JPH07309773A - アセチルコリン放出促進剤 - Google Patents

アセチルコリン放出促進剤

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JPH07309773A
JPH07309773A JP6124701A JP12470194A JPH07309773A JP H07309773 A JPH07309773 A JP H07309773A JP 6124701 A JP6124701 A JP 6124701A JP 12470194 A JP12470194 A JP 12470194A JP H07309773 A JPH07309773 A JP H07309773A
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Japan
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acetylcholine release
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chloroform
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JP6124701A
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English (en)
Inventor
Kazuyoshi Yazawa
一良 矢澤
Yasuji Muneda
靖二 宗田
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Sagami Chemical Research Institute
Nippon Shoji Co Ltd
Original Assignee
Sagami Chemical Research Institute
Nippon Shoji Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 老人性痴呆症治療薬等の中枢神経機能の改
善薬として期待される新規なアセチルコリン放出促進剤
の提供。 【構成】 下記一般式 【化1】 (式中、R1は炭素数12〜26の不飽和脂肪酸のアシ
ル残基を表わし、R2はドコサヘキサエン酸のアシル残
基を表わす。Yは−P(O)(O-)OCH2CH2+(C
3)3または−P(O)(OH)OCH2CH(NH2)COO
Hで示される基を表わす。)で表わされるジアシル型グ
リセロリン脂質又はその薬学上許容しうる塩を有効成分
とするアセチルコリン放出促進剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、老人性痴呆症治療薬等
の中枢神経機能の改善薬として期待される、特定の脂肪
酸よりなるジアシル型グリセロリン脂質を有効成分とす
るアセチルコリン放出促進剤に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、平均寿命の延長と共に、高齢者が
急激に増加し、高齢化社会としての様々な問題が生じて
いる。なかでも、老人性痴呆症の増加は大きな問題であ
る。老人性痴呆症は大別して、脳血管性痴呆とアルツハ
イマー型痴呆(SDAT)とに分けられる。アルツハイ
マー型痴呆は従来は、欧米諸国に比べて我が国での頻度
は低いとされていた。しかしながら、近年の成人病の疾
病構造の変化と共に、今後我が国でも急激な増加が予想
されており、その発症、進展の機構について精力的な研
究が進められている。SDATにおける1つの仮説は、
アセチルコリン作動系が異常をきたし、コリンアセチル
転移酵素活性が低下して脳内アセチルコリンが減少し、
記憶や知能に影響を及ぼしているというものである(中
村重信、医学のあゆみ,145, p. 291 (1988))。
【0003】また、ごく最近、老化による中枢神経機能
の低下との関連で、加齢に伴って、アセチルコリンの放
出能が低下することが見い出されている(安藤 進、神
経精神薬理、16巻、103頁(1994))。
【0004】このように、神経機能の障害にアセチルコ
リンの減少が関与していると考えられることから、アセ
チルコリンの放出促進剤がSDATを含めた痴呆症等の
中枢神経機能の低下の改善薬として期待される。従来、
