JPH07309678A - 短繊維強化c/cコンポジット前駆体の製造方法 - Google Patents

短繊維強化c/cコンポジット前駆体の製造方法

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JPH07309678A
JPH07309678A JP6098619A JP9861994A JPH07309678A JP H07309678 A JPH07309678 A JP H07309678A JP 6098619 A JP6098619 A JP 6098619A JP 9861994 A JP9861994 A JP 9861994A JP H07309678 A JPH07309678 A JP H07309678A
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JP
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weight
composite
precursor
fiber
carbon
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JP6098619A
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Nobuhiko Narita
暢彦 成田
Masahiro Yamada
正弘 山田
Kenji Hirano
兼次 平野
Koichiro Mukai
幸一郎 向井
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Nippon Steel Corp
Nippon Steel Chemical and Materials Co Ltd
Original Assignee
Nippon Steel Corp
Nippon Steel Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 短繊維状炭素繊維と炭素質粉末との混練時に
おいて炭素繊維が「だま状」に偏析するのを可及的に防
止することができ、これによって繊維の分散性に優れた
C/Cコンポジット前駆体を製造することができる短繊
維強化C/Cコンポジット前駆体の製造方法を提供す
る。 【構成】 5〜40重量%の1価アルコールと5〜15
重量%の2価アルコールの存在下に、短繊維状炭素繊維
と、結合成分を含むか及び/又は結合成分が配合された
炭素質粉末とを混合し、混練する短繊維強化C/Cコン
ポジット前駆体の製造方法である。 【効果】 マトリックス炭素中に短繊維状炭素繊維が均
一に分散したC/Cコンポジット前駆体を容易に得るこ
とができ、この前駆体を用いて製造される短繊維強化C
/Cコンポジットの力学特性が向上するほか、緻密な製
品が得られて緻密化のためのピッチ含浸工程を省略ある
いは短縮することができ、しかも、金型内への挿入がよ
ういであり、C/Cコンポジットの製造効率が向上す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、短繊維強化C/Cコン
ポジット前駆体の製造方法に関する。この前駆体を用い
て製造される短繊維強化C/Cコンポジットは、等方性
炭素材料に代えて半導体製造治具、るつぼ類等の用途に
適用することができる。
【0002】
【従来の技術】一般に、炭素繊維強化複合材料(C/C
コンポジット)は、PAN系、ピッチ系等の炭素繊維の
長・短繊維にフェノール樹脂、フラン樹脂等の熱硬化性
樹脂やピッチ等の熱可塑性成分を含浸させ又は混合して
得られる前駆体を加熱成形した後、非酸化性雰囲気にお
いて600〜1,000℃に焼成することによって製造
される。そしてこの際に、実用に供する上で強度が不足
する場合には、更に緻密化のために熱硬化性樹脂又はピ
ッチ等を含浸させた後に焼成し、更に、高強度化のため
にはこの含浸及び焼成の操作を数回繰り返している。
【0003】このようにC/Cコンポジットの製造に際
しては、加熱−冷却を何度も繰り返す必要があることか
ら、その製造期間が著しく長くなるという問題がある。
