JPH07309684A - コンクリートの電気化学的処理方法 - Google Patents

コンクリートの電気化学的処理方法

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JPH07309684A
JPH07309684A JP9860894A JP9860894A JPH07309684A JP H07309684 A JPH07309684 A JP H07309684A JP 9860894 A JP9860894 A JP 9860894A JP 9860894 A JP9860894 A JP 9860894A JP H07309684 A JPH07309684 A JP H07309684A
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与司人 原
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 コンクリートの電気化学的処理方法、特に、
コンクリート中の塩分を電気化学的に除去する方法や中
性化したコンクリートを電気化学的にアルカリ化する方
法を提供すること。 【構成】 コンクリート表面に電解質溶液を放出するノ
ズルを設置し、電解質溶液を放出して、又は、放出しな
がら、該ノズル又は該ノズルの近傍に設置した外部電極
間及び/又は該外部電極とコンクリート内部の鋼材であ
る内部電極間に電圧をかけ、電流を流すことを特徴とす
るコンクリートの電気化学的処理方法を構成とする。 【効果】 本発明の方法を用いることにより、コンクリ
ートの電気化学的処理を行う場合、コンクリート表面を
傷つけることなく作業を行えること、さらに、複雑な形
状をしたコンクリート構造物に対応できること、一定周
期の監視業務が不要であること等の効果を奏することが
できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、コンクリートの電気化
学的処理方法、特に、コンクリート中の塩分を電気化学
的に除去する方法や中性化したコンクリートを電気化学
的にアルカリ化する方法に関する。
【0002】
【従来の技術とその課題】コンクリートは、一般には、
種々の環境に対する抵抗力が強く、また、強アルカリ性
であるので、その内部にある鋼材は、その表面に不動態
被膜を形成して腐食から保護され、そのために、コンク
リート構造物は耐久性のある永久構造物であると考えら
れてきた。しかしながら、この永久構造物と考えられて
きたコンクリート構造物も、中性化や塩害などの原因に
よりその耐久性が低下し、構造物としての耐久性に疑問
がなげかけられるようなってきた。
【0003】このような劣化したコンクリート構造物を
補修する方法として電気を用いた補修工法が提案された
(特開平1-176287号公報、特開平2-302384号公報など)。
これらの方法は、コンクリートの表面に電解質溶液とセ
ルロースファイバーからなる付着性塗布材料を一時的に
被覆し、この被覆した付着性塗布材料に電極を埋設0
て、コンクリートの内部鉄筋とこの電極の間に直流電流
を流すことによって、コンクリート内部から電極に向か
って塩化物イオンを泳動してコンクリートから塩化物を
除去する方法、コンクリートから塩化物を除去した後、
前記電極と付着性塗布材料を取り除きコンクリートを修
復する、また、セルロースファイバーからなる付着性塗
布材料とアルカリ溶液をコンクリート表面に付着し、こ
のアルカリ溶液を電気浸透を利用してコンクリート内部
へ浸透させ、コンクリートの中性化を回復させる方法、
さらには、容器を用いて電解質溶液を保持する方法等で
ある。
【0004】しかしながら、これらの方法では、コンク
リート表面に、電極や被覆した付着性塗布材料の脱落を
防止するための固定用アンカーの孔をあける作業や、工
法終了後の孔埋めもどし作業が必要であり、作業効率を
低下するとともに、健全化したコンクリートには孔の補
修跡が残るなどの課題があった。
【0005】また、複雑な形状をしたコンクリート構造
物に対しては、その形状にあわせた電解質溶液を保持す
る容器の作成が必要であり、かつ、電極は一度きりの使
用で破棄してしまうことが多々あった。さらに、被覆し
た付着性塗布材料や該容器がコンクリート面より脱落し
てしまう可能性があり、一定周期の監視業務を必須とす
るなど施工中の管理面の課題があった。
【0006】本発明者は、前記課題を解決すべく種々検
討を重ねた結果、特定の方法を採用することにより、前