アセチルコリン放出促進剤としては、4−アミノピリジ
ン等が知られているが、副作用、とくにけいれん発作を
起こす点で問題があった(Arzneim. -Forsch./Drug Re
s. 39(II), Nr. 7, 762(1989)、 European Journal of
Pharmacology, 178, 275 (1990))。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、副作用の問
題がなく、優れた放出促進作用を示す、新規なアセチル
コリン放出促進剤を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、アセチル
コリン放出能の活性化について種々検討したところ、特
定の脂肪酸を構成成分とするジアシル型グリセロリン脂
質が特に強いアセチルコリン放出活性化能を有すること
を見いだし、本発明を完成するに至った。
【0007】すなわち本発明は、下記一般式(1)
【化2】 (式中、R1は炭素数12〜26の不飽和脂肪酸のアシ
ル残基を表わし、R2はドコサヘキサエン酸のアシル残
基を表わす。Yは−P(O)(O-)OCH2CH2+(C
3)3または−P(O)(OH)OCH2CH(NH2)COO
Hで示される基を表わす。)で表わされるリン脂質又は
その薬学上許容しうる塩を有効成分とするジアシル型グ
リセロアセチルコリン放出促進剤に関する。
【0008】炭素数12〜26の不飽和脂肪酸のアシル
基としては、オレオイル基、エルカノイル基、リノロイ
ル基、リノレノイル基、アラキドノイル基、イコサペン
タエノイル基、ドコサヘキサエノイル基等を例示するこ
とができる。
【0009】薬学上許容しうる塩としては、ナトリウム
塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、アン
モニウム塩、リン酸塩、塩酸塩、硫酸塩、酢酸塩等を例
示することができるが、とくにナトリウム塩及びカリウ
ム塩が好ましい。
【0010】本発明においては、R1が炭素数12〜2
6の不飽和脂肪酸のアシル残基であることが高い放出活
性発現のために必須であるが、炭素数12〜26の不飽
和脂肪酸のアシル残基の中でも、オレオイル基または高
度不飽和脂肪酸のアシル残基、例えばドコサヘキサエノ
イル基が特に好適である。
【0011】また、上記一般式(1)で表わされるジア
シル型グリセロリン脂質のうち、Yが−P(O)(OH)O
CH2CH(NH2)COOHで示される基であるもの、す
なわちホスファチジルセリンが、一般に活性が高い点で
好適である。
【0012】上記一般式で表わされるジアシル型グリセ
ロリン脂質としては、例えば、 1-オレオイル-2-ドコサヘキサエノイルホスファチジ
ルコリン 1-オレオイル-2-ドコサヘキサエノイルホスファチジ
ルセリン 1-エルカノイル-2-ドコサヘキサエノイルホスファチ
ジルコリン 1-エルカノイル-2-ドコサヘキサエノイルホスファチ
ジルセリン 1-リノロイル-2-ドコサヘキサエノイルホスファチジ
ルコリン 1-リノロイル-2-ドコサヘキサエノイルホスファチジ
ルセリン 1-リノレノイル-2-ドコサヘキサエノイルホスファチ
ジルコリン 1-リノレノイル-2-ドコサヘキサエノイルホスファチ
ジルセリン 1-アラキドノイル-2-ドコサヘキサエノイルホスファ
チジルコリン 1-アラキドノイル-2-ドコサヘキサエノイルホスファ
チジルセリン 1-イコサペンタエノイル-2-ドコサヘキサエノイルホ
スファチジルコリン 1-イコサペンタエノイル-2-ドコサヘキサエノイルホ
スファチジルセリン 1,2-ジドコサヘキサエノイルホスファチジルコリン 1,2-ジドコサヘキサエノイルホスファチジルセリン などを具体例として挙げることができる。
【0013】なお、本発明のジアシル型グリセロリン脂
質は、大別して、ホスファチジルコリンとホスファチジ
ルセリンに分けられる。これらをそれぞれ一般式で表す
と、以下のようにも表すことができる。
【0014】
【化3】
【化4】
【0015】これらの化合物のうち、ホスファチジルコ
リンは特願昭52−89622号公報に記載された方法
により、またホスファチジルセリンは対応するホスファ
チジルコリンを、特願昭61−238793号公報に記
載の方法により塩基交換することにより製造される。
【0016】すなわち、グリセロホスホリルコリンを出
