JPH07306789A - エキスパートシステムにおける推論制御方法および装置 - Google Patents

エキスパートシステムにおける推論制御方法および装置

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JPH07306789A
JPH07306789A JP6120590A JP12059094A JPH07306789A JP H07306789 A JPH07306789 A JP H07306789A JP 6120590 A JP6120590 A JP 6120590A JP 12059094 A JP12059094 A JP 12059094A JP H07306789 A JPH07306789 A JP H07306789A
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JP
Japan
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inference
rule
inheritance
inference rule
expert system
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JP6120590A
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English (en)
Inventor
Toshimitsu Baba
俊光 馬場
Koichiro Inagi
宏一郎 稲木
Jun Tamagawa
純 玉川
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 プロダクションルールで表現される推論規則
に構造的知識の表現能力を付加するとともに、推論規則
の記述性、可読性、保守性を向上させる。 【構成】 推論規則定義部11で定義された推論規則の
定義内容から推論規則が継承機構を用いて適正に表現さ
れているかどうかを判定する継承機構の有無判定部15
およびエラー判定部16と、上記2つの判定部15、1
6による判定の結果、不正な継承規則が表現されている
と判断した場合に所定のエラー処理を実行するエラー処
理部13と、適正な継承規則が表現されていると判断し
た場合にその継承による推論規則表現の処理を実行する
継承処理部14とを設け、推論規則が継承機構を用いて
表現されているかどうかに応じてそれぞれ適切な処理を
実行するようにすることにより、意味的に何らかの関係
がある複数の推論規則間の関係を陽に記述することがで
きるようにするとともに、複数の推論規則間の共通部分
を共通の継承元推論規則でのみ記述することができるよ
うにする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、現在の状況を表す記憶
内容を参照、更新しながら、前もって蓄積された推論規
則を適用していくことで、人間が行う状況に応じた問題
解決に近い高度な処理を計算機を用いて行うための推論
制御方法および装置に関し、特に、プロダクションルー
ルで表現される知識を効率的に記述する場合に好適な知
識の表現方式に関する。
【0002】
【従来の技術】エキスパートシステムに代表される知識
処理の分野では、従来より推論規則はプロダクションル
ールという記述方式で表現されることが多い。例えば、
「A.Barr、E.A.Feigenbaum“The Handbook of Artifici
al Intelligence ”volume I,William Kaufmann, Inc.,
1981」によると、プロダクションルールは、通常、
【0003】
【0004】のような形で表現される。なお、「条件
1」、「条件2」、…は、それぞれ問題解決過程のある
一つの状態を表す。そして、これらの状態が全て成り立
つときに「行動1」、「行動2」に記述された操作を実
行するということを意味する。
【0005】上述のプロダクションルールは、他の処理
言語に比べて記述性および可読性に優れ、一つ一つの知
識を互いに独立に追加、編集、削除することができると
いう特徴を備えている。しかしながら、各知識間の独立
性が強いために、以下のような問題も持っている。
