JP3519139B2 - エンドセリン拮抗阻害剤スクリーニング用キット及びスクリーニング方法 - Google Patents

エンドセリン拮抗阻害剤スクリーニング用キット及びスクリーニング方法

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JP3519139B2 JP25110294A JP25110294A JP3519139B2 JP 3519139 B2 JP3519139 B2 JP 3519139B2 JP 25110294 A JP25110294 A JP 25110294A JP 25110294 A JP25110294 A JP 25110294A JP 3519139 B2 JP3519139 B2 JP 3519139B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,エンドセリン拮抗阻害
剤スクリーニング用キット及びエンドセリン拮抗阻害剤
のスクリーニング方法に関する。
【0002】
【従来の技術】エンドセリン(ET)は、1988年、
柳沢らによりブタ大動脈内皮細胞の培養上清から単離さ
れ構造決定された21個のアミノ酸からなる血管収縮性
ペプチドである[柳沢ら、ネイチャー(Nature),332巻,
411〜415頁,1988年]。その後、エンドセリンをコード
する遺伝子断片の研究から、エンドセリンにファミリー
が存在することが明らかにされ、それぞれエンドセリン
−1(ET−1)、エンドセリン−2(ET−2)、エ
ンドセリン−3(ET−3)と命名されている[井上
ら、プロシージング・オブ・ザ・ナショナル・アカデミ
ー・オブ・サイエンス・ユーエスエー(Proc. Natl. Ac
ad. Sci. USA),86巻,2863〜2867頁,1989年]。上記のエ
ンドセリンファミリーは生体内に存在し、強い血管収縮
作用を有していることから、循環系調節に関与する内因
性因子であると予想され、高血圧症、心・脳循環疾患
(たとえば心筋梗塞)、腎疾患(たとえば急性腎不全)
との関連が示唆されている。また、気管支平滑筋収縮作
用も有しており、喘息との関連も示唆されている。
【0003】一般に、生理活性物質に対する拮抗薬(ア
ンタゴニスト)や作動薬(アゴニスト)は、さまざまな
病気に対する医薬として利用することができるが、これ
らアンタゴニストやアゴニストを開発しようとすると
き、一般には最初に膨大な化合物、発酵生産物、天然物
等から、特定の受容体に親和性を持つ物質をスクリーニ
ングして、リード化合物を選び出すことが行われてい
る。
【0004】エンドセリンの受容体には、ET−3より
もET−1に対して親和性が高いETA受容体と、ET
−1とET−3に対して同程度の親和性を持つETB
容体の2種類あることが知られている。またそれらのc
DNAがクローニングされ、ETA受容体及びETB受容
体のアミノ酸配列が明らかになっている[ETA受容
体:荒井ら、ネイチャー(Nature),348巻,730〜732頁,1
990年、ETB受容体:桜井ら、ネイチャー(Nature),34
8巻,732〜735頁,1990年]。
【0005】また、ヒトのETA及びETBのcDNAも
クローニングされており[ヒト・ETA:細田ら、フェ
ブス・レターズ(FEBS Letters),287巻,23〜26頁,1991
年、ヒト・ETB:なかむたら、バイオケミカル・アン
ド・バイオフィジカル・リサーチ・コミュニケーション
ズ(Biochem. Biophys. Res. Commun.),177巻,34〜39
頁,1991年]、ヒト・ETA及びETBを、動物細胞や昆
虫細胞で発現させた例が報告されている。しかしなが
ら、動物細胞を用いるものは培養コストが高い上にその
発現量が低く、スクリーニング用の大量の受容体標品の
調製に適したものではない。また、昆虫細胞を用いた発
現例[Breuら、第3回国際エンドセリンカンファレンス
1993年]では、ETAアンタゴニストBQ123に対
する親和性が動物細胞由来のものとは異なっていたこと
から、昆虫細胞由来のエンドセリン受容体は天然のもの
とは異なっていて、スクリーニングに用いることは不適
当と結論されていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ヒト型エンドセリン受
容体を使用して、エンドセリン拮抗阻害剤をスクリーニ
ングすることができれば、ヒトに対して有効な医薬の開
発が効率よく行えるようになることが期待される。
【0007】本発明は、ヒト型エンドセリン受容体を用
いることによるエンドセリン拮抗阻害剤をスクリーニン
グする方法、及びここにおいて用いられるスクリーニン
グ用キットを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記した
事情に鑑み、エンドセリン拮抗阻害剤をスクリーニング
する方法につき鋭意研究の結果、ヒト型エンドセリン受
容体を用いることにより、効率良くスクリーニングを行
うことができることを見い出し、この知見に基づいてさ
らに研究した結果、本発明を完成した。
【0009】本発明は、(1)ヒト型エンドセリン受容
体を含むエンドセリン拮抗阻害剤スクリーニング用キッ
ト、(2)ヒト型エンドセリン受容体を用いることを特
徴とするエンドセリン拮抗阻害剤のスクリーニング方
法、(3)ヒト型エンドセリン受容体をコードするDN
Aを導入したバキュロウイルスを感染させた昆虫細胞、
