JPH0731118A - 揺動型アクチュエータ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 不作動時のロック作用が確実であり、作動時
には円滑に揺動する揺動型アクチュエータを提供する。 【構成】 対向して設けたヨークの一方に永久磁石を固
着し、一端に可動コイルを設けたアームを揺動自在に形
成した揺動型アクチュエータにおいて、永久磁石を厚さ
方向に着磁しかつ平板状に形成すると共にロック動作を
行う側の端部にブロック状の突出部を設け、この突出部
のアームが揺動する側の端面に、当該端面と略同一の形
状を有しかつ突出部のアームの揺動方向に沿った厚さよ
り薄いブロック状の強磁性材料からなるシールドヨーク
を設け、可動コイルの前記突出部と対応する部位に強磁
性材料からなる係止片を設け、１対のヨークを支柱を介
して連結する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、例えば磁気ディスク用
アクチュエータのような揺動型アクチュエータ、すなわ
ち磁気ヘッドのような機能部材が円弧軌跡を描いて揺動
するように構成されたアクチュエータに関するものであ
り、特に不作動時におけるロック作用が確実であるよう
に改良された揺動型アクチュエータに関するものであ
る。

【０００２】

【従来の技術】図５は従来の揺動型アクチュエータの例
を示す要部説明図であり、（ａ）は一部破砕した平面、
（ｂ）は（ａ）におけるＡ方向矢視を示す。図５におい
て、１はヨークであり、例えば軟鉄のような強磁性材料
によって平板状に形成し、端部に設けた支柱２を介して
対向して設ける。３は永久磁石であり、略台形の平板状
に形成すると共に、厚さ方向に着磁し、表面にＮ、Ｓ磁
極が現れるように、下側のヨーク１の表面に固着し、そ
の表面に磁気空隙４を形成する。

【０００３】５はアームであり、一端に偏平型の可動コ
イル６を、他端に磁気ヘッドのような機能部材（図示せ
ず）を各々固着し、可動コイル６が前記永久磁石３によ
って形成される磁気空隙４内に位置するように、軸７を
介して回動若しくは揺動自在に配設する。

【０００４】上記の構成により可動コイル６に信号電流
を通電すると、フレミングの左手の法則に従って、可動
コイル６に軸７の回りの駆動力が作用し、アーム５を回
動若しくは揺動させ、アーム５の他端に設けた例えば磁
気ヘッドを、磁気ディスク上の所定の記録トラックに位
置決めすることができる。なお揺動方向の切り換えは、
可動コイル６への通電電流の向きを反転させることによ
って行う。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】上記のアクチュエータ
が不作動時においては、アームをロックしておく必要が
あり、従来から機械的ロック機構を備えたものがある。
しかしながらこれらの機械的ロックをするための余剰の
部材を装着する必要があると共に、寿命および信頼性の
点で満足できない場合が多い。このため駆動用の永久磁
石の一部を利用し、若しくは係止用永久磁石を別個に設
けることにより、可動コイルに設けた強磁性材料からな
る係止片との間に磁気的吸引力を作用させてロックさせ
る手段が提案されている（例えば特公昭６３−４８１１
０号公報参照）。

【０００６】上記の磁気的吸引力、すなわち保持力は、
可動コイルがラッチゾーン（退避ゾーン）に位置したと
きが大であり（例えば１５ｇ・ｃｍ以上）、データゾー
ンにおいては可動コイルの作動を円滑にするために小で
あること（例えば１．５ｇ・ｃｍ以下）が要求される。
しかしながら上記従来のものでは、このような要求を満
足させることができないという問題点がある。

【０００７】すなわち保持力を大に形成すると、アクチ
ュエータの不作動時におけるアームのロック作用が確実
であるという利点があるものの、可動コイルのデータゾ
ーンにおける作動に支障を来すこととなり、一方保持力
を低減させると、可動コイルのデータゾーンにおける作
動が容易になるが、アームのロック作用が不確実とな
り、相反作用がある。

【０００８】本発明は、上記従来技術に存在する問題点
を解決し、不作動時におけるアームのロック作用が確実
であると共に、可動コイルのデータゾーンにおける作動
を円滑に行ない得る揺動型アクチュエータを提供するこ
とを目的とするものである。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明においては、対向して設けた１対のヨークの
一方に永久磁石を固着し、この永久磁石の表面に磁気空
隙を形成してなるハウジングと、一端に可動コイルを他
端に機能部材を各々固着して揺動自在に形成したアーム
とからなり、前記磁気空隙内において可動コイルを永久
磁石の表面に沿って移動自在に構成すると共に、不作動
時においてアームをロックするように構成した揺動型ア
クチュエータにおいて、永久磁石を厚さ方向に着磁しか
つ平板状に形成すると共にロック動作を行う側の端部に
ブロック状の突出部を設け、この突出部のアームが揺動
する側の端面に、当該端面と略同一の形状を有しかつ突
出部のアームの揺動方向に沿った厚さ寸法より小なる厚
さ寸法を有するブロック状の強磁性材料からなるシール
ドヨークを設け、可動コイルの前記突出部と対応する部
位に強磁性材料からなる係止片を設け、１対のヨークを
支柱を介して連結する、という技術的手段を採用した。

