JPH07306030A - 変位検出装置 - Google Patents

変位検出装置

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JPH07306030A
JPH07306030A JP12304994A JP12304994A JPH07306030A JP H07306030 A JPH07306030 A JP H07306030A JP 12304994 A JP12304994 A JP 12304994A JP 12304994 A JP12304994 A JP 12304994A JP H07306030 A JPH07306030 A JP H07306030A
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JP
Japan
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receiver
permanent magnet
displacement
current pulse
time
Prior art date
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Application number
JP12304994A
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English (en)
Inventor
Kozo Kyoizumi
宏三 京和泉
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SAN TESUTO KK
Original Assignee
SAN TESUTO KK
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Publication date
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  • Length Measuring Devices Characterised By Use Of Acoustic Means (AREA)
  • Transmission And Conversion Of Sensor Element Output (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】優れた温度特性を有する変位検出装置を提供す
る。 【構成】磁歪線1の始端部側よりその軸線方向に電流パ
ルスを流し、磁歪線1に沿って移動可能な永久磁石12
の近接する磁歪線1の部位で捩り弾性波を発生させ、磁
歪線1の始端部側に配置した受信器10で捩り弾性波を
受信することにより、永久磁石12に与えられる機械的
変位を検出する。受信器10の背後に位置する磁歪線の
始端部には捩り弾性波を吸収するダンピング材5,6が
設けられ、磁歪線1の終端部側の特定位置には捩り弾性
波を反射する反射部材9が設けられる。永久磁石12の
近接部で発生した捩り弾性波または反射部材9で反射し
た捩り弾性波の伝播時間を計測することにより、永久磁
石12の変位を検出する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は磁歪現象を用いて物体の
機械的変位や液面の変位などを検出する磁歪式変位検出
装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、磁歪式変位検出装置として、磁歪
線に電流パルスを流すことにより、磁歪線に沿って移動
可能な永久磁石の近接する磁歪線の部位で捩り弾性波を
発生させ、磁歪線の特定部位に設けた受信器までの捩り
弾性波の伝播時間を計測することにより、永久磁石に与
えられる機械的変位を検出するものが知られている。
【0003】上記受信器としては、触子を磁歪線に対し
てほぼ直交して接触させ、捩り弾性波を触子の軸方向力
に変換し、触子の端部に取り付けた圧電素子で捩り弾性
波の到来を検出するものや、逆磁歪効果(Villari effec
t)を利用して磁歪線を伝播した捩り弾性波の到来を非接
触で検出する受信用コイル等がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】この種の変位検出装置
の場合、温度変化により測定精度が変動しないのが理想
的である。磁歪線の選定および回路の設計に注意すれ