(4)上記(3)記載の昆虫細胞から得られたヒト型エ
ンドセリン受容体を含有する膜画分、および(5)上記
(3)の昆虫細胞を培養することを特徴とするヒト型エ
ンドセリン受容体の製造法、である。
【0010】ヒト型エンドセリン受容体としては、ヒト
の心臓(ETA)や脳(ETB)の膜画分が考えられる
が、ヒト由来の臓器は入手が極めて困難なことから、ス
クリーニングに用いられるものとしては、組換え体を用
いて大量発現させたヒト型エンドセリン受容体またはこ
れと実質的に同質の活性を有するものが挙げられる。本
発明のヒト型エンドセリン受容体と実質的に同質の活性
を有するものは、ヒト型エンドセリン受容体を発現した
宿主細胞から単離され得る。さらに、本発明の製造法以
外の方法で製造されたものであってもよい。
【0011】本発明のヒト型エンドセリン受容体のアミ
ノ酸配列の具体的としては、例えば、ネイチャー348
巻730〜732頁1990年,ネイチャー348巻7
32〜735頁1990年に記載のそれらが挙げられる
が、これらの1〜5個以上のアミノ酸が欠失したアミノ
酸配列、1〜5個以上のアミノ酸が付加したアミノ酸配
列、あるいは1〜5個以上のアミノ酸が他のアミノ酸で
置換されたアミノ酸配列を含有するものでもよい。さら
に、N末端のシグナルペプチドが切断されていてもよい
し、分子内のアミノ酸の側鎖が適当な保護基(例えば、
ホルミル基、アセチル基などのC1-6アシル基など)で
保護されていてもよいし、あるいは糖鎖などが結合して
いてもよい。
【0012】該宿主細胞としては、大腸菌、枯草菌、酵
母、昆虫細胞、及び動物細胞などが挙げられるが、なか
でも昆虫細胞が好ましい。該昆虫細胞としては、例え
ば、夜盗蛾の幼虫由来株化細胞(Spodoptera frugiperd
a cell;Sf細胞)、蚕由来株化細胞(Bombyx mori
N;BmN細胞)などが挙げられる。より詳しくは、宿
主としては、ウイルスがAcNPVの時は夜盗蛾の幼虫
由来株化細胞(Spodoptera frugiperda cell;Sf細
胞)、BmNPVの場合は蚕由来株化細胞(Bombyx mor
i N;BmN細胞)を用いる。
【0013】ヒト型エンドセリン受容体をコードするD
NA断片を、昆虫細胞を宿主細胞とするバキュロウイル
スに導入し、該バキュロウイルスを昆虫細胞に感染させ
ることによって、本発明のヒト型エンドセリン受容体を
コードするDNAを導入したバキュロウイルスを感染さ
せた昆虫細胞を製造し得る。昆虫細胞を宿主細胞とする
バキュロウイルスとしては、例えば、核多角体病ウイル
ス(nuclear polyhedrosis virus;NPV)などが挙げ
られる。バキュロウイルスの昆虫細胞への感染方法とし
ては、m.o.i.(multiplicity of infection)が約
0.1〜100、望ましくは約1〜10になるようにバ
キュロウィルスを昆虫細胞の培養液に添加する方法が用
いられる。
【0014】以下に、本発明のヒト型エンドセリン受容
体をコードするDNAを導入したバキュロウイルスを感
染させた昆虫細胞の製造法を具体的に説明する。目的部
分をコードするDNA断片には相補DNAが用いられる
が、必ずしもこれに制約されるものではない。例えば遺
伝子断片や合成DNAを用いてもよい。ETA受容体や
ETB受容体あるいはこれと同質のペプチドをコードす
るDNA断片を宿主細胞に導入し、それらを効率よく発
現させるためには、該DNA断片を昆虫を宿主とするバ
キュロウイルスに属する核多角体病ウイルス(nuclear
polyhedrosis virus;NPV)のポリヘドリンプロモー
ターの下流に組み込むのが好ましい。ベクターとして
は、キンウワバ亜科のAutographa californica NPV
(AcNPV)とカイコのBombyx mori NPV(BmN
PV)の2つのウイルスが挙げられる。バキュロウイル
スは、環状の2本鎖DNA(130kb)を持ち、脊椎動
物及び植物にはまったく感染性を示さない。ウイルスD
NAは130kbもあるので、直接発現したいDNA断片
を多角体プロモーターの下流に挿入するのは不可能であ
る。そこで実際にはまずプロモーター部分を含むポリヘ
ドリン遺伝子部分をウイルスから切り出し、これをpU
C18などの大腸菌を宿主とするベクターに組み込みト
ランスファーベクターを作製する。次いで目的とするD
NA断片をトランスファーベクターのポリヘドリンプロ
モーターの下流へ挿入し、これをバキュロウイルスDN
Aと共に昆虫細胞に同時に感染させて培養し、昆虫細胞
の中で相同組換えをおこさせて組換えバキュロウイルス
を得る。組換えウイルスは多角体を作るかわりに新しく
導入された目的産物を作るようになる。宿主としてはウ
イルスがAcNPVの時は夜盗蛾の幼虫由来株化細胞
(Spodoptera frugiperda cell;Sf細胞)、BmNP
Vの場合は蚕由来株化細胞(Bombyx mori N;BmN細
胞)を用いる。
【0015】バキュロウイルス及び昆虫細胞を用いた発
現系としては市販されているものが利用でき(例えばIn
vitrogen社 MAXBAC(TM))、手段についてもそれに添付
されている実験書や文献[バイオテクノロジー(Bio/T
echnology),6巻,47〜55頁,1988年]に記載のものが採用
され得る。発現した受容体の量と質の検査はそれ自体公
知の方法で行うことができる。例えば、文献[Nambi,P.
