JPH07311144A - 紙の繊維配向測定方法及び繊維配向測定装置 - Google Patents

紙の繊維配向測定方法及び繊維配向測定装置

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JPH07311144A
JPH07311144A JP6128106A JP12810694A JPH07311144A JP H07311144 A JPH07311144 A JP H07311144A JP 6128106 A JP6128106 A JP 6128106A JP 12810694 A JP12810694 A JP 12810694A JP H07311144 A JPH07311144 A JP H07311144A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 静止したあるいは抄紙機上などを走行する紙
の繊維配向特性を試料の表面からの反射光によって測定
する場合に、測定に供される反射光から極力不純光を除
去して測定することにより、紙質調査や品質管理に便利
な紙の繊維配向測定方法及び繊維配向測定装置を提供す
る。 【構成】 光軸を中心として回転する偏光子15を備えた
投光手段10より繊維配向特性を測定すべき紙1の紙面1a
に垂直な方向から直線偏光をその振動方向を入射光軸を
中心として回動させながら照射し、紙面1aからの反射光
を、入射光軸を中心として旋回する一対の受光手段20
a、20bにより、上記直線偏光の振動方向と等しい方向に
振動する主直線偏光と、該振動方向と直角方向に振動す
る副直線偏光とに分離してそれぞれ捕捉し、主直線偏光
と副直線偏光の強度差により所定の演算を行なって繊維
配向指数や繊維配向角などの繊維配向特性を求める。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、静止または抄紙工程
中にある紙の繊維配向特性を測定するのに適した繊維配
向測定方法及び繊維配向測定装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】高品質な紙を製造するためには、製造さ
れた紙の紙質や繊維配向特性を測定する必要がある。従
来のこの種の繊維配向測定装置として、特開平4−57
983号公報に記載された非接触式配向計や特開平4−
113205号公報に記載された繊維配向測定装置など
があり、これらの装置は紙面における光の入反射を利用
したものである。
【0003】しかしながらこれら従来の装置は、裁断さ
れた試料について繊維配向特性を測定するのに適してい
るが、大掛かりな装置であるため、抄紙工程における紙
匹の繊維配向特性を測定するのには不都合がある。この
ため、本願出願人は、簡単な構造で大掛かりな装置とな
らずに、抄紙工程中における紙匹についてオンラインで
繊維配向特性を測定することができるようにした繊維配
向測定方法及び繊維配向測定装置を既に提案した(特願
平5−62581号)。
【0004】この紙の繊維配向測定方法は、静止または
走行中の紙の紙面に対して垂直に無偏光を照射し、該紙
面の前記無偏光の入射側であって紙面に平行な面と入射
光軸との交点を中心とする該平行な面内の円周上の8ヵ
所以上において、ほぼ同時に該紙面によって反射した光
を捕捉し、該反射光の強度から繊維配向指数や繊維配向
角などの繊維配向特性を算出することを特徴としてお
り、この方法を実現した繊維配向測定装置は、静止また
は走行中の紙の紙面に対して垂直に無偏光を照射する投
光手段と、該紙面の前記無偏光の入射側であって紙面に
平行な面と入射光軸との交点を中心とする該平行な面内
の円周上に配設し、受光部が該紙面と入射光軸との交点
を臨んで該紙面によって反射した光を捕捉する8個以上
の受光手段と、前記それぞれの受光手段により測定され
た反射光強度が入力され、該入力信号を適宜に処理して
光強度情報を出力する光情報処理回路と、前記光情報処
理回路の出力信号から繊維配向指数や繊維配向角などを
算出する演算回路とを備えたことを特徴とするものであ
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来の繊維配向測定方法では、紙面に対して無偏光を
照射し、その反射光を受光手段で捕捉しているため、こ
の方法によって繊維配向測定を行なう場合の実際の使用
にはさほど問題はないが、受光手段で捕捉される反射光
