JPH0730531A - 時刻同期方式 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 モジュール間でメッセージ通信を行う複数モ
ジュールからなるシステムにおいて、精度の高い時刻同
期方式を経済的に提供することを目的とする。 【構成】 各モジュールに分配するタイミング信号の時
間周期を一定にし、複数モジュール内の基準となる時計
（１次時計）でこのタイミング信号の到着時刻を正確に
測定し、次のタイミング信号が到着する時刻を予測す
る。１次時計を有するモジュール以外のモジュールの時
計（２次時計）は、１次時計を有するモジュールからの
時刻情報のメッセージを受信して、次のタイミングパル
ス到着時に時刻を正確に１次時計に合わせる。従って、
モジュール間でメッセージ通信を行う複数のモジュール
から構成させる分散システムにおいて、モジュール間で
行うメッセージ通信の最大遅延時間よりも長い時間周期
のタイミング信号を各モジュールに分配する手段を備え
てモジュール間の時刻合わせができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、モジュール間でメッセ
ージ通信を行う複数のモジュールから構成される、電話
交換機、通信装置や電子計算機等の分散システムにおい
て、各モジュールに設置された時計の各モジュール間で
の時刻合わせを正確に行う方法に関する。ここで述べる
モジュールとは、電話交換機、通信装置や電子計算機等
を分散システムとして構成した時の分散単位であり、そ
れは処理装置、モジュール間の通信手段、時計およびモ
ジュール個別の機能ブロック群によって構成され、独立
のソフトウエアで動作する装置のことである。

【０００２】

【従来の技術】従来、複数のモジュールから構成された
システムにおいて、各モジュールに設置された時計の時
刻を合わせる方法としては、モジュール間でのメッセー
ジ通信で時刻の情報を送受する方法と、時刻を合わせる
ための専用のハードウエアを用意する方法とがあった。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】このうち、モジュール
間でのメッセージ通信で時刻の同期を取る方法では、時
刻同期の精度が悪いという問題点がある。メッセージ通
信はスター状、リング状等のＬＡＮ等を用いて行われる
が、これは蓄積交換技術を基本にしたものである。蓄積
交換を行うため、メッセージの送信からメッセージの到
着までには１秒から10秒前後程度の時間がかかり、この
遅延時間が不確定なため、時刻同期の誤差となる。

【０００４】時刻同期の誤差を少なくする方法として、
時刻を合わせるための専用のハードウエアを用意する方
法があるが、この方法では、年、月、日、時、分、秒、
ミリ秒、マイクロ秒などの多くの情報を専用のハードウ
エアを用いてモジュール間で送受する必要があり、ハー
ドウエアの規模が膨大となり不経済であるという問題点
がある。

【０００５】本発明の目的はモジュール間でメッセージ
通信を行う複数のモジュールから構成されるシステムに
おいて、精度の高い時刻同期方式を経済的に提供するこ
とである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明においては、各モ
ジュールに分配するタイミング信号の時間周期を一定に
しておくことにより、複数のモジュール内で基準となる
時計（１次時計と呼ぶ）でこのタイミング信号の到着す
る時刻を正確に測定し、次のタイミング信号が到着する
時刻を予測することができる。１次時計を有するモジュ
ール以外のモジュールの時計（２次時計と呼ぶ）は、１
次時計を有するモジュールから次のタイミングパルスの
到着する時刻情報のメッセージを受信することで、次の
タイミングパルス到着時に時刻を正確に１次時計に合わ
せることができる。

【０００７】このため、本発明は、モジュール間でメッ
セージ通信を行う複数のモジュールから構成させる分散
システムにおいて、モジュール間で行うメッセージ通信
の最大遅延時間よりも長い時間周期のタイミング信号を
各モジュールに分配する手段を備えてモジュール間の時
刻合わせを行うことを特徴としている。