記課題を解消し、コンクリート構造物の電気化学的処理
が迅速に、しかも、低コストで行い得る知見を得て本発
明を完成するに至った。
【0007】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、コンク
リート表面に電解質溶液を放出するノズルを設置し、電
解質溶液を放出して、又は、放出しながら、該ノズル又
は該ノズルの近傍に設置した外部電極間及び/又は該外
部電極とコンクリート内部の鋼材である内部電極間に電
圧をかけ、電流を流すことを特徴とするコンクリートの
電気化学的処理方法である。
【0008】以下、本発明を詳細に説明する。
【0009】硬化したコンクリートの内部には、飽和状
態の水酸化カルシウム水溶液が間隙水として十分に存在
している。そのため、コンクリートに電圧をかけると、
この間隙水が電解質溶液の役割をして、コンクリート自
身が持つ抵抗に応じた電流が流れる。この際、このコン
クリート表面に電解質溶液を供給して、電流が流れやす
くすることがコンクリートの電気化学的処理上好まし
い。
【0010】本発明は、コンクリート表面に設置した外
部電極間及び/又は外部電極とコンクリート内部の鋼材
である内部電極間に電流を流し、コンクリートの電気化
学的処理を行うことにより、コンクリートの改質を行う
ものである。
【0011】本発明で、外部電極としては、ノズル又は
ノズルの近傍に設置した導電材料を使用する。
【0012】ここで、ノズル近傍とは、ノズルに接続さ
れた配管や、ノズルから放出される電解質溶液の流路
で、ノズルに近接する個所をいう。
【0013】本発明では、コンクリート表面に電解質溶
液を放出するノズルを設置する。ノズルは、コンクリー
ト表面に電解質溶液を放出するとともに、電極として電
気を供給することができるものである。また、ノズル
は、コンクリート表面に接触して、あるいは、コンクリ
ート表面と若干の隙間をあけて設置する。コンクリート
表面に固定する必要はないが、コンクリートに接触する
か、電解質溶液を介して、電気的にコンクリート表面と
接続していることが必要である。
【0014】本発明に用いるノズルの材質としては、ノ
ズル自身を電極として使用する場合は、鉄や銅、さらに
は、白金、チタン、及びチタン合金等の耐腐食性材料、
並びに、白金、チタン、及びチタン合金等がメッキされ
た耐腐食性材料等が使用でき、流す電流値を大きくでき
る面や耐用期間が長い面から、耐腐食性材料の使用が好
ましい。また、ノズル近傍に外部電極を設置し、ノズル
自身を電極として利用しない場合のノズルの材質として
は、前記の材料の他、木材、プラスチック、及びゴム類
等、電解質溶液を供給するのに支障のないものであれ
ば、特に限定されるものではない。そのうち、特に、耐
腐食性材料の使用が好ましい。
【0015】ノズルの形状としては、円筒状、円錐状、
及び箱型など、平面や球面を用いたもので、電解質溶液
を供給するための管路や孔等を有するものであれば、特
に限定されるものではない。ノズルの大きさは、電解質
溶液が放出できればよく、特に限定されるものではな
い。ノズルは、コンクリート表面に、電解質溶液を放出
するため、電解質溶液のタンク等と、ホースや配管など
で連結している。また、電解質溶液を放出する際のノズ
ルは、コンクリート表面に電解質溶液が放出できればよ
く、コンクリートに固定されていてもよく、電解質溶液
の散布を良くするため、ノズルを、手や電動機などで、
可動することも可能である。ノズルは1つを用いること
も可能であるが、コンクリートの電気化学的処理面積を
広くする意味から、2つ以上用いることが好ましい。
【0016】ノズルで電解質溶液を放出する際の圧力
は、電解質溶液が流動できれば、特に限定されるもので
はなく、通常、0〜5kg/cm2程度が用いられる。
【0017】本発明で使用する電解質溶液としては、導
電性がある溶液であれば、特に限定されるものではな
い。具体的には、水酸化カルシウム溶液、炭酸ナトリウ
ム溶液、及び硬水等の一種又は二種以上の使用が可能で
ある。そして、コンクリート表面に放出した電解質溶液
は、電気化学的処理を行うコンクリートが壁面の場合、
壁面下部に設置された樋等によって回収し、再び放出用
の電解質溶液として再使用することが好ましい。
【0018】ノズル近傍に設置する外部電極の材質とし
ては、導電性であれば、特に限定されるものではない。
外部電極の形状は、線状や面状など電流を流すのに十分
な断面積を有するものであれば、特に限定されるもので