また、繊維含有率の低い短繊維強化C/Cコンポジット
を製造する場合には、短繊維状炭素繊維と炭素質粉末と
を結合成分の存在下に混練する際に、繊維が粒状の塊に
なっていわゆる「だま状」に偏析し易く、マトリックス
炭素内に大きな空隙が発生し易くて、強度が向上し難く
なるという問題もあった。
【0004】一方、半導体製造治具、るつぼ類等の用途
に使用されている等方性炭素材料は、短繊維強化C/C
コンポジットに較べてその製造期間が比較的短いが、強
度及び弾性率が低いという欠点を有している。
【0005】そこで、短繊維強化C/Cコンポジットの
有する優れた機械的性質(強度、弾性率)を発揮させつ
つその製造期間を短縮するための短繊維強化C/Cコン
ポジットの製造方法として、例えば特開昭54−412
95号公報には、多孔質炭素電極の製造法として、炭素
繊維と溶媒とをミキサーで混合した後スクリーンを用い
てマット化して前駆体を作成し、次いで加圧成形する方
法が提案されている。以下の製造方法が提案されてい
る。
【0006】しかしながら、この方法においても、ミキ
サーで混練中に繊維同志が絡まり易く、繊維がいわゆる
「だま状」に偏析し、偏析した組織の周りでは大きな空
隙が発生し易く、強度が低下するという問題があった。
更に、マット状に形成した前駆体は、嵩高いために金型
内への挿入が困難であり、この点では逆にC/Cコンポ
ジットの製造効率が著しく低下するという問題もあっ
た。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明者ら
は、これら従来の問題点を解決すべく鋭意研究を重ねた
結果、意外にも所定の割合で配合された1価アルコール
及び2価アルコールの存在下に短繊維状炭素繊維と炭素
質粉末とを混練することにより、繊維が「だま状」に偏
析するという問題を解決できることを見出し、本発明を
完成した。
【0008】従って、本発明の目的は、短繊維状炭素繊
維と炭素質粉末との混練時において炭素繊維が「だま
状」に偏析するのを可及的に防止することができ、これ
によって繊維の分散性に優れたC/Cコンポジット前駆
体を製造することができる短繊維強化C/Cコンポジッ
ト前駆体の製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、5
〜40重量%の1価アルコールと5〜15重量%の2価
アルコールの存在下に、短繊維状炭素繊維と、結合成分
を含むか及び/又は結合成分が配合された炭素質粉末と
を混合し、混練する短繊維強化C/Cコンポジット前駆
体の製造方法である。
【0010】本発明において、前駆体とは、後工程でプ
レス等の加圧装置を用いて成形するための事前処理を施
した炭素繊維及び炭素質粉末や結合成分等のマトリック
ス形成原料を含む原料の混合体である。
【0011】また、本発明において、結合成分を含むか
及び/又は結合成分が配合された炭素質粉末としては、
自己燒結性生コークスや室温で流動性のないピッチ類等
のような結合成分を含む自己燒結性の炭素質粉末、ピッ
チコークスのような結合成分を含まない非自己燒結性の
炭素粉末にピッチ類等の結合成分を配合してなる炭素質
粉末、結合成分を含む自己燒結性の炭素質粉末と結合成
分を含まない非自己燒結性の炭素質粉末とを混合して得
られた炭素質粉末、この混合して得られた炭素質粉末に
結合成分を更に配合した炭素質粉末、結合成分を含む自
己燒結性の炭素質粉末に結合成分を配合した炭素質粉末
等が挙げられる。
【0012】ここで、結合成分を含む自己燒結性生コー
クスを炭素質粉末として使用する場合、その平均径につ
いては100μm以下、好ましくは20μm以下である
のがよく、また、結合成分含有量については5〜30重
量%、好ましくは8〜20重量%であるのがよい。平均
径が100μmを越えると焼結性が低下し、強度が低下
し、そして、結合成分含有量が5重量%未満ではC/C
コンポジット成形時に結合成分が不足して充分に燒結せ
ず、また、30重量%を越えると成形中に結合成分が流
出し、成形体の重量歩留が低下するという問題が発生す
る。
【0013】また、結合成分を含まないピッチコークス
のような非自己燒結性炭素粉末を使用する場合、その平