【0006】(1) プロダクションルールは、個々に断片
的な知識しか表現することができないため、相互に関連
を持つような推論規則であってもそれぞれ別個に記述し
なければならない。 (2) プロダクションルールは、個々に断片的な知識しか
表現することができないため、共通の条件部を持つ推論
規則であっても全て別個に記述しなければならない。 (3) プロダクションルール表現では、推論規則の独立性
が強いため、実際の推論がどのように実行されるかを理
解することが困難であり、第三者がエキスパートシステ
ムを保守することが実質上困難な場合が多い。
【0007】一方、プロダクションルール表現では構造
的な知識を表現することができないという欠点を克服す
るために、フレーム表現と呼ばれる知識の表現方式が提
案されている。そして、特開平3-171328号公報で述べら
れている「フレーム型知識を用いたエキスパートシステ
ム」のように、フレーム表現には、継承と呼ばれる機構
が備えられている。
【0008】上記継承とは、2つの知識単位の間に親子
関係を持たせることをいい、知識単位の間に階層構造を
持たせることができるようにしたことをいう。ここで、
知識単位とは、プロダクションルールの条件部で参照さ
れる特別な意味を持ったデータ(ワーキングメモリエレ
メント)のことである。
【0009】なお、子を持つ推論規則のことを親推論規
則と呼び、親推論規則から継承される推論規則を子推論
規則と呼ぶ。また、同じ親推論規則から継承された子推
論規則同士のことを兄弟推論規則と呼ぶ。子推論規則
は、他の推論規則の親推論規則になることもでき、さら
に親子関係が深くなることもある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
文献などで示される従来技術は、ほとんどがワーキング
メモリエレメントの知識単位に関するものであり、プロ
ダクションルール表現された推論規則については特に述
べられていなかった。
【0011】これに対して、プロダクションルール表現
された推論規則に関する技術としては、特開昭63-19694
5 号公報に記載された「知識表現管理システム」があ
る。しかし、ここでは、ワーキングメモリエレメントの
知識単位と同様に、推論規則をオブジェクトとして扱う
ということが提案されているに留まり、継承機構やそれ
によって得られるエキスパートシステム構築における顕
著な利点については全く触れられていなかった。
【0012】そこで、従来のフレーム表現についての問
題点は、次のように整理することができる。すなわち、
従来のフレーム表現が対象としているのは推論規則の中
で参照されるデータだけであり、プロダクションルール
で表現された推論規則そのものを構造表現することはで
きなかった。
【0013】上述のように、従来のプロダクションルー
ル表現による推論規則の記述では、推論規則の構造を陽
に表現することができないため、推論規則の記述量が増
大したり、可読性が低下したりするという欠点があっ
た。
【0014】そこで、本発明は、プロダクションルール
表現にフレーム表現が持つような継承機構を採り入れる
ことで、プロダクションルールで表現される推論規則に
構造的知識の表現能力を付加するとともに、推論規則の
記述性、可読性、保守性を向上させることを目的とす
る。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明のエキスパートシ
ステムにおける推論制御方法は、プロダクションルール
で表現された推論規則に基づいて推論を実行するエキス
パートシステムにおける推論制御方法において、上記推
論規則を継承機構を用いて表現し、この表現内容に従っ
て推論を実行するようにしている。
【0016】本発明のエキスパートシステムにおける推
論制御方法の他の特徴とするところは、プロダクション
ルールで表現された推論規則に基づいて推論を実行する
エキスパートシステムにおける推論制御方法において、
上記推論規則の継承関係の有無を判定し、この判定の結
果、不正な継承規則が表現されている場合には所定のエ
ラー処理を実行し、適正な継承規則が表現されている場
合には継承による推論規則表現の処理を行うようにして
いる。
【0017】本発明のエキスパートシステムにおける推
論制御装置は、プロダクションルールで表現された推論
規則に基づいて推論を実行するエキスパートシステムに