発原料として、化学合成により目的の脂肪酸を有する単
酸型1,2−ジアシル-ホスファチジルコリンを得、次
いでホスホリパーゼA2の酵素反応により、目的の脂肪
酸を有する1−アシルグリセロホスホリルコリンを得
る。さらに、1−アシルグリセロホスホリルコリンのエ
ステル化によりドコサヘキサエノイル基を2位に導入す
ることにより、本発明の1−アシル−2−ドコサヘキサ
エノイルホスファチジルコリンが得られる。次いでホス
ホリパーゼDの酵素反応により、1−アシル−2−ドコ
サヘキサエノイルホスファチジルセリンを得ることがで
きる。
【0017】本発明の活性化剤は、治療のために経口的
あるいは非経口的に投与することができる。経口投与剤
としては散剤、顆粒剤、カプセル剤、錠剤などの固形製
剤あるいはシロップ剤、エリキシル剤などの液状製剤と
することができる。また、非経口投与剤として注射剤、
直腸投与剤、皮膚外用剤、吸入剤とすることができる。
これらの製剤は活性成分に薬学的に認容である製造助剤
を加えることにより常法に従って製造される。更に公知
の技術により持続性製剤とすることも可能である。
【0018】経口投与用の固形製剤を製造するには、活
性成分と、賦形剤、例えば乳糖、デンプン、結晶セルロ
ース、乳糖カルシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシ
ウム、無水ケイ酸などとを混合して散剤とするか、さら
に必要に応じて白糖、ヒドロキシプロピルセルロース、
ポリビニルピロリドンなどの結合剤、カルボキシメチル
セルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウムな
どの崩壊剤などを加えて湿式又は乾式造粒して顆粒剤と
する。錠剤を製造するにはこれらの散剤及び顆粒剤をそ
のままあるいはステアリン酸マグネシウム、タルクなど
の滑沢剤加えて打錠すればよい。これらの顆粒又は錠剤
はヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、メ
タアクリル酸、メタアクリル酸メチルコポリマーなどの
腸溶性基剤で被覆して腸溶性製剤、あるいはエチルセル
ロース、カルナウバロウ、硬化油などで被覆して持続性
製剤とすることもできる。また、カプセル剤を製造する
には散剤又は顆粒剤を硬カプセルに充填するか、活性成
分をグリセリン、ポリエチレングリコール、ゴマ油、オ
リーブ油などに溶解したのちゼラチン膜で被覆し軟カプ
セル剤とすることができる。
【0019】経口投与用の液状製剤を製造するには活性
成分と白糖、ソルビトール、グリセリンなどの甘味剤と
を水に溶解して透明なシロップ剤、更に精油、エタノー
ルなどを加えてエリキシル剤とするか、アラビアゴム、
トラガント、ポリソルベート80、カルボキシメチルセ
ルロースナトリウムなどを加えて乳剤又は懸濁剤として
もよい。これらの液状製剤には所望により矯味剤、着色
剤、保存剤などを加えてもよい。
【0020】注射剤を製造するには活性成分を必要に応
じ塩酸、水酸化ナトリウム、乳剤、乳酸ナトリウム、リ
ン酸一水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウムなどの
pH調整剤、塩化ナトリウム、ブドウ糖などの等張化剤
とともに注射用蒸留水に溶解し、無菌濾過してアンプル
に充填するか、更にマンニトール、デキストリン、シク
ロデキストリン、ゼラチンなどを加えて真空下凍結乾燥
し、用時溶解型の注射剤としてもよいし、活性成分にレ
シチン、ポリソルベート80、ポリオキシエチレン硬化
ヒマシ油などを加えて水中で乳化せしめ注射用乳剤とす
ることもできる。
【0021】直腸投与剤を製造するには活性成分及びカ
カオ脂、脂肪酸のトリ、ジ及びモノグリセリド、ポリエ
チレングリコールなどの坐剤用基剤とを加湿して溶融し
型に流しこんで冷却するか、活性成分をポリエチレング
リコール、大豆油などに溶解したのちゼラチン膜で被覆
すればよい。
【0022】皮膚外用剤を製造するには活性成分を白色
ワセリン、ミツロウ、流動パラフィン、ポリエチレング
リコールなどに加えて必要ならば加湿して練合し軟膏剤
とするか、ロジン、アクリル酸アルキルエステル重合体
などの粘着剤と練合したのちポリエチレンなどの不織布
に展延してテープ剤とする。
【0023】吸入剤を製造するには活性成分をフロンガ
スなどの噴射剤に溶解又は分散して耐圧容器に充填しエ