均径については300μm未満、好ましくは100μm
未満であるのがよい。この非自己燒結性炭素粉末の平均
径が300μmを越えると、気孔率が高くなり、強度が
低下するという問題が生じる。
【0014】更に、結合成分として上記非自己燒結性炭
素粉末と共に使用されるピッチ類としては、石炭系ある
いは石油系の何れのピッチであってもよく、平均径につ
いては、上記自己燒結性生コークスの場合と同様に、1
00μm以下、好ましくは20μm以下であるのがよ
く、この平均径が100μmを越えるとピッチ偏析部の
気孔が多くなるという問題が生じる。
【0015】また、このピッチ類の軟化点については5
0〜250℃、好ましくは70〜150℃であるのがよ
く、50℃未満では後述する焼成時に炭素歩留が著しく
低く、気孔形成が促進されて強度が低下し、また、25
0℃を越えると、成形時におけるピッチの流動性に乏し
く、炭素質粉末を濡らして結合させることが困難にな
り、気孔が多くなる。
【0016】上記非自己燒結性炭素粉末とピッチ類とを
混合して使用する場合の混合比については、非自己燒結
性炭素粉末が60〜85重量%、好ましくは70重量%
であって、ピッチ類が15〜40重量%、好ましくは3
0重量%である。非自己燒結性炭素粉末が60重量%未
満でピッチ類が40重量%を越えると、後述するプレス
成形時にピッチが鋳型から流れ出て歩留が低くなり、一
方、非自己燒結性炭素粉末が85重量%を越えてピッチ
類が15%に満たないと、結合剤であるピッチが不足
し、結合が形成されない場合がある。
【0017】本発明において、上記炭素質粉末に配合さ
れる短繊維状の炭素繊維としては、特にその種類は問わ
ず、PAN系炭素繊維は勿論、ピッチ系炭素繊維も使用
でき、また、その繊維長については1〜50mm、好ま
しくは1〜10mmであるのがよい。この繊維長さが5
0mmを越えると、後述する混練時に繊維同志の絡み合
いが発生し、いわゆる「だま状」の偏析が発生する。ま
た、繊維長が50mm以下であれば「だま状」の偏析は
ほとんど発生しなくなるが、10mmよりみじかければ
「だま状」の偏析の発生が皆無となる。一方、この繊維
長が1mm未満の場合には、短繊維強化材に対する臨界
繊維長さよりも小さくなるため(例えば、アグネ社発行
日本複合材料学会編「プラスチック基複合材料を知る事
典」21頁参照)、短繊維強化C/Cコンポジットの強
度向上を得ることができない。
【0018】この短繊維状炭素繊維の添加量について
は、炭素質粉末の重量に対して1〜20重量%、好まし
くは3〜5重量%であるのがよい。1重量%未満の添加
量では、形成焼成したC/Cコンポジットの力学特性の
向上がほとんど認められず、また、20重量%超の添加
量では焼成中に繊維がマトリックス炭素の収縮を妨げて
緻密化が阻害される。
【0019】本発明においては、上記炭素質粉末と短繊
維状炭素繊維とを混合する前に、1価アルコール及び2
価アルコールを添加する。ここで、1価アルコールとし
ては、常温液体のアルコールが用いられ、好ましくは炭
素数1〜3のメタノール、エタノール、プロピルアルコ
ールである。この1価アルコールの添加によって混練時
の流動性が保たれるほか、この1価アルコールが炭素質
粉末の表面を溶解し、これによって炭素繊維が均一に分
散されると同時に炭素質粉末との接着性が向上し、炭素
繊維が炭素質粉末上に均一に分散して溶着される。
【0020】しかしながら、1価アルコールは混練中に
揮発して流動性が著しく低下し、これが原因で混練時に
炭素繊維が「だま状」に偏析し易くなる。そこで、本発
明においては、この混練中の混合体の流動性を確保する
ために、上記1価アルコールに2価アルコールを併用し
て添加する。この2価アルコールとしては、エチレング
リコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコ
ール等が用いられるが、好ましくはエチレングリコール
である。2価アルコールの添加により混練中に混合体は
乾燥することなく、安定した混練が行われ、更に、混練
後にも混合体はその流動性を維持し、金型への均一充填
が容易になるという利点が生じる。
【0021】上記1価アルコールの添加量は、炭素質粉
