JPH07309678A - 短繊維強化c/cコンポジット前駆体の製造方法 - Google Patents
短繊維強化c/cコンポジット前駆体の製造方法Info
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- JPH07309678A JPH07309678A JP6098619A JP9861994A JPH07309678A JP H07309678 A JPH07309678 A JP H07309678A JP 6098619 A JP6098619 A JP 6098619A JP 9861994 A JP9861994 A JP 9861994A JP H07309678 A JPH07309678 A JP H07309678A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 短繊維状炭素繊維と炭素質粉末との混練時に
おいて炭素繊維が「だま状」に偏析するのを可及的に防
止することができ、これによって繊維の分散性に優れた
C/Cコンポジット前駆体を製造することができる短繊
維強化C/Cコンポジット前駆体の製造方法を提供す
る。 【構成】 5〜40重量%の1価アルコールと5〜15
重量%の2価アルコールの存在下に、短繊維状炭素繊維
と、結合成分を含むか及び/又は結合成分が配合された
炭素質粉末とを混合し、混練する短繊維強化C/Cコン
ポジット前駆体の製造方法である。 【効果】 マトリックス炭素中に短繊維状炭素繊維が均
一に分散したC/Cコンポジット前駆体を容易に得るこ
とができ、この前駆体を用いて製造される短繊維強化C
/Cコンポジットの力学特性が向上するほか、緻密な製
品が得られて緻密化のためのピッチ含浸工程を省略ある
いは短縮することができ、しかも、金型内への挿入がよ
ういであり、C/Cコンポジットの製造効率が向上す
る。
おいて炭素繊維が「だま状」に偏析するのを可及的に防
止することができ、これによって繊維の分散性に優れた
C/Cコンポジット前駆体を製造することができる短繊
維強化C/Cコンポジット前駆体の製造方法を提供す
る。 【構成】 5〜40重量%の1価アルコールと5〜15
重量%の2価アルコールの存在下に、短繊維状炭素繊維
と、結合成分を含むか及び/又は結合成分が配合された
炭素質粉末とを混合し、混練する短繊維強化C/Cコン
ポジット前駆体の製造方法である。 【効果】 マトリックス炭素中に短繊維状炭素繊維が均
一に分散したC/Cコンポジット前駆体を容易に得るこ
とができ、この前駆体を用いて製造される短繊維強化C
/Cコンポジットの力学特性が向上するほか、緻密な製
品が得られて緻密化のためのピッチ含浸工程を省略ある
いは短縮することができ、しかも、金型内への挿入がよ
ういであり、C/Cコンポジットの製造効率が向上す
る。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、短繊維強化C/Cコン
ポジット前駆体の製造方法に関する。この前駆体を用い
て製造される短繊維強化C/Cコンポジットは、等方性
炭素材料に代えて半導体製造治具、るつぼ類等の用途に
適用することができる。
ポジット前駆体の製造方法に関する。この前駆体を用い
て製造される短繊維強化C/Cコンポジットは、等方性
炭素材料に代えて半導体製造治具、るつぼ類等の用途に
適用することができる。
【0002】
【従来の技術】一般に、炭素繊維強化複合材料(C/C
コンポジット)は、PAN系、ピッチ系等の炭素繊維の
長・短繊維にフェノール樹脂、フラン樹脂等の熱硬化性
樹脂やピッチ等の熱可塑性成分を含浸させ又は混合して
得られる前駆体を加熱成形した後、非酸化性雰囲気にお
いて600〜1,000℃に焼成することによって製造
される。そしてこの際に、実用に供する上で強度が不足
する場合には、更に緻密化のために熱硬化性樹脂又はピ
ッチ等を含浸させた後に焼成し、更に、高強度化のため
にはこの含浸及び焼成の操作を数回繰り返している。
コンポジット)は、PAN系、ピッチ系等の炭素繊維の
長・短繊維にフェノール樹脂、フラン樹脂等の熱硬化性
樹脂やピッチ等の熱可塑性成分を含浸させ又は混合して
得られる前駆体を加熱成形した後、非酸化性雰囲気にお
いて600〜1,000℃に焼成することによって製造
される。そしてこの際に、実用に供する上で強度が不足
する場合には、更に緻密化のために熱硬化性樹脂又はピ
ッチ等を含浸させた後に焼成し、更に、高強度化のため
にはこの含浸及び焼成の操作を数回繰り返している。
【0003】このようにC/Cコンポジットの製造に際
しては、加熱−冷却を何度も繰り返す必要があることか
ら、その製造期間が著しく長くなるという問題がある。
また、繊維含有率の低い短繊維強化C/Cコンポジット
を製造する場合には、短繊維状炭素繊維と炭素質粉末と
を結合成分の存在下に混練する際に、繊維が粒状の塊に
なっていわゆる「だま状」に偏析し易く、マトリックス
炭素内に大きな空隙が発生し易くて、強度が向上し難く
なるという問題もあった。
しては、加熱−冷却を何度も繰り返す必要があることか
ら、その製造期間が著しく長くなるという問題がある。
また、繊維含有率の低い短繊維強化C/Cコンポジット
を製造する場合には、短繊維状炭素繊維と炭素質粉末と
を結合成分の存在下に混練する際に、繊維が粒状の塊に
なっていわゆる「だま状」に偏析し易く、マトリックス
炭素内に大きな空隙が発生し易くて、強度が向上し難く