おける推論制御装置において、上記推論規則の継承関係
の有無を判定する判定手段と、上記判定手段による判定
の結果、不正な継承規則が表現されている場合に所定の
エラー処理を実行するエラー処理手段と、上記判定手段
による判定の結果、適正な継承規則が表現されている場
合に継承による推論規則表現の処理を行う継承処理手段
とを備えたものである。
【0018】
【作用】本発明で提案する継承機構を用いたプロダクシ
ョンルール表現による推論規則の記述方法の文法規則
を、図2に示す。図2に示すように、本発明では、継承
指定記号1に続けて親推論規則列2を指定することによ
り継承機構を実現する。ここで、親推論規則列2は、継
承元となる親推論規則3、4を列挙したものである。こ
のように推論規則を記述することで、継承機構を用いて
推論規則定義5を表現することができる。
【0019】図3は、本発明が提案するプロダクション
ルールの表現方法を実際に実現するためのアルゴリズム
示すフローチャートである。通常、エキスパートシステ
ムを構築する作業は、1)推論規則において後に参照する
知識単位(ワーキングメモリエレメント)を表現する作
業と、2)推論規則を表現する作業との2つの作業からな
る。
【0020】最初のワーキングメモリエレメントを表現
する作業が、図3に示すステップS1の作業である。こ
のステップS1では、フレーム表現を用いて知識を表現
する。具体的には、まず、ステップS2で継承機構を用
いているかどうかを調べ、もし、継承機構を用いていた
ならば、ステップS3で継承によるフレーム表現に基づ
く処理を実行する。また、継承機構を用いていなけれ
ば、ステップS4で通常のフレーム表現に基づく処理を
実行する。
【0021】上述したように、エキスパートシステムを
構築する次の作業は、推論規則を表現することである。
この作業はステップS5による作業である。従来のエキ
スパートシステムでは、通常の推論規則表現しかできな
かったので、ステップS5における処理では、実際には
ステップS10の処理だけを行えばよかった。
【0022】これに対し、本発明では、継承機構を用い
て推論規則を表現できるようにするために、ステップS
6〜S9による処理が新たに追加・拡張されている。つ
まり、ステップS6で推論規則が継承機構を用いて表現
されているかどうかを調べ、もし継承機構が用いられて
いたならば、次のステップS7で親推論規則が既に存在
しているかどうかを判定する。
【0023】そして、ステップS7での判定の結果、親
推論規則が存在していないか、あるいは親推論規則の間
で参照している変数に重複があれば、文法上誤りになる
ので、ステップS8で適切なエラー処理を行う。また、
親推論規則が存在していれば、ステップS9で継承によ
る推論規則表現に基づく処理を実行する。
【0024】この結果、親推論規則の内容が子推論規則
に自動的に追加され、続いて子推論規則で独自に定義し
た部分がそれに追加される。その際、複数の親推論規則
が指定されていたなら、先に現れた親推論規則の内容か
ら順に継承が行われる。以上が本発明が提案する継承機
構を用いた推論規則の表現ならびに実行制御を実現する
ためのアルゴリズムである。
【0025】
【実施例】以下では、本発明の推論制御方法によって用
いられる、継承機構を用いたプロダクションルール表現
方法の詳細を実施例に基づいて説明する。図4の(A)
は、従来のプロダクションルール表現方法で記述したス
ケジュール立案エキスパートシステムの推論規則の一部
を示している。
【0026】ここでは、2つの推論規則を抜き出してあ
る。例えば、推論規則「空き時間を調べるルール1」の
意味は、“もし、現在の目標が「空き時間を探す」であ
る(条件部1) かつ、注文でまだ割り付けがなされて
いないものがある(条件部2) かつ、機械でまだ割り
付けがなされていないものがある(条件部3)ならば機
械に注文を割り付ける。”というようなものである。
【0027】図4の(A)の条件部に現れる$0や$1
は、実行部で条件部の特定の条件を参照したいときに使
用される特別な意味をもった変数である。また、実行部
の modify() は、現在成立している条件部の特定の条件
を変更するために使用される専用の関数である。
【0028】ここで注目すべき点は、次のようなことで
ある。 (1) 推論規則「空き時間を調べるルール1」および「空