ら、ザ・ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミスト
リー(J. Biol. Chem.),267巻,19555〜19559頁,1992年]
に記載の方法に従っておこなうことができる。
【0016】本発明のヒト型エンドセリン受容体をコー
ドするDNAを導入したバキュロウイルスを感染させた
昆虫細胞を静地培養または浮遊培養することにより、該
細胞にヒト型エンドセリン受容体を大量発現させること
ができる。昆虫細胞を培養するための培地としては、グ
レース昆虫細胞用培地サプリメント入り、IPL−41
昆虫細胞用培地、Sf−900昆虫細胞用無血清培地、
TC−100昆虫細胞用培地(いずれも GIBCO-BRL社)
などが挙げられる。またこれらの培地に約5%〜20%
の牛胎児血清、ペニシリンG、ストレプトマイシン、ゲ
ンタマイシンなどの抗生物質、約0.1%のプルロニッ
クF−68(GIBCO-BRL社)などを添加してもよい。培
養は約20℃から30℃、望ましくは約26℃から27
℃で、約12時間から120時間、望ましくは約24時
間から72時間行い、シャーレやフラスコの中で静置し
てもよいし、スピナーフラスコを用いて約50rpm〜
200rpmで撹拌してもよい。
【0017】本発明のスクリーニング用キットやスクリ
ーニング方法においては、ヒト型エンドセリン受容体
は、それを含有する細胞を用いてもよく、また、それを
含有する細胞の膜画分を用いてもよく、さらに、それら
から単離され得るものであってもよいが、ヒト型エンド
セリン受容体を含有する昆虫細胞の膜画分が最も好まし
い。膜画分としては、細胞を破砕した後、それ自体公知
の方法で得られる細胞膜が多く含まれる画分のことをい
う。細胞の破砕方法としては、Potter−Elvehjem型ホモ
ジナイザーで細胞を押し潰す方法、ワーリングブレンダ
ーやポリトロン(Kinematica社)による破砕、超音波に
よる破砕、フレンチプレスなどで加圧しながら細胞を細
いノズルから噴出させることによる破砕などが挙げられ
る。細胞膜の分画には、分画遠心分離法や密度勾配遠心
分離法などの遠心力による分画法が主として用いられ
る。例えば細胞破砕液を低速(約500rpm〜3000r
pm)で短時間(約1分〜10分)遠心し、上清をさらに
高速(約15000rpm〜30000rpm)で約30分〜
2時間遠心し、得られる沈澱を膜画分とする。該膜画分
中には、発現したヒト型エンドセリン受容体と細胞由来
のリン脂質や膜蛋白質などの膜成分が多く含まれる。該
ヒト型エンドセリン受容体を含有する細胞や膜画分中の
ヒト型エンドセリン受容体の量は、1細胞当たり約10
3〜107分子に達するが、約105〜107分子であるの
が好適である。なお、発現量が多いほど膜画分当たりの
エンドセリン結合活性(比活性)が高くなり、高感度な
スクリーニング系の構築が可能になるばかりでなく、同
一ロットで大量の試料を測定できるようになる。
【0018】ヒト型エンドセリン受容体を含有する昆虫
細胞からヒト型エンドセリン受容体を単離するには、例
えば下記の方法により行なうことができる。ヒト型エン
ドセリン受容体を培養昆虫細胞から抽出するに際して
は、培養後、公知の方法で昆虫細胞を集め、これを適当
な緩衝液に懸濁し、超音波、リゾチームおよび/または
凍結融解などによって昆虫細胞を破壊したのち、遠心分
離やろ過によりヒト型エンドセリン受容体の粗抽出液を
得る方法などが適宜用いられる。緩衝液の中に尿素や塩
酸グアニジンなどのたんぱく変性剤や、トリトンX−1
00(登録商標。以下、TMと省略することがあ
る。)、CHAPS、ジギトニンなどの界面活性剤が含
まれていてもよい。得られた抽出液中に含まれるヒト型
エンドセリン受容体の精製は、自体公知の分離・精製法
を適切に組み合わせて行なうことができる。これらの公
知の分離、精製法としては、塩析や溶媒沈澱法などの溶
解度を利用する方法、透析法、限外ろ過法、ゲルろ過
法、およびSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法
などの主として分子量の差を利用する方法、イオン交換
クロマトグラフィーなどの荷電の差を利用する方法、ア
フィニティークロマトグラフィーなどの特異的新和性を
利用する方法、逆相高速液体クロマトグラフィーなどの
疎水性の差を利用する方法、等電点電気泳動法などの等
電点の差を利用する方法などが用いられる。
【0019】さらに詳しくは、上述のようにして得られ
るヒト型エンドセリン受容体が遊離体で得られた場合に
は、自体公知の方法あるいはそれに準じる方法によって
塩に変換することができ、逆に塩で得られた場合には自
体公知の方法あるいはそれに準じる方法により、遊離体
または他の塩に変換することができる。なお、組換え体
が産生するヒト型エンドセリン受容体を、精製前または
精製後に適当な蛋白修飾酵素を作用させることにより、
任意に修飾を加えたり、ポリペプチドを部分的に除去す
ることもできる。蛋白修飾酵素としては、トリプシン、
キモトリプシン、アルギニルエンドペプチダーゼ、プロ
テインキナーゼなどが用いられる。
【0020】本発明で用いるヒト型エンドセリン受容体
は、上記のごとく、ヒト型エンドセリン受容体を含有す
る昆虫細胞からそれ自体公知の方法あるいはそれに準じ
る方法によって単離精製されたものであってもよいし、
該昆虫細胞の細胞膜上に存在しているものであってもよ
いし、該細胞の膜画分に存在するものであってもよい。
本発明のヒト型エンドセリン受容体の部分ペプチドとし
ては、例えば、本発明のヒト型エンドセリン受容体分子
のうち、細胞膜の外に露出している部位などが用いられ
る。具体的には、疎水性プロット解析において細胞外領
域(親水性(Hydrophilic)部位)であると分析された
部分ペプチドである。また、疎水性(Hydrophobic)部
位を一部に含むペプチドも同様に用いることができる。
さらに、個々のドメインを個別に含むペプチドも用い得
るが、複数のドメインを同時に含む部分ペプチドでもよ
い。本発明のヒト型エンドセリン受容体の部分ペプチド
の塩としては、とりわけ生理学的に許容される酸付加塩
が好ましい。この様な塩としては、例えば無機酸(例え
ば、塩酸、リン酸、臭化水素酸、硫酸)との塩、あるい