【００１０】本発明において、構成部材としての永久磁
石はその厚さ寸法が制限されるため動作点が高くとれな
いので、保磁力の大なる希土類系のものを使用すること
が好ましい。更に近年のものにおいては一層の薄型化お
よび高性能化が要求されるため、磁気空隙内に高い磁束
密度を確保する点で、Ｒ−Ｆｅ−Ｂ系（Ｒ：Ｙ、Ｎｄ等
の希土類元素の１種以上）の永久磁石を使用することが
より好ましい。

【００１１】次に本発明におけるアームは、非磁性材料
によって構成するのであるが、可動コイルを一体的に内
蔵させるために、熱可塑性樹脂材料によって構成するこ
とが好ましい。このような熱可塑性樹脂材料としては、
例えばポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリブチレン
テレフタレート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹
脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエステル樹脂等の公知
の樹脂（好ましくは耐熱性を有する樹脂）を使用するこ
とができる。

【００１２】上記の樹脂の内では、縦弾性率（測定法：
ＡＳＴＭ Ｄ−６３８）が１０×１０⁴ ｋｇ／ｃｍ² 以
上（好ましくは１３×１０⁴ ｋｇ／ｃｍ² 以上）のもの
が好ましい。特に熱可塑性樹脂として液晶ポリマー（溶
融状態で液晶性を示す）の一種である液晶性ポリエステ
ル樹脂（主鎖中に剛直鎖を有するポリエステル）を使用
すると好ましい。

【００１３】

【作用】上記の構成により、不作動時においては永久磁
石のロック動作を行う側の端部に設けたブロック状の突
出部と、可動コイルに設けた強磁性材料からなる係止片
との間に作用する磁気的吸引力により、可動コイルすな
わちアームを確実に係止することができる。また可動コ
イルの作動時においては、上記突出部から係止片が離れ
た位置を取るため、前記磁気的吸引力は作用せず、可動
コイルすなわちアームの揺動には全く影響しない。

【００１４】

【実施例】図１は本発明の実施例における磁気回路の要
部を示す一部断面平面図、図２は図１におけるＢ方向要
部矢視図であり、同一部分は前記図５と同一の参照符号
で示す。図１および図２において、永久磁石３は、例え
ばＮｄ−Ｆｅ−Ｂ系磁石材料によって略扇形に平板状に
形成し、厚さ方向に着磁し、表面にＮ、Ｓ磁極が現れる
ように構成する。このような永久磁石３を製作する際
に、２個の永久磁石を破線部分で接合して一体化しても
よい。

【００１５】なお永久磁石３の支柱２側の一方の端部、
すなわちロック動作を行う端部にはブロック状の突出部
８を一体に設け、この突出部８のアーム（図示せず）が
揺動する側，すなわち図１において右側の端面に、例え
ば軟鉄のような強磁性材料により平板状に形成したシー
ルドヨーク９を設ける。なおシールドヨーク９は、上部
突出部８の右側端面と略同一の形状を有すると共に、突
出部８のアームの揺動方向、例えば永久磁石３の外周端
縁に沿う方向の厚さ寸法より小なる厚さ寸法を有するブ
ロック状に形成する。この場合、シールドヨーク９は、
永久磁石３の磁気的吸引力によって吸着保持され得る
が、接着剤を併用してもよい。

【００１６】次に磁気回路を組立てる場合には、図１お
よび図２のようにして永久磁石３を固着したヨーク１
に、前記図５に示すような支柱２を固着し、他のヨーク
１を介装し、止めねじ（図示せず）によって固着すれば
よい。

【００１７】次に図３は本発明の実施例におけるアーム
５を示す平面図であり、同一部分は前記図５と同一の参
照符号で示す。図３において７ａは前記図５における軸
７が挿通される孔である。１０は係止片であり、可動コ
イル６の一方の側端部に、かつ前記図１および図２に示
す突出部８と対応する部位に設ける。係止片１０は例え
ば軟鉄のような強磁性材料によって形成し、アーム５と
一体に設けることが好ましい。この場合、アーム５は例
えばガラス繊維入りのポリフェニレンサルファイド樹脂
によって形成し、射出成形手段によれば、可動コイル６
および係止片１０と一体に成形され得る。

【００１８】上記構成の磁気回路とアームとを図５に示
すように組立てれば、揺動型アクチュエータを構成する
ことができる。この揺動型アクチュエータについてアー
ム５の係止特性を評価した結果について記述する。

【００１９】図４は本発明の実施例のものにおけるアー
ム角度とトルクとの関係を示す図である。図４におい
て、アーム角度０°の位置は、図３に示すアーム５の可
動コイル６が、図１に示す永久磁石３のＳ極側端部に位
置した場合を示す。この位置においては、図３に示す係
止片１０が、図１に示す突出部８と対向している。従っ
て係止片１０は突出部８の磁界中にあって、突出部８に
吸引される結果、アーム５は係止されている。