には繊維配向の反映に寄与しない不純な光が含まれてい
るから、測定精度上においては厳密には正確さを欠くお
それがある。すなわち、紙面での反射光は、紙を形成す
る繊維の表面で反射した光だけでなく、紙層内や繊維の
内部の層で反射し拡散した光が含まれている。繊維配向
の傾向に寄与する光は繊維の表面で反射した光であるか
ら、繊維内部の層内拡散光は繊維配向の傾向を示すもの
としては不純な光である。そして、上述した従来の繊維
配向測定方法では、この層内拡散光をも捕捉して反射光
強度を測定しているため、厳密な繊維配向を得ていると
は言い難いものとなっている。
【0006】そこで、この発明の主たる目的は、紙面で
の反射光を捕捉する際に、繊維配向の測定に寄与しない
上記層内拡散光を除去して捕捉することにより、極力厳
密な繊維配向特性を得ることができる紙の繊維配向測定
方法及び繊維配向測定装置を提供することを目的として
いる。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの技術的手段として、この発明に係る紙の繊維配向測
定方法は、静止または走行中の紙の紙面に対して垂直に
直線偏光からなる検出光を照射するとともに、該直線偏
光を形成する偏光子を、入射光軸を中心として回転さ
せ、前記紙面の前記検出光の入射側で、入射光軸を中心
として前記投光手段の回転に同期して旋回する、該旋回
軌道上でほぼ 180°の位置にある一対の受光手段の、一
方である第1受光手段によって前記直線偏光の振動方向
と等しい方向に振動する主直線偏光を、他方である第2
受光手段によって上記主直線偏光の振動の方向に対し直
角の方向に振動する副直線偏光を、それぞれ反射光から
分離して捕捉しそれぞれの直線偏光から反射光強度を測
定し、前記一対の受光手段のそれぞれで測定した反射光
の強度差を算出し、上記強度差から繊維配向指数や繊維
配向角などの繊維配向特性を算出することを特徴として
いる。
【0008】また、十分な測定精度を得ることができる
ように、前記一対の受光手段によってその旋回軌道上の
少なくとも8ヵ所において反射光を捕捉すること、さら
に、前記一対の受光手段によってその旋回円を等間隔に
分割する位置において反射光を捕捉することを特徴とし
ている。
【0009】そして、不純な光の除去を確実に行なえる
ように、上述した繊維配向測定方法に関して、前記主直
線偏光が入反射面に対して垂直な方向に振動する直線偏
光であることを特徴としている。
【0010】また、この繊維配向測定方法を実現するの
に適した繊維配向測定装置として、静止または走行中の
紙の紙面に対して垂直に直線偏光からなる検出光を照射
するとともに、該直線偏光の振動方向が入射光軸を中心
として回転する投光手段と、前記紙面の前記検出光の入
射側に配設し、入射光軸を中心として前記投光手段の回
転に同期して旋回し、受光部が該紙面と入射光軸との交
点を臨んで該紙面からの反射光を捕捉する、該旋回軌道
上でほぼ 180°の位置にある一対の受光手段と、前記一
対の受光手段の一方である第1受光手段は前記直線偏光
の振動方向と等しい方向に振動する主直線偏光を透過す
る偏光子を備え、他方である第2受光手段は該主直線偏
光の振動の方向に対し直角の方向に振動する副直線偏光
を透過する偏光子を備え、それぞれ主直線偏光と副直線
偏光を反射光から分離して捕捉しそれぞれの直線偏光か
ら反射光強度を測定し、前記受光手段により測定された
反射光強度が入力され、該入力信号を適宜に処理して、
前記一対の受光手段で測定した反射光強度の差を繊維配
向に係る光強度情報として出力する光情報処理回路と、
前記光情報処理回路の出力信号から繊維配向指数や繊維
配向角などを算出する演算回路とからなり、前記投光手
段から発せられて紙面で反射した光を、該投光手段の回
転位置に応じて、前記第1受光手段と第2受光手段と
で、順次に捕捉することを特徴としている。
【0011】また、十分な精度で繊維配向を測定できる
ように、前記一対の受光手段によってその旋回軌道上の
少なくとも8ヵ所において反射光を捕捉することを特徴
とし、さらに取得された繊維配向特性の精度を向上させ
るために、前記一対の受光手段によってその旋回円を等
間隔に分割する位置で反射光を捕捉することを特徴とし
ている。
【0012】そして、不純な光の除去を確実に行なえる
ように、上述した繊維配向測定装置に関して、前記主直
線偏光が入反射面に対して垂直な方向に振動する直線偏
光であることを特徴としている。