は有機酸(例えば、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、フマル
酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ
酸、蓚酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスル
ホン酸)との塩などが用いられる。
【0021】本発明のヒト型エンドセリン受容体の部分
ペプチドまたはその塩は、自体公知のペプチドの合成法
に従って、あるいは本発明のヒト型受容体を適当なペプ
チダーゼで切断することによって製造することができ
る。ペプチドの合成法としては、例えば固相合成法、液
相合成法のいずれによっても良い。すなわち、本発明の
蛋白質を構成し得る部分ペプチドもしくはアミノ酸と残
余部分とを縮合させ、生成物が保護基を有する場合は保
護基を脱離することにより目的のペプチドを製造するこ
とができる。公知の縮合方法や保護基の脱離としてはた
とえば、以下の〜に記載された方法が挙げられる。 M. Bodanszky および M.A. Ondetti、ペプチド シン
セシス (Peptide Synthesis), Interscience Publisher
s, New York (1966年) SchroederおよびLuebke、ザ ペプチド(The Peptide),
Academic Press, New York (1965年) 泉屋信夫他、ペプチド合成の基礎と実験、 丸善(株)
(1975年) 矢島治明 および榊原俊平、生化学実験講座 1、 タン
パク質の化学IV、 205、(1977年) 矢島治明監修、続医薬品の開発 第14巻 ペプチド合成
広川書店 また、反応後は通常の精製法、たとえば、溶媒抽出・蒸
留・カラムクロマトグラフィー・液体クロマトグラフィ
ー・再結晶などを組み合わせて本発明の部分ペプチドを
精製単離することができる。上記方法で得られる部分ペ
プチドが遊離体である場合は、公知の方法によって適当
な塩に変換することができるし、逆に塩で得られた場合
は、公知の方法によって遊離体に変換することができ
る。
【0022】本発明のヒト型エンドセリン受容体を含有
する昆虫細胞またはその細胞膜画分、あるいは単離した
ヒト型エンドセリン受容体、その部分ペプチドまたはそ
れらの塩は、ヒト型受容体拮抗阻害化合物のスクリーニ
ングに有用である。すなわち、本発明のヒト型受容体結
合阻害化合物のスクリーニング方法は、結合阻害実験
(あるいは、リガンド結合実験、受容体結合実験などと
称する場合もある。)において、上記で得られたヒト型
エンドセリン受容体を含有する昆虫細胞またはその細胞
膜画分、あるいは単離したヒト型エンドセリン受容体、
その部分ペプチドまたはそれらの塩を用いることを特徴
とする。
【0023】エンドセリンの拮抗阻害剤をスクリーニン
グするためには、適当なエンドセリン受容体あるいはそ
れを含有する細胞や膜画分あるいはそれから単離され得
るものと、標識されたエンドセリンが必要である。エン
ドセリン受容体画分としては、天然型のヒト型エンドセ
リン受容体(ETA及びETB)か、またはリガンドに対
する親和性がそれと同等の組換え型ヒト型エンドセリン
受容体が望ましい。後述の参考例に記載した昆虫細胞由
来ヒト型ETA受容体とヒト型ETB受容体は天然型の受
容体と親和性が同等であるばかりでなく、膜蛋白当たり
の比活性が極めて高く、混入する他の膜成分による干渉
を低減させることができる。また産生量が多く同一ロッ
トで実験を継続することができるため、受容体画分のロ
ット間による違いを排除でき、測定キットを作る上でも
優れている。標識されたエンドセリンとしては、[125
I]で標識されたエンドセリン−1、エンドセリン−
2、及びエンドセリン−3が市販されている(Amersham
及びDupon社)ので、それらを利用することができる。
【0024】エンドセリン拮抗阻害剤のスクリーニング
を行うには、まずヒト型エンドセリン受容体を含有する
細胞または細胞の膜画分あるいはそれから単離され得る
ものを、スクリーニングに適したバッファーに懸濁する
ことにより受容体標品を調製する。バッファーには、pH
約4〜10(望ましくはpH約6〜8)のリン酸バッファ
ー、トリス−塩酸バッファーなど、エンドセリンと受容
体の結合を阻害しないバッファーであればいずれでもよ
い。また非特異的結合を低減させる目的で、CHAP
S、Tween−80(TM)(花王−アトラス社)、ジギ
トニン、デオキシコレートなどの界面活性剤をバッファ
ーに加えることもできる。さらにプロテアーゼによる受
容体やリガンドの分解を抑える目的でPMSF、ロイペ
プチン、E−64(ペプチド研究所)、ペプスタチンな
どのプロテアーゼ阻害剤を添加することもできる。0.
01ml〜10mlの該受容体に、一定量(約5000cpm
〜500000cpm)の[125I]−エンドセリン−1,
125I]−エンドセリン−2または[125I]−エンド
セリン−3を添加し、同時に10- 4 M〜10- 1 0
の検体化合物や発酵生産物等を共存させる。非特異的結
合量(NSB)を知るために大過剰の未標識のリガンド
を加えた反応チューブも用意する。反応は約0℃から5
0℃、望ましくは約4℃から37℃で約20分から24
時間、望ましくは約30分から3時間行う。反応後、ガ
ラス繊維濾紙等で濾過し、適量の同バッファーで洗浄し
た後、ガラス繊維濾紙に残存する[125I]をγ−カウ
ンターで計測する。拮抗する物質がない場合のカウント
(B0)からNSBを引いたカウント(B0−NSB)を
100%とした時、特異的結合量(B−NSB)が例え
ば50%以下になる検体化合物を拮抗阻害能力のある候
補物質として選択することができる。
【0025】試験化合物としては、例えば、天然ペプチ
ド、合成ペプチド、合成化合物、発酵生産物、細胞抽出
液、植物抽出液、動物組織抽出液などが挙げられる。こ
れらは、新規な化合物であってもよいし、あるいは公知
の化合物であってもよい。
【0026】このように、本発明は、 (1)(i)本発明のヒト型エンドセリン受容体、その
部分ペプチドまたはそれらの塩に、ヒト型エンドセリン
を接触させた場合と(ii)本発明のヒト型エンドセリン
受容体、その部分ペプチドまたはそれらの塩に、ヒト型
エンドセリンおよび試験化合物を接触させた場合との比