なるという問題もあった。
【0004】一方、半導体製造治具、るつぼ類等の用途
に使用されている等方性炭素材料は、短繊維強化C/C
コンポジットに較べてその製造期間が比較的短いが、強
度及び弾性率が低いという欠点を有している。
に使用されている等方性炭素材料は、短繊維強化C/C
コンポジットに較べてその製造期間が比較的短いが、強
度及び弾性率が低いという欠点を有している。
【0005】そこで、短繊維強化C/Cコンポジットの
有する優れた機械的性質(強度、弾性率)を発揮させつ
つその製造期間を短縮するための短繊維強化C/Cコン
ポジットの製造方法として、例えば特開昭54−412
95号公報には、多孔質炭素電極の製造法として、炭素
繊維と溶媒とをミキサーで混合した後スクリーンを用い
てマット化して前駆体を作成し、次いで加圧成形する方
法が提案されている。以下の製造方法が提案されてい
る。
有する優れた機械的性質(強度、弾性率)を発揮させつ
つその製造期間を短縮するための短繊維強化C/Cコン
ポジットの製造方法として、例えば特開昭54−412
95号公報には、多孔質炭素電極の製造法として、炭素
繊維と溶媒とをミキサーで混合した後スクリーンを用い
てマット化して前駆体を作成し、次いで加圧成形する方
法が提案されている。以下の製造方法が提案されてい
る。
【0006】しかしながら、この方法においても、ミキ
サーで混練中に繊維同志が絡まり易く、繊維がいわゆる
「だま状」に偏析し、偏析した組織の周りでは大きな空
隙が発生し易く、強度が低下するという問題があった。
更に、マット状に形成した前駆体は、嵩高いために金型
内への挿入が困難であり、この点では逆にC/Cコンポ
ジットの製造効率が著しく低下するという問題もあっ
た。
サーで混練中に繊維同志が絡まり易く、繊維がいわゆる
「だま状」に偏析し、偏析した組織の周りでは大きな空
隙が発生し易く、強度が低下するという問題があった。
更に、マット状に形成した前駆体は、嵩高いために金型
内への挿入が困難であり、この点では逆にC/Cコンポ
ジットの製造効率が著しく低下するという問題もあっ
た。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明者ら
は、これら従来の問題点を解決すべく鋭意研究を重ねた
結果、意外にも所定の割合で配合された1価アルコール
及び2価アルコールの存在下に短繊維状炭素繊維と炭素
質粉末とを混練することにより、繊維が「だま状」に偏
析するという問題を解決できることを見出し、本発明を
完成した。
は、これら従来の問題点を解決すべく鋭意研究を重ねた
結果、意外にも所定の割合で配合された1価アルコール
及び2価アルコールの存在下に短繊維状炭素繊維と炭素
質粉末とを混練することにより、繊維が「だま状」に偏
析するという問題を解決できることを見出し、本発明を
完成した。
【0008】従って、本発明の目的は、短繊維状炭素繊
維と炭素質粉末との混練時において炭素繊維が「だま
状」に偏析するのを可及的に防止することができ、これ
によって繊維の分散性に優れたC/Cコンポジット前駆
体を製造することができる短繊維強化C/Cコンポジッ
ト前駆体の製造方法を提供することにある。
維と炭素質粉末との混練時において炭素繊維が「だま
状」に偏析するのを可及的に防止することができ、これ
によって繊維の分散性に優れたC/Cコンポジット前駆
体を製造することができる短繊維強化C/Cコンポジッ
ト前駆体の製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、5
〜40重量%の1価アルコールと5〜15重量%の2価
アルコールの存在下に、短繊維状炭素繊維と、結合成分
を含むか及び/又は結合成分が配合された炭素質粉末と
を混合し、混練する短繊維強化C/Cコンポジット前駆
体の製造方法である。
〜40重量%の1価アルコールと5〜15重量%の2価
アルコールの存在下に、短繊維状炭素繊維と、結合成分
を含むか及び/又は結合成分が配合された炭素質粉末と
を混合し、混練する短繊維強化C/Cコンポジット前駆
体の製造方法である。
【0010】本発明において、前駆体とは、後工程でプ
レス等の加圧装置を用いて成形するための事前処理を施
した炭素繊維及び炭素質粉末や結合成分等のマトリック
ス形成原料を含む原料の混合体である。
レス等の加圧装置を用いて成形するための事前処理を施
した炭素繊維及び炭素質粉末や結合成分等のマトリック
ス形成原料を含む原料の混合体である。
【0011】また、本発明において、結合成分を含むか
及び/又は結合成分が配合された炭素質粉末としては、
自己燒結性生コークスや室温で流動性のないピッチ類等
のような結合成分を含む自己燒結性の炭素質粉末、ピッ
チコークスのような結合成分を含まない非自己燒結性の
炭素粉末にピッチ類等の結合成分を配合してなる炭素質
粉末、結合成分を含む自己燒結性の炭素質粉末と結合成
分を含まない非自己燒結性の炭素質粉末とを混合して得
られた炭素質粉末、この混合して得られた炭素質粉末に
結合成分を更に配合した炭素質粉末、結合成分を含む自
己燒結性の炭素質粉末に結合成分を配合した炭素質粉末
等が挙げられる。
及び/又は結合成分が配合された炭素質粉末としては、
自己燒結性生コークスや室温で流動性のないピッチ類等
のような結合成分を含む自己燒結性の炭素質粉末、ピッ
チコークスのような結合成分を含まない非自己燒結性の
炭素粉末にピッチ類等の結合成分を配合してなる炭素質