ば、温度による変動(以下、温度ドリフトという)は 0.005mm/℃+( 10ppm/℃) ×S 程度であると言われている。上式において、Sは測定ス
トロークである。第1項は信号検出回路の温度ドリフト
であり、測定ストロークSには関係がない。また、第2
項は超音波信号の伝播速度の温度ドリフトによるもので
あり、測定ストロークSに比例する。第1項の温度ドリ
フトを消去するため、本出願人は、固定と可動の2種の
永久磁石を用いた変位検出装置(特開平2−18311
7号公報)を提案しているが、この装置でも第2項の伝
播速度による温度ドリフトは避けられない。
【0005】そこで、本発明の目的は、検出回路の温度
ドリフトだけでなく、超音波信号の伝播速度に起因する
温度ドリフトも小さくでき、安定した精度の変位検出装
置を提供することにある。本発明の他の目的は、固定と
可動の2種の永久磁石を用いることなく、高精度に変位
を検出できる変位検出装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、磁歪線の始端部側よりその軸線方向に電
流パルスを流し、磁歪線に沿って移動可能な永久磁石の
近接する磁歪線の部位で捩り弾性波を発生させ、磁歪線
の始端部側に配置した受信器で捩り弾性波を受信するこ
とにより、永久磁石に与えられる機械的変位を検出する
装置において、上記受信器の背後に位置する磁歪線の始
端部に捩り弾性波を吸収するダンピング材を設けるとと
もに、磁歪線の終端部側の特定位置に捩り弾性波を反射
する反射部材を設けたものである。
【0007】
【作用】磁歪線の永久磁石の近接する部位で発生した捩
り弾性波(超音波) は受信器側(始端側) へ伝播する同
時に、その反対側(終端側) へも伝播する。始端側へ伝
播した超音波は受信器で受信され、終端側へ伝播した超
音波は反射部材で反射した後、磁歪線を逆方向へ伝播し
て受信器で受信される。反射部材で反射した超音波は、
永久磁石で発生した波形の位相が反転した波形として受
信器で受信される。これら2つの信号の到達時刻から、
永久磁石の位置を温度ドリフトの影響の極めて少なくか
つ高精度に求めることができる。
【0008】その1つの検出方法として、受信器から永
久磁石までの距離をxとし、受信器から反射部材までの
距離をL(既知)とすると、次式により変位xを求める
ことができる。 x=2L・Ta /(Ta +Tb ) 上式において、時間Ta およびTa +Tb にはそれぞれ
検出回路の温度ドリフトと超音波信号の伝播速度の温度
ドリフトとが含まれるが、両者の温度ドリフトが互いに
相殺されるため、温度係数の非常に小さい、安定な変位
検出装置が得られる。
【0009】さらに、安定な変位検出装置を得るには、
上式におけるTa およびTa +Tbの値の温度ドリフト
による影響を小さくするのが望ましい。Ta +Tb は伝
播速度vの逆数、即ちvの温度係数に比例するので、T
a +Tb の基準温度における値と実際温度における値と
の差Δ(Ta +Tb )を求め、Ta およびTa +Tb
らこの差Δ(Ta +Tb )に比例する値を除算すれば、
温度変化の少ない変位xを求めることが可能となる。
【0010】また、分解能に優れた変位検出装置を得る
には、1回の電流パルスで変位xを測定する方法に代え
て、反射波が受信器に到達した時刻に次の電流パルスを
複数回繰り返し、複数回目の電流パルスによって発生し
た超音波または反射波の1回目の電流パルスからの伝播
時間TanまたはTbnと、2回目の電流パルスによって発
生した超音波の伝播時間Ta2とを計測すれば、分解能に
優れた高精度の変位検出が可能である。この場合も、時
間Ta2の基準温度における値と実際温度における値との
差ΔTa2を求め、TanまたはTbnと、Ta2からこの差Δ
a2に比例する値を除算すれば、温度ドリフトの影響の
少ない変位xを求めることが可能となる。
【0011】反射部材としては、磁歪線を伝播する捩り
弾性波をできるだけ全反射させるため、例えば金属材料
を磁歪線に固着するのが望ましい。固着方法としては、
圧着、半田付け、ロー付、溶接、ネジ止めなど、あらゆ
る方法を用いることができる。反射部材として半田を用
いた場合、捩り弾性波を全反射させやすいこと、磁歪線
に歪みが生じないので不要な超音波が発生しにくいこ
と、半田溶融温度(約190 ℃)が磁歪線の再結晶温度よ
り低いので磁歪効果を劣化させないこと等の利点があ
る。永久磁石の部位で発生した超音波信号が受信器で受
信された後、磁歪線の始端部で反射して再び受信器で受
信されると、反射部材で反射した超音波信号と混同する
