JPH07310076A - 液状炭化水素及びカーボンブラックの製造方法 - Google Patents

液状炭化水素及びカーボンブラックの製造方法

Info

Publication number
JPH07310076A
JPH07310076A JP10406994A JP10406994A JPH07310076A JP H07310076 A JPH07310076 A JP H07310076A JP 10406994 A JP10406994 A JP 10406994A JP 10406994 A JP10406994 A JP 10406994A JP H07310076 A JPH07310076 A JP H07310076A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
carbon black
vulcanized rubber
liquid hydrocarbon
hydrogen
solvent
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP10406994A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3430245B2 (ja
Inventor
Yoshiki Sato
芳樹 佐藤
Suminobu Kurahashi
純信 倉橋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Bridgestone Corp
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Original Assignee
Agency of Industrial Science and Technology
Bridgestone Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Agency of Industrial Science and Technology, Bridgestone Corp filed Critical Agency of Industrial Science and Technology
Priority to JP10406994A priority Critical patent/JP3430245B2/ja
Publication of JPH07310076A publication Critical patent/JPH07310076A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3430245B2 publication Critical patent/JP3430245B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02WCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO WASTEWATER TREATMENT OR WASTE MANAGEMENT
    • Y02W30/00Technologies for solid waste management
    • Y02W30/50Reuse, recycling or recovery technologies
    • Y02W30/62Plastics recycling; Rubber recycling