アゾール剤とする。
【0024】上記構成を有する本発明のアセチルコリン
放出促進剤は、公知の製造法、例えば日本薬局方第10
版製剤総則記載の方法ないし適当な改良を加えた方法に
よって製造することができる。
【0025】本発明の活性化剤の投与量は、ホスファチ
ジルセリンまたはその薬学上許容しうる塩の重量とし
て、患者の年齢、体重及び病態によって異なるが、通常
1日約1mg〜1000mgであり、1乃至数回に分けて
投与することが望ましい。
【0026】本発明のアセチルコリン放出促進剤は、と
くに老人、痴呆症患者などに投与することにより、中枢
神経機能の改善のために有用である。
【0027】
【実施例】以下、本発明を実施例及び試験例により詳細
に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例、試験例
に限定されるものではない。
【0028】製造例1. 1-ステアロイル-2-ドコサ
ヘキサエノイルホスファチジルコリン(比較化合物)の
合成 ドコサヘキサエン酸(95%)2.97g(9mmo
l)とN,N’−カルボニルジイミダゾール1.75g
(10.8mmol)を無水テトラヒドロフランに溶解
し、窒素気流下室温で約1時間反応させた。ついで、こ
の反応液に1−ステアロイル−L−3−グリセロホスホ
リルコリン1.63g(3mmol)を加え、さらに触
媒として、水素化ナトリウム(40%)400mgとイ
ミダゾール1gとを乾燥ジメチルスルホキシド(以下、
DMSOと略す)10ml中で約1時間反応させて調製
したイミダゾールナトリウム−DMSO溶液(2.7m
l)及び無水ピリジン1.5mlを加えた後、室温にて
3時間反応させた。終了後、反応液を1N塩酸−メタノ
ールで中和し、クロロホルム−メタノール(2:1)3
00ml、水60mlを加えて分液ロートで分液し、下
層を分取して減圧濃縮した。濃縮液は、クロロホルム−
メタノール−水(65:25:4)100ml,エタノ
ール100ml,アンバーライトMB−3型樹脂40m
lを加えて処理後、樹脂をろ別し、得られたろ液を減圧
濃縮した。この濃縮物を少量のクロロホルムに溶解し、
あらかじめクロロホルムで活性化したシリカゲル(10
0g)カラムにかけ、クロロホルム−メタノール(9:
1)600ml,クロロホルム−メタノール−水(6
5:25:4)1000mlで順次溶出させた。得られ
た溶出分画からTLC分析を指標として目的画分を集
め、目的物1.71g(67%)を得た。
【0029】本物質は、TLC分析(シリカゲルプレー
ト、展開溶媒:クロロホルム−メタノール−水(65:
25:4))を行ったところ、沃素及びリンモリブデン
酸による検出で単一のスポットを与え、そのRf値は市
販のジステアロイル−L−α−グリセロホスホリルコリ
ン(シグマ製)とほぼ一致した。1 H-NMR(CDCl3):δ(ppm) 0.86 (3H), 0.99 (3H), 1.2
7 (30H), 2.07 (2H), 2.20 (2H), 2.36 (4H), 2.84 (10
H), 3.37 (9H), 3.81 (2H), 3.97 (2H), 4.13 (1H), 4.
33 (2H), 4.40 (1H), 5.20 (1H), 5.38 (12H).
【0030】その他の脂肪酸のアシル残基を有するホス
ファチジルコリンも上記と同様にして合成できる。
【0031】1-オレオイル-2-ドコサヘキサエノイル
ホスファチジルコリン1 H-NMR(CDCl3):δ(ppm) 0.87 (3H), 0.99 (3H), 1.2
7 (20H), 1.60 (2H), 2.00 (4H), 2.07 (2H), 2.27 (2
H), 2.36 (4H), 2.84 (10H), 3.37 (9H), 3.81 (2H),
3.97 (2H), 4.13 (1H), 4.33 (2H), 4.40 (1H), 5.20
(1H), 5.37 (14H).
【0032】製造例2. 1,2-ジドコサヘキサエノ
イルホスファチジルコリンの合成 グリセロホスホリルコリン1.27g(4.6mmo
l)に乾燥DMSO6mlを加え、50〜60℃で攪拌
して懸濁させたのち室温に戻す。一方、ドコサヘキサエ
ン酸(95%)4.50g(13.7mmol)とN,
N’−カルボニルジイミダゾール2.70g(16.6
mmol)を無水テトラヒドロフラン16mlに溶解