恐れがある。そのため、磁歪線の始端側にダンピング材
を設け、必要な波形と不要な波形との混同を防止してい
る。なお、本発明における磁歪線は、電流パルスが直接
供給される中実線に限るものではなく、特開昭59−1
62412号公報に記載のように、磁歪線をチューブ状
とし、この磁歪線の中央に電流パルスを流すための導線
を別に挿通したものでもよい。
【0012】
【実施例】図1は本発明にかかる磁歪式変位検出装置の
一例を示し、図2は受信器で受信された波形を示す。磁
歪線1の始端は、基台2上に固定された押板3と、支持
板4との間にシリコーンゴムなどのダンピング材5,6
を介して圧着されている。ダンピング材5,6によって
超音波(捩り弾性波)が吸収され、始端からの超音波の
反射が抑制される。また、磁歪線1の終端はスプリング
7を介して終端固定具8によって支持され、磁歪線1に
は常に一定の張力が与えられる。スプリング7の直前、
即ち磁歪線1のスプリング7より始端側の部位には、超
音波を反射させる反射部材9が固着されている。固着方
法は、半田、クランプ、溶接など如何なる方法でもよ
い。磁歪線1を終端側へ伝播した超音波は反射部材9で
殆ど全反射するため、スプリング7側へは超音波が殆ど
伝播しない。
【0013】磁歪線1の始端部、特にダンピング材5,
6より終端部側の近傍には、受信器10が配置されてお
り、受信器10に内蔵したコイル10aの中心部を磁歪
線1が非接触で貫通している。コイル10aは逆磁歪効
果を利用して磁歪線1を伝播する超音波の到来を検出す
る。コイル10aの負極は接地され、正極は増幅器11
に接続される。
【0014】磁歪線1の中間部には円環状の永久磁石1
2が軸線方向に移動自在に挿通されている。この実施例
では、永久磁石12の内周面と外周面とにそれぞれN,
S極が着磁されているが、永久磁石12の着磁方向は、
例えば両側面にN,S極を着磁したものでもよく、さら
に永久磁石12の形状は円環状に限らず、直方体形、U
字形など如何なる形状でもよい。
【0015】ダンピング材5,6から突出した磁歪線1
の始端にはパルス発生回路13から電流パルスが供給さ
れ、磁歪線1の終端はアースされている。具体的には、
電流パルスはスプリング7を介してパルス発生回路13
のアース側に戻される。電流パルスが供給されると、ビ
ーデマン効果により永久磁石12の近接する磁歪線1の
部位で超音波が発生し、この超音波は磁歪線1の始端側
と終端側とに同時に伝播する。始端側へ伝播した超音波
は受信器10で受信され、終端側へ伝播した超音波は反
射部材9で反射した後、永久磁石12の近接する部位を
通過し、受信器10で検出される。反射部材9で反射し
た際、超音波波形はその位相が反転するので、受信器1
0で受信された波形は図2のようになる。
【0016】図2において、波形pは電流パルス、波形
aは永久磁石12で発生した超音波信号、bは反射部材
9で反射した超音波信号である。信号a,bの伝播時間
a,Tb の測定点は、図2では波形のゼロクロス点と
しているが、図3のように−Vボルトでトリガーしても
よいし、図4のように波形の頂点で測定してもよい。い
ずれにしても、各波形の定点で波形の到着を検出すれば
よく、公知の方法でTa ,Tb を測定できる。
【0017】増幅器11の出力は検出回路14に入力さ
れ、検出回路14は入力された信号を波形成形するとと
もに、演算処理して、永久磁石12に与えられる機械的
変位xを検出する。また、検出回路14は後述するよう
に、反射部材9で反射した超音波が受信器10で受信さ
れた時刻に次の電流パルスを発生するよう、パルス発生
回路13を駆動する機能を有していてもよい。
【0018】次に、永久磁石12に与えられる機械的変
位xを求める方法を説明する。まず、受信器10と永久
磁石12との距離をx、受信器10と反射部材9との距
離をL(一定)、永久磁石12で発生した超音波の到達
時間をTa 、反射部材9で反射した超音波の到達時間を
b 、超音波の伝播速度をvとすると、各値は次式で与
えられる。 Ta =x/v …(1) Tb =(2L−x)/v …(2) (1) 式と(2) 式を加算すると、 Ta +Tb =2L/v …(3) Lは既知であるから、 v=2L/(Ta +Tb ) …(4) のようにして、超音波の伝播速度vが求まる。そこで、
(1) 式と(4) 式とからvを消去すると、次式となる。 x=2L・Ta /(Ta +Tb ) …(5) また、(1) 式と(2) 式との差を取ると、次式となる。 Tb −Ta =2(L−x)/v …(6)
【0019】上記構造の変位検出装置において、周囲の