Landscapes

  • Pigments, Carbon Blacks, Or Wood Stains (AREA)
  • Manufacture Of Porous Articles, And Recovery And Treatment Of Waste Products (AREA)
  • Separation, Recovery Or Treatment Of Waste Materials Containing Plastics (AREA)
  • Production Of Liquid Hydrocarbon Mixture For Refining Petroleum (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 加硫ゴム廃棄物から再使用可能な液状炭化水
素及びカーボンブラックを効率よく簡便に製造する。 【構成】 窒素のような不活性ガスの存在下、テトラリ
ンのような水素供与性溶媒を用いて使用済みタイヤの加
硫ゴムを、440℃で1時間、加熱分解させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、液状炭化水素及びカー
ボンブラックの製造方法に関し、特に、加硫ゴム廃棄物
の処理における、液状炭化水素及びカーボンブラックの
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年の産業の発展と共に、それに伴う廃
棄物の処理に注目されている。例えば自動車産業の発展
と共に、使用済タイヤ等の加硫ゴム廃棄物の廃棄量も拡
大し、社会的にも大きな影響を与えるものとなってき
た。このような加硫ゴム廃棄物は、種々の用途に用いら
れている。この例として、加硫ゴム例えば使用済タイヤ
をそのままの形で利用する原形利用、使用済タイヤを燃
料として利用する熱利用、更に、使用済タイヤ中の加硫
ゴムに化学的加工処理等を施して、その生成物を利用す
る加工利用等が挙げられる。
【0003】特に、加工利用は、資源の有効利用や環境
保全の観点から種々検討され、加硫ゴムの熱分解によっ
て油やカーボンブラック等を製造する方法や、脱硫して
再生ゴムを製造する方法が開発されている。中でも前者
の熱分解法の研究開発が盛んに行われている。
【0004】このような方法には、500℃以上の高温
で直接・間接的に加熱する方法、溶媒、触媒及び水素の
存在下で熱分解する方法(米国特許第3,704,10
8号)、溶融塩の存在下で熱分解する方法(欧州特許第
71789号、米国特許第3,996,022号)等が
挙げられる。
【0005】しかし、500℃以上の高温での熱分解方
法によって回収されたカーボンブラックは、元のカーボ
ンブラックが有していた高次集合構造を維持できないた
め、ゴム製品に配合しても補強効果が得られず、再利用
が困難となる。
【0006】前記米国特許第3,996,022号に
は、500℃以下例えば300℃の温度において、塩化
亜鉛や塩化鉄のようなルイス酸を溶融塩として用いた方
法が開示されている。この方法によれば、得られた固形
分は、適度な質のカーボンブラックであり、タイヤに再
利用することも可能であり、更に、タイヤに含まれる酸
化亜鉛を塩化亜鉛に変換し、安価な塩化ナトリウムを加
えることによって、触媒をリサイクルする必要も排除す
ることができるとしている。しかし、この方法で得られ
たカーボンブラックを再利用するためには、新鮮な高品
質のカーボンブラックがブレンドされていることを必要
とする。また、タイヤに含まれる酸化亜鉛を触媒の1つ
として利用したとしても、塩化ナトリウムの添加を不可
欠な要素とし、これが添加されてないと熱分解反応が進
行せず、且つ、この場合には500℃以上の温度で処理
しなければならないこととなり、得られるカーボンブラ
ックの品質は更に低下する。
【0007】米国特許第5,158,983号には、水
素ガス又は水素−硫化水素の混合ガスの存在下におい
て、500℃以下の温度で行う方法が開示されている。
しかし、水素ガス及び水素−硫化水素混合ガスは、安全
性の点から新たな問題を生じ得る。また、カーボンブラ
ックとして再利用可能な固形分を得ることができるが、
わずかな量でしか得ることができない。
【0008】また、例えば石油留分(特開昭57−12
5265号)や、トルエン(特開昭60−40193
