JPH0730999Y2 - 電磁結合装置の正逆励磁用電源装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、電磁クラツチや電磁ブレーキのごとき電磁連
結装置に正逆励磁用電流を供給するための電源装置に関
するものである。

［従来の技術］ 従来より、電磁クラッチや電磁ブレーキの如き電磁結合
装置においては、励磁用電流を供給するため開、閉接点
を有する切替スイッチを制御して連結、開放動作を行わ
せる。前記励磁用電流が半波整流回路、整流平滑回路、
全波整流回路などにより創出される直流電流の場合は、
一般に連結後、切替スイッチを切り替えて開放動作を行
わせると、直流電流であるため、インダクタンスにより
前記直流電流は暫減するので開放動作は遅くなるという
欠点がある。その連結態様を制御するために、この電磁
連結装置に正励磁用電流または逆励磁用電流を供給する
ための電源装置が接続されている。

かかる電源装置例を第２図に示す。すなわちこの電源装
置は、交流電源１と、変圧器２と、２つの全波整流回路
3,4とをそなえており、各全波整流回路3,4は、変圧器２
の相互に絶縁された２次巻線2A,2Bに接続されるととも
に、スイツチングトランジスタTr1,Tr2を介して電磁結
合装置としての電磁クラツチ・ブレーキ装置５に相互に
並列に接続されている。

なお、スイツチングトランジスタTr1,Tr2はそのベース
端子を通じ制御回路６からの信号を受けることにより一
方がオンのときは他方がオフとなるようになつている。

このような構成により、スイツチングトランジスタTr1
をオンにしスイツチングトランジスタTr2をオフにする
と、電磁クラツチ・ブレーキ装置５へは全波整流回路３
を通じ正励磁電流が供給される一方、スイツチングトラ
ンジスタTr1をオフにしスイツチングトランジスタTr2を
オンにすると、電磁クラツチ・ブレーキ装置５へは全波
整流回路４を通じて逆励磁電流が供給される。

［考案が解決しようとする問題点］ ところで、正逆励磁用の電源部（全波整流回路）3,4を
変圧器２で相互に絶縁するのは次の理由による。すなわ
ちもしこれらの２つの電源部3,4を第３図に示すように
変圧器２を介して絶縁しないで直接交流電源１を接続し
たとし、電磁クラツチ・ブレーキ装置５に正励磁電流を
流すべく、スイツチングトランジスタTr1をオンにし、
スイツチングトランジスタTr2をオフにしたとすると、
同図に矢印で示すように短絡回路が形成され、電源が短
絡されてしまうからである。これはスイツチングトラン
ジスタTr1をオフにしスイツチングトランジスタTr2をオ
ンにした場合も同様である。

すなわち、このような従来の電磁結合装置の正逆励磁用
電源装置では、電源短絡を防止するために、２つの電源
部を変圧器により絶縁しなければならないので、回路構
成が複雑になるほか、変圧器を設けることによるコスト
高や重量増を招くという問題点がある。

本考案はこのような問題点を解決するためになされたも
ので、正逆励磁用電源部を変圧器で絶縁しなくてもよい
ように回路を工夫して、回路構成の簡素化，コストの低
廉化および重量の軽量化をはかり、電磁結合装置の連結
後の開放動作を早める効果を奏する正逆励磁用電源装置
を提供することを目的とする。

［問題点を解決するための手段］ このため、本考案の電磁結合装置の正逆励磁用電源装置
は、電磁結合装置に切替スイツチを介して相互に極性の
異なる半波整流回路が並列に接続され、これらの半波整
流回路が共通の交流電源に接続されていることにより、
上記電源と上記電磁結合装置間の絶縁手段を不要とした
ことを特徴としている。

［作用］ 上述の本考案の電磁結合装置の正逆励磁用電源装置で
は、例えば電磁結合装置に正励磁用電流を供給する場合
は、切替スイツチを切り替えて一方の半波整流回路側か
ら電磁結合装置へ電流が供給されるようにする。これに
より共通の交流電源からの交流が一方の半波整流回路で
半波整流され電磁結合装置へ正励磁用電流として供給さ
れる。また電磁結合装置に逆励磁用電流を供給する場合
は、切替スイッチを切り替えて他方の、前記半波整流回
路とは相互に極性の異なる半波整流回路側から電磁結合
装置へ電流が供給されるようにする。これにより共通の
交流電源からの交流が他方の半波整流回路で半波整流さ
れ電磁結合装置へ逆励磁用電流として供給される。