末の重量に対して、5〜40重量%、好ましくは10重
量%程度である。この1価アルコールの添加量が5重量
%未満では炭素質粉末及び炭素繊維を濡らすことができ
ず、均等に混合することができなくなり、反対に、40
重量%超では流動性が大きくなりすぎ、炭素質粉末と炭
素繊維との混合時にサイズの差異に起因して抵抗差が生
じ、かえって均一な混合ができなくなる。すなわち、流
動性が高くシャバシャバの液内で混合する場合には、1
本当りの表面積が小さい炭素繊維は混合攪拌力を有効に
活用できず、浮上分離し易く、一方、表面積が大きな粉
体は、シャバシャバの液内で沈降し易いことを指してい
る。
【0022】また、上記2価アルコールの添加量として
は、炭素質粉末の重量に対して、5〜15重量%、好ま
しくは10重量%程度である。この添加量が5重量%未
満の場合には混練中の流動性確保が困難であり、反対
に、15重量%超の場合には流動性が低下し均一に繊維
が混合されない。
【0023】本発明において、1価アルコール及び2価
アルコールの存在下に行う短繊維状炭素繊維と炭素質粉
末との混練は、ニーダー、二軸混練機等の従来この種の
混練操作に用いられている混練機を用いて、約1時間程
度で行うことができ、また、この混練としてホイッパ
ー、ピーター等を駆動させるミキサーを用いることもで
きる。
【0024】本発明方法により得られたC/Cコンポジ
ット前駆体は、従来の前駆体と較べて、混合体の粘性及
び繊維のピッチへの接着性が最適となり、炭素繊維は数
千本の束から充分にほぐされ、「だま状」の偏析の発生
もなく、均一に繊維が分散されているほか、流動性を有
するのでこの前駆体の嵩を小さくすることができる。
【0025】このようにして得られた本発明のC/Cコ
ンポジット前駆体を用いてC/Cコンポジットを製造す
るには、公知の方法で行えばよく、例えば下記の手順で
成形及び焼成を行うことができる。先ず、前駆体を15
0〜350℃、好ましくは200℃前後で、100〜3
00kg/cm2 、好ましくは250kg/cm2 前後
の条件下で一軸プレス成形し、次いで得られた成形体を
大気圧下の窒素雰囲気中で600〜1,200℃、好ま
しくは1,000℃前後で1時間程度焼成する。
【0026】また、上記の方法で得られたC/Cコンポ
ジットがそのままでは気孔率が高く、所要の強度が得ら
れない場合には、軟化点50〜120℃、好ましくは8
0℃程度のピッチを含浸させた後に再び窒素雰囲気中約
1,000℃で焼成する含浸−焼成の操作を適宜回数繰
り返す。そして、更に、必要に応じて、2,000℃以
上の黒鉛化処理を施す。
【0027】
【作用】本発明方法で製造される短繊維強化C/Cコン
ポジット前駆体においては「だま状」の繊維の偏析がほ
とんど観察されず、配合した炭素繊維がピッチ粉の周り
に1本づつ分離して接着していた。すなわち、「だま
状」の偏析は観察されず、また繊維が充分にほぐされ
(解繊され)てピッチ粉に1本づつ分離して接着し、良
好な分散状態を示していた。これは、炭素繊維と炭素質
粉末との接着性を増す1価アルコールの添加に加えて、
混練時の流動性を確保する2価アルコールの添加による
ものと考えられる。また、前駆体を積層してプレス成形
する場合、前駆体が濡れているためにその嵩を小さくで
き、製造効率も向上する。
【0028】
【実施例】以下、実施例及び比較例に基づいて、本発明
を具体的に説明する。
【0029】実施例1 非自己燒結性炭素粉末である加工粉末60重量部(粉体
径50μm)と、平均径15μm及び軟化点80℃のバ
インダーピッチ37重量部と、6mmに切断したPAN
系炭素繊維3重量部とを秤量後、エタノール30重量部
及びエチレングリコール10重量部を添加し、ニーダー
を用いてこれらを室温で1時間混練し、C/Cコンポジ
ット前駆体を得た。得られた前駆体には、繊維の「だま
状」の偏析は認められなかった。
【0030】次に、このようにして得られた前駆体を金
型に挿入し、200℃及び250kg/cm2 の条件で
1時間プレス成形を行った。冷却後得られた1次成形体
の嵩比率は1.80であった。
【0031】更に、上記1次成形体を窒素雰囲気中で5
0時間かけて1,000℃まで昇温させ、焼成体を得