号)のような石油系溶剤の存在下で熱分解する方法も開
示されている。しかし、これらの石油系溶剤は、熱分解
の際に、より高温になるため危険防止の観点から設備が
コスト高になり、更にトルエン等のような低沸点溶媒を
使用すると、熱分解反応中で気化蒸発する溶媒を更に高
圧にして反応系中に戻す必要が生じるため、設備的に不
利となる。
【0009】その上、上述の比較的低温である400℃
程度での溶媒及び触媒の存在下での熱分解方法で回収さ
れた物質は、油、ゴム、カーボンブラックが混合した物
質であり、これらの各々の物質を分離することは困難で
あった。特に、ゴムの架橋に用いた硫黄が分解油中に残
存し、回収された物質を再利用するためには、この硫黄
の精製除去が不可欠であった。
【0010】なお、水素含有化合物による物質の熱分解
方法としては、例えば、石炭の液化反応において知られ
ている(燃料協会誌、第56巻、第601号(1977
年)、第319〜326頁;石油学会誌、27(5)、
413〜419、1984年)。しかし、この技術で
は、石炭から生成油成分としての炭化水素を得ることに
重点が置かれており、液状炭化水素とカーボンブラック
とを同時に効率良く生成することはできない。また、前
記石油学会誌中、第415頁の表3に参照されるよう
に、石炭の液化では、水素ガスと、硫化鉄又は酸化鉄及
び硫黄(触媒として)と、水素供与性溶媒とを必要と
し、例えば触媒を除くと、液状炭化水素の収率は約10
%低下する。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、極めて硫黄の含有量が低いために特別な脱硫工程を
設けることなく化学原料等として使用することができる
ような高純度の液状炭化水素と、元の高次集合構造に近
いためにゴム製品用補強材料等として使用することがで
きるような高レベルのカーボンブラックとを、効率よく
簡便に製造する方法、更には、各種の工業的副産物の利
用方法を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の液状炭化水素及
びカーボンブラックの製造方法は、加硫ゴムを水素供与
性溶媒の存在下で加熱分解することを特徴とする。
【0013】請求項2記載の液状炭化水素及びカーボン
ブラックの製造方法は、請求項1において、前記加硫ゴ
ムが加硫ゴム廃棄物であることを特徴とする。
【0014】請求項3記載の液状炭化水素及びカーボン
ブラックの製造方法は、請求項1において、前記水素供
与性溶媒が、一部の環が水素添加されている多環の芳香
族炭化水素を含む溶媒であることを特徴とする。
【0015】請求項4記載の液状炭化水素及びカーボン
ブラックの製造方法は、請求項1記載において、前記水
素供与性溶媒が、テトラリンと、一部の環が水素添加さ
れているナフタレン油、クレオソート油若しくはアント
ラセン油と、石炭液化油中質留分と、石油中質留分とか
らなる群より選択された少なくとも1つであることを特
徴とする。
【0016】請求項5記載の液状炭化水素及びカーボン
ブラックの製造方法は、請求項1記載において、前記水
素供与性溶媒と前記加硫ゴムとの重量比が、0.5:1
〜5:1であることを特徴とする。
【0017】請求項6記載の液状炭化水素及びカーボン
ブラックの製造方法は、請求項1記載において、前記加
熱分解が380〜500℃で行われることを特徴とす
る。
【0018】請求項7記載の液状炭化水素及びカーボン
ブラックの製造方法は、請求項1記載において、前記加
熱分解が不活性ガスの存在下で行われることを特徴とす
る。
【0019】本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、加
硫ゴムを水素供与性溶媒の存在下で加熱分解させること
によって、上記課題を解決することができることを見出
し、本発明を完成するに至った。
【0020】つまり、加熱処理によって、熱分解反応即
ち、加硫ゴムの分子構造を主として構成する炭素−炭素
結合及び炭素−硫黄結合が、熱によるラジカル切断を受
けて高反応性のラジカル種の生成反応が起こり、このラ
ジカルに、前記水素供与性溶媒から容易に放出された水
素原子が引き寄せられて、ラジカルの反応を停止する。
この反応では、反応性の炭素ラジカルの生成から間もな
く、水素がラジカルに供給されるため、ラジカル同士の