較を行なうことを特徴とするヒト型エンドセリン受容体
拮抗阻害化合物のスクリーニング方法、および (2)(i)本発明のヒト型エンドセリン受容体を含有
する昆虫細胞またはその細胞膜画分に、ヒト型エンドセ
リンを接触させた場合と(ii)本発明のヒト型エンドセ
リン受容体を含有する昆虫細胞またはその細胞膜画分
に、ヒト型エンドセリンおよび試験化合物を接触させた
場合との比較を行なうことを特徴とするヒト型エンドセ
リン受容体拮抗阻害化合物のスクリーニング方法を提供
するものである。 具体的には、本発明のスクリーニング方法においては、
(i)と(ii)の場合における、例えば該ヒト型エンド
セリン受容体、その部分ペプチドまたはそれらの塩に対
するヒト型エンドセリンの結合量を測定して、比較する
ことを特徴とするものである。
【0027】より具体的には、本発明は、 (1a)(i)標識したヒト型エンドセリンを、本発明
のヒト型エンドセリン受容体、その部分ペプチドまたは
それらの塩に接触させた場合と、(ii)標識したヒト型
エンドセリンおよび試験化合物を、本発明のヒト型エン
ドセリン受容体、その部分ペプチドまたはそれらの塩に
接触させた場合における、標識したヒト型エンドセリン
の該受容体、その部分ペプチドまたはそれらの塩に対す
る結合量を測定し、比較することを特徴とするヒト型エ
ンドセリン受容体拮抗阻害化合物のスクリーニング方
法、 (2a)(i)標識したヒト型エンドセリンを、本発明
のヒト型エンドセリン受容体を含有する昆虫細胞または
その細胞膜画分に接触させた場合と、(ii)標識したヒ
ト型エンドセリンおよび試験化合物を、本発明のヒト型
エンドセリン受容体を含有する昆虫細胞またはその細胞
膜画分に接触させた場合における、標識したヒト型エン
ドセリンの該昆虫細胞またはその細胞膜画分に対する結
合量を測定し、比較することを特徴とするヒト型エンド
セリン受容体拮抗阻害化合物のスクリーニング方法を提
供する。 上記の(1a)または(2a)のスクリーニング方法に
おいて、ヒト型エンドセリン受容体に結合して、ヒト型
エンドセリンとヒト型エンドセリン受容体との結合を阻
害する化合物がヒト型エンドセリン受容体拮抗阻害化合
物の候補として選択できる。具体的には、上記の(1
a)または(2a)のスクリーニング方法を実施するに
は、許容できる結合活性を保ったヒト型エンドセリン受
容体を含有する細胞またはその細胞膜画分あるいはそれ
から単離され得るものと、標識されたリガンドが必要で
ある。
【0028】ヒト型エンドセリン受容体を含有する細胞
や、該細胞の膜画分としては、ヒーラ(HeLa)細胞
などのヒト型エンドセリン受容体を発現しているヒト由
来培養細胞や、ヒト型エンドセリン受容体をコードする
DNAを導入し、ヒト型エンドセリン受容体を発現でき
るようにした形質転換体やそれらの膜画分などが用いら
れる。形質転換体としては、大腸菌、枯草菌、放線菌な
どの原核生物や、酵母、昆虫細胞、動物細胞などの真核
生物が用いられるが、中でも上述した本発明の昆虫細胞
が発現産物の質と量の両面で優れており好ましい。
【0029】標識されたリガンドとしては、例えば、〔
125I〕で標識されたエンドセリン−1、エンドセリン
−2,およびエンドセリン−3が市販されている(Amer
sham社およびDupon社)のでそれらを使用することがで
きる。
【0030】本発明のエンドセリン拮抗阻害剤スクリー
ニング用キットの具体例としては、次のものが挙げられ
る。 1.スクリーニング用試薬 これらを1リットルの蒸留水に溶解する。 これらを1mlのDMSOに溶解し、上記の1リットルに
加える。6N HClを約2ml加えpH7.2に調整する。
BSA1gを溶解させた後、4℃で保存する。 これを900mlの測定用緩衝液に溶解し、4℃で保存す
る。 (3)ヒト型エンドセリン受容体標品 ヒト型エンドセリン受容体を発現させた昆虫細胞(Sf
9)の膜画分を、使用前に測定用緩衝液で0.5〜5μg
蛋白/mlとなるように希釈する。 蒸留水50μlを加えて溶解し、測定用緩衝液450μl
を加えて−20℃で保存する。 (5)エンドセリン−1標準溶液 エンドセリン−1(ペプチド研)を50%DMSOで1
-4Mになるように希釈し、−20℃に保存する。使用
前に測定用緩衝液で10倍希釈する。
【0031】2.測定法 (1)ヒト型エンドセリン受容体を含有するSf9細胞
[Vaughn, J. L.ら、Invitro,13巻,213〜217頁,1977
年]の膜画分を測定用緩衝液で1μg蛋白/mlになるよ
うに希釈し、チューブ(Falcon社)に100μlずつ分
注する。 (2)10-4〜10-10Mの検体3μl、または10μl
以内の発酵生産物を加えた後、[125I]標識エンドセ
リン−1を2μl加え25℃で60分間反応させる。非
特異的結合量を調べるためには検体のかわりに10-5Mエ
ンドセリン−1を3μl加えておく。 (3)洗浄用緩衝液1.5mlを加え、ガラス繊維瀘紙(W
hatman社 GF/F)で濾過後、残ったチューブにさらに
同緩衝液1.5mlを加え、再度濾過する。 (4)ガラス繊維濾紙に残存する[125I]をγ−カウ
ンターで計測し、PercentMaximum Binding(PMB)を
次の式〔数1〕で求める。
【数1】 PMB:Percent Maximum Binding B:検体を加えた時の値 NSB:Non−specific Binding(非特異的結合) B0:最大結合量
【0032】本発明のスクリーニング方法を用いると、
ヒト型エンドセリン受容体に対して阻害作用を有する化
合物等を選択することができるようになるので、循環機
能改善剤、心筋梗塞・急性腎不全の治療剤または喘息治
療剤等のヒトの医薬品を早期に見い出すことができる。
【0033】本明細書で使用される略号を次に示す。 CHAPS:3-[(3-cholamidopropyl)dimethylammonio]
-1-propanesulfonate PMSF:phenylmethylsulfonyl fluoride EGTA:ethylene glycol bis(2-aminoethylether)te
traacetic acid BSA:bovine serum albumin DMSO:dimethyl sulfoxide また、本明細書および図面において、塩基やアミノ酸な
