pH7.4)に懸
濁し、G27の注射針の中を10回通して細胞を破砕
し、12,000rpm、15分の遠心(BECKMAN社、JA-20
ローター)を行い、沈澱を膜画分として回収した。
【0050】該膜画分のヒスタミンH1受容体活性は、
以下の方法で測定した。測定用緩衝液〔50mM K-Na
-リン酸緩衝液(pH7.4)、0.1% BSA〕で膜画
分を懸濁し、同緩衝液で希釈して蛋白量が200μl当
たり5μg,10μg,20μg,40μg,80μg
および160μgになるように調製した。各200μl
をチューブに分注し、500nM〔3H〕ピリラミン(Ame
rsham社 TRK608)2μlを添加し、25℃、60分間イ
ンキュベーションした。非特異的結合量(NSB)を測
定するために、1.67mMピリラミン3μlを添加したチ
ューブも同時にインキュベーションした。50mM K-N
a-リン酸緩衝液(pH7.4)を1.5ml加え、GF/
Bガラス繊維濾紙(Whatman社)で濾過し、さらに同緩
衝液(1.5ml)で洗浄した後、ガラス繊維濾紙を乾燥
させた。標準バイアルにガラス繊維濾紙を入れ、液体シ
ンチレーターA(和光純薬工業)を8ml加えた後、〔3
H〕活性を液体シンチレーションカウンターで計測し
た。その結果を〔図3〕に示す。〔図3〕において、−
●−は全結合量を、−△−は非特異的結合量を、−○−
は特異的結合量をそれぞれ示す。この結果、ヒスタミン
1受容体が昆虫細胞の膜表面に十分量発現しているこ
とが確認された。
【0051】
【実施例3】ヒト・ヒスタミンH1受容体の発現量およ
び解離定数の測定 SF9細胞を100ml用のスピナーフラスコを用いて5
0mlの昆虫細胞用培地で浮遊培養し、細胞濃度が2×1
6の時、実施例1で調製したウイルスストック液を5m
l加え、27℃、80rpmで3日間培養した。培養後、遠
心(3,000rpm、10分)で細胞を回収し、小分けし
た後、使用時まで−25℃で冷凍保存した。冷凍保存し
た細胞の半分量(培養液約30ml分)を氷上で融解し、
10mlの50mM K-Na-リン酸緩衝液(pH7.4)に
懸濁した後、実施例2に記載の方法で膜画分を調製し
た。該膜画分の膜蛋白当たりのピリラミンの最大結合量
および解離定数(Kd)は以下の方法で測定した。測定
用緩衝液で膜画分を懸濁し、同緩衝液で希釈して蛋白量
が200μl当たり8μgになるように調製した。
【0052】200μlをチューブに分注し、〔3H〕ピ
リラミンの終濃度が0.25nMから60nMまでの12段
階になるように加え、25℃、60分間インキュベーシ
ョンした。各段階での非特異的結合量(NSB)を測定
するために、3.34mMトリプロリジンを3μl加えたチ
ューブも同時にインキュベーションした。インキュベー
ション後、実施例2に記載の方法で膜画分に結合した〔
3H〕活性を計測した。この測定結果に基づきスキャッ
チャード解析を行った結果、〔3H〕ピリラミンの最大
結合量は膜蛋白質1mg当たり56pmole、およびその
解離定数は1.3nMであった。本結果を〔図4〕に示
す。この結果、モルモット脳から調製した膜画分に比
べ、約600倍の比活性を持った膜画分がウイルスを感
染させた昆虫細胞から得られることが判明した。またこ
れは、動物細胞COS−7で発現させた場合に比べ、約
20倍の比活性を有している〔バイオケミカル・バイオ
フィジカル・リサーチ・コミュニケーションズ(Bioche
m.Biophys. Res. Commun.),197,1601−1608(199
3)〕。さらにピリラミンの解離定数も天然型のヒト・ヒ
スタミンH1受容体のものと同等であることが判明し
た。
【0053】
【実施例4】昆虫細胞由来ヒト・ヒスタミンH1受容体
を用いた結合阻害実験 実施例3で得られた膜画分を用いて、〔3H〕ピリラミ
ンに対する種々の薬剤の結合阻害活性を測定した。8μ
gの膜蛋白を含む200μlの膜画分をチューブに分注
し、500nM〔3H〕ピリラミン2μlを添加し、同時に
可変量の競合物を3μl加え、25℃、60分間インキ
ュベーションした。競合物としては、H1アンタゴニス
トのピリラミンとトリプロリジン、アゴニストのヒスタ
ミン、H2アンタゴニストのシメチジンを使用した。イ
ンキュベーション後、実施例2に記載の方法で膜画分に
結合した〔3H〕活性を計測し、下記の〔数2〕の計算
式に従って、Percent of Maximum Binding(PMB)を
求めた。
【0054】