【０００８】

【作用】本発明では、モジュール間で行うメッセージ通
信の最大遅延時間よりも十分に長い時間周期のタイミン
グ信号を各モジュールに分配する手段を備えることによ
って、このタイミング信号と遅延時間の不確定なモジュ
ール間メッセージ通信とを組み合わせて、時刻同期を行
い、精度と経済性を解決している。

【０００９】図面を参照して本発明の実施例を詳細に説
明する。

【００１０】

【実施例】図１は、本発明の一実施例であり、モジュー
ル間でメッセージ通信を行う複数のモジュールから構成
される分散システムの構成例を示している。図１におい
て、１，２，３はモジュール、４はモジュール１に接続
されるサブモジュール、５は複数のモジュールを結合す
るモジュール間結合機構、６はクロック信号、およびモ
ジュール間で行うメッセージ通信の最大遅延時間よりも
長い時間周期のタイミング信号を各モジュールおよび結
合機構に分配する手段を備えたクロック分配装置であ
る。すなわち、本実施例はタイミング信号をクロック信
号に重畳して各モジュールに分配する例を示している。
11, 12, 13, 14はモジュール間のメッセージ通信を行っ
たり、そのほかの情報を送受するための信号線であり、
21はクロック信号とタイミング信号を各モジュールに分
配する信号線である。なお、図１はこの種の分散システ
ムの一例であり、モジュールの数は任意に増減すること
ができる。

【００１１】図２は、図１に示す本発明の実施例におい
て、タイミング信号をクロック信号に重畳するクロック
分配装置６の回路構成例を示している。ここで、タイミ
ング信号の周期を60秒、すなわち周波数（１／60）Hzと
して例を示している。図２において、ｆ₀ は基準周波数
であり、一般には通信網に同期した信号が用いられる。
31, 32, 33は分周器であり、それぞれ64ｋHz、８ｋHz、
（１／60）Hzのクロック信号を出力する。34はＣＭＩ
（Coded Mark Inversion）符号への符号化回路であり、
35はクロック信号とタイミング信号が重畳された信号出
力である。

【００１２】複数の周波数の情報を多重するには、ＣＭ
Ｉ符号でＣＲＶ（Coding Rule Violation ）と呼ばれる
方法を用いるのが一般的であり、符号化回路34は、64ｋ
Hzの信号に８ｋHzと（１／60）Hzでバイオレーションを
かける。８ｋHz信号と（１／60）Hz信号の位相が同期し
ていなければ、64ｋHz信号に独立にバイオレーションを
かけることになり、位相が同期している場合には（１／
60）Hzで８ｋHzのバイオレーションを正常にする（すな
わち２重のバイオレーションをかける）ことになる。い
ずれにしても、クロック受信回路では、伝送符号誤りが
生じた場合でもそれぞれの周波数の信号を安定して抽出
するための同期保護回路を設けるのが一般的であり、そ
の回路の動作により独立の周波数の信号を容易に取り出
すことができる。

【００１３】図３は本発明の実施例の時計の構成例を示
し、図３（ａ）は１次時計を、図３（ｂ）は２次時計を
示している。図３（ａ）において、信号線44はクロック
分配装置から受信したクロック信号とタイミング信号の
重畳された信号を１次時計に導く信号線であり、45はそ
の信号からＣＲＶによる低い周波数の信号を抽出する回
路、46は（１／60）Hzのタイミング信号を抽出するため
の保護回路であり、47が抽出された（１／60）Hzのタイ
ミング信号である。42は１次時計の本体となるカウンタ
回路であり、時計を歩進させるためのクロック信号41に
よって時計の動作を行う。また、48はタイミング信号47
の制御によって１次時計の内容を保持しておくレジスタ
であり、60秒毎に内容が更新される。61および62はソフ
トウエアインタフェースであり、ソフトウエアから１次
時計の内容、およびレジスタ48の内容を参照できるよう
になっている。