た。得られた焼成体の嵩比重は約1.70であり、炭素
繊維は焼成体中にほぼ均等に分散しており、偏析は認め
られなかった。また、この焼結体の強度を断面10mm
×10mm、スパン50mmにて測定した結果、曲げ強
度は200MPaであり、また、曲げ弾性率は30GP
aであった。
【0032】実施例2 自己燒結性生コークス70重量部(粉体径15μm、揮
発分10重量%)と、非自己燒結性炭素粉末の加工粉末
20重量部(粉体径50μm)と、平均径15μm及び
軟化点80℃のバインダーピッチ10重量部と、6mm
に切断したPAN系炭素繊維3重量部とを秤量後、エタ
ノール15重量部及びエチレングリコール10重量部を
添加し、実施例1と同様にして混練し、C/Cコンポジ
ット前駆体を得た。得られた前駆体には、繊維の「だま
状」の偏析は認められなかった。
【0033】次に、上記実施例1と同様にして一次成形
体を製造した後、これを焼成してC/Cコンポジットを
製造した。この際に得られた1次成形体及び焼成体の嵩
比重は各々1.75、1.80であった。また、実施例
1と同様にして測定した焼結体の強度は、曲げ強度が1
80MPaであって、曲げ弾性率が40GPaであっ
た。
【0034】実施例3 自己燒結性生コークス100重量部(粉体径15μm、
揮発分10重量%)と、6mmに切断したPAN系炭素
繊維3重量部とを秤量後、エタノール15重量部及びエ
チレングリコール10重量部を添加し、実施例1と同様
にして混練し、C/Cコンポジット前駆体を得た。得ら
れた前駆体には、繊維の「だま状」の偏析は認められな
かった。
【0035】次に、上記実施例1と同様にして一次成形
体を製造した後、これを焼成してC/Cコンポジットを
製造した。この際に得られた1次成形体及び焼成体の嵩
比重は各々1.70、1.75であった。また、実施例
1と同様にして測定した焼結体の強度は、曲げ強度が1
60MPaであって、曲げ弾性率が45GPaであっ
た。
【0036】実施例4 自己燒結性生コークス80重量部(粉体径15μm、揮
発分10重量%)と、非自己燒結性炭素粉末である加工
粉末20重量部(粉体径50μm)と、平均径15μm
及び6mmに切断したPAN系炭素繊維3重量部とを秤
量後、エタノール15重量部及びエチレングリコール1
0重量部を添加し、実施例1と同様にして混練し、C/
Cコンポジット前駆体を得た。得られた前駆体には、繊
維の「だま状」の偏析は認められなかった。
【0037】次に、上記実施例1と同様にして一次成形
体を製造した後、これを焼成してC/Cコンポジットを
製造した。この際に得られた1次成形体及び焼成体の嵩
比重は各々1.75、1.80であった。また、実施例
1と同様にして測定した焼結体の強度は、曲げ強度が1
85MPaであって、曲げ弾性率が47GPaであっ
た。
【0038】比較例1 非自己燒結性炭素粉末である加工粉末60重量部(粉体
径50μm)と、平均径15μm及び軟化点80℃のバ
インダーピッチ37重量部と、6mmに切断したPAN
系炭素繊維3重量部とを秤量し、実施例1と同様にして
混練し、C/Cコンポジット前駆体を得た。得られた前
駆体は、繊維が「だま状」に偏析していた。
【0039】次に、上記実施例1と同様にして一次成形
体を製造した後、これを焼成してC/Cコンポジットを
製造した。この際に得られた1次成形体及び焼成体の嵩
比重は各々1.65、1.55であった。また、実施例
1と同様にして測定した焼結体の強度は、曲げ強度が5
0MPaであって、曲げ弾性率が10GPaであった。
更に、この焼成体中で繊維が「だま状」に偏析してお
り、その近傍には大きな空隙が観察された。
【0040】比較例2 非自己燒結性炭素粉末である加工粉末60重量部(粉体
径30μm)と、平均径15μm及び軟化点80℃のバ
インダーピッチ37重量部と、6mmに切断したPAN
系炭素繊維3重量部とを秤量後、エタノール30重量部
のみを添加し、実施例1と同様にして混練し、C/Cコ
ンポジット前駆体を得た。得られた前駆体は、繊維が
「だま状」に偏析していた。
【0041】次に、上記実施例1と同様にして一次成形
体を製造した後、これを焼成してC/Cコンポジットを