【0013】
【作用】投光手段によって繊維配向を測定すべき紙の紙
面に検出光が照射されると、紙面で反射し、その反射光
が受光手段で捕捉される。投光手段から発せられる検出
光は直線偏光であるとともに、該投光手段が回転してい
るから、投光手段の回転に同期して旋回している受光手
段には、該直線偏光に対応する直線偏光が順次に入射す
ることになる。しかも、第1受光手段と第2受光手段と
は 180°の位置関係にあるから、紙面の同一箇所で反射
した光をこれら一対の受光手段でほぼ同時に捕捉するこ
とができる。さらに、第1受光手段で主直線偏光を第2
受光手段で副直線偏光をそれぞれ捕捉し、これら主直線
偏光から得られる反射光強度と副直線偏光から得られる
反射光強度との差を測定するため、繊維配向を反映した
主直線偏光に係る反射光強度から層内拡散光を反映した
副直線偏光に係る反射光強度を取り除くことができる。
【0014】そして、受光手段は紙面に平行な面内の入
射光軸を中心とした円周上を旋回するから、全ての測定
位置に関して入射光軸と反射光軸のなす角度が等しくな
る。
【0015】検出すべき紙が静止している場合には、投
光手段を回転させることにより紙面の同一部分について
360°の範囲で繊維配向を測定できるから、それぞれの
位置において捕捉された反射光強度のバラツキは紙面の
配向特性に応じた傾向を示すことになり、この反射光強
度のバラツキから繊維配向指数や繊維配向角などの配向
特性が求められる。すなわち、受光手段で捕捉された反
射光の強度を、捕捉した受光手段の角度位置に対応させ
て信号処理すれば、当該紙の繊維配向特性を取得するこ
とができる。しかも、繊維配向に寄与しない層内拡散光
が取り除かれているから、確実な繊維配向特性を取得す
ることができる。
【0016】また、投光手段から発せられ受光手段で捕
捉される主直線偏光を、入反射面に対して垂直方向に振
動する偏光とすれば、繊維配向を最もよく反映した反射
光によって繊維配向を測定できる。
【0017】また、受光手段による反射光の捕捉を、入
射光軸を中心とする円周上で等間隔の位置で行なうこと
により、 360°の角度位置にわたって均等に繊維配向に
係るデータを採取できるから、確実な繊維配向特性を取
得できる。
【0018】そして、投光手段と受光手段とを抄紙機の
クロスマシン方向に走査させながら抄紙機上を走行中の
紙について繊維配向に係るデータを採取する場合には、
紙匹の面の同一部分に関する反射光強度を測定すること
はできない。しかし、抄紙機上を走行する紙匹の繊維配
向はほぼ一定であるから、受光手段の測定角度が等しい
場合にはほぼ等しい反射光強度を示すことになる。した
がって、反射光強度を常時測定することにより、紙匹の
配向特性の傾向が得られ、この傾向から外れるような場
合には、所定の紙質を維持していない状態になったこと
が判断できる。
【0019】
【実施例】以下、図示した実施例に基づいて、この発明
に係る紙の繊維配向測定方法及び繊維配向測定装置を具
体的に説明する。
【0020】図1はこの繊維配向測定装置の概略を示す
正面図で、繊維配向特性を測定すべき紙1の紙面1aの上
方に投光手段10が配設されている。この投光手段10は半
導体レーザー11とレンズ12、偏光子13、1/4波長板1
4、偏光子15とによって構成されており、半導体レーザ
ー11により発せられたレーザー光をレンズ12と偏光子1
3、1/4波長板14、偏光子15とを順次透過させて、検
出光として直線偏光Liが得られるようにしてある。ま
た、これら光学系で構成された投光手段10の偏光子15は
直線偏光Liの入射光軸を中心として回動するようにし
てあり、このため直線偏光Liはその振動の方向を偏光
子15の回動に同期して変化させながら紙面1aに入射され
る。
【0021】他方、一対の受光手段20a、20bは、図2に
示すようにほぼ 180°で対向した位置に設けられた第1
受光手段20aと第2受光手段20bとで構成されており、一
定の方向の直線偏光を分離する偏光子21a、21bと光の強
度を電気信号に変換する受光素子22a、22bとから構成さ
れている。そして、図1および図2に示すように、これ
ら一対の受光素子22a 、22b は紙面1aと平行な同一面内
に配設され、いずれの受光素子22a、22bも前記直線偏光
Liの入射光軸を中心として旋回するようにしてある。
また、これら受光手段20a、20bは、その受光部が上記直