【数2】 PMB:Percent of Maximum Binding B :結合量 NSB:非特異的結合量 B0 :最大結合量 その結果を〔図5〕に示す。〔図5〕において、−●−
はピリラミンを、−▲−はトリプロリジンを、−■−は
ヒスタミンを、−△−はシメチジンを競合物として加え
た時の結合阻害を示す。この結果、昆虫細胞由来のヒト
・ヒスタミンH1受容体は、天然型のヒスタミンH1受容
体のリガンド特異性を保持していることが確認された。
【0055】
【実施例5】昆虫細胞由来ヒト・ヒスタミンH1受容体
を用いたH1受容体アンタゴニストのスクリーニング 昆虫細胞(Sf9)を1リットル用のスピナーフラスコ
を用いて500mlの実施例2に記載の培地で浮遊培養
し、細胞濃度が2×106個/mlの時、実施例1で作製
した組換え体ウイルスvBac11のストック液を50
ml加えた。さらに27℃で4日間培養した後、細胞を遠
心分離(3,000rpm、10分)で回収した。得られた
細胞を20倍容の50mM K-Na-リン酸緩衝液に懸濁
した後、ポリトロンホモジナイザーを用いて、細胞を破
砕した。12,000rpm,15分遠心した後、沈澱
を膜画分として回収し、−70℃で保存した。用時、測
定用緩衝液を加えて蛋白濃度を50μg/mlになるよう
に調製し、測定用膜画分とした。
【0056】200μlの該膜画分をチューブまたは9
6穴のマイクロタイタープレートに入れ、それに500
nM 〔3H〕ピリラミン(2μl)を添加し、同時にスク
リーニングの対象となる試験化合物を含むジメチルスル
ホキシド溶液または水溶液(3μl)を添加し、25
℃,60分間インキュベーションした。また、最大結合
量(B0)及び非特異的結合量(NSB)を測定するた
めに、ジメチルスルホキシド溶液(3μl)あるいは、
1.67mMピリラミン溶液(3μl)を添加したロットも
インキュベーションした。反応をチューブで行った場
合、50mM K-Na-リン酸緩衝液(1.5ml)を添加
し、GF/Bガラス繊維濾紙(Whatman社)で濾過し、
さらに同緩衝液(1.5ml)で洗浄した。反応をマイク
ロタイタープレートで行った場合は、マイクロタイター
プレート用セルハーベスター(Cambridge Technology
社)を使用し同様に濾過を行った。濾過後、ガラス繊維
濾紙をバイヤルに入れ、液体シンチレーターA(和光純
薬工業)を8ml加えて、液体シンチレーションカウンタ
ーで〔3H〕活性を計測した。この方法で、ヒト・ヒス
タミンH1受容体に対するピリラミンの結合を阻害する
試験化合物を複数選び出した。
【0057】
【実施例6】昆虫細胞由来ヒト・ヒスタミンH1受容体
の Western blotting による検出 昆虫細胞(Sf9細胞)を用いて発現させたヒト・ヒス
タミンH1受容体の分子量を知る目的で、膜画分の West
ern blotting を行った。まずSf9細胞(2×106
を)25cm2のフラスコに入れ、5mlの実施例2で
記載の昆虫細胞用培地中で1時間静置した後、実施例1
で作製した組換え体ウイルス(vBac11)のストッ
ク液を0.1ml添加した。またコントロールとしてウ
イルスを加えないフラスコと、β-ガラクトシダーゼ発
現用組換えウイルス(Invitrogen社 Transfection Modu
le)を40μl加えたフラスコも同時に用意した。27
℃で3日間培養した後、細胞を遠心で集め、2mlの抽
出用緩衝液(10mM NaHCO3,1mM EDT
A,0.5mM PMSF,20μg/ml ロイペプチ
ン,4μg/ml E-64,1μg/ml ペプスタチ
ン)に懸濁し、ポリトロンを用いて細胞破砕液を調製し
た。続いてこれを低速で短時間遠心し(3,000rp
m,5分)、その上清を高速で遠心して(15,000r
pm,60分)、沈澱を Western blotting のための膜
画分とした。該膜画分を4%−20%のSDS-ポリア
クリルアミドゲル電気泳動にかけた後、Towbin の方法
〔プロシージング・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー
・オブ・サイエンス・ユーエスエー(Proc.Natl.Aca
d.Sci.,USA),76,4350-4354,(1979)〕でニトロセ
ルロース膜に蛋白質を転写させた。
【0058】次に、50%の Block Ace 〔大日本製薬
(株)〕を含むTBS〔10mM Tris-HCl(p
H8.0),150mM NaCl〕にニトロセルロース
膜をひたし、室温で1時間ブロッキングを行った。次に