どを略号で表示する場合、IUPAC−IUB Commis
ion on Biochemical Nomenclature による略号あるいは
当該分野における慣用略号に基づくものであり、その例
を下記する。またアミノ酸に関し光学異性体があり得る
場合は、特に明示しなければL体を示すものとする。
【0034】
【実施例】以下に参考例および実施例を挙げて本発明を
さらに具体的に説明するが、本発明がそれらに限定され
るものではない。なお、大腸菌を用いての遺伝子操作法
は、成書(Maniatisら、モレキュラー・クローニング(M
olecular Cloning:A laboratory manual),Cold Sprin
g Harbor Laboratory,1989年)に記載されている方法に
従った。また昆虫細胞を用いての遺伝子操作法は、Invi
trogen社の推奨する方法(A Manual of Methods for Ba
culovirus Vectors and Insect Cell Culture Procedu
res, Version 1.5.6)に従った。
【0035】参考例1(ヒト・エンドセリンタイプAレ
セプターcDNA(ETAcDNA)のクローニング) 既知の該塩基配列(細田ら、フェブス・レターズ(FEBS
Letters),287巻,23〜26頁,1991年)に基づき、DNA
オリゴマー#491及び#493を合成した。#491
は、5’−pGGAATTCTTCCTCAAATTTGCCTCAAG−3’(配列
表:配列番号1)であり、5’末端がリン酸化された制
限酵素EcoRIの認識配列と−20〜−1(翻訳開始
部位を+1とする)のセンス配列を含むオリゴマーであ
る。また#493は、5’−pGGAATTCAGAGGATTATGGGAGT
ACCG−3’(配列表:配列番号2)であり、5’末端が
リン酸化された制限酵素EcoRIの認識配列と+13
05〜+1324のアンチセンス配列を含むオリゴマー
である。ヒト胎盤由来cDNAをλgt11ベクターに
クローニングしているcDNAライブラリー(クロンテ
ック社 カタログ番号 HL1075b)のファージ溶液5μl
を蒸留水50μlに希釈し、95℃で10分間、氷中で
10分間静置して鋳型溶液とした。鋳型溶液10μl
に、上記DNAオリゴマーをそれぞれ100pmolずつ加
え、VentDNAポリメラーゼ(ニューイングランド
バイオラブス社 カタログ番号254)5単位を用いてポ
ロメラーゼ連鎖反応を行った。反応液組成はVentD
NAポリメラーゼに添付された指示書に従った。反応条
件は、94℃で1分間、52℃で2分間、72℃で3分
間を1サイクルとして30サイクル繰り返した。反応液
を0.7%アガロースゲルで電気泳動したところ、目的
とするサイズのDNA断片が特異的に増幅されていた。
該DNA断片をアガロースゲルから常法に従って回収
し、HincIIサイトの開裂したpUC119に接続
し、コンピテントセルJM109を形質転換した。該D
NA断片を含むプラスミドを有する形質転換体20株を
選抜し、蛍光色素を用いた自動塩基配列解析装置(アプ
ライドバイオシステムズ社 カタログ番号373A)で、挿
入DNA断片の塩基配列を確認したところ、上述の報告
に記載されたエンドセリンタイプAレセプターcDNA
の塩基配列(−20〜+1324)と完全に一致するD
NA断片を有するクローン(pHERA105−2)が
得られた。
【0036】参考例2(ヒト・エンドセリンタイプBリ
セプターcDNA(ETBcDNA)のクローニング) 既知の該塩基配列(なかむたら、Biochem. Biophys. Re
s. Commun.,177巻,34〜39頁,1991年)に基づき、DN
Aオリゴマー#484及び#486を合成した。#48
4は、5’−pGGAATTCCTTCTGGAGCAGGTAGCAGC−3’(配
列表:配列番号3)であり、5’末端がリン酸化された
制限酵素EcoRIの認識配列と−20〜−1(翻訳開
始部位を+1とする)のセンス配列を含むオリゴマーで
ある。また#486は、5’−pGGAATTCTACAGTGAATAGTT
CTTCTT−3’(配列表:配列番号4)であり、5’末端
がリン酸化された制限酵素EcoRIの認識配列と+1
330〜+1349のアンチセンス配列を含むオリゴマ
ーである。ヒト胎盤由来cDNAをλgt11ベクター
にクローニングしているcDNAライブラリー(クロン
テック社 カタログ番号 HL1075b)のファージ溶液5
μlを蒸留水50μlに希釈し、95℃で10分間、氷中
で10分間静置して鋳型溶液とした。鋳型溶液10μl
に、上記DNAオリゴマーをそれぞれ100pmolずつ加
え、VentDNAポリメラーゼ(ニューイングランド
バイオラブス社 カタログ番号254)5単位を用いてポ
ロメラーゼ連鎖反応を行った。反応液組成はVentD
NAポリメラーゼに添付された指示書に従った。反応条
件は、94℃で1分間、52℃で2分間、72℃で3分
間を1サイクルとして30サイクル繰り返した。反応液
を0.7%アガロースゲルで電気泳動したところ、目的
とするサイズのDNA断片が特異的に増幅されていた。
該DNA断片をアガロースゲルから常法に従って回収
し、HincIIサイトの開裂したpUC119に接続
し、コンピテントセルJM109を形質転換した。該D
NA断片を含むプラスミドを有する形質転換体20株を
選抜し、蛍光色素を用いた自動塩基配列解析装置(アプ
ライドバイオシステムズ社 カタログ番号373A)で、挿
入DNA断片の塩基配列を確認したところ、上述の報告
に記載されたエンドセリンタイプBレセプターcDNA
の塩基配列(−20〜+1349)と完全に一致するD
NA断片を有するクローン(pHERB102−27)
が得られた。
【0037】実施例1(ヒト型ETA発現用組換え体ウ
イルスの作製) 参考例1に記載のヒト・ETAcDNA断片を有するプ
ラスミドpHERA105−2 10μgを制限酵素P
stIとSmaIで消化した後、1%アガロースゲル電
気泳動を行い、ETA受容体をコードする1.4kbDNA
断片を回収した。トランスファーベクターpBlueB
acIII(Invitrogen社)2μgをHindIIIで消化し
た後、DNAポリメラーゼ(Klenowフラグメン
ト)を用いて平滑末端にした。さらにこれをPstIで