粉末、結合成分を含む自己燒結性の炭素質粉末と結合成
分を含まない非自己燒結性の炭素質粉末とを混合して得
られた炭素質粉末、この混合して得られた炭素質粉末に
結合成分を更に配合した炭素質粉末、結合成分を含む自
己燒結性の炭素質粉末に結合成分を配合した炭素質粉末
等が挙げられる。
【0012】ここで、結合成分を含む自己燒結性生コー
クスを炭素質粉末として使用する場合、その平均径につ
いては100μm以下、好ましくは20μm以下である
のがよく、また、結合成分含有量については5〜30重
量%、好ましくは8〜20重量%であるのがよい。平均
径が100μmを越えると焼結性が低下し、強度が低下
し、そして、結合成分含有量が5重量%未満ではC/C
コンポジット成形時に結合成分が不足して充分に燒結せ
ず、また、30重量%を越えると成形中に結合成分が流
出し、成形体の重量歩留が低下するという問題が発生す
る。
クスを炭素質粉末として使用する場合、その平均径につ
いては100μm以下、好ましくは20μm以下である
のがよく、また、結合成分含有量については5〜30重
量%、好ましくは8〜20重量%であるのがよい。平均
径が100μmを越えると焼結性が低下し、強度が低下
し、そして、結合成分含有量が5重量%未満ではC/C
コンポジット成形時に結合成分が不足して充分に燒結せ
ず、また、30重量%を越えると成形中に結合成分が流
出し、成形体の重量歩留が低下するという問題が発生す
る。
【0013】また、結合成分を含まないピッチコークス
のような非自己燒結性炭素粉末を使用する場合、その平
均径については300μm未満、好ましくは100μm
未満であるのがよい。この非自己燒結性炭素粉末の平均
径が300μmを越えると、気孔率が高くなり、強度が
低下するという問題が生じる。
のような非自己燒結性炭素粉末を使用する場合、その平
均径については300μm未満、好ましくは100μm
未満であるのがよい。この非自己燒結性炭素粉末の平均
径が300μmを越えると、気孔率が高くなり、強度が
低下するという問題が生じる。
【0014】更に、結合成分として上記非自己燒結性炭
素粉末と共に使用されるピッチ類としては、石炭系ある
いは石油系の何れのピッチであってもよく、平均径につ
いては、上記自己燒結性生コークスの場合と同様に、1
00μm以下、好ましくは20μm以下であるのがよ
く、この平均径が100μmを越えるとピッチ偏析部の
気孔が多くなるという問題が生じる。
素粉末と共に使用されるピッチ類としては、石炭系ある
いは石油系の何れのピッチであってもよく、平均径につ
いては、上記自己燒結性生コークスの場合と同様に、1
00μm以下、好ましくは20μm以下であるのがよ
く、この平均径が100μmを越えるとピッチ偏析部の
気孔が多くなるという問題が生じる。
【0015】また、このピッチ類の軟化点については5
0〜250℃、好ましくは70〜150℃であるのがよ
く、50℃未満では後述する焼成時に炭素歩留が著しく
低く、気孔形成が促進されて強度が低下し、また、25
0℃を越えると、成形時におけるピッチの流動性に乏し
く、炭素質粉末を濡らして結合させることが困難にな
り、気孔が多くなる。
0〜250℃、好ましくは70〜150℃であるのがよ
く、50℃未満では後述する焼成時に炭素歩留が著しく
低く、気孔形成が促進されて強度が低下し、また、25
0℃を越えると、成形時におけるピッチの流動性に乏し
く、炭素質粉末を濡らして結合させることが困難にな
り、気孔が多くなる。
【0016】上記非自己燒結性炭素粉末とピッチ類とを
混合して使用する場合の混合比については、非自己燒結
性炭素粉末が60〜85重量%、好ましくは70重量%
であって、ピッチ類が15〜40重量%、好ましくは3
0重量%である。非自己燒結性炭素粉末が60重量%未
満でピッチ類が40重量%を越えると、後述するプレス
成形時にピッチが鋳型から流れ出て歩留が低くなり、一
方、非自己燒結性炭素粉末が85重量%を越えてピッチ
類が15%に満たないと、結合剤であるピッチが不足
し、結合が形成されない場合がある。
混合して使用する場合の混合比については、非自己燒結
性炭素粉末が60〜85重量%、好ましくは70重量%
であって、ピッチ類が15〜40重量%、好ましくは3
0重量%である。非自己燒結性炭素粉末が60重量%未
満でピッチ類が40重量%を越えると、後述するプレス
成形時にピッチが鋳型から流れ出て歩留が低くなり、一
方、非自己燒結性炭素粉末が85重量%を越えてピッチ
類が15%に満たないと、結合剤であるピッチが不足
し、結合が形成されない場合がある。
【0017】本発明において、上記炭素質粉末に配合さ
れる短繊維状の炭素繊維としては、特にその種類は問わ
ず、PAN系炭素繊維は勿論、ピッチ系炭素繊維も使用
でき、また、その繊維長については1〜50mm、好ま
しくは1〜10mmであるのがよい。この繊維長さが5
0mmを越えると、後述する混練時に繊維同志の絡み合
いが発生し、いわゆる「だま状」の偏析が発生する。ま
た、繊維長が50mm以下であれば「だま状」の偏析は
ほとんど発生しなくなるが、10mmよりみじかければ
「だま状」の偏析の発生が皆無となる。一方、この繊維
長が1mm未満の場合には、短繊維強化材に対する臨界
繊維長さよりも小さくなるため(例えば、アグネ社発行
日本複合材料学会編「プラスチック基複合材料を知る事
典」21頁参照)、短繊維強化C/Cコンポジットの強
度向上を得ることができない。
れる短繊維状の炭素繊維としては、特にその種類は問わ