10%の Block Ace を含むTBSで200倍希釈を行
ったウサギ抗ヒト・ヒスタミンH1受容体抗血清(一次
抗体)の中に入れ、室温で一晩反応させた。この時に用
いた抗血清は以下の方法で取得した。参考例1で得られ
たヒト・ヒスタミンH1受容体をコードする遺伝子断片
から、BglII-BstXI 0.6kb断片を分取し、
4 DNAポリメラーゼ〔宝酒造(株)〕を用いて平滑
末端にし、大腸菌用の発現ベクターpGEX-2T(Pha
rmacia)のSmaIサイトにプロモーターに対して順向
きに挿入された発現プラスミドpGEX-H1を得た。p
GEX-H1を大腸菌DH5に導入し、該形質転換体を培
養する際、1mM IPTG〔和光純薬(株)〕で誘導
し、Glutathione S-Transferase(GST)とH1受容体
213Ile-415Lysの融合蛋白(GST-H1)を発現
させた。GST-H1を Glutathione Sepharose 4B(P
harmacia)を用いて精製し、抗血清を得るための抗原と
した。なお、大腸菌の培養方法、産物の抽出、精製方法
は、pGEX-2T(Pharmacia)に添付されている説明
書に従った。
【0059】0.5mgのGST-H1を含有する1ml
の抗原液と、2mlの complete Freund's adjuvant
〔和光純薬(株)〕を家兎(日本白色種)背・皮下に1
週間おきに8回注射した。最終免疫より1週間後に全採
血を行い、凝血後、遠心(3,000rpm,10分)
により抗血清を分離した。一次抗体と反応させた後、ニ
トロセルロース膜をTBS-T(0.05% Tween-
20を含むTBS)で5分間ずつ4回洗浄した。次に西
洋ワサビ・パーオキシダーゼ(HRP)結合抗ウサギI
gG(Amersham NA934)を10% BlockAce を含有する
TBSで2,000倍希釈したもの(2次抗体)にニト
ロセルロース膜を入れ、室温で2時間反応させた。TB
S-Tで5分間ずつ4回洗浄し、最後にPOD Immunost
ain Set〔和光純薬(株)〕を用いて発色させた。その
結果、ヒト・ヒスタミンH1受容体を発現させた膜画分
だけに約55kDaの特異的なバンドが検出された〔図
6〕。このことから、Sf9細胞由来のヒト・ヒスタミ
ンH1受容体の分子量は約55,000Daであると考
えられる。
【0060】
【発明の効果】本発明の組換え型ヒト・ヒスタミンH1
受容体を用いてヒト・ヒスタミンH1受容体結合阻害化
合物のスクリーニングを行うことによって、ヒト・ヒス
タミンH 1受容体結合阻害活性を有する化合物を有利に
選択できるので、抗アレルギー薬などの医薬品を早期に
発見することができる。
【0061】
【配列表】
【配列番号:1】 配列の長さ:1833 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:genomicDNA 配列の特徴 特徴を表す記号:mature protein 存在位置:7..1467 特徴を決定した方法:S 配列 GCGCCAATGA GCCTCCCCAA TTCCTCCTGC CTCTTAGAAG ACAAGATGTG TGAGGGCAAC 60 AAGACCACTA TGGCCAGCCC CCAGCTGATG CCCCTGGTGG TGGTCCTGAG CACTATCTGC 120 TTGGTCACAG TAGGGCTCAA CCTGCTGGTG CTGTATGCCG TACGGAGTGA GCGGAAGCTC 180 CACACTGTGG GGAACCTGTA CATCGTCAGC CTCTCGGTGG CGGACTTGAT CGTGGGTGCC 240 GTCGTCATGC CTATGAACAT CCTCTACCTG CTCATGTCCA AGTGGTCACT GGGCCGTCCT 300 CTCTGCCTCT TTTGGCTTTC CATGGACTAT GTGGCCAGCA CAGCGTCCAT TTTCAGTGTC 360 TTCATCCTGT GCATTGATCG CTACCGCTCT GTCCAGCAGC CCCTCAGGTA CCTTAAGTAT 420 CGTACCAAGA CCCGAGCCTC GGCCACCATT CTGGGGGCCT GGTTTCTCTC TTTTCTGTGG 480 GTTATTCCCA TTCTAGGCTG GAATCACTTC ATGCAGCAGA CCTCGGTGCG CCGAGAGGAC 560 AAGTGTGAGA CAGACTTCTA TGATGTCACC TGGTTCAAGG