温度が0〜60℃に変化した時の各時間Ta ,Tb の実
験値,Tb −Ta ,Ta +Tb およびxの計算値を次表
に示す。
【表1】 上記実験では、L=397mmとし、各時間の単位はμ
sec である。表の温度係数は、周囲温度20℃を基準と
して、最小自乗法によって理想直線を求め、その傾斜か
ら温度係数を求めた。
【0020】従来では、(1) 式から変位xを求めていた
ため、その温度係数は40.3ppm/℃であったのに対し、本
発明では(5) 式のようにTa の値を(Ta +Tb )で除
算しているため、両者の温度係数が相殺され、温度係数
を 8.1ppm/℃まで低減できた。即ち、温度係数を従来の
約1/4まで低減でき、温度変化に対して安定な変位検
出装置が得られた。
【0021】上記のようにして求めた変位xの温度係数
は 8.1ppm/℃であり、温度特性が良好であるが、これを
更に向上させる方法を以下に説明する。周囲温度20℃
における超音波の伝播速度は、(4) 式から v=2×397 /289.1615 =2.75 mm /μsec …(7) Ta の測定結果には検出回路の電気的温度ドリフトと超
音波信号の伝播速度の温度ドリフトとが含まれる。一
方、Tb −Ta では検出回路の温度ドリフトが相殺され
るので、伝播速度の温度ドリフトのみが含まれると考え
られる。Ta の温度係数が40.3ppm/℃であるのに対し、
b −Ta の温度係数が14.6ppm/℃と小さいのは、その
ためである。 40.3−14.6=25.7 ppm/℃ …(8) この値が検出回路の電気的温度ドリフトに相当する。こ
れを周囲温度20℃を基準にすると、 99.3185 ×25.7×10-6=2.552 ×10-3μsec /℃ …(9) (9) 式で得られた値は検出回路の電気的温度ドリフトで
あり、測定ストロークに関係なく周囲温度によって変化
するものである。
【0022】さて、Ta +Tb は、(3) 式から明らかな
ようにL(既知)に比例し、vに反比例する値であり、
xの変化に全く影響されない。vは温度によって変化す
るので、Ta +Tb の情報を得れば、その時の周囲温度
を推定することが可能である。例えば、周囲温度20℃
におけるTa +Tb の値を基準とし、0℃,40℃,6
0℃の各温度における差Δ(Ta +Tb )を演算すれ
ば、表2が得られる。
【0023】
【表2】 図5は表2における温度とΔ(Ta +Tb )との関係を
図示したものである。表2では、Δ(Ta +Tb )に係
数k=0.2114を乗算したものも併記した。このkの値
は、(9) 式で得られた検出回路の0〜20℃の温度ドリ
フトに相当するよう決めたものである。即ち、(9) 式に
温度20℃を乗算すると、 2.552 ×10-3μsec/℃×20℃=0.0510μsec となる。また、0〜20℃における実測したΔ(Ta
b )は0.2414μsec であるから、次式より係数kを求
めることができる。 k=0.0510μsec /0.2414μsec = 0.2114
【0024】永久磁石の変位xは(5) 式から求められる
が、既に述べたようにTa ,Tb には温度ドリフトが含
まれるので、下式のように補正することができる。
【数6】 (10)式による補正の効果を確認するため、k1 =k2
0.2114の場合と、参考のためk1 =k2 =0.1 の場合と
について、(10)式による計算結果を表3に示す。
【0025】なお、(5) 式および(10)式では1回目の電
流パルスによって発生する超音波および反射波の伝播時
間の和Ta +Tb を用いて変位xを求めたが、後述する
ように、2回目の電流パルスによって発生する超音波a
2 の伝播時間Ta2を計測すれば、Ta2=Ta +Tb であ
るため、Ta2を用いて変位xを求めることもできる。
【0026】
【表3】 なお、温度係数は表1と同様の方法で求めた。
【0027】表3から明らかなように、(10)式の補正に
より、(5) 式で求めたxの値( 8.1ppm/℃)よりさらに
優れた温度特性が得られることが分かる。なお、表3で
は、係数k1 とk2 とを同一値として計算したが、Ta
の温度係数とTa +Tb の温度係数とが異なるので、異
なる係数を用いてもよい。また、係数kの値として0.21
14を用いた場合、温度係数が−4.5 ppm/℃となり、零に
はならない。その理由は、k=0.2114は0〜20℃の範
囲における値を基準としているためであり、20℃以上
の範囲も考慮にいれて係数を決定すれば、温度係数をさ
らに零に近づけることが可能である。表3によれば、0.