ず、PAN系炭素繊維は勿論、ピッチ系炭素繊維も使用
でき、また、その繊維長については1〜50mm、好ま
しくは1〜10mmであるのがよい。この繊維長さが5
0mmを越えると、後述する混練時に繊維同志の絡み合
いが発生し、いわゆる「だま状」の偏析が発生する。ま
た、繊維長が50mm以下であれば「だま状」の偏析は
ほとんど発生しなくなるが、10mmよりみじかければ
「だま状」の偏析の発生が皆無となる。一方、この繊維
長が1mm未満の場合には、短繊維強化材に対する臨界
繊維長さよりも小さくなるため(例えば、アグネ社発行
日本複合材料学会編「プラスチック基複合材料を知る事
典」21頁参照)、短繊維強化C/Cコンポジットの強
度向上を得ることができない。
【0018】この短繊維状炭素繊維の添加量について
は、炭素質粉末の重量に対して1〜20重量%、好まし
くは3〜5重量%であるのがよい。1重量%未満の添加
量では、形成焼成したC/Cコンポジットの力学特性の
向上がほとんど認められず、また、20重量%超の添加
量では焼成中に繊維がマトリックス炭素の収縮を妨げて
緻密化が阻害される。
は、炭素質粉末の重量に対して1〜20重量%、好まし
くは3〜5重量%であるのがよい。1重量%未満の添加
量では、形成焼成したC/Cコンポジットの力学特性の
向上がほとんど認められず、また、20重量%超の添加
量では焼成中に繊維がマトリックス炭素の収縮を妨げて
緻密化が阻害される。
【0019】本発明においては、上記炭素質粉末と短繊
維状炭素繊維とを混合する前に、1価アルコール及び2
価アルコールを添加する。ここで、1価アルコールとし
ては、常温液体のアルコールが用いられ、好ましくは炭
素数1〜3のメタノール、エタノール、プロピルアルコ
ールである。この1価アルコールの添加によって混練時
の流動性が保たれるほか、この1価アルコールが炭素質
粉末の表面を溶解し、これによって炭素繊維が均一に分
散されると同時に炭素質粉末との接着性が向上し、炭素
繊維が炭素質粉末上に均一に分散して溶着される。
維状炭素繊維とを混合する前に、1価アルコール及び2
価アルコールを添加する。ここで、1価アルコールとし
ては、常温液体のアルコールが用いられ、好ましくは炭
素数1〜3のメタノール、エタノール、プロピルアルコ
ールである。この1価アルコールの添加によって混練時
の流動性が保たれるほか、この1価アルコールが炭素質
粉末の表面を溶解し、これによって炭素繊維が均一に分
散されると同時に炭素質粉末との接着性が向上し、炭素
繊維が炭素質粉末上に均一に分散して溶着される。
【0020】しかしながら、1価アルコールは混練中に
揮発して流動性が著しく低下し、これが原因で混練時に
炭素繊維が「だま状」に偏析し易くなる。そこで、本発
明においては、この混練中の混合体の流動性を確保する
ために、上記1価アルコールに2価アルコールを併用し
て添加する。この2価アルコールとしては、エチレング
リコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコ
ール等が用いられるが、好ましくはエチレングリコール
である。2価アルコールの添加により混練中に混合体は
乾燥することなく、安定した混練が行われ、更に、混練
後にも混合体はその流動性を維持し、金型への均一充填
が容易になるという利点が生じる。
揮発して流動性が著しく低下し、これが原因で混練時に
炭素繊維が「だま状」に偏析し易くなる。そこで、本発
明においては、この混練中の混合体の流動性を確保する
ために、上記1価アルコールに2価アルコールを併用し
て添加する。この2価アルコールとしては、エチレング
リコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコ
ール等が用いられるが、好ましくはエチレングリコール
である。2価アルコールの添加により混練中に混合体は
乾燥することなく、安定した混練が行われ、更に、混練
後にも混合体はその流動性を維持し、金型への均一充填
が容易になるという利点が生じる。
【0021】上記1価アルコールの添加量は、炭素質粉
末の重量に対して、5〜40重量%、好ましくは10重
量%程度である。この1価アルコールの添加量が5重量
%未満では炭素質粉末及び炭素繊維を濡らすことができ
ず、均等に混合することができなくなり、反対に、40
重量%超では流動性が大きくなりすぎ、炭素質粉末と炭
素繊維との混合時にサイズの差異に起因して抵抗差が生
じ、かえって均一な混合ができなくなる。すなわち、流
動性が高くシャバシャバの液内で混合する場合には、1
本当りの表面積が小さい炭素繊維は混合攪拌力を有効に
活用できず、浮上分離し易く、一方、表面積が大きな粉
体は、シャバシャバの液内で沈降し易いことを指してい
る。
末の重量に対して、5〜40重量%、好ましくは10重
量%程度である。この1価アルコールの添加量が5重量
%未満では炭素質粉末及び炭素繊維を濡らすことができ
ず、均等に混合することができなくなり、反対に、40
重量%超では流動性が大きくなりすぎ、炭素質粉末と炭
素繊維との混合時にサイズの差異に起因して抵抗差が生
じ、かえって均一な混合ができなくなる。すなわち、流
動性が高くシャバシャバの液内で混合する場合には、1
本当りの表面積が小さい炭素繊維は混合攪拌力を有効に
活用できず、浮上分離し易く、一方、表面積が大きな粉
体は、シャバシャバの液内で沈降し易いことを指してい
る。
【0022】また、上記2価アルコールの添加量として