結合を生じることはなく、切断を受けた炭素−炭素結合
及び炭素−硫黄結合の再結合を生じることもない。加硫
ゴムに配合されている酸化亜鉛が触媒として働いている
と思われるため、特に他の固形触媒を添加することな
く、前記水素供与性溶媒から最小限の発生期状態の高反
応性水素の供給を受けることによって、加硫ゴムの水素
化分解反応が効率よく起こる。そのため、比較的低温で
反応させることが可能であり、高次集合構造のカーボン
ブラックを得ることができる。通常の固形触媒はカーボ
ンブラックに混入するとカーボンブラックと分離するこ
とができないため、本発明が、触媒を添加せずに実施で
きることは、分離工程を簡便に行うための大きな利点で
ある。夾雑物の極めて少ない分解物を効率よく得ること
ができるため、得られた液状炭化水素及びカーボンブラ
ックは、純度が高く再使用することが可能である。
【0021】本発明に用いられる水素供与性溶媒は、前
述したように、熱分解によって生じた炭素−炭素結合及
び炭素−硫黄結合からのラジカルに供給可能な水素を、
加熱により容易に放出することができる溶媒である。こ
のような物質であれば、本発明において使用することが
可能であり、例えば、一部の芳香環が水素添加されてい
る多環の芳香族炭化水素を含む溶媒及び、重合禁止剤の
ようなラジカル捕捉剤を含む溶媒等が挙げられる。特
に、前記水素添加されている多環の芳香族炭化水素を含
む溶媒は、石油・石炭から工業的に生産される製品に付
随して生成する物質に多く存在し、故に低コスト及び大
量で供給可能なことから、このような工業的副産物をそ
のまま用いて、ゴム廃棄物処理することができるため好
ましい。多環芳香族炭化水素を含む溶媒としては、石炭
の乾留でコークスを生成する際に副生するナフタレン
油、クレオソート油、アントラセン油等、石炭の液化で
得られる中質油等も使用できる。水素供与性溶媒として
は、ナフタレン油、クレオソート油、アントラセン油、
石油中質留分(沸点200〜424℃)等における芳香
環の一部を水素添加することによって得られ得る溶媒、
又は、テトラリン、太平洋炭液化油中質留分(石炭の水
添液化油、沸点250〜350℃、芳香族炭化水素含
量;40%程度)等の水素添加されている溶媒を使用す
ることができる。特に、芳香族炭化水素を多く含有する
石炭系溶媒が好ましい。これらを単独で用いても2種以
上を混合して用いてもよい。石油系溶媒であっても、芳
香族炭化水素の含有量が少なく、水素添加しても高反応
性の水素を多く放出することができないものは好ましく
ない。この他に、ジヒドロナフタレン、一部の芳香環を
水素添加したアントラセン、フェナントレン、フルオレ
ン、並びに脂肪族側鎖置換のナフタレン、アントラセ
ン、フェナントレン及びフルオレン等を用いることもで
きる。
【0022】上記水素供与性溶媒は、加硫ゴムに対し
て、好ましくは0.5:1〜5:1の重量比で用いられ
る。更に好ましくは、1:1〜3:1である。水素供与
性溶媒の量が加硫ゴムに対して0.5重量比未満では、
溶媒によって供給される水素原子が十分でないため、熱
分解物が再結合し、分離を効率よく行うことができず、
一方、5重量比を越えると、反応に関与しない溶媒成分
が多くなりすぎて熱効率が低下し好ましくない。
【0023】本発明における加熱分解に用いられる不活
性ガスは、熱分解反応に関与しないガスであり、例え
ば、水蒸気、窒素、二酸化炭素、アルゴン等が含まれ、
効果の観点から、窒素が最も好ましい。
【0024】本発明における加熱分解は、水素供与性を
有するという観点から、水素ガスの雰囲気下でも行うこ
とができるが、爆発性が高く危険であり、且つ設備にコ
ストがかかる等の理由から好ましくない。また、如何な
る場合においても、爆発の可能性があるために、酸素又
は空気の混入を避けることが必要である。
【0025】本発明における加熱分解は、380℃以
上、好ましくは380〜500℃、特に好ましくは40
0℃前後の温度で行われる。この温度が380℃未満で
は、加硫ゴムに含まれるカーボンブラックの凝集が強
く、このまま分離しても再使用することができない。3
80℃の温度を採用した場合には、電子顕微鏡による観
察によって、使用時のカーボンブラックに近い高次集合
構造であることが確認される。従って、この温度以上で
行うことが、再使用の観点から妥当であると考えられ