2114と0.1の中間値が最も零に近い温度係数を得ること
ができると考えられる。
【0028】上記のように時間Ta とTb とを測定し、
(5) 式または(10)式のような演算を行えば、非常に温度
特性に優れた変位検出装置が得られる。この時間Ta
b を例えば水晶発振器で測定するのが最も精度が良い
と言われている。水晶発振器の周波数が50MHzであ
るとすると、1クロックは 1/(50×106 )=0.02μsec となる。既に述べたように、超音波の伝播速度は周囲温
度20℃の時、2.75mm/μsec であるから、1クロック
は 2.75×0.02=0.055 mm 即ち、変位測定の分解能は0.055mm でしかない。さらに
分解能を上げるため、一方法として水晶発振器の周波数
を高くすることがあるが、技術的, 経済的に困難を生じ
る。
【0029】そこで、安価にかつ簡単に分解能を上げる
ことができる測定方法を、図6にしたがって説明する。
1回目の電流パルスp1 により反射部材9で反射した超
音波b1 の到達時刻(Tb1時間後)に2回目の電流パル
スp2 を磁歪線1に供給し、2回目の電流パルスによっ
て反射部材9で反射した超音波b2 の到達時刻(Tb2
間後)に3回目の電流パルスp3 を磁歪線1に供給す
る。このようにして、順次n回の電流パルスpn を磁歪
線1に供給し、永久磁石12で発生した超音波an また
は反射波bn の1回目の電流パルスp1 の供給からの時
間TanまたはTbnを計測する。
【0030】図6から明らかなように、n回目の電流パ
ルスpn によって得られる反射波bn の伝播時間Tbn
次式のようになる。 Tbn=n(2L−x)/v …(11) また、2回目の電流パルスp2 によって得られる超音波
2 の伝播時間Ta2は次式で与えられる。 Ta2=2L/v …(12) (11)式および(12)式からvを消去すると、 Rc =Tbn/Ta2=n(2L−x)/2L …(13) (13)式のようにRc は伝播速度vを含まない値となる。
(13)式からxを求めると、次式のようになる。
【数7】 図2の方法であれば、変位情報としてx/vしか得られ
ないのに対し、図6の方法では、Tbnとしてn倍長い情
報が変位信号として得られる。即ち、同じ50MHzの
水晶発振器を用いても、0.055 mm/nのように1/nの
分解能が得られることになる。
【0031】上記計算では反射波bn の伝播時間Tbn
超音波a2 の伝播時間Ta2とを用いて変位xを求めた
が、n回目の電流パルスpn によって得られる超音波a
n の伝播時間Tanと2回目の電流パルスp2 によって得
られる超音波a2 の伝播時間Ta2とを用いて変位xを求
めることもできる。Tanは次式で与えられる。
【数8】 ここで、 Tan/Ta2=Rc ’ …(16) とすると、変位xは次式のようになる。
【数9】 以上のように、n回目の電流パルスによって得られる超
音波an または反射波bn の何れを用いても、同様に分
解能の優れた変位検出を行うことができる。
【0032】次に、(14)式または(17)式で求められた変
位xを、(10)式と同様に温度補正する方法を説明する。
即ち、(10)式におけるTa +Tb の値と2回目の超音波
2 の伝播時間Ta2とは同一であるから、基準温度(例
えば20℃)における時間Ta2と実際温度における時間
a2との差ΔTa2を求め、次式によりRc を補正する。
補正されたRcをRccとすると、
【数10】 となる。同様に、補正されたRc ’をRcc’とすると、
【数11】 となる。上記の(18)式および(19)式を用いて変位xを(1
4)式または(17)式により求めれば、温度ドリフトの影響
が極めて少なく、かつ分解能の高い変位検出が可能とな
る。なお、(18)式および(19)式の係数k3 〜k6 は(10)
式と同様にして求めればよい。
【0033】なお、上記実施例は本発明の一例に過ぎ
ず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
本発明において、ダンピング材としては、実施例のよう
に磁歪線を上下で圧着保持するものに限らず、張力をも
って保持された磁歪線の途中に塗布されたものでもよ
い。その場合には、磁歪線を始端側を別の固定具で保持
すればよい。但し、実施例のように構成すれば、ダンピ
ング材が絶縁材料で構成されるので、電流パルスが他の
部位へ流れるのを防止でき、全ての電流を磁歪線に効果
的に流すことができる利点がある。また、本発明の反射
部材も、実施例のように磁歪線の中間部に固着した部材
片に限らず、終端固定具で共用することもできる。上記
実施例では、受信器としてコイルを用いたが、これに代
えて触子を磁歪線に対してほぼ直交して接触させ、捩り
弾性波を触子の軸方向力に変換し、触子の端部に取り付
けた圧電素子やコイル等の検出器で捩り弾性波の到来を
検出してもよい。
【0034】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明に
よれば、受信器の背後に位置する磁歪線の始端部に捩り
弾性波を吸収するダンピング材を設けるとともに、磁歪
線の終端部側の特定位置に捩り弾性波を反射する反射部
材を設け、永久磁石の近接する磁歪線の部位で発生した