は、炭素質粉末の重量に対して、5〜15重量%、好ま
しくは10重量%程度である。この添加量が5重量%未
満の場合には混練中の流動性確保が困難であり、反対
に、15重量%超の場合には流動性が低下し均一に繊維
が混合されない。
は、炭素質粉末の重量に対して、5〜15重量%、好ま
しくは10重量%程度である。この添加量が5重量%未
満の場合には混練中の流動性確保が困難であり、反対
に、15重量%超の場合には流動性が低下し均一に繊維
が混合されない。
【0023】本発明において、1価アルコール及び2価
アルコールの存在下に行う短繊維状炭素繊維と炭素質粉
末との混練は、ニーダー、二軸混練機等の従来この種の
混練操作に用いられている混練機を用いて、約1時間程
度で行うことができ、また、この混練としてホイッパ
ー、ピーター等を駆動させるミキサーを用いることもで
きる。
アルコールの存在下に行う短繊維状炭素繊維と炭素質粉
末との混練は、ニーダー、二軸混練機等の従来この種の
混練操作に用いられている混練機を用いて、約1時間程
度で行うことができ、また、この混練としてホイッパ
ー、ピーター等を駆動させるミキサーを用いることもで
きる。
【0024】本発明方法により得られたC/Cコンポジ
ット前駆体は、従来の前駆体と較べて、混合体の粘性及
び繊維のピッチへの接着性が最適となり、炭素繊維は数
千本の束から充分にほぐされ、「だま状」の偏析の発生
もなく、均一に繊維が分散されているほか、流動性を有
するのでこの前駆体の嵩を小さくすることができる。
ット前駆体は、従来の前駆体と較べて、混合体の粘性及
び繊維のピッチへの接着性が最適となり、炭素繊維は数
千本の束から充分にほぐされ、「だま状」の偏析の発生
もなく、均一に繊維が分散されているほか、流動性を有
するのでこの前駆体の嵩を小さくすることができる。
【0025】このようにして得られた本発明のC/Cコ
ンポジット前駆体を用いてC/Cコンポジットを製造す
るには、公知の方法で行えばよく、例えば下記の手順で
成形及び焼成を行うことができる。先ず、前駆体を15
0〜350℃、好ましくは200℃前後で、100〜3
00kg/cm2 、好ましくは250kg/cm2 前後
の条件下で一軸プレス成形し、次いで得られた成形体を
大気圧下の窒素雰囲気中で600〜1,200℃、好ま
しくは1,000℃前後で1時間程度焼成する。
ンポジット前駆体を用いてC/Cコンポジットを製造す
るには、公知の方法で行えばよく、例えば下記の手順で
成形及び焼成を行うことができる。先ず、前駆体を15
0〜350℃、好ましくは200℃前後で、100〜3
00kg/cm2 、好ましくは250kg/cm2 前後
の条件下で一軸プレス成形し、次いで得られた成形体を
大気圧下の窒素雰囲気中で600〜1,200℃、好ま
しくは1,000℃前後で1時間程度焼成する。
【0026】また、上記の方法で得られたC/Cコンポ
ジットがそのままでは気孔率が高く、所要の強度が得ら
れない場合には、軟化点50〜120℃、好ましくは8
0℃程度のピッチを含浸させた後に再び窒素雰囲気中約
1,000℃で焼成する含浸−焼成の操作を適宜回数繰
り返す。そして、更に、必要に応じて、2,000℃以
上の黒鉛化処理を施す。
ジットがそのままでは気孔率が高く、所要の強度が得ら
れない場合には、軟化点50〜120℃、好ましくは8
0℃程度のピッチを含浸させた後に再び窒素雰囲気中約
1,000℃で焼成する含浸−焼成の操作を適宜回数繰
り返す。そして、更に、必要に応じて、2,000℃以
上の黒鉛化処理を施す。
【0027】
【作用】本発明方法で製造される短繊維強化C/Cコン
ポジット前駆体においては「だま状」の繊維の偏析がほ
とんど観察されず、配合した炭素繊維がピッチ粉の周り
に1本づつ分離して接着していた。すなわち、「だま
状」の偏析は観察されず、また繊維が充分にほぐされ
(解繊され)てピッチ粉に1本づつ分離して接着し、良
好な分散状態を示していた。これは、炭素繊維と炭素質
粉末との接着性を増す1価アルコールの添加に加えて、
混練時の流動性を確保する2価アルコールの添加による
ものと考えられる。また、前駆体を積層してプレス成形
する場合、前駆体が濡れているためにその嵩を小さくで
き、製造効率も向上する。
ポジット前駆体においては「だま状」の繊維の偏析がほ
とんど観察されず、配合した炭素繊維がピッチ粉の周り
に1本づつ分離して接着していた。すなわち、「だま
状」の偏析は観察されず、また繊維が充分にほぐされ
(解繊され)てピッチ粉に1本づつ分離して接着し、良
好な分散状態を示していた。これは、炭素繊維と炭素質
粉末との接着性を増す1価アルコールの添加に加えて、
混練時の流動性を確保する2価アルコールの添加による
ものと考えられる。また、前駆体を積層してプレス成形
する場合、前駆体が濡れているためにその嵩を小さくで
き、製造効率も向上する。
【0028】
【実施例】以下、実施例及び比較例に基づいて、本発明
を具体的に説明する。
を具体的に説明する。
【0029】実施例1 非自己燒結性炭素粉末である加工粉末60重量部(粉体
径50μm)と、平均径15μm及び軟化点80℃のバ
インダーピッチ37重量部と、6mmに切断したPAN
系炭素繊維3重量部とを秤量後、エタノール30重量部
及びエチレングリコール10重量部を添加し、ニーダー
を用いてこれらを室温で1時間混練し、C/Cコンポジ
ット前駆体を得た。得られた前駆体には、繊維の「だま
状」の偏析は認められなかった。
