JP3404498B2 - 短繊維強化c/cコンポジットの製造方法 - Google Patents
短繊維強化c/cコンポジットの製造方法Info
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Description
た短繊維強化C/Cコンポジットの製造方法に関する。
本材料は、自動車等の高速車両の摩擦式ブレーキ等へ適
用することができる。 【0002】 【従来の技術】一般に炭素繊維強化複合材料(C/Cコ
ンポジット)は、PAN系、ピッチ系等の炭素繊維の長
・短繊維にフェノール樹脂、フラン樹脂などの熱硬化性
樹脂、あるいはピッチなどの熱可塑性成分を含浸、また
は混合して加熱成形したものを、非酸化性雰囲気中にお
いて600―1000℃に焼成することにより得られ
る。 【0003】実用のために強度が不足する場合は、更に
緻密化のため熱硬化樹脂またはピッチ等を含浸した後焼
成する。 【0004】高強度化のためにはこの含浸及び焼成を数
回繰り返す。このようにC/Cコンポジットは前述のよ
うに加熱、冷却をなんども繰り返して製造されているた
め製造期間が著しく長くなることが欠点であった。 【0005】また、C/Cコンポジットの硬さは比較的
低く、硬い相手材との摺動では、優先的にC/Cコンポ
ジットが摩耗され、その寿命が短いのが欠点でもあっ
た。 【0006】C/Cコンポジットの硬さを増すために
は、マトリックスである炭素にセラミック粉を添加する
ことはよく知られている。 【0007】例えば、複合材料へのセラミックの添加の
手法としては、例えば、特開平1―183577号公報
に見られるように炭素繊維の表面に負に帯電したセラミ
ック微粒子を付着させる方法が知られている。 【0008】しかしながら、この手法を適用したセラミ
ック添加C/Cコンポジットは炭素繊維へのセラミック
の付着が均一でなく、そのため空隙が発生し易く強度の
ばらつきが大きいことに加え、摺動部材として用いた場
合に欠けが生ずる等の問題があった。 【0009】また、セラミック粉体をそのままマトリッ
クス中に添加した場合には、マトリックスの樹脂または
ピッチと比重が異なるため均一に添加することは困難で
あった。 【0010】 【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、従来
のセラミックを添加した短繊維強化C/Cコンポジット
の製造法よりも、セラミック粒子の分散性に優れ、且つ
短期間にセラミック添加C/Cコンポジットを容易に得
ることができる製造方法を提供することにある。 【0011】 【課題を解決するための手段】本発明は、原料ピッチを
その軟化点温度以上でセラミック粉と混合し、前記混合
物を冷却した後に粉砕したマトリックス原料と、水等の
液媒中で短繊維状炭素繊維とを均一混合させて短繊維強
化C/Cコンポジット前駆体を用意し、該前駆体を不活
性雰囲気中で400〜1200℃に拘束加熱して焼成し
賦形をした後、さらに真空中または不活性雰囲気中、セ
ラミック粉の分解温度以下で、50kg/cm2以上の
条件下に加熱・加圧処理を施すことを特徴とする短繊維
強化C/Cコンポジットの製造方法である。 【0012】以下に本発明の内容を製造工程に沿ってさ
らに詳細に説明する。 【0013】(1)本発明ではまず原料となるピッチを
その軟化点温度以上でセラミック粉と混合してセラミッ
クス添加ピッチを得る。該ピッチを冷却した後、約20
μm程度の平均粒径に粉砕する。 【0014】原料ピッチに添加するセラミック粉として
は、例えばSiC、BN等の炭化物及び窒化物を用いる
ことができる。また、ZrB2のようなほう化物も用い
ることができる。 【0015】また、用いるセラミック粉体の粒径は、粉
砕後の粒径(約20μm程度)よりも小さければいずれ
も適用可能であるが、セラミック粉を均一分散するため
には0.5〜7μm程度の平均粒径が好ましい。 【0016】これらセラミック粉はC/Cコンポジット
中では樹脂等から生成されるマトリックス炭素よりも硬
い粉として存在する。また、セラミック粉体は、その分
解温度以下では、熱的に安定である。 【0017】そのため、製造されるC/Cコンポジット
素材内の気孔が著しく低下できると共に、セラミック粉
の硬さが高いため、セラミック添加C/Cコンポジット
の硬さはセラミックスを添加しないC/Cコンポジット
と較べ著しく高いという特徴を有する。 【0018】従って、C/Cコンポジット中マトリック
ス炭素よりも硬いセラミックスであれば、何れのセラミ
ック粉も適用ができ、C/Cコンポジット素材の硬さを
高くすることが可能である。 【0019】(2)その後、1〜25mmの短繊維状の
炭素繊維と前記粉砕ピッチとを水等の液媒中で混合攪拌
してスラリー状とする。 【0020】該スラリーを金網等に保持しつつ、金網背
面から真空ポンプ等で吸引濾過し、ピッチ類及び炭素繊
維を均一分散させたC/Cコンポジットの前駆体を製造
する。 【0021】この前駆体は、短繊維状の炭素繊維が絡み
合っているため嵩高く、実用のためにはプレス等を用い
て拘束加熱し、形状を賦与すると共に緻密化する必要が