き時間を調べるルール2」は、その内容から明らかなよ
うに、空き時間を探すために一緒に使用されるべき推論
規則であり、両者の間に意味的な関連があるにもかかわ
らず、推論規則を表現する上でその関係を陽に表現でき
ない。 (2) 上記(1) に関連して、「空き時間を調べるルール
1」と「空き時間を調べるルール2」とで共通の条件部
を持つにもかかわらず、それぞれ同じ条件部を別個に記
述しなければならないため、記述量の増大をもたらして
いる。
【0029】次に、本発明で提案する継承機構を用いた
プロダクションルールによって、図4の(A)に示した
ものと同じ内容を表現した推論規則を、図4の(B)に
示す。この図4の(B)の推論規則において、図4の
(A)に示した推論規則との違いをまとめると、以下の
ようになる。
【0030】(1) 親推論規則として「空き探索」が追加
され、それまでは全く独立した推論規則であった「空き
時間を調べるルール1」と「空き時間を調べるルール
2」とが、共通の親推論規則「空き探索」を継承するよ
うに表現されている。これにより、「空き時間を調べる
ルール1」と「空き時間を調べるルール2」との2つの
推論規則が兄弟推論規則であり、両者の間に関連がある
ということが一目で分かるようになる。 (2) 共通の条件部を親推論規則に持たせることができる
ので、全体としての記述量を少なくすることができる。
加えて、親推論規則「空き探索」の内容を変更するだけ
で、それから継承して表現されている子推論規則の内容
を同時に変更することができるので、その分エキスパー
トシステムの保守が容易になる。
【0031】ここで、上述のような継承機構を用いた推
論規則の表現ならびに実行制御を実現する推論制御装置
の構成を、図1に示す。図1において、11は推論規則
定義部であり、入力処理情報SINの推論実行時に用いら
れる種々の推論規則を定義するためのものである。上述
したように、この定義に際しては、推論規則を継承機構
を用いて表現することが可能である。また、後述するよ
うに、継承による推論規則表現を通じて、推論規則の文
脈(コンテクスト)をも定義することが可能である。
【0032】次いで、12は非継承処理部であり、推論
規則が継承機構を用いて表現されていないときに通常の
推論規則表現の処理を実効する。また、13はエラー処
理部であり、継承規則が表現されてはいるが、その表現
に文法上の誤り等があるときに所定のエラー処理を実効
する。また、14は継承処理部であり、適正な継承規則
が表現されているときに継承による推論規則表現の処理
を実効する。
【0033】次いで、15は継承機構の有無判定部であ
り、上記推論規則定義部11により定義された推論規則
の定義内容に基づいて上記推論規則の継承関係の有無を
判定する。また、16はエラー判定部であり、上記継承
機構の有無判定部15で継承規則が用いられていると判
断されたときに、その継承規則が適正なものかどうかを
判定する。例えば、エラー判定部16は、対象とする推
論規則に親となる推論規則が存在しているかどうかを判
定することによって、継承規則が適正かどうかを判定す
る。
【0034】切替部17は、上記継承機構の有無判定部
15による判定の結果に応じて、入力処理情報SINの送
り先を非継承処理部12または切替部18の何れかに選
択する。すなわち、上記継承機構の有無判定部15で継
承規則が存在しないと判断されたときは、切替部17は
非継承処理部12を選択する。これにより、上記推論規
則定義部11での定義内容に基づいて非継承処理部12
で通常の推論規則表現の処理が行われる。
【0035】一方、上記継承機構の有無判定部15で継
承規則が存在すると判断されたときは、切替部17は切
替部18を選択する。そして、切替部18は、エラー判
定部16によって行われる上記継承規則が適正なものか
どうかの判定結果に応じて、入力処理情報SINの送り先
をエラー処理部13または継承処理部14の何れかに選
択する。
【0036】ここで、上記エラー判定部16で継承規則
が適正でないと判断されたとき、すなわち、親推論規則
が存在していないか、あるいは親推論規則の間で参照し
ている変数に重複があったときは、切替部18はエラー
処理部13を選択する。これにより、対象推論規則はエ
ラー処理部13に与えられ、ここで適切なエラー処理が
行われる。