線偏光Liの入射光軸と紙面1aとの交点を臨んだ状態に
配設されている。したがって、前記投光手段10から発せ
られた直線偏光Liは紙面1aで反射し、その反射光Lr
は、これらの受光手段20a、20bによって捕捉されること
になる。
【0022】そして、上記第1受光手段20a の偏光子21
a は上記投光手段10により発せられた直線偏光Liの振
動の方向と等しい方向に振動する主直線偏光を透過する
ものとしてあり、第2受光手段20b の偏光子21b は該主
直線偏光の振動方向と直角の方向に振動する副直線偏光
を透過するものとしてある。たとえば、投光手段10から
発せられる直線偏光Liが、入射光軸とこれら受光手段
20a、20bの光軸とを含む入反射面に対して垂直方向に振
動する偏光であれば、第1受光手段20a の偏光子21a は
入反射面に対して垂直方向に振動する偏光を透過するも
のとし、第2受光手段20bの偏光子21bは入反射面と平行
な方向に振動する偏光を透過するものとしてある。すな
わち、偏光子15の回転によって該投光手段10から照射さ
れる直線偏光Liの振動方向が入射光軸を中心として回
転するとともに、一対の受光手段20a、20bが同期して旋
回するから、受光手段20a、20bがいずれの旋回角度位置
にあっても、第1受光手段20a では主直線偏光を捕捉す
ることができ、第2受光手段20bでは副直線偏光を捕捉
することができる。
【0023】そして、偏光子15を回転させながら一対の
受光手段20a、20bで、回転角度位置が所定の位置となっ
た場合に反射光Liを捕捉する。この反射光Liの捕捉
は、受光手段20の旋回軌道上で少なくとも8ヵ所、すな
わち第1受光手段20a または第2受光手段20b で少なく
とも4ヵ所の位置で行なう。
【0024】また、受光手段20a、20bによる測定位置を
その旋回軌道上で局所的に密集して配設されると、紙面
1aの偏った方向に対するデータが採取されることにな
り、正確な繊維配向特性を取得することができなくなっ
てしまう。したがって、受光手段20a、20bの測定位置は
旋回軌道のほぼ等間隔の位置とすることが望ましい。な
お、抄紙機上の紙匹について配向特性を測定する場合の
ように、紙匹の繊維配向がほぼ抄紙機の流れ方向に沿っ
ていると推測できるような場合には、反射光Lrを捕捉
しやすい位置において反射光の測定を行なうようにして
も構わない。
【0025】上記一対の受光手段20a、20bによって捕捉
された反射光Lrは、前述したようにそれぞれの受光手
段20a、20bの偏光子21a、21bを透過することによって、
主直線偏光と副直線偏光に分離されたのちそれぞれの受
光素子22a、22bに入射する。このとき、直線偏光Liと
反射光Lrとのなす入反射光角度θrは、0°<θr<
90°の範囲となるが、繊維配向を算出するためには繊
維配向を反映した光の反射率が高い方が望ましく、その
ためには入反射角度θrを大きくすることが望ましい。
【0026】また、繊維表面においてよく反射し、紙層
や繊維内部の層内拡散光が少ない、すなわち最もよく繊
維配向を反映する反射光を得られるのが、入射される直
線偏光を入反射面に対して垂直方向に振動する偏光とし
て場合であり、この方向に振動する直線偏光を主直線偏
光とすることが望ましい。したがって、入反射面に対し
て平行方向に振動する直線偏光が副直線偏光となる。
【0027】そして、図3に示すように、受光素子22
a、22bの出力端子は光情報処理回路31の入力端子31a、3
1bにそれぞれ接続されており、該受光素子22a、22bで捕
捉された反射光Lrの強度が電気信号に変換されて該光
情報処理回路31に入力される。この光情報処理回路31で
は入力された光強度信号を適宜に信号処理して、それぞ
れの受光素子22a、22aで捕捉された反射光Lrの強度F
と、当該受光素子22a 、22a の前記入射光軸Liを中心
とした円周上における測定位置回転角度θとを含む光情
報信号として出力する。光情報処理回路31の出力側には
演算回路32が接続されており、該演算回路32では、入力
された光情報信号から一対の受光手段20a、20b で捕捉
された主直線偏光と副直線偏光の反射光強度の差(主直
線偏光反射強度−副直線偏光反射強度)を、
【数1】F(θ) = C(1+ηCOS2(θ−α)) に適用して、紙面1aの繊維配向の強さを表わす配向指数
ηと、紙面1aの繊維配向の方向を表わす配向角αを算出
する。すなわち、第1受光手段20a で入反射面に対して