【００１４】図３（ａ）では１次時計の時刻合わせの方
法については省略してある。１次時計を校正する方法に
ついては以下に例示するように３つの方法がある。 （１）精度の高い携帯時計を接続してマニュアルで校正
する方法。 （２）専用のハードウエア、例えば標準電波を受信する
装置を設置する方法。 （３）本発明による時刻同期方式をネットワーク規模で
適用する方法。ただし、ネットワークの規模が大きい
と、タイミング信号のノード間遅延時間が大きくなる
（100 ｋｍで約500 μ秒）ので、高精度で校正するため
にはこの遅延時間をあらかじめ考慮して補正する必要が
ある。１次時計は２次時計に比べて数が少ないため、時
刻校正のためのハードウエアコストおよび手間はそれほ
ど重要な問題ではない。

【００１５】図３（ｂ）において、信号線44、タイミン
グ信号を抽出する回路45、保護回路46、抽出された（１
／60）Hzのタイミング信号47は図３（ａ）と同様であ
る。43は２次時計の本体となるカウンタ回路であり、時
計を歩進させるためのク信号41によって時計の動作を行
う。また、49は２次時計を校正するためのレジスタ、50
は２次時計を校正するためのフラグレジスタである。63
および64はソフトウエアインタフェースであり、インタ
フェース63によりソフトウエアから２次時計の内容を参
照できる。また、インタフェース64は２次時計を校正す
る時のインタフェースであり、２次時計を校正する場合
には、ソフトウエアにより時刻情報をレジスタ49に書き
込むとともに、フラグレジスタ50を１にセットする。フ
ラグレジスタ50が１にセットされている間に信号線47に
タイミングパルスが到着すると、レジスタ49の内容を２
次時計のカウンタ43に転送し、フラグレジスタ50を信号
線52によりリセットする。

【００１６】図４は図１の実施例における時刻合わせの
手順の例を示すタイミングチャートである。図４におい
て、101 は１次時計を有するモジュール、102 は２次時
計を有するモジュールのうちの１モジュール、103 はタ
イミング信号を分配する装置に対応しており、図４は各
モジュールないし装置での事象を示している。図４では
時間は上から下に経過している。矢印104 および105 は
タイミング信号であり、タイミング信号を分配する装置
103 から、１次時計を有するモジュール101 、２次時計
を有するモジュール102 にタイミング信号が送達され
る。106 および107 は１次時計を有するモジュールと２
次時計を有するモジュールの間でソフトウエアを介して
送受されるメッセージ情報である。

【００１７】図４では、は１次時計を有するモジュー
ル101 がタイミング信号を分配する装置103 からタイミ
ング信号を受信した時刻であり、図３（ａ）の１次時計
42の情報がレジスタ48に転送される。図４の106 で、２
次時計を有するモジュール102 から時刻合わせをしたい
旨のメッセージが１次時計を有するモジュール101 に到
着すると、において１次時計を有するモジュール101
では、図３（ａ）に示すレジスタ48よりインタフェース
61を経由して時刻情報を読み出し、次のタイミング信号
が到着する時刻を計算することができる（本実施例では
１分を加算すればよい）。また、図３（ａ）のカウンタ
回路42の情報をインタフェース62を経由して読み出すこ
とにより、次のタイミング信号が到着するまでに余裕を
持って時刻合わせのメッセージを２次時計を有するモジ
ュール102 に転送できるかどうかを判断することができ
る。この時間的余裕の有無の判断は、図３のレジスタ48
から読み出して予測した次のタイミング信号が到着する
時刻から、カウンタ回路42から読み出した情報、すなわ
ち現在時刻を減算して得られた時間が、モジュール間の
メッセージ転送に必要な最大遅延時間より大きいかどう
かを調べることにより容易に実行できる。メッセージ転
送の時間的余裕がないと判断された場合には、１次時計
を有するモジュール101 と２次時計を有するモジュール
102 の間での時刻合わせ手順の規約をどのように定める
かに依存するが、再度時刻合わせの要求を２次時計を有
するモジュール102 から再度送り直し、適当な時間待ち
をして次のタイミング信号で時刻合わせを行う等の例に
よって時刻合わせが可能である。