【0037】また、上記エラー判定部16で継承規則が
適正であると判断されたときは、切替部18は継承処理
部14を選択する。これにより、対象推論規則は継承処
理部14に与えられ、ここで継承による推論規則表現の
処理が行われる。
【0038】また、切替部19、20は、上記切替部1
7、18の動作に対応して動作する。すなわち、切替部
19、20は、上記切替部17、18によって非継承処
理部12、エラー処理部13または継承処理部14の何
れかが選択されて行われた処理の結果を選択し、所定の
処理が行われた出力処理情報SOUT を次段の処理回路
(図示せず)に送出する。
【0039】このように、本実施例では、まず、推論規
則が継承機構を用いて表現されているかどうかを調べ
る。そして、継承機構が用いられている場合には、更に
親推論規則の有無を調べ、親推論規則が存在しない場合
には適切なエラー処理を行い、親推論規則が存在する場
合には継承処理を行う。また、継承機構が用いられてい
ない場合には、従来のプロダクションルール表現に基づ
く処理と同じ処理を行うようにすることにより、推論規
則が継承機構を用いて表現されているかどうかに応じて
それぞれ適切な処理を適用していくようになされてい
る。
【0040】次に、請求項3または6に記載した発明を
実現するための一実施例について説明する。本実施例で
は、上記した図4の(B)の推論規則に、図5に示す推
論規則がいま新たに加わったと仮定する。図5に含まれ
る2つの推論規則は、図4の(B)の推論規則で空き時
間を調べた後で、スケジュールを割り付け、そして、各
スケジュール間で干渉がないかどうかを調べるという内
容の知識を表している。
【0041】したがって、これらの推論規則は、当然
に、図4の(B)の処理が終るまでは実行されてはなら
ない推論規則である。ところが、何らかの実行制御機構
がないと、これらの推論規則がどの順序で実行されるか
を規定できないため、エキスパートシステムが正常に動
作しないおそれがある。
【0042】そこで、本実施例では、このような推論規
則の選択・実行の制御を行う方法として、手段目標分析
(Mean-End Analysis :MEA)戦略と呼ばれる機構を備え
るようにしている。このMEA 戦略では、推論規則の条件
部の第一行目の記述に重要な意味がある。
【0043】このことを、図4の(B)と図5とを通し
て具体例で説明する。今、図4の(B)と図5の推論規
則が全て成り立っているとしたときに、もし、図4の
(B)の推論規則の条件部の第一行目の条件が、図5の
推論規則の条件部の第一行目の条件よりも最近に成立し
た(新しさが新しい)ならば、図4の(B)の推論規則
は、図5の推論規則よりも優先して実行されることにな
る。
【0044】したがって、このような仕組みを利用し
て、先に実行させたい推論規則の条件部の第一行目が他
の推論規則よりも最近に成立するようにプログラムを作
ることで、推論規則の実行制御を行うことができる。つ
まり、MEA 戦略においては、推論規則を表現する際の条
件部の出現順序が大事だということである。
【0045】本実施例では、親推論規則から継承される
条件部は、子推論規則の先頭に自動的に挿入されるよう
になっている。したがって、共通の親推論規則から継承
された子推論規則は、特別な考慮を払わなくても、MEA
戦略において同等の選択・実行確率が自動的に与えられ
ることになる。
【0046】このことによって、図4の(B)の親推論
規則の条件が成立し、かつ、新しさにおいて優先度の高
い状況においては、親推論規則「空き探索」から継承し
て表現されている2つの子推論規則「空き時間を調べる
ルール1」や「空き時間を調べるルール2」は、図5の
2つの推論規則よりも先に選択・実行されることが自動
的に保証される。
【0047】この点は、一つ一つの推論規則を全体とし
ての動作まで考慮しながら調整しなければならなかった
従来の方法に比べて圧倒的に有利であり、かつ、プロダ
クションルール表現とフレーム表現における継承機構と
を単純に組み合わせただけでは得られない大きな特徴の
一つである。
【0048】次に、請求項4または7に記載した発明を
実現するための一実施例について説明する。本実施例で
は、上記した図4の(B)の推論規則に、図6に示す推
論規則が加わったと仮定する。図4の(B)では、親と