【００２０】図４において曲線ａ，ｂは、各々図１およ
び図２に示すシールドヨーク９を欠如するものと、装着
されたものとに対応している。この場合、トルクとは図
３に示すアーム５が横軸に示すアーム角度の位置にある
ときに、アーム５を水平方向に揺動させるに必要なトル
クを表わしている。まず曲線ａにて示されるように、前
記図１および図２に示すシールドヨーク９を欠如するも
のにおいては、アーム角度０°におけるトルクが２５ｇ
・ｃｍ以上あり、アーム５の係止作用としては充分であ
るが、アーム角度３．６°を越えて揺動した場合のデー
タゾーンにおいても、なおトルクの値は３ｇ・ｃｍを示
している。このようにデータゾーンにおけるトルクが大
であると、アーム５の揺動に支障を来すため、データゾ
ーンにおいては前記のように１．５ｇ・ｃｍ以下とする
ことが要求されている。

【００２１】一方曲線ｂにて示されるものは、図１およ
び図２に示すように突出部８にシールドヨーク９を設け
たものであるため、図３に示す係止片１０に作用する磁
界の強さが若干低下する結果、図４に示すようにアーム
角度０°の位置においては、トルクが２０ｇ・ｃｍ強に
低下している。しかしこのトルク値は、アーム５の係止
用として必要とされる１５ｇ・ｃｍを充分上回っている
ため、要求を充分に満足させ得る値である。そしてアー
ム５が揺動してラッチゾーンとデータゾーンとの境界で
あるアーム角度３．６°を越えるとトルク値は大幅に低
下し、１ｇ・ｃｍ未満となる。従ってアーム５は円滑に
揺動することができるのである。

【００２２】本発明において、図１および図２に示すシ
ールドヨーク９の形状寸法は、適用される揺動型アクチ
ュエータを構成する永久磁石３および突出部８の形状寸
法および磁気特性と対応させて適宜に選定され得るが、
厚さ寸法をあまり大に形成すると係止位置、すなわちア
ーム角度０°の位置におけるトルク値を低下させ、また
データゾーンにおいて負のトルクが発生するため好まし
くない。

【００２３】本実施例においては、ヨーク１、１を支柱
２を介して固着する手段として止めねじによる例につい
て記述したが、止めねじのみでなく、例えばリベット状
のものを打ち込み、若しくは圧入して締結するものであ
ってもよい。

【００２４】

【発明の効果】本発明は以上記述のような構成および作
用であるから、揺動型アクチュエータの不作動時におい
ては永久磁石のロック動作を行う側の端部に設けたブロ
ック状の突出部と、可動コイルに設けた係止片との間に
作用する磁気的吸引力により、可動コイルすなわちアー
ムを確実に係止することができる。また可動コイルの作
動時においては、上記突出部から係止片が離れた位置を
取るため、前記磁気的吸引力は作用せず、可動コイルす
なわちアームの揺動には全く影響せず、アームを円滑に
揺動させ得るという効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例における磁気回路の要部を示す
一部断面平面図である。

【図２】図１におけるＢ方向要部矢視図である。

【図３】本発明の実施例におけるアームを示す平面図で
ある。

【図４】本発明の実施例のものにおけるアーム角度とト
ルクとの関係を示す図である。

【図５】従来の揺動型アクチュエータの例を示す要部説
明図であり、（ａ）は一部破砕した平面、（ｂ）は
（ａ）におけるＡ方向矢視を示す。

【符号の説明】

２ 支柱 ３ 永久磁石 ８ 突出部 ９ シールドヨーク １０ 係止片

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 加賀谷 浩之 東京都大田区雪谷大塚町１番７号 アルプ ス電気株式会社内

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 対向して設けた１対のヨークの一方に永
   久磁石を固着し、この永久磁石の表面に磁気空隙を形成
   してなるハウジングと、一端に可動コイルを他端に機能
   部材を各々固着して揺動自在に形成したアームとからな
   り、前記磁気空隙内において可動コイルを永久磁石の表
   面に沿って移動自在に構成すると共に、不作動時におい
   てアームをロックするように構成した揺動型アクチュエ
   ータにおいて、 永久磁石を厚さ方向に着磁しかつ平板状に形成すると共
   にロック動作を行う側の端部にブロック状の突出部を設
   け、この突出部のアームが揺動する側の端面に、当該端
   面と略同一の形状を有しかつ突出部のアームの揺動方向
   に沿った厚さ寸法より小なる厚さ寸法を有するブロック
   状の強磁性材料からなるシールドヨークを設け、可動コ
   イルの前記突出部と対応する部位に強磁性材料からなる
   係止片を設け、１対のヨークを支柱を介して連結したこ
   とを特徴とする揺動型アクチュエータ。