TCATGACTGC CATCATCAAC 620 TTCTACCTGC CCACCTTGCT CATGCTCTGG TTCTATGCCA AGATCTACAA GGCCGTACGA 680 CAACACTGCC AGCACCGGGA GCTCATCAAT AGGTCCCTCC CTTCCTTCTC AGAAATTAAG 720 CTGAGGCCAG AGAACCCCAA GGGGGATGCC AAGAAACCAG GGAAGGAGTC TCCCTGGGAG 780 GTTCTGAAAA GGAAGCCAAA AGATGCTGGT GGTGGATCTG TCTTGAAGTC ACCATCCCAA 840 ACCCCCAAGG AGATGAAATC CCCAGTTGTC TTCAGCCAAG AGGATGATAG AGAAGTAGAC 900 AAACTCTACT GCTTTCCACT TGATATTGTG CACATGCAGG CTGCGGCAGA GGGGAGTAGC 960 AGGGACTATG TAGCCGTCAA CCGGAGCCAT GGCCAGCTCA AGACAGATGA GCAGGGCCTG 1020 AACACACATG GGGCCAGCGA GATATCAGAG GATCAGATGT TAGGTGATAG CCAATCCTTC 1080 TCTCGAACGG ACTCAGATAC CACCACAGAG ACAGCACCAG GCAAAGGCAA ATTGAGGAGT 1140 GGGTCTAACA CAGGCCTGGA TTACATCAAG TTTACTTGGA AGAGGCTCCG CTCGCATTCA 1200 AGACAGTATG TATCTGGGTT GCACATGAAC CGCGAAAGGA AGGCCGCCAA ACAGTTGGGT 1260 TTTATCATGG CAGCCTTCAT CCTCTGCTGG ATCCCTTATT TCATCTTCTT CATGGTCATT 1320 GCCTTCTGCA AGAACTGTTG CAATGAACAT TTGCACATGT TCACCATCTG GCTGGGCTAC 1380 ATCAACTCCA CACTGAACCC CCTCATCTAC CCCTTGTGCA ATGAGAACTT CAAGAAGACA 1440 TTCAAGAGAA TTCTGCATAT TCGCTCCTAA GGGAGGCTCT GAGGGGATGC AACAAAATGA 1500 TCCTTATGAT GTCCAACAAG GAAATAGAGG ACGAAGGCCT GTGTTGCCAG GCAGGCACCT 1560 GGGCTTTCTG GAATCCAAAC CACAGTCTTA GGGGCTTGGT AGTTTGGAAA GTTCTTAGGC 1620 ACCATAGAAG AACAGCAGAT GGCGGTGATC AGCAGAGAGA TTGAACTTTG AGGAGGAAGC 1680 AGAATCTTTG CAAGAAAGTC AGACCTGTTT CTTGTAACTG GGTTCAAAAA GAAAAAAATA 1740 ATAAAAATAA AAGAGAGAGA GAATCAGACC TGGGTGGAAC TCTCCTGCTC CTCAGGAACT 1800 ATGGGAGCCT CAGACTCATT GTAATTCAAG CTT 1833
【0062】
【配列番号:2】 配列の長さ:487 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:タンパク 配列 Met Ser Leu Pro Asn Ser Ser Cys Leu Leu Glu Asp Lys Met Cys Glu 5 10 15 Gly Asn Lys Thr Thr Met Ala Ser Pro Gln Leu Met Pro Leu Val Val 20 25 30 Val Leu Ser Thr Ile Cys Leu Val Thr Val Gly Leu Asn Leu Leu Val 35 40 45 Leu Tyr Ala Val Arg Ser Glu Arg Lys Leu His Thr Val Gly Asn Leu 50 55 60 Tyr Ile Val Ser Leu Ser Val Ala Asp Leu Ile Val Gly Ala Val Val 65 70 75 80 Met Pro Met Asn Ile Leu Tyr Leu Leu Met Ser Lys Trp Ser Leu