し、窒素気流下室温で約1時間反応させた。ついで、こ
の反応液に触媒として、水素化ナトリウム(40%)4
00mgとイミダゾール1gとを乾燥DMSO10ml
中で約1時間反応させて調製したイミダゾールナトリウ
ム−DMSO溶液(4.6ml)及び無水ピリジン2m
lを加えた後、室温にて20時間反応させた。終了後、
反応液を1N塩酸−メタノールで中和し、クロロホルム
−メタノール(2:1)300ml、水60mlを加え
て分液ロートで分液し、下層を分取して減圧濃縮した。
濃縮液は、クロロホルム−メタノール−水(65:2
5:4)50ml,エタノール50ml,アンバーライ
トMB−3型樹脂20mlを加えて処理後、樹脂をろ別
し、得られたろ液を減圧濃縮した。この濃縮物を少量の
クロロホルムに溶解し、あらかじめクロロホルムで活性
化したシリカゲル(90g)カラムにかけ、クロロホル
ム−メタノール(9:1)900ml,クロロホルム−
メタノール−水(65:25:4)1000mlで順次
溶出させた。得られた溶出分画からTLC分析を指標と
して目的画分を集め、目的物2.7g(66%)を得
た。
【0033】本物質は、TLC分析(シリカゲルプレー
ト、展開溶媒:クロロホルム−メタノール−水(65:
25:4))を行ったところ、沃素及びリンモリブデン
酸による検出で単一のスポットを与え、そのRf値は市
販のジオレオイル−L−α−グリセロホスホリルコリン
(フナコシ製)とほぼ一致した。(スペクトル デー
タ)
【0034】製造例3. 1−ステアロイル−2−ドコ
サヘキサエノイルホスファチジルセリン(比較化合物)
の合成 L−セリン8.4g(80mmol)を0.1MCaC
2を含む0.1M酢酸緩衝液20ml(pH5.6)
に溶解後、ホスホリパーゼD(186単位/mg,東洋
醸造製)10mgを加えた。ついで、製造例1で得られ
た1−ステアロイル−2−ドコサヘキサエノイルホスフ
ァチジルコリン1.77g(2mmol)をクロロホル
ム50mlに溶解したものを加え、30℃にて約4時間
反応させた。終了後、反応液に、2N塩酸20ml,ク
ロロホルム190ml,メタノール120ml、水20
mlを加え、分液ロートで分液し、下層を分取して減圧
濃縮した。得られた濃縮液にクロロホルム−メタノール
−0.1N塩酸(2:1:0.2)250mlを加えて
分液し、下層を分取して減圧濃縮した。この濃縮物を少
量のクロロホルム−メタノール−酢酸(80:20:
3.5)に溶解し、あらかじめ同じ溶媒系で活性化した
シリカゲル(170g)カラムにかけ、同じ溶媒系で溶
出させた。得られた溶出分画からTLC分析を指標とし
て目的画分を集め、目的物1.27g(68%)を得
た。ついで、このものをクロロホルム−メタノール
(2:1)50mlに溶解し、0.1M炭酸水素カリウ
ム溶液28mlを加えて室温で30分間攪拌した。終了
後、クロロホルムーメタノール(2:1)130mlを
加えて分液し、下層を集め、乾固するまで減圧濃縮し
た。乾固物をクロロホルムに溶解し、アセトンから再結
晶して白色結晶1.14g(63%)を得た。
【0035】本物質は、TLC分析(シリカゲルプレー
ト、展開溶媒:クロロホルム−メタノール−酢酸(8
0:20:3.5))を行ったところ、沃素及びリンモ
リブデン酸、ニンヒドリン試薬による検出で単一のスポ
ットを与え、そのRf値は市販の牛脳ホスファチジルセ
リン(フナコシ製)とほぼ一致した。1 H-NMR(CDCl3)(脂肪酸プロトンのみ):δ(ppm) 0.8
6 (3H), 0.98 (3H), 1.26 (30H), 2.07 (2H), 2.20 (2
H), 2.35 (4H), 2.82 (10H), 5.35 (12H).
【0036】その他の脂肪酸のアシル残基を有するホス
ファチジルセリンも上記と同様にして合成できる。
【0037】1−オレオイル−2−ドコサヘキサエノイ
ルホスファチジルセリン1 H-NMR(CDCl3)(脂肪酸プロトンのみ):δ(ppm) 0.8
7 (3H), 0.98 (3H), 1.26 (20H), 1.60 (2H), 1.99 (4
H), 2.06 (2H), 2.35 (6H), 2.82 (10H), 5.35 (14H).
【0038】製造例4. 1,2−ジドコサヘキサエノ
イルホスファチジルセリンの合成 L−セリン3.15g(30mmol)を0.1MCa
Cl2を含む0.1M酢酸緩衝液7.5ml(pH5.