径50μm)と、平均径15μm及び軟化点80℃のバ
インダーピッチ37重量部と、6mmに切断したPAN
系炭素繊維3重量部とを秤量後、エタノール30重量部
及びエチレングリコール10重量部を添加し、ニーダー
を用いてこれらを室温で1時間混練し、C/Cコンポジ
ット前駆体を得た。得られた前駆体には、繊維の「だま
状」の偏析は認められなかった。
【0030】次に、このようにして得られた前駆体を金
型に挿入し、200℃及び250kg/cm2 の条件で
1時間プレス成形を行った。冷却後得られた1次成形体
の嵩比率は1.80であった。
型に挿入し、200℃及び250kg/cm2 の条件で
1時間プレス成形を行った。冷却後得られた1次成形体
の嵩比率は1.80であった。
【0031】更に、上記1次成形体を窒素雰囲気中で5
0時間かけて1,000℃まで昇温させ、焼成体を得
た。得られた焼成体の嵩比重は約1.70であり、炭素
繊維は焼成体中にほぼ均等に分散しており、偏析は認め
られなかった。また、この焼結体の強度を断面10mm
×10mm、スパン50mmにて測定した結果、曲げ強
度は200MPaであり、また、曲げ弾性率は30GP
aであった。
0時間かけて1,000℃まで昇温させ、焼成体を得
た。得られた焼成体の嵩比重は約1.70であり、炭素
繊維は焼成体中にほぼ均等に分散しており、偏析は認め
られなかった。また、この焼結体の強度を断面10mm
×10mm、スパン50mmにて測定した結果、曲げ強
度は200MPaであり、また、曲げ弾性率は30GP
aであった。
【0032】実施例2 自己燒結性生コークス70重量部(粉体径15μm、揮
発分10重量%)と、非自己燒結性炭素粉末の加工粉末
20重量部(粉体径50μm)と、平均径15μm及び
軟化点80℃のバインダーピッチ10重量部と、6mm
に切断したPAN系炭素繊維3重量部とを秤量後、エタ
ノール15重量部及びエチレングリコール10重量部を
添加し、実施例1と同様にして混練し、C/Cコンポジ
ット前駆体を得た。得られた前駆体には、繊維の「だま
状」の偏析は認められなかった。
発分10重量%)と、非自己燒結性炭素粉末の加工粉末
20重量部(粉体径50μm)と、平均径15μm及び
軟化点80℃のバインダーピッチ10重量部と、6mm
に切断したPAN系炭素繊維3重量部とを秤量後、エタ
ノール15重量部及びエチレングリコール10重量部を
添加し、実施例1と同様にして混練し、C/Cコンポジ
ット前駆体を得た。得られた前駆体には、繊維の「だま
状」の偏析は認められなかった。
【0033】次に、上記実施例1と同様にして一次成形
体を製造した後、これを焼成してC/Cコンポジットを
製造した。この際に得られた1次成形体及び焼成体の嵩
比重は各々1.75、1.80であった。また、実施例
1と同様にして測定した焼結体の強度は、曲げ強度が1
80MPaであって、曲げ弾性率が40GPaであっ
た。
体を製造した後、これを焼成してC/Cコンポジットを
製造した。この際に得られた1次成形体及び焼成体の嵩
比重は各々1.75、1.80であった。また、実施例
1と同様にして測定した焼結体の強度は、曲げ強度が1
80MPaであって、曲げ弾性率が40GPaであっ
た。
【0034】実施例3 自己燒結性生コークス100重量部(粉体径15μm、
揮発分10重量%)と、6mmに切断したPAN系炭素
繊維3重量部とを秤量後、エタノール15重量部及びエ
チレングリコール10重量部を添加し、実施例1と同様
にして混練し、C/Cコンポジット前駆体を得た。得ら
れた前駆体には、繊維の「だま状」の偏析は認められな
かった。
揮発分10重量%)と、6mmに切断したPAN系炭素
繊維3重量部とを秤量後、エタノール15重量部及びエ
チレングリコール10重量部を添加し、実施例1と同様
にして混練し、C/Cコンポジット前駆体を得た。得ら
れた前駆体には、繊維の「だま状」の偏析は認められな
かった。
【0035】次に、上記実施例1と同様にして一次成形
体を製造した後、これを焼成してC/Cコンポジットを
製造した。この際に得られた1次成形体及び焼成体の嵩
比重は各々1.70、1.75であった。また、実施例
1と同様にして測定した焼結体の強度は、曲げ強度が1
60MPaであって、曲げ弾性率が45GPaであっ
た。
体を製造した後、これを焼成してC/Cコンポジットを
製造した。この際に得られた1次成形体及び焼成体の嵩
比重は各々1.70、1.75であった。また、実施例
1と同様にして測定した焼結体の強度は、曲げ強度が1
60MPaであって、曲げ弾性率が45GPaであっ
た。
【0036】実施例4 自己燒結性生コークス80重量部(粉体径15μm、揮
発分10重量%)と、非自己燒結性炭素粉末である加工
粉末20重量部(粉体径50μm)と、平均径15μm
及び6mmに切断したPAN系炭素繊維3重量部とを秤
量後、エタノール15重量部及びエチレングリコール1
0重量部を添加し、実施例1と同様にして混練し、C/
Cコンポジット前駆体を得た。得られた前駆体には、繊
維の「だま状」の偏析は認められなかった。
発分10重量%)と、非自己燒結性炭素粉末である加工
粉末20重量部(粉体径50μm)と、平均径15μm
及び6mmに切断したPAN系炭素繊維3重量部とを秤
量後、エタノール15重量部及びエチレングリコール1
0重量部を添加し、実施例1と同様にして混練し、C/
Cコンポジット前駆体を得た。得られた前駆体には、繊
維の「だま状」の偏析は認められなかった。