ある。 【0022】(3)該前駆体数枚を製品厚みに応じて積
層した後、プレス又は金属板等で拘束保持し、不活性雰
囲気中でピッチ類の溶融温度以上且つ1200℃以下で
焼成し、賦形を行う。 【0023】賦形化の段階では、該前駆体は炭素繊維の
絡み合いが大きいため嵩高く、しかもピッチ類の溶融温
度未満では結合剤となるピッチ類が溶融しないために賦
形が困難となる。 【0024】そこで、繊維の絡み合いに起因する低比重
前駆体をプレス等を用いて機械的に圧縮する事により緻
密化すると共に、ピッチ類の溶融温度以上に加熱する事
により炭素繊維間をピッチにより接着することで賦形が
可能となる。 【0025】一方、1200℃超で拘束保持しながら焼
成した場合にはピッチ類中の揮発分の揮発が充分に行わ
れ、それ以下の焼成温度での加熱・加圧と大きな差異が
認められなかった。温度範囲で加熱・加圧することによ
り形状保持を容易に行なうことができる。 【0026】即ち、該前駆体からセラミック添加C/C
コンポジットを賦形するための温度としては、ピッチ類
の結合剤としての強度が発現される400℃以上が好ま
しい。 【0027】また、400℃未満での焼成では、該仮焼
体に含まれるピッチ類中の揮発分が多いため、後工程と
なる高温加熱・加圧を実施する際、該装置中に揮発分を
大量に導入するため経済的な炉操作が困難になってしま
うという欠点もある。 【0028】(4)その後、上記賦形体は炭素繊維含有
率が低いのに加え、気孔率が高く実用上の嵩密度を得る
のに充分ではないため、その後セラミック粉の分解温度
以下で、50kg/cm2以上の条件下で、真空中また
は窒素、アルゴン等の不活性雰囲気中において加熱・加
圧することによって短期間に高密度の短繊維強化C/C
コンポジットが得られる。 【0029】C/Cコンポジット前駆体の酸化による劣
化を防止する点から、この加熱・加圧は真空中または不
活性雰囲気下で行うことが必要である。 【0030】また、必要に応じ高温での加熱・加圧後
に、ピッチ類または熱硬化性樹脂等を含浸した後に10
00℃程度まで焼成することによってより一層の嵩密度
の向上を図ることができる。 【0031】この高温での加熱・加圧処理を添加したセ
ラミック粉体の分解温度超で行った場合には、優先的に
セラミック粉体が昇華消失し、高密度化の達成は困難で
ある。 【0032】例えば、セラミックスがSiCの場合に
は、1700℃超での高温加熱・加圧でSiCの分解が
促進された。また、BNでは2000℃超の温度では分
解が生ずる。 【0033】このように添加したセラミックスの分解温
度を越えて加熱した場合には、セラミックスを添加した
C/Cコンポジットの緻密化は困難であった。 【0034】なお、50kg/cm2未満の条件では緻
密化が促進されず、高密度のセラミック添加C/Cコン
ポジットは得られない。 【0035】好ましくは100kg/cm2の条件でよ
り高い嵩密度のC/Cコンポジットが得られる。 【0036】 【実施例】次いで、本発明を実施例により比較例と対比
しながら具体的に説明する。 【0037】 【実施例1】原料のピッチ(軟化点240℃)9部及び
平均粒径5μmのSiC8部(重量比)を、該ピッチの
軟化温度以上である300℃で2軸混練機を用いて1時
間混練し、ピッチとSiCを十分に混合均一化した。 【0038】冷却後、この混合物を粉砕機を用いて平均
粒径20μmに粉砕し、セラミック添加ピッチの微粉体
を得た。 【0039】短繊維状炭素繊維(平均長さ12mm)及
び前記の微粉体を、それぞれ重量比1:0.9の割合で
水中で均一分散し、セラミック添加C/Cコンポジット
の前駆体を得た。この前駆体をプレス用の金型に挿入し
た後、プレス圧力100kg/cm2を印加しながら室
温から600℃まで窒素流れ中50℃/分の条件で加熱
して焼成し、賦形を行った。 【0040】その後、より一層の緻密化のため、ホット
プレスを用いて、窒素雰囲気中、100kg/cm2の
加圧下で室温から1500℃まで10℃/分の昇温速度
で加熱した。 【0041】この結果、各条件下に於ける素材の嵩比
重、気孔率他は第1表のように向上した。 【0042】 【表1】 【0043】尚、及びの処理は、2日で完了するこ
とができた。 【0044】この製品のSiC量を定量分析した結果、
製品中には12体積%のSiCが含まれている事が判明
し、添加したSiCが均一にほぼ100%の歩留で製品
中に残存している事が明かとなった。 【0045】 【実施例2】実施例1の前駆体を金属板(鉄板)で拘束
した後、600℃まで実施例1の昇温条件及び雰囲気で
加熱炉中で加熱した。引続き、実施例1の条件で緻密化
を行った。 【0046】 【表2】 【0047】この結果、各条件下に於ける素材の嵩比重
は第2表のように向上した。 【0048】この製品のSiC量を定量分析した結果、
製品中には12体積%のSiCが含まれている事が判明
し、添加したSiCが均一にほぼ100%の歩留で製品
中に残存している事が明かとなった。 【0049】 【比較例1】賦形後のセラミックスの分解温度以下での
ホットプレスの効果を確認するために下記のプロセスで