る。また、本発明では、この温度の上昇のみによって、
カーボンブラックの高次集合構造及び性状が影響される
ことは少ないが、コスト面から500℃程度にすること
が好ましい。
【0026】本発明における加熱分解の加圧条件は、特
に制限されないが、反応操作上及び反応速度を上げるた
めに室温初圧5〜30kgf/cm2 で行うことが好ま
しい。
【0027】本発明に用いられる加硫ゴムには、天然ゴ
ム及び合成ゴムのようなゴム成分に対して硫黄等によっ
て加硫が行われた加硫ゴムが該当し、加硫ゴムとして使
用済のものであっても、使用前のものであっても、本発
明によって同様の効果を得ることができる。加硫ゴムと
しては、使用済の加硫ゴム、即ち加硫ゴム廃棄物が資源
の有効利用や環境保全の観点から好ましい。このような
加硫ゴムには、共役ジエン重合体、共役ジエン−ビニル
芳香族炭化水素共重合体の加硫物が該当し、例えばブタ
ジエン−スチレンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴ
ム、ブタジエン−ニトリルゴム、天然ゴム及びその他の
ゴム組成物が挙げられる。このようなゴム組成物を用い
て得られた本発明に使用することができるゴム製品とし
ては、天然ゴムが主として使用されるトラックバス用タ
イヤ及び合成ゴムが主として用いられる乗用車用タイヤ
等のタイヤ、ベルト、ホース、シート、パッキング等の
加硫ゴム製品、並びに物品成型の際に生じる所謂スピュ
ーゴム等の屑ゴム等の加硫ゴムが包含される。これらの
加硫ゴムは、処理前に粉末化又は、反応容器に投入し得
る大きさの切片に断片化されて用いられることが好まし
い。
【0028】本発明によって、加硫ゴムは、ガス状生成
物、液体状生成物、固体状生成物等を生じ得る。ガス状
生成物は、気体であることを利用して収拾・回収するこ
とが可能である。液体状生成物及び固体状生成物の分離
方法には、例えば、ろ過法、蒸留法、遠心分離法、デカ
ンテーション法等を採用することができるが、簡便に実
施できるためろ過法で行うことが好ましい。
【0029】本発明の方法によって回収された物質に
は、液状炭化水素及びカーボンブラックが含有され、液
状炭化水素は、室温で液状の炭化水素を指し、主として
液体状生成物に含有され、カーボンブラックは、固体状
生成物に含有される。
【0030】液状炭化水素の存在及び種類は、例えばG
C−MS分析法によって確認することができる。カーボ
ンブラックの性状の確認は、通常の窒素吸着量、ヨウ素
吸着量、吸油量、電子顕微鏡による観察等によって行う
ことができるが、特に、カーボンブラックの高次集合構
造の確認には、少量の試料で実施することができる電子
顕微鏡観察が好ましい。
【0031】
【実施例】以下に実施例を挙げて、本発明を具体的に説
明する。
【0032】なお、部及び%は、特に断らない限り重量
換算である。得られた成分の分析には、GC−MS分析
を用いた。この場合、温度は100℃、昇温条件は3℃
/分の条件で、無極性カラムOV−1(商品名:スペル
コ社製)のカラムを用いて行った。
【0033】〔実施例1〕内容積200mlの小型電磁
攪拌式オートクレーブに、トラックバス用使用済タイヤ
から得た30メッシュの粉末ゴム(組成:有機物67.
5%、カーボンブラック27.5%、灰分5.0%)2
3g及びテトラリン57.5gを添加し、窒素ガス初圧
20kg/cm2 、反応温度440℃で、1時間反応さ
せた。
【0034】反応後、オートクレーブを冷却した後、ガ
ス生成物及びスラリー状生成物を得た。得られたガス生
成物は、炭酸ガス、メタン、エタン、プロパン、ブタン
等を含むことが確認された。その後、このスラリー状生
成物をろ過して、カーボンブラック7.12g及び液状
物質を得、更にこの液状物質を蒸留することによって、
テトラリン、トルエン、メチルシクロヘキサン、キシレ
ン、ジメチルシクロヘキサン等を成分とする液状炭化水
素(分解オイル)13.94gを得た。
【0035】得られたカーボンブラックは、電子顕微鏡
による形態観察の結果、ストラクチャ平均投影面積10
977nm2 及び高次集合構造を示し、原料として使用
したHAF級の形態を示していることが確認された。
【0036】また、液状炭化水素中に含まれる硫黄の含
有量は、電量滴定法によって0.4重量%程度であるこ
とが示された。なお、通常の熱分解においては、この方