垂直方向に振動する主直線偏光を、第2受光手段20b で
平行方向に振動する副直線偏光を捕捉するとした場合
に、第1受光手段20a で捕捉された主直線偏光に係る反
射光には紙の繊維の表面だけでなく層内における反射光
が含まれており、第2受光手段20b で捕捉された副直線
偏光に係る反射光は層内拡散光によるものであるため、
主直線偏光の光強度から副直線偏光の光強度を減算する
ことにより層内拡散光による不純な光の強度を除去し、
繊維配向を反映する光強度のみにより繊維配向特性が取
得される。なお、数1において、Fは光強度、θは受光
手段20a、20bの測定位置回転角度、Cは反射光強度の平
均値をそれぞれ表わす。また、数1はフーリエ級数の一
部であり、取得データから紙の繊維配向を近似して計算
する周期関数として知られているものであるが、この演
算式の他に、フォン・マイス(Von Mises)関
数や楕円関数などを用いることもできる。
【0028】上記演算回路32で算出された配向指数ηと
配向角αなどは、該演算回路32に接続されたCRT表示
装置などの表示手段33で表示されたり、また該演算回路
32に接続されたプリンタやプロッタなどによって印刷さ
れる。
【0029】図4は前記受光手段20a、20bを入射光軸を
中心として旋回させるための機構の一実施例を説明する
概略の斜視図である。一対の受光手段20a、20bは、回動
自在なギヤ23の一部に、 180°の位置関係に形成された
一対の透孔部23a、23bにそれぞれ収容され、その受光部
が上記円偏光Liの入射光軸と紙面1aとの交点を臨んだ
状態で固定されている。このギヤ23にはピニオン24が噛
合しており、該ピニオン24に図示しない駆動装置から動
力が伝達されて、ギヤ23を回動するようにしてある。こ
のギヤ23の上方には投光手段10が配設され、この投光手
段10の入射光軸とギヤ23の回動中心軸とが一致させてあ
る。そして、ギヤ23のボス部23b は中空としてあり、投
光手段10からは該中空部を透過させて紙面1aに対して前
記円偏光Liを照射するようにしてある。なお、投光手
段に半導体レーザーを用いる場合、直線偏光を形成する
偏光子15の回転は他の駆動手段によって行なわせてもよ
いが、該偏光子15をギヤ23のボス部23b に固定した構造
とすれば、偏光子15の回転と受光手段20a、20bの旋回と
を同期させることができる。
【0030】また、受光手段20a、20bを、その受光部を
入射光軸と紙面1aとの交点を臨んだ状態で旋回させる機
構は、図4に示す機構以外に遊星歯車装置やリンク装置
を利用した機構その他であっても構わない。
【0031】そして、上記ギヤ23の回転角度を検出する
エンコーダ(図示せず)を設け、該ギヤ23が所定角度回
転したことを検出するようにしてある。なお、このエン
コーダは光学式などの非接触形のものが望ましい。この
エンコーダの出力信号によって、例えばギヤ23が45°回
転した状態を検出し、該検出信号が出力された時に受光
手段20a、20bで反射光Lrを捕捉するようにしておけ
ば、受光手段20a、20bが1旋回する間に旋回軌道を8等
分に分割した位置で反射光Lrの捕捉を行なうことがで
きる。また、ギヤ23とピニオン24の速比を1/8とし、
ピニオン24にエンコーダを配設しておけば、ピニオン24
の1回転ごとに受光手段20の旋回軌道を8等分に分割し
た位置で反射光Lrを捕捉することができる。すなわ
ち、図2に示すように、P1〜P8に示す回転角度位置で
反射光が捕捉される。
【0032】以上により構成したこの発明に係る紙の繊
維配向測定方法及び繊維配向測定装置の実施例につい
て、その作用を以下に説明する。
【0033】図4に示す実施例では、投光手段10の直線
偏光を形成する偏光子15が回転するととともに、図示し
ない駆動装置からピニオン24に動力が伝達されると、該
ピニオン24とこれに噛合しているギヤ23とが回転する。
このギヤ23には一対の受光手段20a、20bが固定されてい
るから、ギヤ23の回転によって受光手段20a、20bが偏光
子15の回転に同期して旋回することになる。また、ギヤ
23は入射光軸を中心として回転するから、受光手段20
a、20bは同じく入射光軸を中心として旋回する。しか
も、受光手段20の受光部は繊維配向を測定すべき紙1の
紙面1aと入射光軸との交点を臨んだ状態で旋回するか
ら、紙面1aで反射した反射光Lrは受光手段20によって
捕捉される。そして、受光手段20a、20bの旋回中に適宜