セラミック添加C/Cコンポジットを試作した。 【0050】実施例1の前駆体を用い、プレス用金型中
で実施例1と同様に賦形を行った。その後、直ちにピッ
チ類を含浸し、炭化する工程を4回繰り返し、緻密化を
行った。その結果、第3表の短繊維強化C/Cコンポジ
ットが得られた。 【0051】 【表3】 【0052】この様に、セラミックスの分解温度以下で
のホットプレスを省略した場合には、C/Cコンポジッ
ト中の繊維含有率が低く、曲げ強度が実施例1よりも低
かった。また、試作に要する期間は実施例1に比べ著し
く長くなるという欠点もあった。 【0053】 【比較例2】セラミック添加の効果を把握するため、実
施例1のセラミック粉を用いない前駆体を作製し、実施
例1と同様な手法で緻密化を行った。 【0054】この結果、各条件下に於ける素材の嵩比
重、気孔率他は第4表のように向上した。 【0055】 【表4】 【0056】この様に、セラミックスが添加されていな
い場合には硬さが実施例1のセラミック添加C/Cコン
ポジットと較べ、著しく低いということが判明した。 【0057】実施例及び比較例を比較することによっ
て、本法を用いて作成した短繊維強化C/Cコンポジッ
トは嵩密度の向上が著しく大きいのに加え、所要期間も
大幅に短縮できることが明らかである。 【0058】実施例1で試作した短繊維強化C/Cコン
ポジットのブレーキ材としての評価を行った結果、セラ
ミック粉の添加により製品は高い硬度を有するため、比
較例2よりも摩耗が著しく少なくなることが判明した。 【0059】また、実施例1で試作したセラミック添加
C/Cコンポジットを、相手材として高硬度である鋳
鉄、コンクリートと摩耗試験を行った結果、比較例2の
素材よりも著しく摩耗が少なくなることも判明した。 【0060】これは、セラミック添加による硬さの向上
の効果が現れた結果であり、従来C/Cコンポジットの
硬さが低いことにより適用が困難であった高硬度材を相
手材とする摺動部材にも適用可能であることを示してい
る。 【0061】 【発明の効果】本法では通常のプレスまたは炭化炉及び
高温加熱加圧装置を用い、セラミックスを添加した短繊
維強化C/Cコンポジット前駆体から、短期間で嵩密度
の高いC/Cコンポジットを得る事ができた。更に、セ
ラミックスを添加することにより著しく硬さの高いC/
Cコンポジットが得られた。 【0062】この製造法で得た短繊維強化C/Cコンポ
ジットをブレーキ材料として評価した結果、著しく摩耗
が少ないという利点を合わせ持つことも判明した。
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 原料ピッチをその軟化点温度以上でセラ
ミック粉と混合し、前記混合物を冷却した後に粉砕した
マトリックス原料を、液媒中で短繊維状炭素繊維と均一
混合させて短繊維強化C/Cコンポジット前駆体とし、
前記前駆体を不活性雰囲気中で400〜1200℃に拘
束加熱して焼成し賦形した後、さらに真空中または不活
性雰囲気中、セラミック粉の分解温度以下で、50kg
/cm2以上の条件下に加熱・加圧処理を施すことを特
徴とする短繊維強化C/Cコンポジットの製造法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11242493A JP3404498B2 (ja) | 1993-04-16 | 1993-04-16 | 短繊維強化c/cコンポジットの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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---|---|---|---|
JP11242493A JP3404498B2 (ja) | 1993-04-16 | 1993-04-16 | 短繊維強化c/cコンポジットの製造方法 |
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JPH06305832A JPH06305832A (ja) | 1994-11-01 |
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---|---|---|---|
JP11242493A Expired - Fee Related JP3404498B2 (ja) | 1993-04-16 | 1993-04-16 | 短繊維強化c/cコンポジットの製造方法 |
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CN116655397B (zh) * | 2023-07-28 | 2023-10-27 | 浙江德鸿碳纤维复合材料有限公司 | 一种基于短碳纤维的碳/碳复合材料及其制备方法 |
-
1993
- 1993-04-16 JP JP11242493A patent/JP3404498B2/ja not_active Expired - Fee Related
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