はない。
【0019】コンクリートに流す電流値は、電流を流す
コンクリートの状態や、コンクリート中の鉄筋の量など
により、一義的に限定されるものではないが、コンクリ
ート表面積1m2当たり0.01〜5Aが好ましく、0.5〜2
A程度がより好ましい。
【0020】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいてさらに説明
するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0021】実施例1 高さ1×幅1×厚さ0.3mの鉄筋コンクリートの壁を用
い、L字状に配置し、シリコン樹脂で各々の隙間を埋め
てコンクリートの電気化学的処理を行った。この壁のコ
ンクリートは、海砂を骨材として使用しているために、
コンクリート1m3中に4Kgの塩分を含有し、コンクリー
ト内部の鉄筋が腐食していた。図1や図2に示すよう
に、リード線取り付け用の突起をあらかじめ加工処理し
て圧着端子で赤色被覆のリード線を取り付けた、チタン
メッキした円筒状のノズル10個を、支持棒に固定して外
部電極とし、コンクリート内部の鉄筋に、白色被覆のリ
ード線を取り付け内部電極とした。このリード線をAC
/DCコンバーターである、日本スタビライザー工業社
製直流定電流電源装置「MCR-29-250」のプラス端子に赤色
被覆のリード線を、また、マイナス端子に白色被覆のリ
ード線を接続して直流電圧をかけた。その後、電解質槽
の電解質溶液である水酸化カルシウム溶液を、ポンプを
駆動し、ノズル先端より放出し、電気的な結合を絶たな
いよう、即ち、電流が断続しないように溶液量を調節し
た。この状態で、AC/DCコンバーターのスイッチを
入れ、定電流設定ツマミを回転して、1A/m2の電流を
流した。この一連の作業で、コンクリート表面に、孔空
け等の加工を一切ほどこしておらず、通電終了後のノズ
ルの撤去も容易であった。また、翌日、同様な試験を開
始すべくノズルの取り付けから行ったが、何ら問題なく
同様の試験を行うことができた。次に、1A/m2の電流
を4週間流し、その後コンクリート中の塩分を測定した
所、コンクリート1m3中4Kgあった塩分量が、1m3中1
Kgまで減少したことが確認できた。
【0022】比較例1 実施例1と同様にコンクリート壁をセットし、図3や図
4に示すように、コンクリート表面にドリルでアンカー
孔を空け、その孔に木枠を入れてコンクリートに固定
し、その木枠にチタンメッシュを取り付けて外部電極と
した。さらに、セルロースファイバーを吹き付け、電解
質溶液として水酸化カルシウム溶液を供給して、実施例
1と同様に通電した。通電終了後、外部電極等を撤去し
たが、コンクリート表面には、木枠をコンクリートに固
定するための孔の跡が残った。また、コンクリートの通
電により、電気化学的処理の効果は認められたものの、
翌日、撤去した電極を再度取り付けようとしたが、付着
したファイバーを落とすことに時間がかかり、かつ、外
部電極は変形してしまったため、再通電は不可能であっ
た。
【0023】実施例2 建造後60年の老朽化したビルで電気化学的処理の1つで
ある中性化回復試験を行った。このビルの壁面のコンク
リートは、フェノールフタレインを用いたアルカリ度試
験の結果、コンクリート表面から30mmの深さまで、赤色
化反応を示さず、コンクリートが中性化され、内部鉄筋
が腐食しやすい環境に置かれていた。図5や図6に示す
ように、ノズルとして、ジョウロの先端部を利用し、ノ
ズルの先端に、チタン線を取り付け外部電極とし、配管
としてゴムチューブを用い、電解質溶液槽に接続し、ゴ
ムチューブに接続したポンプを駆動し、ノズル先端より
電解質溶液として炭酸ナトリウム溶液を放出したこと以
外は実施例1と同様に通電した。この一連の作業で、コ
ンクリート表面には、孔空け等の加工は、一切ほどこし
ておらず、通電終了後、ノズルも容易に撤去できた。ま
た、同様な試験を開始すべくノズルの取り付けから行っ
たが、何ら問題なく同様の試験を行うことができた。次
に、ノズルを支持棒に固定し、1A/m2の電流を2週間
流し、その後コンクリート中のアルカリ度を測定した
所、フェノールフタレインを用いたアルカリ度試験の結
果、コンクリート表面から30mmの深さまで赤色化反応が
起こり、中性化したコンクリート部分がアルカリ化した
ことが確認できた。
【0024】比較例2 実施例2で使用したコンクリート壁のコンクリート表面
に、ドリルでアンカー孔を空け、幅1×高さ2×深さ0.