法による硫黄の含有量は、1〜3%程度と知られている
(石油と石油化学、17巻9号(1973年)、35〜
39頁参照)。
【0037】次に、得られたカーボンブラック50重量
部を、合成スチレン−ブタジエン系ゴム(日本合成ゴム
製SBR1500))100重量部、亜鉛華3重量部、
ステアリン酸3重量部、加硫促進剤(DM:ジベンゾチ
アジルジサイファイド)1.8重量部、硫黄1.5重量
部、及び老化防止剤(RD:2,2,4−トリメチル−
1,2−ジヒドロキノリン重合物)1重量部と配合し
て、145℃で30分間加硫した。
【0038】得られた加硫物は、JIS K6301に
従った測定により、310kg/cm2 の破断時応力及
び640%の破断時伸びの各物理特性を示し、高い強度
を有することが確認され、本発明によって得られたカー
ボンブラックが、再使用可能であることが明らかとなっ
た。
【0039】〔実施例2〕実施例2は、粉末ゴムの代わ
りに約2cmに切断した実施例1と同一のトラックバス
用使用済タイヤを用いた以外は、実施例1と同様に行っ
た。その結果、ガス生成物0.4g、液状炭化水素(分
解オイル)14.16g、ストラクチャ平均投影面積8
400nm2 のカーボンブラック7.35gを得た。得
られた液状炭化水素の成分は実施例1と同一であった。
液状炭化水素に混入されていた硫黄の含量は、0.45
%であった。更に、得られたカーボンブラックを用い
て、実施例1と同様にして加硫を行い、得られた加硫物
の物性を評価した結果、実施例1とほぼ同一の値を示
し、本実施例のカーボンブラックが再使用可能であるこ
とが明らかとなった。
【0040】〔実施例3〕実施例3は、テトラリンの代
わりに太平洋炭液化油中質留分(沸点留分;250〜3
50℃)を用いた以外は、実施例1と同様に行った。そ
の結果、ガス生成物0.86g、液状炭化水素(分解オ
イル)13.34g、ストラクチャ平均投影面積950
0nm2 のカーボンブラック7.18gを得た。液状炭
化水素の成分は、ほぼ実施例1と同様であった。また、
液状炭化水素に混入されていた硫黄の含量は、0.43
%であった。更に、得られたカーボンブラックを用い
て、実施例1と同様にして加硫を行い、得られた加硫物
の物性を評価した結果、破断時応力は300kg/m2
及び破断時伸びは650%であり、本実施例のカーボン
ブラックが再使用可能であることが明らかとなった。
【0041】〔実施例4〕実施例4は、加熱条件を38
0℃に変えた以外は、実施例1と同様に行った。その結
果、ガス生成物0.17g、液状炭化水素(分解オイ
ル)14.4g、ストラクチャ平均投影面積8400n
2 のカーボンブラック7.11gを得た。液状炭化水
素の成分は、ほぼ実施例1と同様であった。また、液状
炭化水素に混入されていた硫黄の含量は0.48%であ
った。更に、得られたカーボンブラックを用いて、実施
例1と同様にして加硫を行い、得られた加硫物の物性を
評価した結果、破断時応力は290kg/m2 及び破断
時伸びは650%であり、本実施例のカーボンブラック
が再使用可能であることが明らかとなった。
【0042】〔実施例5〕実施例5は、テトラリン及び
タイヤの量を各々40gに変えた以外は、実施例1と同
様に行った。その結果、ガス生成物1.1g、液状炭化
水素(分解オイル)20.5g、ストラクチャ平均投影
面積9800nm2 のカーボンブラック14.0gを得
た。得られた液状炭化水素の成分は実施例1と同一であ
った。液状炭化水素に混入されていた硫黄の含量は、
0.5%であった。更に、得られたカーボンブラックを
用いて、実施例1と同様にして加硫を行い、得られた加
硫物の物性を評価した結果、実施例1とほぼ同一の値を
示し、本実施例のカーボンブラックが再使用可能である
ことが明らかとなった。
【0043】〔比較例1〕比較例1は、テトラリンの代
わりにLCO(light cycle oil)(沸点留分200〜4
24℃)を用いた以外は、実施例1と同様に行った。こ
のLCOは、脂肪族炭化水素含有量が約80%と高く、
芳香族炭化水素の含有量が少ない石油系溶媒である。そ
の結果、ガス生成物0.79g、液状炭化水素(分解オ
イル)9.61g、ストラクチャ平均投影面積9035
nm2 のカーボンブラック7.27g、高沸点の粘性オ
イル(再結合した高分子量物と未分解物との混合物)