消化し、ヒト・ETAcDNA断片を挿入するためのク
ローニング部位を作製した。該トランスファーベクター
断片と1.4kbDNA断片をT4DNAリガーゼを用いて
結合し、ヒト・ETAcDNA断片が、ポリヘドリンプ
ロモーターに対して順方向に挿入されたトランスファー
プラスミドpBac03を得た。pBac03 3μg
と線状AcNPV DNA1μgを同時にリポソームを
用いてSf9細胞に導入し、27℃で2日間培養した
後、培養上清を回収した。該培養上清から組換え体ウイ
ルスを選び出すために、5-bromo-4-chloro-3-indolyl-
β-D-galactoside(X−gal)を含む軟寒天中でプラ
ークを作らせ、青色を呈する組換え体ウイルス(vBa
c03)を得た。これを用いて再度単一プラークを作ら
せた後、2回増幅操作を行って発現のためのウイルスス
トックを作製した。
【0038】実施例2(ヒト型ETB発現用組換え体ウ
イルスの作製) 参考例2に記載のヒト・ETBcDNA断片を有するプ
ラスミドpHERB102−27 10μgを制限酵素
PstIとSmaIで消化した後、1%アガロースゲル
電気泳動を行い、ETB受容体をコードする1.4kbDN
A断片を回収した。該DNA断片と実施例1に記載のト
ランスファーベクター断片をT4DNAリガーゼを用い
て結合し、ヒト・ETBcDNA断片が、ポリヘドリン
プロモーターに対して順方向に挿入されたトランスファ
ープラスミドpBac05を得た。 pBac05 3
μgを用いて実施例1に記載の方法でX−galの存在
下、青色を呈する組換え体ウイルス(vBac05)を
得た。これを用いて再度単一プラークを作らせた後、2
回増幅操作を行って発現のためのウイルスストックを作
製した。
【0039】実施例3(昆虫細胞を用いたヒト型ETA
及びヒト型ETBの発現) Sf9細胞を100ml用のスピナーフラスコを用いて5
0mlの培地[10%牛胎児血清、0.1%プルロニック
F−68(TM)(GIBCO−BRL社)、50μg/mlゲンタ
マイシンを含むグレース培地(GIBCO−BRL社)]で浮遊
培養し、細胞濃度が2×106個/mlの時、実施例1と
実施例2で作製した組換え体ウイルスvBac03また
はvBac05のストック液(約5×107個プラーク
形成能/ml)を5ml加えてウイルスを感染させた。さら
に27℃で3日間培養した後、細胞を回収した。同様な
感染は野生型ウイルスを用いても行った。細胞または細
胞膜画分のエンドセリン受容体活性の測定は以下の方法
で行った。ETA受容体はvBac03感染細胞、ETB
受容体はvBac05感染細胞を、測定用緩衝液[20
mM トリス−塩酸,2mM EGTA,5mM 酢酸マグネ
シウム,0.1% BSA,0.03% NaN3,0.5
mM PMSF,20μg/ml ロイペプチン,4μg/ml
E−64,1μg/ml ペプスタチン(pH7.2)]で
希釈し、細胞数を104個/mlに調整した。各100μl
を分注し、5nM[125I]エンドセリン−1(2μl)を
添加し、25℃、60分間インキュベーションした。ま
た、最大結合量(B0)及び非特異的結合量(NSB)
を測定するために、ジメチルスルホキシド溶液(3μ
l)あるいは、エンドセリン−1(10-5M)を含むジ
メチルスルホキシド溶液(3μl)を添加したロットも
インキュベーションした。0.05%CHAPS−測定
用緩衝液(1.5ml)を添加し、GF/Fガラス繊維濾
紙で濾過、さらに同緩衝液(1.5ml)で洗浄した。濾
紙の[125I]をγ−カウンターで計測した。その結果
を〔表1〕に示す。
【表1】
【0040】実施例4(昆虫細胞由来ヒト型ETA受容
体及びヒト型ETB受容体の特異性の検討) 実施例3で得られたvBac03感染細胞及びvBac
05感染細胞(50ml相当量、約108細胞)を、実施
例3に記載の測定用緩衝液10mlに懸濁した後、G27
の注射針の中を10回通すことにより細胞を破砕し、1
2000rpm、15分の遠心(BECKMAN社 JA−20ロータ
ー)した後、沈澱を膜画分として回収した。vBac0
3感染細胞からは、ヒト型ETA受容体画分、vBac
05感染細胞からはヒト型ETB受容体画分が得られ
た。該受容体画分のリガンド特異性を調べる目的で、一
定量の[125I]−ET−1に対して可変量のET−
1、ET−3または他の化合物を加えて結合阻害実験を
行った。蛋白濃度はヒト型ETA受容体画分は1.5μg
/ml、ヒト型ETB受容体画分は0.5μg/mlとした。
各100μlを分注し、5nM[125I]エンドセリン−1
(2μl)を添加し、同時に可変量の競合物を添加し
(3μl)、25℃、60分間インキュベーションし
た。0.05% CHAPS−測定用緩衝液(1.5ml)
を添加し、GF/Fガラス繊維濾紙で濾過、さらに同緩
衝液(1.5ml)で洗浄した。濾紙の[125I]をγ−カ
ウンターで計測し、下記の式〔数2〕の計算式に従って
計算して、Percent Maximum Binding(PMB)を求め
た。またPMB=50%を与える濃度をIC50値として
求めた。
【数2】 B:結合量 NSB:非特異的結合量 B0:最大結合量 ヒト型ETA受容体画分におけるIC50はエンドセリン
−1が約2×10-10Mでエンドセリン−3が約5×1
-8MでETA受容体のリガンド特異性(親和性がET
−1>ET−3)を有していた。またヒト型ETB受容
体画分におけるIC50はエンドセリン−1とエンドセリ
ン−3ともに約3×10-10MでETB受容体のリガンド
特異性(親和性がET−1=ET−3)を有していた。
結果を〔図1〕及び〔図2〕に示す。〔図1〕及び〔図
2〕において、−●−はエンドセリン−1についての結
果を、−○−はエンドセリン−3についての結果をそれ
ぞれ示す。さらにETAアンタゴニストBQ−123
や、他の低分子化合物についても結合親和性の検討を行
ったが、天然型のETA及びETB受容体と同様の値を示
した。
【0041】実施例5(昆虫細胞由来ヒト型ETA受容
体及びヒト型ETB受容体を用いたスクリーニング) 昆虫細胞(Sf9)を1リットル用のスピナーフラスコ
を用いて500mlの実施例3に記載の培地で浮遊培養
し、細胞濃度が2×106個/mlの時、実施例1と実施
例2で作製した組換え体ウイルスvBac03またはv