【0037】次に、上記実施例1と同様にして一次成形
体を製造した後、これを焼成してC/Cコンポジットを
製造した。この際に得られた1次成形体及び焼成体の嵩
比重は各々1.75、1.80であった。また、実施例
1と同様にして測定した焼結体の強度は、曲げ強度が1
85MPaであって、曲げ弾性率が47GPaであっ
た。
体を製造した後、これを焼成してC/Cコンポジットを
製造した。この際に得られた1次成形体及び焼成体の嵩
比重は各々1.75、1.80であった。また、実施例
1と同様にして測定した焼結体の強度は、曲げ強度が1
85MPaであって、曲げ弾性率が47GPaであっ
た。
【0038】比較例1 非自己燒結性炭素粉末である加工粉末60重量部(粉体
径50μm)と、平均径15μm及び軟化点80℃のバ
インダーピッチ37重量部と、6mmに切断したPAN
系炭素繊維3重量部とを秤量し、実施例1と同様にして
混練し、C/Cコンポジット前駆体を得た。得られた前
駆体は、繊維が「だま状」に偏析していた。
径50μm)と、平均径15μm及び軟化点80℃のバ
インダーピッチ37重量部と、6mmに切断したPAN
系炭素繊維3重量部とを秤量し、実施例1と同様にして
混練し、C/Cコンポジット前駆体を得た。得られた前
駆体は、繊維が「だま状」に偏析していた。
【0039】次に、上記実施例1と同様にして一次成形
体を製造した後、これを焼成してC/Cコンポジットを
製造した。この際に得られた1次成形体及び焼成体の嵩
比重は各々1.65、1.55であった。また、実施例
1と同様にして測定した焼結体の強度は、曲げ強度が5
0MPaであって、曲げ弾性率が10GPaであった。
更に、この焼成体中で繊維が「だま状」に偏析してお
り、その近傍には大きな空隙が観察された。
体を製造した後、これを焼成してC/Cコンポジットを
製造した。この際に得られた1次成形体及び焼成体の嵩
比重は各々1.65、1.55であった。また、実施例
1と同様にして測定した焼結体の強度は、曲げ強度が5
0MPaであって、曲げ弾性率が10GPaであった。
更に、この焼成体中で繊維が「だま状」に偏析してお
り、その近傍には大きな空隙が観察された。
【0040】比較例2 非自己燒結性炭素粉末である加工粉末60重量部(粉体
径30μm)と、平均径15μm及び軟化点80℃のバ
インダーピッチ37重量部と、6mmに切断したPAN
系炭素繊維3重量部とを秤量後、エタノール30重量部
のみを添加し、実施例1と同様にして混練し、C/Cコ
ンポジット前駆体を得た。得られた前駆体は、繊維が
「だま状」に偏析していた。
径30μm)と、平均径15μm及び軟化点80℃のバ
インダーピッチ37重量部と、6mmに切断したPAN
系炭素繊維3重量部とを秤量後、エタノール30重量部
のみを添加し、実施例1と同様にして混練し、C/Cコ
ンポジット前駆体を得た。得られた前駆体は、繊維が
「だま状」に偏析していた。
【0041】次に、上記実施例1と同様にして一次成形
体を製造した後、これを焼成してC/Cコンポジットを
製造した。この際に得られた1次成形体及び焼成体の嵩
比重は各々1.65、1.55であった。また、実施例
1と同様にして測定した焼結体の強度は、曲げ強度が7
0MPaであって、曲げ弾性率が10GPaであった。
更に、この焼成体は繊維が「だま状」に偏析していた。
体を製造した後、これを焼成してC/Cコンポジットを
製造した。この際に得られた1次成形体及び焼成体の嵩
比重は各々1.65、1.55であった。また、実施例
1と同様にして測定した焼結体の強度は、曲げ強度が7
0MPaであって、曲げ弾性率が10GPaであった。
更に、この焼成体は繊維が「だま状」に偏析していた。
【0042】比較例3 非自己燒結性炭素粉末である加工粉末80重量部(粉体
径30μm)と、平均径15μm及び軟化点80℃のバ
インダーピッチ17重量部と、6mmに切断したPAN
系炭素繊維3重量部とを秤量後、エチレングリコール1
0重量部のみを添加し、実施例1と同様にして混練し、
C/Cコンポジット前駆体を得た。 得られた前駆体
は、繊維が「だま状」に偏析していた。
径30μm)と、平均径15μm及び軟化点80℃のバ
インダーピッチ17重量部と、6mmに切断したPAN
系炭素繊維3重量部とを秤量後、エチレングリコール1
0重量部のみを添加し、実施例1と同様にして混練し、
C/Cコンポジット前駆体を得た。 得られた前駆体
は、繊維が「だま状」に偏析していた。
【0043】次に、上記実施例1と同様にして一次成形
体を製造した後、これを焼成してC/Cコンポジットを
製造した。この際に得られた1次成形体及び焼成体の嵩
比重は各々1.55、1.30であった。また、実施例
1と同様にして測定した焼結体の強度は、曲げ強度が3
0MPaであって、曲げ弾性率が8GPaであった。更
に、この焼成体おいては繊維が「だま状」に偏析し、し
かも、1次成形時に発生した空隙がそのまま残存してい
ることが確認された。
体を製造した後、これを焼成してC/Cコンポジットを
製造した。この際に得られた1次成形体及び焼成体の嵩
比重は各々1.55、1.30であった。また、実施例
1と同様にして測定した焼結体の強度は、曲げ強度が3
0MPaであって、曲げ弾性率が8GPaであった。更
に、この焼成体おいては繊維が「だま状」に偏析し、し
かも、1次成形時に発生した空隙がそのまま残存してい
ることが確認された。
【0044】以上の実施例及び比較例から、混練時に分