［考案の実施例］ 以下、図示する実施例につき本考案を具体的に説明す
る。第１図は本考案の一実施例としての電磁結合装置の
正逆励磁用電源装置を示す電気回路図であり、この第１
図中、第2,3図と同じ符号は同様の部分を示す。

さて、本実施例も、電磁結合装置としての電磁クラツチ
・ブレーキ装置５に正逆励磁用電流を供給する電源装置
についてのものであるが、この実施例では、電磁クラツ
チ・ブレーキ装置５に切替スイツチとしてのスイツチン
グトランジスタTr1,Tr2を介して相互に極性の異なる半
波整流回路7,8が接続されている。そして、これらの半
波整流回路7,8は共通の交流電源１に接続されている。

なお、各半波整流回路7,8は２つの半波整流用ダイオー
ドD1,D2;D3,D4および平滑用コンデンサC1;C2をそなえて
構成されている。

また、各スイツチングトランジスタTr1,Tr2のベース端
子にはスイツチング用制御信号を出力する制御回路６が
接続されており、この制御回路６によつて一方のトラン
ジスタがオンのときは他方のトランジスタがオフとなる
ように制御される。

上述の構成により、スイツチングトランジスタTr1をオ
ンにしスイツチングトランジスタTr2をオフにすると、
交流電源１からの交流が一方の半波整流回路７で半波整
流されてこの半波整流回路７から実線矢印Ａ方向に正励
磁用電流が電磁クラツチ・ブレーキ装置５に供給され
る。このとき他方の半波整流回路８との間で短絡回路が
形成されることはない。一方スイツチングトランジスタ
Tr1をオフにしスイツチングトランジスタTr2をオンにす
ると、交流電源１からの交流が他方の半波整流回路８で
半波整流されてこの半波整流回路８から点線矢印Ｂ方向
に逆励磁用電流が電磁クラッチ・ブレーキ装置５に供給
され、このとき、正励磁電流を相殺する方向に逆励磁電
流が流れる。この場合も一方の半波整流回路７との間で
短絡回路が形成されることはない。

このようにして、従来のように電源部を変圧器によつて
絶縁しなくても、電磁クラツチ・ブレーキ装置５に正逆
励磁用電流を供給することができるので、回路構成の簡
素化，コストの低廉化および装置重量の軽量化をもたら
すことができる。

なお、半波整流方式では、全波整流方式に比べリツプル
の問題が生じるが、このリツプルをコンデンサC1,C2で
平滑化することが行われているので、上記のような問題
は生じない。

また、正逆励磁切替スイツチとしては、同時オンをしな
いというタイミングを考えれば、トランジスタに限ら
ず、その他の半導体スイツチやリレースイツチ等を使用
できることはいうまでもない。

［考案の効果］ 以上詳述したように、本考案の電磁結合装置の正逆励磁
用電源装置によれば、電磁結合装置に切替スイッチを介
して相互に極性の異なる半波整流回路が並列に接続さ
れ、これらの半波整流回路が共通の交流電源に接続され
ていることにより、上記電源と上記電磁結合装置間の絶
縁手段を不要としたので、電源回路を２回路より１回路
にすることができ、回路構成の簡素化、コストの低廉化
および装置の軽量化をもたらすことができる利点がある
上に、前記切替スイッチを切り替えると正励磁電流を相
殺する方向に逆励磁電流が流れるので、電磁結合装置の
開放動作を早める効果をも奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例としての電磁結合装置の正逆
励磁用電源装置を示す電気回路図であり、第２図は従来
の電磁結合装置の正逆励磁用電源装置を示す電気回路
図、第３図は従来の電磁結合装置の正逆励磁用電源装置
から変圧器を取り除いたものの電気回路図である。 図において、１…交流電源、５…電磁結合装置としての
電磁クラツチ・ブレーキ装置、６…制御装置、7,8…半
波整流回路、C1,C2…コンデンサ、D1〜D4…ダイオー
ド、Tr1,Tr2…切替スイツチを構成するスイツチングト
ランジスタ。 なお、図中、同一符号は同一、又は相当部分を示す。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】電磁結合装置に正逆励磁用電流を供給する
   電源装置において、上記電磁結合装置に切替スイッチを
   介して相互に極性の異なる半波整流回路が並列に接続さ
   れ、これらの半波整流回路が共通の交流電源に接続され
   ていることにより、上記電源と上記電磁結合装置間の絶
   縁手段を不要としたことを特徴とする、電磁結合装置の
   正逆励磁用電源装置。