Gly 85 90 95 Arg Pro Leu Cys Leu Phe Trp Leu Ser Met Asp Tyr Val Ala Ser Thr 100 105 110 Ala Ser Ile Phe Ser Val Phe Ile Leu Cys Ile Asp Arg Tyr Arg Ser 115 120 125 Val Gln Gln Pro Leu Arg Tyr Leu Lys Tyr Arg Thr Lys Thr Arg Ala 130 135 140 Ser Ala Thr Ile Leu Gly Ala Trp Phe Leu Ser Phe Leu Trp Val Ile 145 150 155 160 Pro Ile Leu Gly Trp Asn His Phe Met Gln Gln Thr Ser Val Arg Arg 165 170 175 Glu Asp Lys Cys Glu Thr Asp Phe Tyr Asp Val Thr Trp Phe Lys Val 180 185 190 Met Thr Ala Ile Ile Asn Phe Tyr Leu Pro Thr Leu Leu Met Leu Trp 195 200 205 Phe Tyr Ala Lys Ile Tyr Lys Ala Val Arg Gln His Cys Gln His Arg 210 215 220 Glu Leu Ile Asn Arg Ser Leu Pro Ser Phe Ser Glu Ile Lys Leu Arg 225 230 235 240 Pro Glu Asn Pro Lys Gly Asp Ala Lys Lys Pro Gly Lys Glu Ser Pro 245 250 255 Trp Glu Val Leu Lys Arg Lys Pro Lys Asp Ala Gly Gly Gly Ser Val 260 265 270 Leu Lys Ser Pro Ser Gln Thr Pro Lys Glu Met Lys Ser Pro Val Val 275 280 285 Phe Ser Gln Glu Asp Asp Arg Glu Val Asp Lys Leu Tyr Cys Phe Pro 290 295 300 Leu Asp Ile Val His Met Gln Ala Ala Ala Glu Gly Ser Ser Arg Asp 305 310 315 320 Tyr Val Ala Val Asn Arg Ser His Gly Gln Leu Lys Thr Asp Glu Gln 325 330 335 Gly Leu Asn Thr His Gly Ala Ser Glu Ile Ser Glu Asp Gln Met Leu 340 345 350 Gly Asp Ser Gln Ser Phe Ser Arg Thr Asp Ser Asp Thr Thr Thr Glu 355 360 365 Thr Ala Pro Gly Lys Gly Lys Leu Arg Ser Gly Ser Asn Thr Gly Leu 370 375 380 Asp Tyr Ile Lys Phe Thr Trp Lys Arg Leu Arg Ser His Ser Arg Gln 385 390 395 400 Tyr Val Ser Gly Leu His Met Asn Arg Glu Arg Lys Ala Ala Lys Gln 405 410 415 Leu Gly Phe Ile Met Ala Ala Phe Ile Leu Cys Trp Ile Pro Tyr Phe 420 425 430 Ile Phe Phe Met Val Ile Ala Phe Cys Lys Asn Cys Cys Asn Glu His 435 440 445 Leu His Met Phe Thr Ile Trp Leu Gly Tyr Ile Asn Ser Thr Leu Asn 450 455 460 Pro Leu Ile Tyr Pro Leu Cys Asn Glu Asn Phe Lys Lys Thr Phe Lys 465 470 475 480 Arg Ile Leu His Ile Arg Ser 485
【0063】
【配列番号:3】 配列の長さ:18 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:合成DNA 配列 ATGTGTCAGG GGAATAAG
