JPH0731166Y2 - 管の探傷装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は管の探傷装置に係わり、特に、渦電流を用いて
管の内面側から欠陥の有無を検出するようにした探傷装
置に関するものである。

［従来の技術］ 従来、外周部が他の部材によって覆われた管の探傷を行
う場合、外面側からの探傷が行えないために、管の内側
に探傷装置を挿入して探傷を行うことが実施されてお
り、その探傷装置の一例として、第４図に示す構造のも
のが挙げられている。

この探傷装置１は渦電流を用いて欠陥の有無を検出する
ようにしたもので、円柱状の本体２と、その後方に同軸
状に装着されたボビン型コイルからなる粗探傷用の探触
子３と、前記本体２の側部に装着されたパンケーキ型コ
イルからなる本探傷用の探触子４とを備えており、管Ｐ
の内側へ挿入して、ある位置へ保持するとともに、その
位置において粗探傷用の探触子３によって大まかな探傷
を行って欠陥の有無とその概略的な位置を検出し、その
のちに、本探傷用の探触子４によってその大きさや位置
を検出するようにしている。

［考案が解決しようとする課題］ ところで、このような従来の探傷装置１においては、次
のような不具合が残されている。

すなわち、従来の探傷装置１においては、その外径がほ
ぼ一定に形成されていて、適用し得る管Ｐの内径に制限
があるといった不具合である。

そして、この不具合は、管Ｐの内径が腐食等により変化
した場合において、欠陥検出の精度に大きな影響を与え
てしまうことが想定される。

また、本探傷用の探触子４としてパンケーキ型コイルを
用いているが、この形式の探触子４は、指向性が小さい
ために、欠陥の方向性の評価が難しく、また、欠陥の詳
細な位置検出精度が低く、前記不具合と相俟って、探傷
精度の低下を招きやすい。

本考案は、このような従来の技術において残されている
課題を解決せんとするものである。

［課題を解決するための手段］ 本考案は、前述した課題を有効に解決し得る管の探傷装
置を提供せんとするもので、この探傷装置は、特に、管
の内側に挿入されて、その周壁内の欠陥の有無を検出す
るようにした探傷装置であって、前記管の内側に挿入さ
れる本体と、この本体に一体に取り付けられた粗探傷用
探触子と、本体にその側壁を径方向に相対移動自在に貫
通して設けられ、前記管の軸方向に沿った欠陥位置の検
出を行う軸方向探触子、および、管の周方向に沿った欠
陥位置の検出を行う周方向探触子と、これらの欠陥検出
用の探触子を前記本体の外方へ向けて弾性的に押圧する
弾発部材とを具備してなることを特徴とする。

［作用］ 本考案に係わる管の探傷装置は、粗探傷用の探触子によ
って大まかな欠陥位置を検出し、この欠陥を軸方向探触
子と周方向探触子とによって検出することにより、２方
向からの欠陥位置の検出を行うとともに、欠陥の方向性
を特定することができる。

また、弾発部材により欠陥位置検出用の探触子を本体の
外方へ弾性的に押圧して、管の内径の変化に追従させ
て、これらと管の内面とを常時接触状態に保持する。

これによって、高精度の探傷が行なれる。

［実施例］ 以下、本考案の一実施例を第１図ないし第３図に基づき
説明する。

第１図において符号10は、本実施例に係わる探傷装置を
示し、管Ｐの内側に挿入される本体11と、この本体11に
一体に取り付けられた粗探傷用探触子12と、前記本体11
にその側壁を径方向に相対移動自在に貫通して設けら
れ、前記管Ｐの軸方向に沿った欠陥位置の検出を行う軸
方向探触子13、および、管Ｐの周方向に沿った欠陥位置
の検出を行う周方向探触子14と、これらの欠陥位置検出
用の探触子を前記本体11の外方へ向けて弾性的に押圧す
る弾発部材15とを具備した基本構成となっている。

次いで、これらの詳細について説明すれば、前記本体11
は、前記粗探傷用探触子12の前方（第１図の上方）に同
軸状に突設されたねじ12aに螺着された有底筒状のトッ
プカバー16と、前記粗探傷用探触子12の後方（第１図の
下方）に同軸状に突設されたねじ12bに螺着されたエン
ドカバー17とによって構成されている。

前記トップカバー16の側壁には半径方向に沿う一対の貫
通孔18・19が穿設されており、これらの貫通孔18・19の
それぞれに、前記欠陥位置検出用の探触子13・14が摺動
自在に装着されている。