【００１８】図４はメッセージ転送に必要な時間的余裕
があると判断された場合の例であり、モジュール101 か
らモジュール102 に時刻情報をメッセージ107 により転
送する。メッセージ107 を受け取ったモジュールでは、
において２次時計の時刻合わせの準備を行う。これは
図３（ｂ）の２次時計構成例では、ソフトウエアインタ
フェース64を経由して、レジスタ49に次のタイミング信
号が到着する時刻の情報を書き込み、さらにフラグレジ
スタ50を１にセットすることである。フラグレジスタが
セットされた状態でタイミング信号105 がモジュール10
2 に到着すると、においてレジスタ49の内容を２次時
計のカウンタ43に転送し、フラグレジスタ50を信号線52
によりリセットすることにより、時刻合わせが完了す
る。上記の図４の説明では、次のタイミング信号の到着
時刻の計算を１次時計を有するモジュール101 で行う例
を示したが、この計算は２次時計を有するモジュール10
2 で行っても同じである。

【００１９】以上説明した原理に基づく時刻合わせは、
遅延時間の不確定なモジュール間メッセージ通信を行う
各モジュールに、モジュール間で行うメッセージ通信の
最大遅延時間よりも十分に長い時間周期のタイミング信
号を各モジュールに分配する手段を備えることのみによ
って、容易に実現可能である。また、１次時計の校正方
法の例でも述べたように、タイミング信号の遅延時間を
あらかじめ考慮して補正を行うことにより、本発明によ
る時刻同期方式はネットワーク規模で適用可能である。

【００２０】

【発明の効果】以上説明したように、本発明において
は、モジュール間でメッセージ通信を行う複数のモジュ
ールから構成されるシステムで、モジュール間で行うメ
ッセージ通信の最大遅延時間よりも十分長い時間周期の
タイミング信号を各モジュールに分配する手段を備える
ことで、マイクロ秒以上の精度の高い時刻同期が経済的
に実現できるという利点がある。また、そのタイミング
信号は、各モジュールに分配するクロック信号や情報伝
送路等に容易に重畳できるので特に経済的である。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は本発明の実施例である分散システムの構
成例を示している。

【図２】図２は図１に示す本発明の実施例においてタイ
ミング信号をクロック信号に重畳するクロック分配装置
の回路構成例を示している。

【図３】図３は本発明の実施例における時計の構成例で
あり、図３（ａ）は１次時計を、図３（ｂ）は２次時計
を示している。

【図４】図４は図１の実施例における時刻合わせの手順
の例を示すタイミングチャートである。

【符号の説明】

１ モジュール ２ モジュール ３ モジュール ４ サブモジュール ５ モジュール間結合機構 ６ クロック信号分配装置 11 信号線 12 信号線 13 信号線 14 信号線 21 信号線 31 分周器 32 分周器 33 分周器 34 符号化回路 35 クロック信号とタイミング信号が重畳された信号出
力 41 クロック信号 42 カウンタ回路 43 カウンタ回路 44 信号線 45 タイミング信号抽出回路 46 同期保護回路 47 タイミング信号 48 レジスタ 49 レジスタ 50 フラグレジスタ 51 論理積回路 52 信号線 61 ソフトウエアインタフェース 62 ソフトウエアインタフェース 63 ソフトウエアインタフェース 64 ソフトウエアインタフェース 101 １次時計を有するモジュール 102 ２次時計を有するモジュールの内の１モジュール 103 タイミング信号を分配する装置 104 タイミング信号 105 タイミング信号 106 モジュール間メッセージ 107 モジュール間メッセージ

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 モジュール間でメッセージ通信を行う複
   数のモジュールから構成される分散システムにおいて、
   モジュール間で行われるメッセージ通信の最大遅延時間
   よりも長い時間周期のタイミング信号を各モジュールに
   分配する手段を備えることによりモジュール間の時刻合
   わせを行うことを特徴とする時刻同期方式。