3.74gが得られた。得られた液状炭化水素に含有さ
れる硫黄量は、0.53%であった。得られた粘性オイ
ルには、本来液状炭化水素として分離されるべき物質で
構成されており、粘性オイルが生成した量に比例して液
状炭化水素の生成量が減少した。従って、加硫ゴム廃棄
物を効率良く液状炭化水素とカーボンブラックとに分離
することができなかった。
【0044】〔比較例2〕比較例2は、加熱条件を35
0℃に変えた以外は、実施例1と同様に行った。その結
果、ガス生成物0.12g、液状炭化水素(分解オイ
ル)6.67g、ストラクチャ平均投影面積46955
nm2 のカーボンブラック7.33g、高沸点の粘性オ
イル7.47gが得られた。比較例1と同様に、効率よ
く液状炭化水素を得ることができなかった上に、得られ
たカーボンブラックのストラクチャ平均投影面積は大き
く、凝集状態にあると思われ、高次集合構造のカーボン
ブラックを得ることができなかった。このカーボンブラ
ックを用いて、実施例1と同様に加硫を行って検討した
結果、破断時応力は170kg/m2 及び破断時伸びは
750%であり、十分な物理特性及び強度の加硫物を得
ることができなかった。
【0045】
【発明の効果】本発明によれば、極めて硫黄の含有量が
低いために特別な脱硫工程を設けることなく化学原料等
として使用することができるような高純度の液状炭化水
素と、ゴム製品用補強材料等として使用することができ
るような高次集合構造のカーボンブラックとを、同時に
効率よく、簡便に製造することができる。また、各種、
工業的副産物の有効な利用方法を提供することができ
る。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 加硫ゴムを水素供与性溶媒の存在下で加
    熱分解することを特徴とする液状炭化水素及びカーボン
    ブラックの製造方法。
  2. 【請求項2】 前記加硫ゴムが加硫ゴム廃棄物であるこ
    とを特徴とする請求項1記載の液状炭化水素及びカーボ
    ンブラックの製造方法。
  3. 【請求項3】 前記水素供与性溶媒が、一部の環が水素
    添加されている多環の芳香族炭化水素を含む溶媒である
    ことを特徴とする請求項1記載の液状炭化水素及びカー
    ボンブラックの製造方法。
  4. 【請求項4】 前記水素供与性溶媒が、テトラリンと、
    一部の環が水素添加されているナフタレン油、クレオソ
    ート油若しくはアントラセン油と、石油系中質留分と、
    石炭液化油中質留分とからなる群より選択された少なく
    とも1つであることを特徴とする請求項1記載の液状炭
    化水素及びカーボンブラックの製造方法。
  5. 【請求項5】 前記水素供与性溶媒と前記加硫ゴムとの
    重量比が、0.5:1〜5:1であることを特徴とする
    請求項1記載の液状炭化水素及びカーボンブラックの製
    造方法。
  6. 【請求項6】 前記加熱分解が、380〜500℃で行
    われることを特徴とする請求項1記載の液状炭化水素及
    びカーボンブラックの製造方法。
  7. 【請求項7】 前記加熱分解が、不活性ガスの存在下で
    行われることを特徴とする請求項1記載の液状炭化水素
    及びカーボンブラックの製造方法。
JP10406994A 1994-05-18 1994-05-18 液状炭化水素及びカーボンブラックの製造方法 Expired - Lifetime JP3430245B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10406994A JP3430245B2 (ja) 1994-05-18 1994-05-18 液状炭化水素及びカーボンブラックの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10406994A JP3430245B2 (ja) 1994-05-18 1994-05-18 液状炭化水素及びカーボンブラックの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH07310076A true JPH07310076A (ja) 1995-11-28
JP3430245B2 JP3430245B2 (ja) 2003-07-28