【0064】
【配列番号:4】 配列の長さ:18 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:合成DNA 配列 CTAGGAACGA ATGTGCAG
【0065】
【図面の簡単な説明】
【図1】ヒト・ヒスタミンH1受容体遺伝子を含むファ
ージクローンphH1の制限酵素地図を示す。
【0066】
【図2】ヒト・ヒスタミンH1受容体をコードする部分
の塩基配列およびそれから推定されるアミノ酸配列を示
す。
【0067】
【図3】ヒスタミンH1受容体を発現している昆虫細胞
から調製したの膜画分の〔3H〕ピリラミンに対する結
合活性を示す。
【0068】
【図4】ヒスタミンH1受容体を発現している昆虫細胞
の膜画分に結合した〔3H〕活性を計測した結果に基づ
いて行なったスキャッチャード解析の結果を示す。
【0069】
【図5】ヒスタミンH1受容体を発現している昆虫細胞
の膜画分を用いて、〔3H〕ピリラミンに対する種々の
薬剤の受容体拮抗阻害活性を測定した結果を示す。
【0070】
【図6】抗ヒト・ヒスタミンH1受容体抗血清を用いた
Sf9細胞膜画分の Western blotting の結果を示す。
レーン1はウイルスが感染していないSf9細胞から調
製した膜画分を示す。レーン2はβ-ガラクトシダーゼ
を発現させたSf9細胞からの膜画分を示す。レーン3
はヒト・ヒスタミンH1受容体を発現させたSf9細胞
からの膜画分を示す。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12P 21/02 C 9282−4B G01N 33/53 D // C12N 15/09 ZNA (C12P 21/02 C12R 1:91) 9281−4B C12N 15/00 ZNA A

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ヒト・ヒスタミンH1受容体をコードする
    DNAを導入したバキュロウイルスを感染させた昆虫細
    胞。
  2. 【請求項2】請求項1記載の昆虫細胞をヒト・ヒスタミ
    ンH1受容体をコードするDNAの発現が可能な条件下
    で培養することにより製造されることを特徴とする組換
    え型ヒト・ヒスタミンH1受容体を含有する昆虫細胞ま
    たはその細胞膜画分。
  3. 【請求項3】請求項2記載の昆虫細胞から単離されるこ
    とを特徴とする天然型のヒト・ヒスタミンH1受容体と
    実質的に同質の活性を有する組換え型ヒト・ヒスタミン
    1受容体、その部分ペプチドまたはそれらの塩。
  4. 【請求項4】ヒト・ヒスタミンH1受容体をコードする
    DNAを導入したバキュロウイルスを昆虫細胞に感染さ
    せ、該DNAの発現が可能な条件下で昆虫細胞を培養す
    ることを特徴とする請求項3記載のヒト・ヒスタミンH
    1受容体またはその塩の製造法。
  5. 【請求項5】請求項2記載の組換え型ヒト・ヒスタミン
    1受容体を含有する昆虫細胞またはその細胞膜画分を
    用いることを特徴とするヒスタミンH1受容体結合阻害
    化合物のスクリーニング方法。
  6. 【請求項6】請求項3記載の組換え型ヒト・ヒスタミン
    1受容体、その部分ペプチドまたはそれらの塩を用い
    ることを特徴とするヒスタミンH1受容体結合阻害化合
    物のスクリーニング方法。
  7. 【請求項7】請求項2記載の組換え型ヒト・ヒスタミン
    1受容体を含有する昆虫細胞またはその細胞膜画分を
    含有することを特徴とするヒスタミンH1受容体結合阻
    害化合物スクリーニング用キット。
  8. 【請求項8】請求項3記載の組換え型ヒト・ヒスタミン
    1受容体、その部分ペプチドまたはそれらの塩を含有
    することを特徴とするヒスタミンH1受容体結合阻害化
    合物スクリーニング用キット。
  9. 【請求項9】請求項5もしくは請求項6記載のスクリー
    ニング方法または請求項7もしくは請求項8記載のスク
    リーニング用キットを用いて得られる化合物またはその
    塩。
  10. 【請求項10】請求項9記載の化合物またはその塩を含
    有することを特徴とする花粉症、鼻炎、蕁麻疹、気管支
    喘息または(および)アトピー性皮膚炎の予防または
    (および)治療剤。
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