前記軸方向探触子13は、第１図および第２図に示すよう
に、一対のコイル13aを管Ｐの長さ方向に所定間隔をお
いて平行に埋設したプローブ型コイルによって構成さ
れ、また、前記周方向探触子14は、第１図および第３図
に示すように、一対のコイル14aを管Ｐの周方向に所定
間隔をおいて平行に埋設したプローブ型コイルによって
構成されており、それぞれ、管Ｐの内面へ向けて磁力を
与えることにより、管Ｐの周壁に渦電流を生じさせると
ともに、欠陥の有無によるコイル13a・14aにおける電流
の変化により、第２図および第３図に矢印（イ）（ロ）
で示すように、管Ｐの軸方向ならびに周方向において欠
陥の位置を検出するようになっている。

前記弾発部材15は、本実施例においてはコイルスプリン
グが用いられており、それぞれの端部が略径方向に延設
されて、前記各欠陥位置検出用の探触子13・14の内側の
端部に係合させられ、この係合部分が前記管Ｐの内壁面
と略平行となるように屈曲成型されている。

これは、弾発部材15による押圧方向を管Ｐの半径方向へ
一致させて、前記各探触子13・14の摺動を円滑に行わせ
るために採られた処置である。

一方、第１図中符号20は、前記本体11のエンドカバー17
の後方に螺着された操作管を示す。

以上のように構成された本実施例の探傷装置10は、管Ｐ
の内側にトップカバー16側から挿入するとともに、管Ｐ
の軸方向に間欠的に移動および回転させることにより管
Ｐの側壁の探傷を行う。

詳述すれば、まず、探傷位置に粗探傷用探触子12を位置
させて粗探傷を行う。

ここで、欠陥が確認された場合には、探傷装置10を管Ｐ
の軸方向に移動させて欠陥位置検出用の探触子13・14を
前記探傷位置へ移動させる。

これより、探傷装置10を間欠的に回転させながら探傷を
行うことにより、各探触子13・14によって前記欠陥の位
置が、管Ｐの軸方向および周方向の２方向から検出され
る。

一方、挿入された管Ｐの内径が変化した場合において
は、前記両探触子13・14が弾発部材15により常時本体11
の外方へ向けて押圧されていることから、前述の内径変
化に追従して各探触子13・14が管Ｐの半径方向に移動
し、管Ｐとの接触状態が維持される。

これによって、安定した探傷操作が得られるとともに、
内径の異なる種々の管Ｐへの適用が可能となる。

なお、前記実施例において示した各構成部材の諸形状や
寸法等は一例であって、適用する管Ｐの形状や寸法ある
いは設計要求等に基づき種々変更可能である。

例えば、前記実施例においては軸方向探触子と周方向探
触子とをそれぞれ１個設けた例について示したが、これ
に限られることなくその数は任意である。

また、弾発部材15をコイルスプリングとして例示した
が、その他の形状の弾発部材を用いることも可能であ
る。

［考案の効果］ 以上説明したように、本考案に係わる管の探傷装置によ
れば、次のような優れた効果を奏する。

軸方向の探触子と周方向の探触子とにより、欠陥の位置
を２方向から検出することができるから、高精度の探傷
操作が可能となるとともに欠陥の方向性を特定できる。

また、弾発部材により軸方向探触子と周方向探触子とを
管の内面と常時接触状態に保持して、管の内径変化に追
従させることができ、管の内径変化においても安定した
探傷操作が得られ、あるいは、内径の異なる種々の管へ
の適用が可能となり、その適用範囲を大幅に拡大するこ
とができる。

したがって、これらの相乗効果により、高精度の探傷が
得られる。

【図面の簡単な説明】

図面中第１図ないし第３図は本考案の一実施例を示すも
ので、第１図は管に装着した状態を示す縦断面図、第２
図は軸方向探触子の正面図、第３図は周方向探触子の正
面図、第４図は従来の管の探傷装置の一例を示す側面図
である。 10……探傷装置、11……本体、12……粗探傷用探触子、
13……軸方向探触子、14……周方向探触子、15……弾発
部材、Ｐ……管。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】管の内側に挿入されて、その周壁内の欠陥
   の有無を検出するようにした探傷装置であって、前記管
   の内側に挿入される本体と、この本体に一体に取り付け
   られた粗探傷用探触子と、本体にその側壁を径方向に相
   対移動自在に貫通して設けられ、前記管の軸方向に沿っ
   た欠陥位置の検出を行う軸方向探触子、および、管の周
   方向に沿った欠陥位置の検出を行う周方向探触子と、こ
   れらの欠陥位置検出用の探触子を前記本体の外方へ向け
   て弾性的に押圧する弾発部材とを具備してなる管の探傷
   装置。