Family

ID=14370880

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10406994A Expired - Lifetime JP3430245B2 (ja) 1994-05-18 1994-05-18 液状炭化水素及びカーボンブラックの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3430245B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002533196A (ja) * 1998-09-11 2002-10-08 オイ アルティメコ リミテッド 炭化水素を含む高分子材料の低温熱分解用触媒
KR20070106105A (ko) * 2006-04-28 2007-11-01 이홍재 고형탄화물을 이용한 나노크기의 카본블랙 제조방법
JP2012001700A (ja) * 2010-06-21 2012-01-05 Bridgestone Corp 炭化物及びその製造方法、並びにゴム組成物及びタイヤ
WO2023190647A1 (ja) * 2022-03-30 2023-10-05 株式会社カネカ ポリプロピレン系樹脂発泡粒子、ポリプロピレン系樹脂発泡成形体、およびポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002533196A (ja) * 1998-09-11 2002-10-08 オイ アルティメコ リミテッド 炭化水素を含む高分子材料の低温熱分解用触媒
JP4680384B2 (ja) * 1998-09-11 2011-05-11 オイ アルティメコ リミテッド 炭化水素を含む高分子材料の低温熱分解用触媒
KR20070106105A (ko) * 2006-04-28 2007-11-01 이홍재 고형탄화물을 이용한 나노크기의 카본블랙 제조방법
JP2012001700A (ja) * 2010-06-21 2012-01-05 Bridgestone Corp 炭化物及びその製造方法、並びにゴム組成物及びタイヤ
WO2023190647A1 (ja) * 2022-03-30 2023-10-05 株式会社カネカ ポリプロピレン系樹脂発泡粒子、ポリプロピレン系樹脂発泡成形体、およびポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP3430245B2 (ja) 2003-07-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4251500A (en) Process for hydrocracking a waste rubber
US6103808A (en) High aromatic oil and rubber composition and oil extended synthetic rubber using the same
Dubkov et al. Reclamation of waste tyre rubber with nitrous oxide
US6380269B1 (en) Surface devulcanization of cured rubber crumb
CA2116041C (en) Process for cracking waste rubber tires
Cardona et al. Possibilities of carbon black recovery from waste tyre pyrolysis to be used as additive in rubber goods-a review
JPS6040193A (ja) 液状炭化水素の製法
Liu et al. Devulcanizaiton of waste tread rubber in supercritical carbon dioxide: operating parameters and product characterization
US6992116B2 (en) Devulcanization of cured rubber
Qu et al. Pyrolysis of waste tire on ZSM-5 zeolite with enhanced catalytic activities
San Miguel et al. Thermal and catalytic conversion of used tyre rubber and its polymeric constituents using Py-GC/MS
US5158983A (en) Conversion of automotive tire scrap to useful oils
US6525105B1 (en) Methods of separating vulcanized or unvulcanized rubber and separating rubber composite, rubber composition containing recovered rubber or recovered carbon black, and process for producing carbon black
JP3430245B2 (ja) 液状炭化水素及びカーボンブラックの製造方法
US3772242A (en) Rubbers reinforced by scrap rubber char
Bouvier et al. Pyrolysis of rubber wastes in heavy oils and use of the products
Sathish et al. Factors influencing the pyrolysis products of waste tyres and its practical applications: a mini topical review
JP7236430B2 (ja) ゴム組成物製造方法
Ikeda Recycling of sulfur cross-linked natural rubber (NR) using supercritical carbon dioxide
JP2510067B2 (ja) 廃却ゴムタイヤの分解方法
RU2362795C1 (ru) Способ ожижения резин и резиносодержащих отходов
WO2023153378A1 (ja) 架橋ゴムの分解方法
WO2023153381A1 (ja) 架橋ゴムの分解方法
WO2023153377A1 (ja) 架橋ゴムの分解方法
MARKU Circular rubbers. From industrial wastes to rubber composites with low dissipation of energy

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080523

Year of fee payment: 5

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313117

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080523

Year of fee payment: 5

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

EXPY Cancellation because of completion of term