位置にて反射光Lrの捕捉を行なう。
【0034】反射光Lrの捕捉は、例えばギヤ23の回転
角度を検出する図示しないエンコーダの出力信号を受け
て行なうようにしてある。また、反射光Lrの捕捉は、
受光手段20a、20bの旋回軌道の少なくとも8ヵ所におい
て行なうようにし、旋回軌道を8等分する位置で捕捉す
ることが好ましい。
【0035】測定位置は8ヵ所に限らずそれ以上であっ
てもよく、反射光Lrを捕捉した角度位置と反射光強度
とが検出されるものであれば、旋回中に連続して捕捉を
行なうようにしたものであっても構わない。すなわち、
捕捉位置が多くなれば測定された繊維配向特性の精度が
向上する。
【0036】そして投光手段10が作動すると、半導体レ
ーザ11から発せられた光が偏光子13と1/4波長板、偏
光子15とを透過して直線偏光Liが生成される。しか
も、該偏光子15が入射光軸を中心として回動しているか
ら、この直線偏光Liの入射光軸に対する振動の方向は
入射光軸を中心として回動することになる。
【0037】紙面1aに入射した直線偏光Liは紙の繊維
の表面などでその繊維配向を反映するよう反射する。一
対の受光手段20a、20bはほぼ 180°の位置関係で配設さ
れているから、これら受光手段20a、20bの光軸と入射光
軸とは協働して入反射面を構成することになる。そし
て、偏光子15の回転に同期して受光手段20a、20bが入射
光軸を中心として旋回しているから、第1受光手段20a
では主直線偏光が捕捉され、第2受光手段20b では副直
線偏光が捕捉される。
【0038】そして、反射光Lrが受光手段20a、20bで
捕捉され受光素子22a、22bに入射すると光電変換されて
光情報処理回路31に入力され、この光強度信号を適宜に
信号処理して演算回路32に送出する。演算回路32では、
これら一対の受光手段20a 、20b 捕捉された主直線偏光
に係る反射光強度と副直線偏光に係る反射光強度の差を
算出し、その値により前記数1による演算が実行され
て、繊維配向指数ηと、配向角αとが算出される。
【0039】1枚の小判に裁断された試料(紙)の配向
特性を測定する場合には、試料を試料台に固定し偏光子
15を回動させて該試料の測定点について上記一対の受光
手段20a、20bで主直線偏光と副直線偏光との反射光強度
に関するデータを採取し、該試料台または繊維配向測定
装置を移動させて順次試料上の所定点についてデータを
採取すれば、試料の2次元的な繊維配向分布を測定でき
る。また、試料の表裏について測定を行なえば、試料の
ワイヤー面とフェルト面についての繊維配向分布を測定
でき、試料の表裏差に関する繊維配向分布を測定でき
る。
【0040】また、抄紙工程中の紙匹の繊維配向特性を
測定する場合には、抄紙機の幅方向の両側に支柱を設
け、この支柱にガイドレールを掛け渡し、この繊維配向
測定装置を該ガイドレールに案内させて移動自在となる
よう支持させて、抄紙機上に設置すればよい。そして、
この繊維配向測定装置をガイドレールに沿ってクロスマ
シン方向に走査させれば、マシン方向及びクロスマシン
方向に対する紙匹の繊維配向特性を測定することができ
る。この場合、紙匹が移動しているため、紙面の1点に
ついて 360°での測定を行なえない。しかし、抄紙機上
の繊維配向は一定の方向にあるべきであるから、抄紙機
の幅方向の等しい位置では等しい繊維配向が得られるは
ずであり、紙の幅方向に対して所定の繊維配向データが
得られる。すなわち、この繊維配向データから外れるよ
うなデータ得られた場合には、製造されている紙の品質
が所定のものと異なってしまうことになる。さらに、抄
紙工程中の紙匹のワイヤー面側とフェルト面側とにこの
装置を設置して、クロスマシン方向に走査させれば、マ
シン方向及びクロスマシン方向における繊維配向特性の
表裏差を測定できる。なお、走査させない場合には、紙
匹のマシン方向に対する繊維配向特性を測定することが
できる。
【0041】次に、図5に示した実施例を説明する。図
5は図1に相当する概略正面図であり、前述した実施例
と同一の部分は同一の符号を付して説明を省略する。前
記それぞれの受光手段20a、20bが配設されている位置に
は、受光部として偏光子21と反射光入力部41が配設され
ている。これら反射光入力部41には光ファイバ42がそれ
ぞれ接続されており、これら光ファイバ42の出力側には
受光素子(図示せず)が接続され、光ファイバ42を透過