製造した。この際に得られた1次成形体及び焼成体の嵩
比重は各々1.65、1.55であった。また、実施例
1と同様にして測定した焼結体の強度は、曲げ強度が7
0MPaであって、曲げ弾性率が10GPaであった。
更に、この焼成体は繊維が「だま状」に偏析していた。
【0042】比較例3 非自己燒結性炭素粉末である加工粉末80重量部(粉体
径30μm)と、平均径15μm及び軟化点80℃のバ
インダーピッチ17重量部と、6mmに切断したPAN
系炭素繊維3重量部とを秤量後、エチレングリコール1
0重量部のみを添加し、実施例1と同様にして混練し、
C/Cコンポジット前駆体を得た。 得られた前駆体
は、繊維が「だま状」に偏析していた。
【0043】次に、上記実施例1と同様にして一次成形
体を製造した後、これを焼成してC/Cコンポジットを
製造した。この際に得られた1次成形体及び焼成体の嵩
比重は各々1.55、1.30であった。また、実施例
1と同様にして測定した焼結体の強度は、曲げ強度が3
0MPaであって、曲げ弾性率が8GPaであった。更
に、この焼成体おいては繊維が「だま状」に偏析し、し
かも、1次成形時に発生した空隙がそのまま残存してい
ることが確認された。
【0044】以上の実施例及び比較例から、混練時に分
散性付与のためのエチレングリコールと流動性付与のた
めエタノールとを添加すると、炭素繊維は炭素質粉末中
に均一に分散され、製造されるC/Cコンポジットの力
学特性が向上することが判明した。また、これら実施例
と比較例とを比較することによって、本発明の前駆体を
用いて作成した短繊維強化C/Cコンポジットはその嵩
密度が著しく向上しており、しかも、炭素繊維の均一分
散により曲げ強度や曲げ弾性率等の力学特性が著しく向
上することが明かになった。
【0045】
【発明の効果】本発明方法によれば、マトリックス炭素
中に短繊維状炭素繊維が均一に分散したC/Cコンポジ
ット前駆体を容易に得ることができ、この前駆体を用い
て製造される短繊維強化C/Cコンポジットの力学特性
を向上させることができ、耐摩耗性部材として好適に使
用できるC/Cコンポジットを製造することができる。
また、本発明方法により得られたC/Cコンポジット前
駆体は、この前駆体中で炭素繊維が充分に均一に分散し
ているので、この前駆体が均一に収縮でき、これによっ
て従来のC/Cコンポジットとは異なり、緻密な製品が
得られ、緻密化のためのピッチ含浸工程を省略あるいは
短縮することができ、それだけ製造工程が短縮される。
更に、本発明で得られたC/Cコンポジット前駆体を用
いて短繊維強化C/Cコンポジットをプレス成形する場
合、前駆体に流動性があるために容易に金型内へ挿入で
き、この点でもC/Cコンポジットの製造効率が向上す
る。
フロントページの続き (72)発明者 平野 兼次 神奈川県川崎市中原区井田1618番地、新日 本製鐵株式会社先端技術研究所内 (72)発明者 向井 幸一郎 神奈川県川崎市中原区井田1618番地、新日 本製鐵株式会社先端技術研究所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 5〜40重量%の1価アルコールと5〜
    15重量%の2価アルコールの存在下に、短繊維状炭素
    繊維と、結合成分を含むか及び/又は結合成分が配合さ
    れた炭素質粉末とを混合し、混練することを特徴とする
    短繊維強化C/Cコンポジット前駆体の製造方法。
  2. 【請求項2】 炭素質粉末が、ピッチ類を配合した炭素
    粉末及び/又は自己燒結性生コークスである請求項1記
    載の短繊維強化C/Cコンポジット前駆体の製造方法。
  3. 【請求項3】 1価アルコール及び2価アルコールが、
    炭素数1〜3の1価アルコール及び2価アルコールであ
    る請求項1記載の短繊維強化C/Cコンポジット前駆体
    の製造方法。
JP6098619A 1994-05-12 1994-05-12 短繊維強化c/cコンポジット前駆体の製造方法 Withdrawn JPH07309678A (ja)

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