なる推論規則が1つあって、相互に関連のある推論規則
は全ての親推論規則から継承して表現されている。
【0049】一方、図6に示した推論規則も、図4の
(B)の推論規則と同様に、「ジョブ割り付け」に関連
する推論規則ならびに「干渉チェック」に関連する推論
規則がそれぞれ継承機構を用いて表現されている。
【0050】この段階で、各推論規則は、継承の観点か
ら3つのグループに分けることができると考えられる。
すなわち、「空き探索」推論規則グループと「ジョブ割
り付け」推論規則グループと「干渉チェック」推論規則
グループとの3つのグループである。このように、推論
実行時に相互に関連を持つような推論規則をまとめたグ
ループは、文脈(コンテクスト)と呼ばれる。
【0051】ところで、エキスパートシステムは、その
保守性や記述性を向上させるため、適当な処理単位毎に
分割して構築するのが普通である。しかし、従来の方法
では、文脈の階層化を実現できないという制約があっ
た。すなわち、例えば「スケジュール問題を解く」とい
う文脈の中のさらに特定の文脈「空き探索」といった表
現を実現することはできなかった。また、各文脈間の実
行制御も全て設計者が推論規則の中で記述しなければな
らなかった。
【0052】一方、本実施例では、同じ親推論規則から
継承された推論規則は、その親推論規則の条件部を必ず
継承して持っているので、親推論規則が成り立っている
間だけ子推論規則が成り立つようになり、推論実行制御
の対象となり得る。したがって、継承機構を用いて推論
規則を記述すると、自動的に文脈を定義したことにな
る。また、ある文脈に含まれる子推論規則から更に継承
を用いて推論規則を定義すれば、ある文脈の中の更に特
定の文脈をも記述することができる。
【0053】さらに、本実施例では、推論規則を実行し
た結果、ある文脈が成立しなくなって、代わりに他の文
脈が成立するようになったとすると、その瞬間から前の
文脈に含まれる推論規則は全て推論実行の対象から除か
れ、新しい文脈に含まれる親推論規則のみが推論実行の
対象となる。
【0054】つまり、本実施例によれば、従来は手順と
して明示的に記述しなければならなかった文脈の切替え
が自動的に行なえるようになる。この観点から図4の
(B)や図6の推論規則を見てみると、図7に示すよう
な文脈切替え機構に基づくエキスパートシステムの構造
が明らかになる。
【0055】図7から明らかなように、「空き探索」、
「ジョブ割り付け」および「干渉チェック」の3つの文
脈が、MEA 戦略によって期待される通りの順序で実行さ
れることが分かる。このように、文脈切替えを用いたエ
キスパートシステムが自然に、かつ容易に構築できるこ
とは、本実施例による大きな特徴の一つである。
【0056】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、以
下に示すような効果が得られる。 (1) 従来のプロダクションルールの表現方法では、複数
の推論規則間に意味的に何らかの関係が存在する場合で
あっても、推論規則間の関係を陽に記述することができ
なかったが、本発明によれば、推論規則間の関係を陽に
記述することが可能となる。また、このような推論規則
の記述性の向上に伴って、推論規則の可読性も向上させ
ることが可能となる。 (2) 従来のプロダクションルールの表現方法では、複数
の推論規則に共通部分がある場合であっても、各推論規
則において同一の記述を行う必要があったが、本発明に
よれば、複数の推論規則間の共通部分を共通の継承元推
論規則でのみ記述することが可能となるため、推論規則
の記述量を削減することができる。 (3) 継承機構を用いて推論規則を表現することによっ
て、推論規則間の共通部分の修正を行う際に親推論規則
だけを修正するだけで済むようになるので、修正作業量
を少なくすることができ、作業時の誤謬の確率を減らす
ことができる。 (4) 実際の推論の実行の流れが理解し易くなり、かつ、
エキスパートシステムの保守が容易になるので、従来の
方法では記述しきれなかったような大規模なエキスパー
トシステムを構築することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である推論制御装置の構成を
示すブロック図であり、継承機構を用いた推論規則の表
現ならびに実行制御を実現するための構成を示すもので