した光が該受光素子に入射するようにしてある。さら
に、これら光ファイバ42の長さをほぼ等しくして、紙面
1aで反射し上記反射光入力部41により捕捉された反射光
がそれぞれの受光素子にほぼ同時に入射するようにして
ある。
【0042】そして、紙面1aで反射した反射光Lrは偏
光子21を透過し、偏光子21で所定の方向に振動する偏光
に分離されて反射光入射部41に入射される。そして、光
ファイバ42を透過して図示しない受光素子に入射され光
電変換され、前述のものと同様に光情報処理回路31に入
力され、演算回路32により配向指数ηと配向角αとが算
出される。
【0043】また、図6に示す実施例では、反射光入力
部41に光ファイバ42を接続し、該光ファイバ42の出力部
43を偏光子21に臨ませ、該偏光子21を透過した直線偏光
が受光素子22に入射するようにしてある。なお、図6も
図1に相当する概略正面図であり、前述した実施例と同
一の部分は同一の符号を付して説明を省略する。この構
造によるものでは、紙面1aで反射した光の偏光特性が出
力部43まで保存される必要があるから、光ファイバ42に
は単一偏波面保存モードのものが用いられている。
【0044】したがって、紙面1aで反射した反射光は反
射光入力部41から入射し、光ファイバ42内を、偏光特性
が保持された状態で透過する。そして、出力部43から射
出した反射光は偏光子21を透過することによって主直線
偏光または副直線偏光に分離され、該分離された偏光が
受光素子22で捕捉される。次いで、受光素子22で光電変
換されて、前述と同様に光情報処理回路31に入力され、
演算回路32により配向指数ηと配向角αとが算出され
る。
【0045】この光ファイバ42を用いた構成とするもの
では、当該繊維配向測定装置の紙1の近傍に設置される
部分には該光ファイバ42の入力端が配されるだけである
から、当該部分の小型化、軽量化が図られる。このた
め、クロスマシン方向に走査してオンライン測定を行な
う場合に、当該部分を設置するスペースを小さくした
り、装置をクロスマシン方向に駆動する動力を小さくす
ることができる。
【0046】なお、これらの実施例には受光手段20に光
ファイバを用いた構成について説明したが、投光手段10
に光ファイバを用いる構成、あるいは投光手段10と受光
手段20のいずれにも光ファイバを用いる構成とすること
もでき、上記部分の小型化、軽量化をさらに図ることが
できる。
【0047】
【発明の効果】以上説明したように、この発明に係る紙
の繊維配向測定方法及び繊維配向測定装置によれば、ほ
ぼ 180°の位置に配設された一対の受光手段で反射光の
うちの、入射された直線偏光の振動方向と等しい方向に
振動する主直線偏光と該主直線偏光の振動方向と直角方
向に振動する副直線偏光とをそれぞれ捕捉し、これら主
直線偏光と副直線偏光の強度差から繊維配向特性を演算
し測定するようにしたから、反射光のうちから層内拡散
光など不純光を除去して測定でき、より精度の高い繊維
配向特性を測定することができる。
【0048】また、上記主直線偏光を入反射面に対して
垂直方向に振動する直線偏光とすれば、紙表面の繊維表
面で反射する光の量を増加させ、紙層内や繊維層内に入
射して反射する層内拡散光などの繊維配向の反映に寄与
しない不純光を極力減じることができるので、繊維配向
を最もよく反映した反射光によってデータを採取するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る繊維配向測定装置の一の実施例
について測定部の概略の構造を示す正面図である。
【図2】この発明に係る紙の繊維配向測定装置の測定部
の概略の構造を示す図であり、図1の概略平面図であ
る。
【図3】この発明に係る繊維配向測定装置の光情報信号
を演算処理する構成を示す概略の回路ブロック図であ
る。
【図4】この発明に係る繊維配向装置の受光手段を旋回
させる実施例を説明するための概略斜視図である。
【図5】この発明に係る繊維配向測定装置の他の実施例
を説明するための図で、図1に相当する概略正面図であ
る。
【図6】この発明に係る繊維配向測定装置の別の実施例
を説明するための図で、図1に相当する概略正面図であ
る。
【符号の説明】
1 紙 1a 紙面 10 投光手段 11 半導体レーザー 12 レンズ 13 偏光子 14 1/4波長板 15 偏光子 20a 第1受光手段 、20b 第2受光手段 21a、21b 偏光子 22a、22b 受光素子 23 ギヤ 24 ピニオン 31 光情報処理回路 32 演算回路 33 表示手段 41 反射光入力部 42 光ファイバ Li 入射光 Lr 反射光 θr 入反射光角度