Bac05のストック液を50ml加えた。さらに27℃
で4日間培養した後、細胞を遠心分離(3000rpm,
10分)で回収した。得られた細胞を20倍容の参考例
5に記載の測定用緩衝液に懸濁した後、ポリトロンホモ
ジナイザーを用いて、細胞を破砕した。12000rp
m,15分遠心した後、沈澱を膜画分として回収し、−
70℃で保存した。用時、測定用緩衝液を加えて蛋白濃
度を1μg/mlになるように調製し、受容体画分とし
た。100μlの受容体画分に5nM [125I]エンドセ
リン−1(2μl)を添加し、同時にスクリーニングの
対象となる検体(化合物または発酵生産物)を含むジメ
チルスルホキシド溶液(3μl)を添加し、25℃,6
0分間インキュベーションした。また、最大結合量(B
0)及び非特異的結合量(NSB)を測定するために、
ジメチルスルホキシド溶液(3μl)あるいは、エンド
セリン−1(10-5M)を含むジメチルスルホキシド溶
液(3μl)を添加したロットもインキュベーションし
た。0.05%CHAPS−測定用緩衝液(1.5ml)を
添加し、GF/Fガラス繊維濾紙(Whatman社)で濾過
し、さらに同緩衝液(1.5ml)で洗浄した後、濾紙の
125I]をγ−カウンターで計測した。この方法で、
結合阻害活性を示す検体(化合物または発酵生産物)を
複数選び出した。この方法によって、発酵生産物の中か
ら、BE−18257B(バイオケミカル・アンド・バ
イオフィジカル・リサーチ・コミュニケーションズ(Bi
ochem. Biophys. Res. Commun.)178巻132−13
7頁1991年)と同一の化合物がヒト型エンドセリン
と拮抗的に結合阻害活性を示すことが見い出された。
【0042】
【発明の効果】本発明のスクリーニング方法を用いる
と、エンドセリン拮抗阻害作用を有する化合物等を有利
に選択できるので、循環機能改善剤などの医薬品を早期
に発見することができる。
【0043】
【配列表】
配列番号:1 配列の長さ:27 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:合成DNA 配列 GGAATTCTTC CTCAAATTTG CCTCAAG 27
【0044】
【配列番号:2】 配列の長さ:27 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:合成DNA 配列 GGAATTCAGA GGATTATGGG AGTACCG 27
【0045】
【配列番号:3】 配列の長さ:27 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:合成DNA 配列 GGAATTCCTT CTGGAGCAGG TAGCAGC 27
【0046】
【配列番号:4】 配列の長さ:27 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:合成DNA 配列 GGAATTCTAC AGTGAATAGT TCTTCTT 27
【図面の簡単な説明】
【図1】は、実施例4で得られた、ヒト型ETA画分の
リガンド特異性を示す結合阻害曲線を示す。
【図2】は、実施例4で得られた、ヒト型ETB画分の
リガンド特異性を示す結合阻害曲線を示す。
フロントページの続き (56)参考文献 特表 平8−502647(JP,A) 国際公開93/013130(WO,A1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 33/48 - 33/98

Claims (17)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヒト型エンドセリン受容体を含有する昆
    虫細胞またはその膜画分を含むエンドセリン拮抗阻害剤
    スクリーニング用キット。
  2. 【請求項2】 昆虫細胞がヒト型エンドセリン受容体を
    コードするDNAを導入したバキュロウイルスを感染さ
    せた昆虫細胞である請求項1記載のキット。
  3. 【請求項3】 ヒト型エンドセリン受容体を含有する昆
    虫細胞の膜画分を含む請求項1記載のキット。
  4. 【請求項4】 昆虫細胞が夜盗蛾の幼虫由来株化細胞で
    ある請求項1記載のキット。
  5. 【請求項5】 ヒト型エンドセリン受容体がETAであ
    る請求項1記載のキット。
  6. 【請求項6】 ヒト型エンドセリン受容体がETBであ
    る請求項1記載のキット。
  7. 【請求項7】 ヒト型エンドセリン受容体を含有する昆
    虫細胞またはその膜画分を用いることを特徴とするエン
    ドセリン拮抗阻害剤のスクリーニング方法。
  8. 【請求項8】 昆虫細胞がヒト型エンドセリン受容体を
    コードするDNAを導入したバキュロウイルスを感染さ
    せた昆虫細胞である請求項7記載のスクリーニング方
    法。
  9. 【請求項9】 ヒト型エンドセリン受容体を含有する昆
    虫細胞の膜画分を用いる請求項7記載のスクリーニング
    方法。
  10. 【請求項10】 昆虫細胞が夜盗蛾の幼虫由来株化細胞
    である請求項7記載のスクリーニング方法。
  11. 【請求項11】 ヒト型エンドセリン受容体がETA
    ある請求項7記載のスクリーニング方法。
  12. 【請求項12】 ヒト型エンドセリン受容体がETB
    ある請求項7記載のスクリーニング方法。
  13. 【請求項13】 ヒト型エンドセリン受容体を含有する
    昆虫細胞またはその膜画分。
  14. 【請求項14】 ヒト型エンドセリン受容体をコードす
    るDNAを導入したバキュロウイルスを感染させた昆虫
    細胞である請求項13記載の昆虫細胞またはその膜画
    分。
  15. 【請求項15】 昆虫細胞が夜盗蛾の幼虫由来株化細胞
    である請求項13記載の昆虫細胞またはその膜画分。
  16. 【請求項16】 請求項13記載の昆虫細胞から得られ
    たヒト型エンドセリン受容体を含有する膜画分。
  17. 【請求項17】 請求項13記載の昆虫細胞を培養する
    ことを特徴とするヒト型エンドセリン受容体の製造法。
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