捩り弾性波の受信器への伝播時間および反射部材で反射
した捩り弾性波の受信器への伝播時間の少なくとも片方
を用いて永久磁石の機械的変位を求めるようにしたの
で、永久磁石の位置を温度ドリフトの影響が極めて少な
くかつ高精度に求めることができる。また、固定と可動
の2種の永久磁石を必要としないので、構成が簡単であ
り、高精度に変位を検出できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる変位検出装置の一例の概略構成
図である。
【図2】図1の受信器における受信波形図である。
【図3】受信波形の他の時間計測方法を示す図である。
【図4】受信波形のさらに他の時間計測方法を示す図で
ある。
【図5】Δ(Ta +Tb )の温度特性を示す図である。
【図6】電流パルスを複数回供給した場合の受信波形図
である。
【符号の説明】 1 磁歪線 5,6 ダンピング材 9 反射部材 10 受信器 12 永久磁石 13 パルス発生回路 14 検出回路

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】磁歪線の始端部側よりその軸線方向に電流
    パルスを流し、磁歪線に沿って移動可能な永久磁石の近
    接する磁歪線の部位で捩り弾性波を発生させ、磁歪線の
    始端部側に配置した受信器で捩り弾性波を受信すること
    により、永久磁石に与えられる機械的変位を検出する装
    置において、 上記受信器の背後に位置する磁歪線の始端部に捩り弾性
    波を吸収するダンピング材を設けるとともに、磁歪線の
    終端部側の特定位置に捩り弾性波を反射する反射部材を
    設けたことを特徴とする変位検出装置。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の変位検出装置において、 上記永久磁石の近接する磁歪線の部位で発生した捩り弾
    性波の受信器への伝播時間Ta と、反射部材で反射した
    捩り弾性波の受信器への伝播時間Tb とを計測し、次式
    により永久磁石の機械的変位を求めることを特徴とする
    変位検出装置。 x=2L・Ta /(Ta +Tb ) (x:受信器から永久磁石までの距離,L:受信器から
    反射部材までの距離)
  3. 【請求項3】請求項1に記載の変位検出装置において、 上記永久磁石の近接する磁歪線の部位で発生した捩り弾
    性波の受信器への伝播時間Ta と、反射部材で反射した
    捩り弾性波の受信器への伝播時間Tb とを計測し、基準
    温度における伝播時間Ta ,Tb の和と実際温度におけ
    る伝播時間Ta,Tb の和との差Δ(Ta +Tb )を求
    め、次式により永久磁石の機械的変位を求めることを特
    徴とする変位検出装置。 【数1】 (x:受信器から永久磁石までの距離,L:受信器から
    反射部材までの距離,k1 ,k2 :係数)
  4. 【請求項4】請求項1に記載の変位検出装置において、 反射部材で反射した捩り弾性波が受信器で受信された時
    刻に次の電流パルスを供給するよう、電流パルスの供給
    をn回(nは2以上の正の整数)繰り返し、 1回目の電流パルスの供給から、2回目の電流パルスに
    よって永久磁石の近接する磁歪線の部位で発生した捩り
    弾性波が受信器へ到達するまでの時間Ta2と、n回目の
    電流パルスによって反射部材で反射した捩り弾性波が受
    信器へ到達するまでの時間Tbnとを計測し、 次式により永久磁石の機械的変位を求めることを特徴と
    する変位検出装置。 【数2】 (x:受信器から永久磁石までの距離,L:受信器から
    反射部材までの距離,Rc =Tbn/Ta2
  5. 【請求項5】請求項4に記載の変位検出装置において、 基準温度における時間Ta2と実際温度における時間Ta2
    との差ΔTa2を求め、次式によりRc を補正することを
    特徴とする変位検出装置。 【数3】 (k3 ,k4 :係数,)
  6. 【請求項6】請求項1に記載の変位検出装置において、 反射部材で反射した捩り弾性波が受信器で受信された時
    刻に次の電流パルスを供給するよう、電流パルスの供給
    をn回(nは3以上の正の整数)繰り返し、 1回目の電流パルスの供給から、2回目の電流パルスに
    よって永久磁石の近接する磁歪線の部位で発生した捩り
    弾性波が受信器へ到達するまでの時間Ta2と、n回目の
    電流パルスによって永久磁石の近接する磁歪線の部位で
    発生した捩り弾性波が受信器へ到達するまでの時間Tan
    とを計測し、 次式により永久磁石の機械的変位を求めることを特徴と
    する変位検出装置。 【数4】 (x:受信器から永久磁石までの距離,L:受信器から
    反射部材までの距離,Rc ’=Tan/Ta2
  7. 【請求項7】請求項6に記載の変位検出装置において、 基準温度における時間Ta2と実際温度における時間Ta2
    との差ΔTa2を求め、次式によりRc ’を補正すること
    を特徴とする変位検出装置。 【数5】 (k5 ,k6 :係数)
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