フロントページの続き (72)発明者 畑野 昭夫 東京都北区王子5丁目21番1号 日本製紙 株式会社中央研究所内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 静止または走行中の紙の紙面に対して垂
    直に直線偏光からなる検出光を照射するとともに、該直
    線偏光の振動方向を、入射光軸を中心として回転させ、 前記紙面の前記検出光の入射側で、入射光軸を中心とし
    て前記投光手段の回転に同期して旋回する、該旋回軌道
    上でほぼ 180°の位置にある一対の受光手段の、一方で
    ある第1受光手段によって前記直線偏光の振動方向と等
    しい方向に振動する主直線偏光を、他方である第2受光
    手段によって上記主直線偏光の振動の方向に対し直角の
    方向に振動する副直線偏光を、それぞれ反射光から分離
    して捕捉しそれぞれの直線偏光から反射光強度を測定
    し、 前記一対の受光手段のそれぞれで測定した反射光の強度
    差を算出し、 上記強度差から繊維配向指数や繊維配向角などの繊維配
    向特性を算出することを特徴とする紙の繊維配向測定方
    法。
  2. 【請求項2】 前記一対の受光手段によってその旋回軌
    道上の少なくとも8ヵ所において反射光を捕捉すること
    を特徴とする請求項1に記載の紙の繊維配向測定方法。
  3. 【請求項3】 前記一対の受光手段によってその旋回円
    を等間隔に分割する位置において反射光を捕捉すること
    を特徴とする請求項1または請求項2のいずれに記載の
    紙の繊維配向測定方法。
  4. 【請求項4】 前記主直線偏光が入反射面に対して垂直
    な方向に振動する直線偏光であることを特徴とする請求
    項1ないし請求項3のいずれかに記載の紙の繊維配向測
    定方法。
  5. 【請求項5】 静止または走行中の紙の紙面に対して垂
    直に直線偏光からなる検出光を照射するとともに、該直
    線偏光の振動方向を、入射光軸を中心として回転させる
    投光手段と、 前記紙面の前記検出光の入射側に配設し、入射光軸を中
    心として前記投光手段の回転に同期して旋回し、受光部
    が該紙面と入射光軸との交点を臨んで該紙面からの反射
    光を捕捉する、該旋回軌道上でほぼ 180°の位置にある
    一対の受光手段と、 前記一対の受光手段の一方である第1受光手段は前記直
    線偏光の振動方向と等しい方向に振動する主直線偏光を
    透過する偏光子を備え、他方である第2受光手段は該主
    直線偏光の振動の方向に対し直角の方向に振動する副直
    線偏光を透過する偏光子を備え、それぞれ主直線偏光と
    副直線偏光を反射光から分離して捕捉しそれぞれの直線
    偏光から反射光強度を測定し、 前記受光手段により測定された反射光強度が入力され、
    該入力信号を適宜に処理して、前記一対の受光手段で測
    定した反射光強度の差を繊維配向に係る光強度情報とし
    て出力する光情報処理回路と、 前記光情報処理回路の出力信号から繊維配向指数や繊維
    配向角などを算出する演算回路とからなり、 前記投光手段から発せられて紙面で反射した光を、該投
    光手段の回転位置に応じて、前記第1受光手段と第2受
    光手段とで、順次に捕捉することを特徴とする紙の繊維
    配向測定装置。
  6. 【請求項6】 前記一対の受光手段によってその旋回軌
    道上の少なくとも8ヵ所において反射光を捕捉すること
    を特徴とする請求項5に記載の紙の繊維配向測定装置。
  7. 【請求項7】 前記一対の受光手段によってその旋回円
    を等間隔に分割する位置で反射光を捕捉することを特徴
    とする請求項5または請求項6のいずれかに記載の紙の
    繊維配向測定装置。
  8. 【請求項8】 前記主直線偏光が入反射面に対して垂直
    な方向に振動する直線偏光であることを特徴とする請求
    項5ないし請求項7のいずれかに記載の紙の繊維配向測
    定装置。
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