02mで、内部に、外部電極としてチタンメッシュを配置
した箱形容器の開口部を、コンクリート表面に接するよ
うにパッキンを用いて固定し、その箱形容器に電解質溶
液として炭酸ナトリウム溶液を充満した。実施例2と同
様に、コンクリートに通電したところ、電気化学的処理
の効果は認められたものの、通電後11日目に容器固定部
に緩みが生じ、パッキン部分より炭酸ナトリウム溶液が
漏れ、通電を停止せざるを得なくなった。
【0025】実施例3 実施例2で使用したものと同様のコンクリート壁の表面
の、特に凹凸がある個所の表面に、図7や図8に示すよ
うな箱形ノズルを固定した。この箱形ノズルにチタンメ
ッシュを巻き付け、箱形ノズルとコンクリート表面間に
外部電極を設置した。ポンプを駆動し、箱形ノズルに電
解質溶液として炭酸ナトリウム溶液を供給し、ノズル穴
より炭酸ナトリウム溶液が放出したことを確認した後、
1A/m2の電流を2週間流し、実施例2と同様にフェノ
ールフタレインを用いたアルカリ度試験を行った。通電
中、炭酸ナトリウム溶液の放出は良好で、凹凸があるコ
ンクリート表面全てに補給ができた。アルカリ度試験の
結果、コンクリート表面から30mmの深さまで赤色化反応
が起こり、中性化したコンクリート部分がアルカリ化し
たことが確認できた。
【0026】
【発明の効果】本発明では、コンクリートの電気化学的
処理を行う場合、コンクリート表面を傷つけることなく
作業を行えること、さらに、コンクリート構造物の複雑
な形状に対応できること、一定周期の監視業務が不要で
あること等の効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1はノズル自身を電極として使用した実施例
1の模式図である。
【図2】図2は図1の断面図である。
【図3】図3は木枠を用いセルロースファイバーを吹き
付けた比較例1の模式図である。
【図4】図4は図3の断面図である。
【図5】図5はノズルとしてジョウロの先端部を利用し
た実施例2の模式図である。
【図6】図6は実施例2で使用したノズルの電極部分で
ある。
【図7】図7は箱形ノズルを用いた実施例3の模式図で
ある。
【図8】図8は箱形ノズルのノズル面である。
【符号の説明】
1 コンクリート 2 AC/DCコンバーター 3 電解質溶液槽 4 リード線 5 配管 6 ノズル 7 支持棒 8 鉄筋 9 木枠 10 セルロースファイバー 11 チタン電極 12 アンカー穴 13 箱形ノズル 14 電解質溶液 15 ノズル穴

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コンクリート表面に電解質溶液を放出す
    るノズルを設置し、電解質溶液を放出して、又は、放出
    しながら、該ノズル又は該ノズルの近傍に設置した外部
    電極間及び/又は該外部電極とコンクリート内部の鋼材
    である内部電極間に電圧をかけ、電流を流すことを特徴
    とするコンクリートの電気化学的処理方法。
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WO2000010940A3 (de) * 1998-08-24 2000-05-18 Siemens Ag Verfahren und vorrichtung zur sanierung eines verunreinigten bauteils
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