6)に溶解後、ホスホリパーゼD(108単位/mg,
旭化成製)4mgを加えた。ついで、製造例2で得られ
た1,2−ドコサヘキサエノイルホスファチジルコリン
0.782g(87mmol)をクロロホルム20ml
に溶解したものを加え、室温にて約3.5時間反応させ
た。終了後、反応液に、2N塩酸7.5ml,クロロホ
ルム60ml,メタノール30ml、水15mlを加
え、分液ロートで分液し、下層を分取して減圧濃縮し
た。さらに、得られた濃縮液にクロロホルム−メタノー
ル−0.1N塩酸(2:1:0.2)100mlを加え
て分液し、下層を分取して減圧濃縮した。この濃縮物を
少量のクロロホルム−メタノール−酢酸(80:20:
3.5)に溶解し、あらかじめ同じ溶媒系で活性化した
シリカゲル(90g)カラムにかけ、同じ溶媒系で溶出
させた。得られた溶出分画からTLC分析を指標として
目的画分を集め、目的物460mg(54%)を得た。
ついで、このものをクロロホルム−メタノール(2:
1)20mlに溶解し、0.1M炭酸水素カリウム溶液
11mlを加えて室温で30分間攪拌した。終了後、ク
ロロホルムーメタノール(2:1)40mlを加えて分
液し、下層を集め、乾固するまで減圧濃縮した。乾固物
をクロロホルムに溶解し、エタノールで沈殿させ、無色
粘稠物439mg(53%)を得た。
【0039】本物質は、TLC分析(シリカゲルプレー
ト、展開溶媒:クロロホルム−メタノール−酢酸(8
0:20:3.5))を行ったところ、沃素及びリンモ
リブデン酸、ニンヒドリン試薬による検出で単一のスポ
ットを与え、そのRf値は市販の牛脳ホスファチジルセ
リン(フナコシ製)とほぼ一致した。1 H-NMR(CDCl3)(脂肪酸プロトンのみ):δ(ppm) 0.9
6 (6H), 2.06 (4H), 2.35 (8H), 2.82 (20H), 5.35 (24
H).
【0040】試験例1 〔シナプトソームの調製〕雌性C57BL/6マウスの
大脳皮質部より、Ficoll密度勾配遠心法(Boo
th, R. F. G. とClark, J. B., Bioc
hem. J. 176, 365 (1978))によりシ
ナプトソームを調製した。 〔シナプトソームへのジアシル型グリセロリン脂質の取
り込み〕ホスファチジルコリンあるいはホスファチジル
セリンを懸濁したKrebs−Ringer液にシナプ
トソームを加え、37℃でインキュベートした。30分
ないし60分後に5倍量の氷冷したKrebs−Rin
ger液を加え反応を停止した。遠心後、シナプトソー
ムを再びKrebs−Ringer液に懸濁し試料とし
た。 〔アセチルコリン放出量の測定〕シナプトソーム懸濁液
(100μL)に137mM 塩化カリウムを含むKr
ebs−Ringer液を50μL加え、反応液のカリ
ウム濃度を50mMに調整した。37℃で5分間インキ
ュベートした後、直ちに氷冷し反応を停止した。内部標
準物質のエチルホモコリンを既知量加えた後に遠心し、
その上清を高速液体クロマトグラフに導入した。放出さ
れたアセチルコリン量の高感度定量は固定化酵素カラム
を接続した電気化学検出器付の高速液体クロマトグラフ
ィー(HPLC−ECDシステム、BAS社製)で行っ
た。結果を表1及び表2に示す。なお、ホスファチジル
コリン又はホスファチジルセリンを添加しない場合をコ
ントロールとした。
【0041】
【表1】 表1. 本発明のホスファチジルコリンによる放出促進結果 ───────────────────────────── 1位置換基(R1) ステアロイル オレオイル ト゛コサヘキサエノイル ───────────────────────────── アセチルコリン 放出の増加(%)1) -1.0 15.5 4.8 ─────────────────────────────1) コントロールにおける放出量に対する増加を百分率で
表わす。
【0042】
【表2】 表2. 本発明のホスファチジルセリンによる放出促進結果 ───────────────────────────── 1位置換基(R1) ステアロイル オレオイル ト゛コサヘキサエノイル ───────────────────────────── アセチルコリン 放出の増加(%)1) 10.5 15.6 18.2 ─────────────────────────────1) コントロールにおける放出量に対する増加を百分率で
表わす。
【0043】
【発明の効果】本発明のアセチルコリン放出促進剤は、
強いアセチルコリン放出促進活性を有する。したがっ
て、本発明のアセチルコリン放出促進剤は、老人性痴呆
症、記憶障害等等の中枢神経機能低下の治療薬および改
善薬として期待される。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1) 【化1】 (式中、R1は炭素数12〜26の不飽和脂肪酸のアシ
    ル残基を表わし、R2はドコサヘキサエン酸のアシル残
    基を表わす。Yは−P(O)(O-)OCH2CH2+(C
    3)3または−P(O)(OH)OCH2CH(NH2)COO
    Hで示される基を表わす。)で表わされるジアシル型グ
    リセロリン脂質又はその薬学上許容しうる塩を有効成分
    とするアセチルコリン放出促進剤。
  2. 【請求項2】 Yが−P(O)(OH)OCH2CH(NH2)
    COOHで示される基である請求項1または請求項2記
    載のアセチルコリン放出促進剤。
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