散性付与のためのエチレングリコールと流動性付与のた
めエタノールとを添加すると、炭素繊維は炭素質粉末中
に均一に分散され、製造されるC/Cコンポジットの力
学特性が向上することが判明した。また、これら実施例
と比較例とを比較することによって、本発明の前駆体を
用いて作成した短繊維強化C/Cコンポジットはその嵩
密度が著しく向上しており、しかも、炭素繊維の均一分
散により曲げ強度や曲げ弾性率等の力学特性が著しく向
上することが明かになった。
散性付与のためのエチレングリコールと流動性付与のた
めエタノールとを添加すると、炭素繊維は炭素質粉末中
に均一に分散され、製造されるC/Cコンポジットの力
学特性が向上することが判明した。また、これら実施例
と比較例とを比較することによって、本発明の前駆体を
用いて作成した短繊維強化C/Cコンポジットはその嵩
密度が著しく向上しており、しかも、炭素繊維の均一分
散により曲げ強度や曲げ弾性率等の力学特性が著しく向
上することが明かになった。
【0045】
【発明の効果】本発明方法によれば、マトリックス炭素
中に短繊維状炭素繊維が均一に分散したC/Cコンポジ
ット前駆体を容易に得ることができ、この前駆体を用い
て製造される短繊維強化C/Cコンポジットの力学特性
を向上させることができ、耐摩耗性部材として好適に使
用できるC/Cコンポジットを製造することができる。
また、本発明方法により得られたC/Cコンポジット前
駆体は、この前駆体中で炭素繊維が充分に均一に分散し
ているので、この前駆体が均一に収縮でき、これによっ
て従来のC/Cコンポジットとは異なり、緻密な製品が
得られ、緻密化のためのピッチ含浸工程を省略あるいは
短縮することができ、それだけ製造工程が短縮される。
更に、本発明で得られたC/Cコンポジット前駆体を用
いて短繊維強化C/Cコンポジットをプレス成形する場
合、前駆体に流動性があるために容易に金型内へ挿入で
き、この点でもC/Cコンポジットの製造効率が向上す
る。
中に短繊維状炭素繊維が均一に分散したC/Cコンポジ
ット前駆体を容易に得ることができ、この前駆体を用い
て製造される短繊維強化C/Cコンポジットの力学特性
を向上させることができ、耐摩耗性部材として好適に使
用できるC/Cコンポジットを製造することができる。
また、本発明方法により得られたC/Cコンポジット前
駆体は、この前駆体中で炭素繊維が充分に均一に分散し
ているので、この前駆体が均一に収縮でき、これによっ
て従来のC/Cコンポジットとは異なり、緻密な製品が
得られ、緻密化のためのピッチ含浸工程を省略あるいは
短縮することができ、それだけ製造工程が短縮される。
更に、本発明で得られたC/Cコンポジット前駆体を用
いて短繊維強化C/Cコンポジットをプレス成形する場
合、前駆体に流動性があるために容易に金型内へ挿入で
き、この点でもC/Cコンポジットの製造効率が向上す
る。
フロントページの続き (72)発明者 平野 兼次 神奈川県川崎市中原区井田1618番地、新日 本製鐵株式会社先端技術研究所内 (72)発明者 向井 幸一郎 神奈川県川崎市中原区井田1618番地、新日 本製鐵株式会社先端技術研究所内
Claims (3)
- 【請求項1】 5〜40重量%の1価アルコールと5〜
15重量%の2価アルコールの存在下に、短繊維状炭素
繊維と、結合成分を含むか及び/又は結合成分が配合さ
れた炭素質粉末とを混合し、混練することを特徴とする
短繊維強化C/Cコンポジット前駆体の製造方法。 - 【請求項2】 炭素質粉末が、ピッチ類を配合した炭素
粉末及び/又は自己燒結性生コークスである請求項1記
載の短繊維強化C/Cコンポジット前駆体の製造方法。 - 【請求項3】 1価アルコール及び2価アルコールが、
炭素数1〜3の1価アルコール及び2価アルコールであ
る請求項1記載の短繊維強化C/Cコンポジット前駆体
の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6098619A JPH07309678A (ja) | 1994-05-12 | 1994-05-12 | 短繊維強化c/cコンポジット前駆体の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6098619A JPH07309678A (ja) | 1994-05-12 | 1994-05-12 | 短繊維強化c/cコンポジット前駆体の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07309678A true JPH07309678A (ja) | 1995-11-28 |
Family
ID=14224577
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP6098619A Withdrawn JPH07309678A (ja) | 1994-05-12 | 1994-05-12 | 短繊維強化c/cコンポジット前駆体の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH07309678A (ja) |
-
1994
- 1994-05-12 JP JP6098619A patent/JPH07309678A/ja not_active Withdrawn
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20010731 |