ある。
【図2】本発明による推論規則の表現構文を示す図であ
る。
【図3】本発明による継承機構を用いた推論規則の表現
ならびに実行制御を実現するためのアルゴリズムを示す
フローチャートである。
【図4】スケジュール立案エキスパートシステムの推論
規則の一部を示す図であり、(A)は従来のプロダクシ
ョンルール表現方法で記述した推論規則の一例を示し、
(B)は本発明のプロダクションルール表現方法で記述
した推論規則の一例を示すものである。
【図5】スケジュール立案エキスパートシステムの推論
規則の一部を示す図である。
【図6】スケジュール立案エキスパートシステムの推論
規則の一部を示す図である。
【図7】文脈切替え機構に基づくエキスパートシステム
の構造例を示す図である。
【符号の説明】
1 継承指定記号 2 継承元となる親推論規則列 3、4 親推論規則名 5 継承機構を用いて表現した推論規則名 11 推論規則定義部 12 非継承処理部 13 エラー処理部 14 継承処理部 15 継承機構の有無判定部 16 エラー判定部 17〜20 切替部

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プロダクションルールで表現された推論
    規則に基づいて推論を実行するエキスパートシステムに
    おける推論制御方法において、 上記推論規則を継承機構を用いて表現し、この表現内容
    に従って推論を実行するようにしたことを特徴とするエ
    キスパートシステムにおける推論制御方法。
  2. 【請求項2】 プロダクションルールで表現された推論
    規則に基づいて推論を実行するエキスパートシステムに
    おける推論制御方法において、 上記推論規則の継承関係の有無を判定し、 この判定の結果、不正な継承規則が表現されている場合
    には所定のエラー処理を実行し、適正な継承規則が表現
    されている場合には継承による推論規則表現の処理を行
    うようにしたことを特徴とするエキスパートシステムに
    おける推論制御方法。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の推論制御方法において、
    手段目標分析戦略に基づいて上記継承による推論規則表
    現の処理を行うようにしたことを特徴とするエキスパー
    トシステムにおける推論制御方法。
  4. 【請求項4】 請求項2記載の推論制御方法において、
    推論規則を表現する際に上記推論規則の文脈を定義する
    とともに、推論の実行時に上記定義した文脈の間の実行
    制御をも行うようにしたことを特徴とするエキスパート
    システムにおける推論制御方法。
  5. 【請求項5】 プロダクションルールで表現された推論
    規則に基づいて推論を実行するエキスパートシステムに
    おける推論制御装置において、 上記推論規則の継承関係の有無を判定する判定手段と、 上記判定手段による判定の結果、不正な継承規則が表現
    されている場合に所定のエラー処理を実行するエラー処
    理手段と、 上記判定手段による判定の結果、適正な継承規則が表現
    されている場合に継承による推論規則表現の処理を行う
    継承処理手段とを備えたことを特徴とするエキスパート
    システムにおける推論制御装置。
  6. 【請求項6】 上記継承処理手段は、手段目標戦略に基
    づいて上記継承による推論規則表現の処理を行うことを
    特徴とする請求項5記載のエキスパートシステムにおけ
    る推論制御装置。
  7. 【請求項7】 上記プロダクションルールで表現された
    推論規則の文脈を定義する文脈定義手段と、 上記文脈定義手段により定義された文脈の間の実効制御
    を行う実効制御手段とを設けたことを特徴とする請求項
    5記載のエキスパートシステムにおける推論制御装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2019131342A1 (ja) * 2017-12-27 2019-07-04 日本電気株式会社 論理計算装置、論理計算方法、およびプログラム

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